JP4755769B2 - 植物に対するストレス耐性付与方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物に対して優れた乾燥耐性及び/又は高塩濃度耐性等のストレス耐性を付与することができる植物に対するストレス耐性付与方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地球上の陸地の約3分の1は乾燥地に属し、今後予想される深刻な食糧不足への対策として乾燥地域の農業利用の重要性が認識されるようになってきた。また、現在の技術では過剰な潅漑水による塩類集積や乾燥や高熱により、農耕に不適な乾燥、半乾燥土壌の全体に占める割合が年々増大しており、この問題解決は急務である(石谷 学 他 植物の化学調節Vol.25, No.2, 149-162, 1990)。この問題に対する解決法としては、これらの環境ストレスに対する耐性機構を解明し、耐性を持つ植物を作出するという方法が挙げられる。
【0003】
植物は移動の自由を持たないため、自身が置かれた環境の変化を耐え抜いて成長分化を続けていかなければならない。このため植物は環境の変化に速やかに応答して適応する応答機構を、進化の過程で獲得してきたものと考えられる。植物を取り巻く環境因子のうち乾燥や塩類集積は、陸上植物にとって生死に関わる重要な因子であり、また、植物の生長に大きな影響を与える因子となる。植物は乾燥ストレスを受けると成長が阻害され、細胞は膨圧が低下し種々の生理的過程に影響を受ける (Shinozaki and Yamaguchi-Shinozaki, Plant Physiol. 115:327-334, 1997)。
【0004】
植物においては、これらのストレスに対して個体レベル、組織レベル及び細胞レベルで種々の応答機構が働き、さらに分子生物学的研究により遺伝子発現レベルでも応答していることが明らかにされた。すなわち、種々の植物で乾燥や塩処理により、mRNA量が増加するストレス誘導性の遺伝子が数多く存在するといった遺伝子発現レベルでの応答機構が明らかとなった。植物は、これらのストレス誘導性遺伝子群の産物のいずれかにより耐性を獲得するものと考えられている。
【0005】
これらストレス誘導性遺伝子群の発現には、植物ホルモンの一種であるアブシジン酸 (Abscisic acid; ABA)が深く関与しており、植物が乾燥などのストレスを受けるとABA依存的経路とABA非依存的経路によりシグナル伝達され、このシグナル伝達によりストレス誘導性遺伝子群の発現を調節していることが知られている。この遺伝子群には、プロリンやグリシンベタインといった適合溶質の合成に関わるものなどが含まれている。プロリンやグリシンベタインは非常に良く研究が進んでおり、これらの合成系又は分解系を操作して過剰にプロリンやグリシンベタインを蓄積させたトランスジェニック植物で、NaClや低温のストレスに対して耐性を示すことが知られている。
【0006】
ところでRFOの生合成経路は、図10に示すように、初めにガラクチノール合成酵素によってガラクチノールが合成され、このガラクチノールとシュクロースを基質としてラフィノース合成酵素によりラフィノースが合成され、さらにガラクチノールとラフィノースとを基質としてスタキオース合成酵素によりスタキオースが合成される。このラフィノース、スタキオースの総称をRFOという。これまでのRFOに関する報告としては、ラフィノース及びスタチオースが種子の乾燥耐性に重要な役割を果たしていることを示唆するもののみであった(Blackman S.A. et al. Plant Physiol. 100:225-230,1992, Ooms J.J.J. et al. Plant Physiol. 102:1185-1192,1993)。
しかしながら、種子ではなく植物体におけるRFOの機能や役割等に関する報告はなかった。種子と植物体とでは、重複する乾燥耐性獲得機構を持つ場合もあれば、全く別の機構が働いていることもある。
【0007】
例えば、植物においては、乾燥などのストレスにさらされると先に述べたABAを蓄積させることによって、気孔を閉鎖し、水分蒸散を抑制することによって過剰な水分の体外流出を防ぐことが知られている。実際にABAの合成系に変異が生じたシロイヌナズナのABA欠損変異株であるaba1は通常湿度下では生育できないほど萎れやすくなっている。しかしながら、ABA欠損変異株の種子においては、完全に乾燥しても発芽することが出来る。つまりABA欠損変異株の種子における乾燥耐性の低下は認められない(Koornneef, M et al., Physiol. Plant. 61:377-383, 1984, Duckham, S.C. et al., Plant Cell and Environ. 14:601-606, 1991, Rock, C.D. and Zeevaart, J.A.D., Proc.Natl. Acad. Sci. 88:7496-7499, 1991)。
【0008】
また、シロイヌナズナのABA非感受性変異株であるabi3は、種子の乾燥耐性が失われており、完全に乾燥させると発芽能を失うことが知られているが、乾燥が進む前に播種させた種子では発芽でき、しかも植物体ではaba1のような萎れる表現型は観察されない(Nambara, E., et al, Plant J. 2:435-441, 1992, Kriz, A.R., et al, Plant Physiol. 92:538-542, 1990, Parcy, F., et al, Plant Cell 6:1567-1582)。つまり種子の乾燥耐性獲得については種子のみで機能するABI3がABAよりも遙かに大きい働きを持つことが考えられる。
このように、種子と植物体とでは、乾燥耐性獲得機構に大きな隔たりがあり、種子の乾燥耐性に重要と示唆されているRFOがそのまま植物体の乾燥耐性にもなんらかの役割を果たしているのかは不明であり、予測すらできないのが現状であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上述したような実状に鑑み、乾燥及び/又は高塩濃度等の環境ストレスに対して耐性を持つ植物体を作出することを可能とする植物に対するストレス耐性付与方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するため本発明者が鋭意検討した結果、植物体内のガラクチノール量を増大させることによって、当該植物体にストレス耐性を付与することができるといった知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、以下を包含する。
(1)ガラクチノール合成酵素遺伝子を植物体内に導入することを特徴とする植物に対するストレス耐性付与方法。
【0012】
(2)上記ガラクチノール合成酵素遺伝子は、以下の(a)又は(b)の遺伝子であることを特徴とする(1)記載の植物に対するストレス耐性付与方法。
