JP4752116B2 - 台所用液体洗浄剤組成物 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、台所用液体洗浄剤に関し、さらに詳しくは油脂汚れに対する洗浄力、起泡力、泡切れ性に優れ、皮膚刺激性が弱く、高濃度化しても適切な流動性を有し、かつ低温での安定性に優れた台所用液体洗浄剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、台所用液体洗浄剤には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩などの陰イオン性界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、アミドプロピルベタインなどの両性界面活性剤が洗浄基剤として組み合せて用いられている。
台所用液体洗浄剤は、使用時に皮膚に触れることが多く、そのためマイルドで皮膚刺激性が低い組成物が望まれている。
この解決手段として第３アミンオキシドを併用することが知られているが（洗剤・洗浄の事典、朝倉書店、１９９０年発行、１１６〜１１８ページ）、充分な効果を求めるためには洗浄剤組成物のｐＨを酸性領域に調整する必要がある。しかし酸性領域においては、著しい増粘がみられたり、低温安定性が悪化する。また、特開平３−１８８１９５号公報には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アミンオキシドおよび糖エステル系界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物が、特開平８−１６５５００号公報には、高級アルコールにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをランダム状に付加させた非イオン性界面活性剤、アルキルジエタノールアミド、アミンオキシドを含む液体洗浄剤組成物が開示されている。しかし、これら組成物は、皮膚に対してはマイルドであるが、満足のいく洗浄力が得られていない。
【０００３】
さらに近年、消費者の環境に対する意識が高まっており廃棄物の低減、保管時の省スペース化、運搬時の省エネルギー化を目的として洗浄剤の高濃度化が図られている。
一般に、液体洗浄剤を高濃度化するに際しての課題としては、容器からの出し易さを考慮して適切な流動性（粘度：１００〜５００ｍＰａ・ｓ）、低温安定性が良好なことが要求される。
そこでこれら問題を解決すべく、特開平７−１１８６９５号公報には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸エタノールアミン塩、脂肪酸アルカノールアミド、エタノール、ベタイン型両性界面活性剤を含む高濃度中性液体洗浄剤組成物が、特開平１０−２０４４８４号公報には硫酸系アニオン界面活性剤、高級アルコールにエチレンオキシドとプロピレンオキシドをランダム付加させたエーテル型の界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物が、特開平１１−５００９０号公報には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級脂肪酸ジエタノールアミド、炭素数７〜１２のアリールカルボン酸またはその塩を含む台所用濃縮液体洗剤組成物が開示されている。
しかし、これら組成物は濃縮化時の適切な流動性および低温安定性については、改良が認められるものの、皮膚に対するマイルド性は満足のいくものではない。
【０００４】
また、特開平３−１２２１９７号公報には非イオン性界面活性剤、炭素数８〜２２の脂肪酸塩、スルホコハク酸アミドを配合した洗浄剤組成物が、特開平１０−２４５５８８号公報にはスルホコハク酸アミド、および、エーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤、アシルアルキルタウレート型陰イオン性界面活性剤、アシルイセチオネート型陰イオン性界面活性剤またはアミドエーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤を配合した洗浄剤組成物が、特開平１０−２４５５９１号公報にはスルホコハク酸アミド、および、両性界面活性剤を配合した洗浄剤組成物が、特開平１１−２９７８８号公報にはスルホコハク酸アミド、炭素数１０〜２２の脂肪酸塩、エーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤、アシルアルキルタウレート型陰イオン性界面活性剤またはアミドエーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤を配合した洗浄剤組成物が開示されている。しかし、これら組成物は油脂汚れに対する洗浄力が充分でない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、油脂汚れに対する洗浄力、起泡力、泡切れ性に優れ、皮膚刺激性が弱く、高濃度化しても適切な流動性を有し、かつ低温での安定性に優れた台所用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤とポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルキル硫酸エステル塩と式（II）で示される非イオン性界面活性剤と第３アミンオキシドを特定量配合することにより、前記課題を解決し得る台所用液体洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００７】
