JP5770613B2 - 自走式ロールベーラ - Google Patents

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Description

本発明は、自走式ロールベーラに関するものであり、詳しくは刈取部で刈り取った飼料作物をベーラ形成部に送給(搬送・供給)する送給部に関するものである。
従来、自走式ロールベーラの一形態として、特許文献1に開示されたものがある。すなわち、特許文献1には、自走可能とした機体の前方に刈取部を配設し、機体上の前部に刈取部で刈り取った飼料作物を細断して後方に送給(搬送・供給)する送給部を配設し、機体上の後部に送給部から送給される細断された飼料作物をベールとなすベーラ形成部を配設した自走式ロールベーラが開示されている。かかる自走式ロールベーラでは、刈取部により青刈りの水稲等の飼料作物を刈り取り、刈り取った飼料作物を送給部により細断するとともに、ベーラ形成部に送給(搬送・供給)して、ベーラ形成部にて細断飼料作物を略円柱状のベールとなすようにしている。
送給部は、軸線を左右側方向に向けて横架した回転軸の外周面に、多数の細断刃(チョッパー)を回転軸の半径方向(放射線方向)に伸延させて突設している。そして、回転軸の後下方にはベーラ形成部の搬入口に連通する送給通路を形成しており、送給通路は前高後低の後ろ下り勾配で、かつ、後方へ向けて漸次広角状に形成している。
特開2002−345325
ところが、前記した自走式ロールベーラでは、回転軸の半径方向(放射線方向)に伸延させて突設している細断刃の回転切断力により飼料作物を細断するとともに、細断刃の回転力により送給通路を通して細断された飼料作物(細断飼料作物)を後下方に送給するようにしているが、細断刃による送給力が不十分で送給通路に細断飼料作物が停滞するという不具合があった。
そこで、本発明は、飼料作物の十分な細断力と細断飼料作物の十分な送給力を有する細断体を備えた自走式ロールベーラを提供することを目的とする。
請求項1記載の発明に係る自走式ロールベーラは、飼料作物を刈り取る刈取部と、刈取部により刈り取った飼料作物を細断するとともに送給する送給部と、送給部により送給された細断飼料作物を略円柱状のベールとなすベーラ形成部とを具備する自走式ロールベーラにおいて、送給部には飼料作物を細断して圧送する細断体を配設するとともに、細断体は、軸線を細断飼料作物の送給方向と直交する方向に向けて横架した回転軸の外周面に、多数の細断刃を回転軸の半径方向に伸延させて突設し、細断刃の基部の回転側に回転軸の軸線方向に伸延する帯状の圧送羽根を設けたことを特徴とする。
かかる自走式ロールベーラでは、細断体の細断刃が飼料作物を細断するとともに、細断飼料作物を帯状の圧送羽根が圧送して送給する。つまり、細断体は、飼料作物の十分な細断力と細断飼料作物の十分な送給力を保有させることができる。したがって、細断体は、構造簡易にして、細断機能と送給機能を兼備して、飼料作物を堅実に細断するとともに、細断飼料作物を滞留させることなく堅実に送給することができる。
請求項2記載の発明に係る自走式ロールベーラは、請求項1記載の発明に係る自走式ロールベーラであって、回転軸の外周面に突設した支持片に、回転側とその反対側にそれぞれ切断面を形成した細断刃の基部を着脱自在に取り付けるとともに、帯状の圧送羽根を当接支持させたことを特徴とする。
かかる自走式ロールベーラでは、回転軸の外周面に突設した支持片に細断刃の切断面を回転側とその反対側に付け替えて取り付けることができるため、細断刃のメンテナンスが楽に行える。そして、回転軸の外周面に突設した支持片に帯状の圧送羽根を当接支持させることで、圧送羽根を簡単かつ確実に取り付けることができる。
請求項3記載の発明に係る自走式ロールベーラは、請求項2記載の発明に係る自走式ロールベーラであって、回転軸の軸線方向に隣接する支持片間に帯状の圧送羽根を横架したことを特徴とする。
かかる自走式ロールベーラでは、回転軸の軸線方向に隣接する支持片間に帯状の圧送羽根を横架することで、圧送羽根を堅実に支持することができる。
請求項4記載の発明に係る自走式ロールベーラは、請求項2又は3記載の発明に係る自走式ロールベーラであって、圧送羽根は、回転軸の回転方向と回転軸の軸線方向の合力方向に圧送力が生起されるように圧送面を湾曲させて形成して、一側方に拡幅されたベーラ形成部の全幅にわたって細断飼料作物を圧送するようにしたことを特徴とする。
かかる自走式ロールベーラは、回転軸の回転方向と回転軸の軸線方向の合力方向に圧送力が生起されるように圧送面を湾曲させて形成した圧送羽根によって、一側方に拡幅されたベーラ形成部の搬入口の全幅にわたって均等に拡散させて送給することができため、ベーラ形成部において軸線方向に均一化された略円柱状のベールが形成されるようにすることができる。
請求項5記載の発明に係る自走式ロールベーラは、請求項1〜4のいずれか1項記載の発明に係る自走式ロールベーラであって、回転軸の下方には複数の受刃を固定状態に配設して、各受刃と回転軸に突設した各切断刃の先端部とが協働して飼料作物を細断するようにしたことを特徴とする。
かかる自走式ロールベーラでは、各受刃と回転軸に突設した各切断刃の先端部とが協働して飼料作物を細断するようにしているため、飼料作物を堅実に細断することができる。その結果、ベールの成形効率を向上させることができる。
