JP4760087B2 - セラミックス基板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、高周波無線用セラミックス多層基板などの回路材料に用いられるセラミックス基板の製造方法に関する。
携帯電話をはじめとする無線通信技術の普及が著しい。従来の携帯電話は800MHz〜1.5GHzの準マイクロ波帯を用いたものであったが、情報量の増大に伴い、搬送周波数をより高周波であるマイクロ波帯からミリ波帯とした無線技術が提案され、実現される状況にある。こうした高周波無線回路は、移動体通信やネットワーク機器としての応用が期待されており、中でもブルートゥース (Bluetooth)(登録商標)やITS(Intelligent Transport System、高度交通情報システム)での利用によってますます重要な技術となりつつある。
これらの高周波回路を実現するためには、高周波回路に使用される基板材料も、1〜100GHzの使用波長帯で優れた高周波伝送特性をもつ必要がある。優れた高周波伝送特性を実現するためには、低誘電率でかつ誘電損失が低いこと、加工精度が高いこと、寸法安定性がよいといった要件が必要であり、なかでもセラミックス基板が有望視されてきた。
しかしながら、これまでのセラミックス基板材料は、寸法安定性に優れているものの、微細加工度が低かったため、特に高周波領域において十分な特性を得ることができなかった。このような微細加工精度の問題を改良する方法として、感光性セラミックス組成物から形成した感光性セラミックスグリーンシートを用いた、フォトリソグラフィー技術によるビアホール形成方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、感光性セラミックスグリーンシートの加工方法を拡げる方法として、両面露光による高アスペクト比を有するビアホール形成方法などが提案されている(特許文献2参照)。
一方、インクジェットプリントヘッドやフォトリソグラフィー法を用いた鋳型の製造方法において、複雑な形状の加工、特にハーフエッチと呼ばれる方法で、基板を完全に抜くことなく基板の厚み方向において途中までエッチングすることによる凹凸部形成といった加工方法が知られている(特許文献3、4参照)。
しかしながら、上記の加工方法をセラミックスグリーンシートに適用するには、セラミックスグリーンシートのエッチング液に対する耐溶剤性が低いために、セラミックスグリーンシートの溶解の問題が生じ、ハーフエッチ構造を有するセラミックスグリーンシートを製造することができなかった。また、感光性セラミックスグリーンシートに適用した場合も、現像液に対する耐性が低いためにセラミックスグリーンシートの溶解の問題のために、ハーフエッチ構造を得ることが困難であった。
したがって、これまではハーフエッチ構造を有するセラミックスを得るためには、図2に示したように、貫通したビア22や、キャビティ23を有するグリーンシート21を作製した後、別のグリーンシート24と積層・焼成する事により疑似ハーフエッチ構造を有するグリーンシート積層体25を作製した後、焼成を行うことで、ハーフエッチ構造を有するセラミックス積層基板として得る方法が一般的であった。
特許第3360378号明細書(請求項1) 特開平10−265270号公報(段落0055) 特開昭61−253142号公報(請求項1) 特開平11−286115号公報(請求項1)
本発明は、従来にある、複数のグリーンシートを積層することで擬似ハーフエッチ構造を作製することなく、感光性セラミックスグリーンシートを用いた、1枚のシート内に3次元のパターンを有するハーフエッチ構造などの複雑な形状を有するセラミックス基板の製造方法の提供することを目的とする。
すなわち本発明は、セラミックス基板の製造方法であって、無機粉末と感光性有機成分を含む感光性セラミックスグリーンシートに、(1)活性光線をパターン状に照射する工程、(2)前記活性光線を照射する面とは異なる面から、感光性セラミックスグリーンシートの厚さ方向において完全に硬化させない熱処理を施す工程を有し、(1)工程、(2)工程のうち、どちらか一方の工程を行った後、他方の工程を行い、その後、(3)感光性セラミックスグリーンシートを現像する工程、を少なくとも有することを特徴とするセラミックス基板の製造方法である。
また本発明の別の態様は、セラミックス基板の製造方法であって、無機粉末と感光性有機成分を含む感光性セラミックスグリーンシートに、(1)活性光線をパターン状に照射する工程、(2’)前記、活性光線を照射する面とは異なる面に、前記活性光線照射量より小さい照射量の活性光線を前記パターンとは異なるパターン状もしくは全面に照射する工程を有し、(1)工程、(2’)工程のうち、どちらか一方の工程を行った後、他方の工程を行い、その後、(3)感光性セラミックスグリーンシートを現像する工程、を少なくとも有することを特徴とするセラミックス基板の製造方法である。
本発明の製造方法によれば、感光性グリーンシートを用いて、1枚のシート内に3次元のパターンを有するハーフエッチ構造などの複雑な形状を有するセラミックス基板を、複雑な工程を用いることなくより簡便に得ることができる。
本発明のセラミックス基板の製造方法において、第一の態様は、無機粉末と感光性有機成分を含む感光性セラミックスグリーンシートに、(1)活性光線をパターン状に照射する工程、(2)前記活性光線を照射する面とは異なる面から、感光性セラミックスグリーンシートの厚さ方向において完全に硬化させない熱処理を施す工程を有し、(1)工程、(2)工程のうち、どちらか一方の工程を行った後、他方の工程を行い、その後、(3)感光性セラミックスグリーンシートを現像する工程、を少なくとも有する。以下に、この製造方法について詳細に説明する。
本発明で用いる感光性セラミックスグリーンシートは、無機粉末と感光性有機成分を有する感光性セラミックス組成物をドクターブレード法、押し出し成形法、スリットダイ、スクリーン印刷法などの一般的な方法で、必要に応じて各種コーテイング処理などの施されたポリエステルやポリフェニレンスルフィド(PPS)などのプラスチックフィルム、ガラス、ガラスセラミックス、アルミ、スチールなどの支持体上に成形し、溶媒を乾燥除去することにより得られる。また、支持体と感光性セラミックス組成物からなる部材を支持体付き感光性セラミックスグリーンシートと称する。
本発明のセラミックス基板の製造方法は、上述したように、(1)活性光線をパターン状に照射する工程、(2)前記活性光線を照射する面とは異なる面から、感光性セラミックスグリーンシートの厚さ方向において完全に硬化させない熱処理を施す工程を有し、(1)工程、(2)工程のうち、どちらか一方の工程を行った後、他方の工程を行う。本発明においては(1)工程、(2)工程の順番は問わず、活性光線のパターン状照射した後、熱処理を行ってもよいし、また、熱処理の後に、活性光線のパターン状照射を行ってもよい。
上述にある厚さ方向において完全に硬化させない熱処理を行うことにより、感光性セラミックスグリーンシートの熱処理面の現像液に対する溶解性が低下する。この結果、感光性セラミックスグリーンシートの厚さ方向での、現像液に対する溶解性に差が生まれ、活性光線のパターン状照射との組み合わせで、ハーフエッチ構造が形成できるようになる。
