JP4753815B2 - 微小移動体装置およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光の照射により生じる熱を利用して動作する微小移動体装置に関する。
熱変形素子の熱変形に伴う衝撃力を利用した微小移動装置が知られている(特許文献1)。この文献に記載される微小移動装置は、所定の摺動面に載置される移動体と、この移動体の端面に取り付けられ熱変形により伸縮する熱変形素子と、この熱変形素子の端面に取り付けられ上記の摺動面から離間した慣性体(重り)とから構成される。熱変形素子が加熱されると、熱変形素子が急激に変形し、その変形に伴う衝撃力が移動体に作用する。移動体は、摺動面に対して摺動可能であるため、衝撃力により移動することができる。ここで、熱変形素子は、たとえば、レーザ光やマイクロ波により加熱可能であり、移動体を駆動する駆動力が非接触で提供されるという利点がある。
特開平6−17747号公報
しかし、上記の微小移動装置には、以下の不都合がある。すなわち、熱変形素子の変形により生じる衝撃力を利用するため、効率良く移動体を移動させようとすると、移動体自体の形状を特殊なものとする必要がある。また、熱を加えると急激に変形する必要があるため、熱変形素子として特殊な材料を選択しなければならない。さらに、移動体と慣性体との重量バランスを最適化する必要があり、構造の小型化および単純化の点で制約を受ける。
本発明は、上記の不都合に鑑みてなされ、熱変形素子が発生する衝撃力に依らず、かつ、駆動力が非接触で提供されて変位動作することができる移動体装置を提供することを目的とする。
上記の目的を実現するため、本発明の移動体装置は、少なくとも第1の弾性層と第2の弾性層とから構成され、湾曲し、凹面側が載置面に面して載置される湾曲部材と、湾曲部材に光を照射する光源と、を備える。
湾曲部材が、湾曲部材に設けられ、第1の弾性層および第2の弾性層から構成され、先端部が載置面に接する分枝部を有すると、湾曲部材が載置面に安定して載置されるため、好ましい。
第1の弾性層がフォトレジストであり、第2の弾性層が金属であると、好適である。また、その金属がアルミニウムであるとより好ましい。さらに、そのフォトレジストが、0.02〜5GPaの硬さと、0.7〜170GPaのヤング率とを有すると、一層好ましい。
光源がレーザダイオードを含んでいると、湾曲部材にレーザ光を容易に照射することができ、好ましい。また、上記の光源が、湾曲部材に照射される光の強度を変調する変調器を更に含んでいれば、湾曲部材の振動を容易に発生させることができ、好ましい。
本発明の移動体を製造する方法は、また、基板表面にフォトレジスト層を形成し、フォトレジスト層をパターン化して、第一の層を形成し、基板および第一の層を覆う金属層を形成し、第一の層上に第二の層が形成されるように、金属層をパターン化して、第一の層と第二の層とが積層されてなる移動体を製造する方法にある。この方法によれば、上述の移動体装置の湾曲部材を確実に製造することができる。
第一の層は、加熱されると、所定の硬さおよびヤング率を有することができ、好ましい。
本発明のまた別の特徴は、0.02〜5GPaの硬さと0.7〜170GPaのヤング率とを有するフォトレジストからなる第1の弾性層、およびアルミニウムからなる第2の弾性層から構成されるカンチレバーと、カンチレバーに光を照射する光源と、を備えることにある。
以上のように、本発明によれば、熱変形素子が発生する衝撃力に依らず、かつ、駆動力が非接触で提供されて移動することができる移動体装置を提供することができる。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の一実施形態による移動体装置について説明する。添付の図面は、縮尺比に従って縮小、拡大されたものではなく、実施形態の概略を表すに過ぎない。また、添付の図面は、実施形態の特定のパラメータまたは構造上の細部を図示することを意図するものではない。これらについては、ここに示す情報を通して、当業者が任意に決定することができる。また、図面中、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1を参照すると、移動体装置1は、湾曲部材2と、この湾曲部材2に光束Lを照射する光源3とから構成される。
