JP4758874B2 - 導電性基材の製造方法 - Google Patents
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(1)帯電防止性を有する油剤をポリエステル繊維に塗布する方法。
(2)帯電防止剤を紡糸原液にブレンドし、紡糸した導電性繊維を通常繊維にブレンドする方法。
しかし、(1)、(2)の方法では、ポリエステル繊維本来の風合い等が低下してしまう。
(3)カーボン、金属等の導電性微粒子を紡糸原液に混入し、紡糸した導電性繊維を通常繊維に少量ブレンドする方法(特許文献1)。
しかし、(3)の方法で得られたポリエステル繊維は、導電性繊維と絶縁性繊維(通常繊維)との混合物であり、導電性繊維の含有量により制電性が決まるため、十分な帯電防止性を発揮させるためには、導電性繊維の含有量を多くする必要がある。その結果、繊維強度および繊維本来の風合いが低下してしまう。また、価格の高い導電性繊維の含有量を多くすることで、コスト高となり、ポリエステル繊維の用途が制限されてしまう。
(4)ポリエステル繊維表面に帯電防止剤を付着させる方法。
該帯電防止剤としては、通常、界面活性剤が用いられる。界面活性剤を用いることにより、ポリエステル繊維全体の抵抗率を下げることはできる。しかし、ポリエステル繊維に十分な帯電防止性を付与させるだけの導電性が得られない;界面活性剤は湿度により導電性が変化するため、帯電防止の効果が不安定である;ポリエステル繊維表面に施した撥水性加工の効果を失わせてしまう等の問題がある。そのため、湿度依存性の低い導電剤による帯電防止が求められている。
溶剤への溶解性に優れた導電性ポリマーとして、スルホン酸基またはカルボキシ基を有する導電性ポリマーが提案されている。そして、該導電性ポリマーを用いて、ポリエステル繊維に帯電防止性を付与する方法としては、下記方法が提案されている。
該方法によれば、界面活性剤の課題であった湿度依存性が抑えられ、良好な帯電防止性が発現する。しかし、バインダーをポリエステル繊維表面にコーティングするため、ポリエステル繊維本来の風合いが低下する;後加工によってコスト高となる;耐水性が不十分である等の問題がある。
基材(A)は、ポリエステルを含む基材である。ポリエステルの量は、基材(A)(100質量%)中、50質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。
本発明においては、これら基材(A)のうち、特にポリエステル繊維、ポリエステルフィルム、前記ポリオールとポリイソシアネートとを反応させて得られるポリウレタンフォーム等が好適に用いられる。
基材(A)は、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、充填材、滑剤、可塑剤、安定剤等の公知の添加剤を含んでいてもよい。
導電性ポリマー(B)は、スルホン酸基および/またはカルボキシ基を有する導電性ポリマーである。
導電性ポリマー(B)は、式(1)〜(3)で表される繰り返し単位を10以上有することが好ましい。
導電性ポリマー(B)の質量平均分子量は、GPCによって測定される質量平均分子量(ポリエチレングリコール換算)である。
化合物(C)は、アミノ基を2つ以上有する化合物である。
本発明の導電性基材の製造方法は、下記工程を有する。
(a)化合物(C)の液に、前記基材(A)を浸漬し、化合物(C)が付着した基材(A)(以下、基材(A’)と記す。)を得る工程。
(b)導電性ポリマー(B)の液に、基材(A’)を浸漬し、加熱処理を行い、導電性基材を得る工程。
化合物(C)が液体の場合は、該化合物(C)をそのまま化合物(C)の液として用いてもよく、該化合物(C)を溶剤で希釈したものを化合物(C)の液として用いてもよい。
化合物(C)が固体または粘稠液体の場合は、化合物(C)を溶剤に溶解させたものを化合物(C)の液として用いる。
水に可溶な有機溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、プロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;アセトン、エチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル等のエチレングリコール類;プロピレングリコール、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールプロピルエーテル等のプロピレングリコール類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド類;N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のピロリドン類等が挙げられる。
溶媒としては、水、または水とアルコール類との混合溶媒が好ましい。
