以下、添付図面を参照しながら、本発明による通行料課金システムの実施の形態を説明する。
(実施の第1形態)
本発明による通行料課金システムの実施の第1形態では、ロードプライシングの対象エリア内部での走行距離が長い車両に対して多くの課金額が課され、これにより、発生した環境負荷に応じた課金がなされる。
実施の第1形態では、図1に示されているように、ロードプライシングの対象エリア1に、ガントリ2が設けられる。ガントリ2は、ロードプライシングの対象エリア1の境界1aを通過する全ての道路に設けられる。ガントリ2は、更に、対象エリア1の内部にも設けられる。対象エリア1の境界1aに設けられたガントリ2は、境界ガントリと呼ばれることがあり、対象エリア1の内部に設けられたガントリ2は、内部ガントリと呼ばれることがある。ガントリ2のそれぞれには、ガントリ2を区別するための識別子として、互いに異なるガントリ番号が与えられている。ガントリ番号iを有するガントリ2は、ガントリ2iと記載されることがある。
全てのガントリ2は、ネットワーク(図示されない)を介して管理センタ装置装置3に接続されている。管理センタ装置3は、ガントリ2が収集した情報に基づいて、対象エリア1に流入し、更にその内部を走行した車両に対して課金をするための課金処理を行うホストコンピュータである。
図2は、ガントリ2を示す。ガントリ2は、ナンバープレート撮像カメラ4−1、4−2と、路側制御装置5とを含む。ナンバープレート撮像カメラ4−1は、第1車線6−1を走行する車両のナンバープレートを撮像し、ナンバープレート撮像カメラ4−2は、第1車線6−1と反対方向に向かう第2車線6−2を走行する車両のナンバープレートを撮像する。ガントリ2を通過する車両は、いずれの方向に向かう場合であっても、そのナンバープレートが撮影される。境界ガントリであるガントリ2では、対象エリア1の内部に向かう車両と、対象エリア1から外部に向かう車両の両方のナンバープレートが撮影されることになる。
図3は、ガントリ2に設けられた路側制御装置5の構成を示す機能ブロック図である。路側制御装置5は、ナンバープレート認識処理部5a、時計装置5b、制御部5c、メモリ5d、及び通信インターフェース5eを含む。ナンバープレート認識処理部5aは、ナンバープレート撮像カメラ4−1、4−2が撮像した撮像画像から、ガントリ2を通過する車両のナンバープレートに記載されているライセンスプレート番号を識別し、制御部5cに出力する。ナンバープレート認識処理部5aが生成したライセンスプレート番号は、車両を識別する識別子(ID:Identification)として使用される。時計装置5bは、現時刻を示す時刻信号を発生し、制御部5cに出力する。メモリ5dは、ガントリ2に与えられたガントリ番号を記憶する。通信インターフェース5eは、ガントリ2と管理センタ装置3との間の通信機能を提供する。制御部5cは、管理センタ装置3に送信するデータの生成と、ガントリ2全体の制御とを行う。
このような構成を有するガントリ2は、車両がガントリ2を通過しようとすると、ナンバープレート撮像カメラ4−1、4−2を用いて、その通過車両のナンバープレートを撮影する。更にガントリ2は、ナンバープレート撮像カメラ4−1、4−2が撮影した撮影画像から、通過車両のライセンスプレート番号を識別する。更に、ガントリ2は、時計装置5bが発生する時刻信号から、ナンバープレートを撮影した時刻を認識し、その時刻を、通過車両がガントリ2を通過した通過時刻と定める。更に、ガントリ2は、通過車両のライセンスプレート番号と、通過時刻と、メモリ5dに記憶されたガントリ番号とを、通信インターフェース5eを用いて管理センタ装置3に送信する。
管理センタ装置3は、通信インターフェース7とセンタコンピュータ8とを含む。通信インターフェース7は、各ガントリ2から、ガントリ番号、通過車両のライセンスプレート番号、及び通過時刻を受け取る。センタコンピュータ8は、受け取ったガントリ番号、ライセンスプレート番号、及び通過時刻に基づいて、ロードプライシングの対象エリア1の内部を走行した車両に対する課金を行う処理(課金処理)を行う。
課金処理のために、センタコンピュータ8は、車両経路データベース8a、距離テーブル8b、及び決済情報データベース8cを記憶装置に保持している。
図4は、車両経路データベース8aを示している。車両経路データベース8aには、対象エリア1内を走行する車両のライセンスプレート番号と、その車両が通過したガントリ2のガントリ番号と、その通過時刻とが、関連付けて記憶されている。対象エリア1内を走行した一の車両に対して、一のレコード8dが用意される。一のレコード8dに、対象エリア1内を走行した車両のライセンスプレート番号、その車両が通過したガントリ2のガントリ番号、ガントリ2を通過した通過時刻が記録される。一のレコードに記憶されているデータから、センタコンピュータ8は、対象エリア1内を走行した車両の走行経路を認識する。車両の走行経路は、ガントリ番号を用いて表現される。ある車両が、ガントリ番号i、j、k、…、をそれぞれ有するガントリ2を、その順に通過したとすると、その車両の走行経路は、走行経路i−j−k−…、と表現される。
図5は、距離テーブル8bを示す。距離テーブル8bには、任意の2つのガントリ2を結ぶリンクのそれぞれについて、そのリンクの距離が記述されている。センタコンピュータ8は、車両経路データベース8aに記述されている走行経路と、距離テーブル8bとから、対象エリア1内を走行した車両の走行距離を算出する。
図6は、決済情報データベース8cを示している。決済情報データベース8cには、ロードプライシングにより課せられた課金の決済を行うのに必要な情報が蓄積されている。より詳細には、決済情報データベース8cには、ライセンスプレート番号、車両の所有者の氏名、ロードプライシングの課金の決済を行う口座を示す決済口座データ、及び車両の所有者の住所が、関連付けされて蓄積されている。これらのデータが、課金の決済に使用される。
続いて、当該通行料課金システムの動作を説明する。
図1に示されているように、ライセンスプレート番号Xを有する車両が、境界ガントリであるガントリ2iを通過して、新たに対象エリア1の内部に進入したとする。図3を参照して、そのガントリ2iは、その車両のナンバープレートを撮影し、その車両のライセンスプレート番号X、自己のガントリ番号i、及びその車両がガントリ2を通過した通過時刻tiを管理センタ装置3に送信する。
管理センタ装置3のセンタコンピュータ8は、送信されたガントリ番号iから、車両が通過したガントリが境界ガントリであることを認識する。センタコンピュータ8は、ガントリ2を介して車両が新たに対象エリア1の内部に進入したと判断し、図4に示されているように、車両経路データベース8aに新たにレコード8dを作成する。新たに作成されたレコード8dは、以下、レコード8dxと記載する。センタコンピュータ8は、作成したレコード8dxに、ガントリ2iから送られたライセンスプレート番号X、ガントリ番号i、及び通過時刻tiを保存する。
対象エリア1の内部に進入した車両が、内部ガントリであるガントリ2を通過すると、その内部ガントリは、管理センタ装置3にライセンスプレート番号、ガントリ番号、及び通過時刻を送信する。管理センタ装置3のセンタコンピュータ8は、送信されたガントリ番号から、車両が通過したガントリが内部ガントリであると判断する。センタコンピュータ8は、送信されたライセンスプレート番号から、その車両に対応して作成されたレコード8dxを検索し、レコード8dxに、ガントリ番号と通過時刻とを関連付けて記録する。車両が、内部ガントリであるガントリ2j、2kを、それぞれ時刻tj、tkに通過した場合には、ガントリ番号jと通過時刻tjとを関連付け、且つ、ガントリ番号kと通過時刻tkとを関連付けて、レコード8dxに記録する。
続いて、対象エリア1の内部に進入した車両が、境界ガントリであるガントリ2lを通過して、対象エリア1の外部に出たとする。ガントリ2lは、その車両のナンバープレートを撮影し、その車両のライセンスプレート番号X、自己のガントリ番号l、及びその車両がガントリ2lを通過した通過時刻tlを管理センタ装置3に送信する。
管理センタ装置3のセンタコンピュータ8は、送信されたガントリ番号lから、車両が通過したガントリが境界ガントリであることを認識する。センタコンピュータ8は、ガントリ2lを介して車両が対象エリア1から外部に出たと判断する。更にセンタコンピュータ8は、レコード8dxに記憶されているガントリ番号と通過時から、車両の走行経路を同定する。
更に、センタコンピュータ8は、距離テーブル8bを参照して、その車両の走行距離を算出する。更にセンタコンピュータ8は、算出した走行距離から、その車両に課せられる課金額を決定する。
更に、センタコンピュータ8は、レコード8dxに記載されているライセンスプレート番号Xを検索キーとして決済情報データベース8cを検索し、その車両の所有者が定めた決済口座を示す決済口座データを取得する。センタコンピュータ8は、取得した決済情報データに示された決済口座から課金額を引き落とす処理を行う。以上で、対象エリア1の内部を走行した車両に対して課金する課金処理が完了する。
本実施の形態の通行料課金システムでは、ロードプライシングの対象エリア1の境界1aに加えて、対象エリア1の内部にもガントリ2が設けられている。それらのガントリ2から管理センタ装置3に送られる情報に基づいて、車両が対象エリア1の内部で走行した走行経路が同定され、車両の走行距離が算出される。その走行距離に応じて車両に課せられる課金額が定められる。これにより、走行距離が長く、大きな環境負荷を発生した車両に対して、多くの課金額を課すことができる。
更に、本実施の形態の通行料課金システムは、ナンバープレートを撮像することによって車両を識別するため、対象エリア1に進入する車両に特段の装備を搭載する必要がない。このため、本実施の形態の通行料課金システムは、その導入が容易である。
(実施の第2形態)
実施の第1形態ではナンバープレートを撮像することにより車両の識別が行われているのに対し、実施の第2形態では、固有の車載器番号が割り当てられた車載器が車両に搭載され、車載器番号が車両を識別するための識別子として使用される。