湾曲部材2は、図2(a)〜(c)に示す通り、弓なりに湾曲する要部2aと、要部2aの側方に設けられ要部2aと同様に湾曲する分枝部2b、2cとを有し、全体として平面視で十字形状に構成されている(図2(b))。湾曲部材2は、凹面側が基台4に面するように載置され、要部2aの両端部と、分岐部2b、2cの先端部とが基台4の上面4aに摺動可能に接している(図2(c))。
要部2aおよび分枝部2b、2cは、第1の弾性層20と第2の弾性層21とが積層されて構成され、第1の弾性層20は凸面側に位置し、第2の弾性層21は凹面側に位置している。また、これらの層20、21は、弾性材料からなり、互いに異なる熱膨張係数を有している。具体的には、第1の弾性層20は、典型的にはガラス(SiO)、プラスチック、又は樹脂などで構成され、第2の弾性層21はステンレス・スチールやアルミニウム(Al)などの金属で構成されると好ましい。本実施形態においては、第1の弾性層20をフォトレジストで作製し、微細加工が容易との理由から第2の弾性層21をAlで作製している。特に、このフォトレジスト層は、3.4GPa程度の硬さと81GPa程度のヤング率とを有している。
本実施形態における湾曲部材2の寸法を例示すると、要部2aの長手方向の長さが3〜4mm程度であり、要部2aの幅が0.8〜1.2mm程度である。また、第1の弾性層20(フォトレジスト)の厚さが0.1〜2μm程度であり、第2の弾性層21(Al)の厚さが0.1〜10μm程度である。なお、分枝部2bの先端部から分枝部2cの先端部までの長さは、要部2aの長手方向の長さとほぼ同一であり、分枝部2b、2cの幅も要部2aの幅とほぼ同一である。
基台4は、その上面4aに載置される湾曲部材2が自重により移動しない程度に保たれている。また、その上面4aは、湾曲部材2が摺動可能な程度に平坦な面とされている。具体的には、基台4として、鏡面研磨されたシリコン(Si)ウェハーが好適である。
光源3は、本実施形態においては、波長685nmのレーザ光を出射するレーザダイオードを用いた光源である。また、湾曲部材2上のレーザ光照射点の位置は、特に限定されず、要部2aおよび分枝部2b、2cでも、また、凸面側でも凹面側でも構わない。ただし、頂部よりも、湾曲部材2の端部(先端部)のいずれかに偏っている場合には、両端部(両先端部)での変形量に差が生じるため、この差によって、一定の方向へより顕著に移動することができる。
なお、光源3は、レーザダイオードへの印加電圧を所定の周波数(例えば30Hz〜140Hz)でON/OFFすることができる。これにより、湾曲部材2へ照射される光もその周波数でON/OFFする。本実施形態では、図示しないファンクション・ジェネレータを利用し、これを実現している。ただし、印加電圧をスイッチでON/OFFしても良いし、可変電圧器を利用してもよい。また、レーザ光L(光束L)の光路にチョッパーを設けるようにしても構わない。
以上の構成を有する移動体装置1の動作、および移動体装置1が奏する効果・利点について述べる。
移動体装置1では、湾曲部材2がその凹面側(Al層側)が基台4の上面4aに面するように載置され、少なくとも2つの接触部で上面4aに接している。ここで、光源3からのレーザ光Lを湾曲部材2に照射すると、光の吸収により熱が発生し、第1の弾性層20と第2の弾性層21との間の熱膨張係数の差によって湾曲部材が変形する。このため、上面4aに接する2つの接触部の間隔が変化する。レーザ光Lの照射が中断され温度が低下すると、湾曲部材2は、各層20、21の弾性力によってもとの形状に再変形する。このため、その接触部の間隔ももとに戻る。したがって、レーザ光Lの照射を所定の周期でON/OFFすると、湾曲部材2は、その周期で接触部の間隔が広狭するように振動する。ここで、湾曲部材2は、基台4に単に置かれているため、この振動により基台4上を移動することができる。故に、湾曲部材2は、熱変形部材の熱変形に伴う衝撃力を利用することなく、非接触で駆動力の提供を受けて移動する移動体として機能することができる。
また、第1の弾性層20がフォトレジスト層で、第2の弾性層21がAlで作製されているため、両者間の熱膨張係数の差が大きく、したがって、レーザ光Lの照射により生じる変形の度合を大きくすることができる。このため、湾曲部材2の移動量および移動速度を上昇させることができる。特に、フォトレジスト層が3.4GPa程度の硬さと81GPa程度のヤング率とを有しており、湾曲部材2の第1の弾性層20として好適である。