本発明では、(1)工程である活性光線のパターン状照射により感光性セラミックスグリーンシートの面内において、照射部と非照射部でそれぞれ現像液に対する溶解性に差を生じさせ、一方で、(2)工程である厚さ方向において完全に硬化させない熱処理により、感光性セラミックスグリーンシートの厚さ方向での現像液に対する溶解性に差を生じさせる。それぞれの工程は独立の異なった作用をもたらすため、(1)工程、(2)工程の順番を問わず、ハーフエッチ構造を得ることができる。
本発明のセラミックスグリーンシート製造方法の一例について、具体的に説明するが、(1)活性光線の照射を先に行う方法を例に説明する。活性光線の照射方法としては、支持体付き感光性セラミックスグリーンシートに対して、ビアホールやキャビティなどのパターンを有するフォトマスクを通して活性光線を照射する方法や、レーザー光を用いて支持体付きシートにパターンを直描する方法が挙げられる。ここで照射する活性光線の種類としては、赤外線、近赤外線、可視光線、紫外線、X線などが挙げられるが、これらの中でも、紫外線が好ましく用いられる。紫外線に用いる光源は、超高圧水銀灯が特に好ましいが、必ずしもこれに限定されるものではない。露光量は感光性セラミックスグリーンシートの厚みや材料の感度によって異なるが、1〜100mW/cmの出力の超高圧水銀灯であれば1秒〜30分間、好ましくは3秒〜5分間、さらに好ましくは3秒〜60秒間露光を行うことが好ましい。露光時間が1秒を下回ると、感光性セラミックス組成物の反応が十分に起こらず、結果として硬化不良や溶解不良などの問題を生じやすく、また、工程管理も不安定になるので好ましくない。一方、露光時間が30分間を越えると、感光性セラミックス組成物の反応が進行しすぎて、パターン形成に問題を生じたり、工程が長くなり生産効率の上で好ましくない。
この活性光線のパターン状照射によって、ネガ型の感光性セラミックス組成物であれば露光部分の後述の現像液に対する溶解性が低下し、一方、ポジ型の感光性セラミックス組成物であれば現像液に対する露光部分の溶解性が向上するが、本発明においては、ネガ型の感光性セラミックス組成物を用いることが好ましい。
次に前記活性光線を照射した面とは異なる面から、感光性セラミックスグリーンシートの厚さ方向において完全に硬化させない熱処理を施す工程を有する。この厚さ方向において完全に硬化させない熱処理を行うことにより、感光性セラミックスグリーンシートの熱処理面の現像液に対する溶解性が、熱処理を行っていない面と比較して低下する。熱処理を行っていない面においては、パターン状照射によって照射部と非照射部の溶解性に差が生じているので、この二つの工程によって、現像時にハーフエッチ構造が形成できる。
熱処理を施す方法としては、ホットプレート上での静置、加熱ロールへの接触、オーブン中での放置、熱風ドライヤー処理、オイルなど熱媒体液体のシャワー等の方法が挙げられる。温度および時間、さらには加熱箇所のコントロールという観点からホットプレート上での静置、加熱ロールへの接触などが好ましい。
熱処理の条件は、感光性セラミックスグリーンシートの種類や厚さ、支持体の有無、支持体の種類、熱処理方法などにより異なり、適宜、適正な条件を選択することができる。一般的には、熱処理温度は、40℃〜150℃が好ましく、さらに好ましくは60℃〜120℃である。熱処理温度が40℃を下回ると、熱処理による硬化が不十分となり、ハーフエッチ構造の残存すべき部分が除去されてしまう場合があったり、さらに工程での温度管理が難しく熱処理が不安定になる。一方、150℃を上回ると、熱処理による硬化が進行しすぎ、厚さ方向において硬化が完全に進行してしまい、ハーフエッチ構造の除去すべき部分が残存したりする場合がある。また、感光性セラミックスグリーンシートの居所的な熱膨張による位置精度の狂いが生じる可能性が高い。熱処理時間は、5秒から60分、さらに好ましくは1分から30分である。熱処理時間が5秒より短いと、熱処理による硬化が不十分となり、ハーフエッチ構造の残存部分が除去されてしまう場合があったり、さらに工程での時間管理が難しく熱処理が不安定になる場合がある。一方、60分を上回ると、熱処理による硬化が進行しすぎ、厚さ方向において硬化が完全に進行してしまい、ハーフエッチ構造の除去すべき部分が残存したりする場合がある。
次に、(3)の工程である、活性光線のパターン状照射と熱処理を施した感光性セラミックスグリーンシートの現像を行う。現像処理を行うことで、1枚の感光性セラミックスグリーンシート内に3次元のパターンを有するハーフエッチ構造を持つ感光性セラミックスグリーンシートを得ることができる。
本発明で用いる現像方法としては、浸積法、スプレー法、現像液を浸した布で感光性セラミックスグリーンシートを擦るような簡易現像法、ブラシの物理的な作用を利用するブラシ現像法など種々の方法が挙げられるが、浸漬法、スプレー法が好ましく用いられる。また、これらの方法に、超音波を併用して現像時間の短縮や現像ムラの減少化を図る方法も好ましい。
感光性セラミックスグリーンシートの現像液としては、感光性セラミックス組成物の活性光線照射部と非照射部に対して、異なった溶解性・膨潤性・親和性を有するものであれば、いずれも使用可能であるが、本発明においては、アルカリ水溶液が好ましい。アルカリ水溶液としては、ナトリウムやカリウムなどの金属アルカリ水溶液、有機アルカリ水溶液が使用できる。金属アルカリ水溶液としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンなどのアルカリ金属、アルカリ土類金属イオンを含んでいる化合物を用いることができる。具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸リチウムなどが挙げられる。有機アルカリ水溶液としては、一般的なアミン化合物を用いることができる。具体的にはメチルアミン、n−プロピルアミン、t−ブチルアミン、モノエタノールアミン、TMAH(テトラメチルハイドロオキサイド)などが挙げられる。また、アルカリ水溶液の濃度は0.01〜10重量%、好ましくは1〜5重量%、より好ましくは0.5〜1.5重量%である。アルカリ濃度が0.01重量%を下回ると可溶部分が完全に除去されないため好ましくなく、一方、10重量%を上回ると硬化部分への侵食やパターンの剥離が起こるため好ましくない。また現像液の温度は、工程管理上20〜50℃が好ましい。
このような製造方法によりハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得ることができる。以下にハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートについて、図面を参照して詳細に説明する。図1の感光性グリーンシート11は、それぞれ感光性セラミックスグリーンシート1枚から構成されるハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートであり、図1の符号12は、本発明の製造方法により得られるハーフエッチ部である。ハーフエッチ部の形状としては、ビア状、ストライプ状、格子状など様々な形状が形成可能であり、また、その深さも活性光線の露光量、現像処理条件、熱処理条件で調整可能である。
