JP4761096B2 - 硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体及びその塩の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体及びその塩の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体は、例えば硫化ヒドロキシ脂肪酸アルキルを、塩酸、硫酸の様な無機酸や酢酸の様な有機酸の存在下加熱し、加水分解することによって得ることが出来る。この加水分解の方法としては、例えばハロゲン化水素を酸触媒として、直接硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体を得る方法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記方法では思ったほど高い収率で硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体が得られないという欠点があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の実状に鑑み、鋭意検討したところ、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルを水酸化カリウムで鹸化後、酸で中和することで、従来よりも高収率で硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体を得ることが出来ることを見い出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルを水酸化カリウムで鹸化後、酸で中和する硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の製造方法を提供するものである。
【0005】
本発明の製造方法は、鹸化反応を行う第1工程と、第1工程で得られた鹸化物を中和する第2工程とを少なくともこの順に含む製造方法である。
【0006】
本発明における硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルとは、ヒドロキシ不飽和脂肪酸モノアルキル中に含まれる炭素炭素不飽和二重結合が開裂して、ヒドロキシ不飽和脂肪酸モノアルキル二分子が少なくとも1つの硫黄原子を介して結合した(炭素炭素不飽和二重結合を含まない)構造を有する有機化合物を言う。
【0007】
硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルは、公知慣用の方法で製造することが出来るが、例えば触媒存在下ヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキルに硫化水素及び/又は硫黄を反応させて得ることが出来る。
【0008】
この硫化により、ヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキルの個々が炭素炭素不飽和二重結合が開裂すると共に、その二分子が、各種の硫黄鎖長、例えば−S−,−SS−,−SSS−,−SSSS−,−SSSSS−,−SSSSSS−等(1〜6の硫黄原子)により架橋化され、炭素炭素不飽和二重結合を含まない、硫化されたヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルが得られる。
【0009】
硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルは、どの様な順序で反応を行って得ても良いが、予めヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキルを得て、それを硫化するのが好ましい。ヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキルを対応する二量体アルキルを得る際の原料として用いることの長所は、その化学構造上、水酸基とカルボキシル基との間で生起する重縮合が理論的に生起せず、硫黄架橋反応を選択的に生起させることが容易な点にある。
【0010】
ヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキルにおいて、炭素の鎖長は、長鎖であることが好ましく、炭素炭素不飽和二重結合の炭素を含めて、例えば12〜30、好ましくは14〜20である。このアルキル基の炭素の鎖長は、1〜4が好ましい。
【0011】
このようなヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキルとしては、例えば、12−ヒドロキシオレイン酸(リシノール酸)メチル、13−ヒドロキシオレイン酸メチル、15−ヒドロキシオレイン酸メチルの様なモノヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキルや、9,10−ジヒドロキシオレイン酸メチル、9,10−ジヒドロキシリノール酸メチル、12,13−ジヒドロキシオレイン酸メチル、15,16−ジヒドロキシリノール酸メチル、9,10−ジヒドロキシパルミトレイン酸メチルの様なジヒドロキシ不飽和脂肪酸メチル等が挙げられる。アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基等が挙げられるが、反応性の観点でメチル基が好ましい。これら化合物は、1種の単独使用または2種以上の併用のいずれでも良い。
【0012】
硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルは、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体やその塩とした際の硫黄含有率を考慮して選択する。本発明で用いる硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体またはその塩の硫黄含有量は、例えば8〜15重量(質量)%であり。優れた極圧性能と低腐食性とを兼備する点で9〜11重量(質量)%が好ましい。
【0013】
硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の塩に、水溶性や水分散性が必要な場合には、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の酸価を考慮して選択する。この様な場合は、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の硫黄含有量を9〜11重量(質量)%とするだけでなく、酸価が100〜200mgKOH/gであることが、優れた潤滑性能が得られ、かつ界面活性剤を用いずとも、塩基による中和だけで安定した水溶性を兼備できる点から好ましく、これらを兼備する様に、原料の二量体ジアルキルを選択するのが好ましい。極圧添加剤としての性能及び経済性等を考慮すると、最も好ましいのは、12−ヒドロキシオレイン酸(リシノール酸)メチルである。
【0014】
本発明において、ヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキル及び硫化水素は通常市販されているものを使用することが出来る。硫黄は固形状または溶融硫黄のいずれを使用してもよい。
【0015】
本発明の製造方法にて用いる触媒は、通常は塩基性触媒である。塩基性触媒はアミンが適当であり、反応性の良い、例えばアルキルアミン、アリールアミン、ポリアミン、アルカノールアミンを用いる。
【0016】
硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルは、ヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキル、硫黄、触媒に硫化水素ガスを吹き込む方法や、ヒドロキシ不飽和脂肪酸、硫黄、液化硫化水素、触媒を一時に仕込み反応させる方法のいずれでもよいが、比較的低圧下での反応が可能な、前者の方法が好ましい。
【0017】
原料仕込比率〔重量(質量)換算〕は、必要とされる最終生成物の硫黄の含有率等により自由に変えられるが、硫黄含有量9〜11重量(質量)%で、通常、ヒドロキシ不飽和脂肪酸アルキル1モル当たり、硫黄0.5〜0.7モル、硫化水素ガス0.4〜0.5モル、触媒0.01〜0.1モルの範囲から選択される。
【0018】
上記の前者の方法が、硫黄含有率等を含めて、反応を制御するのがより容易であり、得られる生成物は、着色がより少なく、しかも臭気もより少ないものとなるので好ましい。反応温度は100℃を越えて150℃かつ反応時間1〜20時間の範囲で選択するのが好ましい。比較的低圧かつ比較的低温にて反応が行える点で、単位生産量当たりエネルギー消費がより少なく出来、しかも一般的な耐圧性を有する反応器で反応できる点でも好ましい。
【0019】
反応の圧力条件は、特に制限されず、例えば98〜2940kPa(1〜30kg/cm2)から選択すれば良いが、硫化水素ガスを吹き込む前者の方法では、196〜980kPa(2〜10kg/cm2)にて反応を行うことができるので、安全性の面からより好ましい。
【0020】
硫化反応の終点は、硫黄の析出が無くなることにより定めることが出来る。硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルを合成により得る場合には、質量スペクトル(FD−MS)、核磁気共鳴スペクトル(プロトンNMR、炭素13NMR)、ゲルパーミーエションクロマトグラフィ(GPC)及び元素分析等の二種以上を組合せることにより、目的物の化学構造や架橋に関与した硫黄鎖長等の同定が可能である。
【0021】
こうして得られた硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルは、水酸化カリウムで鹸化を行い、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体カリウム塩となす。水酸化カリウムの使用量は、通常、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキル1モル当たり、0.8〜1.2モルとすることが出来る。
【0022】
この鹸化は公知慣用の溶媒と水酸化カリウムとを用いて行うことが出来る。この鹸化は溶媒と水酸化カリウム中で、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルを溶媒中で加熱してやれば良いが、温度70〜120℃で、反応系内を1〜10時間還流させる様にして行うのが好ましい。
【0023】
この際の溶媒としては、水の他、各種有機溶媒が使用できるが、例えばメタノール、エタノール、iso−プロパノール等のモノアルコール、中でもエタノールを用いるのが好ましい。
【0024】
鹸化反応の終点は、不鹸化物、即ち本発明においては硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキル、が検出されなくなる点である。この点は種種の方法で定めることが出来るが、例えば赤外線吸収スペクトル(IR)等を用いてエステル結合由来のピーク強度を基に終点を決定してもよい。
【0025】
次いで、鹸化物たる硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体カリウム塩は、酸により少なくとも中和することにより、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体とする。中和の前に溶媒を留去しておくのが、作業上好ましい。
