JP4758941B2 - アルミニウム合金の製造方法およびその用途 - Google Patents
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高濃度のMgを含有したアルミニウム合金を圧延材として板材に用いる場合、所定の組成に配合した溶湯を鋳造して鋳塊を得、この鋳塊に溶体化処理(熱処理)を施したのち、熱間圧延加工および焼鈍を行って板状にするのが一般的である。
本発明は、以上の知見に基づき完成したものである。
(1)重量比で、Mgが5〜8%、MgおよびAl以外の元素が合計160ppm以下、残部がAlである組成を有する鋳塊を、室温から400〜450℃の温度まで20〜100℃/時の速度で昇温して6〜48時間保持し、引き続き、480〜520℃の温度まで70℃/時以下の速度で昇温して6〜48時間保持した後、100℃/時以上の速度で200℃以下の温度にまで冷却する、ことを特徴とするアルミニウム合金の製造方法。
(2)前記鋳塊は、MgおよびAl以外の元素として、重量比で、Feを0.1〜30ppm、Siを0.1〜50ppm、Gaを0.001〜50ppm含む組成を有する、前記(1)記載のアルミニウム合金の製造方法。
(3)重量比で、Mgが5〜8%、MgおよびAl以外の元素が合計160ppm以下、残部がAlである組成を有するアルミニウム合金を圧延してなる、ことを特徴とする圧延材。
(4)表面に厚み3μm以上の酸化皮膜が設けられてなる、前記(3)記載の圧延材。
(5)前記(4)記載の圧延材からなる、ことを特徴とする反射板。
最初に鋳塊に施す1次加熱は、室温から400〜450℃の温度まで20〜100℃/時の速度で昇温して6〜48時間保持するものである。1次加熱の保持温度は、好ましくは400〜435℃である。1次加熱の保持温度が400℃未満であると、鋳塊中に偏在するMgの固溶分散が48時間保持しても不充分となり、一方、450℃を超えると、鋳塊中で偏在する高濃度のMg部分で部分溶解が生じ、これがミクロポア生成の原因となる。1次加熱の際の昇温速度が20℃/時よりも遅いと、前記保持温度に達するまでに長時間を要するため、生産性の低下やコスト高を招くことになり、一方、100℃/時よりも速いと、処理材の温度制御が困難になる。1次加熱の際の保持時間が6時間よりも短いと、鋳塊中に偏在するMgの固溶分散が不充分となり、一方、48時間よりも長いと、処理に長時間を要するため、生産性の低下やコスト高を招くことになる。
このような本発明の圧延材は、例えば、溶体化処理(もしくは均質化処理)として、上述した本発明のアルミニウム合金の製造方法に従い、特定組成のアルミニウム鋳塊に上述した2段階の加熱処理を施し、その後、得られたアルミニウム合金に圧延加工(熱間圧延加工)および焼鈍を施すことにより、得ることができる。圧延加工および焼鈍の加工条件等に関しては特に制限されるものではなく、例えばJIS−A−5000番系合金の条件などを採用することができる。本発明の圧延材は、高い反射率と高強度を兼ね備えたものであり、しかもクラックや膨れなどの品質欠陥もなく、例えば反射板として好適に用いることができる。
前記酸化皮膜の厚みは、充分な耐食性を付与することを考慮すると、3μm以上であればよいが、より好ましくは6〜20μmであるのがよい。
前記陽極酸化処理における直流電流の電流密度および処理時間は、目的とする酸化皮膜の厚みにより適宜設定すればよい。つまり、陽極酸化処理においては、圧延材の単位面積あたりの直流電流の電荷量(電流量)と処理時間との積に見合った厚みの陽極酸化皮膜が形成される。具体的には、電流密度は、通常0.005〜0.045A/cm2、好ましくは0.01〜0.02A/cm2とするのがよく、処理時間は、通常5〜240分間、好ましくは10〜60分間とするのがよい。電流密度が高すぎると、電解温度が上昇する傾向があり、一方、低すぎると、形成される皮膜の耐食性や耐磨耗性が不充分となるおそれがある。
(実施例1)
高純度アルミニウム(純度:99.999%)に、Mg(純度:99.99%)を含有量6.4重量%となるように配合し、750℃で2時間真空処理した後、得られた750℃のアルミニウム合金溶湯を150℃の鋳鉄鋳型(22mm×150mm×200mm)にて鋳造して、鋳塊を得た。この鋳塊に含まれるFeの含有量は2重量ppm、Siの含有量は3重量ppm、Gaの含有量は1重量ppm、その他Cuの含有量が1重量ppmであり、MgおよびAl以外の元素の合計含有量は7ppmであった。
この鋳塊に次のような加熱条件で溶体化処理を施した。すなわち、鋳塊を室温から430℃まで50℃/時の速度で昇温して10時間保持し、引き続き、500℃まで50℃/時の速度で昇温して10時間保持した後、500℃から200℃になるまで300℃/時の速度で冷却した。その後、溶体化処理を施した鋳塊の両面を2mm面削加工して、450℃にて厚さ18mmから1mmまで94%圧延する熱間圧延加工を施して板状に成形したところ、クラックは発生しなかった。次いで、得られた成形品を400℃で30分間焼鈍したところ、膨れなどの品質欠陥は認められなかった。
