JP4468233B2 - ブロックコポリマー単分子膜を利用した光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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現行システムでの記録容量向上のための要素技術としては、記録ピットの微小化技術、MPEG2に代表される画像圧縮技術がある。記録ピットの微小化技術としては、記録再生光の短波長化や回折限界の向上を図るための光学系の開口数NAの増大が検討されているが、その回折限界を越える記録再生は不可能である。
そこで回折限界を越える記録再生が可能な超解像技術や近接場光を利用した光メモリシステムが、有力な手段として注目されてきたが、技術的なハードルの高さから未だ実用化には至っていない。
即ち、上記課題は、次の1)〜12)の発明によって解決される。
1) 両親媒性ブロックコポリマーからなり、膜表面にナノメータサイズのミクロ相分離構造を持ち、該相分離構造中の少なくとも一つの分離相に光機能性分子を含有する単分子膜が、基板上に記録層として形成されていることを特徴とする光記録媒体。
2) 少なくとも両親媒性ブロックコポリマーと低分子化合物を含み、膜表面にナノメータサイズのミクロ相分離構造を持ち、該相分離構造中の少なくとも一つの分離相に光機能性分子を含有する単分子膜が、基板上に記録層として形成されていることを特徴とする光記録媒体。
3) 低分子化合物が、両親媒性低分子化合物であることを特徴とする2)記載の光記録媒体。
4) 両親媒性低分子化合物が、ブロックコポリマーの疎水セグメントと水面上において相溶するものであることを特徴とする3)記載の光記録媒体。
5) 両親媒性ブロックコポリマーの疎水セグメントと親水セグメントの比率が、それぞれの主鎖の元素数で、3:7から7:3の範囲であることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録媒体。
6) 基板が、予め化学表面処理されており、両親媒性ブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントと化学的に結合していることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の光記録媒体。
7) 化学表面処理が、ハロゲン基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基の少なくとも1つを持つ有機シランクロロ化物又は有機シランアルコキシ化物を用いた単分子膜処理であることを特徴とする6)記載の光記録媒体。
8) 有機シランクロロ化物又は有機シランアルコキシ化物が、単官能であることを特徴とする7)記載の光記録媒体。
9) 基板が、金属、セラミックス、ガラス、石英、プラスチックの何れかからなることを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の光記録媒体。
10) アルカン系又はケトン系の溶媒に光機能性分子を溶解した溶液を用いて、相分離構造の少なくとも一つの分離相中に光機能性分子が導入されていることを特徴とする1)〜9)の何れかに記載の光記録媒体。
11) 両親媒性ブロックコポリマーの溶液を水面上に展開することにより得られる単分子膜を基板上に転写すると同時にナノメータサイズのミクロ相分離構造を形成する工程、及び、ナノメータサイズのミクロ相分離構造中の少なくとも一つの分離相に光機能性分子を導入する工程を含むことを特徴とする1)記載の光記録媒体の製造方法。
12) 少なくとも両親媒性ブロックコポリマーと低分子化合物を含む溶液を水面上に展開することにより得られる単分子膜を基板上に転写すると同時にナノメータサイズのミクロ相分離構造を形成する工程、及び、ナノメータサイズのミクロ相分離構造中の少なくとも一つの分離相に光機能性分子を導入する工程を含むことを特徴とする2)記載の光記録媒体の製造方法。
本発明は従来の光源サイドからのアプローチとは全く異なり、有機薄膜(単分子膜)を光記録媒体に応用し、記録体(記録により変化する部分)の面積自体が照射光の回折限界よりも小さなドット列化した記録層を有する光記録媒体とすることにより、従来では達成できなかった超高密度光記録媒体を実現するものである。