実施の第2形態では、図7に示されているように、ロードプライシングの対象エリア11に、無線通信の機能を有するガントリ12が設けられる。ガントリ12は、ロードプライシングの対象エリア11の境界11aを通過する全ての道路に設けられる。ガントリ12は、更に、対象エリア11の内部にも設けられる。ガントリ12のそれぞれには、互いに異なるガントリ番号が与えられ、ガントリ番号iを有するガントリ12は、ガントリ12iと記載されることがある。
図8は、ガントリ12を示す。ガントリ12は、アンテナ14−1、14−2と、ナンバープレート撮像カメラ15−1、15−2と、路側制御装置16とを含む。
アンテナ14−1は、第1車線17−1を走行する車両に搭載されている車載器18と電波による無線通信を行い、アンテナ14−2は、第1車線6−1と反対方向に向かう第2車線17−2を走行する車両に搭載されている車載器18と電波による無線通信を行う。ガントリ12を通過する車両は、いずれの方向に向かう場合であっても、ガントリ12と無線通信を行う。境界ガントリであるガントリ2では、対象エリア1の内部に向かう車両及び対象エリア1から外部に向かう車両の両方と、ガントリ12との間で無線通信が行われることになる。
ナンバープレート撮像カメラ15−1、15−2は、車載器18を搭載していない車両がガントリ12を通過したとき、その車両のナンバープレートを撮像する。ナンバープレートの撮像により、車載器18を搭載しない不正車両の検知が行われる。
全てのガントリ12は、ネットワーク(図示されない)を介して管理センタ装置13に接続されている。管理センタ装置13は、ガントリ12が収集した情報に基づいて、対象エリア11の内部を走行した車両に対して課金をするための課金処理を行う。
図9は、実施の第2形態の通行料課金システムの機能ブロック図である。車載器18は、入力キー18a、表示器18b、スピーカ18c、メモリ18d、無線通信インターフェース18e、アンテナ18f、及びCPU18g、を含む。入力キー18a、表示器18b、及びスピーカ18cは、車載器18と車両の搭乗者との間のマン−マシンインターフェースとして使用される。メモリ18dは、車載器18のそれぞれに、固有に与えられている車載器番号を記憶する。無線通信インターフェース18eとアンテナ18fとは、電波による無線通信の機能を提供する。ガントリ12と車載器18との間の無線通信は、無線通信インターフェース18eとアンテナ18fとにより実行される。CPU18gは、ガントリ12への送信データの生成と、車載器18全体の制御とを行う。
このような構成を有する車載器18は、ガントリ12から無線通信によって車載器番号要求を受け取ると、メモリ18dに記憶されている車載器番号をガントリ12に送信する。
ガントリ12は、既述のように、アンテナ14−1、14−2、ナンバープレート撮像カメラ15−1、15−2、及び路側制御装置16とを含んで構成されている。路側制御装置16は、無線通信インターフェース16a、ナンバープレート認識処理部16b、時計装置16c、メモリ16d、制御部16e及び通信インターフェース16fを含む。無線通信インターフェース16aは、アンテナ14−1、14−2に接続され、ガントリ12と車載器18との間の無線通信の機能を提供する。ナンバープレート認識処理部16bは、ナンバープレート撮像カメラ14−1、14−2が撮像した撮像画像から、ガントリ12を不正に通過する車両のナンバープレートに記載されているライセンスプレート番号を識別し、識別したライセンスプレート番号を制御部16fに出力する。時計装置16cは、現時刻を示す時刻信号を発生し、制御部16fに出力する。メモリ16dは、ガントリ12に与えられたガントリ番号を記憶する。通信インターフェース16eは、ガントリ12と管理センタ装置13との間の通信機能を提供する。制御部16fは、車載器18に送信するデータ、及び管理センタ装置13に送信するデータの生成と、ガントリ12の他の部分の制御とを行う。
このような構成を有するガントリ12は、ガントリ12に車両が通過しようとしていることを検知すると、車載器18に車載器番号要求を送信する。更に、ガントリ12は、車載器18から車載器番号を受信すると、時計装置16cが発生する時刻信号によって車載器番号を受信した時刻を認識し、その時刻を、車両がガントリ12を通過した通過時刻と定める。更に、ガントリ12は、車載器番号と、通過時刻と、メモリ16dに記憶されたガントリ番号とを、通信インターフェース16eを用いて管理センタ装置13に送信する。
管理センタ装置13は、通信インターフェース19とセンタコンピュータ20とを含む。通信インターフェース19は、各ガントリ12から、ガントリ番号、通過車両に搭載された車載器18の車載器番号、及び通過時刻を受け取る。センタコンピュータ20は、受け取ったガントリ番号、通過車両に搭載された車載器18の車載器番号、及び通過時刻を基づいて、ロードプライシングの対象エリア11の内部を走行した車両に対する課金を行う処理(課金処理)を行う。
課金処理のために、センタコンピュータ20は、車両経路データベース20a、距離テーブル20b、及び決済情報データベース20cを記憶装置に保持している。
図10は、車両経路データベース20aを示している。車両経路データベース20aには、対象エリア11内を走行する車両に搭載された車載器18の車載器番号と、その車両が通過したガントリ12のガントリ番号と、その通過時刻とが関連付けて記憶されている。対象エリア11内を走行した一の車両に対して、一のレコード20dが用意される。一のレコード20dに、対象エリア11内を走行した一の車両に搭載された車載器18の車載器番号と、その車両が通過したガントリ12のガントリ番号と、ガントリ12を通過した通過時刻とが記録される。一のレコード20dに記憶されているデータから、センタコンピュータ20は、その一の車両の走行経路を認識する。車両の走行経路は、実施の第1形態と同様に、ガントリ番号を用いて表現される。ある車両が、ガントリ番号i、j、k、…、をそれぞれ有するガントリ12を、その順に通過したとすると、その車両の走行経路は、走行経路i−j−k−…、と表現される。
距離テーブル20bには、実施の第1形態の距離テーブル8bと同様に、任意の2つのガントリ12のリンクについて、そのリンクの距離が記述されている。センタコンピュータ20は、車両経路データベース20aに記述されている走行経路と、距離テーブル20bとから、対象エリア1内を走行した車両の走行距離を算出する。
図11は、決済情報データベース20cを示している。決済情報データベース20cには、ロードプライシングにより課せられた課金の決済を行うのに必要な情報が蓄積されている。より詳細には、決済情報データベース20cには、車載器番号、車両の所有者の氏名、ロードプライシングの課金の決済を行う口座を示す決済口座データ、及び車両の所有者の住所が、関連付けされて蓄積されている。これらのデータが、課金の決済に使用される。
続いて、実施の第2形態の通行料課金システムの動作を説明する。
図7に示されているように、ある車両が、境界ガントリであるガントリ12iを通過して、新たに対象エリア11の内部に進入したとする。図9を参照して、そのガントリ12iは、その車両の車載器18に、車載器番号送信要求を送信する。車載器18は、自己に割り当てられた車載器番号をガントリ12iに送信する。
新たに対象エリア11の内部に進入した車両が、車載器18を搭載していない場合、車載器番号は、ガントリ12iには送信されない。この場合、ガントリ12iは、ナンバープレート撮像カメラ15−1(15−2)によってガントリ12iを通過する車両のナンバープレートを撮像する。ガントリ12iは、ナンバープレートの撮像画像から、その車両のライセンスプレート番号を認識する。ガントリ12iは、車両がガントリ12iを不正に通過したことを通知する不正車両通知を生成し、管理センタ装置13に送信する。この不正車両通知には、不正に通過した車両のライセンスプレート番号が含められ、管理センタ装置13は、不正に通過した車両の識別が可能である。
ガントリ12iは、車載器18から車載器番号を受信すると、受信した車載器番号と、自己のガントリ番号iと、その車両がガントリ12を通過した通過時刻tiとを管理センタ装置13に送信する。
管理センタ装置13のセンタコンピュータ20は、送信されたガントリ番号iから、車両が通過したガントリが境界ガントリであることを認識する。センタコンピュータ20は、ガントリ12を介して車両が新たに対象エリア11の内部に進入したと判断し、図10に示されているように、車両経路データベース20aに新たにレコード20dを作成する。新たに作成されたレコード20dは、以下、レコード20dxと記載する。センタコンピュータ20は、作成したレコード20dxに、ガントリ12iから送られた車載器番号X、ガントリ番号i、及び通過時刻tiを保存する。
更に、対象エリア11の内部に進入した車両が、内部ガントリであるガントリ12を通過すると、図9に示されているように、その内部ガントリは、その車両の車載器18の車載器番号、ガントリ番号、及び通過時刻を管理センタ装置13に送信する。管理センタ装置13のセンタコンピュータ20は、送信されたガントリ番号から、車両が通過したガントリが内部ガントリであると判断する。センタコンピュータ20は、送信された車載器番号から、その車両に対応して作成されたレコード20dxを検索し、レコード20dxに、ガントリ番号と通過時刻とを関連付けて記録する。車両が、内部ガントリであるガントリ12j、12kを、それぞれ時刻tj、tkに通過した場合には、ガントリ番号jと通過時刻tjとを関連付け、且つ、ガントリ番号kと通過時刻tkとを関連付けて、レコード20dxに記録する。
続いて、対象エリア11の内部に進入した車両が、境界ガントリであるガントリ12lを通過して、対象エリア11の外部に出たとする。ガントリ12lは、その車両が搭載する車載器18の車載器番号と、自己のガントリ番号lと、その車両がガントリ2lを通過した通過時刻tlと管理センタ装置13に送信する。
管理センタ装置13のセンタコンピュータ20は、送信されたガントリ番号lから、車両が通過したガントリが境界ガントリであることを認識する。センタコンピュータ20は、ガントリ12lを介して車両が対象エリア11から外部に出たと判断する。更にセンタコンピュータ20は、レコード20dxに記憶されているガントリ番号と通過時から、車両の走行経路を同定する。