すなわち、本発明は、
（１）（ａ）式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤１〜３５重量％、
【０００８】
【化４】
【０００９】
（式中Ｒ1は炭素数１０〜２２のアルキル基またはアルケニル基であり、Ｒ2は水素原子、炭素数１〜３のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、Ｍ1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムであり、ＸとＹはいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｍ2であり、Ｍ2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムである。）
（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルキル硫酸エステル塩５〜４０重量％、
（ｃ）式（II）で示される非イオン性界面活性剤５〜４０重量％、および
Ｒ3Ｏ（ＡＯ）x（ＢＯ）y（ＡＯ）zＨ （II）
（式中Ｒ3は炭素数８〜２４のアルキル基、アルケニル基またはアシル基であり、ＡＯはオキシエチレン基、ＢＯはオキシブチレン基を表す。ｘ、ｙおよびｚはそれぞれの平均付加モル数を示し、０≦ｘ≦１０、１≦ｙ≦５、５≦ｚ≦２０、６≦ｘ＋ｚ≦２０である。）
（ｄ）式（III）で示される第３アミンオキシド０．１〜１０重量％を含有し、
【００１０】
【化５】
【００１１】
（式中Ｒ4は炭素数１０〜１８である直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基、Ｒ5およびＲ6は炭素数１〜２のアルキル基である。）
（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分および（ｄ）成分の合計量が３０〜７０重量％であり、（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）]／（ｃ）が１／２〜１０／１であり、（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）＋（ｃ）]／（ｄ）が３／１〜５０／１であることを特徴とする台所用液体洗浄剤組成物、および
（２）さらに（ｅ）式（IV）で示される化合物と（メタ）アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を重量比で１００／０〜１０／９０として６０〜１００重量％含有する重合体または共重合体であるポリマーを０．００１〜５重量％含有する（１）記載の台所用液体洗浄剤組成物である。
【００１２】
【化６】
【００１３】
（Ｒ7は水素原子またはメチル基、Ｒ8、Ｒ9およびＲ10は炭素数１〜８のアルキル基、ｎは２〜４の整数である。）
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物の（ａ）成分である式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤において、Ｒ1は炭素数１０〜２２のアルキル基またはアルケニル基であり、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ペプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基などのほか、混合物であるヤシ油アルキル基、牛脂アルキル基等を挙げることができる。Ｒ1で示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が９以下であると、皮膚への刺激が強くなりすぎるおそれがある。Ｒ1で示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が２３以上であると、起泡性と経時安定性が低下するおそれがある。好ましくは、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基およびヤシ油アルキル基である。
【００１５】
式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤において、Ｒ2は水素原子、炭素数１〜３のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、例えば炭素数１〜３のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を挙げることができる。炭素数１〜３のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基を挙げることができる。Ｒ2として好ましくは、水素原子、ヒドロキシエチル基である。
式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤において、Ｒ1で示される炭素数１０〜２２のアルキル基またはアルケニル基以外に、Ｒ2で示される置換基の炭素数が４以上であると、洗浄剤組成物の起泡性と経時安定性が低下するおそれがある。
【００１６】