さらに、このような材料を用いると、第1の弾性層20と第2の弾性層21との内部の残留応力の差により、湾曲部材2を容易かつ確実に弓なりに湾曲することができる。
またさらに、要部2aの両端部だけでなく、分枝部2b、2cの先端部も上面4aに接しているため、湾曲部材2は安定して基台4上に載置される。
次いで、図3(a)〜(d)および図4(a)〜(c)を参照しながら、湾曲部材の作製方法について説明する。
(1)フォトレジスト層の形成工程
まず、シリコン(Si)基板31を用意し、その表面に湾曲部材の第1の弾性層20となるフォトレジスト層32を形成する(図3(a))。Si基板31としては、鏡面研磨された市販のウェハーでよく、作製する湾曲部材2よりも大きければ、そのサイズ・形状は問わない。
使用するフォトレジストとしては、ポジフォトレジスト、ネガフォトレジストのいずれでもよく、具体的には、東京応化工業社製のTSMR−8900などを使用することができる。特に、後述するリフトオフ工程における作業性の点から、有機溶剤で容易に剥離できるフォトレジストを使用すると好ましい。また、フォトレジスト層32の厚さは、0.01〜3μm程度であると好適である。
次に、作製する湾曲部材2の形状に対応したパターン(十字形状)を有するフォトマスクを用いてフォトレジスト層32を露光、現像し、パターン化されたフォトレジスト層32aを形成する。
(2)Al膜の形成工程
次に、フォトレジスト層32が除去されて露出したSi基板31の表面と、フォトレジスト層32aとの上に、湾曲部材の第2の弾性層21となるAl膜33を成膜する(図3(c))。この成膜には、種々の物理的又は化学的蒸着法を採用することができる。ただし、膜厚の制御に優れていること、および、後述するようにフォトレジスト層32を変質するという効果をもたらすことができることから、スパッタ法、特にマグネトロン・スパッタ法が好ましい。具体的な成膜条件を例示すると、スパッタガスがアルゴン(Ar)であり、スパッタ電力が500Wであり、ガス圧が3.0Paである。また、スパッタ時間は7〜10時間であり、この間に成膜されるAl膜の膜厚は2〜3μm程度である。
(3)パターン化工程
Al膜33上にフォトレジスト膜34を塗布し、ベーキングし、上述のフォトマスクを用いて露光、現像し、マスク層34aを形成する(図3(d)、図4(a))。その後、このマスク層34aを用いて、Al膜33のマスク層34aに覆われていない部分をエッチングして除去する。これにより、Al層33aが形成される(図4(b))。
(4)リフトオフ工程
最後に、有機溶剤(アセトン)を用い、マスク層34aを除去するとともに、フォトレジスト層32aをSi基板31からリフトオフする。このとき、Al層33a上に、フォトレジスト層が残存する。これは、フォトレジスト層が、Al膜のスパッタ成膜中に生成されるプラズマの影響により変質したためである。
スパッタ成膜中と同じ条件でフォトレジスト層を加熱し、ナノインデンテーション試験を行った結果、フォトレジスト層の硬さは、熱処理前の1.0GPaから3.4GPaまで変化し、フォトレジスト層のヤング率は、熱処理前の33GPaから81GPaへと変化することが明らかとなっている。よって、フォトレジスト層が変質することにより、湾曲部材2に好適な第1の弾性層20を実現することができる。
以上の工程により、第1の弾性層20と第2の弾性層21とが積層された湾曲部材2が形成される。湾曲部材2は、ヤング率が異なる2つの膜の残留応力の相違により、湾曲している。本実施形態における湾曲部材2は、レーザ光照射のON/OFFにより湾曲の度合が変化することを利用して移動するため、湾曲している必要があるが、この湾曲形状を実現するため、第1の弾性層20と第2の弾性層21との2層構造が利用されている。換言すると、上記の方法は、2層を積層することにより特別な工程を経ずに湾曲形状を得ることができるという利点を有している。
次に、上述の移動体装置1の効果を確認するために本発明の発明者等が行った実験の結果について説明する。この実験は、湾曲の度合がどの程度であるかを調べるために行ったものである。この目的のため、測定の簡便さを考慮し、湾曲部材2に代わってAl層とフォトレジスト層との2層からなるマイクロ・カンチレバーを作製し、その変位量について評価した。このマイクロ・カンチレバーにおけるフォトレジスト層は、上記の湾曲部材2と同様、3.4GPa程度の硬さと、81GPa程度のヤング率とを有していた。