更に、センタコンピュータ20は、距離テーブル20bを参照して、その車両の走行距離を算出する。更にセンタコンピュータ20は、算出した走行距離から、その車両に課せられる課金額を決定する。
更に、センタコンピュータ20は、レコード20dxに記載されているライセンスプレート番号Xを検索キーとして決済情報データベース20cを検索し、その車両の所有者が定めた決済口座を示す決済口座データを取得する。センタコンピュータ20は、取得した決済情報データに示された決済口座から課金額を引き落とす処理を行う。以上で、対象エリア11の内部を走行した車両に対して課金する課金処理が完了する。
本実施の形態では、実施の第1形態と同様に、車両が対象エリア11の内部で走行した走行距離に応じて車両に課せられる課金額が定められる。これにより、走行距離が長く、大きな環境負荷を発生した車両に対して、多くの課金額を課すことができる。
更に、実施の第2形態の通行料課金システムは、実施の第1形態の通行料課金システムに比べ、車両の識別率が向上できる。ナンバープレートの撮影画像に基づいて車両の識別は、その識別率の向上に限界がある。実施の第2形態の通行料課金システムは、電波による無線通信を用いて車両の識別が行われるため、容易に車両の識別率を向上できる。
本実施の形態において、ガントリ12と車載器18との間の無線通信は、光ビーコンを用いて行われることも可能である。この場合、図12に示されているように、車載器18の無線通信インターフェース18e及びアンテナ18fは、赤外線通信の機能を提供する赤外線通信部18hに置換され、ガントリ12のアンテナ14−1、14−2と無線通信インターフェース16aとは、赤外線通信の機能を提供する赤外線通信部16gに置換される。ガントリ12は、赤外線通信部16gを用いて、車載器18に車載器番号送信要求を送信し、車載器18は、赤外線通信部18hを用いて、ガントリ12に車載器番号を送信する。
(実施の第3形態)
実施の第3形態の通行料課金システムは、実施の第2形態の通行料課金システムとほぼ同様の構成を有し、ほぼ同様の動作を行う。実施の第3形態では、実施の第2形態と同様にロードプライシングの対象エリア11の境界11aに加えて、対象エリア11の内部にもガントリ12が設けられる。それらのガントリ12から管理センタ装置13に送られる情報に基づいて、管理センタ装置13は、対象エリア11内を走行する車両に課せられる課金額を定める。
実施の第3形態の通行料課金システムは、実施の第2形態の通行料課金システムと、課金額の算出方法が異なる。既述の通り、実施の第2形態では、車両の走行経路から車両の走行距離が算出され、その走行距離に応じて課金額が定められている。一方、実施の第3形態では、ガントリ12のそれぞれに対応して、課金額が定められている。車両がガントリ12を通過する毎に、その車両への課金額には、ガントリ12について定められた課金額が加算される。このようにして課金額を算出するために、実施の第3形態では、実施の第2形態の距離テーブル20c(図9参照)の代わりに、図13に示されているように、課金テーブル20dが使用される。
図14は、課金テーブル20dの内容を示す。課金テーブル20dには、設けられた全てのガントリ12について、ガントリ番号と、そのガントリ番号を有するガントリ12を車両が通過したときに課される課金額が記述されている。管理センタ装置13のセンタコンピュータ20は、課金テーブル20dを用いて、ロードプライシングの対象エリア11の内部を走行する車両に課される課金額を決定する。
実施の第3形態の通行料課金システムの動作を以下に説明する。
実施の第3形態では、実施の第2形態と同一の過程により、対象エリア11の内部を走行した車両が搭載している車載器の車載器番号と、その車両が通過したガントリ12のガントリ番号とが車両経路データベース20aに蓄積される。車両がガントリ12を通過した通過時間は、課金額の決定に使用されないため、通過時間は、車両経路データベース20aに蓄積される必要は必ずしもない。
更に、管理センタ装置13のセンタコンピュータ20は、車両経路データベース20aに基づいて、ガントリ12のそれぞれについて、車両が通過した回数を算出する。その回数と、ガントリ12のそれぞれについて定められた課金額とから、対象エリア11の内部を走行した車両に課される課金額を決定する。車両に課される課金額Sは、
…式(1)
により算出される。n
iは、車両が、ガントリ12
iを通過した回数であり、c
iは、ガントリ12
iについて定められた課金額である。Σは、全てのガントリ12についての和を意味している。
ガントリ12iについて定められている課金額ciは、ガントリ12iが設けられている位置の交通混雑の程度に応じて定められることが好ましい。ガントリ12iについて定められている課金額ciは、ガントリ12iの所在位置の混雑程度が高いほど、高額に定められていることが好ましい。これにより、交通の混雑している地点の交通量を減少することが出来る。
実施の第3形態の通行料課金システムでは、ガントリ12を通過する回数に応じて、課金額が定められる。車両がガントリ12を通過する回数は、概ね、車両が発生した環境負荷の大きさに対応している。このように、実施の第3形態の通行料課金システムでは、大きな環境負荷を発生した車両に対して、多くの課金額を課すことができる。
実施の第3形態で使用されている課金額の算出方法は、実施の第1形態の通行料課金システムのように、ナンバープレートによって車両を識別する通行料課金システムにおいても適用され得る。この場合、実施の第1形態と同一の過程により、対象エリア1の内部を走行した車両のライセンスプレート番号と、その車両が通過したガントリ2のガントリ番号とが車両経路データベース8aに蓄積される。更に、車両経路データベース8aに基づいて、ガントリ2のそれぞれについて、車両が通過した回数が算出される。その回数と、ガントリ2のそれぞれについて定められた課金額とから、対象エリア1の内部を走行した車両に課される課金額が決定される。
(実施の第4形態)
実施の第4形態では、実施の第1形態、及び実施の第2形態と同様に、ロードプライシングの対象エリア内部での走行距離が長い車両に対して多くの課金額が課され、これにより、発生した環境負荷に応じた課金がなされる。但し、実施の第4形態では、ロードプライシングの対象エリア内部での車両の走行経路の同定は、車載器によって行われる。車載器は、ロードプライシングの対象エリア内部での車両の走行経路を蓄積し、車両が対象エリアの外部に出るときに、ガントリを介して管理センタ装置に送信する。これにより、管理センタ装置の演算負荷が低減されている。
実施の第4形態では、図15に示されているように、ロードプライシングの対象エリア21の境界21aを通過する全ての道路に、境界ガントリ22が設けられる。更に、対象エリア21の内部には、内部ガントリ23が設けられる。境界ガントリ22と内部ガントリ23のそれぞれには、互いに異なるガントリ番号が与えられている。ガントリ番号iを有する境界ガントリ22は、境界ガントリ22iと記載されることがあり、ガントリ番号jを有する内部ガントリ23は、内部ガントリ23jと記載されることがある。
図16は、境界ガントリ22を示す。境界ガントリ22は、入域アンテナ25−1、出域アンテナ25−2、ナンバープレート撮像カメラ26−1、26−2、及び路側制御装置27を備えている。
入域アンテナ25−1は、ロードプライシングの対象エリア21の内部に向かう第1車線28−1を走行する車両に搭載されている車載器29と電波による無線通信を行う。出域アンテナ25−2は、対象エリア21の内部から外部に向かう第2車線28−2を走行する車両に搭載されている車載器29と無線通信を行う。
ナンバープレート撮像カメラ26−1、26−2は、車載器29を搭載していない車両が境界ガントリ22を通過したとき、その車両のナンバープレートを撮像する。ナンバープレートの撮像により、車載器29を搭載しない不正車両の検知が行われる。
図17は、内部ガントリ23を示す。内部ガントリ23は、境界ガントリ22と同様の構成を有するが、内部ガントリ23では、入域アンテナと出域アンテナの区別はない。内部ガントリ23は、アンテナ30−1、30−2、ナンバープレート撮像カメラ31−1、31−2、及び路側制御装置32を備えている。
アンテナ30−1は、第1車線34−1を走行する車両に搭載されている車載器29と無線通信を行い、アンテナ30−2は、第1車線34−1と反対に向かう第2車線34−2を走行する車両に搭載されている車載器29と無線通信を行う。
ナンバープレート撮像カメラ31−1、31−2は、車載器29を搭載していない車両が内部ガントリ23を通過したとき、その車両のナンバープレートを撮像する。ナンバープレートの撮像により、車載器29を搭載しない不正車両の検知が行われる。
全ての境界ガントリ22と内部ガントリ23は、ネットワーク(図示されない)を介して管理センタ装置24に接続されている。管理センタ装置24は、境界ガントリ22と内部ガントリ23とが収集した情報に基づいて、対象エリア21の内部を走行した車両に対して課金をするための課金処理を行う。
図18は、実施の第4形態の通行料課金システムの機能ブロック図を示す。車両に搭載される車載器29は、入力キー29a、表示器29b、スピーカ29c、メモリ29d、経路データメモリ29e、無線通信インターフェース29f、アンテナ29g、及びCPU29hを含む。入力キー29a、表示器29b、及びスピーカ29cは、車載器29と車両の搭乗者との間のマン−マシンインターフェースとして使用される。メモリ29dは、車載器29のそれぞれに固有に与えられている車載器番号を記憶する。
経路データメモリ29eは、車載器29が搭載されている車両が通過した走行経路を示す経路データを記憶する。実施の第1形態及び第2形態と同様に、車両の走行経路は、ガントリ番号を用いて表現される。車両が、ガントリ番号i、j、k、…、をそれぞれ有する境界ガントリ22又は内部ガントリ23を、その順に通過したとすると、その車両の走行経路は、走行経路i−j−k−…、と表現される。車両が境界ガントリ22と内部ガントリ23とを通過する毎に、それらに与えられているガントリ番号が、経路データとして、順次に経路データメモリ29eに記憶される。
