JP4755678B2 - リールシートおよびそれに用いる締付固定手段 - Google Patents
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Description
特に、リールに対してナットが竿尻側で装着される所謂アップロックタイプでは、リールを握る手は、その手の平部分から小指部分にかけて締付ナットに当たることになる。そのため、締付ナットには手からも弛緩方向への回転力が掛かることになり、緊締機能が損なわれ易い。
しかしながら、締付ナットを手で回して締付けるには、竿軸方向にある程度の長さ寸法を有することが必要である。また、弛み止めリングに十分な弛み止め機能を担わせるためには、ネジ幅ピッチを十分に超える長さ寸法を有することが必要である。その一方で、軽快なシャクリ動作を可能ならしめるため、リールシートの短尺化も求められている。
それ故、本発明は、上記した複数の課題を同時に解決できる、新規且つ有用なリールシートおよびそれに用いる締付固定手段を提供することを目的とする。
図1はリールシート1の斜視図を、図2は分解斜視図をそれぞれ示す。このリールシート1は合成樹脂で構成されている。
符号3は筒状のボディを示し、このボディ3の外周面にはリール脚着座部5が形成されている。リール脚着座部5の竿先側部分は、フード状上面により上方空間が限定されて、一方のリール脚挿入部7になっている。ボディ3は竿体sの外周面に外嵌固定される。
ボディ3の竿尻側部分の外周面には雄ネジ部9が形成されている。また、この雄ネジ部9には竿軸方向に延びる1本のキー溝10が凹設されている。
可動筒部材11は竿先側に向かって上部が拡径されたフード状上面を有しており、ボディ3に装着されると、リール脚着座部5の竿尻側部分は、上記したフード状上面により上方空間が限定されて、一方のリール脚挿入部7に対向する他方のリール脚挿入部15を形成する。
締付ナット17の外周面は竿軸方向に十分な長さ寸法を有しており、手で回して規定のトルクまで締付ける際に、隣接する他の部材を触らずに済む。
ロックナット23の外周面は竿軸方向に十分な長さ寸法を有しており、手で回して規定のトルクまで締付ける際に、隣接する他の部材を触らずに済む。
薄肉部21と薄肉部27の竿軸方向の長さ寸法は薄肉部21の方が若干長く設定されている。そして、薄肉部21と薄肉部27の竿軸方向の合計の長さ寸法(x1+y1)は、後述する弛み止めリング29の殆ど大部分を収容できるように設定されている。
薄肉部21と薄肉部27の肉厚寸法は、後述する圧接面積に比例する弛み止め効果を考慮して(w1)に設定されている。
弛み止めリング29の外径は上記した薄肉部21、27の内径より若干小さく設定されている。また、内径は雄ネジ部9のネジ径より若干大きく設定されている。弛み止めリング29の内周面には竿軸方向に両端まで延びるキー部31が形成されている。このキー部31は上記した雄ネジ部9に凹設されたキー溝10に差込まれて係合される。
上記したように、この実施の形態では、固定締付手段は、可動筒部材11、締付ナット17、ロックナット23、弛み止めリング29の各部材により構成されており、締付ナット17が竿先側部材に、ロックナット23が竿尻側部材に夫々対応している。
さらに、弛み止めリング29を竿先に向かって直進移動させ、次いで、ロックナット23を手で回して竿先に向かって螺進移動させ、所定のトルクで締付ける。これで、弛み止め作業が終了する。
上記のように締付固定作業を終了した後は、締付ナット17の竿尻側面とロックナット23の竿先側面の内方は弛み止めリング29に両側から相対して適度な圧接面積で圧接している。
一方、締付ナット17の竿尻側面とロックナット23の竿先側面の外方側は僅かな隙間があいている。
しかも、弛み止めリング29には締付ナット17とロックナット23に夫々備えられた薄肉部21、27が外方から被さっており、ナット17、23を手で掴んで回すときに、それぞれの薄肉部21、27の外周面も掴み部位として利用できる。従って、締付ナット17及びロックナット23を含む固定締付手段を長尺化せずに済む。
このリールシート41の締付ナット側の薄肉部21とロックナット側の薄肉部27の肉厚寸法(w2)は、第1の実施の形態に係る夫々の薄肉部21と薄肉部27の肉厚寸法(w1)より小さく設定されており、その分、弛み止めリング29の外径を大きくできている。そのため、このリールシート41では、第1の実施の形態に係るリールシート1より弛み止めリング29に対する締付ナット17とロックナット23の圧接面積が大きく確保されている。
