JP4757051B2 - 柔軟物内蔵タブレット - Google Patents

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Description

本発明は、柔軟物を、原料粉末を含む混合物の圧縮成型物に内蔵したタブレット及びその製造方法に関する。
打錠剤の内部に、該打錠剤の成分とは異なる成分の剤を含有させる技術が知られている。その例としては有核錠が挙げられる。しかし有核錠の場合、互いに反応性を有する2つの成分を、内核及び外層の構成成分とすることはできない。また、ゼリー状の物質等の柔らかい物質ないし壊れやすい物質を内核として用いることはできない。
有核錠とは別に、打錠剤の内部にカプセルを含有させる技術が知られている。例えば腸内有用細菌を封入したカプセルを含有する打錠剤が提案されている(特許文献1参照)。この打錠剤は、原料粉末を造粒した後にカプセルを添加し、ロータリー打錠機を用いて製剤することで得られる。
しかし、このカプセルはその粒径が2mm以下、望ましくは1mmというマイクロカプセルレベルの小さなものなので、カプセルに封入させる内容物の量に限界がある。また、このような小さなサイズのカプセルは、使用者の目に留まりづらいので原料粉体のみの打錠剤と全く判別が付きにくく、例えば液状原料を配合した錠剤であることを強調したい場合に、視覚的なアピール性に欠ける。
マイクロカプセルを原料粉末に配合して打錠する場合には、打錠に耐え得る強度がマイクロカプセルに必要となるため、カプセルの皮膜が厚くなり、内容量が少なくなる。また、マイクロカプセルをタブレット中に内容物を大量に配合しようとすると、多数のカプセルを配合することになるが、仮に大きなカプセルを入れた場合と比較すると、最密充填しても充填率が低いため、内容物の量は多くすることができない。
内容物の量を多くするために、或いは視覚的なアピール度を高めるためにカプセルの容積を大きくすると、打錠時の圧力によってカプセルが破裂して内容物が漏出してしまう。打錠時の圧力を低く設定すると、原料粉末が十分に固められないので、製品の製造工程において、或いは製品の輸送中に、割れや欠け、摩損などの欠陥が発生しやすい。
特開2000−86525号方法
従って本発明の目的は、前述の従来技術が有する欠点を解消し得るタブレットを提供することにある。
本発明は、柔軟物が、原料粉末と、常温で固体で融点が100℃以下である高分子結合剤とを含む混合物の超音波振動圧縮成型物に内蔵されたタブレットを提供するものである。
また本発明は、原料粉末を含む混合物をタブレット成型用金型内に充填すると共に、該混合物中に柔軟物を埋め込み、該混合物に超音波振動を与えながら圧縮を加えるタブレットの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、従来、打錠剤に内蔵できなかった物質である流動体や、弾性変形若しくは塑性変形可能な固体などの柔軟物を打錠剤に内蔵させることができる。特に本発明によれば、マイクロカプセルよりも容積の大きなカプセルを、粉末の圧縮成型物に内蔵させることができる。このような容積の大きなカプセルは、使用者の目に留まりやすいので、例えば液状物等の内容物が多量に封入されたものであることを、使用者に視覚的に強くアピールできる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本発明のタブレットは粉末の圧縮成型物を母材としている。本発明のタブレットは、柔軟物を内蔵していることによって特徴付けられる。本発明で言う柔軟物とは、外力によって容易に変形可能な物質を意味する。例えば、10kPaの圧力を加えた場合の変形量(歪み)が10%以上60%未満、特に15%以上50%未満である物質は、本発明における柔軟物に含まれる。
柔軟物としては、例えば(イ)弾性変形又は塑性変形可能な固体、(ロ)流動体、(ハ)内容物が封入されたカプセルの何れか等が挙げられる。しかし、これらに限定されるものではない。
(イ)の弾性変形又は塑性変形可能な固体としては、ゴム状物質、ゲル状物質、スポンジ状物質、発泡体状物質、ロウ・固形ワックス類等が挙げられる。その具体例としては、ガムベース、グミキャンディ、ウレタンスポンジ、ポリエチレン発泡体、ミツロウ等が挙げられる。
(ロ)の流動体としては、粘性の高い水性液、非水性液、懸濁液等が挙げられる。流動体の粘性は、一般に25℃において数十〜数万Pa・sである。流動体が水性液の場合、その具体例としてはポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースやキチン・キトサンなどの天然多糖類、ゼラチン・寒天などの高濃度水溶液等が挙げられる。流動体が非水性液の場合、その具体例としてはワセリン、流動パラフィン、セレシン、硬化油等が挙げられる。流動体が懸濁液の場合、その具体例としては粘土、塗料等が挙げられる。
(ハ)のカプセルに封入される内容物に特に制限はなく、タブレット1の具体的な用途に応じて種々の物質が用いられる。例えば、各種粉末;各種水溶液;各種動植物油、レシチン、油溶性ビタミン、硬化油、鉱油、脂肪族及び芳香族炭化水素、塩素系炭化水素、エステル、エーテル、高級アルコール、有機酸、ポリエチレングリコール、非イオン性の各種界面活性剤などの非水性液;各種分散液などが挙げられる。また、上述した(イ)や(ロ)の物質をカプセルに封入することもできる。