無線通信インターフェース29fとアンテナ29gとは、電波による無線通信の機能を提供する。境界ガントリ22及び内部ガントリ23と、車載器29との間の無線通信は、無線通信インターフェース29fとアンテナ29gとにより実行される。CPU29hは、境界ガントリ22及び内部ガントリ23への送信データの生成と、車載器29全体の制御とを行う。
境界ガントリ22は、既述のように、入域アンテナ25−1、出域アンテナ25−2、ナンバープレート撮像カメラ26−1、26−2、及び路側制御装置27とを含んで構成されている。
路側制御装置27は、無線通信インターフェース27a−1、27a−2、ナンバープレート認識処理部27b、メモリ27c、通信インターフェース27d、及び制御部27eを含む。無線通信インターフェース27a−1は、入域アンテナ25−1に接続され、ロードプライシングの対象エリア21に進入する車両に搭載された車載器29と境界ガントリ22との間の無線通信の機能を提供する。同様に、無線通信インターフェース27a−2は、出域アンテナ25−2に接続され、対象エリア21から流出する車両に搭載された車載器29と境界ガントリ22との間の無線通信の機能を提供する。ナンバープレート認識処理部27bは、ナンバープレート撮像カメラ26−1、26−2が撮像した撮像画像から、境界ガントリ22を不正に通過する車両のナンバープレートに記載されているライセンスプレート番号を識別し、識別したライセンスプレート番号を制御部27eに出力する。メモリ27cは、境界ガントリ22に与えられたガントリ番号を記憶する。通信インターフェース27dは、境界ガントリ22と管理センタ装置24との間の通信機能を提供する。制御部27eは、車載器18に送信するデータ、及び管理センタ装置24に送信するデータの生成と、境界ガントリ22の他の部分の制御とを行う。
内部ガントリ23は、入域アンテナと出域アンテナの区別がない点以外、境界ガントリ22と同一の構成を有している。内部ガントリ23は、既述のように、アンテナ30−1、アンテナ30−2、ナンバープレート撮像カメラ31−1、31−2、及び路側制御装置32とを含んで構成されている。
路側制御装置32は、無線通信インターフェース32a、ナンバープレート認識処理部32b、メモリ32c、通信インターフェース32d、及び制御部32eを含む。無線通信インターフェース32aは、アンテナ30−1、30−2に接続され、車載器29と内部ガントリ23との間の無線通信の機能を提供する。ナンバープレート認識処理部32bは、ナンバープレート撮像カメラ31−1、31−2が撮像した撮像画像から、内部ガントリ23を不正に通過する車両のナンバープレートに記載されているライセンスプレート番号を識別し、識別したライセンスプレート番号を制御部32eに出力する。メモリ32cは、内部ガントリ23に与えられたガントリ番号を記憶する。通信インターフェース32dは、内部ガントリ23と管理センタ装置24との間の通信機能を提供する。制御部32eは、車載器29に送信するデータ、及び管理センタ装置24に送信するデータの生成と、内部ガントリ23の他の部分の制御とを行う。
管理センタ装置24は、通信インターフェース35とセンタコンピュータ36とを含む。通信インターフェース19は、境界ガントリ22及び内部ガントリ23と、管理センタ装置24との間の通信機能を提供する。センタコンピュータ36は、境界ガントリ22及び内部ガントリ23から受け取った情報に基づいて、ロードプライシングの対象エリア21の内部を走行した車両に対する課金を行う処理(課金処理)を行う。
センタコンピュータ36は、課金処理のために、距離テーブル36a、及び決済情報データベース36bを記憶装置に保持している。
距離テーブル36aには、実施の第1形態の距離テーブル8bと同様に、境界ガントリ22、及び内部ガントリ23の任意の2つを結ぶリンクのそれぞれについて、そのリンクの間の距離が記述されている。
決済情報データベース36bには、実施の第2形態の決済情報データベース20cと同様に、ロードプライシングにより課せられた課金の決済を行うのに必要な情報が蓄積されている。より詳細には、決済情報データベース36bには、車載器番号、車両の所有者の氏名、ロードプライシングの課金の決済を行う口座を示す決済口座データ、及び車両の所有者の住所が、関連付けされて蓄積されている。これらのデータが、課金の決済に使用される。
続いて、実施の第4形態の通行料課金システムの動作を説明する。
図19に示されているように、ある車両が、境界ガントリ22を通過して、新たに対象エリア21の内部に進入したとする。その境界ガントリ22は、入域アンテナ25−1を用いて、その車両が搭載している車載器29に入域通知と自己のガントリ番号とを送信する。車載器29は、入域通知を受信すると、経路データメモリ29eに新たにレコードを作成する。車載器29は、作成したそのレコードに、通過した境界ガントリ22のガントリ番号を記録する。
車載器29は、更に、受信通知を境界ガントリ22に送信する。境界ガントリ22は、受信通知を受信し、車載器29を搭載した車両が、境界ガントリ22を通過したことを認識する。
車載器29を搭載していない車両が境界ガントリ22を通過した場合には、受信通知は境界ガントリ22に送信されない。この場合、境界ガントリ22は、ナンバープレート撮像カメラ26−1によって通過した車両のナンバープレートを撮像し、そのナンバープレートに記載されたライセンスプレート番号を認識する。境界ガントリ22は、車両がガントリ22を不正に通過したことを通知する不正車両通知を生成し、管理センタ装置24に送信する。この不正車両通知には、不正に通過した車両のライセンスプレート番号が含められ、管理センタ装置24は、不正に通過した車両の識別が可能である。
続いて、対象エリア21の内部に進入した車両が、内部ガントリ23を通過すると、その内部ガントリ23は、自己のガントリ番号を車載器29に送信する。車載器29は、経路データメモリ29eに作成したレコードに、通過した内部ガントリ23のガントリ番号を記録する。更に、車載器29は、受信通知を内部ガントリ23に送信する。受信通知を受信しなかった場合には、内部ガントリ23は、境界ガントリ22と同様に、通過した車両のナンバープレートを撮像し、ライセンスプレート番号を含む不正車両通知を管理センタ装置24に送信する。内部ガントリ23を通過する毎に、通過した内部ガントリ23のガントリ番号が、作成したレコードに順次に記録され、経路データが作成される。
続いて、対象エリア21の内部に進入した車両が、境界ガントリ22を通過して、対象エリア21の外部に流出したとする。その境界ガントリ22は、その車両が搭載している車載器29に、自己のガントリ番号と、出域通知とを送信する。車載器29は、経路データメモリ29eに作成したレコードに、通過した境界ガントリ22のガントリ番号を記録して経路データを作成する。更に車載器29は、作成した経路データとメモリ29dに記憶されている車載器番号とを、アンテナ29gを用いて境界ガントリ22に送信する。境界ガントリ22は、出域アンテナ25−2を用いて、経路データと車載器番号とを受信し、受信した経路データと車載器番号とを管理センタ装置24に送信する。
管理センタ装置24のセンタコンピュータ36は、距離テーブル36aを参照して、受信した経路データから、車両の走行距離を算出する。更にセンタコンピュータ36は、算出した走行距離から、その車両に課せられる課金額を決定する。
更に、センタコンピュータ36は、受信した車載器番号を検索キーとして決済情報データベース36bを検索し、その車両の所有者が定めた決済口座を示す決済口座データを取得する。センタコンピュータ36は、取得した決済情報データに示された決済口座から課金額を引き落とす処理を行う。以上で、対象エリア21の内部を走行した車両に対して課金する課金処理が完了する。
実施の第4形態では、ロードプライシングの対象エリア21の内部での車両の走行経路が車載器29に蓄積される。車両が対象エリア21の外部に出るときに、その走行経路を示す経路データが、境界ガントリ22を介して管理センタ装置24に送信される。管理センタ装置24は、送信された経路データからその車両への課金額を決定する。これにより、管理センタ装置24は、各車両の走行経路を管理する必要がなくなり、その演算負荷が低減されている。
なお、本実施の形態において、課金額の決済は、プリペイドカードであるICカードを用いて行われることが可能である。この場合、図20に示されているように、車載器29には、ICカード29jを挿入するためのICカードインターフェース29iが設けられる。ICカード29jは、書換え可能なメモリ(図示されない)を含み、そのメモリには、料金に相当する度数が書き込まれている。センタコンピュータ36は、課金額を決定すると、その課金額を、境界ガントリ22に送信する。境界ガントリ22は、課金額を出域アンテナ25−2を用いて車載器29に送信する。車載器29は、課金額を受信すると、その課金額に相当する度数を、ICカード29jに記録された度数から現じて、課金の決済を行う。
(実施の第5形態)
実施の第5形態では、実施の第4形態と同様に、ロードプライシングの対象エリア内部での車両の走行経路が車載器に蓄積され、蓄積された走行経路を示すデータが、管理センタ装置に送信される。但し実施の第5形態では、該車載器から管理センタ装置へのデータの送信は、携帯電話を用いて行われる。
図34に示されているように、実施の第5形態に係る通行料課金システムでは、ロードプライシングの対象地域である対象エリア61の境界61aに、境界ガントリ62が設けられる。境界ガントリ62は、対象エリア61に進入するための全ての道路に設けられる。更に、対象エリア61の内部には、内部ガントリ63が設けられる。境界ガントリ62と内部ガントリ63のそれぞれには、互いに異なるガントリ番号が与えられている。
実施の第5形態の通行料課金システムには、更に、管理センタ装置64が設けられる。管理センタ装置64は、対象エリア61に進入した車両に課金するための課金処理を行う。
対象エリア61に進入する車両には、ガントリ62から送られる情報を受信するために、車載器65を搭載する義務が課せられる。実施の第4形態と異なり、車載器65には、ガントリ62に発信する機能は設けられない。その代り、車載器65には、携帯電話66に接続する機能が与えられる。車載器65は、携帯電話66を使用して、管理センタ装置64への通信を行う。車載器65が、車載器65からガントリ62への通信機能を持たないことにより、車載器65の価格の低減が図られている。
