JP4758941B2 - アルミニウム合金の製造方法およびその用途 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば反射板等の板材に有用なアルミニウム合金の製造方法およびその用途に関する。詳しくは、前記アルミニウム合金は、高濃度でMgを含有したものである。
例えば、反射板などの板材としては、高い反射率を発現しうる高純度アルミニウムが汎用されている。従来から、その強度を向上させるためには、該高純度アルミニウムに高濃度(例えば5〜8重量%程度)でMgを含有させればよいことが知られている。また、一般に、アルミニウム合金は、圧延材とすることにより高強度化することも知られている。このため、高濃度のMgを含むアルミニウム合金を圧延材とすれば、より高い強度が得られることが期待される。
高濃度のMgを含有したアルミニウム合金を圧延材として板材に用いる場合、所定の組成に配合した溶湯を鋳造して鋳塊を得、この鋳塊に溶体化処理(熱処理)を施したのち、熱間圧延加工および焼鈍を行って板状にするのが一般的である。
しかしながら、高濃度のMgを含有する高純度アルミニウムを鋳造する場合、得られる鋳塊にMgのミクロ的な偏在が生じやすく、このMgの偏在部分が溶体化処理時の加熱により溶解してミクロポアが形成される。このミクロポアが形成されると、続く熱間圧延加工中にクラックが発生しやすくなり、製品としての歩留まりを低下させる。また、熱間圧延加工後にミクロポアが残存すると、焼鈍の際に膨れなどを生じ、最終的に得られた成形品に品質欠陥を招くことになる。
そこで、熱間圧延時のクラックの発生を防ぎつつ高濃度のMgを含有するアルミニウム合金を得る方法として、Mg:5.0〜8.0重量%、Fe:0.05〜0.35重量%を含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl−Mg系合金の鋳塊を、450〜500℃の温度に1時間以上加熱することにより均質化処理したのち、430〜480℃で熱間圧延加工を開始し、圧延1パス当たりの圧下率を5〜15%として、合計圧下率が20〜50%になるまで熱間圧延を続け、ついで450〜500℃の温度範囲に1分以上保持して再結晶させ、以後1パス当たり10%以上の圧下率で熱間圧延を行う工程を包含する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許第3835707号公報
しかしながら、特許文献1記載の方法は、用いる合金鋳塊にFe等が比較的多く含有しているため、そもそもMgのミクロ的な偏在が起こりにくくなっており、それゆえに、熱間圧延1パス当たりの圧下率など圧延時の条件を制御することによって圧延時のクラックの発生が容易に制御できたものであった。したがって、Fe等の含有量が低い高純度アルミニウム合金を鋳塊として用いる場合には、やはりミクロポアの形成は回避できないのが現状であり、圧延時に生じるクラックや、ミクロポアの存在によって焼鈍時に生じる膨れなどの品質欠陥といった問題を解決しうる方法が要望されていた。
そこで、本発明の目的は、高い反射率および高強度を発現する組成でありながら、圧延加工時にクラックを生じたり、圧延加工後に得られる成形品に膨れなどの品質欠陥を招いたりすることのないアルミニウム合金の製造方法およびその用途を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、アルミニウム鋳塊を溶体化処理するにあたり、特定速度で400〜450℃に昇温して特定時間保持する1次加熱を行ったのち、引き続き、特定速度で480〜520℃に昇温して特定時間保持する2次加熱を行い、その後特定速度で200℃以下の温度にまで冷却することによって、アルミニウム鋳塊が高濃度のMgを含む特定組成を有するものであり該鋳塊にMgのミクロ的な偏在が生じていても、偏在するMgを固溶分散させることができ、その結果、ミクロポアの形成を抑制できることを見出した。