本発明は、次のような効果を奏する。すなわち、本発明では、細断体の構造を簡易にして、細断体に細断機能と送給機能を兼備させることができる。そのため、細断体の細断刃に飼料作物の十分な細断力を保有させて飼料作物を堅実に細断するとともに、細断体の圧送羽根に細断飼料作物の十分な送給力を保有させて細断飼料作物を堅実に圧送して送給することができる。したがって、飼料作物を堅実に細断するとともに、細断飼料作物を滞留させることなく堅実に送給することができる。
本発明に係る自走式ロールベーラの側面図。 送給部とベーラ形成部の側面説明図。 送給部とベーラ形成部の平面説明図。 送給部の斜視説明図。 送給部の側面説明図。 送給部の平面説明図。 送給部の背面説明図。 細断体の斜視説明図。 細断体の側面説明図。 細断体の平面説明図。 動力伝達図。 他実施形態としての細断体の斜視説明図。 他実施形態としての細断体の側面説明図。 他実施形態としての細断体の平面説明図。 他実施形態としての通路方向変更体の斜視説明図。 他実施形態としての通路方向変更体の平面図(a)と側面図(b)と背面図(c)からなる説明図。 もう一つの他実施形態としての通路方向変更体の側面説明図。
[全体の説明]
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示す1は本実施形態に係る自走式ロールベーラであり、自走式ロールベーラ1は、飼料作物を刈り取る刈取部5と、刈取部5により刈り取った飼料作物を細断するとともに送給する送給部60と、送給部60により送給された細断飼料作物を略円柱状のベールとなすベーラ形成部6とを具備している。
すなわち、自走式ロールベーラ1は、左右一対のクローラ式の走行部2,2の直上方に基台3を配置して、基台3の左側中途部に図2に示す支持枠体4を立設している。支持枠体4には刈取部5の基端部を枢支して、支持枠体4の前方において枢支部を中心に刈取部5を昇降回動自在となしている。支持枠体4の後方における基台3上にはベーラ形成部6を配設し、刈取部5とベーラ形成部6との間に送給部60を介設している。基台3の右側前部にはキャビン型の運転部7を配設し、運転部7に設けた座席(図示せず)の直下方位置には、図11に示す動力源である原動機部としてのエンジン9を搭載している。以下に、刈取部5とベーラ形成部6と送給部60の各構成をこの順序で説明する。
[刈取部の説明]
刈取部5は、図1に示すように、フィーダハウス10とプラットフォーム11と刈刃体12と左右一対のデバイダ13,13と掻込リール14とを具備している。
フィーダハウス10は前後方向に伸延する四角形筒状に形成して、内部には刈り取った穀稈を前方から後方に搬送する搬送コンベア15(図4参照)を配設している。そして、フィーダハウス10は運転部7の左側下方に配置するとともに、支持枠体4の前上部に基端部(後端部)を左右方向の軸線廻りに回動自在に枢支している。フィーダハウス10の下面中途部と基台3の前端部との間には昇降油圧シリンダ(図示せず)を介設して、昇降油圧シリンダを伸縮作動させることによりフィーダハウス10の基端部を中心に刈取部5を昇降位置調節して、刈取高さを調節可能としている。図11に示すように、搬送コンベア15は、左右方向に軸線を向けてフィーダハウス10の基端部(後端部)に軸架した駆動軸17と、左右方向に軸線を向けてフィーダハウス10の先端部(前端部)に軸架した従動ドラム18との間に、搬送ベルト19を巻回して形成している。
プラットフォーム11は、基台3の左右幅と略同一幅で前方が開口するケーシング状に形成して、フィーダハウス10の前端部開口部(搬入口部)に左側部を連通連結し、図11に示すように、内部に左右方向に回動軸芯を向けたオーガ支軸20を介して掻込オーガ21を横架している。掻込オーガ21は後述する刈刃体12により刈り取られた穀稈をプラットフォーム11内に掻き込むとともに、フィーダハウス10の前端部開口部(搬入口部)内に横送り搬入するようにしている。
刈刃体12は、左右方向に伸延するバリカン型に形成しており、プラットフォーム11の前端下部に、その前端全幅にわたって配設している。そして、飼料作物である植立穀稈の株元部を刈り取るようにしている。
左右一対のデバイダ13,13は、それぞれプラットフォーム11の左右側壁から前方へ突設して、機体の前進走行に伴って圃場に植設している飼料作物を刈取側と非刈取側とに分草するようにしている。
掻込リール14は、左右一対のデバイダ13,13間の上方に掻込回転自在に配置して、両デバイダ13,13により分草された刈取側の植立穀稈をプラットフォーム11側に回転しながら掻き込むようにしている。
このように構成して、刈取部5により刈り取った飼料作物は、後記するベーラ形成部6に搬送・供給して略円柱状のベール(図示せず)を形成するとともに、ベールを機外へ放出するようにしている。
[ベーラ形成部の説明]
ベーラ形成部6は、図2及び図3に示すように、基台3に固定して後方開口状となした固定ケース体33と、固定ケース体33の後上端部に連結体44を介して枢着して前方開口状となした開閉ケース体34とから中空箱状に形成している。そして、内部には搬入口29を有するベーラ室30を設けて、搬入口29の近傍には、回転しながら細断飼料作物を更に細断してベーラ室30に搬入口29を通して搬入する穀稈細断体31を配設している。ベーラ室30内には、穀稈細断体31により細断された細断穀稈をベールに形成加工するベーラ形成体32を配設している。
ベーラ室30は、図1に示すように、固定ケース体33と開閉ケース体34の各天井部間に開閉シリンダ35を介設して、開閉シリンダ35により枢着部を中心に開閉ケース体34を開閉作動可能としている。
