JP4758929B2 - 基材と有機薄膜を有する構造体及び該構造体を用いた光記録媒体 - Google Patents
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一方、光メモリ分野では、基板上に反射層を有する光記録媒体の規格であるCD規格、DVD規格に対応した、記録可能なCD−R、DVD−R、DVD+Rなどが商品化されている。このような光記録媒体においては、更なる記録容量の拡大と小型化が望まれており、記録密度の更なる向上が求められている。
現行システムでの記録容量の向上の要素技術は、記録ピットの微小化技術、MPEG2に代表される画像圧縮技術がある。記録ピットの微小化技術には、記録再生光の短波長化や回折限界の向上を図るために光学系の開口数NAの増大化が検討されているが、回折限界を越える記録再生は不可能である。そこで回折限界を越える記録再生が可能な超解像技術や近接場光を利用した光メモリシステムが、有力な手段として注目されてきたが技術的なハードルの高さから未だ実用化には至っていない。
この他に、特許文献11には、光記録媒体の固定化・安定化のため、記録部以外の部分を光二量化させるホールバーニングメモリに関する発明が開示されている。このメモリでは記録は二光子吸収により行われる。また、特許文献12には、チミン(ウラシル)のダイマー、オリゴマーを用いて光二量化反応を行う発明が開示されている。また、特許文献13には、ミクロ相分離の一方の相と、基板上に修飾されたハロゲン、エポキシ、アミノ、イソシアナートなどとの間の化学結合の利用した発明が開示されている。
即ち、上記課題は、次の1)〜6)の発明によって解決される。
1) 基材と有機薄膜を有する構造体において、該有機薄膜は、互いに非相溶であるポリマー鎖が結合したブロック共重合体により形成されたミクロ相分離構造を有し、該ミクロ相分離構造の一方の相にのみ酸触媒により脱離可能な基を有する材料からなり、該脱離可能な基の脱離処理により生じた孔に導入された色素が基材と化学的に結合している構造体であって、少なくとも基材表面が金であり、色素がチオール基又はジスルフィド基を持つことを特徴とする基材と有機薄膜を有する構造体。
2) 基材と有機薄膜を有する構造体において、該有機薄膜は、互いに非相溶であるポリマー鎖が結合したブロック共重合体により形成されたミクロ相分離構造を有し、該ミクロ相分離構造の一方の相にのみ酸触媒により脱離可能な基を有する材料からなり、該脱離可能な基の脱離処理により生じた孔に導入された色素が基材と化学的に結合している構造体であって、少なくとも基材表面にヒドロキシル基を持ち、色素がクロロシリル基又はアルコキシシリル基を持つことを特徴とする基材と有機薄膜を有する構造体。
3) ミクロ相分離構造が、球状構造又は柱状構造であることを特徴とする1)又は2)記載の基材と有機薄膜を有する構造体。
4) 1)〜3)の何れかに記載の、基材と有機薄膜を有する構造体を備え、前記基材として、基板又は下引き層を設けた基板を用いたことを特徴とする光記録媒体。
5) ミクロ相分離構造の、球状構造又は柱状構造の断面の径が、記録再生光のスポット径より小さいことを特徴とする4)記載の光記録媒体。
6) 基板が表面に溝を有することを特徴とする4)又は5)記載の光記録媒体。
本発明の基材と有機薄膜を有する構造体は、互いに非相溶であるポリマー鎖が結合したブロック共重合体により形成されたミクロ相分離構造を有し、該ミクロ相分離構造の一方の相にのみ酸触媒により脱離可能な基を有する材料からなる有機薄膜を基材上に形成し、該脱離可能な基を酸触媒により脱離させて有機薄膜に孔を生じさせ、この孔に色素を導入すると共に、該色素と基材を化学的に結合させることにより得られる。
この基材と有機薄膜を有する構造体の特長は、ミクロ相分離構造によりナノメータサイズのパターンを構築し、そのパターンを利用して規則性の高いナノメータサイズの色素ドットを形成できることにある。また色素は基材と化学的に結合しているため安定性が高くなる。更に、上記作製方法によれば、規則性の高いナノメータサイズの色素ドットを形成するのにエッチングなどの煩雑でコストのかかる手法を用いなくて済む。
2種類の成分からなるブロック共重合体を用いた場合には、ラメラ状構造、球状構造、柱状構造、共連続状構造の4種類の構造を作るが、3種類以上の成分からなるブロック共重合体を用いた場合には、構造の種類はほぼ無限に広がる。3種類の成分からなる場合の一例としては、図1(c)(d)に示すような構造が挙げられる。
また、構造を制御するために他のポリマー(ブロック共重合体などを含む)及び低分子化合物を混合してもよい。
