JP4760050B2 - 車両の制動制御方法および装置 - Google Patents

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本発明は、車両の減速度に関する情報をフィードバックして、これが目標値に一致するよう制動力を制御する車両の制動力制御方法および装置に関するものである。
最も簡単な制動制御技術としては、車両の制動操作状態に応じた実現すべき車両減速度に対し一義的に決めた制動力となるように制動力制御する、所謂フィードフォワード制御がある。
道路勾配変化などの外乱や、積載荷重変動、路面μ変化、制動ユニット内におけるパッドのμ変化などによる制動装置の制動特性変化が全くない条件のもとでは(モデル化誤差が0のもとでは)、このフィードフォワード制御でも、図14に示すように車速VSPが低下する場合について述べると、車輪減速度Awから遅れて発生する車体減速度Avが定常時および過渡時の双方で、理論通りに減速度規範値Aref(目標減速度を所望の応答で実現するための減速度)に一致する。
しかし実際には、道路勾配変化などの外乱は不可避であり、また制動装置の制動特性変化も避けることはできず、これらによるモデル化誤差に起因して、図14と同じ条件での動作タイムチャートである図15に示すように、車輪減速度Awから遅れて発生する車体減速度Avが定常時においてすら減速度規範値ArefからΔA1のごとくに大きくずれてしまい、定常時および過渡時の双方で減速度規範値Arefから大きくずれる。
そこで、先ず定常時に車体減速度Avを減速度規範値Arefに一致させない限り、過渡時に車体減速度Avを減速度規範値Arefに一致させることは実現不可能であることから、フィードバック制御を付加することが考えられた。
フィードバック制御による制動制御技術としては従来、例えば特許文献1に記載のごときものが提案されている。
この提案技術は、車両の減速度に関する情報をフィードバックすることにより、道路勾配変化などの外乱や、積載荷重変動、路面μ変化、制動ユニット内におけるパッドのμ変化などによる制動装置の制動特性変化が生じた場合でも、車輪タイヤが路面に伝達し得る最大制動力の範囲内であれば、車体に発生する減速度を精度良く目標値へ追従させることを狙った制動制御技術である。
ところで、当初は上記から明らかな通り定常時に車体減速度Avを減速度規範値Arefに一致させることが目的であったから問題にならなかったが、その後、制動フィーリング向上のためにブレーキペダルの踏み込み中や、踏み戻し中のような過渡時まで、予め設定した狙い通りに車体減速度を制御する要求が生じるようになり、以下の問題が発生するようになった。
つまり以前は、ブレーキアクチュエータの応答遅れや、応答特性のバラツキが小さくなかったため、上記のフィードバック制御時に設定するフィードバックゲインをあまり高くすることができなかった。
その理由は、一般的にフィードバック制御系を構成する際には、応答遅れやバラツキなど変動要因の影響を受けてもフィードバック制御系が不安定にならない(ロバストになる)ようにフィードバック制御ゲインに余裕を持たせる必要があり、ブレーキアクチュエータの応答遅れやバラツキが大きいとフィードバック制御ゲインを低めに設定せざるを得ないためである。
しかして、かようにフィードバック制御ゲインが低い場合、図14および図15の場合と同じ条件での動作タイムチャートを示す図16から明らかなように、ブレーキペダルの踏み込み中(Δt1)や、踏み戻し中(Δt2)の過渡時において、減速度規範値Arefに対しフィードバック信号である車輪減速度Awが大きな位相遅れを持ったものとなり、車輪減速度Awの後に発生する車体減速度Avの位相遅れは更に大きくなる。
このため車体減速度Avが、過渡時において減速度規範値ArefからΔA2のごとくに大きくずれてしまい、予定通りに車体減速度を過渡制御することができない。
一方で昨今は、ブレーキアクチュエータの応答遅れやバラツキが改善され、更に、フィードバック制御手法の工夫により、フィードバック制御ゲインをかなり高く設定できるようになり、
これにより、図14〜図16の場合と同じ条件での動作タイムチャートを示す図17から明らかなように、ブレーキペダルの踏み込み中(Δt1)や、踏み戻し中(Δt2)の過渡時の減速度規範値Arefに対する車輪減速度Awの位相遅れを小さくすることができるようになり、また、車輪減速度Awの後に発生する車体減速度Avの位相遅れも小さくなったが、車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れは不変であるから、減速度規範値Arefに対する車輪減速度Awの位相遅れは依然として大きく、車体減速度Avが過渡時において減速度規範値ArefからΔA3のごとくずれてしまう。
従って、予定通りの車体減速度の過渡制御のためには更に、つまり、過渡時および定常時の双方で常に車体減速度Avを減速度規範値Arefに精度よく一致させるためには更に、車体減速度Avと車輪減速度Awとの間の位相差まで考慮して、これによる影響を排除可能な減速度フィードバック制御系に構成する必要があり、なお改善の余地がある。
一方で、運転者が制動を体感するのは車輪減速度によってではなく、車輪減速度に伴う車体減速度であるため、目標値に一致させたいのは車体減速度であるという事実に鑑み、車体減速度をフィードバックしてこれが目標減速度に一致するよう制動力を制御するのが望ましいと考えがちである。
しかし、低μ路走行時に車輪タイヤの摩擦特性が限界になり、物理的にそれ以上減速度が出せないような場合、車体減速度をフィードバック制御信号として用いると、車輪タイヤの摩擦特性が限界にきているにも係わらず、減速度不足との判定結果に呼応して制動力指令値を増加させてしまうこととなり、車輪の制動ロック傾向を助長する方向の制動力制御を行ってしまうという問題を生ずる。
これに対し、逆に車体減速度ではなく車輪減速度をフィードバック制御として用いると、車輪の制動ロック時は目標減速度より車輪減速度の方が大きくなるため、減速度フィードバックによる制動力制御が車輪の制動ロックを解消する方向のものとなり、車輪の制動ロック傾向が助長されるという問題回避することができる。
特許文献1に記載の制動制御は、車輪速センサで検出した車輪速信号の4輪平均値を近似微分フィルタ(例えば、2次のバンドパスフィルタ)に通して求めた車輪減速度推定値をフィードバック制御信号とし、この推定した車輪減速度が目標とすべき減速度の一致するよう制動力を制御するものであることから、車輪の制動ロック時にこれを解消する方向の制動力制御を行う点において優れている。
特開2003−306138号公報