そのため、締付ナット17に対して弛緩方向の回転力がより大きく掛かっても、弛み止めリング29により確実に受け止められ、より高い弛み止め効果が期待できる。
第1の実施の形態と異なり、このリールシート51の弛み止めリング53の外周面の中間部分には、半径方向外方に張り出した鍔状の外方フランジ部55が設けられており、断面T字状をなしている。そのため、このリールシート51では、締付固定後は、締付ナット17の竿尻側面とロックナット23の竿先側面は夫々全面にわたって弛み止めリング53に両側から相対して圧接することになり、第1の実施の形態に係るリールシート1より弛み止めリング53に対する締付ナット17とロックナット23の圧接面積が大きく確保されている。従って、締付ナット17に対して弛緩方向の回転力がより一層大きく掛かっても、弛み止めリング53により確実に受け止められ、より高い弛み止め効果が期待できる。
なお、外方フランジ部55の存在を考慮して、薄肉部21の長さ寸法(x2)と薄肉部27の長さ寸法(y2)は夫々第1の実施の形態での長さ寸法(x1、y1)より若干短く設定されている。
第3の実施の形態と異なり、このリールシート61では、締付ナット17側にのみ薄肉部21が形成されており、薄肉部21の竿軸方向の長さ寸法がx2に設定されている。弛み止めリング63の外周面の竿尻端部分に、半径方向外方に張り出した鍔状の外方フランジ部65が設けられており、断面L字状をなしている。締付ナット17は可動筒部材11を押圧しながら締付けるため、ロックナット23より力を込めて締め付ける必要があり、手で掴む部分がある程度長い方が力を込めて締付け易い。このリールシート61は、この点を考慮して設計されている。
なお、このリールシート61では、第3の実施の形態に対してロックナット23の薄肉部27を無くすだけの改変をして済ませているので、弛み止めリング63の雄ネジ部9相対側の長さ寸法が相対的に短くなってネジ幅ピッチに近くなっているが、大きい回転力が掛かることが予想される場合には薄肉部21の長さ寸法(x2)をより長く設定されるよう調整することとなる。
第4の実施の形態と異なり、このリールシート71では、弛み止めリング63の外周面73が、締付ナット17の外周面75やロックナット23の外周面77から突出せず、面一となっている。
従って、外方フランジ部65が設けられていても、グリップg(図1)側から締付ナット17にかけて突出する部分が無くなるので、手をグリップg側からスムーズに滑動させることができる。
第5の実施の形態と異なり、このリールシート81では、弛み止めリング63の外周面73が、締付ナット17の外周面75やロックナット23の外周面77から突出せず、内方に後退している。
従って、手をグリップg側から滑動させる際に、外方フランジ部65に当たらなくなり、弛み止めリング63を締付ナット17やロックナット23とは別の素材で構成しても握りに違和感が出ない。
第6の実施の形態と異なり、このリールシート91では、弛み止めリング63の竿先側端に、竿尻方向に向かってテーパー状に拡径しながら、半径方向外方に環状に突出した係止凸部93が設けられている。また、締付ナット17の薄肉部21の内周面には、竿尻方向に向かってテーパー状に拡径しながら、半径方向外方に環状に凹んだ係止凹部95が設けられている。そして、係止凸部93が係止凹部95に入り込んで凹凸係合されている。このリールシート91によれば、締付ナット17の螺進移動に追従して弛み止めリング63が直進移動するので、締付固定作業が楽になる。
なお、係止部の形成部位を確保するために、薄肉部21の長さ寸法(x3)は第6の実施の形態での長さ寸法(x2)より長く設定されている。
第1の実施の形態に係るリールシート1が、リールに対して締付ナット17が竿尻側で装着される所謂アップロックタイプであるのに対して、このリールシート97は、リールに対して締付ナット17が竿先側で装着される所謂ダウンロックタイプである点が異なっている。
このように、本発明はアップロックタイプにもダウンロックタイプにも適用できる。
例えば、薄肉部がロックナットに設けられた場合には、ロックナットと弛み止めリングを係合させることもできる。但し、ロックナットの締付に必要なネジ寸法、即ち雌ネジ部の竿軸方向の長さ寸法は締付ナットより短くて済むことから、リールシート全体の短尺化の要請を優先するならば、締付ナットと係合させる方が好ましい。