また、図3は、より複雑なハーフエッチ部12を有する感光性セラミックスグリーンシート11の例である。活性光線をパターン状に照射する工程を二回以上行うことなどにより、このような構造を形成することが可能である。
ハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートは、その後、焼成を行うことでハーフエッチ構造を有するセラミックス基板となる。
本発明のセラミックス基板の製造方法において、第二の態様は、感光性セラミックスグリーンシートに、(1)活性光線をパターン状に照射する工程、(2’)前記、活性光線を照射する面とは異なる面に、前記活性光線照射量より小さい照射量の活性光線をパターン状もしくは全面に照射する工程を有し、(1)工程、(2’)工程のうち、どちらか一方の工程を行った後、他方の工程を行い、次いで、(3)感光性セラミックスグリーンシートを現像する工程、を少なくとも有する。
本発明の第二の態様は、前述の第一の態様と同様に、支持体付き感光性セラミックスグリーンシートに、(1)活性光線をパターン状に照射する工程、(2’)前記、活性光線を照射する面とは異なる面に、前記活性光線照射量より小さい照射量の活性光線をパターン状もしくは全面に照射する工程を有し、(1)工程、(2’)工程のうち、どちらか一方の工程を行った後、他方の工程を行う。本発明においては(1)工程、(2’)工程の順番は問わず、活性光線を照射した面とは異なる面に、前記活性光線照射量より小さい照射量の活性光線をパターン状もしくは全面に照射前記熱処理を行ってもよいし、また、前記少量の活性光線のパターン状露光もしくは全面露光の後に、前記活性光線のパターン状照射を行ってもよい。
本発明では、(1)工程である活性光線のパターン状照射により感光性セラミックスグリーンシートの面内において、照射部と非照射部でそれぞれ現像液に対する溶解性に差を生じさせる。一方で、(2’)工程である活性光線を照射する面とは異なる面に、前記活性光線照射量より小さい照射量の活性光線をパターン状もしくは全面に照射することで硬化が進行し、(2’)工程で活性光線照射した面の現像液に対する溶解性が低下する。この結果、第1の態様と同様に、感光性セラミックスグリーンシートの厚さ方向での、現像液に対する溶解性に差が生まれ、次に行う現像処理によりハーフエッチ構造が形成できる。(2’)工程の活性光線照射量を、(1)工程の活性光線照射量より小さくするのは、(2’)工程の活性光線照射量が(1)工程の活性光線照射量と同等、もしくは多い場合には、(1)工程で形成した活性光線照射により得られたパターンが損なわれるからである。
上記活性光線の照射条件や活性光線の種類等は、本発明の第一の態様で挙げた条件、種類と同様である。
次に、(3)の工程である、両側から活性光線を照射した感光性セラミックスグリーンシートを現像する。現像方法は前記第一の態様における現像方法と同様に行う。
本発明の第二の態様では、図1、図3に示したようなハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートが得られるのに加え、図4に示したように裏面へのハーフエッチ部12の形成が可能となり、結果として、両面にハーフエッチ部12を有する感光性セラミックスグリーンシート41を得ることができる。
感光性セラミックスグリーンシート41を得る一連の工程の一例を図5に示した。感光性セラミックスグリーンシートにパターンを有するマスク51を介して、活性光線を照射し、感光性セラミックスグリーンシートの面内における照射部と非照射部の現像液に対する溶解性に差を生じさせる(図5(a)および(b))。続いて、活性光線を照射した面とは異なる面に、前記活性光線照射量より小さい照射量の活性光線をマスク51を介してパターン状に照射することで、当該照射面内において同様に現像液に対する溶解性に差を生じさせる(図5(c)および(d))。この結果、現像を行うことにより(図5(e))、両方の面においても、ハーフエッチ部を有するセラミックス基板を得ることができる。
本発明で用いられる感光性セラミックスグリーンシートは、無機粒子と感光性有機成分からなる感光性セラミックス組成物から得られるものであるが、感光性セラミックス組成物について、詳細に説明する。
本発明で用いる感光性有機成分としては、活性光線照射部分が架橋、重合、硬化するネガタイプでも、活性光線照射部分が解重合、光変性、光可溶化するポジタイプでも用いられるが、ネガタイプを用いることが好ましい。好ましいネガタイプの感光性有機成分としては、バインダーポリマーおよび反応性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤、分散剤、有機溶媒、酸化防止剤などの添加剤成分から構成される。ネガタイプのバインダーポリマーとしては、側鎖にエチレン性不飽和基を有するポリマー、さらに好ましくは側鎖にエチレン性不飽和基を有するアクリル共重合体が使用できる。バインダーポリマーのエチレン性不飽和結合は、感光性有機成分中の反応性モノマーと共に、架橋構造を形成し、架橋構造が、現像時の露光部と未露光部の現像液溶解性の差を大きくする。結果として、より精細なパターンを安定して作ることができる。
バインダーポリマーにエチレン性不飽和基を導入する具体的な方法は、共重合成分に不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えた後、カルボキシル基の一部にグリシジルメタクリレートなどを付加させる方法により達成される。また共重合体に残ったカルボキシル基はアルカリ現像性を付与するために不可欠で、そのためには共重合体の酸価は50〜140(mgKOH/g)であることが好ましい。酸価を140以下とすることで、現像許容幅を広くすることができ、酸価を50以上とすることで、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が保持され、高精細なパターンを得ることができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などのモノマーを挙げることができる。
また、バインダーポリマーのTg(ガラス転移温度)は、−60〜30℃が好ましい。より好ましくは−40〜30℃で、さらに好ましくは−20〜30℃である。Tgを−60℃以上とすることでシートの粘着性を低減することができ、Tgを30℃以下とすることでシートの柔軟性を保持することができる。バインダーポリマーのTgは、例えば、島津製作所(株)製DSC−50型測定装置などを用いて測定することができる。
さらに用いるバインダーポリマーの重量平均分子量は10万以下が好ましい。より好ましくは5千〜8万である。重量平均分子量を10万以下とすることにより、現像液溶解性が保持され、その結果より精細なパターン化が可能となる。さらにバインダーポリマーの粘度は重量平均分子量に比例して増大するため、感光性セラミックス組成物のペースト粘度を低くして、濾過や脱気、塗布工程での作業性を保持するためには、バインダーポリマーの重量平均分子量を低くすることが好ましい。バインダーポリマーの重量平均分子量はテトラヒドロフランを移動相として、サイズ排除クロマトグラフィーなどによりポリスチレン換算値として測定することができる。