さらに、比較のため、Al単層から構成されるマイクロ・カンチレバーと、ステンレス・スチール(SUS)単層から構成されるマイクロ・カンチレバーとを作製し、その変位量を調べた。なお、これらのマイクロ・カンチレバーは、上述の湾曲部材の製造方法を適宜変更して作製した。また、上記3種類のマイクロ・カンチレバーのサイズは以下の通りであった。
・2層カンチレバー:長さ3.06mm × 幅700μm × 厚さ1.9μm、
・Al単層カンチレバー:長さ5.22mm × 幅700μm × 厚さ2.7μm、
・SUS単層カンチレバー:長さ4.86mm × 幅700μm × 厚さ10μm。
図5(a)(b)〜図7(a)(b)に、上述のマイクロ・カンチレバー形状が、レーザ光を連続照射した前後でどのように変化するかを示す。各図の(a)は、レーザ光を連続照射する前の形状を示し、各図の(b)は、レーザ光を連続照射した後の形状を示している。
なお、この観察には、図8に示す測定装置を使用した。具体的には、実体顕微鏡10の対物レンズの下にマイクロ・カンチレバーMCを置き、このマイクロ・カンチレバーMCに対して、ファンクション・ジェネレータ11を介して駆動されるレーザダイオード12からレーザ光Lを照射する。なお、レーザ光Lは、マイクロ・カンチレバーMCの裏面から照射している。そして、実体顕微鏡10に設置されたCCDカメラ13によりマイクロ・カンチレバーMCの画像を撮像し、この画像を構成する電子データをパーソナルコンピュータ14に入力する。その画像は、ディスプレイ15に表示され、また、所定のプリンタ(図示せず)により印刷される。
図5(a)(b)から分かるように、ステンレス・スチール単層からなるカンチレバーは、レーザ光の照射により上向きの反りが低減するように変形するが、先端部の変位量はわずか13μmに過ぎなかった。
また、図6(a)(b)に示す通り、Al単層のカンチレバーでは、レーザ光の照射前後での先端部の変位量は約33μmとなり、ステンレス・スチール単層のカンチレバーに比べると、大きく増加することが分かった。
一方、Al層とフォトレジスト層とから構成されるマイクロ・カンチレバーでは、図7(a)(b)に示すように、先端部の変位量は、約640μmにも及んでいることが明らかとなった。これは、Al層とフォトレジスト層とが積層されている効果であり、特に、フォトレジスト層が加熱されて変質し、上述の硬さおよびヤング率を有しているためと本発明者等は考えている。
次いで、Al層とフォトレジスト層とから構成されるマイクロ・カンチレバーにおけるレーザ光強度と変位量との関係について説明する。図9を参照すると、レーザ光の出力の約1.5mWから約13mWまでの範囲において、先端部の変位量はレーザ光出力にほぼ比例していることが分かる。この結果から、移動体装置1の湾曲部材2においても、照射するレーザ光の強度によりその変形量を、さらには移動速度を制御できることが示唆される。
続けて、Al層とフォトレジスト層とから構成されるマイクロ・カンチレバーにおけるレーザ光の照射周波数と変位量との関係について説明する。図10を参照すると、このカンチレバーの先端部の変位量(振幅)は、レーザ光の照射周波数(照射周期)によっても制御できることが分かる。特に、周波数100Hz付近に変位量のピークが認められるが、これは、このカンチレバーの固有振動数が約100Hzであり、レーザ光照射周波数と一致したために生じる共振現象に起因すると考えられる。
なお、照射周波数が約120Hzを超えると変位量が減少するのは、非照射時間が短くなるのに伴って熱の放射が十分に行われなくなり、もとの形状にまで戻りきれなくなるためと推測される。
以上の実験結果を踏まえて、本実施形態による移動体装置1の動作の具体例を説明する。
図11(a)〜(e)は、波長685nmのレーザ光(出力6.7mW)を照射周波数25Hzで湾曲部材2に照射したときの湾曲部材2の位置を示す図である。 図中、白い楕円は、レーザ光照射点を表わしている。