しかし、特許文献1に記載の減速度フィードバック制御を行ったとしても、図17につき前述した車体減速度Avと車輪減速度Awとの間の位相差を考慮して、これによる影響を排除可能な減速度フィードバック制御系でないため、過渡時を含めて常に車体減速度Avを減速度規範値Arefに精度よく一致させることができないという問題がある。
更に付言するに、前記した通り車輪減速度が発生した後に車体減速度が発生することから、図17からも明らかな通り車輪減速度Awは車体減速度Avに対し位相が進む。
従って、ブレーキペダルを踏み込む制動力増加時Δt1には車輪減速度Awが車体減速度Avよりも大きい方向(絶対値比較で)にずれる。
このため、特許文献1に記載の減速度フィードバック制御を行った場合、車輪減速度Awが目標減速度に完全に一致したとしても、車体減速度Avは目標減速度Arefに対し位相が遅れて、ブレーキペダルを踏み込む制動力増加時Δt1は車体減速度Avが目標減速度Arefよりも(絶対値比較で)小さくなり、車体減速度Avを体感する運転者は減速度応答不足を感じるという問題がある。
逆に、ブレーキペダルを踏み戻す図17の制動力減少時Δt2には車輪減速度Awが車体減速度Avよりも小さい方向(絶対値比較で)にずれる。
このため、特許文献1に記載の減速度フィードバック制御を行った場合、車輪減速度Awが目標減速度に完全に一致したとしても、車体減速度Avは目標減速度Arefに対し位相が遅れて、ブレーキペダルを踏み戻す制動力減少時Δt2は車体減速度Avが目標減速度Arefよりも(絶対値比較で)大きくなり、車体減速度Avを体感する運転者は減速度応答過大を感じるという問題がある。
本発明は、減速度フィードバック制御系においてアクチュエータの性能向上によって、発生するようになった、
車体減速度と車輪減速度との間の大きな位相差による影響を排除可能な減速度フィードバック制御とする車両の制動制御方法および制動制御装置を提案し、
これにより、過渡時を含めて常に車体減速度を減速度規範値に精度よく一致させることができるようにすることで、運転者の狙い通りのブレーキフィーリングを実現することを目的とする。
この目的のため、本発明による車両の制動制御方法は、請求項1に記載のごとく、
車両の制動操作状態に応じた実現すべき車両減速度に車輪減速度が一致するよう、車両の制動力をフィードバック制御するに際し、
スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率と車体速から位相遅れ補償用時定数を算出することにより、前記車輪減速度に対し、該車輪減速度の位相と車体減速度の位相との間における位相差に応じた位相遅れ補償を施し、
該位相遅れ補償後の車輪減速度を前記フィードバック制御用の車輪減速度として用いることを特徴とするものである。
また、本発明による車両の制動制御装置は、請求項2に記載のごとく、
車両の制動操作状態から、実現すべき車両減速度を求める目標車両減速度演算手段と、
車輪速検出値から車輪減速度を演算する車輪減速度演算手段とを具え、
これら手段からの信号を基に前記車輪減速度が前記実現すべき車両減速度に一致するよう車両の制動力をフィードバック制御するようにした車両の制動制御装置において、
スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率と車体速から位相遅れ補償用時定数を算出することにより、前記車輪減速度に対し、該車輪減速度の位相と車体減速度の位相との間における位相差に応じた位相遅れ補償を施す車輪減速度位相遅れ補償手段を設け、
該位相遅れ補償後の車輪減速度を前記フィードバック制御用の車輪減速度として用いるよう構成したことを特徴とするものである。
本発明による車両の制動制御方法によれば、
実現すべき車両減速度に車輪減速度が一致するよう車両の制動力をフィードバック制御するに当たって、
上記車輪減速度に対し、車輪減速度の位相と車体減速度の位相との間における位相差に応じた位相遅れ補償を施し、当該位相遅れ補償後の車輪減速度を上記フィードバック制御用の車輪減速度として用いるため、
車体減速度と車輪減速度との間の位相差による影響を排除した減速度フィードバック制御となり、過渡時を含めて常に車体減速度を減速度規範値に精度よく一致させることができる。
また、本発明による制動制御装置によれば、
実現すべき車両減速度に車輪減速度が一致するよう車両の制動力をフィードバック制御するに際し、
車輪減速度位相遅れ補償手段が、上記の車輪減速度に対し、この車輪減速度の位相と車体減速度の位相との間における位相差に応じた位相遅れ補償を施して得られた位相遅れ補償後の車輪減速度を上記フィードバック制御用の車輪減速度として用いるため、
車体減速度と車輪減速度との間の位相差による影響を排除した減速度フィードバック制御系が構築され、過渡時を含めて常に車体減速度を減速度規範値に精度よく一致させることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明のー実施例になる制動制御装置を具えた複合ブレーキの制御システム図で、本実施例においては複合ブレーキを、車輪1(図では1個の駆動輪のみを示す)に関連して設けられたホイールシリンダ2への液圧供給により制動力を発生する液圧ブレーキ装置(摩擦制動装置)と、駆動輪1に歯車箱3を介して駆動結合された交流同期モータ4により車輪回転エネルギーを電力に変換する回生ブレーキ装置(回生制動装置)との組み合わせにより構成する。
かかる複合ブレーキにおいて、液圧ブレーキ装置(摩擦制動装置)と回生ブレーキ装置(回生制動装置)との協調制御は、交流同期モータ4により回生制動トルクを制御して主たる制動力を得る間に、ホイールシリンダ2へのブレーキ液圧を減圧制御することで回生エネルギーを効率的に回収することを旨とする。
先ず液圧ブレーキ装置を説明するに、5は運転者が希望する車両の制動力に応じて踏み込むブレーキペダルで、該ブレーキペダル5の踏力が油圧ブースタ6により倍力され、倍力された力でマスターシリンダ7の図示せざるピストンカップが押し込まれることによりマスターシリンダ7はブレーキペダル5の踏力に応じたマスターシリンダ液圧Pmcをブレーキ液圧配管8に出力するものとする。
なお、ブレーキ液圧配管8を図1では、1個の駆動輪(ここでは前輪)1に設けたホイールシリンダ2のみに接続しているが、図示せざる他の3輪に係わるホイールシリンダにも接続することは言うまでもない。
油圧ブースタ6およびマスターシリンダ7は共通なリザーバ9内のブレーキ液を作動媒体とする。
油圧ブースタ6はポンプ10を具え、このポンプはリザーバ9から吸入して吐出したブレーキ液をアキュムレータ11内に蓄圧し、アキュムレータ内圧を圧力スイッチ12によりシーケンス制御する。