ベーラ形成体32は、固定ケース体33と開閉ケース体34に左右方向に軸線を向けたベーラ形成ローラ36を略同一円周上に多数配置して形成している。各ベーラ形成ローラ36はローラ支軸37により回転自在に支持するとともに、各ローラ支軸37の左側端部にスプロケット38を取り付けている。
固定ケース体33に軸架した多数のベーラ形成ローラ36には、最上部に配置したベーラ形成ローラ36を除いて、スプロケット38を介して固定側連動チェン39を掛け廻している。開閉ケース体34に軸架した多数のベーラ形成ローラ36と固定ケース体33の最上部に配置したベーラ形成ローラ36には、スプロケット38を介して開閉側連動チェン40を掛け廻している。最上部に配置したベーラ形成ローラ36と最前部に配置したベーラ形成ローラ36には、それぞれ入力スプロケット41を介してローラ伝動チェン42を掛け廻して後記するベーラ形成体伝動機構43の一部を形成している。45はガイド用スプロケットである。
ベーラ室30内に送給された飼料作物は、同一方向に回転(自転)される多数のベーラ形成ローラ36によって、自転されながら巻き付いて徐々に円柱状の径を増大させ、所定の大きさのベールが形成される。ベールが所定の大きさになると固定ケース体33の天井部に載設した結束装置46(図1参照)から合成樹脂製のネット(網状体)47が繰り出されて、ネット47がベールの周面に巻回されて結束される。その後は、開閉ケース体34が開放作動されて、結束されたベールが機外に放出される。
穀稈細断体31は、回転刃である細断兼搬入刃50と固定刃51を対向させて配置して、両者が協働して飼料作物を細断するようにしている。細断兼搬入刃50は左右方向に軸線を向けて横架した回転支軸52に多数支持されている。固定刃51は、その先端部を相互に隣接する細断兼搬入刃50,50同士の間に配置している。回転支軸52の右側端部には細断体入力スプロケット54を取り付けて、後記する細断体伝動機構55の一部を形成している。図2中、56は穀稈細断体31に飼料作物が詰まるのを防止するスクレーパである。
[送給部の説明]
送給部60は、図2に示すように、前記したように刈取部5とベーラ形成部6とを連通すべくその間に介設している。すなわち、フィーダハウス10の基端部(後端部)に形成した搬出口59(図4参照)と、ベーラ形成部6に設けたベーラ室30の搬入口29との間には、内部に側面視「へ」の字状に折曲形成した送給通路62を有する送給通路形成体61を介設して、送給通路形成体61内の送給通路62を搬出・入口59,29に連通させている。
ベーラ形成部6は、図3に示すように、一側方(本実施形態では右側方)に拡幅させて形成し、フィーダハウス10よりも左右方向に広幅(略2倍)に形成している。そのため、送給通路62の始端部(上流側部)はフィーダハウス10の左右幅よりもやや広目に形成して、フィーダハウス10の搬出口59に連通させている。そして、支持枠体4よりも後方に位置する送給通路62の中途部は左右幅を漸次下流側に向かって広幅に形成している。また、送給通路62の終端部(下流側部)はベーラ形成部6の左右幅と略同一の広幅となして、ベーラ形成部6の搬入口29に連通させている。
送給部60は、前後方向に伸延する送給通路62の始端部に飼料作物を細断するとともに圧送する細断体63を配設する一方、送給通路62の終端部にベーラ形成部6の搬入口29を連通させている。
送給通路62の上流部(前部)には、図4〜図7に示すように、細断体63を配設している。すなわち、細断体63は、軸線を細断飼料作物の送給方向と直交する方向に向けて横架した回転軸64の外周面に、扁平筒状に形成した多数の支持片65を突設している。各支持片65には、図8〜図10に示すように、半径方向(放射線方向)に伸延する板状に形成した細断刃66の基端部66cを抜き差し自在に差し込んで、細断刃66を突出状に着脱自在に取り付けている。板状に形成した細断刃66の片面には回転側とその反対側にそれぞれテーパー面状の切断面66a,66bを形成している。回転軸64の外周面に突設した支持片65には帯状の圧送羽根67を当接支持させており、本実施形態では回転軸64の軸線方向に隣接する支持片65,65間でかつ細断刃66の回転側に、回転軸64の軸線方向に伸延する帯状の圧送羽根67を横架している。
回転軸64の下方に位置する送給通路形成体61の底部には、複数の受刃68を左右方向(回転軸64の軸線方向)に間隔をあけて固定状態に配設して、各受刃68と回転軸64に支持片65を介して突設した各細断刃66の先端部とが協働して飼料作物を細断するようにしている。受刃68は送給通路形成体61の底部に着脱自在に取り付けて、切断する飼料作物の種類に応じてないしはメンテナンスの際に必要に応じて簡単に取り替え可能としている。
送給通路62内における細断体63の直下流側には掻き落とし体69を配設している。すなわち、掻き落とし体69は、細断体63の回転軸64の後上方位置かつ細断刃66の先端の回転軌跡の近傍位置に回転軸64と平行に伸延させて配設して、下方から近接する細断刃66の先端部が持ち廻る飼料作物を掻き落とすようにしている。
そして、掻き落とし体69は、細断刃66の先端の回転軌跡に沿わせて近接配置して凹条円弧面となした前面部69aと、前面部69aの下端縁部から後上方へ向けて伸延させて平坦な前低後高傾斜面となした下面部69bと、下面部69bと前面部69aとの接続縁部の内角を90度以下となした掻き落とし部69cとを具備している。