また、バインダーポリマーの熱分解温度が350℃以下であり、150℃以上であることが好ましい。バインダーポリマーの熱分解温度が150℃以上のバインダーポリマーを用いると、感光性セラミックス組成物の熱安定性が保持され、組成物をシート化し、パターン加工に到るまでの各工程において、感光性を損なうことなく良好なパターン加工が可能となる。また350℃以下のバインダーポリマーを用いると、シートの焼成工程での反りや変形、基板からの剥がれを防止できる。バインダーポリマーの熱分解温度を調整する手法は、共重合成分のモノマーを選択することで可能となる。特に低温で熱分解するモノマーを共重合成分とすることで共重合体の熱分解温度を低くできる。このように低温で熱分解する成分として例えばメチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、α−メチルスチレン等を挙げることができる。バインダーポリマーの熱分解温度は、熱重量測定装置を用いて測定することができる。
本発明で用いる反応性ポリマーを構成する共重合成分としては、以下のアクリル系モノマー等を例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。具体的には、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソ−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート、また、これらの芳香環にある水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボシキメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレートの一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
バインダーポリマーの含有量は、感光性セラミックス組成物全量に対して3〜40重量%が好ましい。より好ましくは5〜30重量%、さらに好ましくは10〜30重量%である。3〜40重量%の範囲とすることで、パターン加工性と、焼成時の収縮などの特性とを両立させることができる。
次に、本発明において、反応性モノマーとは不飽和基を有する単官能モノマーまたは多官能モノマーである。ここで言う不飽和基とはアクリル、メタクリル、ビニル、アリル基などを挙げることができるが、これらは混合して存在してもよい。これらの反応性モノマーは単独で用いてもよく、また組み合わせて用いてもよい。反応性モノマー含有量は、感光性セラミックス組成物に対して、2〜40重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。2重量%以上とすることで精細なパターン加工が可能となり、40重量%以下とすることで光硬化後のシートの柔軟性を保持することができる。
本発明で好ましく用いる反応性モノマーは、1個以上の不飽和基を有する反応性モノマー、例えば(メタ)アクリレート基またはアリル基等を有するモノマーなどが挙げられる。これらの具体例としては、アルコール類(例えばエタノール、プロパノール、ヘキサノール、オクタノール、シクロヘキサノール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなど)とアクリル酸(またはメタクリル酸)とのエステル、カルボン酸(例えば酢酸、プロピオン酸、安息香酸、アクリル酸、メタクリル酸、コハク酸、マレイン酸、フタル酸、酒石酸、クエン酸など)とアクリル酸グリシジル(あるいは、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジル、またはテトラグリシジルメタキシリレンジアミン)との反応生成物、アミド誘導体(例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドなど)、エポキシ化合物とアクリル酸(またはメタクリル酸)との反応物、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートが挙げられる。
本発明では、光重合開始剤を用いても良く、1種類または複数種を混合して使用することができる。光重合開始剤の例として、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジル、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4、4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホルフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組合せなどがあげられる。光重合開始剤の添加量は、バインダーポリマー、反応性モノマー等の反応性成分に対し、0.05〜10重量%の範囲で添加することが好ましい。より好ましくは、0.1〜5重量%である。0.05重量%以上ではパターン加工性が良好となり、10重量%以下では所望の良好な焼成特性を得ることができる。
また、紫外線吸収剤を必要に応じ適宜添加しても良く、例えば有機染料からなる紫外線吸収剤が挙げられる。紫外線吸収効果の高いものを添加することによって高アスペクト比、高精細、高解像度のパターン加工が可能となる。中でも300〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は、焼成後の絶縁膜中に残存しないため、絶縁膜特性に与える影響を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。
紫外線吸収剤の添加量は、感光性セラミックス組成物に対し0.01〜5重量%が好ましい。より好ましくは0.05〜2重量%である。0.01重量%以上とすることで、露光時の光散乱を防止し、高アスペクト比で高精細なパターン加工が可能となる。一方、5重量%以下とすることで感光性セラミックス組成物の透過率を保持することができる。
本発明における感光性有機成分は、感度を向上させるために増感剤を添加してもよい。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミニベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオ−テトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオ−テトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明の感光性セラミックス組成物に添加する場合、その添加量は反応性成分に対して通常0.05〜5重量%、より好ましくは0.1〜2重量%である。0.05重量%以上では感度の向上効果が得られ、5重量%以下では焼成特性を所望の範囲に保持することができる。