図35は、実施の第5形態の通行料課金システムの機能ブロック図である。境界ガントリ62は、入域アンテナ71−1、出域アンテナ71−2、及び路側制御装置72を含む。入域アンテナ71−1は、ロードプライシングの対象エリア61の内部に向かう車線を走行する車両に搭載されている車載器65との無線通信に使用される。出域アンテナ71−2は、対象エリア61の内部から外部に向かう車線を走行する車両に搭載されている車載器65との無線通信に使用される。
路側制御装置72は、無線通信インターフェース72a−1、72a−2、メモリ72b、及び制御部72cを含む。無線通信インターフェース72a−1は、入域アンテナ71−1に接続され、対象エリア61に進入する車両に搭載された車載器65と境界ガントリ62との間の無線通信を実行する機能を提供する。同様に、無線通信インターフェース72a−2は、出域アンテナ71−2に接続され、対象エリア61から流出する車両に搭載された車載器65と境界ガントリ62との間の無線通信を実行する機能を提供する。メモリ72bは、境界ガントリ62に与えられているガントリ番号を記憶する。制御部72cは、境界ガントリ62で行うべき演算を実行し、更に、境界ガントリ62の全体の制御を行う。
内部ガントリ63は、アンテナ73と路側制御装置74とを含む。アンテナ73は、内部ガントリ63から車載器65への無線通信に使用される。路側制御装置74は、無線通信インターフェース74aとメモリ74bと制御部74cとを含む。無線通信インターフェース74aは、アンテナ73に接続され、車載器65と内部ガントリ63との間の無線通信の機能の提供に使用される。メモリ74bは、内部ガントリ63に与えられているガントリ番号を記憶する。制御部74bは、内部ガントリ63で行うべき演算を実行し、更に、内部ガントリ63の全体の制御を行う。
車載器65は、入力キー65a、表示器65b、スピーカ65c、メモリ65d、経路データメモリ65e、無線通信インターフェース65f、アンテナ65g、及びインターフェース65h、及びCPU65iを含む。入力キー65a、表示器65b、及びスピーカ65cは、車載器65と車両の搭乗者との間のマン−マシンインターフェースとして使用される。メモリ65dは、車載器65のそれぞれに固有に与えられている車載器番号を記憶する。
経路データメモリ65eは、車載器65が搭載されている車両が通過した走行経路を示す経路データを記憶する。実施の第4形態と同様に、車両の走行経路は、ガントリ番号を用いて表現される。車両が、ガントリ番号i、j、k、…、をそれぞれ有する境界ガントリ62又は内部ガントリ63を、その順に通過したとすると、その車両の走行経路は、走行経路i−j−k−…、と表現される。車両が境界ガントリ62と内部ガントリ63とを通過する毎に、それらに与えられているガントリ番号が、経路データとして、順次に経路データメモリ65eに記憶される。
無線通信インターフェース65fとアンテナ65gとは、電波による無線通信の機能を提供する。境界ガントリ62及び内部ガントリ63と、車載器65との間の無線通信は、無線通信インターフェース65fとアンテナ65gとにより実行される。
インターフェース65hは、車載器65から携帯電話66に情報を伝送するために使用される。更に、インターフェース65hは、車載器65のCPU65iによって携帯電話66を制御する制御ポートとして使用される。CPU65iは、車載器65の全体を制御し、更に、車載器65で行われる演算を実行する。更に、CPU65iは、インターフェース65hを介して携帯電話66を制御する。
管理センタ装置64は、センタコンピュータ64aを含む。センタコンピュータ64aは、無線電話回線網67に接続され、無線電話回線網67を介して携帯電話66からデータを受け取る。更に、センタコンピュータ64aは、携帯電話66から受け取ったデータを用いて、車載器65を搭載している車両に対する課金処理を行う。センタコンピュータ64aは、課金処理のために、距離テーブル64b、及び決済情報データベース64cを記憶装置に保持している。
距離テーブル65bには、実施の第1形態の距離テーブル8bと同様に、境界ガントリ62、及び内部ガントリ63の任意の2つを結ぶリンクのそれぞれについて、そのリンクの間の距離が記述されている。
決済情報データベース64cには、実施の第2形態の決済情報データベース20cと同様に、ロードプライシングにより課せられた課金の決済を行うのに必要な情報が蓄積されている。より詳細には、決済情報データベース64cには、車載器番号、車両の所有者の氏名、ロードプライシングの課金の決済を行う口座を示す決済口座データ、及び車両の所有者の住所が、関連付けされて蓄積されている。これらのデータが、課金の決済に使用される。
続いて、実施の第5形態の通行料課金システムの動作を説明する。
図36に示されているように、ある車両が、境界ガントリ62を通過して、新たに対象エリア61の内部に進入したとする。その境界ガントリ62は、入域アンテナ72−1を用いて、その車両が搭載している車載器65に入域通知と自己のガントリ番号とを送信する。車載器65は、入域通知を受信すると、経路データメモリ65eに新たにレコードを作成する。車載器65は、作成したそのレコードに、通過した境界ガントリ62のガントリ番号を記録する。
続いて、対象エリア61の内部に進入した車両が、内部ガントリ63を通過すると、その内部ガントリ63は、自己のガントリ番号を車載器65に送信する。車載器65は、経路データメモリ65eに作成したレコードに、通過した内部ガントリ63のガントリ番号を記録する。内部ガントリ63を通過する毎に、通過した内部ガントリ63のガントリ番号が、作成されたレコードに順次に記録され、経路データが作成される。
続いて、対象エリア61の内部に進入した車両が、境界ガントリ62を通過して、対象エリア61の外部に流出したとする。その境界ガントリ62は、その車両が搭載している車載器65に、自己のガントリ番号と、出域通知とを送信する。車載器65は、経路データメモリ65eに作成したレコードに、通過した境界ガントリ62のガントリ番号を記録して経路データを作成する。図35を参照して、車載器65のCPU65iは、更に、携帯電話インターフェース65hを介して携帯電話66を制御して、携帯電話66に管理センタ装置64に発呼させる。この発呼により、携帯電話66から管理センタ装置64への無線通信回線が確立され、無線電話回線網67を介しての通信が可能になる。無線通信回線が確立されると、CPU65iは、作成した経路データとメモリ65dに記憶されている車載器番号とを、無線電話回線網67を介して管理センタ装置64に送信する。
管理センタ装置64のセンタコンピュータ64aは、距離テーブル64bを参照して、受信した経路データから、車両の走行距離を算出する。更にセンタコンピュータ64aは、算出した走行距離から、その車両に課せられる課金額を決定する。
更に、センタコンピュータ64aは、受信した車載器番号を検索キーとして決済情報データベース64cを検索し、その車両の所有者が定めた決済口座を示す決済口座データを取得する。センタコンピュータ64aは、取得した決済情報データに示された決済口座から課金額を引き落とす処理を行う。以上で、対象エリア61の内部を走行した車両に対して課金する課金処理が完了する。
実施の第5形態では、ロードプライシングの対象エリア61の内部での車両の走行経路が車載器65に蓄積される。車両が対象エリア61の外部に出るときに、その走行経路を示す経路データが、携帯電話66を用いて管理センタ装置64に送信される。管理センタ装置64は、送信された経路データからその車両への課金額を決定する。これにより、管理センタ装置64は、各車両の走行経路を管理する必要がなくなり、その演算負荷が低減されている。更に、実施の第5形態では、ガントリ62への通信機能を持たない車載器65が使用可能であり、車載器65の価格の低減が容易である。
(実施の第6形態)
実施の第6形態では、ロードプライシングの対象エリア内部での走行距離が、車両に搭載された走行メータを用いて計測され、走行距離が長い車両に対して多くの課金額が課される。これにより、発生した環境負荷に応じた課金がなされる。
実施の第6形態では、図21に示されているように、ロードプライシングの対象エリア41の境界41aを通過する全ての道路に、ガントリ42が設けられる。実施の第1形態から実施の第4形態とは異なり、ガントリ42は、対象エリア41の内部には設けられない。全てのガントリ42は、ネットワーク(図示されない)を介して管理センタ装置43に接続されている。管理センタ装置43は、対象エリア41の内部を走行する車両に対して課金をするための課金処理を行う。課金処理を行うために、対象エリア41の内部を走行する全ての車両には、ガントリ42と交信可能な車載器44を搭載することが義務付けられる。
図22は、実施の第6形態の通行料課金システムの機能ブロック図である。ガントリ42は、入域アンテナ45−1、出域アンテナ45−2、ナンバープレート撮像カメラ46、及び路側制御装置47を含む。入域アンテナ45−1は、対象エリア41の内部に向かう道路に設置され、対象エリア41に流入する車両に搭載されている車載器44とガントリ42との交信に使用される。出域アンテナ45−2は、対象エリア41から外部に向かう道路に設置され、対象エリア41から外部に出る車両に搭載された車載器44とガントリ42との交信に使用される。ナンバープレート撮像カメラ46は、車載器44を搭載していない車両がガントリ42を通過したとき、その車両のナンバープレートを撮像する。ナンバープレートの撮像により、車載器44を搭載しない不正車両の検知が行われる。
路側制御装置47は、無線通信インターフェース47a−1、47a−2、ナンバープレート認識処理部47b、通信インターフェース47c、及び制御部47dを含む。無線通信インターフェース47a−1は、入域アンテナ45−1に接続され、ロードプライシングの対象エリア41に進入する車両に搭載された車載器44とガントリ42との間の無線通信の機能を提供する。同様に、無線通信インターフェース47a−2は、出域アンテナ45−2に接続され、対象エリア41から流出する車両に搭載された車載器44とガントリ42との間の無線通信の機能を提供する。ナンバープレート認識処理部47bは、ナンバープレート撮像カメラ46が撮像した撮像画像から、ガントリ42を不正に通過する車両のナンバープレートに記載されているライセンスプレート番号を識別する。通信インターフェース47cは、ガントリ42と管理センタ装置43との間の通信機能を提供する。制御部47eは、車載器44に送信するデータ、及び管理センタ装置43に送信するデータを生成する。更に制御部47eは、ガントリ42の他の部分の制御を行う。