本発明では、ミクロ相分離構造を形成した後に酸触媒による反応を進行させるため加熱する必要があるが、その際、ミクロ相分離構造を崩さないためには、ブロック共重合体のTg以下で、できるだけ短時間で加熱することが好ましい。従って、脱離可能な基の沸点もTg以下であることが好ましい。更に、脱離した基が気化することにより、ミクロ相分離したブロック共重合体中に空孔ができ、この空孔に色素を導入することにより、空孔内の色素と基材とを効率よく結合させることができる。
ポリマーの原料となるモノマーとしては、例えば、スチレン、イソプレン、α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、2−ビニルピリジン、アミノスチレン、4−ビニルピリジン、メタクリレート類、ε−カプロラクトン、ブタジエン、ビニルメチルエーテル、1、3−シクロヘキサンジエン、エチレンオキシド、酸触媒により脱離可能な基で保護されたビニルフェノール、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
上記ブロック共重合体は、互いに非相溶のポリマー鎖の末端から重合するリビング重合法(アニオン重合、リビングラジカル重合)、ポリマー鎖の中央から合成するリビング重合法(アニオン重合)、末端官能性ポリマーの末端を結合させる合成法(アニオン重合、リビングラジカル重合)などの方法によって合成することができる。
例えば、リビングラジカル重合法によって、酸触媒により脱離可能な基を有するポリスチレンと、ポリメチルメタクリレートとのブロック共重合体、あるいは、ポリスチレンと、酸触媒により脱離可能な基を有するポリメタクリル酸とのブロック共重合体が合成できる。
このような酸触媒としては、酸化合物、又は光照射もしくは加熱により酸化合物を発生する化合物(光酸発生剤、熱酸発生剤)が挙げられる。
酸化合物の例としては、p−トルエンスルホン酸などの公知の化合物が挙げられる。
また酸化合物を発生する化合物の例としては、トリフェニルスルホニウムトリフレートなどのスルホニウム化合物、ジフェニルヨードニウムトリフレートなどのヨードニウム化合物、ニトロベンジルエステル化合物などの公知の化合物が挙げられる。
上記酸触媒は、適用対象物や、それに対応する有機薄膜の製造工程などに応じて適宜選択される。
基材と色素を化学的に結合させるには、公知の方法を用いればよいが、金と硫黄の結合又はヒドロキシル基と珪素の結合を利用すると、簡便に強固な結合を形成できる。
金と硫黄の結合を形成するには、金の基材又は表面が金からなる基材と、チオール基を持つ色素又はジスルフィド基を持つ色素を組み合わせればよい。
また、ヒドロキシル基と珪素の結合を形成するには、例えば表面を親水処理したシリコンウェハと、トリクロロシラン基、ジクロロシラン基、モノクロロシラン基を持つ色素や、トリアルコキシシラン基、ジアルコキシシラン基、モノアルコキシシラン基を持つ色素を組み合わせればよい。
従来の光記録媒体は、連続した記録材料から構成された記録層を備えており、この記録層にレーザビームを照射し、レーザビームの形状に相応した何らかの変化(光学的な変化を伴う物理的、化学的変化など)を記録材料に起こさせて記録するものである。
従って、最小記録ピットのサイズは、光学系の発振波長とレンズのNAで決定されるレーザビーム径に依存するため、従来の記録再生システムでは、高密度化は基本的にレーザの発振波長やレンズのNAの実用化技術力に左右されてきた。
また、ビーム形状がガウス分布した形状であること及び記録材料として熱又は光に対して明瞭なしきい値で変化する材料は殆ど存在しないことから、形成されるピットの最外周の大きさや変化量が均一とはならず、その再生信号品質にもバラツク要因が必ず存在し、高品質の信号特性を得るにも限界があった。
〈光記録媒体構成〉
本発明の光記録媒体は、上記基材と有機薄膜を有する構造体を利用するものであり、該構造体の基材として、光記録媒体用の基板、又は該基板の上に下引層を設けたものを用いることにより、光記録媒体を得ることができる。
また、光記録媒体には、必要に応じて金属反射層、保護層、基板面ハードコート層など他の構成層を設けてもよく、目的や要求特性に応じて構成層の形態を選択する。
図2〜図4に構成例の概略断面図を示す。なお、これらは実施の形態を説明するためのものであって、他の構成でもよい。
図2(a)〜(d)は、金属反射層を設けない例であり、図3(a)〜(d)は、金属反射層を設けた例である。
本発明の光記録媒体の構成としては、追記型光ディスクの構造(基板上に記録層を設けたものを2枚貼り合わせたいわゆるエアーサンドイッチ構造)としてもよく、CD−R構造(基板上に記録層、反射層、保護層を設ける)としてもよく、CD−R構造を貼り合わせたDVD構造としてもよい。
基板としては、基板側より記録再生を行なう場合のみ使用レーザに対して透明でなければならず、記録層側(基板と反対側)から記録、再生を行なう場合には透明である必要はない。