油圧ブースタ6は、アキュムレータ11内の圧力を圧力源としてブレーキペダル5の踏力を倍力し、この倍力した踏力でマスターシリンダ7内のピストンカップを押し込み、マスターシリンダ7はリザーバ9からのブレーキ液をブレーキ配管8内に封じ込めてブレーキペダル踏力に対応したマスターシリンダ液圧Pmcを発生させ、これを元圧としてホイールシリンダ液圧Pwcをホイールシリンダ2に供給する。
ホイールシリンダ液圧Pwcは、アキュムレータ11のアキュムレータ内圧を用いて後述のごとくにフィードバック制御可能とし、これがためブレーキ配管8の途中に電磁切替弁13を挿置し、該電磁切替弁13よりもホイールシリンダ2の側においてブレーキ配管8に、ポンプ10の吐出回路から延在すると共に増圧弁14を挿置した増圧回路15、およびポンプ10の吸入回路から延在すると共に減圧弁16を挿置した減圧回路17をそれぞれ接続する。
電磁切替弁13は、常態でブレーキ配管8を開通させることによりマスターシリンダ液圧Pmcをホイールシリンダ2に向かわせ、ソレノイド13aのON時にブレーキ配管8を遮断すると共にマスターシリンダ7をストロークシミュレータ26に通じさせてホイールシリンダ2と同等の油圧負荷を与え、これによりブレーキペダル5に通常時と同じ操作フィーリングを与え続け得るようになす。
増圧弁14は、常態で増圧回路15を開通してアキュムレータ11の圧力によりホイールシリンダ液圧Pwcを増圧するが、ソレノイド14aのON時に増圧回路15を遮断してホイールシリンダ液圧Pwcの増圧を中止するものとし、
減圧弁16は、常態で減圧回路17を遮断しているが、ソレノイド16aのON時に減圧回路17を開通してホイールシリンダ液圧Pwcを減圧するものとする。
ここで増圧弁14および減圧弁16は、切替弁13がブレーキ配管8を開通している間、対応する増圧回路15および減圧回路17を遮断しておき、これによりホイールシリンダ液圧Pwcがマスターシリンダ液圧Pmcにより決定されるようにする。
また、増圧弁14または減圧弁16によるホイールシリンダ液圧Pwcの増減圧が行われる間は、切替弁13のONによりブレーキ配管8を遮断しておくことでマスターシリンダ液圧Pmcの影響を受けることなく、増圧弁14または減圧弁16によるホイールシリンダ液圧Pwcの増減圧を行い得るようにする。
切替弁13、増圧弁14および減圧弁16の制御は液圧ブレーキコントローラ18により行い、これがため当該コントローラ18には、運転者が要求する車両の制動力を表すマスターシリンダ液圧Pmcを検出する圧力センサ19からの信号と、液圧制動トルクの実際値を表すホイールシリンダ液圧Pwcを検出する圧力センサ20からの信号とを入力する。
駆動輪1に歯車箱3を介して駆動結合された交流同期モータ4は、モータトルクコントローラ21からの3相PWM信号により直流・交流変換用電流制御回路(インバータ)22での交流・直流変換を介して制御され、モータ4による車輪1の駆動が必要な時は直流バッテリ23からの電力で車輪1を駆動し、車輪1の制動が必要な時は回生制動トルク制御により車両運動エネルギーをバッテリ23ヘ回収するものである。
液圧ブレーキコントローラ18およびモータトルクコントローラ21は、複合ブレーキ協調コントローラ24との間で通信を行いながら、該コントローラ24からの指令により対応する液圧制動装置および回生制動装置を後述するごとくに制御する。
モータトルクコントローラ21は、複合ブレーキ協調コントローラ24からの回生制動トルク指令値Tmcomに基づいてモータ4による回生制動トルクを制御し、また、車輪1の駆動要求時にはモータ4による車輪1の駆動トルク制御を行なう。
さらにモータトルクコントローラ21は、バッテリ23の充電状態や温度などで決まるモータ4に許容される許容最大回生制動トルクTmmaxを算出して複合ブレーキ協調コントローラ24ヘ対応する信号を送信する。
これがため複合ブレーキ協調コントローラ24には、液圧ブレーキコントローラ18を経由した圧力センサ19,20からのマスターシリンダ液圧Pmcおよびホイールシリンダ液圧Pwcに関する信号を入力するほか、車輪(左前輪)1の車輪速Vwflを検出する車輪速センサ25からの信号を入力し、さらに、右前輪(図示せず)の車輪速Vwfr、左後輪(図示せず)の車輪速Vwrl、右後輪(図示せず)の車輪速Vwrrに関する信号を入力する。
複合ブレーキ協調コントローラ24は、これら入力情報を基に図2(a),(b)にフローチャートで示すような処理を行って、複合ブレーキの協調制御を介し本発明が狙いとする制動制御を行う。
図2(a)は、例えば10msecごとの定時割り込みにより繰り返し実行されるもので、先ずステップS1において、マスターシリンダ液圧Pmcおよび車輪のホイールシリンダ液圧Pwcを計測する。
次のステップS2では、各車輪の車輪速Vwfl, Vwfr, Vwrl, Vwrrを計測してその平均値(平均車輪速)Vwを求めると共に、この平均車輪速Vwを次式の伝達関数Fbpf(s)で示されるバンドパスフィルタに通して(近似微分処理して)車輪減速度Awを求める。
Fbpf(s)=s/{(1/ω)s+(2ζ/ω)s+1}・・・(1)
s:ラプラス演算子
ただし実際には、タスティン近似などで離散化して得られた漸化式を用いて算出する。
よってステップS2は、本発明における車輪減速度演算手段に相当する。
図2(a)のステップS3においては、ステップS2で求めた車輪減速度Awに対し、図17につき前述した車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れを補償するための位相遅れ補償を施してフィードバック制御用の減速度αvを算出する。
従ってステップS3は、本発明における車輪減速度位相遅れ補償手段に相当する。
この算出は図2(b)に示すようにしてこれを行う。
先ず図2(b)のステップS31において、位相遅れ補償の時定数を調整するのに用いる車体速VSPを求めると共に車輪の制動スリップ率Slipを求める。
車体速VSPは、制動中は車輪速Vwfl, Vwfr, Vwrl, Vwrrのうち最も大きいものが車体速VSPに最も近いことから、車輪速Vwfl, Vwfr, Vwrl, Vwrrのうちの最も大きい車輪速を車体速VSPとして用いる。
車輪制動スリップ率Slipは、車体速VSPに対する平均車輪速Vwのスリップ率であるから、
Slip=(VSP−Vw)/VSP
により求めることができる。
次いで図2(b)のステップS32において、車体速VSPおよび車輪制動スリップ率Slipに基づき上記位相遅れ補償用の時定数Tphを決定する。