(a)配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子。
(b)配列番号1のアミノ酸配列における少なくとも1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、ガラクチノール合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
【0013】
(3)上記ガラクチノール合成酵素遺伝子は、以下の(c)又は(d)の遺伝子であることを特徴とする(1)記載の植物に対するストレス耐性付与方法。
(c)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子。
(d)配列番号2のアミノ酸配列における少なくとも1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、ガラクチノール合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
【0014】
(4)植物体内におけるガラクチノール量を増大させることを特徴とする(1)記載の植物に対するストレス耐性付与方法。
【0015】
(5)植物体内におけるガラクチノール合成活性を向上させることを特徴とする(1)記載の植物に対するストレス耐性付与方法。
【0016】
(6)植物体内におけるガラクチノール量を増大させることを特徴とする植物に対するストレス耐性付与方法。
【0017】
(7)植物体内におけるガラクチノール合成活性を向上させることを特徴とする植物に対するストレス耐性付与方法。
【0018】
(8)以下の(e)又は(f)のタンパク質を、植物内に過剰発現させることを特徴とする植物に対するストレス耐性付与方法。
(e)配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質。
(f)配列番号1のアミノ酸配列における少なくとも1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、ガラクチノール合成活性を有するタンパク質。
【0019】
(9)以下の(g)又は(h)のタンパク質を、植物内に過剰発現させることを特徴とする植物に対するストレス耐性付与方法。
(g)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質。
(h)配列番号2のアミノ酸配列における少なくとも1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、ガラクチノール合成活性を有するタンパク質。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る植物に対するストレス耐性付与方法を詳細に説明する。
本発明に係る植物に対するストレス耐性付与方法は、植物体内に例えば、ガラクチノール合成酵素をコードする遺伝子(ガラクチノール合成酵素遺伝子と呼ぶ)を導入することによって、当該植物体にストレス耐性を付与する手法である。ここで、植物としては、特に限定されないが、例えば、シロイヌナズナ、ダイズ、ソラマメ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、シュガービート、イネ、サトウキビ、コーン及びソルガム等を挙げることができる。
【0021】
ここでガラクチノール合成酵素遺伝子とは、ガラクチノール合成酵素活性を有するタンパク質をコードするのであるかぎりいかなるものでも良い。ガラクチノール合成酵素活性とは、UDP−ガラクトースとmyo−イノシトールを基質としてガラクチノールを合成する活性をいう。具体的には、UDP−ガラクトースとmyo−イノシトールを有する反応液に、植物体から抽出したガラクチノール合成酵素を含む画分を加えてガラクチノール合成反応を行い、反応溶液中に生じたガラクチノールを定量することによってガラクチノール合成活性を評価することができる。さらに具体的には、Liu, J.J. et al., Plant Physiol. 109: 505-511, 1995に記載されている方法に準じて測定することができる。すなわち、4mM MnCl2を含む反応緩衝液(50mM Hepes-Na, 2mM DTT, pH7.0), に測定対象のタンパク質0.017mgを加え30℃、15分間インキュベートした後、4mM UDP-ガラクトース、 20mM myo-イノシトール及び0.16mg BSAを加え、トータル1mlの系でさらに30℃、30分間インキュベートしてガラクチノール合成反応を行い、反応液中のガラクチノールを定量する。なお、反応後2mlのcold 100% EtOHを加えてガラクチノール合成反応を停止させることができる。
【0022】
ガラクチノール合成酵素遺伝子は、植物体から調製することができる。植物体としては、ガラクチノールを合成している植物であればいかなる植物体でもよく、例えば、シロイヌナズナ、ソラマメ、ナタネ、ヒマワリ、ワタ、シュガービート等を挙げることができる。
【0023】
ガラクチノール合成酵素遺伝子は、GenBankなどのデータベースを用いて、シロイヌナズナ由来のガラクチノール合成酵素遺伝子に対し相同性を有する遺伝子を検索することによって、塩基配列情報を得ることができる。ホモロジー解析プログラムはLipman−Pearson法を採用したGENETIX−MAC(遺伝子情報処理ソフトウエア、ソフトウエア開発社)などを用いてもよく、また、インターネット上に公開されているものを使用してもよい。このような方法により得られた塩基配列は遺伝子全長を含む場合と、遺伝子全長を含まない場合がある。遺伝子全長を含まない場合は、目的植物組織より抽出したRNAを鋳型に、シロイヌナズナ由来のガラクチノール合成酵素遺伝子と相同性の高い部位に対応するプライマーを用い、5’RACE法、3’RACE法にて、容易に全長遺伝子を取得することができる。得られた全長遺伝子は、Soluble Protein Expression System(INVITROGEN社)や、Tight Control Expression System (INVITROGEN社)や、QIAexpress System(QIAGEN社)などのキットが提供する適当な発現ベクターに組み込み、遺伝子を発現させ、記載の方法でガラクチノール合成酵素活性を測定し、活性を有するクローンを選抜すればよい。遺伝子の発現方法については、Plant Molecular Biology, A Laboratory Manual (Melody S. Clark (Ed.), Springer)などに詳しく記載されている。
【0024】
また、ガラクチノール合成酵素遺伝子は、シロイヌナズナ等の植物体から単離したpoly(A)+RNAからcDNAライブラリーを調製し、このcDNAライブラリーをハイブリダイゼーションによってスクリーニングすることによって、取得することができる。