基板材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック、ガラス、セラミック、金属などを用いることができる。
なお、基板の表面に、トラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号などのプリフォーマットなどが形成されていてもよい。
トラッキング用の案内溝をミクロ相分離構造の配列用として用いることもでき、その場合のイメージは図4のようになる。案内溝の幅は、基材と有機薄膜を有する構造体の色素ドットが一列に並ぶようにしたり、複数列並ぶようにすることにより調整できる。
記録層は、前記有機薄膜からなる。孔に導入される色素の光学特性としては、記録再生用レーザ波長に対し、その吸収特性変化を利用して再生する場合には、レーザ波長近傍に最大吸収波長を持つように波長制御することが好ましく、記録再生用レーザ波長に対し、その屈折率変化を利用して再生する場合には、レーザ波長近傍に最大屈折率を持つように波長制御することが好ましい。その際、増感剤などを用いて波長制御してもよい。
色素としては、例えばレーザの照射エネルギーによりヒートモード(熱分解等)でその光学定数を変化させるポリメチン色素、スクアリリウム系、ピリリウム系、ポルフィリン系、ポルフィラジン系、アゾ系、アゾメチン系染料等、及びその金属錯体化合物、レーザの照射エネルギーによりフォトンモードでその光学定数を変化させるフルギド類、ジアリールエテン類、アゾベンゼン類、スピロピラン類、スチルベン類、ジヒドロピレン類、チオインジゴ類、ビピリジン類、アジリジン類、芳香族多環類、アリチリデンアニリン類、キサンテン類等のフォトクロミック材料が挙げられ、記録の書き換えが可能なフォトクロミック材料が特に好ましい。
これらの染料は単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせにしてもよい。
更に、上記染料中に、特性改良の目的で、安定剤(例えば遷移金属錯体)、紫外線吸収材、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを添加してもよい。
下引き層は、(1)接着性の向上、(2)水又はガスなどのバリアー、(3)記録層の保存安定性の向上、(4)反射率の向上、(5)溶剤からの基板の保護、(6)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などを目的として設ける。但し、有機薄膜の孔に導入された色素と化学的に結合できる表面を持っていなければならない。
(1)の目的に対しては、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子化合物、及びシランカップリング剤などを用いることができる。(2)あるいは(3)の目的に対しては、上記高分子材料の他に、SiO、MgF、SiO2、TiO、ZnO、TiN、SiNなどの無機化合物、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどの金属又は半金属を用いることができる。(4)の目的に対しては、Al、Au、Agなどの金属や、メチン染料、キサンテン系染料などの金属光沢を有する色素を用いることができる。(5)あるいは(6)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
下引き層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
金属反射層は、要求される反射率に応じて必要な場合に設ける。
反射層材料としては、単体で高反射率が得られる腐食されにくい金属又は半金属などが用いられ、その例としては、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Snなどが挙げられる。これらの中で、高反射率や生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましい。
これらの金属又は半金属は、単独で用いても、2種の合金として用いてもよい。
反射層の膜形成法としては、特に限定されないが、蒸着、スッパタリングなどが挙げられる。
反射層の膜厚は、50〜5000Åが好ましく、100〜3000Åが更に好ましい。
保護層及び基板面ハードコート層は、(1)記録層(反射吸収層)の傷、ホコリ、汚れなどからの保護、(2)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(3)反射率の向上などを目的として使用される。
