JP4759129B2 - アジリジン化合物の製造方法および気相反応方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はアジリジン化合物の製造方法および気相反応方法に関し、詳しくは気相法によりアルカノールアミンからアジリジン化合物を工業的に有利に製造する方法および気相反応を工業的に有利に行う方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アジリジン化合物を製造する方法としては、従来は、液相中でモノエタノールアミンの硫酸エステルを濃アルカリ溶液で処理してエチレンイミンを製造する方法(液相法)が用いられていたが、副原料として硫酸およびアルカリを大量に用いるため製造コストが高く、さらには利用価値の低い無機塩が副生するなど、工業的には多くの欠点を有している。
【0003】
そこで、近年では、副原料を必要としない、アルカノールアミンを触媒の存在下に気相分子内脱水反応(以下、単に「脱水反応」ということもある。)させ直接アジリジン化合物を製造する方法(気相法)がコスト上有利なため用いられている。気相法によるアジリジン化合物の製造方法については種々の方法が提案されている。
【0004】
例えば、特開平4−217659号公報には、アルカノールアミンを脱水反応させてアジリジン化合物を生成させる反応工程、このアジリジン化合物を含有する反応混合物を、反応工程で使用したと同じアルカノールアミン(捕集剤)と接触させてアジリジン化合物を捕集する捕集工程、アジリジン化合物を含有する捕集液(以下、単に「捕集液」という。)を精製塔に導入して精製する精製工程、および精製塔からの缶出液を水の存在下に蒸留してアルカノールアミンを回収する回収工程からなるプロセスが記載されている。
【0005】
特公平5−55498号公報には、アルカノールアミンの脱水反応を希釈ガスが存在しないか、あるいは存在しても少量の希釈ガスの存在下で行う方法が記載されている。この方法によれば、反応ガスを冷却して凝縮した後、捕集工程を経ることなく、直接蒸留工程に導いて、アジリジン化合物を得ることができる。なお、捕集工程を設けてもよく、この場合には、捕集剤の使用量を低減できるとされている。
【0006】
また、特公平7−88353号公報には、アルカノールアミンの脱水反応の後に、反応ガスをアミン化合物またはその溶液からなる捕集剤と接触させて捕集する方法が記載されている。具体的には、反応ガスを冷却した後、捕集塔に導入し、ここで捕集剤と接触させてアジリジン化合物を捕集し、次いで捕集液を蒸留塔に導入してアジリジン化合物を得るというものである。
【0007】
以上のように、気相法としては、アルカノールアミンを脱水反応させてアジリジン化合物を生成させる反応工程、反応ガス中のアジリジン化合物を捕集する捕集工程、および捕集液を蒸留して製品アジリジン化合物を得る精製工程を経て、あるいは捕集工程を設けることなく、上記の反応工程と精製工程とを経てアルカノールアミンからアジリジン化合物を製造する方法が一般に知られている。そして、前記公報にも記載のように、反応工程からの反応ガスは、熱交換器などにより冷却した後に、捕集工程、あるいは精製工程に供給することが行われている。具体的に、特開平4−217659号公報では、反応ガスを−10℃(この場合には凝縮)や100℃に冷却した後、捕集塔に供給し、特公平5−55498号公報では、反応ガスを−10℃に冷却した後、蒸留塔に供給し、また特公平7−88353号公報では、反応ガスを110℃に冷却した後、捕集塔に供給することが記載されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、例えば、反応器(または反応塔)、捕集塔および蒸留塔を用い、工業的規模でアジリジン化合物を製造する場合、反応器触媒層出口から捕集塔までの間、特に反応ガスを冷却あるいは冷却凝縮させるために捕集塔の前に設けられた熱交換器の内部や、熱交換器から捕集塔までの配管の内壁にはタール状物質が付着する。そして、このようなタール状物質が配管内壁などに付着すると、▲1▼圧力損失が増加し、反応器に供給する原料アルカノールアミンの気化に要するエネルギーが増加する、▲2▼プラントを停止してタール状物質を洗浄、除去することが必要となる、▲3▼配管の閉塞を引き起こすこともある、などの問題が生じる。
【0009】
上記のような問題は、気相分子内脱水反応、気相分子内脱アルコール反応などの各種気相反応を実施する際にも不可避的に発生する。
【0010】