感光性セラミックス組成物には、保存時の熱安定性を向上させるために重合禁止剤を添加することができる。重合禁止剤の具体的な例としては、ヒドロキノン、ヒドロキノンのモノエステル化物、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、p−t−ブチルカテコール、N−フェニルナフチルアミン、2,6−ジ−t−ブチル−p−メチルフェノール、クロラニール、ピロガロールなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性セラミックス組成物中に、通常、0.001〜1重量%である。
感光性セラミックス組成物には、保存時における反応性ポリマーの酸化を防ぐために酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤の具体的な例として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−4−エチルフェノール、2,2−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、ジラウリルチオジプロピオナート、トリフェニルホスファイトなどが挙げられる。酸化防止剤を添加する場合、その添加量は通常、感光性セラミックス組成物中に0.001〜1重量%である。
次に、本発明で用いられる無機粉末として有用な成分には6つの態様が挙げられる。
第1の態様は、一般式RO−Al−SiO(Rはアルカリ金属(x=2)あるいはアルカリ土類金属(x=1)を示す)で表されるアルミノケイ酸塩系化合物である。特に限定されるものではないが、アノーサイト(CaO−Al−2SiO)、セルジアン(BaO−Al−2SiO)などであり、低温焼結セラミックス材料として用いられる無機粉末である。
第2の態様は、ほう珪酸ガラス粉末50〜90重量%と、石英粉末あるいはアモルファスシリカ粉末から選ばれる粉末10〜50重量%を含有するものである。この時選ばれた石英粉末あるいはアモルファスシリカ粉末は、ほう珪酸ガラスと溶解しないことが好ましい。またアモルファスシリカ粉末は球状シリカを用いると、スラリーの充填性が向上するので好ましい。
第3の態様は、ホウ珪酸ガラス粉末30〜60重量%、石英粉末あるいはアモルファスシリカ粉末から選ばれる粉末20〜50重量%およびコーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイトおよびセルジアンの群から選ばれた少なくとも1種類のセラミックス粉末20〜50重量%との混合物である。
第4の態様は、酸化物換算表記でSiO:30〜70重量%、Al:5〜40重量%、CaO:3〜25重量%、B:3〜50重量%の組成範囲で、これらの酸化物の総量がガラス粉末全量に対し85重量%以上有し、残りの15重量%以下はNaO、KO、BaO、PbO、Fe、Mn酸化物、Cr酸化物、NiO、Co酸化物などを含有するガラス粉末を30〜60重量%と、フィラー成分として、アルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、コーディエライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、シリカおよび窒化アルミの群から選ばれた少なくとも1種類のセラミックス粉末40〜70重量%との混合物である。SiOを30重量%以上とすることで焼結体の強度を保持することができる。また、70重量%以下とすることで誘電率や熱膨張係数を所望の範囲(例えば誘電率:3〜20、熱膨張率:30〜90×10―7cm/℃の範囲)にすることができ、低温焼成が可能となる。Alは5重量%以上とすることで焼結体の強度を保持することができ、40重量%以下とすることで耐薬品性に優れた焼結体を得ることができる。CaOは3〜25重量%とすることで、誘電率や熱膨張係数などを上記と同様の範囲にすることができる。Bの配合量は3〜50重量%とすることで、セラミックス組成物の焼成温度を600〜950℃の範囲に制御することができる。
第5の態様は、酸化物換算表記でSiO:80〜90重量%、B:10〜15重量%、Al:0〜5重量%、KO:0〜5重量%の割合で含まれる無機粉末である。

第6の様態は、酸化物換算表記で、SiO:45〜60重量%、Al:0.1〜10重量%、B:9〜24重量%、CaO:2〜15重量%、MgO:0.1〜 12重量%、NaO:0.1〜1.5重量%、ZrO:0.1〜5重量%、KO:0.1〜1重量%、TiO:0.1〜5重量%の組成範囲で、これらの酸化物の総量がガラス粉末全量に対し93重量%以上有し、残りの7重量%以下はNaO、KO、BaO、PbO、Fe、Mn酸化物、Cr酸化物、NiO、Co酸化物などを含有するガラス成分が30〜70重量%と、フィラー成分としてアルミナ、ジルコニア、マグネシア、ベリリア、ムライト、スピネル、フォルステライト、アノーサイト、セルジアン、コーディエライト、および窒化アルミから選ばれる少なくとも1種類のセラミックス粉末70〜30重量%との混合物である。
第4の態様および第6の態様におけるフィラー成分としてのセラミックス粉末は、基板の機械的強度の向上や熱膨張係数を制御するのに有効である。特に、アルミナ、ジルコニア、ムライト、コーディエライト、アノーサイトはその効果が優れている。これらのセラミックス粉末の混合により、焼成温度を800〜900℃とし、強度、誘電率、熱膨張係数、焼結密度、体積固有抵抗、収縮率を所望の特性とすることができる。
本発明において、無機粉末の態様としては、セラミックスの特性を制御しやすいこと、さらには、感光性有機成分との相性の観点から、第4の態様、第6の態様が好ましい。さらに、感光性セラミックス組成物が、高いパターン形成性を保持するために、無機粉末は平均粒子径500nm以下のセラミックス粉末を含有する事が好ましい。セラミックス粉末としては、入手の容易さなどからアルミナ粉末が特に好ましい。セラミックス粉末の平均粒子径は300nm以下がより好ましく、150nm以下がさらに好ましい。パターン加工に有効な紫外線の波長(500nm〜350nm)と同等または小さいサイズのセラミックス粉末を複合することにより、露光時の光散乱が少なくなり、シートの深部まで露光される。その結果、高精細で高アスペクト比のパターン加工が可能となる。平均粒子径が500nmを超えると、光散乱の割合が高くなり紫外線が深部まで届かない、またはパターン周辺が散乱光により露光されるため、得られるパターンが高精細で高アスペクト比にならない場合がある。平均粒子径500nm以下のセラミックス粉末の含有量は、用途に応じて異なるが、感光性セラミックス組成物に対して5〜90重量%が好ましく、20〜80重量%がより好ましい。5重量%以上とすることで焼成後の誘電率特性を好ましいものとすることができる。一方、90重量%以下とすることでシートの光透過率を保持することができる。