式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤においてＭ1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムである。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができ、アルカリ土類金属としては、例えば、１／２カルシウム、１／２マグネシウムなどを挙げることができる。式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤においてＭ1で示されるアンモニウムまたは有機アンモニウムとしては、ＮＨ4基、有機基が１個置換したアンモニウム、有機基が２個置換したアンモニウム、有機基が３個置換したアンモニウムを挙げることができる。このような有機アンモニウムを形成する有機アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミンなどの脂肪酸アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、アニリンなどの芳香族アミン、モルホリン、ピリジン、ピロリジン、ペピリジンなどの複素環式アミンなどをあげることができる。
Ｍ1として好ましくは、水素原子、アルカリ金属である。
【００１７】
式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤において、ＸおよびＹは、いずれか一方が水素原子であり、他方がＳＯ3Ｍ2である。Ｍ2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムである。
Ｍ2で示されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができ、アルカリ土類金属としては、例えば、１／２カルシウム、１／２マグネシウムなどを挙げることができる。式（Ｉ）においてＭ2で示されるアンモニウムまたは有機アンモニウムとしては、ＮＨ4基、有機基が１個置換したアンモニウム、有機基が２個置換したアンモニウム、有機基が３個置換したアンモニウムを挙げることができる。このような有機アンモニウムを形成する有機アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミンなどの脂肪酸アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、アニリンなどの芳香族アミン、モルホリン、ピリジン、ピロリジン、ペピリジンなどの複素環式アミンなどをあげることができる。Ｍ2として好ましくは、水素原子、アルカリ金属である。
【００１８】
本発明組成物において（ａ）成分のスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤の配合量は、１〜３５重量％、好ましくは５〜３０重量％である。（ａ）成分の含有量が１重量％未満であると起泡力が劣るおそれがある。（ａ）成分の含有量が３５重量％を越えると低温安定性が低下するおそれがある。また、すすぎ性が劣るおそれがある。
【００１９】
本発明の（ｂ）成分であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、アルコールにエチレンオキサイドを付加させた後、濃硫酸、発煙硫酸またはクロロスルホン酸などの硫酸化剤を用いて硫酸化し、次いで塩基性化合物で中和することにより得ることが出来る。アルキル基は炭素数１０〜２０、エチレンオキシドの平均付加モル数は、１分子に０．５〜８モルである。アルキル基は、飽和または不飽和のいずれともすることができ、さらに直鎖状または分岐状のいずれともすることができる。
アルキル硫酸エステル塩は、アルコールを濃硫酸、発煙硫酸またはクロロスルホン酸などの硫酸化剤を用いて硫酸化し、次いで塩基性化合物で中和することにより得ることができる。アルキル基は、炭素数１０〜２０、飽和または不飽和のいずれともすることができ、さらに直鎖状または分岐状のいずれともすることができる。
ここで上記陰イオン性界面活性剤の対イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、アンモニウム、炭素数２または３のアルカノール基を１〜３個有するアルカノールアミンなどを挙げることができ、好ましくは洗浄力においてナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンである。
【００２０】
本発明組成物において（ｂ）成分の配合量は、５〜４０重量％、好ましくは１０〜３０重量％である。（ｂ）成分の含有量が５重量％未満であると洗浄力が低下するおそれがある。（ｂ）成分の含有量が４０重量％を越えると低温安定性が低下するおそれがある。
【００２１】
本発明組成物の（ｃ）成分である式（II）で表される非イオン性界面活性剤において、Ｒ3は炭素数８〜２４のアルキル基、アルケニル基またはアシル基である。例えば、アルキル基としてはオクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ペンタデシル基、イソペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、イソノナデシル基、エイコシル基、イソエイコシル基、ヘネイコシル基、イソヘネイコシル基、ドコシル基、イソドコシル基、トリコシル基、イソトリコシル基、テトラコシル基、イソテトラコシル基などが挙げられる。また、アシル基としてはオクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基、テトラコサノイル基、２−エチルヘキサノイル基、オクタデセノイル基、ヘキサデセノイル基などが挙げられる。また、アルケニル基としてはテトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基などが挙げられる。