即ち、本発明の光記録媒体は、その記録層が、両親媒性ブロックコポリマー(疎水性セグメントと親水性セグメントを有するブロックコポリマー)を水面上に展開して得られる単分子膜を基板上に転写した有機薄膜からなる。また、その有機薄膜は少なくとも表面にナノメータサイズのミクロ相分離構造を持つ必要があり、水面に展開したブロックコポリマー単分子膜の表面圧を高めるなどして、少なくとも一方のセグメントが崩壊、凝集し、膜中にナノオーダーのドット状の凝集物(サーフェスミセル)を形成してから、基板上に転写することが好ましい。サーフェスミセルとは、ブロックコポリマー単分子膜の一方のセグメントが凝集し、ミセル構造を持つ単分子膜の状態を言う〔R.B.Lennoxら、J.Am.Chem.Soc.113,5583(1991)〕。
一般のバルク材料の場合、アニーリングやエッチングにより相分離構造を表面に出す操作が必要になることがあるが、本発明ではそのような操作は不要である。更に水面上の単分子膜は均一に大面積で作ることが可能であるため好ましい。但し、ナノメータサイズのミクロ相分離構造を発現させるため、疎水セグメントと親水セグメントの比率が、それぞれの主鎖を構成する元素数で3:7から7:3の範囲であることが好ましい。主鎖を構成する元素数とは、セグメントを構成する繰り返し単位の中で最短となる連鎖の経路を主鎖として、その主鎖の元素数のことである。また、比率は、疎水セグメント全部の主鎖の元素数と親水セグメント全部の主鎖の元素数の比率である。比率が上記範囲から外れると、一方の成分が少なくなりすぎ、均一な相分離構造を形成できなくなる恐れがある。
添加する低分子化合物としては、水面上で単分子膜を形成する両親媒性低分子化合物が好ましく、ブロックコポリマーの疎水性セグメントと水面上で充分に相溶するものがより好ましい。例えば下記一般式(I)で示されるものが挙げられる。
一般式(I)中、Xは水面に単分子膜を形成するために必要な親水基であり、具体的にはシアノ基、メトキシ基、メチルエステル基等が好ましい。Qは従来の液晶化合物におけるメソゲン基の何れであっても良く特に限定されないが、具体的にはフェニル、ビフェニル、ビフェニルエーテル、安息香酸フェニルエステル、スチルベン、アゾキシベンゼン、アゾベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、シクロヘキシルフェニルエーテル、シクロヘキシルカルボン酸フェニルエステル等の残基が挙げられる。また、Qが安息香酸フェニルエステル、シクロヘキシルカルボン酸フェニルエステル残基の時は、Xは水素でも良い。mは0〜10の整数、nは3〜11の自然数である。
アルカン系及びケトン系の溶媒の具体例としては、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、イソオクタン、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
光機能性分子は、アルカン系又はケトン系の溶媒に溶解するものが好ましく、具体的にはリポフィリック色素等が挙げられる。
また、ビーム形状がガウス分布した形状であること、及び熱又は光に対し明瞭な閾値で変化する記録材料は殆ど存在しないことから、形成されるピットの最外周の大きさや変化量が均一にならず、その再生信号品質にもバラツク要因が必ず存在し、高品質の信号特性を得るにも限界があった。
例えば図1、図2に概略断面図を示すような例が挙げられる。図1(a)〜(d)は、基板上に金属反射層を設けない例、図2(a)〜(e)は、基板上に金属反射層を設けた例である。
本発明の光記録媒体の構成としては、追記型光ディスクの構造(基板上に記録層を設けたものを2枚貼り合わせたいわゆるエアーサンドイッチ構造)としてもよく、CD−R構造(基板上に記録層、反射層、保護層を設ける)としてもよく、CD−R構造を貼り合わせたDVD構造でもよい。なお、上記構成は実施の形態を説明するための例であって他の構成でもよい。
化学表面処理としては、ハロゲン基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基の少なくとも1つを持つ有機シランクロロ化物又は有機シランアルコキシ化物を用いた単分子膜処理が好ましい。ハロゲン基を持つ有機シランクロロ化合物及び有機シランアルコキシ化合物は、その4級化反応により、親水セグメントに用いられるアクリルアミド系ポリマー及びピリジン系ポリマーの固定化に好適である。エポキシ基及びイソシアネート基を持つものは、親水セグメントに用いられるアクリルアミド系ポリマー、ピリジン系ポリマー及びポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)の固定化に好適である。
また、単分子膜を基板に固定化するため、化学表面処理後の表面が分子膜レベルで平滑であることが望ましい。よって、自身で重縮合することなく平滑な表面を保つことができる有機シラン化合物が望ましく、有機シランクロロ化物又は有機シランアルコキシ化物は単官能(モノクロロ化物、モノアルコキシ化物)であることが好ましい。
