JP4761108B2 - シラン変性ポリアミック酸微粒子の製造法、ポリイミド−シリカ複合微粒子の製造法、当該複合微粒子および導電性微粒子 - Google Patents

シラン変性ポリアミック酸微粒子の製造法、ポリイミド−シリカ複合微粒子の製造法、当該複合微粒子および導電性微粒子 Download PDF

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Description

本発明は、シラン変性ポリアミック酸微粒子の製造法、ポリイミド-シリカ複合微粒子の製造法、当該複合微粒子および導電性微粒子に関する。
従来、電気電子機器に用いられるプリント配線基板の回路を形成するための材料や基板に搭載する実用部品(半導体チップなど)を接合するための材料、例えば、異方導電性フィルムに導電性微粒子が用いられている。導電性微粒子としては、従来カーボンブラックや金属粉などが知られており、特に高い導電率が求められる場合には金属粉が賞用されてきた。しかしながら、金属粉は比重が高く、また粒子形状が不安定であるため、樹脂への練りこみが難しく、樹脂中に沈殿しやすいという問題があった。
これらの問題を解決するために、樹脂粉末を芯材とし、金属で被覆した導電性微粒子が開発されている。当該導電性微粒子は、樹脂粉末表面が金属皮膜で覆われているため、導電率が高く、比重が小さい上に、粒子形状が均一であるため、樹脂への分散も容易である。しかしながら、通常、芯材に用いられる樹脂は耐熱性の低い樹脂(エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂など)であり、はんだリフローなどの高温処理工程で熱変形が生じる、金属皮膜が剥がれるなどの問題があるため、耐熱性や電気的性質が優れる樹脂を芯材に用いることが好ましいと考えられる。
ところで、ポリイミドは耐熱性や電気的性質が優れているため、耐熱性材料や絶縁性材料として、フィルム、コーティング剤、微粒子等の各種形態で、電子材料、液晶、接着剤、塗料などの分野で幅広く用いられている。しかしながら、電子材料分野など各分野における近年の発展に伴い、当該分野で用いるポリイミドに対して、より高水準の機械的強度、低熱膨張性、絶縁性などが要求されるようになってきている。また、ポリイミドは金属との密着性が劣るため、無電解メッキを行う場合、煩雑な前処理が必要であるという問題もある。
本出願人は、これらの課題を解決すべく、耐熱性、力学強度、絶縁性に優れたポリイミド−シリカハイブリッドの原料となるシラン変性ポリアミック酸を提案している。(特許文献1)
しかし、当該樹脂を微粒子とするには多くの困難があり、通常公知の方法では、粒子形状が一定の微粒子を得ることは困難であった。そのため、従来公知の方法により製造された、粒子形態、粒子径などが揃ったポリアミック酸微粒子を直接シラン変性する事ができれば、本課題は解決できるものと期待されたが、公知のシラン変性処理は、溶液状態で均一反応を行う必要があり、不均一な条件下、例えばフィルム状のポリアミック酸に対して直接シラン変性処理することは困難とされてきた。
特開2002−293933号公報
本発明は、粒子形態、粒子径等が制御されたシラン変性ポリアミック酸微粒子およびポリイミド−シリカ複合微粒子を提供すること、ならびに当該複合微粒子を、無電解メッキ処理することにより耐熱性、金属メッキ層と芯材微粒子との密着性に優れた導電性微粒子を簡易且つ効率よく提供することを目的とするものである。
本発明者らは前記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、ポリアミック酸を微粒子にして表面積を広げ、適当な条件下でアルコキシ基含有シラン部分縮合物と不均一状態で反応、複合化させることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ポリアミック酸微粒子(A)の表層にエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)が反応しているシラン変性ポリアミック酸微粒子;溶媒に分散させたポリアミック酸微粒子(A)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)の溶液とを不均一な状態で反応させることを特徴とするシラン変性ポリアミック酸微粒子の製造法;当該シラン変性ポリアミック酸微粒子をイミド閉環反応させることを特徴とするポリイミド−シリカ複合微粒子;当該ポリイミド−シリカ複合微粒子の表面に導電層を形成していることを特徴とする導電性微粒子に関する。
本発明によれば、容易にシリカハイブリッド微粒子を製造することができる。特に、粒子径、形態がそろったポリアミック酸微粒子を出発原料とすることにより、容易に粒子径、形態がそろったシラン変性ポリアミック酸微粒子、ポリイミド−シリカハイブリッド微粒子を得ることができる。また、本発明の微粒子は、粒子表層にシリカ成分が導入されるという特徴を持ち、少量のシリカ成分で効率よく表面が改質されている。当該微粒子は特段の前処理なく無電解メッキを施すことができ、金属メッキ層を有する導電性微粒子を容易且つ効率的に提供できる。また本発明の導電性微粒子は、耐熱性、耐剥離性(金属メッキ層と基材微粒子との密着性)などに優れるという特長を有するため、異方導電性フィルムなどの導電性接合材や、導電ペーストなどに用いられている導電性フィラーとして好適である。また、液晶表示板(LCD)用のスペーサや、各種の電極基板接合材・素子、例えばボールグリッドアレー(BGA)、フリップチップなどに好適に使用できる。