本発明の目的に一つは、上記のような従来技術の問題を解決し、タール状物質の配管などへの付着を効果的に防止し、工業的に有利にアジリジン化合物を製造する方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、タール状物質の配管などへの付着を効果的に防止して、気相分子内脱水反応、気相分子内脱アルコール反応などの各種気相反応を工業的に有利に実施する方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らの研究によれば、(1)少なくとも反応器出口から捕集塔入口までの配管部を200℃を下回らない温度に保持することにより、あるいは(2)反応器触媒層出口からの反応ガスを、好ましくは反応器触媒層出口付近で、捕集塔で使用するのと同じ捕集剤と接触させることにより、タール状物質の付着を効果的に防止できることがわかった。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。
【0013】
すなわち、本発明は、アルカノールアミンを反応器に導入し、触媒の存在下に気相分子内脱水反応させてアジリジン化合物を製造する工程と、アジリジン化合物を含む反応ガスを捕集塔に導入し、捕集剤と接触させてアジリジン化合物を捕集する工程とを含むアジリジン化合物の製造方法において、少なくとも反応器出口から捕集塔入口までの配管部を200℃を下回らない温度に保持することを特徴とするアジリジン化合物の製造方法である。
【0017】
本発明の方法によって、タール状物質の配管などへの付着を効果的に防止できる理由については、未だ十分解明するに至っていない。しかし、本発明者らは、▲1▼前記公報にも記載のように、反応ガス中には、カルボニル化合物やピペラジンなどの各種アミン類が副生物として含まれており、これら副生物のなかでも、カルボニル化合物などは目的生成物のアジリジン化合物などと反応して付加物を形成することが知られているが、このような付加物は、反応ガスを、従来方法のように、熱交換器で100℃程度まで冷却した後、捕集塔に導入すると、熱交換器の内部や熱交換器と捕集塔を結ぶ配管内で凝縮、成長してタール状物質を形成する、▲2▼したがって、反応器出口から捕集塔入口までの配管部を200℃を下回らない温度に保持するか、あるいは反応ガス中の付加物が凝縮、成長する前に、すなわち反応器触媒層出口から出たガスを、好ましくは反応器触媒層出口付近で、捕集塔で使用するのと同じ捕集剤と接触させて、付加物を捕集剤中に取り込んでしまうことにより、付加物の凝縮、成長を防止でき、ひいてはタール状物質の付着を効果的に防止できるものと考えている。なお、本発明は、このような理論的考察によって制約を受けるものではない。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明において原料として用いるアルカノールアミンとは、一般式(1)
【0019】
【化1】
【0020】
(式中、Rは水素、メチル基またはエチル基であり、Xは水酸基またはアミノ基であり、YはXが水酸基のときはアミノ基、Xがアミノ基のときは水酸基である。)で表される化合物である。このアルカノールアミンの代表例としては、モノエタノールアミン、イソプロパノールアミン、2−アミノ−1−プロパノール、1−アミノ−2−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノールなどを挙げることができる。
【0021】
また、アジリジン化合物とは、上記アルカノールアミンの脱水反応によって得られる、一般式(2)
【0022】
【化2】
【0023】
(式中、Rは一般式(1)と同意義である。)
で表される化合物である。このアジリジン化合物の代表例としては、エチレンイミン、2−メチルエチレンイミン、2−メチルエチレンイミン、2−エチルエチレンイミン、2−エチルエチレンイミンなどを挙げることができる。
【0024】
アルカノールアミンを脱水反応させてアジリジン化合物を製造する方法それ自体には特に制限はなく、一般に知られている方法にしたがって行うことができる。具体的には、アルカノールアミンを気化させて反応器に供給し、ここでアルカノールアミンを脱水反応させてアジリジン化合物を生成させる反応工程、反応器からの反応ガスを捕集塔に供給し、ここで反応ガスからアジリジン化合物を捕集する捕集工程、および得られた補集液を蒸留塔に供給し、ここで蒸留して製品アジリジン化合物を得る精製工程、あるいは前記と同じ反応工程、反応器からの反応ガスを冷却して凝縮させる凝縮工程、および得られる凝縮液を蒸留器に供給し、ここで蒸留して製品アジリジン化合物を得る精製工程を経て製造することができる。これらの詳細については、前記公報を参照することができる。
【0025】
反応器としては、アルカノールアミンの脱水反応に一般に用いられているものを使用することができる。反応器で脱水反応を実施する際の温度は、通常、300〜500℃、好ましくは350〜450℃であり、圧力は、常圧、減圧あるいは加圧のいずれでもよく、減圧の場合は、13〜667hPa(10〜500mmHg)である。空間速度は、通常、10〜20,000h-1、好ましくは50〜5000h-1(STP)であり、減圧下の場合は、50〜2000h-1(STP)である。また、脱水反応に使用する触媒についても特に制限はなく、一般に用いられている触媒、例えば、ヨーロッパ公開特許第227461号、同第228898号、同230776号公報などに記載の触媒を使用することができる。
捕集塔としては、充填塔、棚段式、多管式、噴霧式、濡れ壁式、あるいはこれらの組み合わせのいずれを用いてもよい。捕集剤としては、アジリジン化合物の捕集に一般に用いられている捕集剤から適宜選択して使用することができる。原料として用いたのと同じアルカノールアミンまたはその水溶液を用いてもよいが、反応生成物の凝縮液を利用するのが簡単かつ経済的である。例えば、捕集塔底部の液を外部熱交換器を通して反応ガスがもっている顕熱、凝縮熱を除去した後、一部を捕集剤とする。このとき、原料を一部加えてもよい。
【0026】
蒸留塔としては、充填塔、棚段塔などいずれの蒸留塔も使用することができる。蒸留方式も連続蒸留あるいは回分蒸留のいずれでもよく、また常圧、減圧あるいは加圧のいずれの条件下でも実施することができる。アジリジン化合物は蒸留塔塔頂から取り出し、必要により更に精製して製品アジリジン化合物とする。一方、蒸留塔塔底からは未反応アルカノールアミン、精製水、シッフ塩基やケチミン、ピペラジン類などの副生物を含む缶出液を抜き出す。この缶出液は、通常、回収塔に供給してアルカノールアミンを回収する。この回収については、前記特開平4−217659号公報を参照することができる。
【0027】
また、冷却器としては、通常、熱交換器が用いられる。
【0028】
本発明の特徴は、▲1▼反応工程、捕集工程および精製工程を含むプロセスにしたがって、気相法によりアルカノールアミンからアジリジン化合物を製造する際に、(A)少なくとも反応器出口から捕集塔入口までの配管部を200℃を下回らない温度に保持するか、あるいは(B)反応ガスを捕集塔に導入する前に、好ましくは反応器触媒層出口付近で捕集剤と接触させて、反応器出口から捕集塔入口までの配管部などでのタール状物質の付着を防止し、また、▲2▼捕集工程を設けることなく、反応工程、凝縮工程および精製工程を含むプロセスにしたがってアジリジン化合物を製造する際には、(C)反応ガスを冷却器に導入する前に、好ましくは反応器触媒層出口付近で捕集剤と接触させることにより、反応器出口から冷却器までの配管や冷却器の内部などでのタール状物質の付着を防止する点にある。
【0029】
方法(A)および(B)において、「配管部」とは、反応器出口と捕集塔入口とを結ぶ配管および必要に応じて捕集塔の前に設けられる冷却器、例えば熱交換器を意味する。
【0030】
方法(A)において、少なくとも反応器出口から捕集塔入口までの配管部を200℃を下回らない温度に保持するには、配管部にヒータなどの一般に用いられている加熱手段を設け、加熱すればよい。ここにおける配管部の温度とは配管部外壁の温度を意味する。配管部は、通常、200〜500℃、好ましくは300〜400℃の温度に保持する。配管部の温度が高くなりすぎると、反応ガス中のアジリジン化合物の分解、燃焼などが起こり、収率が低下するなどの問題が生じる。
【0031】
反応器触媒層出口から反応器出口までの部分においても、外部から加熱するなどして、反応ガスの温度の低下をできるだけ少なくすると、タール状物質の付着をより効果的に防止することができる。
また、反応ガスを捕集塔に導入する前、好ましくは反応器触媒層出口付近で捕集剤と接触させるとタール状物質の付着をより効果的に防止することができる。捕集剤としては、通常、捕集工程で用いる捕集剤と同一の捕集剤が用いられる。
【0032】
なお、方法(A)においては、比較的高温の反応ガスが捕集塔に供給されるので、捕集塔でのアジリジン化合物の捕集率は、反応ガスを凝縮あるいは100℃程度まで冷却した後、捕集塔に導入する従来技術に比べて、低い。そのため、捕集塔塔頂からのガスを冷却あるいは冷却凝縮させた後、第二の捕集塔に導入してアジリジン化合物の回収を行うのが好ましい。なお、この際、捕集塔から冷却器までの配管、冷却器、および冷却器から第二の捕集塔までの配管にタール状物質の付着は起こらない。そのほか、後記図1に示すフローシートのように、捕集塔103からの捕集液と冷却器104からの凝縮液とを貯蔵タンク105に貯蔵し、貯蔵タンク105からのガスを第二の捕集塔106に導入し、アジリジン化合物の回収を図ってもよい。
【0033】
方法(B)においては、反応ガスと捕集剤とを反応器触媒層出口付近で接触させるのが、より効果的にタール状物質の付着を防止できる点で好ましい。捕集剤としては、通常、捕集工程で用いる捕集剤と同一の捕集剤が用いられる。なお、方法(B)においては、方法(A)におけるような配管部の加熱、保温の必要はない。