この位相遅れ補償用時定数Tphを決定するに際し本実施例では、高μ路面のみを想定して図13に例示するような車輪制動スリップ率Slipに対する車輪タイヤおよび路面間の摩擦係数μの変化特性を予め記憶しておき、車輪制動スリップ率Slipまたは路面摩擦係数μ(制動力推定値を車重で除算して求め得る)から、車輪制動スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率Kμを算出し、更に
Tph ∝ VSP/Kμ
の関係式を用いて車体速VSPおよび摩擦係数変化率Kμから位相遅れ補償用時定数Tphを決定する。
ただし、車輪制動スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率Kμには、スリップを助長しないように上限を設定しておくこと勿論である。
なお、車輪制動スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率Kμは、車輪制動スリップ率Slipおよび路面摩擦係数μのそれぞれの時間変化率の比から直接算出してもよい。
この場合、車輪制動スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率Kμを求めるに際し、車輪制動スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化特性を特定化したり、検出する必要がなくて簡易である。
次に図2(b)のステップS33において、上記の位相遅れ補償用時定数Tphを用いた次式で表される特性Fphの位相補償器に車輪減速度Awを通し、車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れ分の位相遅れ補償を車輪減速度Awに施してフィードバック制御用の減速度αvを算出する。
Fph(s)=1/(Tph+1)
上記のようにフィードバック制御用減速度αvを求めた後は、制御を図2(a)のステップS4に戻す。
このステップS4では、モータトルクコントローラ21との間の高速通信受信バッファから、モータ4により達成可能な許容最大回生制動トルクTmmaxを読み込む。
この許容最大回生制動トルクTmmaxは、モータトルクコントローラ21がバッテリ23の充電率などに応じて決定する。
ステップS5では、マスターシリンダ液圧Pmcと、予めROMに記憶しておく車両諸元に応じた定数K1とを用いて、車両の目標減速度Ademを次式により算出する。
Adem=Pmc×K1・・・(2)
なお、ここでは減速度を正の値として取り扱うこととする。
ここで車両目標減速度Ademは、マスターシリンダ液圧Pmcにより運転者が指令する物理量により決まるだけでなく、車間距離制御装置や、車速制御装置を搭載した車両においては、これら装置による自動ブレーキによる物理量に応じても決定し得ること勿論である。
次のステップS6においては、エンジンブレーキによる車両減速度Aengを以下のようにして推定する。
先ず、図3に例示するごとく予め記憶しておいたマップをもとに、駆動輪速(前輪速)Vwfl,Vwfrの平均値Vwf(図3では車体速VSPとして示した)、および、エンジンと駆動輪(前輪)との間における自動変速機の走行レンジ(自動変速DレンジまたはエンジンブレーキLレンジ)から、エンジンブレーキ力Tengの推定値または目標値を検索する。
更に、図4に例示するごとく予め記憶しておいたマップをもとに、駆動輪速(前輪速)Vwfl,Vwfrの平均値Vwf(図4では車体速VSPとして示した)から、平坦路走行抵抗Tregを検索により求める。
次いで、これらエンジンブレーキ力Tengおよび平坦路走行抵抗Tregの合算値を車両重量Mvで除算することにより、エンジンブレーキによる車両減速度Aengを算出する。
Aeng=(Teng+Treg)/Mv
ステップS7においては、図5のフィードフォワード補償器51を用いて目標減速度Ademを実現するのに必要な制動トルク指令値Tdff(制動トルクのフィードフォワード補償量)を以下により算出する。
つまり、先ず車両諸元により決まる定数K2を用いて目標減速度Ademを制動トルクに換算し、次いで、図5における規範モデル52の特性Fref(s)に、制御対象車両54の応答特性Pm(s)を一致させるためのフィードフォワード補償器(位相補償器)51の、次式で表される特性CFF(s)に上記目標減速度(Adem)対応の制動トルクを通して目標減速度Adem用の制動トルク指令値Tdff(フィードフォワード補償量)を求める。
なお実際には、目標減速度Adem用の制動トルク指令値Tdff(フィードフォワード補償量)も前述と同様に離散化して計算を行う。
CFF(s)=Fref(s)/Pm(s) ・・・(3)
=(Tp・s+1)/(Tr・s+1)・・・(4)
Tp:時定数
Tr:時定数
Pm:制御対象車両の車両モデル特性
(制動トルク指令値に対する車両減速度の特性)
次いでステップS8において、マスターシリンダ液圧Pmcがブレーキペダル操作判定用の微少設定値以上か否かによりブレーキペダル操作が有ったか否かを判定し、
ブレーキペダル操作がないと判定する間は、ステップS8において、運転者がブレーキ操作をする直前の実減速度として定義される減速度基準値αbを求めるためのαoとしてフィードバック制御用減速度αvを記憶し、ステップS6で求めたエンジンブレーキによる車両減速度Aengをエンジンブレーキによる車両減速度の基準値Aengoとして記憶する、減速度基準値αbの学習を行う。
ただし、制動に際し足をアクセルペダルから釈放してブレーキペダルを踏み込むまでの踏み替え時間Tjが設定時間未満の短いものである場合、エンジンブレーキ力が定常値に収束していない可能性があるため、実減速度に替えエンジンブレーキによる車両減速度Aengをαoとして記憶する。
つまり、Tj<設定時間の場合、αo=Aeng、Aengo=Aengとし、Tj≧設定時間の場合、αo=αv、Aengo=Aengと記憶する。
ステップS8でブレーキペダル操作が有ると判定した時はステップS10において、エンジンブレーキによる車両減速度Aengの変化に応じ減速度基準値αbを次式により更新する。
αb=αo+(Aeng−Aengo)
次のステップS11においては以下のごとくに、目標減速度Adem用の制動トルク指令値Tdfb(フィードバック補償量)を求めると共に、目標減速度Ademを実現するのに必要な総制動トルク指令値Tdcomを求める。
本実施例においては減速度制御器を、図5に示すような「2自由度制御系」で構成し、前記したフィードフォワード補償器51および規範モデル52のほかにフィードバック補償器53を有するようなものとする。
制御の安定性や耐外乱性などの閉ループ性能は、フィードバック補償器53で実現され、目標減速度Ademに対する応答性は基本的には(モデル化誤差がない場合)フィードフォワード補償器51で実現される。