更に、基板に固定化したブロックコポリマー単分子膜の染色には、先に述べたアルカン系溶媒やケトン系溶媒に因らず、疎水性セグメントに良溶媒である有機溶剤が使用できる。
反射層材料としては、単体で高反射率が得られる腐食されにくい金属又は半金属等が用いられる。例えば、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Snなどが挙げられるが、反射率、生産性の点からAu、Ag、Alが最も好ましい。これらの金属、半金属は、単独で使用してもよく、2種以上の合金としてもよい。
反射層の膜形成法は、特に限定されないが、蒸着、スッパタリングなどが挙げられる。反射層の膜厚は、50〜5000Åが好ましく、100〜3000Åが更に好ましい。
これらの層の材料としては、SiO、SiO2、MgF2、TiO2、ZnO、TiN、SiN等の無機材料、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Al等の金属や半金属、メチン染料、キサンテン染料、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等の有機材料を用いることができる。樹脂材料としてはポリメチルアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロース樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂も用いることができる。上記材料のうち最も好ましいのは、生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当である。
保護層及び基板面ハードコート層には、記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
親水−疎水セグメントを持つブロックコポリマーである、ポリ(スチレン)−b−ポリ(4−ビニルピリジン)〔スチレンユニット=191、4−ビニルピリジンユニット=153〕(Poly−1)のクロロホルム溶液(約1〜2mmol/l)を用意し、水面に展開した。次いで、表面圧1mN・m−1で、シリコンウエハー基板上に垂直引き上げ法により転写し、表面にミクロ相分離構造を持つブロックコポリマー単分子膜を得た。水面展開及び基板への転写にはLAUDA社製Film Balance FW−1を用いた。
ブロックコポリマー単分子膜を原子間力顕微鏡(セイコーインスツルメンツ社製SPI−3800システム)で観察した結果を図3に示す。
このシリコンウエハー基板上に転写したブロックコポリマー単分子膜を、光機能性分子である、1,1′−ジオクタデシル−3,3,3′,3′−テトラメチルインドジカルボシアニンパークロレイト(DiD)、Molecular Probe社製:リポフィリック色素のアセトン溶液に浸漬し、次いで、アセトンで洗浄し乾燥することにより、疎水セグメントであるポリスチレン部のみをDiD染色した。
図4に、染色したブロックコポリマー単分子膜の原子間力顕微鏡像を示す。また、このブロックコポリマー単分子膜は、蛍光を発することを、蛍光顕微鏡により確認した。
こうして得られた膜に対し、発振波長660nm、ビーム径1μmの半導体レーザを照射した。また、熱安定性を調べるために、80℃で2時間加熱した。結果を表1と図11に示す。
基板を、11−ブロモウンデシルジメチルクロロシランによりシランカップリング処理したシリコンウエハーに変えた点以外は、実施例1と全く同様にして、基板上に転写した表面にミクロ相分離構造を持つブロックコポリマー単分子膜を得た。
ブロックコポリマー単分子膜を原子間力顕微鏡にて観察した結果を図5に示す。
このシリコンウエハー基板上に転写したブロックコポリマー単分子膜を、光機能性分子であるDiDのトルエン溶液に浸漬し、次いで、アセトンで洗浄し乾燥することにより、疎水セグメントであるポリスチレン部のみをDiD染色した。
図6に、染色したブロックコポリマー単分子膜の原子間力顕微鏡像を示す。また、このブロックコポリマー単分子膜は、蛍光を発することを、蛍光顕微鏡により確認した。
こうして得られた膜に対し、発振波長660nm、ビーム径1μmの半導体レーザを照射した。また、熱安定性を調べるために、80℃で2時間加熱した。結果を表1と図12に示す。
実施例1と同様な方法を用いて、Poly−1と、1分子当たりの占有面積が0.45nm2を示す低分子化合物である4′−ペンチル−4−シアノビフェニルが、ポリスチレン主鎖炭素1原子に対して0.44である混合物のクロロホルム溶液(約1〜2mmol/l)を用意し、その溶液を水面に展開した。次いで、11−ブロモウンデシルジメチルクロロシランによりシランカップリング処理したシリコンウエハー基板上に、表面圧5mN・m−1で垂直引き上げ法により転写し、表面にミクロ相分離構造を持つブロックコポリマー単分子膜を得た。