本発明のシラン変性ポリアミック酸微粒子を製造する際に用いられるポリアミック酸微粒子(A)(以下、(A)成分という)は、ポリアミック酸を微粒子としたものである。ポリアミック酸は、テトラカルボン酸とジアミンの反応物であるが、必要に応じて分子中に官能基が導入されていても良い。
(A)成分の製造に用いられるテトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,3’,4,4’−テトラカルボキシフェニル)テトラフルオロプロパン二無水物、2,2’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシフェニル)スルホン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物等の芳香族系テトラカルボン酸類、シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物等の脂肪族系テトラカルボン酸などを例示する事ができ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
また、本発明の効果を失わない範囲であれば、前記テトラカルボン酸類の一部をトリカルボン酸類やジカルボン酸類に置き換えて使用してもよい。トリカルボン酸類としては、例えば、トリメリット酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン酸、ナフタレン−1,2,4−トリカルボン酸などが挙げられ、また当該ジカルボン酸類としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ビメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸など脂肪族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物、イソフタル酸、テレフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸など芳香族ジカルボン酸類やそれらの酸無水物が挙げられる。但し、テトラカルボン酸類に対するこれらの使用割合が多すぎると、得られる硬化物の絶縁性や耐熱性が低下する傾向があるため、通常、その使用量はテトラカルボン酸に対し、30モル%以下であることが好ましい。
(A)成分の製造に用いられるジアミン類としては、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ジ(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ジ(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジ(3−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ジ(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1−(3−アミノフェニル)−1−(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−α,α−ジトリフルオロメチルベンジル)ベンゼン、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゾニトリル、2,6−ビス(3−アミノフェノキシ)ピリジン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,αージメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、4,4’−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ]ジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、6,6’−ビス(3−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン6,6’−ビス(4−アミノフェノキシ)3,3,3,’3,’−テトラメチル−1,1’−スピロビインダン等の芳香族系ジアミン類、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アミノブチル)テトラメチルジシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス(3−アミノブチル)ポリジメチルシロキサン、ビス(アミノメチル)エーテル、ビス(2−アミノエチル)エーテル、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、ビス(2−アミノメトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(2−アミノエトキシ)エチル]エーテル、ビス[2−(3−アミノプロトキシ)エチル]エーテル、1,2−ビス(アミノメトキシ)エタン、1,2−ビス(2−アミノエトキシ)エタン、1,2−ビス[2−(アミノメトキシ)エトキシ]エタン、1,2−ビス[2−(2−アミノエトキシ)エトキシ]エタン、エチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、ジエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、トリエチレングリコールビス(3−アミノプロピル)エーテル、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,2−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,3−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(2−アミノエチル)シクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロへキシル)メタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂肪族系ジアミン類などを例示でき、これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
(A)成分はこれらのテトラカルボン酸類とジアミン類を反応させて微粒子とすることにより得られる。(A)成分を製造する方法としては、特に限定されず、公知の方法を採用することができる。具体的には、例えば、沈殿重合法などが挙げられる。また、マイクロミキサーでテトラカルボン酸類とジアミン類を混合・反応させ、微粒子を析出させる方法、混合したモノマーを超音波照射しながら反応させ、微粒子を析出させる方法(特開平11−140181号公報参照)を用いても良い。なお、公知の方法により得られたポリアミック酸を溶液とし、それを当該ポリアミック酸の貧溶媒中に滴下して微粒子とする方法を採用しても良い。
以下、一例として、沈殿重合法による場合について説明する。
沈殿重合法により(A)成分を合成する場合、前記テトラカルボン酸類とジアミン類を、テトラカルボン酸類のモル数/ジアミン類のモル数=0.9〜1.1程度の範囲で仕込み、これらのモノマーを溶解し、かつ生成するポリアミック酸を溶解しない溶媒中で反応を行えば良い。通常は、テトラカルボン酸、ジアミン類を溶媒に溶解して溶液として反応させる。当該溶媒としては、生成するポリアミック酸が実質的に溶解しないものであれば、種類および使用量は特に限定されない。テトラカルボン酸類、ジアミン類を溶解するための溶媒は、通常、同一の溶媒を用いるが、相溶する溶媒であれば別々の溶媒を用いることもでき、例えば、ケトン系溶媒、塩素系溶媒、エーテル系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒、芳香族系溶媒等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、例えば、2−プロパノン、3−ペンタノン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)等が挙げられる。塩素系溶媒としては、ジクロロメタン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン、ジエチルエーテル等が挙げられる。エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチル等が挙げられる。ニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。アミド系溶媒としては、例えば、アセトアニリド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、芳香族系溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられ、これらの少なくとも1種を含む溶媒を使用できる。これらの中では、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒を用いることが好ましい。また、例えばポリマー微粒子を溶解するような溶媒であっても、複数の溶媒を混合してポリマー微粒子が析出するように調整すれば、このものも使用することができる。