本発明の感光性セラミックス組成物において、無機粉末にPb、Fe、Cd、Mn、Co、Mgなどの金属およびその酸化物が含まれる場合、有機成分中に含有する反応性成分と反応するために、無機粉末と有機成分の混合物(シートスラリー)が短時間でゲル化し、シート成形できなくなる場合がある。このような反応を防止するために、有機成分として、安定化剤を添加してゲル化を防止することが好ましい。安定化剤としては、トリアゾール化合物が好ましく用いられ、特にベンゾトリアゾールが有効に作用する。本発明において好ましく使用されるベンゾトリアゾールによる無機粉末の表面処理の一例を挙げると、無機粉末に対して所定の量のベンゾトリアゾールを酢酸メチル、酢酸エチル、エチルアルコール、メチルアルコールなどの有機溶媒に溶解した後、これら粉末を十分に浸すことができるように溶液中に1〜24時間浸漬する。浸漬後、好ましくは20〜30℃で自然乾燥して溶媒を蒸発させてトリアゾール処理を行った粉末を調製する。使用される安定化剤の割合は無機粉末に対して0.05〜5重量%が好ましい。
感光性有機成分と無機成分を含む感光性セラミックス組成物は次のような方法で作製される。まず感光性有機成分、例えば、必要に応じて側鎖にエチレン性不飽和結合、カルボキシル基を有するバインダーポリマー、エチレン性不飽和基を有する化合物、光重合開始剤、溶媒や各種添加剤などを混合した後、濾過し、有機ビヒクルを作製する。これに、必要に応じて前処理された無機粉末を添加し、ボールミルや三本ロールなどの混練機で均等に混合・分散して感光性セラミックス組成物のスラリーまたはペーストを作製する。このスラリーまたはペーストの粘度は無機粉末と感光性有機成分の配合比、有機溶媒の量、可塑剤その他の添加剤の添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は0.5〜5Pa・sが好ましい。
スラリーもしくはペーストを作製する際に用いる溶媒は、感光性有機成分を溶解し得るものであればよい。例えば、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、3−メチルメトキシブタノール、トルエン、トリクロロエチレン、メチルイソブチルケトン、イソフォロン、メチルメトキシブタノール、ベンジルアルコール、γ−ブチルラクトン、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミドなどが挙げられる、単種でも複数種用いても良い。なお、有機溶媒がペーストに含まれる量は目的用途に応じて様々であり、前記粘度範囲となるならば、なんら制限されるものではないが、例えば、塗布段階においては、ペースト(無機粉末を除く)中に10〜30重量%含まれていることが好ましい。
本発明の製造方法で得られたセラミックスグリーンシートを、例えば、回路基板などに使用する場合は、導体や抵抗体ペーストなどを用いて、ビアホールの孔埋め、配線の形成など、必要とされるパターンの形成を行うことができる。本発明で容易に形成されるハーフエッチ構造は、埋め込み配線などに好適に利用でき、薄型のセラミックス回路を作製するという観点で好ましいものである。配線の形成はスクリーン印刷機などにより印刷で形成してもよいし、感光性導体ペーストを用いてフォトリソ加工で形成してもよい。
本発明の製造方法によって得られたセラミックスグリーンシートを用いて、セラミックス回路を作製する場合は、必要な枚数の配線パターンの形成されたセラミックスグリーンシートを、ガイド孔を用いて積み重ね、80〜150℃の温度で5〜25MPaの圧力で接着し、多層シートを作製した後、焼成炉等を利用して焼成を行う。焼成雰囲気や温度は感光性セラミックス組成物中の無機粉末や有機成分の種類によって異なるが、空気中、窒素雰囲気中、または水素還元雰囲気中で焼成する。本発明において好ましく用いられる感光性セラミックス組成物の焼成は、まず室温〜600℃で有機物を分解、飛散させる工程(脱バインダー工程)を経たのち、600〜950℃の温度で焼結を行う。
焼成工程においては、感光性セラミックスグリーンシートをXYZ方向に自由に収縮させる収縮焼成や、拘束シートと呼ばれる難焼結性のセラミックスシートを用いたり、圧力をかけたり等の方法で、焼成時のXY方向の収縮を抑制するような無収縮焼成などを行っても良い。
また、支持体として、必要に応じて各種コーテイングや配線の付設されたガラスを用い、パターン露光、現像後、支持体と共に焼成することにより、プラズマディスプレイパネルやフィールドエミッションデイスプレイなどの各種フラットパネルディスプレイの部材(電極、蛍光体、誘電体など)の製造用途に用いることもできる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、濃度(%)は特に断らない限り重量%である。実施例に用いた無機粉末および感光性有機成分は次の通りである。
A.無機粉末
無機粉末I:
セラミックス粉末50%+ガラス粉末50%の複合セラミックス
セラミックス:平均粒子径40nmのアルミナ
ガラス粉末の組成:Al(10.8%)、SiO(51.5%)、PbO(15.6%)、CaO(7.1%)、MgO(2.86%)、NaO(3%)、KO(2%)、B(5.3%)
ガラス粉末の特性:ガラス転移点565℃、熱膨張係数60.5×10−7/K、誘電率8.0(1MHz)、平均粒子径2μm 。
無機粉末II:
セラミックス粉末60%+ガラス粉末40%の複合セラミックス
セラミックス:平均粒子径250nmのアルミナ
ガラス粉末の組成:Al−SiO−B系ガラス、Al(8.7%)、SiO(67%)、ZrO(2.7%)、KO(1.6%)、B(12.5%)
ガラス粉末の特性:ガラス転移点500℃、熱膨張係数42×10−7/K、誘電率4.7(1MHz)、平均粒子径3μm 。
無機粉末III:
セラミックス粉末40%+ガラス粉末60%の複合セラミックス
セラミックス:平均粒子径40nmのアルミナ
ガラス粉末:“FF−201”(旭テクノガラス(株)製)
ガラス粉末の特性:ガラス転移点720℃、熱膨張係数51×10−7/K、平均粒子径3.2μm 。
B.感光性有機成分
バインダーポリマーI:
1000mLの4つ口フラスコに溶剤としてメトキシメチルブタノールを100g仕込み、これをオイルバス中で90℃に保ち窒素シール、攪拌を行いながらメチルアクリレート15gとイソブチルメタクリレート56g、2−エチルヘキシルアクリレート30g、アクリル酸20gにN,N−アゾビスイソブチロニトリル2gを混合、溶解してこれを滴下ロートで30分かけて滴下した。そして、4時間反応を続けた後、ハイドロキノンモノメチルエーテルを1g添加してから常温に戻し重合を完了し、ポリマーを得た。得られたポリマーにメトキシメチルブタノールを20g添加した後、これを80℃に保ちながらグリシジルメタクリレート15gと反応させたトリエチルベンジルアンモニウムクロライド3gの混合液を約30分かけて滴下し、さらに3時間反応保持した。得られた反応性ポリマー溶液をアルミ製蒸発皿で80℃、3時間真空乾燥した。同ポリマーのTGによる熱分解温度は320℃であった。
反応性モノマー:ポリエチレングリコールジアクリレート(アロニックスM245(商品名)東亞合成(株)製)
光重合開始剤:2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1(イルガキュア819(商品名)チバ・スペシャルテイ・ケミカルズ社製)