フィードバック補償量Tdfbの算出に当たっては先ず目標減速度Ademを、次式で表される特性Fref(s)を持った規範モデル52に通して、目標減速度Ademを所定の応答で実現するのに必要な時々刻々の規範モデル応答減速度(減速度規範値)Arefを求める。
Fref(s)=1/(Tr・s+1) ・・・(5)
更に図5に示すように、規範モデル応答減速度Arefと、制御対象車両54の位相遅れ補償済みフィードバック制御用減速度αv(ステップS3参照)を減速度基準値αbだけオフセットさせて得られるオフセット減速度(αv−αb)との間における減速度フィードバック偏差Δαを求める。
△α=Aref−(αv−αb) ・・・(6)
そしてこの減速度フィードバック偏差Δαを、次式で表される特性CFB(s)のフィードバック補償器53に通して制動トルクフィードバック補償量Tdfbを求める。
CFB(s)=(Kp・s+Ki)/s ・・・(7)
ただし本実施例では、この特性を基本的なPI制御器で実現することとし、制御定数Kp,Kiはゲイン余裕や位相余裕を考慮して決める。
また(5)式および(7)式は、前述と同様に離散化して計算を行う。
ステップS11では更に、図5にも示すように、前記した目標減速度Adem用の制動トルク指令値Tdff(フィードフォワード補償量)と、制動トルクフィードバック補償量Tdfbとを合算して、総制動トルク指令値Tdcomを求める。
次のステップS12においては、回生協調ブレーキ制御のために上記の総制動トルク指令値Tdcomを、回生制動トルク指令値Tmcomと液圧制動トルク指令値Tbcomとに配分する。
ただしこの際、エネルギーをできるだけ回収して燃費を向上させるために、最大許容回生制動トルクTmmaxをできるだけ使い切るよう総制動トルク指令値Tdcomを、回生制動トルク指令値Tmcomと液圧制動トルク指令値Tbcomとに配分する。
ステップS12においては更に、液圧制動トルク指令値Tbcomを、前輪(駆動輪)用の液圧制動トルク指令値と、後輪(従動輪)用の液圧制動トルク指令値とに配分する。
本実施例では、回生ブレーキ用モータ4を駆動輪である前輪(図1に左前輪を1で示す)のみに設定しているため、通常の制動力前後配分を崩さずにすむ場合の後記したモード1,2と、通常の制動力前後配分が崩れる場合の後記したモード3,4とが発生する。
先ず総制動トルク指令値Tdcomを、予め記憶した図6に例示するマップデータをもとに通常通りに前後配分して、通常時の前輪制動トルク指令値Tdcomfおよび後輪制動トルク指令値Tdcomrを求める。
通常の前後制動トルク配分は、制動中における前後輪荷重移動に伴う後輪ロック防止、車両挙動の安定性、制動距離の短縮などを考慮して決められた、回生制動中でない時の基準となる前後制動力配分特性のことである。
以下に示すとおり、下記条件(モード)ごとに前輪液圧制動トルク指令値Tbcomf(絶対値)と、後輪液圧制動トルク指令値Tbcomr(絶対値)と、回生制動トルク指令値Tmcom(絶対値)とを求めて回生協調ブレーキ制御を行う。
(モード4)
Tmmax≧(Tdcomf+Tdcomr)の場合:回生制動のみ
Tbcomf=0
Tbcomr=0
Tmcom=Tdcomf+Tdcomr
(モード3)
Tdcomf+Tdcomr >Tmmax≧Tdcomfの場合:回生制動+後輪液圧制動
Tbcomf=0
Tbcomr=Tdcomf+Tdcomr−Tmmax
Tmcom=Tmmax
(モード2)
Tdcomf>Tmmax≧微少設定値の場合:回生制動+前後輪液圧制動
Tbcomf=Tdcomf−Tmmax
Tbcomr=Tdcomr
Tmcom=Tmmax
(モード1)
上記以外の場合:液圧制動のみ
Tbcomf=Tdcomf
Tbcomr=Tdcomr
Tmcom=0
次のステップS13においては、ステップS12で上記のごとくに求めた前後輪液圧制動トルク指令値Tbcomf,Tbcomrをもとに、予めROMに記憶しておいた車両諸元による定数K3を用いて、前後輪液圧制動トルク指令値Tbcomf,Tbcomrに対応した前後輪のホイールシリンダ液圧指令値Pbcomf,Pbcomrを次式により算出する。
Pbcomf=(Tbcomf×K3)
Pbcomr=(Tbcomr×K3)
最後のステップS14において図1の複合ブレーキコントローラ24は、ステップS12で前記のごとくに求めた回生制動トルク指令値Tmcom、およびステップS13で上記のごとくに求めた前後輪ホイールシリンダ液圧指令値Pbcomf,Pbcomrをそれぞれ、モータトルクコントローラ21および液圧ブレーキコントローラ18に向けて通信する。
モータトルクコントローラ21はインバータ22を介し回生制動トルク指令値Tmcomが達成されるようモータ4を制御し、液圧ブレーキコントローラ18は電磁弁13,14,16の制御を介し前輪ホイールシリンダ2への液圧を指令値Pbcomfになるよう制御すると共に、後輪ホイールシリンダ液圧も同様にして指令値Pbcomrになるよう制御する。
ところで上記した本実施例になる制動制御装置によれば、
実現すべき車両減速度(実施例では減速度規範値Aref)に車輪減速度Awが一致するよう車両の制動力をフィードバック制御するに当たって、車輪減速度Awをそのままフィードバックせず、
この車輪減速度Awに対し、車輪減速度Awの位相と車体減速度Avの位相との間における位相差(図17参照)に応じた位相遅れ補償を施し(ステップS33)、当該位相遅れ補償後の車輪減速度αvを車輪減速度Awの代わりに用いて上記フィードバック制御を行うため、
車体減速度Avと車輪減速度Awとの間の位相差による影響を排除した減速度フィードバック制御が行われることとなり、図17の場合と同じ条件での動作タイムチャートを示す図7から明らかなように、定常時は勿論のこと、ブレーキペダル踏み込み中(Δt1期間)およびブレーキペダル踏み戻し中(Δt2期間)の何れの過渡時も常に車体減速度Avを減速度規範値Arefに精度よく一致させることができる。
ちなみに図12は、車速VSPが85km/hの時に制動を行った場合のブレーキペダル踏力に対する車体減速度Avのリサージュ波形(ブレーキフィーリング評価)を示すもので、図15につき前述したごとく従来のフィードフォワード制御中に外乱が発生した場合、車体減速度Avのリサージュ波形(ブレーキフィーリング評価)はγで示すごとくになり、減速度規範値Arefから大きく乖離してブレーキフィーリングが悪く、また、図17につき前述したごとく従来のフィードフォワード制御およびフィードバック制御(ハイゲイン)の組み合わせ制御中に外乱が発生した場合、車体減速度Avのリサージュ波形(ブレーキフィーリング評価)はδで示すごとくになり、この場合も未だ車体減速度Avのリサージュ波形(ブレーキフィーリング評価)は減速度規範値Arefから大きく乖離してブレーキフィーリングが悪い。