このシリコンウエハー基板上に転写したブロックコポリマー単分子膜を、光機能性分子DiDのトルエン溶液に浸漬し、次いで、アセトンで洗浄し乾燥することにより、疎水セグメントであるポリスチレン部のみをDiD染色した。
図7に、染色したブロックコポリマー単分子膜の原子間力顕微鏡像を示す。また、このブロックコポリマー単分子膜は、蛍光を発することを、蛍光顕微鏡により確認した。
こうして得られた膜に対し、発振波長660nm、ビーム径1μmの半導体レーザを照射した。また、熱安定性を調べるために、80℃で2時間加熱した。結果を表1と図13に示す。
実施例1と同様な方法を用いて、Poly−1と、1分子当りの占有面積が0.5nm2を示す下記〔化2〕の低分子化合物の混合物(ポリスチレン主鎖炭素1原子に対して低分子化合物を0.4の割合で含む)のクロロホルム溶液(約1〜2mmol/l)を用意し、その溶液を水面に展開した。次いで、11−ブロモウンデシルジメチルクロロシランによりシランカップリング処理したシリコンウエハー基板上に、表面圧5mN・m−1で垂直引き上げ法により転写し、表面にミクロ相分離構造を持つブロックコポリマー単分子膜を得た。
このシリコンウエハー基板上に転写したブロックコポリマー単分子膜を、光機能性分子DiDのトルエン溶液に浸漬し、次いで、アセトンで洗浄し乾燥することにより、疎水セグメントであるポリスチレン部のみをDiD染色した。
図8に、染色したブロックコポリマー単分子膜の原子間力顕微鏡像を示す。また、このブロックコポリマー単分子膜は、蛍光を発することを、蛍光顕微鏡により確認した。
こうして得られた膜に対し、発振波長660nm、ビーム径1μmの半導体レーザを照射した。また、熱安定性を調べるために、80℃で2時間加熱した。結果を表1に示す。
実施例1と同様な方法を用いて、親水−疎水セグメントを持つブロックコポリマーである、ポリ(α−スチレン)−b−ポリ(2−ヒドロキシルエチルメタクリレート)〔スチレンユニット=190、2−ヒドロキシルエチルメタクリレートユニット=165〕(Poly−2)と、1分子当りの占有面積が0.45nm2を示す低分子化合物である、4′−ペンチル−4−シアノビフェニルの混合物(ポリスチレン主鎖炭素1原子に対して低分子化合物を0.4の割合で含む)のクロロホルム溶液(約1〜2mmol/l)を用意し、その溶液を水面に展開した。
次いで、3−イソシアネートプロピルジメチルクロロシランによりシランカップリング処理したシリコンウエハー基板上に、表面圧5mN・m−1で垂直引き上げ法により転写し、表面にミクロ相分離構造を持つブロックコポリマー単分子膜を得た。
このシリコンウエハー基板上に転写したブロックコポリマー単分子膜を、光機能性分子DiDのトルエン溶液に浸漬し、次いで、アセトンで洗浄し乾燥することにより、疎水セグメントであるα−ポリスチレン部のみをDiD染色した。
図9に、染色したブロックコポリマー単分子膜の原子間力顕微鏡像を示す。また、このブロックコポリマー単分子膜は、蛍光を発することを、蛍光顕微鏡により確認した。
こうして得られた膜に対し、発振波長660nm、ビーム径1μmの半導体レーザを照射した。また、熱安定性を調べるために、80℃で2時間加熱した。結果を表1に示す。
実施例1と同様な方法を用いて、親水−疎水セグメントを持つブロックコポリマーである、ポリスチレン−b−ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド)〔スチレンユニット=190、N−イソプロピルアクリルアミドユニット=181〕(Poly−3)と、1分子当りの占有面積が0.45nm2を示す低分子化合物である4′−ペンチル−4−シアノビフェニルの混合物(ポリスチレン主鎖炭素1原子に対して低分子化合物を0.4の割合で含む)のクロロホルム溶液(約1〜2mmol/l)を用意し、その溶液を水面に展開した。
次いで、(3−グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランによりシランカップリング処理したシリコンウエハー基板上に、表面圧5mN・m−1で垂直引き上げ法により転写し、表面にミクロ相分離構造を持つブロックコポリマー単分子膜を得た。
このシリコンウエハー基板上に転写したブロックコポリマー単分子膜を、光機能性分子DiDのトルエン溶液に浸漬し、次いで、アセトンで洗浄し乾燥することにより、疎水セグメントであるα−ポリスチレン部のみをDiD染色した。