図1に示す実施形態のタブレット1はカプセルを内蔵したものである。タブレット1は容積の大きなカプセルを内蔵していることによって特徴付けられる。タブレット1は2つの部位に大別される。一つは、原料粉末を含む混合物の圧縮成型物2からなる母材の部分である。もう一つはタブレット1の内部域に位置し且つ圧縮成型物2によって取り囲まれているカプセル3である。圧縮成型物2はカプセル3を取り囲み、タブレット1の外面を含み、タブレット1の輪郭を画定するものである。この意味で、圧縮成型物2のことを以下の説明では外殻2と呼ぶこととする。即ち、本実施形態のタブレット1は、圧縮成型物2からなる外殻2と該外殻2によって取り囲まれた内部域に位置するカプセル3とから構成されている。
カプセル3は中空のものであり、その中空の空間に上述した内容物が封入されている。カプセルはハードカプセル及びソフトカプセルに大別される。これらのうち、ソフトカプセルには、打ち抜き法によって得られるカプセル及び滴下法によって得られるシームレスカプセルがある。カプセルの製造方法に応じ、カプセルの構成材料は種々のものが用いられる。例えば、ゼラチン、プルラン、セルロース等を用いることができる。本実施形態において用いられるカプセル3は、これら様々な種類のカプセルを広く包含する。図2には、本実施形態に用いられるカプセル3の一例として、打ち抜き法によって製造されたソフトカプセルが示されている。図2に示すようにカプセル3は一般に長径と短径を有する形状をしている。打ち抜き法によって製造されたソフトカプセルは、その製造工程に起因して、長径に沿ってカプセルの中央部に接合部が形成されている。
本実施形態におけるカプセル3はその長径が5〜50mm、特に5〜30mmで、短径が5〜50mm、特に5〜30mmのものである。短径は、長径よりも短いか又はまたは長径と同じ長さである。本実施形態におけるカプセル3は、マイクロカプセルと呼ばれる粒径が数mm以下のカプセルとはその大きさ(内容積)において区別されるものである。本実施形態におけるカプセル3は、前記の範囲の長径及び短径を有していることで、その内容積は0.06〜65ml程度、特に0.065〜15ml程度であるのに対して、いわゆるマイクロカプセルは、その内容積が約0.004ml以下という微小容積である。なおカプセルによっては、その形状が長径及び短径を有さない球形である場合がある。その場合には球の直径をもって前記の長径とする。
本実施形態においては、1個のタブレット1中に1個のカプセル3が内蔵されている。しかし、カプセル3の内蔵個数に制限はない。本実施形態のタブレット1は、その体積に占めるカプセル1個当たりの体積の割合が大きいことも特徴である。具体的には、タブレット1の体積に占めるカプセル1個当たりの体積の割合が最大30%、特に最大20%という高い割合になっている。これに対して、マイクロカプセルを含む従来の打錠剤においては、打錠剤の体積に占めるマイクロカプセルの体積の総和は最大でも10%程度という低い値である。この観点からも、本実施形態のカプセル内蔵タブレットと、マイクロカプセルを含む従来の打錠剤とは区別されるものである。なおカプセルを複数個内蔵する場合であっても、カプセル1個の容積は前記の範囲であることが好ましい。カプセルを複数個内蔵する場合、タブレットの体積に占めるカプセルの体積の総和の割合は、最大20%、特に最大15%であることが好ましい。
タブレット1における外殻2は、強度が高く、且つ液体への崩壊性が高いことによって特徴付けられる。ここで言う液体とは純粋な水を始めとする水性液、及びアルコールを始めとする有機溶媒等の水性液以外の各種液体を包含する。水性液とは純粋な水、各種の水溶液や水懸濁液、体液などを広く包含する。粉末の圧縮成型物の崩壊性を良好にするためには、単純に成型時の圧力を低く設定し低密度の成型物を得ればよいが、低圧での圧縮に起因して成型物の強度が低下してしまう。その結果、製品の製造工程において、或いは製品の輸送中に、成型物に割れや欠け、摩損などの欠陥が発生しやすい。一方、成型物の強度を高めようとすると、成型物の密度が高くなり崩壊性が低下する。このように、従来成型物の強度と崩壊性とは二律背反の関係にあった。これに対して本実施形態のタブレット1における外殻2は、高強度で且つ速崩壊性のものである。
外殻2はその構成材料として原料粉末を含んでいる。原料粉末としては主剤のみ、または主剤と1種類以上の副原料粉末を含んでいても良い。原料粉末の粒径に関しては、タブレット1の具体的な用途に応じて適切な大きさが適宜選択される。一般的にいって、主剤原料粉末は、重量平均粒径が20〜300μmで、変動係数が50%以下であると十分に満足すべき結果が得られる。
原料粉末に加え、外殻2は高分子結合剤を含む。高分子結合剤は原料粉末の粒子どうしを結合してタブレットを保形するための賦形剤としての役割を有する。高分子結合剤は液体に対して溶解性を有している。具体的には、高分子結合剤は水溶性又は油溶性である。高分子結合剤が水溶性又は油溶性であることによって、タブレットと水や油とが接触すると、粒子どうしを結合している高分子結合剤がこれらに溶解して粒子間の結合が解かれ、タブレットが崩壊するようになる。つまり高分子結合剤は崩壊剤としての役割も有する。DSC法による融点は、昇温速度5℃/minで測定される。