これに対し本実施例の制動力制御によれば、車輪減速度Awに対し前記した位相遅れ補償を行った後の減速度αvをフィードバックすることで、車体減速度Avのリサージュ波形(ブレーキフィーリング評価)をεで示すごとく減速度規範値Arefにかなり接近させることができてブレーキフィーリングを向上させることができる。
また、車体減速度Avを前後加速度センサで検出して、その検出値を車輪減速度Awの代わりに用いて上記フィードバック制御を行う場合、前記した通り低μ路面において当該フィードバック制御が車輪制動スリップを助長させるが、本実施例のごとく車輪減速度Awに上記の位相遅れ補償を施した後の車輪減速度αvを車輪減速度Awの代わりに用いるフィードバック制御によれば、低μ路面においてもかかる弊害を生ずることがない。
ところで、車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れは、制動時における車両走行条件(車体速VSPや、車輪制動スリップ率Slipや、車輪制動力や、車輪制動スリップ率Slipに対する制動力の変化割合など)に応じて変化し、特定条件に合わせて前記の作用効果が達成されるような固定特性(時定数)の位相補償器により車輪減速度Awに位相遅れ補償を施す構成の場合、車両走行条件がずれた時に前記の作用効果が十分に達成されない。
図8は、車体速VSPが100km/hでの制動時に前記の作用効果が達成されるような固定特性(時定数)の位相補償器により車輪減速度Awに位相遅れ補償を施す構成とした場合の動作タイムチャートで、(a)は、車体速VSPが100km/hでの制動時の動作タイムチャート、(b)は、車体速VSPが50km/hでの制動時の動作タイムチャートを示す。
車体速VSPが100km/hでの制動時は図8(a)に示すごとく、車体減速度Avが過渡期も含めて目標とすべき減速度規範値Arefにほぼ一致して狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができるが、
車体速VSPが50km/hでの制動時は同図(b)に示すごとく、位相補償器の時定数が実際の位相遅れに符合しないため車体減速度Avの位相が進み過ぎ、車体減速度Avが過渡期において目標とすべき減速度規範値Arefを追い越すオーバーシュートによりこれと一致しなくなり、狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができない。
逆に、車体速VSPが50km/hでの制動時に前記の作用効果が達成されるような固定特性(時定数)の位相補償器により車輪減速度Awに位相遅れ補償を施す構成とした場合、車体速VSPが50km/hでの制動時は車体減速度Avが過渡期も含めて目標とすべき減速度規範値Arefにほぼ一致して狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができるが、
車体速VSPが100km/hでの制動時に車体減速度Avの位相が遅れ、車体減速度Avが過渡期において目標とすべき減速度規範値Arefと一致しなくなり、狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができない。
そこで本実施例においては、上記位相補償器の時定数を、制動時の車体速が高速であるほど大きくすることにより(制動時の車体速が低速であるほど小さくすることにより)、制動時の車体速が高速であるほど車輪減速度Awの位相遅れ量を大きくなるようにして(制動時の車体速が低速であるほど車輪減速度Awの位相遅れ量を小さくなるようにして)フィードバック制御用減速度αvの前記した演算を行うようになす。
かかる本実施例の構成によれば、以下に説明するように、制動時における車体速VSPの如何にかかわらず前記の作用効果を達成することができる。
図9(a)は、車体速VSPが100km/hでの制動時であるため、当該車速条件での車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れに符合するよう時定数を大きくした位相補償器により車輪減速度Awに位相遅れ補償を施した場合の動作タイムチャートで、同図 (b)は、車体速VSPが50km/hでの制動時であるため、当該車速条件での車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れに符合するよう時定数を小さくした位相補償器により車輪減速度Awに位相遅れ補償を施した場合の動作タイムチャートである。
車体速VSPが100km/hでの制動時は図9(a)に示すごとく、車体減速度Avが過渡期も含めて目標とすべき減速度規範値Arefにほぼ一致して狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができ、また、
車体速VSPが50km/hでの制動時も同図(b)に示すごとく、車体減速度Avが過渡期も含めて目標とすべき減速度規範値Arefにほぼ一致して狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができる。
車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさを左右するファクターとして、上記車体速VSP以外の車輪制動スリップ率Slipや、車輪制動力や、車輪制動スリップ率Slipに対する制動力の変化割合につき、以下に順次考察する。
先ず車輪制動スリップ率Slipについて考察するに、車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさは、スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率が小さいほど大きくなる。
従って、スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの特性を検出することにより、若しくは、一般路走行を想定して制動制御を図13に例示するμ−Slip特性の高μ路に特定すれば、スリップ率Slipからスリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率と、車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさとを推定することができる。
例えば図13に示すようなμ−Slip特性を持った高μ路において、減速度規範値Arefが0.9G程度まで上昇する場合の制動結果を示す図10につき説明するに、