一側方(本実施形態では右側方)に拡幅されたベーラ形成部6の拡幅方向とは反対側に位置する送給通路形成体61の側壁、つまり、左側壁部114にはガイド体57を掻き落とし体69の左側部下方に位置させて配設している。ガイド体57は、送給通路形成体61の左側壁部114に板状のガイド本体57aの前端縁部57bを取り付ける一方、ガイド本体57aの後端縁部57cを送給通路形成体61の左側壁部114からベーラ形成部6の拡幅方向に離隔させて配置して、図6の平面視にて傾斜面となしたガイド本体57aの表面に沿って送給された切断飼料作物がベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって搬入されるようにしている。
送給通路62の後部には通路方向変更体58を配設して、通路方向変更体58を介して、細断体63により細断されて圧送された細断飼料作物を一側方に拡幅されたベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって拡散させて送給するようにしている。
すなわち、通路方向変更体58は、板状に形成するとともに送給通路形成体61の後部に、送給方向(本実施形態では前後方向)に対して傾斜状に配設して、細断体63により細断されて圧送された細断飼料作物を一側方(本実施形態では右側方)かつ下方に案内して、一側方に拡幅されたベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって拡散させて送給するようにしている。
ベーラ形成部6の搬入口29の近傍に配設した細断兼搬入刃50上の上手側には、通路方向変更体58に案内された細断飼料作物が拡散されるようにしている。細断兼搬入刃50は、回転しながら細断飼料作物を更に細断してベーラ形成部6に搬入口29を通して搬入するように構成している。
このように構成した自走式ロールベーラは、次のような作用効果を奏する。すなわち、回転軸64を中心にしてその回転軸64の外周面に突設した多数の細断刃66を回転させることにより、刈取部5で刈り取られた飼料作物を細断して、細断飼料作物をベーラ形成部6に送給することができる。この際、細断体63の回転軸64の後上方位置かつ細断刃66の先端の回転軌跡の近傍位置には、回転軸64と平行に伸延する掻き落とし体69が配設されており、下方から近接する細断刃66の先端部が持ち廻る細断飼料作物は掻き落とし体69により堅実に掻き落とされる。その結果、細断刃66の先端部が細断飼料作物を持ち廻って、細断刃66と周壁との間に飼料作物の詰まりを発生させることや、細断刃66による飼料作物の細断効率を低下させることがなくなる。
そして、掻き落とし体69の掻き落とし部は、前面部と下面部との接続縁部の内角が90度以下の鋭角状に形成しているため、下方から近接する細断刃66の先端部が持ち廻る飼料作物は掻き落とし部により堅実に掻き落とされる。この際、前面部は細断刃66の先端の回転軌跡に沿わせて近接配置した凹条円弧面となしているため、回動する細断刃66の先端と前面部との間隙を可及的に狭めることができて、細断刃66の先端部が持ち廻る細断飼料作物が間隙の始端部に位置する掻き落とし部により掻き落とされ易くなる。下面部は前面部の下端縁部から後上方へ向けて伸延させて平坦な前低後高傾斜面となしているため、掻き落とし体69の後方に連通する送給通路62の始端部を広角状となすことができて、掻き落とし部により掻き落とされた細断飼料作物を下面部に沿わせてベーラ形成部6に円滑に送給することができる。つまり、掻き落とし部により掻き落とされた細断飼料作物も含めて、殆ど全ての細断飼料作物が送給通路62内に滞留することなくベーラ形成部6に円滑に送給される。
傾斜面となしたガイド本体57aの表面に沿って搬送・供給された切断飼料作物がベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって搬入されるようにしているため、細断飼料作物を搬入口29に均等に拡散させて、ベーラ形成部6に送給することができる。その結果、ベーラ形成部6において軸線方向に均一化された略円柱状のベールが形成される。
細断体63の細断刃66が飼料作物を細断するとともに、細断飼料作物を帯状の圧送羽根67が圧送して送給する。つまり、細断体63は、飼料作物の十分な細断力と細断飼料作物の十分な送給力を保有させることができる。したがって、細断体63は、構造簡易にして、細断機能と送給機能を兼備して、飼料作物を堅実に細断するとともに、細断飼料作物を滞留させることなく堅実に送給することができる。
細断刃66は、回転軸64の外周面に突設した支持片65に細断刃66の切断面を回転側とその反対側に付け替えて取り付けることができるため、細断刃66のメンテナンスが楽に行える。そして、回転軸64の外周面に突設した支持片65に帯状の圧送羽根67を当接支持させることで、圧送羽根67を簡単かつ確実に取り付けることができる。本実施形態では、回転軸64の軸線方向に隣接する支持片65間に帯状の圧送羽根67を横架することで、圧送羽根67を堅実に支持することができる。
各受刃68と回転軸64に突設した各細断刃66の先端部とは、協働して飼料作物を細断するようにしているため、飼料作物を堅実に細断することができる。その結果、ベールの成形効率を向上させることができる。