さらに、締付ナットやロックナットの薄肉部の肉厚寸法や長さ寸法は、各部材の素材や使用条件を考慮して、適宜設定すればよいことである。
いずれにしても、特許請求されている形状等を除いては、従来からあるまたは将来案出される形状や製造を任意に組み合わせることができる。
3‥‥ボディ 5‥‥リール脚着座部
7‥‥リール脚挿入部 9‥‥雄ネジ部
10‥‥キー溝 11‥‥可動筒部材
13‥‥キー部 15‥‥リール脚挿入部
17‥‥締付ナット 19‥‥雌ネジ部
21‥‥薄肉部 23‥‥ロックナット
25‥‥雌ネジ部 27‥‥薄肉部
29‥‥弛み止めリング 31‥‥キー部
41‥‥リールシート(第2の実施の形態)
51‥‥リールシート(第3の実施の形態)
53‥‥弛み止めリング 55‥‥外方フランジ部
61‥‥リールシート(第4の実施の形態)
63‥‥弛み止めリング 65‥‥外方フランジ部
71‥‥リールシート(第5の実施の形態)
73‥‥(弛み止めリング)外周面 75‥‥(締付ナット)外周面
77‥‥(ロックナット)外周面
81‥‥リールシート(第6の実施の形態)
91‥‥リールシート(第7の実施の形態)
93‥‥係止凸部 95‥‥係止凹部
97‥‥リールシート(第8の実施の形態)
s‥‥竿体 g‥‥グリップ
x、y‥‥薄肉部の長さ寸法 w‥‥薄肉部の肉厚寸法
Claims (6)
- 一方のリール脚挿入部が設けられ、竿体に外嵌固定されるボディと、他方のリール脚挿入部が設けられ、前記ボディに対して進退移動可能に外嵌装着される筒状締付固定手段とを備え、前記ボディの外周面に形成された雄ネジ部に前記締付固定手段の内周面に形成された雌ネジ部が螺合することで前記締付固定手段が前記ボディに対して締付固定されるタイプの合成樹脂製のリールシートにおいて、
前記締付固定手段は前記雄ネジ部の形成された部分において竿先側部材と竿尻側部材とに分割され、且つ、竿先側部材または竿尻側部材のいずれか一方または両方の分割側部分の内方が前記雌ネジ部のネジ径より大径に切除された薄肉部になっており、
前記薄肉部より内方の空間では、前記薄肉部の内径より外径が小さく設定された弛み止めリングが、前記ボディの雄ネジ部に対して回転不能で直進移動可能に遊嵌されており、締付固定後は、前記竿先側部材の竿尻側内方の側面と竿尻側部材の竿先側内方の側面は前記弛み止めリングに両側から相対して圧接することを特徴とするリールシート。 - 請求項1に記載したリールシートにおいて、
弛み止めリングは半径方向外方に張り出した外方フランジ部を有しており、締付固定後は、竿先側部材と竿尻側部材は前記外方フランジ部でも両側から相対して圧接することを特徴とするリールシート。 - 請求項2に記載したリールシートにおいて、
外方フランジ部の外周面は締付固定手段の外周面より内方に後退していることを特徴とするリールシート。 - 請求項1から3のいずれかに記載したリールシートにおいて、
締付固定手段の竿先側部材と竿尻側部材のうちリールに近づく位置にある部材は締付ナットを備え、その余の部材はロックナットを備えており、
薄肉部は前記締付ナットの竿尻側の内方が切除されたものからなることを特徴とするリールシート。 - 請求項4に記載したリールシートにおいて、
締付ナットの薄肉部の内周面には係止部が設けられ、弛み止めリングの外周面には前記係止部と凹凸係合可能な係止部が設けられており、前記締付ナットの螺進移動に追従して前記弛み止めリングが直進移動することを特徴とするリールシート。 - 内周面上に雌ネジ部が形成された竿先側部材および竿尻側部材と、内周面上にキー部が形成された弛み止めリングとを有し、リールシートのボディの外周面に形成され、キー溝を有する雄ネジ部に、前記竿先側部材と竿尻側部材の雌ネジ部が螺合することで前記ボディに対して締付固定される合成樹脂製の筒状締付固定手段であって、
前記竿先側部材または竿尻側部材のいずれか一方または両方の相対側部分の内方が前記雌ネジ部のネジ径より大径に切除された薄肉部になっており、
前記弛み止めリングの外径は、前記薄肉部の内径より小さく設定されており、
前記薄肉部より内方の空間では、前記弛み止めリングが、そのキー部が前記キー溝に係合した状態で前記ボディの雄ネジ部に対して回転不能で直進移動可能に遊嵌され、締付固定後は、前記竿先側部材の竿尻側内方の側面と竿尻側部材の竿先側内方の側面が前記弛み止めリングに両側から相対して圧接することを特徴とする筒状締付固定手段。
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