また、本発明者らは、これまで、高濃度のMgを含むアルミニウム合金からなる圧延材を反射材として用いる際に問題となっていた以下の点についても検討を行った。すなわち、アルミニウム合金の圧延材を反射材として使用する場合、通常、耐食性を付与する目的で、陽極酸化皮膜等の酸化皮膜が圧延材表面に形成されるのであるが、高濃度のMgを含むアルミニウム合金の圧延材表面に厚みが大きい酸化皮膜を設けると、白化しやすく、光沢性が低下する傾向があり、反射板として使用することができない、という問題があった。
本発明者らは、この白化の原因について研究を重ねた。その結果、従来、高濃度のMgを含むアルミニウム合金を圧延する場合、Mgにより低下する圧延加工性を補っているFeが通常0.05重量%(500重量ppm)以上含まれるのであるが、この比較的大量のFeが白化の原因となっていることを突き止めた。この知見によれば、高濃度のMgを含み、かつFeを実質的に含まない(具体的には、AlとMg以外の他の元素は合計160重量ppm以下)アルミニウム合金により圧延材を作製することが望ましいが、その場合、これまでの技術では良好な圧延加工性が確保できず、実質的を圧延材を得ることは困難であった。そこで、本発明者らは、Mgの偏在に起因するミクロポアの形成を抑制し、圧延加工性を改善するという上述の知見を適用し、初めて、Feを実質的に含まず(AlとMg以外の他の元素は合計160重量ppm以下)、高濃度(5〜8重量%)のMgを含むアルミニウム合金から、良好な圧延加工性で圧延材を得ることに成功し、さらに、この圧延材は表面に厚い酸化皮膜を設けても白化しないことをも見出した。
本発明は、以上の知見に基づき完成したものである。
すなわち、本発明は以下の構成からなる。
(1)重量比で、Mgが5〜8%、MgおよびAl以外の元素が合計160ppm以下、残部がAlである組成を有する鋳塊を、室温から400〜450℃の温度まで20〜100℃/時の速度で昇温して6〜48時間保持し、引き続き、480〜520℃の温度まで70℃/時以下の速度で昇温して6〜48時間保持した後、100℃/時以上の速度で200℃以下の温度にまで冷却する、ことを特徴とするアルミニウム合金の製造方法。
(2)前記鋳塊は、MgおよびAl以外の元素として、重量比で、Feを0.1〜30ppm、Siを0.1〜50ppm、Gaを0.001〜50ppm含む組成を有する、前記(1)記載のアルミニウム合金の製造方法。
(3)重量比で、Mgが5〜8%、MgおよびAl以外の元素が合計160ppm以下、残部がAlである組成を有するアルミニウム合金を圧延してなる、ことを特徴とする圧延材。
(4)表面に厚み3μm以上の酸化皮膜が設けられてなる、前記(3)記載の圧延材。
(5)前記(4)記載の圧延材からなる、ことを特徴とする反射板。
本発明によれば、高い反射率および高強度を兼ね備え、例えば反射板等の板材として有用なアルミニウム合金からなる圧延材を、クラックや膨れなどの品質欠陥を生じることなく容易に製造できる、という効果が得られる。
本発明のアルミニウム合金の製造方法は、特定組成のアルミニウム鋳塊に、1次加熱と2次加熱からなる2段階の加熱処理を施すものである。このように、2段階に分けた加熱処理を施すことにより、たとえ鋳塊にMgのミクロ的な偏在が生じていても、偏在するMgを固溶分散させることができ、その結果、ミクロポアの形成を抑制できるのである。
本発明の製造方法において用いる鋳塊は、重量比で、Mgが5〜8%、MgおよびAl以外の元素が合計160ppm以下、残部がAlである組成を有する。このように、不純物が少ない高純度なAlをベースにし、該ベースに高濃度のMgを含有させた組成とすることによって、高い反射率と高強度を兼ね備えたアルミニウム合金を得ることができる。用いる鋳塊の組成において、Mgが5重量%未満であると、強度が不足することになり、一方、8重量%を超えると、圧延加工によって板材等に成形することが困難になる。