送給通路62の天井部と底部に送給抵抗となる上・下部拡散ガイド板を突設することなく、送給通路62の後部に通路方向変更体58を配設することで、細断体63により細断されて圧送された細断飼料作物を右側方に拡幅されたベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって拡散させて送給することができる。そのため、細断飼料作物の送給通路62における詰まりを防止することができる。
送給通路62の後部に送給方向に対して傾斜状に配設した板状の通路方向変更体58により、細断飼料作物を右側方かつ下方に案内して、右側方に拡幅されたベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって均等に拡散させて送給することができる。その結果、ベーラ形成部6において軸線方向に均一化された略円柱状のベールが形成される。また、ロール状に巻回された結束用のネット(網体)47をベーラ形成部6内に垂下させてベールの結束作業を行う場合に、細断体63から生起される起風が通路方向変更体に当たって、直接ネット47に当たることがないため、ネット47によるベールの結束が堅実に行える。
ベーラ形成部6の搬入口29の近傍に配設した細断兼搬入刃50上の上手側に、通路方向変更体58に案内された細断飼料作物が拡散されるようにしているため、細断兼搬入刃50が回転しながら細断飼料作物を更に細断してスムーズにベーラ形成部6に搬入口29を通して搬入することができる。
送給部60の構成をより具体的に説明する。すなわち、送給通路形成体61は、図4〜図7に示すように、支持枠体4の上半部に配設した上流側送給通路形成体110と、その下流側に配設した下流側送給通路形成体111とから形成している。
上流側送給通路形成体110は、支持枠体4の前面にフィーダハウス10の搬出口59と整合する開口部112を有する前壁部113を取り付け、支持枠体4の左右側面に左・右側壁部114,115を取り付け、支持枠体4の天井面に天井壁部116を着脱自在に取り付け、支持枠体4の中途部面に前高後低の傾斜状に底面部117を張設して形成している。
左・右側壁部114,115の中央部間には細断体63を横架して、図5に示すX方向に回転作動するようにしている。Zは飼料作物の送給流れ方向である。細断体63よりも下流側に位置する天井壁部116には左・右側壁部114,115の間隔と同一左右幅の掻き落とし体69を下方へ膨出状に配設している。そして、掻き落とし体69は前面部69aと下面部69bと掻き落とし部69cと左・右側面部69d,69dとから形成している。前面部69aは、凹条円弧面に形成して細断刃66の先端の回転軌跡に沿わせて近接配置している。下面部69bは、平坦な前低後高傾斜面に形成して前面部69aの下端縁部から後上方へ向けて伸延させている。掻き落とし部69cは、下面部69bと前面部69aとの接続縁部の内角を90度以下となして、図5の右側面視において、細断体63の回転軸64の後上方位置にてV字状に形成している。つまり、掻き落とし部69cは、左右方向に伸延する下向き尖り条に形成している。左・右側面部69d,69dは掻き落とし体69の左右側面を形成しており、左・右側壁部114,115に近接状態で対面させている。
傾斜状に張設した底面部117の前半部において、細断体63の回転軸64の直下方位置には、左右方向に伸延する横長四角形状の受刃突出口部123を開口して、受刃突出口部123に複数(本実施形態では11個)の受刃ホルダー124を左右方向に整列させて垂設している。各受刃ホルダー124は上面開口状となして、受刃突出口部123に連通させている。そして、各受刃ホルダー124には受刃68の下端部を後傾状態に抜き差し自在に取り付けて、各受刃68を受刃突出口部123から上方へ後傾状態に突出させている。したがって、各受刃68は図7の背面視にて左右方向に一定の間隔をあけて底面部117より上方へ突出された状態となっている。底面部117の後半部上、つまり、掻き落とし体69の下方位置には略水平面部118を張設している。
左側壁部114にはガイド体57を取り付けており、ガイド体57のガイド本体57aは、上端縁部を掻き落とし体69の下面部69bに沿わせて前低後高の傾斜状となして、掻き落とし体69の下面部69bに近接配置している。そして、ガイド体57のガイド本体57aは、下端縁部を略水平面部118に沿わせて略水平状となして、略水平面部118に近接配置している。
下流側送給通路形成体111は、上流側送給通路形成体110の左側壁部114から後方へ延設した左側壁部125と、上流側送給通路形成体110の右側壁部115の後部から外側後方へ傾斜状に延設した傾斜壁部126と、傾斜壁部126の後端縁部から後方へ左側壁部125と平行させて延設した右側壁部127と、支持枠体4の後端縁部から後下方へ下り傾斜状に延設した支持面部128と、支持面部128の後端縁部から後下方へ下り傾斜状に連設した通路方向変更体58と、略水平面部118の後端縁部から後下方へ下り傾斜状に延設した下り傾斜下面部129と、下り傾斜下面部129から後上方へ円弧状に延設した円弧状下面部130とから形成している。下り傾斜下面部129と円弧状下面部130とで形成されて、左右方向に伸延する凹状空間部131に細断兼搬入刃50を配設している。Yは細断兼搬入刃50の回転方向である。左右側壁部125,127はベーラ形成部6の左右側壁部も兼用して形成している。