ハイブリダイゼーションに用いるプローブは、ガラクチノール合成酵素の部分アミノ酸配列に基づいて合成されたオリゴヌクレオチドをプライマーとするPCR(polymerase chain reaction)によって増幅することによって、取得することができる。
【0025】
以下に、poly(A)+RNAからガラクチノール合成酵素遺伝子を取得する方法を具体的に説明する。poly(A)+RNAの抽出部位としては、ガラクチノール合成酵素遺伝子が発現していれば如何なる部位を用いても良い。全RNAを抽出するには、効率よく損傷の少ないRNAが得られるならば方法は制限されず、例えば、フェノール/SDS法、グアニジンイソチオシアネート/塩化セシウム法等、公知のいずれの方法によっても可能である。こうして得た全RNAからオリゴ(dT)担体を用いてpoly(A)+RNAを分離できる。また、全RNAを抽出せずにpoly(A)+RNAを得ることのできるキット(MPG Direct mRNA Purification Kit、CPG,INC.社等)を使用しても良い。
【0026】
cDNAライブラリーを作製するためには、まずpoly(A)+RNAを鋳型にし、オリゴ(dT)プライマー、ランダムプライマー等を用い、逆転写酵素によって一本鎖cDNAを合成し、次にグブラ−ホフマン(Gubler and Hoffman)法、オカヤマ−バーグ(Okayama-Berg)法(Molecular Cloning 2nd edition、Cold Spring Harbor press、1989)等により二本鎖cDNAを合成する。ガラクチノール合成酵素遺伝子の発現量が少ない場合には、PCRを利用したcDNAライブラリー作製キット(Capfinder PCR cDNA Library Construction Kit(CLONTECH社)等)を用いて、PCRによってcDNAを増幅してもよい。このようにして合成したcDNAは、平滑末端化、リンカーの付加、PCRによる制限酵素サイトの付加等を行うことにより、ファージベクター、プラスミド等のクローニングベクターにクローニングできる。
【0027】
cDNAライブラリーのスクリーニングに使用するプローブのDNA断片は、PCRを行うことで得ることができる。例えば、イネ等の植物における既知のガラクチノール合成酵素遺伝子ホモログの塩基配列情報を用いて、シロイヌナズナ等の抽出対象植物のゲノム塩基配列を蓄積したデーターベースから該遺伝子のホモログを検索する。その結果、抽出対象植物におけるガラクチノール合成酵素遺伝子ホモログを同定し、PCRにおけるプライマーを設計することができる。
【0028】
このように設計して合成したプライマー及びゲノムDNAを用いてPCRを行うことによって、ハイブリダイゼーションに使用するプローブを作製することができる。また、いわゆるRACE法(Rapid Amplification of cDNA End:PCR PROTOCOLS A Guide to Methods and Applications、ACADEMIC press INC.p28〜38)を行ってプローブを作製しても良い。プローブのラベルには、ラジオアイソトープ、ビオチン等、種々のものを用いることができるが、ランダムプライミング法でラベルすることが望ましい。また、スクリーニングにはハイブリダイゼーションではなくPCRを用いてもよい。さらに、ハイブリダイゼーションとPCRを組み合わせてもよい。抽出対象植物のゲノム情報が得られない場合には、異種植物のガラクチノール合成酵素ホモログの塩基配列に基づいて作製したプローブを用いてスクリーニングを行うことができる。
【0029】
ガラクチノール合成酵素遺伝子のクローニングには、上述した方法以外に下記の方法が挙げられる。
(1)植物体からガラクチノール合成酵素を単離精製し、決定されるアミノ酸配列を基に全塩基配列を化学合成する。
(2)植物体から染色体DNAを調製し、プラスミドベクター等を用いて染色体DNAライブラリーを作製し、このライブラリーからガラクチノール合成酵素遺伝子を、ハイブリダイゼーンション又はPCRによって取得する。尚、染色体由来のガラクチノール合成酵素遺伝子は、コード領域にイントロンが含まれることが予想されるが、このようなイントロンによって分断されたDNAであっても、ガラクチノール合成酵素をコードする限り本発明のDNAに含まれる。
(3)poly(A)+RNAを分子量等によって分画し、ホイートジャーム又はウサギ網状赤血球を用いたインビトロ翻訳系に供し、ガラクチノール合成酵素活性を有するポリペプチドをコードするmRNAが存在する画分を決定し、それより目的のcDNA断片を作製、取得する。
(4)ガラクチノール合成酵素抗体を作製し、タンパク質発現ベクターにcDNAライブラリーを乗せ、適当な宿主に感染させてcDNAがコードするタンパク質を発現させ、この抗体を用いて目的のcDNAをスクリーニングする。
(5)ペプチド断片のアミノ酸配列から適当なプライマーを合成し、RACE法によって、末端を含む配列を増幅し、これをクローニングする。
【0030】
ガラクチノール合成酵素遺伝子を発現させるには、酵素をコードする領域のDNAを種々の発現ベクターに組み込めばよく、詳しくは、Plant Molecular Biology-A Laboratory Manual(M.S.Clark(eds.),Springer)などに記載されている。ベクターとしては、市販の発現ベクターを使用してもよい。発現の確認は、本明細書に記載の方法によって活性を測定することによって行うことができる。
【0031】
ガラクチノール合成酵素遺伝子としては、配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするもの、又は、配列番号1のアミノ酸配列における少なくとも1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、ガラクチノール合成活性を有するタンパク質をコードするものが挙げられる。また、ガラクチノール合成酵素遺伝子としては、配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードするもの、又は、配列番号2のアミノ酸配列における少なくとも1以上のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、ガラクチノール合成活性を有するタンパク質をコードするものが挙げられる。また、ガラクチノール合成酵素遺伝子としては、配列番号3のものが挙げられる。
【0032】