高分子結合剤としては、常温(=35℃)で固体であり、且つ融点が100℃以下であるものが用いることが好ましい。融点が100℃以下の高分子結合剤を用いることで、タブレット1の成型時に加えるエネルギーを少なくすることができる。タブレット1の製造方法に関して後述するように、本実施形態においては、高分子結合剤が超音波振動による摩擦熱で溶融することによって原料粉末の粒子どうしを結合させている。従って、高分子結合剤の融点が高い場合には、より大きな超音波振動や長時間の超音波照射を加える必要があり、エネルギー的に不利になる。また融点が高い場合には原料粉末全体も高温となることで、カプセル3や原料粉末が熱的なダメージを受けることもある。そこで本実施形態においては高分子結合剤としてその融点が好ましくは100℃以下、更に好ましくは75℃以下のものを用いることとした。本実施形態においては2種以上の高分子結合剤を用いてもよいが、その場合には、少なくとも1種の高分子結合剤の融点が100℃以下であればよい。特に、2種以上の高分子結合剤のうち、融点が最も高い高分子結合剤の当該融点が100℃以下であることが好ましい。
高分子結合剤の融点の下限値に特に制限はないが、少なくとも常温(=35℃)では該高分子は固体であることが好ましい。即ち、高分子結合剤の融点は常温を下回らないことが好ましい。高分子結合剤の融点が常温に近くなるとタブレット1にべたつき感が生じる場合があるので、該融点は40℃以上、特に45℃以上であることが好ましい。一方、一般に、原料粉末の融点は高分子結合剤の融点よりも高い。原料粉末の融点が高分子結合剤の融点よりも好ましくは30℃以上、更に好ましくは40℃以上高いと、原料粉末が溶融することによる悪影響を避けることが出来る。
前記の高分子結合剤としては、ポリエチレングリコール(以下、PEGという)、ラクチトール、マルチトール、キシリトールといった糖アルコール類、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。特にPEG、キシリトール、ショ糖脂肪酸エステルなどが好適である。PEGを用いる場合には、その分子量は1000〜20000であることが好ましい。
外殻2における原料粉末と高分子結合剤との配合割合は、原料粉末/高分子結合剤の重量比で表して0.01〜33、特に0.01〜19であることが好ましい。主剤である原料粉末の重量は、タブレット1の具体的な用途にもよるが、外殻2に対して1〜97重量%、特に1〜95重量%であることが好ましい。一方、賦形剤である高分子結合剤の重量は、外殻2に対して3〜99重量%、特に5〜99重量%であることが好ましい。原料粉末及び高分子結合剤の配合量は、タブレットの具体的な用途に応じて適切な値が選択される。例えば浴用剤として用いる場合には、原料粉末の重量は、タブレットに対して50〜95重量%、特に10〜30重量%であることが好ましい。一方、高分子結合剤の重量は、タブレットに対して5〜50重量%、特に10〜30重量%であることが好ましい。また、医薬錠剤や口中清涼剤として用いる場合には、原料粉末の重量は、タブレットに対して1〜97重量%、特に10〜90重量%であることが好ましい。一方、高分子結合剤の重量は、タブレットに対して3〜99重量%、特に10〜90重量%であることが好ましい。外殻2には、原料粉末及び高分子結合剤に加え、必要に応じ他の成分を配合してもよい。そのような成分はタブレット1の具体的な用途に応じて種々のものを幅広く選択できる。例えばタブレット1を浴用剤として用いる場合には、香料や色素を配合することができる。
外殻2は、多数の微細な空隙を有することによっても特徴付けられる。具体的には、外殻2はその空隙率が好ましくは20〜40体積%、更に好ましくは25〜35体積%であるような微細な空隙を多数有している。このような高い空隙率を有しつつ高強度を有する粉末圧縮成型物は従来の技術では得ることができなかった。本実施形態においては外殻2の空隙率を20体積%以上とすることで、外殻2が低密度となる。その結果、タブレット1が水や油などの液体と接したときに外殻2の空隙内に液体が進入しやすくなり、外殻2が速やかに崩壊するようになる。この観点からは空隙率は高ければ高いほどよいが、あまりに空隙率が高くなることは強度低下の原因になりかねないので、本実施形態では空隙率の上限値を好ましくは40体積%に設定している。空隙率は次式で表される。
空隙率(%)=(真密度−外殻密度)/真密度×100
外殻2は、微細な空隙を多数有しているにもかかわらず、摩擦熱による高分子結合剤の溶融で原料粉末が強固に結合しているので、従来の粉末圧縮成型物の強度とほぼ同等の強度を持つ。その結果、本実施形態のタブレット1は、その製造工程や輸送中に割れや欠け、摩損などが発生しづらくなっている。
本実施形態のタブレット1は種々の用途に用いられる。特に、流動体原料を粉末圧縮成型物に配合する場合に本実施形態のタブレット1は有用である。具体的には、流動体原料をカプセル3に封入しておき、その状態のカプセル3を、後述する製造方法に従い原料粉末と共に圧縮成型することで、流動体原料の染み出しのないタブレットを得ることができる。また、流動体原料の染み出しに起因する流動体原料と原料粉末との反応や、長期保存時のタブレットの品質劣化、強度低下、外観不良などが生じることもない。更に、流動体原料をマイクロカプセル化したり、賦形剤に担持させて原料粉末と混合して打錠する従来の方法では、打錠工程において流動体原料が圧縮成型時の高圧力で染み出して杵に付着しやすかったが、本実施形態によればそのような不都合もない。