通路方向変更体58は、横長長方形の板状に形成した変更本体58aと、変更本体58aの後端縁部から後下方へ延設して形成した後部変更片58bと、変更本体58aの左側縁部に沿わせて上方へ突設した左側連結片58cと、変更本体58aの右側縁部に沿わせて上方へ突設した右側連結片58dと、変更本体58aの上面前端縁部に連設した左右方向に伸延する補強部材58eとから形成している。そして、変更本体58aが後方へ下り傾斜状でかつ左低右後の右上り傾斜状となして、左側壁部125に左側連結片58cを面接させるとともに、左側連結片58cの前後端部を連結ボルト132により連結し、右側壁部127に右側連結片58dを面接させるとともに、右側連結片58dの前後端部を連結ボルト133により連結している。
このように構成して、細断体63により細断されて圧送された細断飼料作物が、掻き落とし体69の下面部69bに沿って後上方に広角状に形成された送給通路62の上流側において、一旦、後上方へ送給され、そして、傾斜状に配設された変更本体58aと後部変更片58bに案内されて、右側方に拡幅されたベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって、細断兼搬入刃50の前部側に拡散されて送給されるようにしている。この際、細断体63の細断刃66の先端部が持ち回る細断飼料作物が掻き落とし体69の掻き落とし部69cに掻き落とされるとともに、下流側の変更本体58aに送給されるようにしている。
細断体63は、図8〜図10に示すように、左右方向に軸線を向けて伸延するドラム状に形成した回転軸64の外周面に、軸線方向である同一直線上の一列に間隔をあけて複数(本実施形態では3個)の支持片65を半径方向(放射線方向)に突設している。そして、回転軸64の円周方向に90度ずつ変位させた四列にそれぞれ複数(本実施形態では3個)の支持片65を半径方向(放射線方向)に突設している。しかも、各支持片65は回転軸64と直交する同一平面上に一個ずつ配置している。回転軸64の左右両端には一対の支軸120,120を同軸的に突設して、左・右側壁部114,115に軸支体121,121を介して支軸120,120を枢支している。122は支軸120の外周面基端部に取り付けたドーナッツ板状の鍔体であり、鍔体122の半径を回転軸64の半径よりも大きめに形成して、支軸120に飼料作物が絡み付くのを防止している。
支持片65は、扁平四角形で筒状の支持本片65aと、支持本片65aに突設した連設片65bとから形成している。そして、回転軸64に支持本片65aと連設片65bの基端部を連設している。支持本片65aには細断刃66の基端部66cを抜き差し自在に取り付けて、挿通連結ボルト134を支持本片65aと細断刃66の基端部66cに横断貫通状に挿通して、挿通連結ボルト134の先端部にナット135を締め付けて固定している。
回転軸64の軸線方向に一列に配置した3個の支持片65の回転側には圧送羽根67を取り付けており、四列の支持片65にそれぞれ計4つの圧送羽根67を取り付けている。圧送羽根67は、支持本片65aの突出幅と同一幅でかつ左右方向に帯状に伸延させて回転軸64と同一長さとなした羽根本体67aと、羽根本体67aの先端縁部から回転側に折曲状に延設した先端縁折り曲げ片67bとから形成している。羽根本体67aは、回転軸64の外周面と支持片65の回転側面との間に立て掛け状に連設している。先端縁折り曲げ片67bは支持片65の回転側面に沿って切断面66aの下端部近傍位置まで起立している。なお、圧送羽根67は、平坦帯状に形成して回転軸64から切断面66aの下端部近傍位置まで起立させることで、支持片65の回転側面に重合状態に連設することもできる。
各支持片65に取り付けた12個の細断刃66は、左右幅方向に間隔をあけて配置した11個の受刃68の間を1個ずつ通過するように配置している。そして、左右方向に隣接する受刃68,68間に横架状に係止された飼料作物を、図5の側面視にてX方向に一列状に回転する3個の細断刃66が3箇所同時に細断するようにしている。
細断兼搬入刃50は回転支軸52に多数設けて、左右方向に近接させて配置している。つまり、細断兼搬入刃50の左右方向の間隔は細断刃66の左右方向の間隔よりも小さく設定して、細断刃66で細断された細断飼料作物を更に小さく細断してベーラ形成体32に搬入するようにしている。
細断体63の直下方に位置する基台3上のデッドスペースは、図2に示すように、伝動ケース配置空間Sとなしている。そして、伝動ケース配置空間Sに伝動ケース(カウンターケース)70を配置している。伝動ケース70は、図11に示すように、左右幅が細幅の扁平箱状に形成したケース本体71に、左右方向に軸線を向けた第1〜第4伝動軸72,73,74,75を前後方向に間隔を開けて平行状態に横架している。
[動力伝達機構の説明]
以下に、図11を参照しながら自走式ロールベーラ1の動力伝達機構を具体的に説明する。すなわち、自走式ロールベーラ1は、ケース本体71内において、第1伝動軸72に第1伝動ギヤ76を取り付け、第2伝動軸73に第1伝動ギヤ76と噛合する第2伝動ギヤ77を取り付け、第3伝動軸74に第2伝動ギヤ77と噛合する第3伝動ギヤ78を取り付けている。また、第3伝動軸74には第4伝動ギヤ79を取り付け、第4伝動軸75に第4伝動ギヤ79と噛合する第5伝動ギヤ82を取り付けている。
第1伝動軸72は、ケース本体71から右側方へ突出させるとともに右側方へ伸延させて、右側端部に作業部入力プーリ83を取り付けている。エンジン9は左側方に出力軸84を突出させており、出力軸84に第1出力プーリ85を取り付けて、第1出力プーリ85と作業部入力プーリ83との間に作業部用伝動ベルト86を巻回している。87はミッション部、88はミッション部入力軸、89はミッション部入力プーリ、90は第2出力プーリ、91はミッション部伝動ベルト、92はミッション部87に設けた駆動軸、98は走行部2の駆動輪であり、駆動軸92の両端部に取り付けている。