工程(a)と工程(b)との間で、基材(A’)を洗浄し、乾燥させてもよい。
導電性ポリマー(B)の液は、導電性ポリマー(B)を溶剤に溶解または分散させることにより調製される。
該溶剤としては、水;水と、水に可溶な有機溶媒との混合溶媒が挙げられる。
溶媒としては、水、または水とアルコール類との混合溶媒が好ましい。
液中の導電性ポリマー(B)の量は、浸漬させる基材(A’)100質量部に対して、200質量部以下が好ましく、150質量部以下がより好ましい。
また、本発明の導電性基材の製造方法によれば、基材(A)を化合物(C)の液に浸漬し、ついで導電性ポリマー(B)の液に浸漬し、加熱処理を行うだけであるため、導電性基材を低コストで、かつ簡便に製造できる。
ポリマーの体積抵抗値は、ロレスターEP MCP−T360(ダイアインスツルメンツ社製)を用い、4端子4探針法で測定した。
導電性基材を70℃で10分間乾燥させた後、ハイレスタIP−MCPHT4560(ダイヤインスツルメンツ社製)を用い、2探針法にて、導電性基材の表面抵抗値を測定した。
導電性基材を70℃で10分間乾燥させた後、JIS L 1094に記載の摩擦帯電圧測定法によって導電性基材の摩擦帯電圧を測定した。摩擦帯電圧の測定は、ロータリースタティックテスター(興亜商会社製)を用い、ドラム回転数400rpm、摩擦時間60秒、摩擦回数10回の条件で行った。
導電性基材の柔軟性を下記基準にて評価した。
○:未処理の基材と同等であった。
△:未処理の基材に比べ、わずかに固くなった。
×:未処理の基材に比べ、明らかに固くなった。
導電性基材を40℃の温水に24時間浸漬した後、温水を目視にて観察し、下記基準にて評価した。
○:温水が着色していない。
△:温水がわずかに着色した。
×:温水が明らかに着色した。
導電性基材5gを40℃の温水100ccに24時間浸漬した後、導電性基材を70℃で10分間乾燥させた。乾燥後、ハイレスタIP−MCPHT4560(ダイヤインスツルメンツ社製)を用い、2探針法にて、導電性基材の表面抵抗値を測定した。
導電性基材5gを40℃の温水100ccに24時間浸漬した後、導電性基材を70℃で10分間乾燥させた。乾燥後、JIS L 1094に記載の摩擦帯電圧測定法によって導電性基材の摩擦帯電圧を測定した。摩擦帯電圧の測定は、ロータリースタティックテスター(興亜商会社製)を用い、ドラム回転数400rpm、摩擦時間60秒、摩擦回数10回の条件で行った。
ポリエステル繊維:色染社製、ウールタフタ。
ポリウレタンフォーム:ポリエステルポリオールとトリレンジイソシアネートとの反応物を主成分とする軟質ポリウレタンフォーム。
導電性ポリマー(B−1):後述の製造例1にて製造したポリ(2−スルホ−5−メトキシ−1,4−イミノフェニレン。
導電性ポリマー(B−2):TAケミカル社製、エスペーサー100、スルホン酸基含有可溶性ポリチオフェン誘導体。
導電性ポリマー(B−3):TAケミカル社製、エスペーサー300、スルホン酸基含有可溶性ポリイソチアナフテン誘導体。
導電性ポリマー(B−1)の製造:
2−アミノアニソール−4−スルホン酸100mmolを25℃で4mol/Lのトリエチルアミン水溶液に溶解し、該溶液を撹拌しながら、該溶液にペルオキソ二硫酸アンモニウム100mmolの水溶液を滴下した。滴下終了後、25℃で12時間さらに攪拌した。反応生成物を濾別、洗浄した後、乾燥し、導電性ポリマー(B−1)の粉末15gを得た。導電性ポリマー(B−1)の体積抵抗値は、9.0Ω・cmであった。
表1に示す化合物(C)からなる化合物(C)の液、または、表1に示す化合物(C)および表1に示す溶剤を混合した化合物(C)の液を用意した。化合物(C)の液に、表1に示す浸漬条件にて、表1に示す基材(A)を浸漬し、基材(A’)を得た。
導電性基材1〜12について評価を行った。結果を表4に示す。
室温にて、表3に示す溶剤に、表3に示す導電性ポリマー(B)およびバインダー(東洋紡績社製、MD−1200、スルホン酸基含有水溶性ポリエステル)を表3に示す量加え、導電性組成物を調製した。該導電性組成物を、表3に示す基材(A)にディップコートし、表3に示す条件で乾燥して導電性基材13、14を得た。
導電性基材13、14について評価を行った。結果を表4に示す。
未処理のポリエステル繊維、ポリウレタンフォームについて評価を行った。結果を表4に示す。
Claims (1)
- ポリエステルを含む基材(A)に、スルホン酸基および/またはカルボキシル基を有する導電性ポリマー(B)が付着した導電性基材の製造方法であって、
アミノ基を2つ以上有する化合物(C)の液に、前記基材(A)を浸漬する工程と、
前記導電性ポリマー(B)の液に、前記化合物(C)が付着した基材(A)を浸漬し、加熱処理を行う工程とを有する、導電性基材の製造方法。
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