紫外線吸収剤:スダンIV(東京化成(株)製)
有機溶剤:3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール((株)クラレ製“ソルフィット”(商品名))
分散剤:”ノプコスパース”(商品名)、サンノプコ(株)製) 。
C.感光性有機成分の調製
有機溶剤および反応性ポリマーを混合し、撹拌しながらすべての反応性ポリマーを溶解させた。続いて反応性モノマー、光重合開始剤、紫外線吸収剤を加えて溶解させ、感光性有機成分を調製した。
D.ペースト調製
上記の感光性有機成分に無機粉末を混合し、三本ロールで5回通してペーストとした。感光性有機成分30重量部に対して無機粉末の量は70重量部とした。
E.感光性セラミックスグリーンシートの作製
紫外線を遮断した室内でポリエステルの支持体フィルムとブレードとの間隔を0.1〜0.8mmとし、成形速度0.2m/でドクターブレード法によってペーストを塗布し、熱風オーブンで100℃、20分で乾燥する事で、支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを得た。感光性セラミックスグリーンシート部の厚みは100μmであった。
F.パターン状露光(表1、2における(1)パターン状露光)
感光性セラミックスグリーンシートを100mm角に切断した後、合計36個の3mm角のキャビティ(9mmピッチ)を有するフォトマスク1(ネガ用)(5cm角)を用いて、支持体フィルムとは逆の側から15〜25mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いてシートとマスクの間を密着条件下で、5〜15秒間パターン露光した。
G.熱処理
35℃〜155℃に保持したホットプレート上に、活性光線をパターン状に照射し、支持体から剥離した感光性セラミックスグリーンシートを、表1、2にある各所定時間静置した。このときの熱処理面は活性光線を照射した面とは異なる面である。
H.裏面からの活性光線照射(表1、2における(2’)裏面露光)
パターン露光した感光性セラミックスグリーンシートから支持体フィルムを剥離した後、パターン露光した側とは逆の側から、全面もしくは合計25個の3mm角のキャビティ(9mmピッチ)を有するフォトマスク2(ネガ用)(5cm角)(クロムマスク1とは中心部の位置が縦横4.5mmずつずれたもの)を用いて、15〜25mW/cmの出力の超高圧水銀灯を用いてシートとマスクの間を密着条件下で、5〜10秒間露光した。
I.現像
25℃の0.5重量%モノエタノールアミン水溶液もしくは1重量%TMAH(テトラメチルハイドロオキサイド)水溶液により浸漬現像し、その後、スプレーを用いて水洗浄し、熱風オーブンで90℃、1時間乾燥した。
J.焼成
上記により得た感光性セラミックスグリーンシートを、電気炉、空気中で、900℃の温度で60分間焼成して、セラミックス基板を得た。
K.形状再現性
焼成後のセラミックス基板を目視および顕微鏡で観察し、マスクのキャビティに対応する部分にハーフエッチ部が形成できているか否かを調べた。マスクの全キャビティの数に対する、上記ハーフエッチ部が形成できているキャビティの数の割合を形状再現性として評価した。
実施例1
表1の通り、無機粉末として無機粉末I(70%)を、感光性有機成分としてバインダーポリマーI(15%)、反応性モノマー(10%)、および光重合開始剤(0.5%)、分散剤(0.3%)、溶剤(4%)、p−メトキシフェノール(0.2%)を用い、感光性セラミックス組成物を作製し、得られた組成物から厚み100μmの支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを得た。キャビティ形状を有する上記のフォトマスク1を介して、10秒間UV照射した後、支持体を剥離して、上記G.熱処理に示したように60℃に維持したホットプレート上に20分間放置した。その後、現像した。キャビティ形状のハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得た。このシートを電気炉にて900℃、90分間焼成し、図6、図7に示したキャビティ形状のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得た。
実施例2〜7
実施例1と同じ支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを用いて、表1に示した熱処理温度、時間に変更した以外は、実施例1と同様にしてセラミックス基板を作製した。
実施例8
実施例1と同じ支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを用いて、表1に示したように、キャビティ形状を有する上記のフォトマスク1を介して、10秒間UV照射した。その後、支持体を剥離し、上記H.裏面からの活性光線に示したように、照射支持体を剥離した面に7秒間、全面にUV照射を行った。その後、実施例1と同様に、現像処理を行ったところ、図7に示すようなキャビティ形状のハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得た。このシートを電気炉にて900℃、120分間焼成し、キャビティ形状のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得た。
実施例9
実施例1と同じ支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを用いて、表1に示したように、キャビティ形状を有する上記のフォトマスク1を介して、7秒間UV照射した。その後、支持体を剥離し、上記H.裏面からの活性光線に示したように、支持体を剥離した面にキャビティ形状を有する別のフォトマスク2を通して5秒間、UV照射した。その後、実施例1と同様に、現像処理を行ったところ、図8に示すようなシートの両面にキャビティ形状のハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得た。このシートを電気炉にて900℃、90分間焼成し、両面にキャビティ形状のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得た。
比較例1
実施例1と同じ支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを用いて、表1に示したように、キャビティ形状を有するフォトマスク1を介して、10秒間UV照射した後、支持体を剥離した。その後、熱処理も、裏面からのUV照射も施すことなく、実施例1と同様に現像を行ったところ、ハーフエッチ構造ではなく、貫通したキャビティ形状の構造を有する感光性セラミックスグリーンシートになった。
実施例10