さらに、前記鋳塊の組成においては、MgおよびAl以外の元素として、重量比で、Feを0.1〜30ppm、Siを0.1〜50ppm、Gaを0.001〜50ppm含んでいてもよい。Fe、SiおよびGaがそれぞれ前記範囲よりも多いと、光沢が低下する傾向があり、一方、前記範囲よりも少ないと、精製にコストがかかる傾向がある。
前記組成を有する鋳塊には2段階に分けた加熱処理を施す。
最初に鋳塊に施す1次加熱は、室温から400〜450℃の温度まで20〜100℃/時の速度で昇温して6〜48時間保持するものである。1次加熱の保持温度は、好ましくは400〜435℃である。1次加熱の保持温度が400℃未満であると、鋳塊中に偏在するMgの固溶分散が48時間保持しても不充分となり、一方、450℃を超えると、鋳塊中で偏在する高濃度のMg部分で部分溶解が生じ、これがミクロポア生成の原因となる。1次加熱の際の昇温速度が20℃/時よりも遅いと、前記保持温度に達するまでに長時間を要するため、生産性の低下やコスト高を招くことになり、一方、100℃/時よりも速いと、処理材の温度制御が困難になる。1次加熱の際の保持時間が6時間よりも短いと、鋳塊中に偏在するMgの固溶分散が不充分となり、一方、48時間よりも長いと、処理に長時間を要するため、生産性の低下やコスト高を招くことになる。
前記1次加熱の後、引き続き行う2次加熱は、480〜520℃の温度まで70℃/時以下の速度で昇温して6〜48時間保持するものである。2次加熱の保持温度が480℃未満であると、鋳塊中に偏在するMgの固溶分散が不充分となり、一方、520℃を超えると、鋳塊中の高濃度のMg部分で部分溶解が生じ、これがミクロポア生成の原因となる。2次加熱の際の昇温速度は遅いほどよく、70℃/時よりも速いと、鋳塊中の高濃度のMg部分で部分溶解が生じ、これがミクロポア生成の原因となる。2次加熱の際の保持時間が6時間よりも短いと、鋳塊中に偏在するMgの固溶分散が不充分となり、ひいては、光沢性が低下して、反射材として使用する際に不適となる。一方、48時間よりも長いと、処理に長時間を要するため、生産性の低下やコスト高を招くことになる。
前記2次加熱を施した後には、速やかに温度降下させることが好ましく、具体的には、100℃/時以上の速度で200℃以下の温度にまで冷却する。2次加熱後の冷却速度が100℃/時よりも遅いと、光沢性が低下する傾向があり、例えば圧延して得た圧延材(板材)を反射材として使用する際に不適となる。
本発明のアルミニウム合金の製造方法として上述した2段階の加熱は、例えば、アルミニウム鋳塊からアルミニウム圧延材を得る際の溶体化処理(もしくは均質化処理)として行えばよい。
以上のような本発明のアルミニウム合金の製造方法によって得られたアルミニウム合金は、上述した特定組成を有することにより、高い反射率および高強度を発現する。
本発明の圧延材は、重量比で、Mgが5〜8%、MgおよびAl以外の元素が合計160ppm以下、残部がAlである組成を有するアルミニウム合金を圧延してなるものである。なお、該アルミニウム合金の組成に関しては、本発明のアルミニウム合金の製造方法の説明において鋳塊の組成として述べた通りである。
このような本発明の圧延材は、例えば、溶体化処理(もしくは均質化処理)として、上述した本発明のアルミニウム合金の製造方法に従い、特定組成のアルミニウム鋳塊に上述した2段階の加熱処理を施し、その後、得られたアルミニウム合金に圧延加工(熱間圧延加工)および焼鈍を施すことにより、得ることができる。圧延加工および焼鈍の加工条件等に関しては特に制限されるものではなく、例えばJIS−A−5000番系合金の条件などを採用することができる。本発明の圧延材は、高い反射率と高強度を兼ね備えたものであり、しかもクラックや膨れなどの品質欠陥もなく、例えば反射板として好適に用いることができる。