例えば本実施形態のタブレット1を浴用剤として用いることができる。具体的には、外殻2に含有させることができないか、又は含有させることが困難な物質をカプセル3に封入しておくことで、タブレット1を浴槽に投入すると、(1)短時間で外殻2が溶解するので、入浴の待ち時間が短くなり、また(2)カプセル3が溶解して、それに封入されている物質が溶けだし、外殻2に配合されている物質とで相乗効果をもたらすという利点がある。浴用剤として用いる場合には、原料粉末として炭酸塩及び有機酸を用い、高分子結合剤としてPEGを用いることが好ましい。炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウムなどが用いられる。有機酸としては、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、アジピン酸、酒石酸、安息香酸、クエン酸、ピロリドンカルボン酸、サリチル酸などの水溶性で且つ固体の酸を用いることが好ましい。
また本実施形態のタブレット1を医薬錠剤として用いることもできる。この場合には、外殻2の溶解の程度をコントロールすることで、タブレット1が体内の所望の部位に到達したところでカプセル3が溶解し始め、当該部位においてカプセル3に封入された物質の薬効が奏される。つまり本実施形態のタブレット1を医薬錠剤として用いることで、ドラッグ・デリバリー・システムを構成することができる。
本実施形態のタブレット1を錠剤型洗剤として用いることもできる。この場合、外殻2に含有させることができないか、又は含有させることが困難な物質をカプセル3に封入しておくことで、タブレット1を洗濯槽内に投入すると外殻2が溶解し、またカプセル3が溶解してそれに封入されていた物質が溶け出すことで、外殻2に配合されている物質と、カプセル3に封入されていた物質とで、洗浄効果に相乗効果をもたらすという利点がある。例えば外殻2に洗剤成分を含有させ、一方カプセル3中に、洗剤で落とした汚れの再付着防止成分や柔軟仕上げ剤を封入することができる。また外殻2が短時間で溶解するので洗剤の溶け残りが発生しない。また洗剤濃度がすばやく上がることによって、洗濯時間が短縮される。
図1に示す構造を有するタブレット1は以下に述べる方法によって好適に製造される。図3には、本実施形態のタブレット1を製造するために用いられる好ましい装置の模式図が示されている。装置10は枠体11を備えている。枠体11の高さ方向の中央部には、打錠テーブル12が水平方向に取り付けられている。打錠テーブル12の中央部には貫通孔が設けられており、その貫通孔にタブレット成型用金型13が嵌合されている。金型13はその上下が開口した筒状の形状をしている。金型13はその上部に側方へ張り出すフランジ13aを有している。フランジ13aは打錠テーブル12へボルト締め(図示せず)されている。
金型13のキャビティの上下の位置には超音波振動素子14a,14bが配されている。各素子14a,14bはエアシリンダ15a,15bによって支持されている。上部エアシリンダ15aは、枠体11の天板11aに取り付けられ、それから垂下している。一方、下部エアシリンダ15bは、枠体11の底板11b上に取り付けられている。これによって、各超音波振動素子14a,14bはそれぞれ上下方向へ移動可能になっている。なお、超音波振動素子の移動手段はエアシリンダに限定されず、他に油圧シリンダや、電動モータを用いたボールネジプレス等の機器を用いても良い。
各超音波振動素子14a,14bの先端にはホーン16a,16bが取り付けられている。各ホーン16a,16bの先端は成型用金型13のキャビティと同一形状をなしている。これら三者は同一軸線上に位置している。各ホーン16a,16bは、原料粉末及び高分子結合剤を含む混合物を圧縮成型する際に、該混合物に超音波振動を与える役割、及び該混合物を圧縮するための成型用杵としての役割を有している。従って以下の説明では、これらのホーンをそれぞれ上杵16a、下杵16bと呼ぶことにする。各杵16a,16bの先端形状は、金型13のキャビティと同形状になっている。
以上の構造を有する装置10を用いたタブレットの製造方法を図4(a)ないし(c)を参照しながら説明すると、先ず図4(a)に示すように、下部エアシリンダ15bを動作させ、金型内に予め挿入されている下杵を、原料粉末を充填するために金型内で下降させる。また上部エアシリンダ15aを動作させ、上杵16aを上昇させて打錠テーブル12上の空間に待避させる。これによって、金型13にはそのキャビティと下杵16bとで画成される凹部が形成される。この凹部に、原料粉末及び高分子結合剤を含む混合物(以下、粉末混合物という)20を充填する。