車載器44は、入力キー44a、表示器44b、スピーカ44c、走行メータインターフェース44d、メモリ44e、無線通信インターフェース44f、アンテナ44g、及びCPU44hを含む。入力キー44a、表示器44b、スピーカ44cは、車載器44と車両の搭乗者との間のマン−マシンインターフェースとして使用される。走行メータインターフェース44dは、車両に搭載されている走行メータ51と接続され、走行メータ51から当該車両の走行距離を取得する。メモリ44eは、車載器44に固有に与えられている車載器番号を記憶する。更にメモリ44eは、当該車両がロードプライシングの対象エリア41の内部で走行した走行距離の算出のためのワークエリアとして使用される。無線通信インターフェース44fとアンテナ44gとは、ガントリ42と車載器44との間の無線通信に使用される。CPU44hは、ガントリ42への送信データの生成と、車載器44全体の制御とを行う。
管理センタ装置43は、通信インターフェース49とセンタコンピュータ50とを含む。通信インターフェース49は、ガントリ42と管理センタ装置43との間の通信に使用される。センタコンピュータ50は、ガントリ42から受け取った情報に基づいて、ロードプライシングの対象エリア41の内部を走行した車両に対する課金を行う処理(課金処理)を行う。
センタコンピュータ50は、課金処理のために、決済情報データベース50aを記憶装置に保持している。決済情報データベース50aには、実施の第2形態の決済情報データベース20cと同様に、ロードプライシングにより課せられた課金の決済を行うのに必要な情報が蓄積されている。より詳細には、決済情報データベース50aには、車載器番号、車両の所有者の氏名、ロードプライシングの課金の決済を行う口座を示す決済口座データ、及び車両の所有者の住所が、関連付けされて蓄積されている。これらのデータが、課金の決済に使用される。
続いて、実施の第6形態の通行料課金システムの動作を説明する。
ある車両が、ガントリ42を通過して、新たに対象エリア41の内部に進入したとする。そのガントリ42は、入域アンテナ45−1を用いて、進入した車両が搭載している車載器44に課金開始トリガを送信する。
課金開始トリガを受信すると、車載器44は、受信通知をガントリ42に送信する。ガントリ42は、受信通知を受信し、ガントリ42を通過した車両が車載器44を搭載していることを認識する。
車載器44を搭載していない車両がガントリ42を通過した場合には、受信通知はガントリ42に送信されない。この場合、ガントリ42は、ナンバープレート撮像カメラ46を用いて通過した車両のナンバープレートを撮像し、そのナンバープレートに記載されたライセンスプレート番号を認識する。ガントリ42は、車両がガントリ42を不正に通過したことを通知する不正車両通知を生成し、管理センタ装置43に送信する。この不正車両通知には、不正に通過した車両のライセンスプレート番号が含められ、管理センタ装置43は、不正に通過した車両の識別が可能である。
更に、車載器44は、課金開始トリガを受信すると、課金開始トリガの受信時に走行メータ51が示している当該車両の走行距離を、走行メータインターフェース44dを介して取得する。取得された走行距離は、走行距離初期値として、メモリ44eに記憶される。
当該車両が対象エリア41に進入した後、対象エリア41の内部を走行すると、内部を走行した距離に応じて、走行メータ51が示す当該車両の走行距離が増加する。
続いて、当該車両が、ガントリ42を通過して対象エリア41の外部に出たとする。そのガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて、車載器44に走行距離データ要求を送信する。車載器44は、走行距離データ要求を受信すると、走行距離データ要求の受信時に、走行メータ51が示している当該車両の走行距離を走行メータインターフェース44dを介して取得する。車載器44は、取得した走行距離から、前述の走行距離初期値を減じて、当該車両が対象エリア41の内部で走行した走行距離を算出する。車載器44は、算出した走行距離を示す走行距離データと、メモリ44eに記憶されている車載器番号とを、アンテナ44gを用いてガントリ42に送信する。ガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて走行距離データと車載器番号とを受信し、管理センタ装置43に送信する。
管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、走行距離データに示された走行距離から、当該車両に課せられる課金額を決定する。
更に、センタコンピュータ50は、受信した車載器番号を検索キーとして決済情報データベース50aを検索し、その車両の所有者が定めた決済口座を示す決済口座データを取得する。センタコンピュータ50は、取得した決済情報データに示された決済口座から課金額を引き落とす処理を行う。以上で、対象エリア41の内部を走行した車両に対して課金する課金処理が完了する。
実施の第6形態では、ロードプライシングの対象エリア41内部での走行距離が、車両に搭載された走行メータを用いて計測され、課金額の算出の基礎となる走行距離が正確に算出可能である。これにより、車両が対象エリア41の内部で発生した環境負荷に応じた課金を適正に行うことができる。
実施の第6形態において、図23に示されているように、車載器44の振動を検知する振動計44i、及び/又は、車載器44の加速度を計測する加速度計44jが車載器44に搭載されることは、不正防止のために好ましい。実施の第6形態の通行料課金システムでは、走行メータ51を車載器44から切り離すことにより、ユーザは不正に課金を免れることができる。振動計44iによって車載器44のが振動していることが検知されているときに、走行メータ51から車載器44への当該車両の走行距離の入力がないことは、ユーザが不正を行っていることを示している。同様に、車載器44が加速度運動を行っている場合に、走行メータ51から車載器44への当該車両の走行距離の入力がないことは、ユーザが不正を行っていることを示している。車載器44は、走行メータ51から車載器44への入力と、振動計44iによって検知された車載器44の振動、及び/又は、加速度計44jによって計測された車載器44の加速度から、ユーザによる不正を検知する。ユーザによる不正を検知した場合、車載器44は、ガントリ42を介して管理センタ装置43に、ユーザによる不正の発生を通知する。
また、実施の第6形態において、ロードプライシングの対象エリア41内を走行した車両に課される課金の決済は、ICカードによってなされることが可能である。この場合、図24に示されているように、車載器44には、ICカード44kを挿入するためのICカードインターフェース44mが設けられる。ICカード44kは、書換え可能なメモリ(図示されない)を含み、そのメモリには、料金に相当する度数が書き込まれている。管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、課金額を決定すると、その課金額を、ガントリ42に送信する。ガントリ42は、課金額を出域アンテナ45−2を用いて車載器44に送信する。車載器44は、課金額を受信すると、その課金額に相当する度数を、ICカード4kに記録された度数から現じて、課金の決済を行う。
(実施の第7形態)
実施の第7形態では、ロードプライシングの対象エリア41の内部での走行距離が、GPS(Global Positioning System)を用いて算出される。GPSを用いて算出された走行距離が、課金額の算出の基礎となる。これに伴い、車載器44の構成が変更される。
実施の第7形態では、図25に示されているように、走行メータインターフェース44dの代わりに、GPS処理装置44n及びGPSアンテナ44oが車載器44に搭載される。GPSアンテナ44oは、GPS衛星(図示されない)から電波を受信する。GPS処理装置44nは、GPS衛星から受信した電波に基づいて、当該車両の位置を同定する。
ある車両が、ガントリ42を通過して、新たに対象エリア41の内部に進入したとする。そのガントリ42は、入域アンテナ45−1を用いて、進入した車両が搭載している車載器44に課金開始トリガを送信する。
課金開始トリガを受信すると、車載器44は、受信通知をガントリ42に送信する。ガントリ42は、受信通知を受信し、ガントリ42を通過した車両が車載器44を搭載していることを認識する。受信通知を受信しなかった場合、実施の第6形態と同様に、ガントリ42は、ナンバープレート撮像カメラ46を用いて通過した車両のナンバープレートを撮像し、車両がガントリ42を不正に通過したことを通知する不正車両通知を生成し、管理センタ装置43に送信する。
更に車載器44は、課金開始トリガを受信すると、GPS処理装置44n及びGPSアンテナ44oを用いて、車載器44が搭載されている車両の位置を周期的に測定し始める。車両の位置の測定は、当該車両が対象エリア41の内部に存在する限り継続される。
続いて、当該車両が、ガントリ42を通過して対象エリア41の外部に出たとする。そのガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて、車載器44に走行距離データ要求を送信する。車載器44は、走行距離データ要求を受信すると、周期的に測定されていた車両の位置から、対象エリア41の内部で走行した走行距離を算出する。車載器44は、算出した走行距離を示す走行距離データと、メモリ44eに記憶されている車載器番号とを、アンテナ44gを用いてガントリ42に送信する。ガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて走行距離データと車載器番号とを受信し、管理センタ装置43に送信する。管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、実施の第6形態と同様にして、走行距離データに示された走行距離から、当該車両に課せられる課金額を決定する。更に、センタコンピュータ50は、決済情報データベース50aに示されている当該車両の決済口座から課金額を引き落とす処理を行う。