これらの溶媒を(A)成分が1〜10%程度となるように用いて製造するのが好ましい。当該固形分が1%未満では、得られる微粒子の製造コストが高くなる傾向にある。一方、10%を超えると、微粒子同士が凝集、不定形化を起こす傾向がある。また、反応温度は、アミド酸基が残存する温度であれば特に限定されないが、−20〜60℃に調整するのが好ましい。−20℃未満の製造は不経済であるし、60℃を超えるとポリアミック酸中のアミド酸基がイミド基に閉環する割合が増え、エポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)との反応点が減少するため好ましくない。
本発明で使用されるエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)(以下、(B)成分という)は、1分子中に1つの水酸基を持つエポキシ化合物(a)(以下、(a)成分という)とアルコキシシラン部分縮合物(b)(以下、(b)成分という)との脱アルコール反応によって得られるものであり、例えば、特開2001−114894号公報記載の方法で合成することができる。
かかる(a)成分としては、1分子中に水酸基を1つもつエポキシ化合物であれば、エポキシ基の数は特に限定されない。また、(a)成分としては、分子量が小さいもの程、(b)成分に対する相溶性がよく、耐熱性や密着性付与効果が高いことから、炭素数が15以下のものが好適である。エポキシ化合物の具体例としては、エピクロロヒドリンと、水、2価アルコールまたは2つの水酸基を有するフェノール類とを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するモノグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとグリセリンやペンタエリスリトールなどの3価以上の多価アルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するポリグリシジルエーテル類;エピクロロヒドリンとアミノモノアルコールとを反応させて得られる分子末端に1つの水酸基を有するエポキシ化合物;分子中に1つの水酸基を有する脂環式炭化水素モノエポキシド(例えば、エポキシ化テトラヒドロベンジルアルコール)などが例示できる。
これらのエポキシ化合物の中でも、一般式(1):
Figure 0004761108
で表される化合物が耐熱性の面でより好ましい。式中、pの値が1〜10であるものが好ましい。pの値が10を超えると、最終的に得られるポリイミド−シリカ複合微粒子の耐熱性が低下する傾向にある。一般式(1)で示されるエポキシ化合物の具体例としては、日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」(一般式(1)においてp=1)や、(株)クラレ製、商品名「EOA」(一般式(1)においてp=6)などがあげられる。
(b)成分としては、一般式(2):R1 Si(OR2(4-m)
(式中、mは0または1の整数示し、R1は炭素数1〜8のアルキル基またはアリール基、R2は炭素数1〜4の低級アルキル基を示す。)で表される加水分解性アルコキシシランモノマーを、酸または塩基触媒、および水の存在下で加水分解し、部分的に縮合させて得られるものが用いられる。
(b)成分の構成原料である加水分解性アルコキシシランモノマーの具体的としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のテトラアルコキシシラン類、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン類などがあげられる。通常、これらのなかでも特に、(a)成分との反応性が高いことから、(b)成分としてはテトラメトキシシランまたはメチルトリメトキシシランを70モル%以上用いて合成されたものが好ましい。
なお、これら(b)成分としては、前記例示のものを特に制限なく使用できるが、これらのうちの2種以上を混合使用する場合には、(b)成分の総量中でテトラメトキシシラン部分縮合物またはメチルトリメトキシシラン部分縮合物を70モル%以上用いることが好ましい。
当該(b)成分の数平均分子量は230〜2000程度、1分子中のSiの平均個数は2〜11程度であることが好ましい。Siの平均個数が2未満であると、(a)成分との脱アルコール反応の際、反応せずにアルコールと一緒に系外に流出するアルコキシシラン類の量が増え、また11を超えると、当該(B)成分と(A)成分との反応性が低下し、目的とするシラン変性ポリアミック酸微粒子が得られにくくなる傾向がある。
(a)成分と(b)成分との使用割合は、(B)成分中にアルコキシ基が実質的に残存するような割合であれば特に制限されないが、通常は、(a)成分の水酸基の当量/(b)成分のアルコキシル基の当量=0.01/1〜0.5/1となる仕込み比率で、(b)成分と(a)成分を脱アルコール反応させることが好ましい。前記仕込み比率が少なくなるとエポキシ変性されていない(b)成分の割合が増加するため、前記仕込み比率は、0.03以上/1とするのがより好ましい。また、前記仕込み比率が大きくなると、(B)成分のエポキシ基が多官能化し、シラン変性ポリアミック酸微粒子の合成時にゲル化を起こしやすくなるため、前記仕込み比率は、0.4以下/1とするのがより好ましい。