好ましくは、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基、２−エチルヘキサノイル基、ヘキサデセノイル基およびオクタデセノイル基である。
【００２２】
式（II）で表される界面活性剤はアルカリ触媒下、アルコールあるいは脂肪酸にブチレンオキシドをまず付加反応し、さらにエチレンオキシドを付加させるか、またはエチレンオキシド付加反応後、ブチレンオキシドを付加し、さらにエチレンオキシドを付加させることにより得られる。平均付加モル数であるｙは１〜５あり、１〜３が好ましい。ｙが５を超えると良好な洗浄力が得られない。ｙが１より小さいと高濃度化した組成物の粘度が高く、流動性が悪くなる。平均付加モル数であるｘは０〜１０であり、好ましくは０〜８である。ｘが１０を超えると良好な洗浄力が得られない。平均付加モル数であるｚは５〜２０であり、好ましくは８〜１８である。ｚが５未満または２０を超えると良好な洗浄力が得られない。また、ｘ＋ｚは６〜２０であり、８〜１８が好ましい。ｘ＋ｚが６未満または２０を超えると良好な洗浄力が得られない。
【００２３】
本発明組成物において（ｃ）成分の非イオン性界面活性剤の配合量は、５〜４０重量％、好ましくは１０〜３０重量％である。（ｃ）成分の含有量が５重量％未満であると粘度が低くなるおそれがある。また、低温安定性が低下するおそれがある。（ｃ）成分の含有量が４０重量％を越えると低温安定性が低下するおそれがある。
【００２４】
本発明組成物の（ｄ）成分である第３アミンオキシドにおいて、Ｒ4は炭素数１０〜１８である直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基である。例えばアルキル基としてはデシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ペンタデシル基、イソペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基などが挙げられる。また、アルケニル基としては、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基などが挙げられる。Ｒ4で示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が１０未満であると、組成物の洗浄力が低下するおそれがある。Ｒ4で示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が１８を超えると、低温安定性が悪化するおそれがある。
Ｒ5およびＲ6は炭素数１または２のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基であり、好ましくはメチル基である。
【００２５】
本発明組成物において（ｄ）成分の第３アミンオキシドの配合量は、０．１〜１０重量％、好ましくは２〜５重量％である。（ｄ）成分の含有量が０．１重量％未満であると皮膚に対する刺激性が強くなるおそれがある。（ｄ）成分の含有量が１０重量％を越えると粘度が高くなり、使用し難いおそれがある。
【００２６】
本発明組成物において（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分および（ｄ）成分の合計量は３０〜７０重量％であり、好ましくは３５〜５５重量％である。３０重量％未満であると目的とする省資源、省エネルギーおよび省スペースが達成されず、７０重量％を超えると洗浄剤組成物の粘度が高くなり、使用し難いおそれがある。
【００２７】
本発明組成物において（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）]／（ｃ）は、１／２〜１０／１であり、好ましくは１／１〜５／１である。（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量が少なく、（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比が１／２未満であると低温安定性が低下するおそれがある。（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量が多く、（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比が１０／１を超えると低温安定性が低下するおそれがある。
【００２８】
本発明組成物において（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）＋（ｃ）]／（ｄ）は、３／１〜５０／１であり、好ましくは５／１〜３０／１である。（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量が少なく、（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比が３／１未満であると洗浄剤組成物の粘度が高くなり、使用し難いおそれがある。（ａ）成分と（ｂ）成分と（ｃ）成分との合計量が多く、（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比が５０／１を超えると刺激性が強くなるおそれがある。