粉末混合物20は、原料粉末及び高分子結合剤並びに必要に応じて配合される各種成分を含み、これらの成分が均一に混合されたものからなる。また、転動造粒法などを用いて、原料粉末中の主剤またはその他の粉末原料を高分子結合剤で被覆し、粉末混合物20を得ても良い。転動造粒とは、ヘンシェルミキサやハイスピードミキサ等の撹拌槽内で回転を与えながら原料粉末に結合剤を噴霧することによって粒状化する造粒方法である。転動造粒によって得られた粉末混合物20においては、原料粉末の粒子が高分子結合剤で被覆された状態になる。このような状態になっている粉末混合物20を用いることで、製造時のプレス圧が低くても取り扱い上充分な強度を持つタブレットを首尾良く製造できる(その理由は後述する)。
粉末混合物20は、金型13の凹部に満充填させるのではなく、図5(a)に示すように、金型13の凹部の容積の概ね半分とする。次いで、図5(b)に示すように、粉末混合物20が充填された凹部内に、内容物が封入されたカプセル3を載置する。更に図5(c)に示すように、残りの粉末混合物20を凹部内に充填させ、該凹部を満充填状態にする。
再び図4に戻ると、下部超音波振動素子14bを動作させて下杵16bを超音波振動させる。これと同時に又はその前後に、上部超音波振動素子14aを動作させて上杵16aを超音波振動させる。そして、エアシリンダ15aを動作させて、上杵16aを超音波振動させた状態で降下させ、粉末混合物20が充填されている前記の凹部内へ上杵16を挿入する。これによって図4(b)に示すように粉末混合物20の圧縮成型を行う。
本製造方法は、粉末混合物20を挟んで相対向してそれぞれ配された上下の杵16a,16bによって超音波振動を与えつつ圧縮成型を行う点に特徴の一つを有する。超音波による振動分散効果で粉末混合物20が均等に圧縮されるので、カプセル3の変形の程度が小さくなる。また、粉末混合物20の粒子は超音波を受けることで振動し、それによって摩擦熱が発生する。この摩擦熱によって高分子結合剤が溶融して粒子どうしを結合する。粉末混合物20を挟んで上下から超音波を与えることで粒子の振動が促進され、高分子結合剤を介しての粉末の結合が強固になる。これらの理由によって、油圧プレスなどの高圧プレスによって圧縮成型を行ってきた従来の方法に比較して、圧縮の圧力を低くしても圧縮成型物の強度を同程度に高くすることが可能になる。その結果、カプセル3にダメージを与えることなく、高強度の外殻2を有するタブレット1を容易に得ることができる。油圧プレスによって圧縮成型を行うと、圧縮力がカプセルに対して不均一に加わり、その変形の程度が大きくなる。変形の程度が過度に大きい場合には、カプセルの破裂につながる。カプセルが破裂しないまでも、カプセルが圧縮から解放されたときに生ずる反発力(スプリングバック)によって、タブレットがその厚み方向の中央域において、タブレットの平面方向にわたり亀裂が生じる。各杵16a,16bの振動条件は同じでもよく、或いは異なっていてもよいが、一般的には同条件としておく。
特に、粉末混合物20として、原料粉末の粒子が高分子結合剤で被覆された状態のもの、例えば前述した転動造粒によって得られたものを用いると、粒子の振動によって発生する摩擦熱が効率的に高分子結合剤へ伝わり、高分子結合剤を介しての粒子どうしの結合が一層確実になる。
上下の杵16a,16bによって超音波振動を与える本製造方法においては、浴用剤や医薬錠剤用のタブレットを製造する場合には、これらの杵16a,16bによる圧縮の圧力を好ましくは0.1〜2.5MPa、更に好ましくは0.1〜0.5MPaという低圧に設定することができる。これによって、カプセル3が、圧縮によるダメージを一層受けづらくなる。これに対して、油圧プレスなどの高圧プレスによって圧縮成型を行ってきた従来の方法では、本製造方法よりも一桁以上高い圧力で圧縮成型を行っていた。
粉末混合物20に加える超音波振動の条件は、粉末混合物20の成分やその配合量、及び目的とするタブレットの具体的な用途等に応じて適宜調整が可能である。
例えばタブレット1を浴用剤や医薬錠剤として用いる場合には、超音波の振幅は5〜100μm、特に10〜50μmであることが好ましい。この範囲の振幅とすることで、粒子の振動が十分に大きくなり、それに起因して十分な摩擦熱が発生する。照射時間は、好ましくは0.1〜5秒、更に好ましくは1〜3秒である。また、超音波の周波数は10〜100kHz、特に15〜30kHzとすることが好ましい。高分子結合剤の融点や配合量、原料粉末の重量、タブレット1の厚み等にもよるが、照射時間を前記範囲内とすることで、タブレット1の表面が高温になることが防止でき、原料粉末の劣化、高分子結合剤の過度の溶融固化に起因する過剰硬度(溶けづらい)、杵への付着増加、色焼け等が発生を効果的に防止することができる。
圧縮成型が完了したら超音波振動を停止し、図4(c)に示すように上部エアシリンダ15aを動作させ、上杵16aを上昇させて打錠テーブル12上の空間に待避させる。また下部エアシリンダ15bを動作させ、下杵16bも上昇させる。これによって金型13のキャビティから目的物であるタブレット1を取り出す。