(a)成分と(b)成分の反応は、例えば、前記各成分を仕込み、加熱して生成するアルコールを留去しながら、脱アルコール反応を行う。反応温度は50〜150℃程度、好ましくは70〜110℃であり、全反応時間は1〜15時間程度である。なお、脱アルコール反応を、110℃を超える温度で行うと、反応系中でアルコキシシランの縮合に伴って、反応生成物の分子量が上がりすぎ、高粘度化やゲル化する傾向がある。このような場合には、脱アルコール反応を反応途中で、停止させるなどの方法により高粘度化、ゲル化を防止できる。
また、前記(a)成分と(b)成分の脱アルコール反応に際しては、反応促進のために従来公知のアルコール交換触媒であって、エポキシ環を開環しないものを使用することができる。たとえば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、アルミニウム、チタン、コバルト、ゲルマニウム、錫、鉛、アンチモン、砒素、セリウム、硼素、カドミウム、マンガンのような金属や、これら酸化物、有機酸塩、ハロゲン化物、アルコキシド等があげられる。これらのなかでも、特に有機錫、有機酸錫が好ましく、具体的には、ジブチル錫ジラウレート、オクチル酸錫などが有効である。反応触媒は(a)成分100重量部に対し、0.01〜5重量部程度の割合で使用するのが好ましい。
また、前記反応は溶媒中で行うこともできる。溶媒としては、(a)成分および(b)成分を溶解し、且つ(a)成分のエポキシ基に対して不活性なものであれば特に限定されないが、(A)成分との反応において、懸濁液に混合しても凝集等の影響を及ぼさないものが好ましい。このような有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトンなどの溶媒を用いるのが好ましい。
シラン変性ポリアミック酸微粒子の製造は、(A)成分と(B)成分とを反応させることで行われる。不均一状態で反応させるため、反応させる(A)成分の単位重量当たりの表面積を一定以上にすることが必要であり、平均粒子径としては100μm以下とする必要がある。さらに、後述のように得られる導電性微粒子の用途を考慮して、好ましくは0.05μm〜100μm程度とされる。(A)成分と(B)成分の使用割合は、特に制限されないが、(A)成分中のカルボキシル基モル量に対する(B)成分中のエポキシ基モル量の比率が、((B)成分中のエポキシ基モル量/(A)成分中のカルボキシル基モル量)=0.01〜50.0、好ましくは0.1〜20.0の範囲とされる。前記数値が0.01未満であると反応が遅く、本発明の効果も得られにくくなり、また50.0を超えると反応時の濃度にもよるが系のゲル化を招きやすくなる。
かかるシラン変性ポリアミック酸微粒子の製造は、たとえば、前記各成分を仕込み、実質的に無水状態で加熱して反応を行う。当該反応は、(A)成分中のカルボン酸基と、前記(B)成分のエポキシ基の反応を主目的にしているため、反応温度は50〜120℃程度、好ましくは60〜100℃であり、全反応時間は1〜30時間程度であるのが好ましい。反応温度が高くなりすぎると、本反応中に(B)成分のアルコキシシリル部位のゾル−ゲル反応によるシリカの生成や、アミック酸基のイミド基への閉環反応が生じる可能性がある。
また、前記エポキシ基とカルボン酸基の反応に際しては、反応促進のためにエポキシ基とカルボン酸基とを反応させる際に使用される従来公知の触媒を使用することができる。1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールなどの三級アミン類;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、ベンズイミダゾールなどのイミダゾール類;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィンなどの有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボーレート、2−エチル−4−メチルイミダゾール・テトラフェニルボーレート、N−メチルモルホリン・テトラフェニルボーレートなどのテトラフェニルボロン塩などをあげることができる。反応触媒は(A)成分100重量部に対し、0.01〜5重量部程度の割合で使用するのが好ましい。
なお、前記反応は、(A)成分を溶媒に分散、懸濁させ、十分に攪拌しながら行うことが好ましい。使用される溶媒としては、(A)成分を実質的に溶解せず、(B)成分を溶解する溶媒であれば特に制限はない。このような溶媒としては、例えば、(A)成分を沈殿重合により製造する際に使用したものが例示できる。また、攪拌方法も粒子が十分に分散される方法ならは特に制限はないが、好ましくは超音波攪拌などのより攪拌力の強いものを用いる方が良い。
このようにポリアミック酸を実質的に溶解しない溶媒を使用しているため、反応は(A)成分の表面近傍で限定的に起こり、表層が選択的にシラン変性処理されたポリアミック酸微粒子が得られる。