図10は、0.2G相当のスリップ率での制動時に前記の作用効果が達成されるような固定特性(時定数)の位相補償器により車輪減速度Awに位相遅れ補償を施す構成とした場合の動作タイムチャートで、
図11は、車輪制動スリップ率Slipが大きいほど上記位相補償器の時定数を大きくすることにより車輪減速度Awの位相遅れ量を大きくしてフィードバック制御用の減速度αvを求める構成とした場合の動作タイムチャートである。
かように、車輪制動スリップ率Slipが大きいほど上記位相補償器の時定数を大きくすることにより車輪減速度Awの位相遅れ量を大きくした理由は、車輪制動スリップ率Slipが大きいほど車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れが大きくなるためである。
図10の場合、0.2G相当のスリップ率での制動時に前記の作用効果が達成されるよう位相補償器の時定数を固定したため、車体減速度Avが0.2Gを越えて大きくなるにつれ減速度規範値Arefからの乖離が大きくなり、狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができない。
これに対し図11の場合、車輪制動スリップ率Slipが大きいほど位相補償器の時定数を大きくするため、車体減速度Avが如何なる大きさである時においても減速度規範値Arefから大きく乖離することがなく、常に狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができる。
車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさを左右するファクターとしての車輪制動力につき、次に考察する。
車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさは、スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率が小さいほど大きくなる。
図11につき上述したごとくスリップ率Slipに応じて位相補償器の時定数を可変にする考え方もあるが、一般的に高μ路ではスリップ率Slipが小さくてその測定精度が低い傾向にあるのが難点である。
また、パルス信号の周期や周波数を計測する車速センサを用いる場合も、低車速において車速VSPの検出精度が低く、これを用いて求めるスリップ率Slipの検出精度も低い傾向となるという難点がある。
これに対し車輪制動力は、高μ路や低車速のもとでも検出精度が高いという利点があり、特に、電気モータによる回生制動装置を具えた車両にあっては車輪制動力を計測が容易であると共に正確である。
従って、スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの特性を検出することにより、若しくは、一般路走行を想定して制動制御を図13に例示するμ−Slip特性の高μ路に特定すれば、高μ路や低車速のもとでも車輪制動力推定値からスリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率と、車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさとを高精度に推定することができる。
以上の事実から、高μ路や低車速のもとでも高精度に推定可能な車輪制動力推定値を基に、車輪制動力が大きいほど位相補償器の時定数を大きくすることにより車輪減速度Awの位相遅れ量を大きくしてフィードバック制御用の減速度αvを求めることとする。
かように、車輪制動力が大きいほど位相補償器の時定数を大きくすることにより車輪減速度Awの位相遅れ量を大きくした理由は、車輪制動力が大きいほど車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れが大きくなるためである。
かかる構成によれば、如何なる車輪制動力の基でも車体減速度Avが減速度規範値Arefにほぼ一致して、狙い通りのブレーキフィーリングを実現することができる。
また、車輪スリップ率Slipを上記の理由から高精度に計測することが困難な高μ路走行時や低車速走行時においても、車輪制動力はこれを高精度に推定可能であることから、車輪制動力に応じて位相補償器の時定数を可変にする当該構成によれば、上記の作用効果を高μ路走行時や低車速走行時においても確実に達成することができて大いに有利である。
車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさを左右するファクターである、車輪制動スリップ率Slipに対する制動力変化割合(μ−Slip特性の傾き)につき、次に考察する。
車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさは、スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの変化率が小さいほど大きくなる。
図11につき上述したごとくスリップ率Slipに応じて位相補償器の時定数を可変にする考え方や、上記のごとく車輪制動力に応じて位相補償器の時定数を可変にする考え方を採用する場合、上記したごとく、スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの特性を検出する必要があったり、若しくは、図13に例示するμ−Slip特性の高μ路での制動制御に特定する必要があったが、
車輪制動スリップ率Slipに対する制動力変化割合(μ−Slip特性の傾き)はこれを直接計測可能で、上記のような制約なしにこれを用いて、車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れの大きさを高精度に推定することができる。
そこで、車輪制動スリップ率Slipに対する制動力変化割合(μ−Slip特性の傾き)を直接計測し、これを基に、車輪制動スリップ率Slipに対する制動力変化割合(μ−Slip特性の傾き)が小さいほど位相補償器の時定数を大きくすることにより車輪減速度Awの位相遅れ量を大きくしてフィードバック制御用の減速度αvを求めることとする。
かように、車輪制動スリップ率Slipに対する制動力変化割合(μ−Slip特性の傾き)が小さいほど位相補償器の時定数を大きくすることにより車輪減速度Awの位相遅れ量を大きくした理由は、車輪制動スリップ率Slipに対する制動力変化割合(μ−Slip特性の傾き)が小さいほど車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れが大きくなるためである。