実施の第7形態では、ロードプライシングの対象エリア41の内部での走行距離が、GPSを用いて計測され、課金額の算出の基礎となる走行距離が正確に算出可能である。これにより、車両が対象エリア41の内部で発生した環境負荷に応じた課金を適正に行うことができる。
更に、実施の第7形態の通行料課金システムでは、実施の第6形態のように、車両の走行メータ51と車載器44とを接続する必要がなく、車載器44の車両への搭載が容易である。
実施の第6形態と同様に、実施の第7形態でも、車載器44の振動を検知する振動計、及び/又は、車載器の加速度を計測する加速度計が車載器44に搭載されることは、不正防止のために好ましい。車載器44は、GPS衛星からの電波の受信状況と、振動計によって検知された車載器44の振動、及び/又は、加速度計によって計測された車載器44の加速度とから、ユーザによる不正を検知する。ユーザによる不正を検知した場合、車載器44は、ガントリ42を介して管理センタ装置43に、ユーザによる不正の発生を通知する。
(実施の第8形態)
実施の第8形態では、ロードプライシングの対象エリア41の内部で、車両が消費した燃料量が算出され、その燃料消費量が、課金額の算出の基礎となる。燃料消費量は、タコメータによって測定された車両のエンジン(図示されない)の回転数と、トルクセンタによって測定された車両のエンジンの出力トルクとに基づいて算出される。これに伴い、車載器44の構成が変更される。
実施の第8形態では、図26に示されているように、図22の走行メータインターフェース44dの代わりに、タコメータインターフェース44pとトルクメータインターフェース44qとが車載器44に搭載される。タコメータインターフェース44pは、車両のエンジンの回転数を測定するタコメータ52に接続され、トルクメータインターフェース44qは、車両のエンジンの出力トルクを測定するトルクメータ53に接続される。
ある車両が、ガントリ42を通過して、新たに対象エリア41の内部に進入したとする。そのガントリ42は、入域アンテナ45−1を用いて、進入した車両が搭載している車載器44に課金開始トリガを送信する。車載器44は、課金開始トリガを受信する。
車載器44は、課金開始トリガを受信すると、受信通知をガントリ42に送信する。ガントリ42は、受信通知を受信し、ガントリ42を通過した車両が車載器44を搭載していることを認識する。受信通知を受信しなかった場合、実施の第6形態と同様に、ガントリ42は、ナンバープレート撮像カメラ46を用いて通過した車両のナンバープレートを撮像し、車両がガントリ42を不正に通過したことを通知する不正車両通知を生成し、管理センタ装置43に送信する。
更に、車載器44は、課金開始トリガを受信すると、タコメータ52によって測定された車両のエンジンの回転数をメモリ44eに蓄積し始める。更に車載器44は、トルクメータ53によって測定された車両のエンジンの出力トルクをメモリ44fに蓄積し始める。車両のエンジンの回転数と出力トルクのメモリ44eへの蓄積は、当該車両が対象エリア41の内部に存在する限り継続される。
続いて、当該車両が、ガントリ42を通過して対象エリア41の外部に出たとする。そのガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて、車載器44に燃料消費量データ要求を送信する。車載器44は、燃料消費量データ要求を受信すると、メモリ44eに蓄積されている車両のエンジンの回転数と出力トルクとから、当該車両が対象エリア41の内部で消費した燃料消費量を推定して算出する。課金開始トリガを受信した時刻を時刻t1、燃料消費量データ要求を車載器44が受信した時刻をt2として、燃料消費量Festは、下記式:
…式(2)
によって算出される。ここで、n(t)は、時刻tにおける当該車両のエンジンの回転数、T(t)は、時刻tにおける当該車両のエンジンの出力トルク、f
estは、当該車両のエンジンの回転数と、車両のエンジンの出力トルクとから、単位時間あたりの燃料消費量を算出する燃料消費量算出関数であり、車両のエンジンに固有の関数である。燃料消費量算出関数f
estは、エンジンの回転数nと出力トルクTとの両方に単調に増加する。
車載器44は、式(2)によって算出した燃料消費量Festを示す燃料消費量データと、メモリ44eに記憶されている車載器番号とをガントリ42に送信する。
ガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて燃料消費量データと車載器番号とを受信し、受信した燃料消費量データと車載器番号とを管理センタ装置43に転送する。
管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、燃料消費量データに示された燃料消費量Festから、当該車両に課せられる課金額を決定する。
更に、センタコンピュータ50は、受信した車載器番号を検索キーとして決済情報データベース50aを検索し、その車両の所有者が定めた決済口座を示す決済口座データを取得する。センタコンピュータ50は、取得した決済情報データに示された決済口座から課金額を引き落とす処理を行う。以上で、対象エリア41の内部を走行した車両に対して課金する課金処理が完了する。
実施の第8形態では、車両がロードプライシングの対象エリア41の内部で消費した燃料の推定量に応じて課金額が算出される。車両が消費した燃料の量に応じて課金額を算出することにより、車両が対象エリア41の内部で発生した環境負荷に応じた課金をより適正に行うことが出来る。実施の第6形態及び第7形態で行われているような、走行距離に応じた課金額の算出では、車両の燃費は考慮されない。しかし、走行距離が同一であっても、車両が対象エリア41の内部で発生した環境負荷は車両の燃費に応じて異なる。このように、車両が消費した燃料の推定量に応じて課金額を算出することにより、車両の燃費を考慮した課金を行うことができる。
実施の第8形態では、回転数n(t)と出力トルクT(t)との関数festを積分して得られる燃料消費量Festに基づいて課金額が算出されているが、回転数n(t)のみの単調増加関数fn(n(t))の積分値に基づいて、課金額が算出されることが可能である。更に、出力トルクT(t)のみの単調増加関数fT(T(t))の積分値に基づいて、課金額が算出されることが可能である。即ち、下記式:
で与えられる積分値F
n、F
Tに基づいて、課金額が算出されることが可能である。積分値F
n、F
Tは、いずれも、車両の燃料の消費量に一対一に対応した関数である。従って、積分値F
n、F
Tに基づいて課金額を算出することにより、燃料消費量F
estに基づいて課金額が算出するのと同様に、車両が対象エリア41の内部で発生した環境負荷に応じた課金をより適正に行うことが出来る。上記の単調増加関数f
n(n(t))、f
T(T(t))は、それぞれ、n(t)、T(t)そのものであることを妨げられない。即ち、単調増加関数f
n(n(t))、f
T(T(t))は、
f
n(n(t))=n(t),
f
T(T(t))=T(t),
で与えられることを妨げられない。
実施の第6形態と同様に、実施の第8形態でも、車載器44の振動を検知する振動計、及び/又は、車載器の加速度を計測する加速度計が車載器44に搭載されることは、不正防止のために好ましい。車載器44は、タコメータ52及びトルクセンサ53からの入力と、振動計によって検知された車載器44の振動、及び/又は、加速度計によって計測された車載器44の加速度とから、ユーザによる不正を検知する。ユーザによる不正を検知した場合、車載器44は、ガントリ42を介して管理センタ装置43に、ユーザによる不正の発生を通知する。
実施の第8形態において、車両が消費した燃料量が直接的に測定され、測定された燃料消費量に基づいて課金額が算出されることが可能である。この場合、図27に示されているように、図22の走行メータインターフェース44dの代わりに、燃料量センサーインターフェース44rが車載器44に搭載される。燃料量センサーインターフェース44rは、車両のエンジンに供給された燃料の流量を測定する燃料流量センサ54に接続される。車載器44は、当該車両が課金エリア41の内部で消費した燃料の量である燃料消費量Fを、下記式:
によって算出する。ここでf(t)は、時刻tにおける、車両のエンジンに供給されている燃料の流量である。算出された燃料消費量Fは、ガントリ42を介して車載器44から管理センタ装置43に送信される。管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、燃料消費量F
estの代わりに、燃料消費量Fを用いて、当該車両に課せられる課金額を決定する。
実施の第8形態において、燃料消費量Festの代わりに、当該車両がロードプライシングの対象エリア41の内部で排出した総排ガス量に基づいて課金額が決定されることが可能である。この場合、図28に示されているように、図22の走行メータインターフェース44dの代わりに、排ガス量センサーインターフェース44sが車載器44に搭載される。排ガス量センサーインターフェース44sは、当該車両が排出した、単位時間あたりの排ガス量の流量を測定する排ガス量センサ55に接続される。車載器44は、当該車両がロードプライシングの対象エリア41の内部で排出した総排ガス量Vを、下記式:
によって算出する。ここでv(t)は、時刻tにおいて、当該車両の排ガスの単位時間あたりの排出量である。算出された総排ガス量Vは、ガントリ42を介して車載器44から管理センタ装置43に送信される。管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、燃料消費量F
estの代わりに、総排ガス量Vを用いて、当該車両に課せられる課金額を決定する。
総排ガス量Vに基づいて課金額を決定することにより、車両が対象エリア41の内部で発生した環境負荷を、より反映した課金を決定することが出来る。