本発明の圧延材は、JIS−Z2244に記載のビッカース硬度が60以上、好ましくは70以上であるという物性を備えている。ここで、ビッカース硬度は、板状の圧延材とした状態でJIS−Z2244に記載の方法に準じて測定されるものである。具体的には、ビッカース硬度の測定に供する試料(圧延材)は、例えば実施例のように、450℃にて厚さ18mmから1mmまで94%圧延する熱間圧延加工を施したのち、400℃で30分間焼鈍することにより得られる。
また、本発明の圧延材は、鏡面研磨後に6μmの硫酸陽極酸化皮膜を形成し、その表面をカメラにて撮影して得られた写真において白色部の占める面積比率が6%以下、好ましくは4%以下であるという物性を備えている。この面積比率の測定方法について詳述すると、まず、上記ビッカース硬度の測定に供する試料と同様の圧延材に通常の鏡面研磨を施した後に、硫酸を用いた陽極酸化処理を施し、皮膜を形成した試料(圧延材)表面を通常のカメラにて黒色の背景をバックにして撮影する。このようにして得られた写真においては、圧延材表面の鏡面部分は黒色となって現れ、それ以外の部分(陽極酸化処理によって白化した部分など)は白色となって現れる。この写真に現れた白色の部分(白色部)の占める面積比率を求めるのである。このようにして求められた面積比率が小さいほど、陽極酸化処理を施しても白化することなく優れた光沢性を発揮すると言える。なお、上記面積率を求めるにあたり、鏡面研磨および陽極酸化処理は通常の手法に準じて行えばよく、特に制限はされない。例えば、実施例において記載した条件等を採用することができる。
本発明の圧延材は、表面に厚み3μm以上の酸化皮膜が設けられてなる酸化皮膜付き圧延材であることが好ましい。表面に酸化皮膜を設けることにより、圧延材に耐食性を付与することができる。
前記酸化皮膜の厚みは、充分な耐食性を付与することを考慮すると、3μm以上であればよいが、より好ましくは6〜20μmであるのがよい。
前記酸化皮膜は、陽極酸化皮膜であることが好ましく、例えば、従来公知の陽極酸化処理により形成することができる。具体的には、上述した特定組成を有する本発明のアルミニウム圧延材を陽極とし、陰極とともに酸の水溶液に浸漬し、陽極と陰極との間に直流電流を流せばよい。このとき、陰極としては、通常、鉛板や黒鉛材等を用いることができる。
前記酸の水溶液に用いられる酸としては、通常、硫酸、クロム酸などの鉱酸、シュウ酸、マロン酸などの有機酸等が挙げられるが、無色で輝度の高い陽極酸化皮膜を容易に形成するうえでは、鉱酸が好ましく、さらに好ましくは硫酸がよい。水溶液の酸濃度は、用いる酸の種類等により異なるが、例えば、酸として硫酸を用いる場合には、通常10〜30重量%(水溶液100重量部あたり硫酸を10〜30重量部含む)、好ましくは12〜20重量%とするのがよく、酸としてシュウ酸を用いる場合には、通常2〜10重量%、好ましくは3〜5重量%とするのがよい。水溶液の酸濃度が高すぎると、耐食性が不充分となる傾向があり、一方、低すぎると、電解電圧が上昇して黒っぽい皮膜になるおそれがある。
前記陽極酸化処理における処理温度は、特に制限はされないが、通常0〜25℃、好ましくは15〜25℃とするのがよい。処理温度が低すぎると、形成される皮膜が灰色になって光沢性を損なう傾向があり、一方、高すぎると、耐摩耗性の低い軟質の皮膜となるおそれがある。
前記陽極酸化処理における直流電流の電流密度および処理時間は、目的とする酸化皮膜の厚みにより適宜設定すればよい。つまり、陽極酸化処理においては、圧延材の単位面積あたりの直流電流の電荷量(電流量)と処理時間との積に見合った厚みの陽極酸化皮膜が形成される。具体的には、電流密度は、通常0.005〜0.045A/cm2、好ましくは0.01〜0.02A/cm2とするのがよく、処理時間は、通常5〜240分間、好ましくは10〜60分間とするのがよい。電流密度が高すぎると、電解温度が上昇する傾向があり、一方、低すぎると、形成される皮膜の耐食性や耐磨耗性が不充分となるおそれがある。