こうして得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子は、その分子中に(B)成分に由来するアルコキシシリル基を有している。当該アルコキシシリル基の含有量は、特に限定はされず、用途等を考慮して設定すれば良く、(B)成分の使用比率、反応条件を変えることで調整される。また、得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子は、ろ過、遠心分離等の公知の方法で分離される。
(A)成分と(B)成分とを実質的に(A)成分を溶解しない溶媒中において、十分に分散させながら反応させているため、得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子においても原料の(A)成分の粒子状態(形状、平均粒子径、粒径分布等)が維持されている。従って、目的用途に適合した粒子状態の(A)成分を使用することにより、目的用途に使用する事ができる所望のシラン変性ポリアミック酸微粒子を得ることができる。
ポリイミド−シリカ複合微粒子の調製
前記のようにして得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子から所望のポリイミド−シリカ複合微粒子を得るには、シラン変性ポリアミック酸微粒子が有するアミック酸基を、熱的または化学的にイミド基へ脱水閉環させる必要がある。加熱条件下に当該イミド脱水閉環反応を行うには、シラン変性ポリアミック酸樹脂を100〜250℃程度で加熱すればよい。100℃未満の場合には、当該イミド脱水閉環反応の反応時間が長くなりすぎたり、反応が不完全となったりする。また、250℃を超える場合には当該反応に必要なエネルギーが大きくなるため不経済であり、ポリアミック酸の種類によってはポリイミド−シリカ複合微粒子が熱分解する恐れがあるため好ましくない。
また、加熱による当該イミド脱水閉環反応は、高温によるシラン変性ポリアミック酸微粒子間の熱融着を防ぐため、当該複合微粒子を溶解しない各種溶媒に分散させて行ってもよい。トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒は、当該複合微粒子を溶解することがなく、イミド脱水閉環反応によって副生する水を共沸除去できるため反応の進行が速くなり、特に好ましい。
前記の化学的イミド閉環反応は、公知各種の脱水剤および触媒の存在下に進行する。当該脱水剤としては、例えば無水酢酸等の脂肪族酸無水物、芳香族酸無水物などが挙げられる。また当該触媒としては、例えばトリエチルアミンなどの脂肪族第3級アミン類、ジメチルアニリン等の芳香族第3級アミン類、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の複素環式第3級アミン類などが挙げられる。無水酢酸とピリジンを用いる場合、ポリアミック酸1gに対して無水酢酸100mLとピリジン100mLとなるような仕込み組成が例として挙げられる。
当該イミド閉環反応が終了した時点では、(B)成分由来のゾル−ゲル硬化反応は完全に終了しており、ポリイミド−シリカ複合微粒子が収得できる。
シラン変性ポリアミック酸微粒子に対して、実質的に分散した状態のままイミド化処理(熱的、化学的)を行っており、得られたポリイミド−シリカ複合微粒子においてもシラン変性ポリアミック酸微粒子の粒子状態(形状、平均粒子径、粒径分布等)が維持されている。従って、目的用途に適合した粒子状態のシラン変性ポリアミック酸微粒子を使用することにより、目的用途に使用する事ができる所望のポリイミド−シリカ複合微粒子を得ることができる。
導電性微粒子の調製
本発明の導電性微粒子は、前記で得られたポリイミド−シリカ複合微粒子を用い、当該微粒子の表面に無電解金属メッキ処理を行うことにより収得できる。当該メッキ処理方法としては、従来公知の無電解メッキ方法が採用できる。具体的には、特開昭60−59070号公報、特開平1−242782号公報、特開2002−339077号公報等に記載の方法などを採用できる。本発明のポリイミド−シリカ複合微粒子は金属との密着性が優れるため、当該芯材微粒子と導電層との層間密着強度が高い。従って、従来行われているような前処理や接着層形成工程は不要であり、容易に優れた導電層を形成できるという特長がある。なお、無電解金属メッキ処理に先立ってなされる粗化剤による処理や湯洗処理を実施しても差し支えないことはもとよりである。また、無電解金属メッキ層の形成後、電気メッキによって金属層を厚膜化したり、異種の金属を積層することによって、導電性等の物性を改良することもできる。
以下、製造例、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、そのSEM写真から任意の微粒子を100個選び出し、その平均値をとることで求めた。
製造例1 (エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(B)の製造)