【0026】
この中和は公知慣用の酸とを用いて行うことが出来る。この中和は、例えば硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体カリウム塩に、前記カリウム塩からなる基をカルボキシル基に変換できる量の酸と、充分に攪拌混合してやれば良い。酸の使用量は、通常、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体カリウム塩1モル当たり、0.8〜1.2モルとすることが出来る。中和程度を容易に微調整でき、穏和に中和を行うには、酸水溶液を用いる様にするのが好ましい。前記カリウム塩と酸との温度は、いずれも通常0℃を越えて40℃として、著しい発熱が生じない様に徐徐に混合するか、あるいは外部冷媒により冷却しながら行うのが好ましい。
【0027】
この際の酸としては、例えば塩酸(塩化水素水溶液)、硫酸等の無機酸、酢酸等の有機酸が使用できる。水としては、例えば水道水、工業用水、イオン交換水、蒸留水、超純水等が使用できる。
【0028】
中和時の酸として最適なものは、塩化水素である。
【0029】
本発明の製造方法で得られる硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体は、前記同定手法に加えて、前記IRや酸価等の測定手法により、同定することが出来る。本発明の製造方法で得られる硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体そのままで極圧添加剤として使用できるが、先の鹸化時に用いたのと異なる塩基にて、二量体中のカルボキシル基を中和することで、塩(えん)とすることにより、水との親和性を向上させることが出来る。
【0030】
硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体は、例えば、イオン解離した、この塩の状態が、安定した水溶性に大きく寄与する。この結果、従来は、安定な溶解性や分散性を与えるのに必要であった界面活性剤を使用しないか、使用したとしても極少量で済むので、界面活性剤を用いた場合における性能上の欠点が大幅に改善できる。
【0031】
尚、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体は、塩となすことで、水溶性ではなく水分散性とすることも可能ではあるが、水溶性であるほうが安定性は優る。
【0032】
上記二量体を塩となすための塩基としては、アルカノールアミンである。先の鹸化時に用いた水酸化カリウムと異なる塩基であるアルカノールアミンを用いることで、精製の効果が期待できる。
【0033】
前記アルカノールアミンとしては、モノ、ジ、またはトリ型のエタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、オクタノールアミン等各種が使用出来る。これらは1種のみの使用でも2種以上の併用も出来る。塩基としては、とりわけモノ、ジ、またはトリ型のエタノールアミンが好ましい。
【0034】
硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の塩は、前記アルカノールアミンと混合することにより当該塩に変換出来るが、当量比で塩基を1〜3と多くした方が水溶性と消泡性が良好になる。カルボキシル基の中和に要するより少ない量が加えられた場合、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体は遊離の状態で本発明の前記二量体に一部含まれることになる。一方、カルボキシル基の中和に要するより多くの量が加えられた場合、塩基は遊離の状態で本発明の前記二量体に一部含まれることになる。こうして得られた前記二量体の塩は、塩にする前の二量体と同様に極圧添加剤として使用することが出来る。
【0035】
本発明の製造方法で得られる硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体や同二量体の塩から切削液や研削液を製造するには、公知の油剤、防錆剤、殺菌剤、消泡剤を併用してもよい。本発明で得られた硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体や同二量体の塩は、公知慣用の水溶性切削油剤や水溶性研削油剤に添加して用いてもよい。
【0036】
本発明の製造方法で得られる硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体や同二量体の塩には、例えば、硫化リシノール酸縮合物、そのアルカリ金属塩、そのアルカノールアミン塩や、リシノール酸の縮合物のアルカリ金属塩またはアルカノールアミン塩の様なヒドロキシ不飽和長鎖脂肪酸の縮合物の塩を併用することが出来る。
【0037】
本発明の硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の塩からは、それと水とを含んでなる切削液や研削液を得ることが出来る。
【0038】
かかる発明において、本発明で得られる硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の塩の有効な配合比率〔重量(質量)換算〕は、使用目的、状況により適宜選択されるが、実際の金属加工時に適用する水溶液(切削液または研削液)中の1〜50重量(質量)%、好ましくは1から10重量(質量)%である。
【0039】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0040】
実施例1