本製造方法の別法として、図6に示す杵16a,16bを用いる方法がある。図6には、各杵16a,16bの杵面を拡大した模式図が示されている。杵面22は円形の輪郭を有する平坦面になっている。しかし杵面22は円形に限られない。同様に、杵面22は平坦面でなくてもよい。杵面22の中央域には円形の輪郭を有する振動吸収体23が取り付けられている。なお、振動吸収体23に関しても、その形状は円形に限られない。振動吸収体23は、接着剤や両面粘着テープなどの取付手段24によって杵面22に取り付けられている。振動吸収体23は各杵16a,16bの超音波振動を吸収し振幅を減衰させる目的で用いられる。振動吸収体23の表面には、原料粉末を含む混合物が杵面22に付着することを防止する目的で、テフロン(登録商標)シート等の付着防止用介在物25が配されている。振動吸収体23に原料粉末が付着しない場合には、介在物25は不要である。また、杵面22に振動吸収体23を取り付けることによって杵面22に段差が生じることを嫌う場合には、杵面22の中央域を振動吸収体23の厚み分だけ凹形に切削し、この凹形部分に振動吸収体をはめ込んで取り付けてもよい。これによって杵面22の表面を平坦にすることが可能である。
図6に示す杵16a,16bを用いた製造方法が、先に述べた製造方法と異なる点は、杵16a,16bの杵面22に振動吸収体23を配した状態で、粉末混合物20に超音波振動を与える点である。杵面22における振動吸収体23を配した部分においては、該吸収体23が配されていない部分に比較して超音波振動の振幅が小さくなっている。本製造方法においては、振動吸収体23が杵面22の中央域に配されているので、図7に示すように、杵面22の中央域よりも外周域の方が超音波振動の振幅が大きくなる。その結果、杵面22の外周域に対応する位置にある粉末混合物20にはその深部にまで超音波振動が伝播し、粉末混合物20の厚み方向全域にわたって粒子が振動し、粒子どうしが高分子結合剤を介して結合する。一方、杵面の中央域に対応する位置(この位置にはカプセル3が存在している)にある粉末混合物20においては、その表層及びその近傍には超音波振動が伝播するので、その部位に位置する粒子は振動して粒子どうしが結合する。しかし、杵面の中央域に対応する位置にある粉末混合物20の内部、即ちカプセル3が位置する部分にまでは超音波振動が伝播しないか、或いは低いレベルでしか超音波振動が伝播しないので、カプセル3が、超音波振動によるダメージを受けづらくなる。要するに、本製造方法においては、杵面のうち、カプセル3の位置に対応する領域よりも、カプセル3の位置に対応する領域以外の領域の方が振幅が大きくなるように超音波振動を与えている。
超音波振動を効果的に吸収させる観点から、振動吸収体23としては弾性材料(例えば天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性エラストマー等)のシートや発泡体、スパンレース不織布等の不織布などを用いることができる。振動吸収体23の材質や厚み等と、超音波の照射条件を調整することによって、内部域の硬度を幅広く変化させることが可能である。また、超音波ホーンの形状設計によって外周域と内周域で振幅の差をつけることも可能である。
以上の実施形態は、内容物が封入されたカプセルを内蔵したタブレットに係るものであったが、本発明は、カプセル以外の柔軟物を直接内蔵したタブレットの実施形態も包含する。かかる柔軟物は、従来の技術では打錠剤中に直接内蔵することができないものであった。しかし本発明によれば、そのような柔軟物を容易にタブレットに内蔵させることができる。該柔軟物はタブレット中に1個又は2個以上内蔵させることができ、何れの場合であっても柔軟物1個の容積が0.06〜65ml程度であることが好ましい。また、タブレットの体積に占める柔軟物の体積の割合は、最大30%、特に最大20%という高い値になっている。
カプセル以外の柔軟物を直接内蔵したタブレットの具体例としては、薬剤が配合されたゼラチンを柔軟物として用い、該柔軟物を直接内蔵した浴用剤が挙げられる。薬剤としては、例えば香料や、グリセリン等の保湿剤を用いることができる。このような構成のタブレットを浴槽に投入すると、外殻の発泡入浴剤成分が溶解し、次いでゼラチンからなる柔軟物が徐々に溶解する。その結果、香りが長続きし、また保湿効果が発現する。
カプセル以外の柔軟物が直接内蔵された本実施形態のタブレットは、先に述べたカプセルが内蔵されたタブレットと同様の方法で製造することができる。本実施形態のタブレットの製造方法に特有の条件としては、打錠後にタブレットを保圧した状態で冷却させるという条件が挙げられる。冷却によって高分子結合剤が十分に固化するので、柔軟物の弾性反発力に起因するタブレットの割れを効果的に防止できる。また保圧することによって高分子結合剤を確実に固化させることができる。冷却は自然冷却でもよく、或いは金型や杵を冷風や冷水で強制冷却してもよい。冷却時間はタブレットの形状や大きさにもよるが、例えばタブレットを浴用剤として用いる場合には3〜30分間自然冷却すればよい。保圧力もタブレットの形状や大きさにもよるが、例えばタブレットを浴用剤として用いる場合には打錠圧力の1.2〜3倍とすることが好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記の製造方法においては、成型用杵16a,16bを、粉末混合物20を挟んで相対向して配し、各杵16a,16bに超音波振動を与えながら圧縮を加えたが、これに代えて、杵を一つだけ用い、該杵に超音波振動を与えながら圧縮を加えてもよい。この場合には、該杵の杵面に前記の振動吸収体23を配してもよい。