図11(a)は、レーザ光の照射開始直後、図11(b)は、照射開始10秒後、図11(c)は、照射開始20秒後の湾曲部材2の位置を示している。これらの図を参照すると、レーザ光の照射により湾曲部材2が下向きに移動していることが分かる。図11(a)と図11(c)とを比較すると、レーザ光の照射開始から約20秒の間に、湾曲部材2は、約0.5mm移動していることが分かる。このような肉眼でも認識できる程度の移動量および移動速度は、従来実現されておらず、このことから、本発明が奏する効果が理解される。しかも、波長685nmの可視光レーザ光で6.7mW程度の出力であるにも関らず、このような移動量および移動速度が得られることから、その効果が顕著であるということができる。さらに、湾曲部材2が有する固有振動数と、照射するレーザ光の照射周波数とを一致させれば、湾曲部材2の変形量をより大きくすることができ、具体的には、約20秒間で約1mmといった更に高い移動速度を実現できることを確認している。
なお、湾曲部材2は、上述のように平行に移動するだけでなく、回転することも可能である。図11(d)は、図11(c)と同様にレーザ光照射20秒後の湾曲部材2の位置を示している。ここで、図中の目安線としての破線を参照しながら、図11(a)、図11(c)および図11(d)を比較すると、湾曲部材2が反時計回りに回転していることが分かる。この結果は、本発明にかかる移動体装置において、レーザ光の照射点を調整すれば、非接触で、湾曲部材2の移動方向をも制御できることを示している。これも本発明が奏する大きな効果である。
以上、実施形態を参照しながら本発明にかかる移動体装置について説明したが、本発明は上記の形態に限らず、種々の変形が可能である。
たとえば、2つの分枝部2b、2cを有し全体として十字形状の湾曲部材2を例示したが、図12(a)〜(c)に示すように、湾曲部材が上記の湾曲部材2の要部2aに該当する部分のみから構成され、平面視で方形(図12(b))であってもよい。さらに、湾曲部材2は、図13(a)〜(c)に示すように平面視で矢尻形状であってよく、また、Y字形状や星型形状に形成されても構わない。
また、一部のみが湾曲しており、その部分の凹面側が載置面に面するように載置されれば、たとえば、図14(a)〜(c)に示す通り、側方から見た場合にS字形状であっても良い。また、W字形状であっても、凹面状の部分が下向きに載置されていれば良い。さらに、光の照射を阻害せず、湾曲形状を損なわない限りにおいて、凸面側に突起部を設けても構わないことは言うまでもない。そのような突起部は、移動体としての湾曲部材が他の部材に作用を及ぼすよう利用される場合において、他の部材に対する作用点又は動作点として機能することができる。
なお、湾曲形状としては、載置面と接する少なくとも2つの部分を除いた部位が載置面から離隔していれば、特に限定されるものではなく、湾曲部材が載置される場所に応じて種々の湾曲状態とすることができる。
さらに、第1の弾性層と第2の弾性層とが積層された構成に限らず、一又は複数の層を更に積層しても構わない。具体的には、Al層、フォトレジスト層、および炭素層の3層から構成すると好適である。また、第1の弾性層と第2の弾性層とは、同一の形状を有している必要はない。たとえば、第1の弾性層は、第2の弾性層の一の面の一部を覆えばよく、また、第2の弾性層の一の面に点在していてもよい。
光源3として、波長685nmのレーザ光を発するレーザダイオードを利用したものを例示したが、湾曲部材2に対して光を照射できれば、特に形式が限定されるものではない。さらに、照射光の波長は、685nmに限定されず、可視域(約400nmから約700nm)内のいずれの波長であってよく、また、赤外域内の波長であってもよい。
また、光源3は、赤色光発光ダイオードと、このダイオードからの光を集光して湾曲部材2に照射する集光用レンズとから構成されるものであっても構わない。このとき、湾曲部材2に照射される光束の強度を所定の周波数で変調するため、このレンズと湾曲部材2との間にチョッパーを設けると好ましい。
また、上述の湾曲部材の作製方法は、スパッタリングやフォトリソグラフィなどの半導体製造プロセスを応用したもので、あくまでも一例であって、種々の変更が可能である。
たとえば、第1の弾性層20となるフォトレジスト層を意図的に加熱して変質させる加熱工程を設けても良い。これは、Al膜のスパッタリングに代えて真空蒸着を採用した場合などに好適である。