第1伝動軸72の直上方には細断体63の支軸120を配置しており、支軸120の右側端部に取り付けた細断体入力プーリ138と、ケース本体71外における第1伝動軸72の中途部に取り付けた右側出力プーリ94との間には、細断体伝動ベルト95を巻回して、細断体伝動機構139を形成している。
第3伝動軸74は、ケース本体71から右側方へ突出させて、右側端部に穀稈細断体出力スプロケット96を取り付けている。穀稈細断体31の回転支軸52の右側端部に取り付けた穀稈細断体入力スプロケット54と穀稈細断体出力スプロケット96との間には、第1・第2中間スプロケット98a,98bを介して穀稈細断体伝動チェン97a,97bを巻回して、穀稈細断体伝動機構55を形成している。つまり、穀稈細断体伝動機構55は、ベーラ形成部6の左右一側方(本実施形態では右側方)に配置して、穀稈細断体31に連動連結している。99は中間軸である。
第4伝動軸75は、ケース本体71から左側方へ突出させて、左側端部に左側出力スプロケット93を取り付けている。左側出力スプロケット93とベーラ形成体32の最上部に配置した入力スプロケット41と最前部に配置した入力スプロケット41には、ローラ伝動チェン42を掛け廻してベーラ形成体伝動機構43を形成している。つまり、ベーラ形成体伝動機構43は、伝動ケース70にベーラ形成部6の左右他側方(本実施形態では左側方)に配置して、ベーラ形成体32に連動連結している。
第4伝動軸75には刈取部側出力ギヤ140を取り付ける一方、送給通路形成体61の左側壁部114に左側方へ向けて突設した中間伝動軸141に刈取部側入力ギヤ142を取り付けて、刈取部側出力ギヤ140に刈取部側入力ギヤ142を噛合させている。中間伝動軸141と左側方へ伸延させた搬送コンベア15の駆動軸17との間に搬送コンベア伝動機構100を介設している。101は刈取主軸、102は主軸伝動機構、103はオーガ伝動機構、104は刈刃体作動軸、105は刈刃体伝動機構、106は掻込リール支軸、107はリール伝動機構である。
上記のように構成した自走式ロールベーラ1では、穀稈細断体31に連動連結した穀稈細断体伝動機構55をベーラ形成部6の右側方に配置する一方、ベーラ形成体32に連動連結したベーラ形成体伝動機構43をベーラ形成部6の左側方に配置して、エンジン9に連動連結した伝動ケース70に穀稈細断体伝動機構55とベーラ形成体伝動機構43を連動連結しているため、機体の左側部が偏って重量化するのを回避することができる。つまり、伝動ケース70から下流側の伝動機構を左右に振り分けたので、機体の重量を軽減することができる。
しかも、穀稈細断体伝動機構55はベーラ形成体伝動機構43と同様の負荷時の対応強度(特に、引っ張り強度)を保持させる必要性がなくなるので、穀稈細断体伝動機構55はそれなりに軽量化することができる。
さらには、伝動ケース70は、細断体63の直下方に位置する基台3上のデッドスペースを有効利用して配置することができる。すなわち、後上方に上り傾斜状に形成した送給通路62の下方に形成されるデッドスペースを伝動ケース配置空間Sとして有効利用することで、伝動ケース70を介してエンジン9に左右に振り分け配置した穀稈細断体伝動機構55とベーラ形成体伝動機構43を堅実に連動連結することができる。
また、伝動ケース70には変速切替機構80により穀稈細断体伝動機構55を介して穀稈細断体31を適宜変速することができる。すなわち、穀稈細断体31により細断する飼料作物の種類に応じて回転刃体50の回転速度を高速度段ないしは低速度段に変速することで、効率良く切断作業を行うことができて、ベール成形作業効率を高めることができる。
[細断体の他実施形態]
図12〜図14は他実施形態としての細断体63を示しており、この細断体63の圧送羽根670は、回転軸64の回転方向と回転軸64の軸線方向である右側方向への合力方向に圧送力が生起されるように圧送面671を湾曲させて形成して、一側方(本実施形態では右側方)に拡幅されたベーラ形成部6の全幅にわたって細断飼料作物を圧送するように構成している。
そして、圧送羽根670は、左右方向に伸延して回転軸64の左右幅と同一幅で支持片65の突出幅よりもやや広幅の帯状に形成して、回転軸64の外周面において左側部を回転側に配置して回転側に捩るとともに、回転軸64の外周面において右側部を反回転側に配置して反回転側に捩ることで、右側方向への合力方向に圧送力が生起されるように圧送面671に捩り面を形成している。
また、回転軸64の軸線方向に間隔をあけて配置した3個の支持片65は、左側の支持片65を中央の支持片65よりも回転側に配置するとともに、右側の支持片65を中央の支持片65よりも反回転側に配置して、回転軸64の軸線と斜めに交差状に配置している。このように配置した四列の支持片65の列の回転側に沿わせて圧送羽根670を配置するとともに、支持片65に圧送羽根670を連設して支持させている。
かかる自走式ロールベーラは、回転軸64の回転方向と回転軸64の軸線方向の合力方向に圧送力が生起されるように圧送面671を湾曲させて形成した圧送羽根670によって、一側方に拡幅されたベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって均等に拡散させて送給することができため、ベーラ形成部6において軸線方向に均一化された略円柱状のベールが形成されるようにすることができる。