予め予備実験にて、還流条件を振って、硫化リシノール酸メチルを、等モル量相当の水酸化カリウム56.1gを含有したエタノール453.5g中で反応を行い、反応の終点(還流時間)を定めた。前記硫化リシノール酸メチルに代えて、リシノール酸メチルに硫黄と硫化水素とをアミン触媒の存在下で反応させて得た硫化リシノール酸メチル(MSでの同定による硫黄鎖長は4.5)を用い、それの553gと、水酸化カリウム56.1gを含有したエタノール453.5gを混合し、80℃にて6時間還流し、硫化リシノール酸二量体カリウムを含む反応混合物を得た。
【0041】
次いで、この反応混合物からエタノールを蒸留留去後、それに、アルカリ金属塩と等モル量相当の塩化水素を含む塩酸(濃度35質量%)を攪拌下で加え中和した。ここでの生成物は、IRによりカルボキシル基(1600〜1700cm−1)の存在が確認され、理論酸価値(約145)と実測酸価値との対比、GPCとMSでのピークにより硫化リシノール酸二量体であることが確認された。原料からの収率は96.8%であった。これらの結果を表1にまとめた。
【0042】
実施例2及び参考例1
鹸化反応に用いたアルカリ金属水酸化物とモノアルコール、中和に用いた無機酸を当量が一致する様に使用量を代えた以外は、実施例1と同様の操作を行った。これらの結果を表1にまとめた。
【0043】
【表1】
【0044】
比較例1
実施例1で用いたのと同じ硫化リシノール酸メチル553gに、等モル量相当の硫酸(濃度98質量%)77gを加え、80℃で6時間反応させた(酸加水分解)。この反応混合物は、遠心分離器にかけて二層分離後に、有機層を水洗し、水を蒸留留去することで、生成物を得た。
実施例1と同様にして同定は行ったところ、二量体の存在は確認されたが、加水分解反応が容易には起こらなかった結果、原料が多量に残存しており、原料からの収率は43.7%であった。
尚、硫酸に代えて、塩酸と酢酸を原料と当量となる様に用いて同様の操作を行ったが、この比較例より二量体の収率はさらに低かった。
【0045】
実施例3
実施例1で得た硫化リシノール酸二量体1当量にトリエタノールアミン1.2当量を混合してアミン塩(硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の塩)とし、これを1%〜10%質量水溶液に調整して、研削切削液とした。
【0046】
各種濃度の研削切削液は、耐荷重性能(融着荷重、平均ヘルツ荷重)、耐磨耗性能(磨耗痕経)、潤滑性能(摩擦係数)などの性能、水溶解性、消泡性、金属腐食性を、以下の評価方法により測定することが出来る。
【0047】
耐荷重性能は、高速4球EP試験機を用い、ASTM D2783に基ずき、室温、1770rpm、10秒条件で融着荷重、および平均ヘルツ荷重を測定した。
【0048】
耐磨耗性能は、高速4球WEAR試験機を用い、ASTM D4172に基ずき、75℃、1200rpm、40Kg、60分条件で磨耗痕径を測定した。
【0049】
潤滑性能は、曽田式振り子摩擦試験機を用い、室温、0.5ラジアン条件で動摩擦係数を測定した。
【0050】
水溶解性は、アミン塩試料を10質量%水に溶解し、透明性を5段階で判定した。判定基準は◎は完全透明、○は透明、△はかすかに濁り、×は濁り、××は二層分離とした。
【0051】
消泡性は、アミン塩試料の1%質量水溶液200mlを500mlメスシリンダーにとり、30秒間振り混ぜ、60分後の残留泡量(ml)を測定した。
【0052】
金属腐食性は、アミン塩試料の1質量%水溶液100mlに鉄片を1ケ月半漬し、錆の発生程度を3段階で判定した。判定基準は、○は全く錆びなし、△は数点錆が発生、×は数十点のさびが発生とした。
【0053】
本発明の製造方法で得られた実施例4の硫化リシノール酸二量体の塩から得られる研削液や切削液は、上記評価方法で、いすれも優れた評価結果を示した。
【0054】
比較例2
比較例1で得た生成物の酸価の1当量にトリエタノールアミン1.2当量を混合してアミン塩とした。元々比較例1の生成物は、硫化リシノール酸二量体の収率が低いため、対応する塩の収率もやはり低いものであった。
次いで、これを1質量%〜10質量%水溶液に調整して、研削切削液とした。この研削切削液は、実施例4のそれよりも著しく劣ったものであった。
【0055】
【発明の効果】
本発明では、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルを水酸化カリウムで鹸化後、酸で中和して硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体を得るので、硫化ヒドロキシ脂肪酸アルキルを酸の存在下加熱し加水分解する従来の製造方法に比べて、未反応原料の残存を低減できる結果、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体をより高収率で製造することが出来るという格別顕著な効果を奏する。同様に、硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体を高収率で製造できる結果、対応する塩も高収率で製造できるという効果を奏する。こうして硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体またはその塩は、極圧添加剤として有用であり、切削液や研削液の調製に有用である。
Claims (4)
- 硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体アルキルを水酸化カリウムで鹸化後、酸で中和する硫化ヒドロキシ脂肪酸二量体の製造方法。
- 鹸化の溶媒としてモノアルコールを用い、それの還流下に鹸化を行う請求項1記載の製造方法。
- 前記酸が塩化水素である請求項1または2記載の製造方法。
- 請求項1に記載の方法で硫化リシノール酸二量体を製造し、当該硫化リシノール酸二量体をアルカノールアミンにて塩とする硫化リシノール酸二量体の塩の製造方法。
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