ガラクチノール合成酵素遺伝子は、ガラクチノール合成酵素の活性、すなわちUDP-ガラクトースとmyo-イノシトールとからガラクチノールを生成する活性が損なわれない限り、配列番号1又は2のアミノ酸配列において、1若しくは複数の位置での1若しくは数個のアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位を含むガラクチノール合成酵素タンパク質をコードするものであってもよい。ガラクチノール合成酵素遺伝子とは、ガラクチノール合成酵素活性を有するタンパク質をコードするのであるかぎりいかなるものでも良い。ガラクチノール合成酵素活性とは、UDP−ガラクトースとmyo−イノシトールを基質としてガラクチノールを合成する活性をいう。具体的には、UDP−ガラクトースとmyo−イノシトールを有する反応液に、植物体から抽出したガラクチノール合成酵素を含む画分を加えてガラクチノール合成反応を行い、反応溶液中に生じたガラクチノールを定量することによってガラクチノール合成活性を評価することができる。さらに具体的には、Liu, J.J. et al., Plant Physiol. 109: 505-511, 1995に記載されている方法に準じて測定することができる。すなわち、4mM MnCl2を含む反応緩衝液(50mM Hepes-Na, 2mM DTT, pH7.0), に測定対象のタンパク質0.017mgを加え30℃、15分間インキュベートした後、4mM UDP-ガラクトース、 20mM myo-イノシトール及び0.16mg BSAを加え、トータル1mlの系でさらに30℃、30分間インキュベートしてガラクチノール合成反応を行い、反応液中のガラクチノールを定量する。なお、反応後2mlのcold 100% EtOHを加えてガラクチノール合成反応を停止させることができる。ガラクチノール合成活性を有するとは、配列番号1または2に示されるガラクチノール合成酵素が有する活性の30%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上の活性を保持するものをいう。
【0033】
アミノ酸配列が改変されたタンパク質をコードするガラクチノール合成酵素遺伝子を調製するための当業者によく知られた方法としては、例えば、PCRによるin vitro変異導入法が挙げられる(伊沢毅、PCRによるin vitro mutagenesis、151-158頁、監修 島本功、佐々木卓治、細胞工学別冊植物細胞工学シリーズ7新版植物のPCR実験プロトコール、秀潤社)。タンパク質におけるアミノ酸の改変は、人為的に行うのであれば、通常、200アミノ酸以内、好ましくは100アミノ酸以内、さらに好ましくは50アミノ酸以内、さらに好ましくは10アミノ酸以内である。また、塩基配列の変異によりコードする蛋白質のアミノ酸配列が変異することは、自然界においても生じ得る。このように天然型のガラクチノール合成酵素における1もしくは複数のアミノ酸が置換、欠失、付加、および/または挿入されたアミノ酸配列を有する蛋白質をコードするガラクチノール合成酵素遺伝子であっても、ガラクチノール合成酵素を有する蛋白質をコードする限り、ガラクチノール合成酵素遺伝子に含まれる。また、たとえ、塩基配列が変異した場合でも、それが蛋白質中のアミノ酸の変異を伴わない場合(縮重変異)もあり、このような縮重変異体もガラクチノール合成酵素遺伝子に含まれる。
【0034】
このような配列番号1又は2以外のアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするガラクチノール合成酵素遺伝子は、例えば、配列番号3に示したガラクチノール合成酵素遺伝子に対して部位特異的変異法によって、特定の部位のアミノ酸が置換、欠失、挿入、付加されるように塩基配列を改変して得ることもできる。また、上記のような改変されたガラクチノール合成酵素遺伝子は、従来知られている突然変異処理によっても取得され得る。突然変異処理としては、ガラクチノール合成酵素遺伝子をヒドロキシルアミン等でインビトロ処理する方法、及びガラクチノール合成酵素遺伝子を保持するエシェリヒア属細菌を、紫外線照射またはN−メチル−N'−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG)もしくは亜硝酸等の通常人工突然変異に用いられている変異剤によって処理する方法が挙げられる。
また、上記のような塩基の置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等には、植物体の個体差、品種間差、遺伝子の多コピー化、各器官、組織の違いに基づく場合などの天然に生じる変異も含まれる。
【0035】
上記のような変異を有するガラクチノール合成酵素遺伝子を、適当な細胞で発現させ、発現産物のガラクチノール合成酵素活性を調べることにより、配列番号1又は2と異なるアミノ酸配列を有するガラクチノール合成酵素をコードするガラクチノール合成酵素遺伝子が得られる。また、変異を有するガラクチノール合成酵素遺伝子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、ガラクチノール合成酵素活性を有するタンパク質をコードするDNAを単離することによっても、配列番号1又は2と異なるアミノ酸配列を有するガラクチノール合成酵素をコードするガラクチノール合成酵素遺伝子が得られる。ここでいう「ストリンジェントな条件」とは、いわゆる特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。この条件を明確に数値化することは困難であるが、一例を示せば、相同性が高いDNA同士、例えば50%以上の相同性を有するDNA同士がハイブリダイズし、それより相同性が低いDNA同士がハイブリダイズしない条件、あるいは通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC,0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。このような条件でハイブリダイズする遺伝子の中には途中にストップコドンが発生したものや、活性中心の変異により活性を失ったものも含まれるが、それらについては、市販の活性発現ベクターにつなぎガラクチノール合成酵素活性を記述の方法で測定することによって容易に取り除くことができる。ガラクチノール合成活性を有するとは、配列番号1または2に示されるガラクチノール合成酵素が有する活性の30%以上、好ましくは60%以上、さらに好ましくは80%以上、最も好ましくは90%以上の活性を保持するものをいう。
【0036】
植物体内に上述したようなガラクチノール合成酵素遺伝子を導入することによって、ガラクチノール合成酵素を過剰発現するトランスジェニック植物を得ることができる。ガラクチノール合成酵素遺伝子を導入する際には、所定のプロモーターの下流に当該ガラクチノール合成酵素遺伝子を連結した発現ベクターを構築する。発現ベクターを構築する際には、詳しくは、Plant Molecular Biology-A Laboratory Manual(M.S.Clark(eds.),Springer)などに記載されている方法を適宜使用する。ベクターとしては、市販のものを使用してもよい。また、形質転換の方法としては、特に限定されないが、アグロバクテリウム感染方法(特公平2−58917号公報参照)、エレクトロポレーション方法(特開平5−68575号公報参照)、パーティクルガン法(特開平5−508316号公報参照)等を挙げることができる。特に、アブラナ科植物に対する形質転換は、Plan Cell Reports (1987) , 6, 321 - 325に記載の方法に準じて行うことができる。ダイズに対する形質転換は、Pro. Natl. Acad. Sci. USA, 86. 145 (1989)、TIBTECH, 8, 145 (1990)、 Bio/Technology, 6, 923 (1988)、 Plant Physiol., 87, 671 (1988), Plant Physiol., 91, 1212 (1992)、 Bio/Technology, 6, 915 (1988)、 Plant Physol., 99, 81 (1992)等に記載の方法に準じて行うことができる。イネに対する形質転換は、「モデル植物の実験プロトコール イネ、シロイヌナズナ編」78頁記載の方法に準じて行うことができる。ガラクチノール合成酵素遺伝子の発現の確認は、本明細書に記載の方法によって活性を測定することによって行うことができる。