これらの目的に対しては、前記下引き層で示した材料を用いることができるが、更に、紫外線硬化樹脂、ポリメチルアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジンなどの熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。
上記材料のうち最も好ましいのは、生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
上記下引き層、保護層及び基板面ハードコート層には、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを含有させてもよい。
ポリ(p−tert−ブトキシカルボニルオキシスチレン)(PBOCST)とポリメチルメタクリレート(PMMA)からなり、PBOCSTの体積分率が16体積%で、数平均分子量が約5万のブロック共重合体をリビングラジカル重合法で合成した。
次に、この共重合体をシクロヘキサノンに溶解し、親水処理を施した石英基板上にスピンキャストして有機薄膜を形成した。
次に、この有機薄膜を140℃で8時間加熱処理した後、SAXS(小角X線散乱)測定、TEM(透過型電子顕微鏡)観察を行ったところ、そのミクロ相分離構造は、数十nm以下の球状(島状)構造であることが確認された。
次に、上記加熱処理後した有機薄膜を、p−トルエンスルホン酸の1重量%イソプロピルアルコール溶液に浸漬させた後に引き上げ、90℃で5分間加熱処理を行った。
この有機薄膜をAFM(原子間力顕微鏡)で観察したところ、元PBOCSTの部分に孔があいていることが確認された。この孔は、PBOCSTのtert−ブトキシカルボニル基が脱離して、ポリ−p−ヒドロキシスチレン(PHS)に変化したことにより生じたものである。
次に、この孔があいた有機薄膜を、下記色素化合物〔化3〕の0.5重量%メタノール/ピリジン(容量比20/1)溶液中に浸漬させた後、引き上げてTEMで観察したところ、色素はPHS部分に偏析していることが確認された。また、この色素が導入された有機薄膜をメタノール中でリンスしたところ、色素は溶出せず、構造は固定されていることが確認された。
次に、この色素が導入された有機薄膜を有する構造体(即ち光記録媒体)に対し、超高圧水銀灯の365nmの光を取り出して照射(記録)した。その結果を表1に示す。
また、この有機薄膜を120℃で2時間加熱処理したが、構造の乱れは観察されなかった。
色素化合物〔化3〕の溶液に代えて、下記色素化合物〔化4〕の1.0重量%メタノール溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして有機薄膜を形成した。
この有機薄膜をTEMで観察したところ、色素はPHS部分に偏析していることが確認された。また、この有機薄膜をメタノール中でリンスしたところ、色素は溶出せず、構造は固定されていることが確認された。
次に、この色素が導入された有機薄膜を有する構造体(即ち光記録媒体)に対し、超高圧水銀灯の546nmの光を取り出して照射(記録)した。その結果を表1に示す。
また、この有機薄膜を120℃で2時間加熱処理したが、構造の乱れは観察されなかった。
ポリスチレン(PSt)とポリtert−ブチルメタクリレート(PtBMA)からなり、PtBMAの体積分率が28体積%で、数平均分子量が約7万のブロック共重合体をリビングラジカル重合法で合成した。
次に、この共重合体とトリフェニルスルホニウムトリフレートとを重量比で100:3となるようにシクロヘキサノンに溶解し、親水処理を施した石英基板上にスピンキャストして有機薄膜を形成した。
次に、この有機薄膜を140℃で10時間加熱処理した後、SAXS測定、TEM観察を行ったところ、そのミクロ相分離構造は、数十nm以下の柱状構造であることが確認された。
次に、上記加熱処理後の有機薄膜に光を照射(記録)した後、100℃で3分間加熱してAFMで観察したところ、元PtBMA部分に孔があいていることが確認された。この孔は、PtBMAのtert−ブチル基が脱離して、ポリメタクリル酸(PMAA)に変化したことにより生じたものである。
次に、この孔があいた有機薄膜に、下記色素化合物〔化5〕の1.0重量%エタノール溶液を滴下し乾燥させた後、TEMで観察したところ、色素はPMAA部分に偏析していることが確認された。また、この有機薄膜をエタノール中でリンスしたところ、色素は溶出せず、構造は固定されていることが確認された。
次に、この色素が導入された有機薄膜を有する構造体(即ち光記録媒体)に対し、超高圧水銀灯の365nmの光を取り出して照射(記録)した。その結果を表1に示す。
また、この有機薄膜を120℃で2時間加熱処理したが、構造の乱れは観察されなかった。