[通路方向変更体の他実施形態]
図15及び図16は他実施形態としての通路方向変更体580を示しており、この通路方向変更体580は、横長四角形板状に形成した変更本体581を、前高後低の傾斜状に配置するとともに左側前端部と右側後端部を結ぶ対角線を左側面部582と右側面部583の仕切り線584として、左側面部582を左低後高の傾斜面となしている。585は変更本体581の前端縁部を上方へ折り返して形成した前端縁補強部、586は変更本体481の後端縁部を上方へ折り返して形成した後端縁補強部、587は左側面部582の左側縁部から立ち上げて直角三角形板状に形成した左側連結体、588は右側面部583の右側端縁部から立ち上げて前後方向に伸延する帯状に形成した右側連結体、589は左・右側連結体587,588の前部と後部に形成して、左・右側壁部114,115に通路方向変更体580を連結するための連結孔である。
このように構成して、細断体63により送給される細断飼料作物を、左低後高の傾斜面となした右側面部583により、一側方に拡幅されたベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって均等に拡散させて送給することができるようにしている。
[通路方向変更体のもう一つの他実施形態]
図17はもう一つの他実施形態としての通路方向変更体150を示しており、この通路方向変更体150は、傾斜姿勢を変更自在となしている。すなわち、通路方向変更体150は、通路方向変更体58と基本的構造を同様に構成しているが、前端縁部の左右側枢支ピン151,151を左右方向に水平に軸線を向けて配置して、左右側枢支ピン151,151を中心に後端縁部を上下に揺動位置調節自在となして、通路方向変更体150の傾斜姿勢を変更自在となしている点で構成が異なる。152は左右側枢支ピン151,151を中心とする円弧状の左側傾斜姿勢変更用長孔であり、左側傾斜姿勢変更用長孔152は左側壁部114に形成している。153は変更本体、154は変更本体153の左側縁部に沿わせて上方へ突設した左側連結片、155は左側連結片154の後端部から左側外方へ突出させた調節ピンであり、左側傾斜姿勢変更用長孔152に調節ピン155を挿通している。156は左右側枢支ピン151,151を中心とする円弧状の右側傾斜姿勢変更用長孔であり、右側傾斜姿勢変更用長孔156は左側壁部115に形成している。157は変更本体153の右側縁部に沿わせて上方へ突設した右側連結片、158は右側連結片157の後端部から右側外方へ突出させた調節ピンであり、右側傾斜姿勢変更用長孔156に調節ピン158を挿通している。159は変更本体153の右側前端縁部から垂設して右側枢支ピン151を支持する垂下片であり、垂下片159に支持された右側枢支ピン151と左側枢支ピン151を左右方向に水平な同一軸線上に配置している。
このように構成して、左右方向に水平な左右側枢支ピン151,151の同一軸線廻りに通路方向変更体150の後端縁部を上下方向に揺動位置調節して、左側壁部114に調節ピン155,158を締め付け固定することで、通路方向変更体150の傾斜姿勢を変更可能としている。そして、細断体63により送給される細断飼料作物の種類等に応じて通路方向変更体150の傾斜姿勢を適宜変更することで、細断体63により送給される細断飼料作物を、一側方(本実施形態では右側方)に拡幅されたベーラ形成部6の搬入口29の全幅にわたって均等に拡散させて送給することができる。
1 自走式ロールベーラ
2 走行部
3 基台
4 支持枠体
5 刈取部
6 ベーラ形成部
31 穀稈細断体
32 ベーラ形成体
43 ベーラ形成体伝動機構
55 細断体伝動機構

Claims (5)

  1. 飼料作物を刈り取る刈取部と、刈取部により刈り取った飼料作物を細断するとともに送給する送給部と、送給部により送給された細断飼料作物を略円柱状のベールとなすベーラ形成部とを具備する自走式ロールベーラにおいて、
    送給部には飼料作物を細断して圧送する細断体を配設するとともに、
    細断体は、軸線を細断飼料作物の送給方向と直交する方向に向けて横架した回転軸の外周面に、多数の細断刃を回転軸の半径方向に伸延させて突設し、細断刃の基部の回転側に回転軸の軸線方向に伸延する帯状の圧送羽根を設けたことを特徴とする自走式ロールベーラ。
  2. 回転軸の外周面に突設した支持片に、回転側とその反対側にそれぞれ切断面を形成した細断刃の基部を着脱自在に取り付けるとともに、帯状の圧送羽根を当接支持させたことを特徴とする請求項1記載の自走式ロールベーラ。
  3. 回転軸の軸線方向に隣接する支持片間に帯状の圧送羽根を横架したことを特徴とする請求項2記載の自走式ロールベーラ。
  4. 圧送羽根は、回転軸の回転方向と回転軸の軸線方向の合力方向に圧送力が生起されるように圧送面を湾曲させて形成して、一側方に拡幅されたベーラ形成部の全幅にわたって細断飼料作物を圧送するようにしたことを特徴とする請求項2又は3記載の自走式ロールベーラ。
  5. 回転軸の下方には複数の受刃を固定状態に配設して、各受刃と回転軸に突設した各切断刃の先端部とが協働して飼料作物を細断するようにしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の自走式ロールベーラ。
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