【0037】
得られたトランスジェニック植物においては、ストレスに対する耐性が向上している。ここで、ストレスとは、例えば、高塩濃度条件及び/又は乾燥条件を意味する。得られたトランスジェニック植物は蒸散量を抑えることによって、土壌中に水分吸収を抑制することができる。ここで、乾燥条件とは、野生型植物が生育できる環境において湿度、給水が制限された状態で野性型植物の生育が抑制されるような条件を意味する。また、ここで高塩濃度条件とは、特に制限はないが、農業肥料、または、酸性土壌、アルカリ性土壌における塩(例えば、NaCl)を高濃度で含む条件を意味する。
【0038】
高塩濃度条件及び/又は乾燥条件といったストレスに対する耐性が向上するというのは、野性型植物の生育が抑制される又は生育できないような条件下であっても、生育が抑制される程度が抑えられることを意味する。ここで、生育を評価する方法としては、特に限定されず、例えば、生育速度、草丈、重量、葉面積、花の稔性、花粉稔性、種子重量若しくは収量又はこれらの組み合わせ等を挙げることができる。
【0039】
なお、トランスジェニック植物としては、ホモ接合体、野性型植物とホモ接合体を戻し交雑したヘテロ後代植物であってもよい。また、野性型植物と比較してヘテロ接合体、ヘテロ接合体と比較してホモ接合体の方がストレスに対する耐性がより向上していることがある。
【0040】
植物体内にガラクチノール合成酵素遺伝子を導入することによって、植物体内のガラクチノール量を増大させることができる。ガラクチノールとは、UDP-ガラクトースとmyo-イノシトールとを基質としてガラクチノール合成酵素により合成される糖成分である。植物体内におけるガラクチノール量を測定する際には、先ず、ガラクチノールを含む抽出液を植物体から抽出する。抽出液は、植物体を液体窒素により凍結後、破砕し、これにあらかじめ80℃にあたためておいた10mlの80%エタノールを加えた後、90℃で10分間煮出し、これをさらに二回、合計三回行うことによって得る。
【0041】
次に、この抽出液をHPLC(高速液体クロマトグラフィー)により定量する。HPLCに際して、例えば、糖分析システムDX500(CarboPac MA1、パルスドアンペロメトリー検出器(ダイオネクス社製))を用いて行うことができる。このように、植物体からの抽出液に含まれるガラクチノール量を定量することによって、当該植物内におけるガラクチノール量の増加を検出することができる。
【0042】
本方法において、ガラクチノール量を増大させるとは、同条件で生育した野生型の植物体内におけるガラクチノール量と比較して多量のガラクチノールを含有することを意味する。具体的に、ロゼット葉において、新鮮重あたりのガラクチノール含量が、無処理の野性型植物のレベルに対し、1.1から50倍、好ましくは2倍から30倍、より好ましくは5から20倍の程度となることを意味する。更に好ましくは、植物体全体において、新鮮重あたりのガラクチノール含量が、無処理の野性型植物のレベルに対し、1.1から50倍、好ましくは2倍から30倍、より好ましくは5から20倍の程度となることを意味する。
【0043】
ここで、植物内におけるガラクチノール合成活性を向上させることによっても、植物体内のガラクチノール量を増大させることができ、植物に対してストレス耐性を付与することができる。ここで、ガラクチノール合成活性は、Liu, J.J. et al., Plant Physiol. 109: 505-511, 1995に記載されている方法に準じて測定することができる。具体的には、4mM MnCl2を含む反応緩衝液(50mM Hepes-Na, 2mM DTT, pH7.0), に測定対象のタンパク質0.017mgを加え30℃、15分間インキュベートした後、4mM UDP-ガラクトース、 20mM myo-イノシトール及び0.16mg BSAを加え、トータル1mlの系でさらに30℃、30分間インキュベートしてガラクチノール合成反応を行い、反応液中のガラクチノールを定量する。なお、反応後2mlのcold 100% EtOHを加えてガラクチノール合成反応を停止させることができる。
【0044】
また、植物内におけるガラクチノール合成活性を向上させるとは、同条件で生育した野性型植物体内のガラクチノール合成酵素活性と比較し、新鮮重あたりの活性若しくは比活性又は葉あたりの活性若しくは比活性を向上させることを意味する。具体的には、ロゼット葉において、新鮮重あたりの活性が、無処理の野性型植物のレベルに対し、1.1から50倍、好ましくは2倍から30倍、より好ましくは5から20倍の程度となることを意味する。更に好ましくは、植物体全体において新鮮重あたりの活性が、無処理の野性型植物のレベルに対し、1.1から50倍、好ましくは2倍から30倍、より好ましくは5から20倍の程度となることを意味する。ただし、野性株における内在性のガラクチノール合成酵素活性は、植物種や生育環境によっては検出できない場合がある。その場合、植物内におけるガラクチノール合成活性を向上させるとは、検出できる程度の活性を有することを意味する。
【0045】
植物内のガラクチノール合成活性を増加させる方法としては、ガラクチノール合成酵素遺伝子を発現可能なベクターに組み込みこれを植物に導入する方法、ガラクチノール合成酵素遺伝子を植物の染色体上に導入する方法、染色体上のガラクチノール合成酵素遺伝子の発現を増強するような転写因子をコードする遺伝子を植物体に導入する方法などがあげられる。
【0046】
また、ガラクチノール合成酵素遺伝子の発現が向上した変異株をスクリーニングしても良く、具体的には、エチルメタンスルフォネート(EMS)等の化学変異剤を用いてラフィノース合成酵素遺伝子の転写活性が上昇した植物をノーザン解析によりスクリーニングしても良い。
【0047】
また、ガラクチノール合成活性を増加させる方法としては、エチルメタンスルフォネート(EMS)等の化学変異剤を用いて得た変異株より蛋白質を抽出し、ウエスタン解析、あるいは、エライザ(ELISA)などで、ガラクチノール合成酵素のタンパク質量の多いものを選抜することでも可能である。