かかる構成によれば、スリップ率Slipに対する路面摩擦係数μの特性を検出する必要なしに、また、高μ路での制動制御に特定する必要なしに、つまり、走行路面のμ−Slip特性にかかわらず、また、高μ路や低車速のもとでも車体減速度Avを常に減速度規範値Arefにほぼ一致させて、狙い通りのブレーキフィーリングを常に実現し得るという作用効果を達成することができる。
なお上記では、車輪減速度Awに対する車体減速度Avの位相遅れに影響するファクタ、つまり、制動時における車体速VSPや、車輪制動スリップ率Slipや、車輪制動力や、車輪制動スリップ率Slipに対する制動力変化割合について個別に説明したが、
これらファクタを組み合わせて位相補償器の時定数を決定するようにし得ること勿論である。
本発明の一実施例になる制動制御装置を具えた複合ブレーキの制御システム図である。 同複合ブレーキにおける複合ブレーキ協調コントローラが実行する制動制御プロペラシャフトを示すフローチャートで、 (a)は、制動制御のメインルーチン、 (b)は、車輪減速度に対する位相遅れ補償に関したサブルーチンである。 エンジンブレーキ力の変化特性図である。 平坦路走行抵抗の変化特性図である。 車両の減速度制御器を示すブロック線図である。 通常の制動トルク前後配分特性を例示する特性図である。 図2による制動制御の動作タイムチャートである。 位相補償器の時定数を車体速100km/h用に固定した場合の図2による制動制御の動作タイムチャートで、 (a)は、車体速100km/hでの制動時における動作タイムチャート、 (b)は、車体速50km/hでの制動時における動作タイムチャートである。 位相補償器の時定数を車体速に応じて可変にした場合の図2による制動制御の動作タイムチャートで、 (a)は、車体速100km/hでの制動時における動作タイムチャート、 (b)は、車体速50km/hでの制動時における動作タイムチャートである。 位相補償器の時定数を0.2G相当のスリップ率用に固定した場合の図2による制動制御の動作タイムチャートである。 位相補償器の時定数をスリップ率に応じて可変にした場合の図2による制動制御の動作タイムチャートである。 図2による制動制御を実行した場合のブレーキペダル踏力に対する車体減速度の変化特性を、従来の制動制御による特性と比較しつつ、目標とすべき減速度規範値の変化特性と共に示す特性線図である。 高μ路での車輪制動スリップ率に対する路面摩擦係数の変化特性を例示する特性線図である。 モデル化誤差がない場合において、従来のフィードフォワード制御のみによる制動制御を行った場合の動作タイムチャートである。 モデル化誤差が発生した場合において、従来のフィードフォワード制御のみによる制動制御を行った場合の動作タイムチャートである。 モデル化誤差が発生した場合において、従来のフィードフォワード制御およびフィードバック制御(ローフィードバックゲイン)による制動制御を行った場合の動作タイムチャートである。 モデル化誤差が発生した場合において、従来のフィードフォワード制御およびフィードバック制御(ハイフィードバックゲイン)による制動制御を行った場合の動作タイムチャートである。
符号の説明
1 車輪
2 ホイールシリンダ
3 歯車箱
4 交流同期モータ
5 ブレーキペダル
6 油圧ブースタ
7 マスターシリンダ
8 ブレーキ液圧配管
9 リザーバ
10 ポンプ
11 アキュムレータ
12 圧力スイッチ
13 電磁切替弁
14 増圧弁
15 増圧回路
16 減圧弁
17 減圧回路
18 液圧ブレーキコントローラ
19 圧力センサ
20 圧力センサ
21 モータトルクコントローラ
22 直流・交流変換用電流制御回路(インバータ)
23 直流バッテリ
24 複合ブレーキ協調コントローラ
25 車輪速センサ
26 ストロークシミュレータ
51 フィードフォワード補償器
52 規範モデル
53 フィードバック補償器
54 制御対象車両

Claims (7)

  1. 車両の制動操作状態に応じた実現すべき車両減速度に車輪減速度が一致するよう、車両の制動力をフィードバック制御するに際し、
    スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率と車体速から位相遅れ補償用時定数を算出することにより、前記車輪減速度に対し、該車輪減速度の位相と車体減速度の位相との間における位相差に応じた位相遅れ補償を施し、
    該位相遅れ補償後の車輪減速度を前記フィードバック制御用の車輪減速度として用いることを特徴とする車両の制動制御方法。
  2. 車両の制動操作状態から、実現すべき車両減速度を求める目標車両減速度演算手段と、
    車輪速検出値から車輪減速度を演算する車輪減速度演算手段とを具え、
    これら手段からの信号を基に前記車輪減速度が前記実現すべき車両減速度に一致するよう車両の制動力をフィードバック制御するようにした車両の制動制御装置において、
    スリップ率に対する路面摩擦係数の変化率と車体速から位相遅れ補償用時定数を算出することにより、前記車輪減速度に対し、該車輪減速度の位相と車体減速度の位相との間における位相差に応じた位相遅れ補償を施す車輪減速度位相遅れ補償手段を設け、
    該位相遅れ補償後の車輪減速度を前記フィードバック制御用の車輪減速度として用いるよう構成したことを特徴とする車両の制動制御装置。
  3. 請求項2に記載の車両の制動制御装置において、
    前記車輪減速度位相遅れ補償手段は、前記車輪減速度の位相遅れ量を制動時における車両走行条件に応じて変更する車輪減速度位相遅れ量決定手段を具えたものである車両の制動制御装置。
  4. 請求項3に記載の車両の制動制御装置において、
    前記車輪減速度位相遅れ量決定手段は、制動時の車体速が高速であるほど前記車輪減速度の位相遅れ量を大きくするものである車両の制動制御装置。
  5. 請求項3または4に記載の車両の制動制御装置において、
    前記車輪減速度位相遅れ量決定手段は、車輪の制動スリップ率が大きいほど前記車輪減速度の位相遅れ量を大きくするものである車両の制動制御装置。
  6. 請求項3〜5のいずれか1項に記載の車両の制動制御装置において、
    前記車輪減速度位相遅れ量決定手段は、車輪の制動力が大きいほど前記車輪減速度の位相遅れ量を大きくするものである車両の制動制御装置。
  7. 請求項3または6に記載の車両の制動制御装置において、
    前記車輪減速度位相遅れ量決定手段は、車輪の制動スリップ率に対する制動力の変化割合が小さいほど前記車輪減速度の位相遅れ量を大きくするものである車両の制動制御装置。
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