また図6に示す杵16a,16bを用いる場合には、各杵16a,16bのそれぞれによって超音波振動を与えるが、杵面22の中央域よりも外周域の方が振幅が大きくなるように粉末混合物20に超音波振動を与える杵を、杵16a,16bのうちの一方のみとしてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。特に断らない限り「%」は「重量%」を意味する。
〔実施例1〕
図3に示す装置を用い、図4及び図5に示す方法で浴用剤タブレットを製造した。装置10における超音波振動素子14a,14bとしては、精電舎電子工業製のランジュバン素子(発振周波数19kHz、最大出力1200W、最大振幅30μm)を用いた。まず、以下の各成分を用意した。主原料であるフマル酸はヘンシェルミキサを用いて転動造粒を行い、PEGで被覆した。これとその他の原料粉末を良く混合して粉末混合物を得た。
・フマル酸 40%
(原料粉末、重量平均粒径172μm、変動係数49.6%)
・炭酸水素ナトリウム 44%
(原料粉末、重量平均粒径99μm、変動係数41.2%)
・炭酸ナトリウム 10%
(原料粉末、重量平均粒径92μm、変動係数45.1%)
・PEG 5.49%
(高分子結合剤、重量平均分子量8500、融点60〜66℃)
・香料 0.5%
・色素 0.01%
図3に示す装置を図4(a)及び図5(a)に示す状態にして、金型の凹部に粉末混合物を27.5g充填した。凹部の直径は50mmであった。凹部内で粉末混合物を平らにならした後、図5(b)に示すように、粉末混合物上にソフトカプセルを載置した。カプセルは、その長軸と短軸とがなす平面が、装置の平面方向に一致するように載置した。このソフトカプセルは、(株)ジーピークリエイツから発売されている浴用化粧品であるパトモス ボティリンスである。このソフトカプセルは、ゼラチン被膜からなるカプセル中にミネラルオイル等が封入されたものである。カプセルの体積は約4cm3である。その寸法を表1に示す。次いで、カプセルを埋めるように粉末混合物を27.5g充填し、図5(c)に示すように凹部内を満充填状態にした。
次に下杵を超音波振動させた。また上杵も超音波振動させると共にこれを降下させて凹部内に挿入して図4(b)に示す状態とした。これによって圧縮成型を行った。成型条件は以下の表2に示す通りである。圧縮成型の完了後、超音波振動を停止し、上杵を上昇・待避させ、また下杵も上昇させて、図4(c)に示すように目的物であるタブレット(体積49cm3)を金型内から取り出した。
〔比較例1〕
図8に示す手順で圧縮成型を行いタブレットを得た。先ず図8(a)に示すように成型用金型103を下杵106bにセットした。金型103は上下が開口した円筒形でありその内径は50mmであった。実施例1と同様の配合組成を有し且つ同実施例と同様に転動造粒して得られた粉末混合物20及び実施例1と同様のカプセル3を、実施例1と同様に金型103の凹部内に充填して図8(b)に示す状態とした。粉末混合物20の充填量は実施例1と同様に55gであった。次に図8(c)に示すように、金型103を油圧プレス機107(理研機器(株)製のTYPE CD−50−135B)にセットし、プレス機107の油圧シリンダ105に取り付けられた上杵106aによって油圧プレスを行った。油圧プレスによる圧力は表2に示す通りである。プレス後、下杵106bを取り外し、図8(d)に示すように金型103及び上杵106aを上下反転させた。更に金型103押し下げて、タブレットを金型内から取り出した。
〔評価〕
実施例1及び比較例1で得られたタブレットについて硬度及び空隙率を以下の方法で測定した。またタブレットの外観を以下の基準で評価した。その結果を以下の表1及び表2に示す。
〔硬度〕
木屋式硬度計を用い、タブレットの外周から5mm内側の3箇所の位置で硬度を測定し、それらの値の平均値を算出する。
〔空隙率〕
図9に示すように、タブレット1の外周域における厚み方向中央部の部位を、約10mm×約10mmの大きさで且つ約10mmの厚みで切り出し測定試料とする。この試料の体積及び重量から外殻の密度を測定する。これとは別に、マイクロメリテックス社製の真密度計であるアキュピック1330(商品名)を用いて外殻の真密度を測定する。これらの値を用い、先に説明した式から空隙率を算出する。なお外殻の真密度は1.8889g/cm3であった。
〔タブレットの外観〕
タブレットに割れ等の欠陥が発生しているか否かを目視観察した。またタブレットからカプセルを取り出してその寸法を測定した。
Figure 0004757051
Figure 0004757051
表1及び表2に示す結果から明らかなように、実施例1のタブレットは硬度が高いにもかかわらず、空隙率も高いことが判る。また、実施例1のタブレットは割れ等の欠陥が発生しておらず、更にカプセルの変形の程度が小さいことが判る。比較例1のタブレットでは、割れが発生しており、更にカプセルが厚み方向に圧縮されて扁平に変形していることが判る。
〔実施例2〕
図3に示す装置を用い、図4及び図5に示す方法で浴用剤タブレットを製造した。図3に示す装置を図4(a)及び図5(a)に示す状態にして、金型の凹部に粉末混合物を15g充填した。凹部の直径は50mmであった。粉末混合物は実施例1と同様のものを用いた。凹部内で粉末混合物を平らにならした後、図5(b)に示すように、粉末混合物の中心上に円盤形のゼラチン塊を載置した。このゼラチン塊は直径25mm、厚み4.5mmで、重量が2.4gであった。このゼラチン塊の調製方法は後述する。次いで、ゼラチン塊を埋めるように粉末混合物を15g充填し、図5(c)に示すように凹部内を満充填状態にした。