得られた圧延材(板状の成形品)の光沢性は、以下のようにして評価した。
まず、圧延材(厚さ1mm)の表面を金属磨き剤(日本研磨工業(株)製「ピカール」)を用いてバフ研磨した後、エタノール洗浄し、次いで、過塩素酸:エタノール=1:6(重量比)からなる15℃の電解液を用い、陽極に試料(圧延材)を、陰極に黒鉛板を使用して、20Vで3分間処理することにより電解研磨し、その後、エタノール洗浄して温風乾燥を施し、鏡面研磨した圧延材(A)を作製した。
他方、圧延材(A)を用いて、引き続き、耐食性を付与するための陽極酸化処理を施した。すなわち、15%硫酸からなる20℃の電解液を用い、陽極に試料(上記圧延材(A))を、陰極に黒鉛板を使用して、電流密度0.013A/cm2にて20分間陽極酸化処理をすることにより陽極酸化皮膜(厚さ6μm)を形成し、その後、20分間流水洗浄した後にエタノール洗浄して温風乾燥を施し、鏡面研磨および陽極酸化処理した圧延材(B)を作製した。
実施例1と同様にして得られた鋳塊に、次のような加熱条件で溶体化処理を施した。すなわち、鋳塊を室温から500℃まで50℃/時の速度で昇温して10時間保持した後、500℃から200℃になるまで300℃/時の速度で冷却した。その後、実施例1と同様に熱間圧延加工を施して板状に成形したところ、クラックの発生が認められた。次いで、得られた成形品を実施例1と同様に焼鈍したところ、板状の成形品の表面に膨れが生じた。
得られた板状の成形品のビッカース硬度を実施例1と同様にして測定したところ、74であった。なお、クラックや膨れの発生が認められため、この板状成形品の光沢性については評価しなかった。
Mg(純度:99.99%)の含有量が4.5重量%となるように該Mgを配合したこと以外は実施例1と同様にして、鋳塊を得た。この鋳塊に、比較例1と同様の加熱条件で溶体化処理を施した。その後、実施例1と同様に熱間圧延加工を施して板状に成形したところ、クラックは発生しなかった。次いで、得られた成形品を実施例1と同様に焼鈍したところ、膨れなどの品質欠陥は認められなかった。
得られた板状の成形品のビッカース硬度を実施例1と同様にして測定したところ、59と非常に低かった。
得られた圧延材(板状の成形品)の光沢性について実施例1と同様にして評価した。その結果、鏡面研磨した圧延材(A)の場合、外観は「○」、白色部の占める面積比率は1%であり、圧延材(B)の場合、外観は「○」、白色部の占める面積比率は3%であった。
普通アルミニウム(純度:99.8%:(JIS−H2102に記載のアルミニウム地金1種)に、Mg(純度:99.99%)を含有量6.4重量%となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして、鋳塊を得た。この鋳塊に含まれるFeの含有量は900重量ppm、Siの含有量は270重量ppm、Gaの含有量は140重量ppm、その他Cuの含有量が10重量ppmであり、MgおよびAl以外の元素の合計含有量は1320重量ppmであった。
この鋳塊に、実施例1と同様の加熱条件で溶体化処理を施した。その後、実施例1と同様に熱間圧延加工を施して板状に成形したところ、クラックは発生しなかった。次いで、得られた成形品を実施例1と同様に焼鈍したところ、膨れなどの品質欠陥は認められなかった。
得られた板状の成形品のビッカース硬度を実施例1と同様にして測定したところ、74であった。
得られた圧延材(板状の成形品)の光沢性について実施例1と同様にして評価した。その結果、鏡面研磨した圧延材(A)の場合、外観は「○」、白色部の占める面積比率は1%であり、圧延材(B)の場合、外観は「×」、白色部の占める面積比率は86%であった。
Claims (5)
- 重量比で、Mgが5〜8%、MgおよびAl以外の元素が合計160ppm以下、残部がAlである組成を有する鋳塊を、室温から400〜450℃の温度まで20〜100℃/時の速度で昇温して6〜48時間保持し、引き続き、480〜520℃の温度まで70℃/時以下の速度で昇温して6〜48時間保持した後、100℃/時以上の速度で200℃以下の温度にまで冷却する、ことを特徴とするアルミニウム合金の製造方法。
- 前記鋳塊は、MgおよびAl以外の元素として、重量比で、Feを0.1〜30ppm、Siを0.1〜50ppm、Gaを0.001〜50ppm含む組成を有する、請求項1記載のアルミニウム合金の製造方法。
- 請求項1また2に記載のアルミニウム合金の製造方法によって得られたアルミニウム合金を圧延し、次いで焼鈍してなる、ことを特徴とする圧延材。
- 表面に厚み3μm以上の酸化皮膜が設けられてなる、請求項3記載の圧延材。
- 請求項4に記載の圧延材からなる、ことを特徴とする反射板。
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