本明細書で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書に取り入れるものとする。
【0048】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
1.ガラクチノール合成酵素遺伝子の単離
イネのガラクチノール合成酵素遺伝子ホモログwsi76 (water stress-induced)の塩基配列(Takahashi, R. et al. Plant Mol. Biol., 26:339-352)を元にしてブラストサーチ(Blast search National Center for Biotechnology Infometion, NCBI社製)を用いて、シロイヌナズナ染色体塩基配列におけるホモログを検索した。その結果、相同性の高い領域を7つ見出すことができた。そして、これら7領域について、ノーザン解析を行い、ストレスに対して応答して発現する3領域を見出した。これらストレス応答性の3領域を増幅するためのプライマーを以下のように設計した。
プライマー1:5'-CAAGGATCCGCAGATCACGTGCTAATCAC-3'(配列番号4)
プライマー2:5'-CAAGGATCCCCTGGCAATCAAGCAGCGGA-3'(配列番号5)
プライマー3:5'-CGCCACAGTACAAGATCGGTTA-3'(配列番号6)
プライマー4:5'-CATGAAGAGGCGTATGCAGC-3'(配列番号7)
プライマー5:5'-CTTTCTCGGACAAGATGGCA-3'(配列番号8)
プライマー6:5'-GTGTTGACAAGAACCTCGCT-3'(配列番号9)
【0049】
シロイヌナズナ染色体DNAを鋳型として、プライマー1及び2を用いたPCRで増幅されるDNAは、シロイヌナズナにおけるガラクチノール合成酵素遺伝子AtGolS1に含まれるDNA断片である。また、同様にプライマー3及び4を用いたPCRで増幅されるDNAは、シロイヌナズナにおけるガラクチノール合成酵素遺伝子AtGolS2に含まれるDNA断片である。プライマー5及び6を用いたPCRで増幅されるDNAは、シロイヌナズナにおけるガラクチノール合成酵素遺伝子AtGolS3に含まれるDNA断片である。
【0050】
各PCRで増幅したDNA断片をpBluescript II SK+ (Stratagene社製)のEcoRVサイトにそれぞれ別個にクローニングした。各DNA断片をクローニングしたプラスミドをプローブとして、乾燥処理したシロイヌナズナより調製された完全長cDNAライブラリー(Seki et al. Plant J. 15:707-720, 1995)をスクリーニングした。ここで得られた完全長cDNAの塩基配列を決定した。
【0051】
2.ガラクチノール合成酵素遺伝子の発現
先ず、MS培地(ムラシゲスクーグ(Murashige and Skoog 1962)培地、ミネラル塩、1 X B5 Vitamin(Ganborg et al. 1968)、0.5%MES、3%sucrose、pH5.7、0.8%agar)にシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana, columbia, wt)の種子を播種し、2日間4℃で低温処理を行い3週間22℃で生育させた。
【0052】
生育したシロイヌナズナをMSプレートより静かに引き抜き、根に付いた寒天をキムワイプで静かにふき取り、空のシャーレに入れ、急激な乾燥を避けるため30分間ほどシャーレの蓋を閉じたまま乾燥処理することによって、シロイヌナズナに対して乾燥ストレスを与えた。また、250mM NaCl溶液(イオン交換水にNaClを添加)をシャーレに植物体の根が浸る程度(約10ml、葉ができる限り溶液に浸らないように)注ぎ、そこに乾燥処理と同様にMSプレートより引き抜いたシロイヌナズナを浸すことによって、シロイヌナズナに対して高塩濃度ストレスを与えた。さらに、250mM NaCl溶液に代えて10-4mM ABA溶液をシャーレに注ぎ、MSプレートより引き抜いたシロイヌナズナを浸すことによって、シロイヌナズナに対してABAストレスを与えた。さらに、シロイヌナズナを生育させたMSプレートを4℃のインキュベーターに置くことによって、シロイヌナズナに対して低温ストレスを与えた。
【0053】
次に、これら各種ストレスを与えたシロイヌナズナを液化窒素中で破砕し、全RNAを抽出した (Nagy F, Kay SA and Chua N-H (1988) Analysis of gene expression In transgenic plants. In Gelvin and Schilperoort, eds, Plant Molecular Biology Manual, B4. Kluwer Academic Publishers, Dordrecht, pp 1-29)。得られたRNA溶液を1%のアガロースゲルを用いて1レーン当たり5μgずつ電気泳動した。電気泳動後の1%のアガロースゲルからRNAをナイロンメンブレン(プラスチャージ)に転写した。得られたナイロンメンブレンをノーザンプロット解析に供した。
【0054】
ノーザンプロット解析に使用したプローブとしては、上記1で得られたプラスミドを鋳型として、DIG RNA Labeling Kit (SP6/T7) (Roche社) を用いてDIGでラベルしたRNAプローブを用いた。したがって、このノーザンプロット解析により、各種ストレスを与えたときのAtGolS1〜3の発現を確認することができる。
【0055】
結果を図1及び図2に示す。図1は土植えで生育したシロイヌナズナにおけるAtGolS1〜3の発現を確認した電気泳動写真であり、図2はシャーレ上で生育したシロイヌナズナにおけるAtGolS1〜3の発現を確認した電気泳動写真である。これら図1及び図2に示すように、AtGolS1及びAtGolS2は、乾燥ストレス及び高塩濃度ストレスを与えたときに発現誘導されることが判る。また、AtGolS3は、低温ストレスを与えたときに発現誘導されることが判る。なお、ABAストレスを与えた場合には、AtGolS1及びAtGolS2が発現誘導されている。
【0056】
3. AtGolS1 3 タンパク質の機能
AtGolS1〜3タンパク質におけるガラクチノール合成活性を確認するため、先ず、AtGolS1〜3タンパク質を精製した。上記1で調製した完全長cDNAクローンにおけるコーディング領域を、下記のプライマーを用いてPCRにより単離した。
プライマー7:5'-CGCGGATCCATGGCTCCGGGGCTTACTCAAAC-3'(配列番号10)
プライマー8:5'-CGCGGATCCCCACCGACAATTTTAACTCCTGG-3'(配列番号11)
プライマー9 :5'-CGCGGATCCATGGCACCTGAGATCAATACC-3'(配列番号12)
プライマー10:5'-CGCGGATCCGAGGCGTATGCAGCAACGAGC-3'(配列番号13)