【0034】
方法(C)においても、反応ガスと捕集剤とを反応器触媒層出口付近で接触させるのが、より効果的にタール状物質の付着を防止できる点で好ましい。捕集剤としては、通常、捕集工程で用いる捕集剤と同一の捕集剤が用いられる。なお、反応工程の条件などについては特公平5−55498号公報を参照することができる。
【0035】
図1は、本発明の方法(A)の一つの実施態様を示したフローシートである。図2は、本発明の方法(A)または(B)において、反応ガスと捕集剤とを接触させる一つの態様を示した部分説明図である。以下、図面に基づいて、本発明を説明する。
【0036】
図1において、原料アルカノールアミンをライン1を経て蒸発器101に供給して気化させる。必要に応じて、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを、場合により副反応をおさえる目的のためのアンモニア、水蒸気、水素などとともにライン2から蒸発器101に供給してアルカノールアミン濃度を調節する。この原料ガス混合物をライン3を経て触媒の充填された反応器102に供給する。脱水反応後、反応器102を出た反応ガスの組成は、原料ガス希釈剤である不活性ガスを除けば、アジリジン化合物、未反応アルカノールアミン、水分、カルボニル化合物、各種アミン化合物などである。
【0037】
上記反応ガスは、ライン4を経て捕集塔103に供給し、ライン5から供給された捕集剤、通常、原料と同じアルカノールアミンと接触させる。ここで、ライン4は、その外壁温度が200℃を下回らないようにヒータなどにより加熱、保温してある。
【0038】
捕集塔103には、通常、充填物を充填するが、充填しなくてもよい。捕集塔103の塔頂からは、未吸収の反応ガスをライン8を経て抜き出し、塔底からはアジリジン化合物を吸収した捕集液をライン6を経て取り出す。この捕集液はライン6を経て熱交換器108に導入して冷却した後、一部をライン7を経て貯蔵タンク105に送り、残りは捕集液としてライン5から捕集塔103に導入する。
【0039】
捕集塔103から抜き出したガスは熱交換器104で冷却、凝縮させた後、ライン9を経て貯蔵タンク105に送る。ライン7からの捕集液とライン9からの凝縮液とは貯蔵タンク105で貯蔵した後、ライン10から蒸留塔107に供給し、ここで蒸留精製してライン11から高純度の製品アジリジン化合物を取り出す。一方、蒸留塔107の塔底からは未反応アルカノールアミンなどを含む高沸点物をライン12を経て取り出し、必要に応じて、回収工程(図示してない。)に導いて、アルカノールアミンを回収する。
【0040】
貯蔵タンク105の頂部からの排出ガス中には未捕集のアジリジン化合物が含まれているので、ライン13を経て捕集塔106に導入し、ライン14から供給した捕集剤と接触させて、未捕集のアジリジン化合物を回収する。捕集液は貯蔵タンク105に貯蔵されることになる。
【0041】
図2において、触媒層110を出た反応ガスはライン20から供給した捕集剤と接触させる。捕集剤は、通常、スプレー装置を用いて反応塔102内に供給する。
【0042】
次に、本発明の気相反応方法について説明するが、本発明の気相反応方法には、気相分子内脱水反応および気相分子内脱アルコール反応が含まれる。
【0043】
気相分子内脱水反応としては、前記のアジリジン化合物製造反応のほかに、例えば、環式N−(2−ヒドロキシアルキル)化合物を気相で分子内脱水反応させて、ビニルピロールなどの環式N−ビニル化合物を製造する反応を挙げることができる。この反応については、特開平9−208559号公報を参照することができる。また、グリコールエーテル類を気相脱水反応させてメチルビニルエーテル、エチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類を製造する反応を挙げることができる。この反応については、特開平8−143497号公報を参照することができる。
【0044】
気相分子内脱アルコール反応としては、例えば、N−(1−アルキルオキシアルキル)カルバメート類を気相で脱アルコール反応させて,N−ビニル−N−メチル−O−メチルカルバメート、N−ビニル−N−エチル−O−メチルカルバメート、N−(1−プロペニル)−O−メチルカルバメート、N−(1−ブテニル)−O−メチルカルバメートなどのN−ビニルカルバメート類を製造する反応を挙げることができる。この反応については、特開平8−281115号公報を参照することができる。
【0045】
上記のような気相分子内脱水または脱アルコール反応による方法を、例えば、反応器、捕集剤を用いて反応ガス中の目的生成物を捕集する捕集塔、および捕集液を蒸留して目的物を得る蒸留塔を用いて実施するに当たり、少なくとも反応器出口から捕集塔入口までの配管部を200℃を下回らない温度に保持することにより、配管などへのタール状物質の付着を防止することができる。さらに、反応ガスを捕集塔に導入する前に、好ましくは反応器触媒層出口付近で捕集液と接触させることにより、更に効果的にタール状物質の付着を防止することができる。