次に下杵を超音波振動させた。また上杵も超音波振動させると共にこれを降下させて凹部内に挿入して図4(b)に示す状態とした。これによって圧縮成型を行った。成型条件は以下の表3に示す通りである。圧縮成型の完了後、超音波振動を停止した。次いで約5分間1MPaに保圧した状態で自然冷却させた。その後、上杵を上昇・待避させ、また下杵も上昇させて、図4(c)に示すように目的物であるタブレット(体積24.7cm3)を金型内から取り出した。なお、以上の説明に置いて特に明記しない製造条件は実施例1と同様とした。
ゼラチン塊の調製方法は次の通りである。容器にゼラチン及び水を入れ、60分程度放置してゼラチンを膨潤させる。次に70〜80度のお湯を用い、湯せんしてゼラチンをよく溶かす。そこにグリセリン及び香料を加えてよく溶かす。得られた液を、直径25mm、深さ5mmの円筒容器に注ぎ入れ、冷蔵庫で6時間程度冷やす。これによって目的とする円盤形のゼラチン塊が得られる。このゼラチン塊の配合処方は以下の通りである。
・ゼラチン(新田ゼラチン製 品番APH−150) 30%
・水 58%
・グリセリン 10%
・香料 2%
〔比較例2〕
カプセルに代えて、実施例2で用いたゼラチン塊を用いる以外は、比較例1と同様にして油圧プレスによる打錠を行いタブレットを得た。粉末混合物の充填量は実施例2と同様とした。油圧プレスによる圧力は表3に示す通りである。この圧力は、実施例2のタブレットと同等の硬度のタブレット(但しゼラチン塊を内蔵していない)を、油圧プレスによって得る予備実験を行って決定された値である。
〔評価〕
実施例2及び比較例2で得られたタブレットについて、上述の方法で硬度及び空隙率を測定し、また上述の方法でタブレットの外観を評価した。その結果を表3に示す。
Figure 0004757051
表3に示す結果から明らかなように、実施例2のタブレットは硬度が高いにもかかわらず、空隙率も高いことが判る。また、実施例2のタブレットは割れ等の欠陥が発生していなことが判る。比較例2のタブレットでは、割れが発生してしまった。
本発明のタブレットの一実施形態の断面構造を示す模式図である。 カプセルの形状を示す図である。 図1に示すタブレットを製造するために用いられる好ましい装置を示す模式図である。 図3示す装置を用いたタブレットの製造工程を示す図である。 金型内に粉末混合物を充填する状態を示す図である。 図3における成型用杵の杵面を拡大して示す模式図である。 図3示す装置を用いた超音波振動の付与状態を示す図である。 油圧プレス機を用いた比較例のタブレットの製造工程を示す図である。 タブレットの空隙率を測定する部位を示す図である。
符号の説明
1 タブレット
2 外殻(圧縮成型物)
3 カプセル
10 タブレット製造装置
12 打錠テーブル
13 成型用金型
14a,14b 超音波振動素子
15a,15b エアシリンダ
16a,16b 成型用杵
20 粉末混合物

Claims (7)

  1. 10kPaの圧力を加えた場合の変形量が10%以上60%未満の柔軟物が、原料粉末と、常温で固体で融点が100℃以下である高分子結合剤とを含む混合物の超音波振動圧縮成型物に内蔵され、0.1〜2.5MPaのプレス圧で圧縮成型されたタブレット。
  2. 前記柔軟物が、(イ)弾性変形若しくは塑性変形可能な固体、(ロ)流動体、又は(ハ)長径が5〜50mmで、短径が5〜50mmであり(但し、短径は長径よりも短いか又はまたは同じ長さである)、内容物が封入されたカプセルの何れかからなり、
    前記(ロ)の流動体は、水性液、非水性液又は懸濁液であり、
    前記水性液が、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、天然多糖類、ゼラチン又は寒天の水溶液であり、
    前記非水性液が、ワセリン、流動パラフィン、セレシン又は硬化油であり、
    前記懸濁液が、粘土又は塗料である請求項1記載のタブレット。
  3. 前記混合物が圧縮成型された部位の空隙率が、20〜40体積%である請求項1又は2記載のタブレット。
  4. 原料粉末と、常温で固体で融点が100℃以下である高分子結合剤とを含む混合物をタブレット成型用金型内に充填すると共に、該混合物中に、10kPaの圧力を加えた場合の変形量が10%以上60%未満の柔軟物を埋め込み、該混合物に超音波振動を与えながら0.1〜2.5MPaのプレス圧で圧縮を加えるタブレットの製造方法。
  5. 前記混合物を挟んで相対向してそれぞれ配された成型用杵によって該混合物に超音波振動を与えながら圧縮を加える請求項4記載の製造方法。
  6. 10〜100kHzの周波数、5〜100μmの振幅、及び0.1〜5秒の照射時間で超音波振動を与える請求項4又は5記載の製造方法。
  7. 前記混合物として、前記原料粉末の粒子が前記高分子結合剤で被覆されているものを用いる請求項4ないし6の何れかに記載の製造方法。
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