更に、実施の第8形態において、燃料消費量Festの代わりに、当該車両がロードプライシングの対象エリア41の内部で排出した総NOx量(総窒素酸化物排出量)に基づいて課金額が決定されることが可能である。この場合、図29に示されているように、図22の走行メータインターフェース44dの代わりに、NOx量センサーインターフェース44tが車載器44に搭載される。NOx量センサーインターフェース44tは、当該車両が排出した、単位時間あたりのNOxの排出量を測定するNOx量センサ55に接続される。車載器44は、当該車両がロードプライシングの対象エリア41の内部で排出した総NOx量VNOxを、下記式:
によって算出する。ここでv
NOx(t)は、時刻tにおいて、当該車両が排出している単位時間あたりのNO
x量である。算出された総NO
x量V
NOxは、ガントリ42を介して車載器44から管理センタ装置43に送信される。管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、燃料消費量F
estの代わりに、総NO
x量V
NOxを用いて、当該車両に課せられる課金額を決定する。
総NOx量VNOxに基づいて課金額を決定することにより、車両が対象エリア41の内部で発生した環境負荷を、より反映した課金を決定することが出来る。
更に、実施の第8形態において、ロードプライシングの対象エリア41内を走行した車両に課される課金の決済は、ICカードによってなされることが可能である。この場合、図30に示されているように、車載器44には、ICカード44kを挿入するためのICカードインターフェース44mが設けられる。ICカード44kは、書換え可能なメモリ(図示されない)を含み、そのメモリには、料金に相当する度数が書き込まれている。管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、課金額を決定すると、その課金額を、ガントリ42に送信する。ガントリ42は、課金額を出域アンテナ45−2を用いて車載器44に送信する。車載器44は、課金額を受信すると、その課金額に相当する度数を、ICカード4kに記録された度数から現じて、課金の決済を行う。
(実施の第9形態)
実施の第9形態では、実施の第6形態と同様に、車両が対象エリア41の内部で走行した走行距離に基づいて課金額が決定される。但し、課金額の決定は、車載器44によって行われる。課金額の決定のために、車載器44は、課金額テーブルをガントリ42から受信する。車載器44は、受信した課金額テーブルを参照して、課金額を決定する。
実施の第9形態の通行料課金システムの構成は、実施の第6形態と同一であるが、実施の第9形態の通行料課金システムは、課金額の決定、及び課金処理の過程が、実施の第6形態と異なる。
ある車両が、ガントリ42を通過して、新たに対象エリア41の内部に進入したとする。そのガントリ42は、入域アンテナ45−1を用いて、進入した車両が搭載している車載器44に課金開始トリガと、課金額テーブルとを送信する。課金額テーブルには、当該車両が対象エリア41の内部で走行した走行距離と、課金額との対応関係が記述されている。
課金開始トリガと課金額テーブルとを受信すると、車載器44は、受信した課金額テーブルを、車載器44のメモリ44eに格納する。
更に車載器44は、受信通知をガントリ42に送信する。ガントリ42は、受信通知を受信し、ガントリ42を通過した車両が車載器44を搭載していることを認識する。受信通知がガントリ42に送信されない場合、ガントリ42は、車両がガントリ42を不正に通過したことを通知する不正車両通知を生成し、管理センタ装置43に送信する。この不正車両通知には、ナンバープレート撮像カメラ46の撮像画像から認識されたライセンスプレート番号が含められ、管理センタ装置43は、不正に通過した車両の識別が可能である。
更に、車載器44は、課金開始トリガを受信すると、課金開始トリガの受信時に走行メータ51が示している当該車両の走行距離を、走行メータインターフェース44dを介して取得する。取得された走行距離は、走行距離初期値として、メモリ44eに記憶される。
当該車両が対象エリア41に進入した後、対象エリア41の内部を走行すると、内部を走行した距離に応じて、走行メータ51が示す当該車両の走行距離が増加する。
続いて、当該車両が、ガントリ42を通過して対象エリア41の外部に出たとする。そのガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて、車載器44に課金額データ要求を送信する。
車載器44は、課金額データ要求を受信すると、課金額データ要求の受信時に、走行メータ51が示している当該車両の走行距離を、走行メータインターフェース44dを介して取得する。車載器44は、取得した走行距離から、前述の走行距離初期値を減じて、当該車両が対象エリア41の内部で走行した走行距離を算出する。
車載器44は、メモリ44eに記憶された課金値テーブルを参照して、当該車両が対象エリア41の内部で走行した走行距離から課金額を決定する。車載器44は、決定した課金額を表示器44bに表示し、又は、スピーカ44cを介して音声として出力する。これにより、当該車両の搭乗者は、課金額を知ることができる。
更に、車載器44は、決定した課金額と、メモリ44eに記憶されている車載器番号とを、アンテナ44gを用いてガントリ42に送信する。ガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて課金額データと車載器番号とを受信し、管理センタ装置43に送信する。
管理センタ装置43のセンタコンピュータ50は、受信した車載器番号を検索キーとして決済情報データベース50aを検索し、その車両の所有者が定めた決済口座を示す決済口座データを取得する。センタコンピュータ50は、取得した決済情報データに示された決済口座から、車載器44から通知された課金額を引き落とす処理を行う。以上で、対象エリア41の内部を走行した車両に対して課金する課金処理が完了する。
実施の第9形態では、課金額の決定が、車載器44によって行われ、管理センタ装置43のセンタコンピュータ50の演算負荷が軽減されている。
実施の第9形態において、課金額テーブルは、ガントリ42から送信されるのではなく、初期的に車載器44のメモリ44eに記憶されることが可能である。しかし、課金額の変更を容易にする点で、課金額テーブルは、ガントリ42から送信されることが好ましい。当該通行料課金システムの運営者は、課金額の決定方法を変更したい場合がある。車載器44に課金値テーブルが固定的に保持される場合、課金額の算出方法を変更するためには、多数の車載器44の設定を変更することが必要になる。本実施の形態のように、課金額テーブルをガントリ42から送信する場合には、課金額の変更は、ガントリ42から送信する課金額テーブルを変更するのみで実行可能である。このように、課金額テーブルは、ガントリ42から送信されることが好ましい。
実施の第9形態において開示されている車載器44によって課金額を決定する構成は、実施の第7形態のように、車両が対象エリア41の内部で走行した走行距離をGPSを用いて算出する場合にも適用可能である。
更に、上述の課金額テーブルの代わりに、燃料消費量と課金額との対応関係が記述された課金額テーブルを使用し、且つ、走行メータインターフェース44d及び走行メータ51の代わりに、タコメータインターフェース44p、トルクメータインターフェース44q、タコメータ52、及びトルクメータ53を使用することにより、実施の第8形態に記載の燃料消費量Festに基づいて課金額を決定することが可能である。
また、上述の課金額テーブルの代わりに、燃料消費量と課金額との対応関係が記述された課金額テーブルを使用し、且つ、走行メータインターフェース44d及び走行メータ51の代わりに、燃料流量センサインターフェース44r、及び燃料流量センサ54を使用することにより、実施の第8形態に記載の燃料消費量Fに基づいて課金額を決定することが可能である。
更に、上述の課金額テーブルの代わりに、総排ガス量と課金額との対応関係が記述された課金額テーブルを使用し、且つ、走行メータインターフェース44d及び走行メータ51の代わりに、排ガス量センサインターフェース44s、及び排ガス量センサ55を使用することにより、実施の第8形態に記載の総排ガス量Vに基づいて課金額を決定することが可能である。
更に、上述の課金額テーブルの代わりに、総NOx量と課金額との対応関係が記述された課金額テーブルを使用し、且つ、走行メータインターフェース44d及び走行メータ51の代わりに、NOx量センサインターフェース44s、及びNOx量センサ56を使用することにより、実施の第8形態に記載の総排ガス量Vに基づいて課金額を決定することが可能である。
また、実施の第9形態において、図32に示されているように、ロードプライシングの対象エリア41内を走行した車両に課される課金の決済は、ICカード44kによってなされることが可能である。この場合、車載器44には、ICカード44kを挿入するためのICカードインターフェース44mが設けられる。ICカード44kは、書換え可能なメモリ(図示されない)を含み、そのメモリには、料金に相当する度数が書き込まれている。
ICカード44kを用いて決済が行われる場合、当該車両が、ガントリ42を通過して対象エリア41の外部に出て以降の動作は以下のように変更される。当該車両が、ガントリ42を通過して対象エリア41の外部に出ると、そのガントリ42は、出域アンテナ45−2を用いて、車載器44に引き落とし要求を送信する。
車載器44は、引き落とし要求を受信すると、課金額テーブルを参照して、課金額を決定する。課金額の決定は、当該車両が対象エリア41の内部で走行した走行距離、消費燃料量Fest、消費燃料量F、総排ガス量V、及び総NOx量VNOxのいずれに基づいて行われることも可能である。
車載器44は、決定した課金額を表示器44bに表示し、又は、スピーカ44cを介して音声として出力する。これにより、当該車両の搭乗者は、課金額を知ることができる。
更に、車載器44は、決定した課金額に相当する度数を、ICカード44kに記録された度数から現じて、課金の決済を行う。以上で課金処理が完了する。このように、車載器44によって課金額が決定され、且つ、車載器44のICカードインターフェースmに挿入されたICカード44kを用いて課金の決済が行われることは、センタコンピュータ50の演算負荷を極めて少なくできる点で好ましい。