プライマー11:5'-CGCGGATCCATGGCACCTGAGATGAACAACAAGTTG-3'(配列番号14)
プライマー12:5'-CGCGGATCCCTGGTGTTGACAAGAACCTCGCTC-3'(配列番号15)
すなわち、プライマー7及び8を用いてAtGolS1タンパク質のコーディング領域を増幅し、プライマー9及び10を用いてAtGolS2タンパク質のコーディング領域を増幅し、プライマー11及び12を用いてAtGolS3タンパク質のコーディング領域を増幅した。
【0057】
次に、得られたDNA断片をpBluescript IISK+ (Stratagene) のEcoRVサイトにクローニングした。PCRによるDNA塩基配列に変異が導入されていないかを確認した。変異の認められないDNA断片を、グルタチオン S-トランスフェラーゼ (GST) 遺伝子を含むpGEX4T-1 (Amersham Pharmacia biotech) のBamHIサイトにフレームが合うようにクローニングし、キメラプラスミドpGST-AtGolS1、pGST-AtGolS2及びpGST-AtGolS3を構築した。これらpGST-AtGolS1、pGST-AtGolS2又はpGST-AtGolS3を用いて大腸菌JM109株を形質転換し、LB培地中で37℃で培養した。
【0058】
培養液のOD600が約0.5になったところでイソプロピルβ-D-チオガラクトシド (IPTG)を加え、17℃で12時間培養を続けた。大腸菌を回収し、洗浄後、抽出バッファー[10 mM Tris-HCl (pH8.0), 5mM MgCl, 5% glycerol, 0.1 mM phenylmethylsulfonyl fluoride (PMSF),および 0.1 mM dithiothreitol (DTT)] に懸濁した。GST融合タンパク質は、glutathione-Sepharose 4B [the GST gene fusion system (Amersham Pharmacia biotech)]を用いたクロマトグラフィにより精製し、その後、トロンビンによるGST部分を切断した。得られたタンパク質の濃度は protein assay kit (Bio-Rad,CA,USA) を用いて決定した。
【0059】
GST-AtGolS1タンパク質、GST-AtGolS2タンパク質及びGST-AtGolS3タンパク質におけるガラクチノール合成活性をLiu, J.J. et al., Plant Physiol. 109: 505-511, 1995に記載されている方法に準じて測定した。具体的には、4mM MnCl2を含む反応緩衝液(50mM Hepes-Na, 2mM DTT, pH7.0), に測定対象のタンパク質0.017mgを加え30℃、15分間インキュベートした後、4mM UDP-ガラクトース、 20mM myo-イノシトール及び0.16mg BSAを加え、トータル1mlの系でさらに30℃、30分間インキュベートしてガラクチノール合成反応を行った。反応後2mlのcold 100% EtOHを加えてガラクチノール合成反応を停止させた。
【0060】
GST-AtGolS1タンパク質、GST-AtGolS2タンパク質及びGST-AtGolS3タンパク質におけるガラクチノール合成活性を測定した結果を、それぞれ図3A〜Dに示す。図3Aは測定対象のタンパク質を加えないで行った対象実験である。これら図3B〜Dに示すように、GST-AtGolS1タンパク質、GST-AtGolS2タンパク質及びGST-AtGolS3タンパク質は、それぞれガラクチノール合成活性を有することが判る。
【0061】
4.トランスジェニック植物の作出
上記1〜3で明らかになったように、AtGolS1及びAtGolS2は、それぞれガラクチノール合成活性を有し、乾燥ストレス及び高塩濃度ストレスによって発現誘導された。そこで、これらAtGolS1及びAtGolS2を過剰発現するトランスジェニック植物を作出した。供試体としては、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana (L.) Heynh. Ecotype Columbia)を用いた。このシロイヌナズナは、培養土を入れた直径9cmのプラスティック製ポットに播種し、22℃、16時間日長の条件下で、6週間栽培した後、以下のように形質転換した。
【0062】
図4に示すように、カナマイシン耐性マーカーとカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターとを有するpBE2113ベクター (Mitsuhara, I. Et al. Plant Cell Physiol. 37 : 49-59 (1996))からGUSレポーター遺伝子を欠失したベクター(pBE2114NOT)を作製し、さらにカナマイシン耐性遺伝子をハイグロマイシン耐性遺伝子に置換したベクター (pBIG2113NOT) を作製し、シロイヌナズナから単離したAtGols1〜3のいずれかのcDNAをそのBamHIサイトに正方向(センス方向)に連結したものを作製した。また、AtGols1〜3のいずれかのcDNAを、pBIG2113NOTのBamHIサイトに逆方向(アンチセンス方向)に連結したものも作製した。
【0063】
得られたベクターを三者混合法により土壌細菌(Agrobacterium tumefaciens strain GV3101 (pMP90))に導入した。目的の遺伝子を導入した土壌細菌をカナマイシン(Km)耐性により選択し、減圧浸潤法(Bechtold,N. et al. C. R. Acad. Sci. Paris. LifeSci. 316, 1194-1199 (1993))をもちいて野生型シロイヌナズナに感染させた。感染後の植物体から乾燥種子を採取し、ハイグロマイシンを添加した寒天プレートに播種して栽培し形質転換第1世代個体 (T1) を選抜した。形質転換体代1世代から得られた形質転換体第2世代個体 (T2) の種子を採取した。そして、この種子を栽培し、得られた植物体における導入遺伝子の発現量を確認し、導入遺伝子が十分に発現しているものをトランスジェニック植物として以後の実験に使用した。具体的には、第2世代個体 (T2) の種子を10mg/mlのハイグロマイシンを添加したMSプレートに播種し、二日間の4℃処理後3週間22℃で生育させた。センス方向に導入したものは無処理のままに回収し、アンチセンス方向に導入したものは生育したシロイヌナズナをMSプレートより静かに引き抜き、根に付いた寒天をキムワイプで静かにふき取り、空のシャーレに入れ、急激な乾燥を避けるため30分間ほどシャーレの蓋を閉じたまま乾燥処理することによって、シロイヌナズナに対して乾燥ストレスを与え、8時間後に回収した。上記で作製したDIGでラベルしたものをプローブとして、ノーザンプロット解析により導入遺伝子の発現量を確認した結果を図5に示す。図5に示すように、AtGols1遺伝子を導入した場合、No.1及び3においてAtGols1遺伝子が過剰発現しており、これらNo.1及び3をトランスジェニック植物とした。また、AtGols2遺伝子を導入した場合、No.11及び29においてAtGols2遺伝子が過剰発現しており、これらNo.11及び29をトランスジェニック植物とした。