なお、アルミニウム圧延材の表面には、通常、自然酸化により形成された自然酸化皮膜が形成されているが、前記陽極酸化処理に際しては、この自然酸化皮膜は除去しておくことが好ましい。自然酸化皮膜を除去する方法は、特に限定されるものではなく、アルミニウム圧延材の表面に切削加工を施してもよいし、酸またはアルカリ水溶液などと接触させてエッチングを施してもよい。
本発明の反射材は、上述した本発明の酸化皮膜付き圧延材からなる。すなわち、本発明の反射材は、高濃度のMgを含む組成のアルミニウム合金からなるので高強度であり、さらに、酸化皮膜を表面に有していることにより良好な耐食性を備える。しかも、本発明の反射材は、原料とするアルミニウム合金の組成においてAlおよびMg以外の元素(Fe等)が少ないので、Mgを多く含む組成でありがなら酸化皮膜を形成しても、優れた光沢性を発現することができる。
以下、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
高純度アルミニウム(純度:99.999%)に、Mg(純度:99.99%)を含有量6.4重量%となるように配合し、750℃で2時間真空処理した後、得られた750℃のアルミニウム合金溶湯を150℃の鋳鉄鋳型(22mm×150mm×200mm)にて鋳造して、鋳塊を得た。この鋳塊に含まれるFeの含有量は2重量ppm、Siの含有量は3重量ppm、Gaの含有量は1重量ppm、その他Cuの含有量が1重量ppmであり、MgおよびAl以外の元素の合計含有量は7ppmであった。
この鋳塊に次のような加熱条件で溶体化処理を施した。すなわち、鋳塊を室温から430℃まで50℃/時の速度で昇温して10時間保持し、引き続き、500℃まで50℃/時の速度で昇温して10時間保持した後、500℃から200℃になるまで300℃/時の速度で冷却した。その後、溶体化処理を施した鋳塊の両面を2mm面削加工して、450℃にて厚さ18mmから1mmまで94%圧延する熱間圧延加工を施して板状に成形したところ、クラックは発生しなかった。次いで、得られた成形品を400℃で30分間焼鈍したところ、膨れなどの品質欠陥は認められなかった。
得られた焼鈍した圧延材(板状の成形品)のビッカース硬度は、JIS−Z2244に記載の方法に準じて測定したところ、76であった。
得られた圧延材(板状の成形品)の光沢性は、以下のようにして評価した。
まず、圧延材(厚さ1mm)の表面を金属磨き剤(日本研磨工業(株)製「ピカール」)を用いてバフ研磨した後、エタノール洗浄し、次いで、過塩素酸:エタノール=1:6(重量比)からなる15℃の電解液を用い、陽極に試料(圧延材)を、陰極に黒鉛板を使用して、20Vで3分間処理することにより電解研磨し、その後、エタノール洗浄して温風乾燥を施し、鏡面研磨した圧延材(A)を作製した。
他方、圧延材(A)を用いて、引き続き、耐食性を付与するための陽極酸化処理を施した。すなわち、15%硫酸からなる20℃の電解液を用い、陽極に試料(上記圧延材(A))を、陰極に黒鉛板を使用して、電流密度0.013A/cm2にて20分間陽極酸化処理をすることにより陽極酸化皮膜(厚さ6μm)を形成し、その後、20分間流水洗浄した後にエタノール洗浄して温風乾燥を施し、鏡面研磨および陽極酸化処理した圧延材(B)を作製した。
上記のようにして作製した圧延材(A)および圧延材(B)の表面の光沢性について、目視にて外観を観察して、鏡面状態である場合を「○」、全体に白色化が認められる場合を「×」と判定した。また、圧延材表面の写真を通常のデジタルカメラにて黒色の背景をバックにして撮影したときに、得られた写真(得られた写真において、鏡面部分は黒色となり、それ以外の部分は白色となる)における白色部の占める面積比率を求めた。その結果、圧延材(A)の場合、外観は「○」、白色部の占める面積比率は2%であり、圧延材(B)の場合、外観は「○」、白色部の占める面積比率は4%であった。
(比較例1)