【００２９】
さらに、本発明の台所用液体洗浄剤組成物は、より皮膚への刺激性がマイルドな組成物を得る目的で（ｅ）成分を０．００１〜５重量％添加することにより、さらに皮膚刺激性が低下する。
式（IV）で示される化合物において、Ｒ7は水素原子またはメチル基であり、Ｒ8、Ｒ9およびＲ10は炭素数１〜８のアルキル基であり、ｎは２〜４の整数である。炭素数１〜８のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
式（IV）で示される化合物の中でも、好ましくは式（Ｖ）で示される２−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン（以下ＭＰＣと称する）である。
【００３０】
【化７】
【００３１】
本発明に用いられる（ｅ）成分であるポリマーは、式（IV）で示される化合物と（メタ）アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を重量比で１００／０〜１０／９０含有し、好ましくは１００／０〜３０／７０、更に好ましくは９５／５〜５０／５０含有する重合体または共重合体であるポリマー（以下ＰＣポリマーと称する）である。そして、ＰＣポリマー中の式（IV）で示される化合物と（メタ）アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位の量は合せて６０〜１００重量％であり、好ましくは７０〜１００重量％、更に好ましくは８０〜１００重量％である。上記の範囲をはずれると、皮膚へのマイルド性の向上が少ないおそれがある。
ＰＣポリマーの重量平均分子量は１０，０００〜２，０００，０００が好ましく、更に好ましくは５０，０００〜１，５００，０００である。
【００３２】
式（IV）で示される化合物および（メタ）アクリル酸アルキルエステルが１００重量％とならない場合は、式（IV）で示される化合物および（メタ）アクリル酸アルキルエステルと他の単量体を共重合することができる。式（IV）で示される化合物および（メタ）アクリル酸アルキルエステルと共重合性を有する他の単量体は、付加重合可能な二重結合を有する化合物であり、本発明の効果を損なわないものであればよく、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等のオレフィン炭化水素；アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸およびそれらの無水物；ビニルアルコールおよびこれと各種カルボン酸とのエステル、各種アルコールとのエーテルなどが挙げられる。
（メタ）アクリル酸アルキルエステルを構成するアルコールは、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ｔｅｒｔ−ブチルアルコールなどの炭素数１〜１２のアルコール、好ましくは炭素数３〜４のアルコールである。
【００３３】
（ｅ）成分であるＰＣポリマーは、組成物全量中に０．００１〜５重量％であり、好ましくは０．００５〜３重量％である。０．００１重量％未満では、皮膚へのマイルド性の向上が少ないおそれがあり、５重量％を超えると配合が困難になるおそれがあり、さらにコスト的に不利である。
【００３４】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般に洗浄剤に配合される成分、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン等の両性界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールとのエステル、脂肪酸ソルビタンエステル等の非イオン性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、ポリエチレングリコール、低級アリールスルホン酸等のハイドロトロープ剤、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸誘導体、ニトリロトリ酢酸三ナトリウム等のキレート剤、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル等の防腐剤、色素、香料などが挙げられる。
【００３５】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例１〜１３
表２に示す成分および配合量で１３種類の台所用液体洗浄剤組成物を次のように調製し、その特性を評価した。
水を６０〜７０℃程度まで加熱する。この温水に（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分、（ｄ）成分およびクエン酸を配合する。その後、冷却を行い４０〜５０℃にてエタノール、防腐剤を配合して台所用液体洗浄剤組成物を得た。
評価結果も合せて示す。
【００３６】
〈ａ成分〉
以下に示す４種類のスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤を用いた。
〈ａ−１成分〉
式（Ｉ）においてＲ1がドデシル基、Ｒ2が水素原子、Ｍ1が水素原子、ＸとＹのいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｎａである化合物