図10に、染色したブロックコポリマー単分子膜の原子間力顕微鏡像を示す。また、このブロックコポリマー単分子膜は、蛍光を発することを、蛍光顕微鏡により確認した。
こうして得られた膜に対し、発振波長660nm、ビーム径1μmの半導体レーザを照射した。また、熱安定性を調べるために、80℃で2時間加熱した。結果を表1に示す。
実施例1と同様な方法を用い、Poly−1のクロロホルム溶液を用意し、水面に展開した。次いで、表面圧1mN・m−1でシリコンウエハー基板上に垂直引き上げ法により転写し、表面にミクロ相分離構造を持つブロックコポリマー単分子膜を得た。
このシリコンウエハー基板上に転写したブロックコポリマー単分子膜を、光機能性分子DiDのトルエン溶液に浸漬し、次いで、アセトンで洗浄し乾燥した。しかし、ブロックコポリマー単分子膜は原子間力顕微鏡で確認できなかった。これは、実施例1ではDiDのアセトン溶液を用いたのに対し、本比較例ではDiDのトルエン溶液を用いたため、基板からブロックコポリマー単分子膜が剥がれ、溶解したものと考えられる。
Poly−1の0.5%クロロホルム溶液(約1〜2mmol/l)を用意し、シリコンウエハー基板上にスピンキャストした。この膜を原子間力顕微鏡にて観察したところ、相分離構造は確認できなかった。スピンキャスト膜では、表面自由エネルギーが低い疎水的なセグメントが優先的に表面に局在し、明確な相分離構造が表面に現れないと推察される。
Claims (12)
- 両親媒性ブロックコポリマーからなり、膜表面にナノメータサイズのミクロ相分離構造を持ち、該相分離構造中の少なくとも一つの分離相に光機能性分子を含有する単分子膜が、基板上に記録層として形成されていることを特徴とする光記録媒体。
- 少なくとも両親媒性ブロックコポリマーと低分子化合物を含み、膜表面にナノメータサイズのミクロ相分離構造を持ち、該相分離構造中の少なくとも一つの分離相に光機能性分子を含有する単分子膜が、基板上に記録層として形成されていることを特徴とする光記録媒体。
- 低分子化合物が、両親媒性低分子化合物であることを特徴とする請求項2記載の光記録媒体。
- 両親媒性低分子化合物が、ブロックコポリマーの疎水セグメントと水面上において相溶するものであることを特徴とする請求項3記載の光記録媒体。
- 両親媒性ブロックコポリマーの疎水セグメントと親水セグメントの比率が、それぞれの主鎖の元素数で、3:7から7:3の範囲であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録媒体。
- 基板が、予め化学表面処理されており、両親媒性ブロックコポリマーの少なくとも1つのセグメントと化学的に結合していることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の光記録媒体。
- 化学表面処理が、ハロゲン基、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基の少なくとも1つを持つ有機シランクロロ化物又は有機シランアルコキシ化物を用いた単分子膜処理であることを特徴とする請求項6記載の光記録媒体。
- 有機シランクロロ化物又は有機シランアルコキシ化物が、単官能であることを特徴とする請求項7記載の光記録媒体。
- 基板が、金属、セラミックス、ガラス、石英、プラスチックの何れかからなることを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の光記録媒体。
- アルカン系又はケトン系の溶媒に光機能性分子を溶解した溶液を用いて、相分離構造の少なくとも一つの分離相中に光機能性分子が導入されていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の光記録媒体。
- 両親媒性ブロックコポリマーの溶液を水面上に展開することにより得られる単分子膜を基板上に転写すると同時にナノメータサイズのミクロ相分離構造を形成する工程、及び、ナノメータサイズのミクロ相分離構造中の少なくとも一つの分離相に光機能性分子を導入する工程を含むことを特徴とする請求項1記載の光記録媒体の製造方法。
- 少なくとも両親媒性ブロックコポリマーと低分子化合物を含む溶液を水面上に展開することにより得られる単分子膜を基板上に転写すると同時にナノメータサイズのミクロ相分離構造を形成する工程、及び、ナノメータサイズのミクロ相分離構造中の少なくとも一つの分離相に光機能性分子を導入する工程を含むことを特徴とする請求項2記載の光記録媒体の製造方法。
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