実施例1と同様にして得られた鋳塊に、次のような加熱条件で溶体化処理を施した。すなわち、鋳塊を室温から500℃まで50℃/時の速度で昇温して10時間保持した後、500℃から200℃になるまで300℃/時の速度で冷却した。その後、実施例1と同様に熱間圧延加工を施して板状に成形したところ、クラックの発生が認められた。次いで、得られた成形品を実施例1と同様に焼鈍したところ、板状の成形品の表面に膨れが生じた。
得られた板状の成形品のビッカース硬度を実施例1と同様にして測定したところ、74であった。なお、クラックや膨れの発生が認められため、この板状成形品の光沢性については評価しなかった。
(比較例2)
Mg(純度:99.99%)の含有量が4.5重量%となるように該Mgを配合したこと以外は実施例1と同様にして、鋳塊を得た。この鋳塊に、比較例1と同様の加熱条件で溶体化処理を施した。その後、実施例1と同様に熱間圧延加工を施して板状に成形したところ、クラックは発生しなかった。次いで、得られた成形品を実施例1と同様に焼鈍したところ、膨れなどの品質欠陥は認められなかった。
得られた板状の成形品のビッカース硬度を実施例1と同様にして測定したところ、59と非常に低かった。
得られた圧延材(板状の成形品)の光沢性について実施例1と同様にして評価した。その結果、鏡面研磨した圧延材(A)の場合、外観は「○」、白色部の占める面積比率は1%であり、圧延材(B)の場合、外観は「○」、白色部の占める面積比率は3%であった。
(比較例3)
普通アルミニウム(純度:99.8%:(JIS−H2102に記載のアルミニウム地金1種)に、Mg(純度:99.99%)を含有量6.4重量%となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして、鋳塊を得た。この鋳塊に含まれるFeの含有量は900重量ppm、Siの含有量は270重量ppm、Gaの含有量は140重量ppm、その他Cuの含有量が10重量ppmであり、MgおよびAl以外の元素の合計含有量は1320重量ppmであった。
この鋳塊に、実施例1と同様の加熱条件で溶体化処理を施した。その後、実施例1と同様に熱間圧延加工を施して板状に成形したところ、クラックは発生しなかった。次いで、得られた成形品を実施例1と同様に焼鈍したところ、膨れなどの品質欠陥は認められなかった。
得られた板状の成形品のビッカース硬度を実施例1と同様にして測定したところ、74であった。
得られた圧延材(板状の成形品)の光沢性について実施例1と同様にして評価した。その結果、鏡面研磨した圧延材(A)の場合、外観は「○」、白色部の占める面積比率は1%であり、圧延材(B)の場合、外観は「×」、白色部の占める面積比率は86%であった。

Claims (5)

  1. 重量比で、Mgが5〜8%、MgおよびAl以外の元素が合計160ppm以下、残部がAlである組成を有する鋳塊を、室温から400〜450℃の温度まで20〜100℃/時の速度で昇温して6〜48時間保持し、引き続き、480〜520℃の温度まで70℃/時以下の速度で昇温して6〜48時間保持した後、100℃/時以上の速度で200℃以下の温度にまで冷却する、ことを特徴とするアルミニウム合金の製造方法。
  2. 前記鋳塊は、MgおよびAl以外の元素として、重量比で、Feを0.1〜30ppm、Siを0.1〜50ppm、Gaを0.001〜50ppm含む組成を有する、請求項1記載のアルミニウム合金の製造方法。
  3. 請求項1また2に記載のアルミニウム合金の製造方法によって得られたアルミニウム合金を圧延し、次いで焼鈍してなる、ことを特徴とする圧延材。
  4. 表面に厚み3μm以上の酸化皮膜が設けられてなる、請求項3記載の圧延材。
  5. 請求項4に記載の圧延材からなる、ことを特徴とする反射板。
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