石英基板を金基板に変え、色素化合物〔化3〕の溶液に代えて下記色素化合物〔化6〕の0.5重量%メタノール/ピリジン(容量比20/1)溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして色素が導入された有機薄膜を形成し、TEMで観察したところ、色素はPHS部分に偏析していることが確認された。また、この有機薄膜をメタノール中でリンスしたところ、色素は溶出せず、構造は固定されていることが確認された。
次に、この色素が導入された有機薄膜を有する構造体(即ち光記録媒体)に対し、超高圧水銀灯の365nmの光を取り出して照射(記録)した。その結果を表1に示す。
また、この有機薄膜を120℃で2時間加熱処理したが、構造の乱れは観察されなかった。
石英基板を金基板に変え、色素化合物〔化3〕の溶液に代えて下記色素化合物〔化7〕の1.0重量%エタノール溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして色素が導入された有機薄膜を形成し、TEMで観察したところ、色素はPHS部分に偏析していることが確認された。また、この有機薄膜をエタノール中でリンスしたところ、色素は溶出せず、構造は固定されていることが確認された。
次に、この色素が導入された有機薄膜を有する構造体(即ち光記録媒体)に対し、超高圧水銀灯の365nmの光を取り出して照射(記録)した。その結果を表1に示す。
また、この有機薄膜を120℃で2時間加熱処理したが、構造の乱れは観察されなかった。
色素化合物〔化3〕の溶液に代えて、下記色素化合物〔化8〕の1.0重量%エタノール溶液を用いたこと以外は、実施例1と同様にして色素が導入された有機薄膜を形成し、TEMで観察したところ、色素はPHS部分に偏析していることが確認された。
しかし、この有機薄膜をエタノール中でリンスしたところ、色素の大部分が洗い流されてしまった。即ち、色素化合物〔化8〕は石英基板と化学的に結合していなかったと考えられる。
次に、このリンスした有機薄膜を有する構造体(即ち光記録媒体)に対し、超高圧水銀灯の365nmの光を取り出して照射(記録)した。その結果を表1に示す。
また、この有機薄膜を120℃で2時間加熱処理したところ、加熱前後で構造が変化することが確認された。
これに対し、比較例1では色素が流出して殆ど存在しなくなってしまい、光照射(記録)しても透過率、屈折率を変化させることが出来ないことが分かった。
上記実施例では、何れもミクロ相分離構造による色素ドット径(数十nm)に比較して大きな面積の光源で光を照射(記録)したため、多数の色素ドット及びドット間を一度に記録したことになったが、色素ドット又はドット間と同程度のビーム径の光で記録すれば、色素ドット又はドット間を個別に記録することが可能である。
石英基板を、Siウェハ上に幅90nm、深さ30nmの溝を形成した基板に変えたこと以外は、実施例1と全く同様にして色素が導入された有機薄膜を形成した。
この膜の表面構造をAFMで観察したところ、溝中にミクロ相分離の球状(島状)構造が綺麗に並んでいることが確認された。
Claims (6)
- 基材と有機薄膜を有する構造体において、該有機薄膜は、互いに非相溶であるポリマー鎖が結合したブロック共重合体により形成されたミクロ相分離構造を有し、該ミクロ相分離構造の一方の相にのみ酸触媒により脱離可能な基を有する材料からなり、該脱離可能な基の脱離処理により生じた孔に導入された色素が基材と化学的に結合している構造体であって、少なくとも基材表面が金であり、色素がチオール基又はジスルフィド基を持つことを特徴とする基材と有機薄膜を有する構造体。
- 基材と有機薄膜を有する構造体において、該有機薄膜は、互いに非相溶であるポリマー鎖が結合したブロック共重合体により形成されたミクロ相分離構造を有し、該ミクロ相分離構造の一方の相にのみ酸触媒により脱離可能な基を有する材料からなり、該脱離可能な基の脱離処理により生じた孔に導入された色素が基材と化学的に結合している構造体であって、少なくとも基材表面にヒドロキシル基を持ち、色素がクロロシリル基又はアルコキシシリル基を持つことを特徴とする基材と有機薄膜を有する構造体。
- ミクロ相分離構造が、球状構造又は柱状構造であることを特徴とする請求項1又は2記載の基材と有機薄膜を有する構造体。
- 請求項1〜3の何れかに記載の、基材と有機薄膜を有する構造体を備え、前記基材として、基板又は下引き層を設けた基板を用いたことを特徴とする光記録媒体。
- ミクロ相分離構造の、球状構造又は柱状構造の断面の径が、記録再生光のスポット径より小さいことを特徴とする請求項4記載の光記録媒体。
- 基板が表面に溝を有することを特徴とする請求項4又は5記載の光記録媒体。
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