【0064】
なお、AtGols1遺伝子及びAtGols2遺伝子をアンチセンス方向に導入た場合のAtGols1遺伝子及びAtGols2遺伝子の発現量をそれぞれ確認した結果も図5に示す。図5に示すように、AtGols1遺伝子をアンチセンス方向に導入した場合、No.4及び8においてAtGols1遺伝子が発現抑制されていた。また、AtGols2遺伝子をアンチセンス方向に導入した場合、No.1及び5においてAtGols2遺伝子が発現抑制されていた。
【0065】
そして、AtGols2遺伝子を導入したNo.29の種子、AtGols1遺伝子をアンチセンス方向に導入したNo.4及び8、及びpBIG2113NOTのみを導入したベクターコントロールについて、上記に示す栄養塩類を含む寒天プレート(Valvekens, D. et. Al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85, 5536-5540 (1988))に播種し2週間栽培した。得られた植物体を土(バーミキュウライト:バーライト=1:1)を入れた直径9cmのプラスティック製ポットに4固体ずつそれぞれ移植し、22℃、16時間日長の条件下で栽培した。播種3週間後(すなわち、移植の1週間後)に植物体の入ったポットに対する水やりを止めることによって無潅水状態にし、植物体に乾燥ストレスを与えた。無潅水処理開始16日後に写真撮影した。結果を図6に示す。
【0066】
この図6に示すように、AtGols2遺伝子を過剰発現するNo.29のトランスジェニック植物は、AtGols1遺伝子について発現抑制された植物体及びベクターコントロールの植物体と比較して、優れた乾燥耐性を有することが判った。さらにベクターコントロール及びNo.29について、無潅水処理開始17日後に再吸水させ、5日後に写真撮影した結果を図7に示す。図7から明らかなように、無潅水処理開始17日後に再吸水してベクターコントロールが枯死してしまうような条件であっても、No.29は生育できることが判った。
【0067】
一方、図6に示した植物体に含まれるガラクチノール量を測定した結果を図8に示す。図8から判るように、No.29では、ベクターのみを有する植物体及びAtGols1遺伝子が発現抑制された植物体と比較して、ガラクチノール量が有意に増大していた。すなわち図8に示すように、優れた乾燥耐性を有するNo.29は、ガラクチノール量が多量に蓄積されていた。以上の結果より、植物体内にガラクチノールを多量に蓄積させることによって、植物体に優れた乾燥耐性を付与することができることが明らかとなった。
【0068】
なお、図6に示した植物体について、プラスティック製ポットに充填された土壌の水分含有率を測定した結果を図9に示す。図9に示すように、No.29では、ベクターのみを有する植物体及びAtGols1遺伝子が発現抑制された植物体と比較して、土壌の水分含有率が高い値を示した。この結果から、ガラクチノールを多量に蓄積した植物体では、気孔の閉鎖制御等のメカニズムにより水分の蒸散が抑制され、優れた乾燥耐性が付与されたものと強く示唆された。
【0069】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、植物体内にガラクチノールを多量に蓄積させることによって、当該植物体に対してストレス耐性を付与することができる。したがって、本発明によれば、各種環境ストレスに対して耐性を持つ植物体を作出することが可能となる。
【0070】
【配列表】
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【0071】
【配列表フリーテキスト】
配列番号4〜15は合成プライマーである。
【図面の簡単な説明】
【図1】土植えで生育したシロイヌナズナにおけるAtGolS1〜3の発現を、各種ストレスを与えた状態で確認した電気泳動写真である。
【図2】シャーレ上で生育したシロイヌナズナにおけるAtGolS1〜3の発現を、各種ストレスを与えた状態で確認した電気泳動写真である。
【図3】 GST-AtGolS1タンパク質、GST-AtGolS2タンパク質及びGST-AtGolS3タンパク質におけるガラクチノール合成活性を測定した結果示す特性図であり、AはGST単独の場合であり、BはGST-AtGolS1タンパク質の場合であり、CはGST-AtGolS2タンパク質の場合であり、DはGST-AtGolS3タンパク質の場合である。
【図4】トランスジェニック植物を作出する際に使用したベクターの構成を示す模式図である。
【図5】トランスジェニック植物における導入遺伝子の発現量を、ノーザンプロット解析により確認した結果を示す電気泳動写真である。
【図6】トランスジェニック植物に乾燥ストレスを与えたときの生育状態を示す写真である。
【図7】乾燥ストレスを与えた後に再吸水させたときの生育状態を示す写真である。
【図8】トランスジェニック植物に含まれるガラクチノール量を比較した特性図である。
【図9】トランスジェニック植物を生育した土壌の水分含有率を比較した特性図である。
【図10】 RFO合成経路を示す模式図である。

Claims (4)

  1. ガラクチノール合成酵素活性を有するガラクチノール合成酵素遺伝子を植物体内に導入し、当該植物体内にてガラクチノール合成酵素を過剰に発現させてガラクチノール蓄積量を増大させることを特徴とする植物に対する乾燥ストレス耐性付与方法。
  2. 上記ガラクチノール合成酵素遺伝子は、以下の(a)又は(b)の遺伝子であることを特徴とする請求項1記載の植物に対する乾燥ストレス耐性付与方法。
    (a)配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子。
    (b)配列番号1のアミノ酸配列における少なくとも1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、ガラクチノール合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  3. 上記ガラクチノール合成酵素遺伝子は、以下の(c)又は(d)の遺伝子であることを特徴とする請求項1記載の植物に対する乾燥ストレス耐性付与方法。
    (c)配列番号2のアミノ酸配列を含むタンパク質をコードする遺伝子。
    (d)配列番号2のアミノ酸配列における少なくとも1又は数個のアミノ酸が欠失、置換若しくは付加されたアミノ酸配列を含み、ガラクチノール合成活性を有するタンパク質をコードする遺伝子。
  4. 植物体内におけるガラクチノール合成活性を向上させることを特徴とする請求項1記載の植物に対する乾燥ストレス耐性付与方法。
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