表2の通り、無機粉末として無機粉末II(70%)を、感光性有機成分としてバインダーポリマーI(15%)、反応性モノマー(10%)、および光重合開始剤(0.5%)、分散剤(0.3%)、溶剤(4%)、p−メトキシフェノール(0.2%)を用い、感光性セラミックス組成物を作製し、得られた組成物から厚み100μmの支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを得た。キャビティ形状を有するフォトマスク1を通して10秒間、UV照射した後、上記G.熱処理に示したように、支持体を剥離して、100℃に維持したホットプレート上に10分間放置した。その後、現像した。キャビティ形状のハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得た。このシートを電気炉にて900℃、90分間焼成し、キャビティ形状のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得た。
実施例11〜12
表2の通り、無機粉末として無機粉末III(70%)を、感光性有機成分としてバインダーポリマーI(15%)、反応性モノマー(10%)、および光重合開始剤(0.5%)、分散剤(0.3%)、溶剤(4%)、p−メトキシフェノール(0.2%)を用い、感光性セラミックス組成物を作製し、得られた組成物から厚み100μmの支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを得た。キャビティ形状を有するフォトマスク1を通して15秒間、表1に示す条件でUV照射した。次に支持体を剥離した後、表1に示す条件で熱処理(実施例11)、あるいは支持体を剥離した面へ10秒間全面UV照射(実施例12)を行った後、現像した。キャビティ形状のハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得た。このシートを電気炉にて900℃、90分間焼成し、キャビティ形状のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得た。
実施例13
実施例11と同じ支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを用いて、表2に示したように、支持体を剥離した面への全面UV照射を10秒間行った後、前記全面UV照射を受けた面とは反対側の面に実施例12と同様に、キャビティ形状を有するフォトマスク1を通して15秒間、UV照射した。その後、実施例12と同様に、現像処理を行ったところ、図9に示すようなキャビティ形状のハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得た。このシートを電気炉にて900℃、90分間焼成し、面にキャビティ形状のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得た。
実施例14
実施例11と同じ支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを用いて、表2に示したように、支持体を剥離した面に、キャビティ形状を有するフォトマスク1を通して10秒間、UV照射した。その後、前記UV照射を受けた面とは反対側の面に、キャビティ形状を有する別のフォトマスク2を通して15秒間、UV照射を行った。その後、実施例11と同様に、現像処理を行ったところ、図10に示すような両面にキャビティ形状のハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得た。このシートを電気炉にて900℃、90分間焼成し、両面にキャビティ形状のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得た。
実施例15
実施例11と同じ支持体付き感光性セラミックスグリーンシートを用いて、表2に示した条件で、支持体を剥離した面に熱処理を行った後、前記熱処理を行った面とは反対側の面に、キャビティ形状を有する別のマスクを通して15秒間、UV照射した。その後、実施例11と同様に、現像処理を行ったところ、キャビティ形状のハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシートを得た。このシートを電気炉にて900℃、90分間焼成し、面にキャビティ形状のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得た。
本発明の製造方法により得られるハーフエッチ構造の一態様を示す感光性セラミックスグリーンシートの断面図 従来の製造方法により得られるセラミックスグリーンシートの断面図 本発明の製造方法により得られるハーフエッチ構造の一態様を示す感光性セラミックスグリーンシートの断面図 本発明の製造方法により得られるハーフエッチ構造の一態様を示す感光性セラミックスグリーンシートの断面図 本発明のハーフエッチ構造を有するセラミックス基板を得る製造方法の一態様を示す工程図 実施例1で得られたセラミックス基板を上面から写したレーザー顕微鏡写真 実施例8で得られた感光性セラミックスグリーンシートの断面図 実施例9で得られた感光性セラミックスグリーンシートの断面図 実施例13で得られた感光性セラミックスグリーンシートの断面図 実施例14で得られた感光性セラミックスグリーンシートの断面図
符号の説明
11 感光性セラミックスグリーンシート
12 ハーフエッチ部
21 グリーンシート
22 ビアホール部分
23 キャビティ部分
24 グリーンシート
25 グリーンシート積層体
41: 両面にハーフエッチ構造を有する感光性セラミックスグリーンシート
51 マスク
52 活性光線照射
53 照射部(硬化した部分)

Claims (3)

  1. セラミックス基板の製造方法であって、無機粉末と感光性有機成分を含む感光性セラミックスグリーンシートに、(1)活性光線をパターン状に照射する工程、(2)前記活性光線を照射する面とは異なる面から、感光性セラミックスグリーンシートの厚さ方向において完全に硬化させない熱処理を施す工程を有し、(1)工程、(2)工程のうち、どちらか一方の工程を行った後、他方の工程を行い、その後、(3)感光性セラミックスグリーンシートを現像する工程、を少なくとも有することを特徴とするセラミックス基板の製造方法。
  2. セラミックス基板の製造方法であって、無機粉末と感光性有機成分を含む感光性セラミックスグリーンシートに、(1)活性光線をパターン状に照射する工程、(2’)前記、活性光線を照射する面とは異なる面に、前記活性光線照射量より小さい照射量の活性光線を前記パターンとは異なるパターン状もしくは全面に照射する工程を有し、(1)工程、(2’)工程のうち、どちらか一方の工程を行った後、他方の工程を行い、その後、(3)感光性セラミックスグリーンシートを現像する工程、を少なくとも有することを特徴とするセラミックス基板の製造方法
  3. 前記感光性セラミックスグリーンシートが感光性セラミックス組成物から形成され、当該組成物が組成物全体量に対し平均粒子粒500nm以下のセラミックス粉末を5〜90重量%含有することを特徴とする請求項1または2記載のセラミックス基板の製造方法。
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