攪拌機、分水器、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、グリシドール(日本油脂(株)製、商品名「エピオールOH」)1400.0gおよびテトラメトキシシラン部分縮合物(多摩化学(株)製、商品名「メチルシリケート51」、Siの平均個数が4)8957.9gを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら、90℃に昇温した後、触媒としてジブチル錫ジラウレート2.0gを加え、反応させた。反応中、分水器を使って生成したメタノールを留去し、その量が約630gに達した時点で冷却した。昇温後冷却までに要した時間は5時間であった。ついで、13kPaで約10分間、系内に残存するメタノール約80gを減圧除去した。このようにして、エポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物(B)を得た。当該部分縮合物のエポキシ当量は275g/eqであった。
製造例2 (ポリアミック酸微粒子(A)の製造)
(a)成分として無水ピロメリット酸(関東化学(株)製)3.60gをアセトン200mLに溶解させ、そこに(b)成分としてジアミノジフェニルエーテル(東京化成(株)製)3.24gをアセトン200mLに溶解させた溶液を加え、即時に38kHzの超音波を照射しながら30℃、10分間反応させることにより、ポリアミック酸微粒子(A)を析出させた。得られた微粒子のSEM写真を撮影し、SEM写真から任意の100個の微粒子を選びだし、これらの粒径の平均値を算出し、さらに標準偏差と変動係数を算出した。当該ポリアミック酸微粒子の平均粒子径は0.37μmであった。(以後、平均粒子径、標準偏差、変動係数は同様の方法で決定した。)
製造例3 (ポリアミック酸微粒子(A)の製造)
製造例2において反応温度を15℃に変えた以外は同様にしてポリアミック酸微粒子(A)を得た。当該ポリアミック酸微粒子の平均粒子径は0.42μmであった。
実施例1 (シラン変性ポリアミック酸微粒子の製造)
還流管、温度計および窒素ガス導入管を備えた反応装置に、製造例2で得られた平均粒子径0.37μmのポリアミック酸微粒子1.00g、MEK130mL加えた。そのまま窒素気流下で超音波(38kHz)による分散処理を10分間行った後、そのまま70℃まで昇温した。ここに製造例1で得られたエポキシ基含有メトキシシラン部分縮合物6.15gをMEK30mLに溶解させて加え、内部温度が80℃になったら2−メチルイミダゾール(東京化成(株)製)0.18gをMEK20mLに溶解させて加えた。2−メチルイミダゾールを加えた後4時間、内部温度80℃で反応を行った。その後、冷却し、室温になってから遠心分離機を用いて固形分を分離し、MEKにより洗浄を行った。得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子のSEM観察を行い、原料と同じ粒子状態であることを確認した。平均粒子径は0.36μmであった。粒子状態を表1に示し、原料のポリアミック酸微粒子および得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子のSEM写真を、それぞれ図1、図2に示す。なお、仕込み時の(アルコキシシラン部分縮合物(B)のエポキシ基のモル量)/(ポリアミック酸微粒子(A)中のカルボキシル基のモル量)=4.5であった。
実施例2 (シラン変性ポリアミック酸微粒子の製造)
実施例1において、製造例3で得られた平均粒子径が0.42μmのポリアミック酸微粒子を用いた以外は同様にしてシラン変性ポリアミック酸微粒子を得た。平均粒径は0.42μmであった。また、結果を表1に示す。
実施例3および4 (ポリイミド−シリカ複合微粒子の製造)
実施例1,2で得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子を200℃、 減圧下(101kPa)で6時間反応を行い、熱によるイミド化を行った。また、得られたポリイミド−シリカ複合微粒子のSEM観察を行い原料と同じ粒子状態であることを確認した。平均粒子径はそれぞれ0.36μmと0.43μmであった。粒子状態を表2に示し、実施例3で得られたポリイミド−シリカ複合微粒子のSEM写真を、図3に示す。
製造例4
実施例3において、シラン変性ポリアミック酸微粒子に代えて、製造例2で得られたポリアミック酸微粒子をそのまま用いた他は同様にしてポリイミド微粒子を得た。
実施例5および6 (導電性微粒子の調製 無電解ニッケルメッキ処理)
実施例3および4で得られたポリイミド−シリカ複合微粒子を水中に分散し、当該分散液に塩化第一スズと塩酸の混合溶液(奥野製薬工業(株)製 センシタイザー)を添加し、室温で2分間、攪拌した後、濾過および水洗を行った。触媒化処理された各微粒子を再び分散させてから、塩化パラジウムと塩酸の混合溶液(奥野製薬工業(株)製 アクチベーター)を添加して、室温で4分間、攪拌した後、濾過および水洗を行った。触媒活性化処理された各微粒子を水酸化ナトリウムでpHを調製したメッキ浴(組成:硫酸ニッケル0.02mol/dm、コハク酸ナトリウム0.02mol/dm、次亜りん酸ナトリウム0.02mol/dm、DL−リンゴ酸0.06mol/dm)に加え、分散状態を保ちながら30℃で30分間、攪拌することにより、メッキ処理を行った。ろ過および水洗を行った後、減圧乾燥させることにより、ニッケルメッキされたポリイミド−シリカ複合微粒子(導電性微粒子)を得た。結果を表2に示す。実施例5で得られたニッケルメッキされたポリイミド−シリカ複合微粒子のSEM写真を、図4に示す。