【0046】
また、上記のような気相分子内脱水または脱アルコール反応による方法を、反応器、反応ガスを冷却して凝縮させる冷却器、および凝縮液を蒸留して目的物を得る蒸留塔を用いて実施するに当たり、反応ガスを冷却器に導入する前に、好ましくは反応器触媒層出口付近で捕集液と接触させることにより、タール状物質の配管などへの付着を防止することができる。
【0047】
なお、詳細については、前記アジリジン化合物の製造に係わる説明を参照することができる。
【0048】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、タール状物質の配管内壁などへの付着を効果的に防止することができる。したがって、プラントを停止してタール状物質を洗浄、除去するなどの作業が不必要となるなど、工業的に有利にアジリジン化合物を製造することができる。また、各種気相反応を工業的に有利に実施することができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。
実施例1
図1に示すフローシートにしたがってアジリジン化合物の製造を行った。
<触媒調製> 硝酸アルミニウム(9水塩)900gを水2.4リットル(以下、Lで表示する。)に溶解し、リン酸三アンモニウム357.6gをみず1.4Lに溶解した溶液を攪拌しながら加えた。得られた沈殿をろ過、水洗した後、酸化バリウム73.6gと水100mLとを用い、よく攪拌した。得られた粘土状物質を外径約5mm、長さ約5mmの円柱ペレット状に成型し、乾燥した後、1000℃で2時間焼成して、酸素を除く原子比でAl1P1Ba0.2なる組成の触媒を得た。
<反応工程> 上記触媒1Lを、反応器102に設置された内径25mmのステンレス鋼製反応管に充填し、熱媒体で420℃に加熱した。蒸発器101で気化してなるモノエタノールアミンを反応管内に、反応管出口圧力133hPa(100mmHg)、空間速度400h-1の条件下に通して、脱水反応を行った。反応ガスは、モノエタノールアミン42.2容量%、エチレンイミン24.7容量%、水27.1容量%、アセトアルデヒド1.8容量%および少量のアンモニア、モノエタノールアミンの二量化物を含むものであった。
<捕集工程> 反応器102からの反応ガスは、ライン4を経て内径25mm、長さ1000mmのステンレス鋼製の捕集塔103に導入した。反応器触媒層出口から捕集塔103までの間の、反応器下方部およびライン4の外壁温度を、電気ヒータにより340℃に保温した。捕集塔103には、40℃に調整したモノエタノールアミンをライン5から30L/hの流量で供給した。
【0050】
上記の条件で1週間運転後、装置を点検したところ、反応器102の出口、ライン4、捕集塔103および冷却器104には、タール状物質の付着は認められなかった。
比較例1
図1のフローシートにおいて、ライン4に内径25mmの二重管式冷却器を設け、また反応器触媒層出口から捕集塔103までの間の、反応器下方部およびライン4の外壁温度を150℃に保持した以外は、実施例1と同様にしてアジリジン化合物の製造を行った。
【0051】
上記の条件で1週間運転後、装置を点検したところ、タール状物質の付着により二重管式冷却器が閉塞した。また、反応器出口およびライン4にはタール状物質の付着が認められた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一つの実施態様を示したフローシートである。
【図2】 本発明における、反応ガスと捕集剤とを接触させる一つの実施態様を示した部分説明図である。
【符号の説明】
101 気化器
102 反応器
103 捕集塔
104 冷却器
105 貯蔵タンク
106 捕集塔
107 蒸留塔
108 冷却器
Claims (3)
- アルカノールアミンを反応器に導入し、触媒の存在下に気相分子内脱水反応させてアジリジン化合物を製造する工程と、アジリジン化合物を含む反応ガスを捕集塔に導入し、捕集剤と接触させてアジリジン化合物を捕集する工程とを含むアジリジン化合物の製造方法において、少なくとも反応器出口から捕集塔入口までの配管部を300℃を下回らない温度に保持することを特徴とするアジリジン化合物の製造方法。
- 捕集剤がアルカノールアミンである請求項1記載のアジリジン化合物の製造方法。
- アルカノールアミンがモノエタノールアミンである請求項1または2記載のアジリジン化合物の製造方法。
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