また、Si基板31上にフォトレジスト層32を形成する前に、この基板31上にSiO層を形成し、この上にフォトレジスト層32を形成するようにしてもよい。そして、Al膜をエッチングしてパターン化した後、マスク層34a(フォトレジスト)をアッシングにより除去し、バッファード・フッ酸を用いて当該SiO層を除去すれば、第1の弾性層20としてのフォトレジスト層32aの厚さを確実かつ容易に制御することが可能となる。
本発明は、いわゆる光熱駆動型の自走式マイクロマシンのコア技術として種々の分野での利用が可能である。具体的には、計測器機、医療機器、工作機器への応用が可能であり、特に計測器機分野への利用が見込まれる。
本発明にかかる移動体装置の概略図である。 図1の移動体装置の湾曲部材を示す(a)斜視図、(b)上面図、(c)側面図である。 図2の湾曲部材の製造方法を示す図である。 図2の湾曲部材の製造方法を示す図である。 本発明にかかる移動体装置の効果を確認するために作製したカンチレバーとの比較の目的で作製したステンレス・スチール単層のカンチレバーを示す図であり、(a)は光照射前、(b)は光照射後の当該カンチレバーを示す。 本発明にかかる移動体装置の効果を確認するために作製したカンチレバーとの比較の目的で作製したアルミニウム単層のカンチレバーを示す図であり、(a)は光照射前、(b)は光照射後の当該カンチレバーを示す。 本発明にかかる移動体装置の効果を確認するために作製したカンチレバーを示す図であり、(a)は光照射前、(b)は光照射後の当該カンチレバーを示す。 図5から図7に示す実験に用いた測定装置の概略図である。 図7に示すカンチレバーの先端部の変位量のレーザ光強度依存性を示す図である。 図7に示すカンチレバーの先端部の変位量のレーザ光照射周波数依存性を示す図である。 本発明にかかる移動体装置の湾曲部材が移動する様子を示す図である。 図1の移動体装置の湾曲部材の変形例を示す(a)斜視図、(b)上面図、(c)側面図である。 図1の移動体装置の湾曲部材の別の変形例を示す(a)斜視図、(b)上面図、(c)側面図である。 図1の移動体装置の湾曲部材の更に別の変形例を示す(a)斜視図、(b)上面図、(c)側面図である。
符号の説明
1…移動体装置、2…湾曲部材、2a…要部、2b、2c…分枝部、20…第1の弾性層、21…第2の弾性層、3…光源、4…基台。

Claims (10)

  1. 少なくとも第1の弾性層と第2の弾性層とから構成され、湾曲し、凹面側が載置面に面して載置される湾曲部材と、
    前記湾曲部材に光を照射する光源と、
    を備える微小移動体装置。
  2. 前記湾曲部材が、前記湾曲部材に設けられ、前記第1の弾性層および前記第2の弾性層から構成され、先端部が前記載置面に接する分枝部を有する、請求項1に記載の微小移動体装置。
  3. 前記第1の弾性層がフォトレジストであり、前記第2の弾性層が金属である、請求項1又は2に記載の微小移動体装置。
  4. 前記金属がアルミニウムである、請求項3に記載の微小移動体装置。
  5. 前記フォトレジストが、0.02〜5GPaの硬さと、0.7〜170GPaのヤング率とを有する、請求項4に記載の微小移動体装置。
  6. 前記光源がレーザダイオードを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の微小移動体装置。
  7. 前記光源が、前記湾曲部材に照射される光の強度を変調する変調器を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の微小移動体装置。
  8. 基板表面にフォトレジスト層を形成し、
    前記フォトレジスト層をパターン化して、第一の層を形成し、
    前記基板表面および前記第一の層を覆う金属層を形成し、
    前記第一の層上に第二の層が形成されるように、前記金属層をパターン化して、前記第一の層と前記第二の層とが積層されてなる微小移動体を製造する方法。
  9. 前記第一の層が加熱される、請求項8に記載の方法。
  10. 0.02〜5GPaの硬さと0.7〜170GPaのヤング率とを有するフォトレジストからなる第1の弾性層、およびアルミニウムからなる第2の弾性層、から構成されるカンチレバーと、
    前記カンチレバーに光を照射する光源と、
    を備える微小移動体装置。
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