比較例1
実施例5において、ポリイミド−シリカ複合微粒子に代えて、製造例4で得られたポリイミド微粒子をそのまま用いた他は同様にして無電解ニッケルメッキ処理を行った。結果を表2に示す。SEM観察から、ニッケルメッキが全く形成されていないことを確認した。ニッケルメッキ処理後の微粒子のSEM写真を図5に示す。
実施例7 (導電性微粒子の調製 無電解銅メッキ処理)
実施例3で得られたポリイミド−シリカ複合微粒子をメッキ浴(化学銅500A(商品名、奥野製薬工業(株)製)と化学銅500B(商品名、奥野製薬工業(株)製)とを同体積混合)に加え、分散状態を保ちながら25℃で1分間、攪拌することにより、メッキ処理を行った。ろ過および水洗を行った後、真空乾燥させることにより、銅メッキされたポリイミド−シリカ複合微粒子を得た。結果を表2に示す。
Figure 0004761108
Figure 0004761108
本発明により得られるシラン変性ポリアミック酸微粒子およびポリイミド−シリカ複合微粒子は、導電性微粒子などを製造するための素材として好適である。また、当該複合微粒子は特段の前処理なく無電解メッキを施すことができ、金属メッキ層を有する導電性微粒子を容易且つ効率的に提供できる。また本発明の導電性微粒子は、耐熱性、耐剥離性(金属メッキ層と基材微粒子との密着性)などに優れるという特長を有するため、異方導電性フィルムなどの導電性接合材や、導電ペーストなどに用いられている導電性フィラーとして好適であるほか、液晶表示板(LCD)用のスペーサや、各種の電極基板接合材・素子、例えばボールグリッドアレー(BGA)、フリップチップなどに好適に使用できる。
製造例2で得られた原料ポリアミック酸微粒子のSEM写真である。 実施例1で得られたシラン変性ポリアミック酸微粒子のSEM写真である。 実施例3で得られたポリイミド−シリカ複合微粒子のSEM写真である。 実施例5で得られたメッキ処理したポリイミド−シリカ複合微粒子のSEM写真である。 比較例1で得られたメッキ処理したポリイミド微粒子のSEM写真である。

Claims (11)

  1. ポリアミック酸微粒子(A)の表層にエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)が反応しているシラン変性ポリアミック酸微粒子。
  2. 平均粒子径が0.05〜100μmである請求項1に記載のシラン変性ポリアミック酸微粒子。
  3. 溶媒に分散させたポリアミック酸微粒子(A)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)の溶液とを不均一な状態で反応させることを特徴とする請求項1または2に記載のシラン変性ポリアミック酸微粒子の製造法。
  4. ポリアミック酸微粒子(A)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)との反応において、ポリアミック酸微粒子(A)中のカルボキシル基モル量に対するエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)中のエポキシ基モル量の比率が、0.1〜50.0である請求項1または2に記載のシラン変性ポリアミック酸微粒子の製造法。
  5. ポリアミック酸微粒子(A)が、無水テトラカルボン酸類溶液とジアミン類溶液とを混合、反応させ、反応溶液から析出させる手法により合成されていることを特徴とする請求項3または4に記載のシラン変性ポリアミック酸微粒子の製造法。
  6. ポリアミック酸微粒子(A)とエポキシ基含有アルコキシシラン部分縮合物(B)とを反応させる過程においても、ポリアミック酸微粒子(A)の粒子状態が維持されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載のシラン変性ポリアミック酸微粒子の製造法。
  7. 請求項1または2に記載のシラン変性ポリアミック酸微粒子をイミド閉環反応させることを特徴とするポリイミド−シリカ複合微粒子。
  8. 表層にシリカ成分が複合化されている請求項7に記載のポリイミド−シリカ複合微粒子。
  9. 平均粒子径が0.05〜100μmである請求項7または8に記載のポリイミド−シリカ複合微粒子。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載のポリイミド−シリカ複合微粒子の表面に導電層を形成していることを特徴とする導電性微粒子。
  11. 導電層が無電解メッキ法により形成されていることを特徴とする請求項10に記載の導電性微粒子。
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