〈ａ−２成分〉
式（Ｉ）においてＲ1がヤシ油アルキル基、Ｒ2がヒドロキシエチル基、Ｍ1がカリウム、ＸおよびＹのいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｋである化合物アルキル組成；Ｃ８：６重量％、Ｃ１０：７重量％、Ｃ１２：５０重量％、Ｃ１４：１８重量％、Ｃ１６：９重量％、Ｃ１８：３重量％、Ｃ１８Ｆ１：７重量％
※Ｃ１８Ｆ１は炭素数１８で不飽和基を１つもつことを示す。
〈ａ−３成分〉
式（Ｉ）においてＲ1がヤシ油アルキル基、Ｒ2が水素原子、Ｍ1がナトリウム、ＸおよびＹのいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｎａである化合物
アルキル組成；Ｃ８：６重量％、Ｃ１０：７重量％、Ｃ１２：５０重量％、Ｃ１４：１８重量％、Ｃ１６：９重量％、Ｃ１８：３重量％、Ｃ１８Ｆ１：７重量％
〈ａ−４成分〉
式（Ｉ）においてＲ1がドデシル基、Ｒ2が水素原子、Ｍ1が水素原子、ＸおよびＹのいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｋである化合物
【００３７】
〈ｂ成分〉
以下に示す３種類の陰イオン性界面活性剤を用いた。
〈ｂ−１成分〉
ポリオキシエチレン（３モル付加物）アルキル（Ｃ１２〜１４）エーテル硫酸エステルナトリウム
アルキル組成；Ｃ１２：６５重量％、Ｃ１４：３５重量％
〈ｂ−２成分〉
ポリオキシエチレン（２モル付加物）アルキル（Ｃ１２〜１４）エーテル硫酸エステルナトリウム
アルキル組成；Ｃ１２：７５重量％、Ｃ１４：２５重量％
〈ｂ−３成分〉
アルキル（Ｃ１２〜１６）硫酸エステルナトリウム
アルキル組成；Ｃ１２：６５重量％、Ｃ１４：３４重量％、Ｃ１６：１重量％
【００３８】
〈ｃ成分〉
表１に示す６種類の非イオン性界面活性剤を用いた。
【００３９】
【表１】
【００４０】
＊：ｃ-５およびｃ−６は本発明の範囲外の非イオン性界面活性剤である。
ＥＯ：オキシエチレン基、ＢＯ：オキシブチレン基
１）ヤシ油脂肪酸４０重量％と牛脂脂肪酸６０重量％との混合脂肪酸由来のアシル基
アルキル組成；Ｃ８：２重量％、Ｃ１０：２重量％、Ｃ１２：１９重量％、Ｃ１４：１０重量％、Ｃ１６：１９重量％、Ｃ１６Ｆ１：４重量％、Ｃ１８：１１重量％、Ｃ１８Ｆ１：２９重量％、Ｃ１８Ｆ２：４重量％
【００４１】
〈ｄ成分〉
以下に示す２種類の化合物を用いた。
〈ｄ−１成分〉
式（III）においてＲ4がドデシル基、Ｒ5およびＲ6がメチル基である化合物
〈ｄ−２成分〉
式（III）においてＲ4がオクタデシル基、Ｒ5およびＲ6がメチル基である化合物
【００４２】
〈ｅ成分〉
以下に示す３種類の化合物を用いた。
〈ｅ−１成分〉
ＭＰＣ８０重量％、メタクリル酸ブチル２０重量％の構成単位で重量平均分子量約６０万の共重合体
〈ｅ−２成分〉
ＭＰＣ７０重量％、メタクリル酸ブチル２０重量％、エチレン１０重量％の構成単位で重量平均分子量約１００万の共重合体
〈ｅ−３成分〉
ＭＰＣ６０重量％、メタクリル酸プロピル３０重量％、アクリル酸１０重量％の構成単位で重量平均分子量約８０万の共重合体
【００４３】
〈その他成分〉
ポリオキシエチレン（６モル付加物）オレイン酸エステル：ノニオンＯ−６［日本油脂（株）製］
ポリオキシエチレン（９モル付加物）アルキルエーテル：ノニオンＮＣ２０９［日本油脂（株）製］
アルキル組成；Ｃ１２：７５重量％、Ｃ１４：２５重量％
ポリオキシエチレン（８．５モル付加物）ポリオキシプロピレン（２モル付加物）トリデシルエーテル：ディスパノールＴＯＣ−２Ｐ［日本油脂（株）製］
【００４４】
【表２】
【００４５】
比較例１〜１５
表３に示す配合量で、調製手順などについては実施例１〜１３と同様にして、比較例の台所用液体洗浄剤を調製し、その特性を評価した。その評価結果を合せて示す。
【００４６】
【表３】
【００４７】
表２〜表３中の洗浄力試験および評価項目は、下記の方法により行なった。
（１）洗浄力の評価
リーナッツ改良洗浄試験法(ＪＩＳ ３３７０ ４．９)に準じて行った。２５℃で３分間洗浄(２５０ｒｐｍ)後、1分間すすぎを行ない、洗浄前後の重量より洗浄率（％）を下記式により求め、洗浄力を評価した。洗浄力は各組成物の界面活性剤濃度が３００ｐｐｍとなるように水で希釈して行なった。なお、牛脂(１０ｇ)、大豆油(１０ｇ)、モノオレイン酸グリセリド(０．２５ｇ)、スダンIII(０．１ｇ)をクロロホルム６０ｍｌに溶解したものを人工汚垢として用いた。
洗浄率（％）＝[(洗浄後のスライドガラス重量)−(汚垢付着前のスライドガラス重量)]／（汚垢付着量）
洗浄力の値が、７０％以上であると充分な洗浄効果を有し、７０％未満であると洗浄効果は不充分であると評価した。
【００４８】
（２）起泡力の評価
Ｒｏｓｓ−Ｍｉｌｅｓ起泡力試験法（ＪＩＳ Ｋ３３６２ ６．５）に準じて行った。各組成物の濃度を０．０７５重量％となるように希釈した水溶液２００ｍｌを２５℃に調整し、９００ｍｍの高さから３０秒間で水面上に落下させる。この時、生じる泡の高さを測り、起泡力とした。起泡力は以下の基準に従い評価した。
〇：起泡力が良好（１３０ｍｍ以上）
×：起泡力が弱い（１３０ｍｍ未満）
【００４９】
（３）すすぎ性の評価
各組成物の濃度を０．０７５％となるように希釈した水溶液２００ｍｌを２５℃に調整し、直径６５ｍｍ×高さ１４０ｍｍのカップに入れ、ミルサー（岩谷産業（株）製 ＩＦＭ−１００）にて１分間攪拌する。次に、泡だった水溶液の水を捨て、２００ｍｌの水を入れ、よく振り、水を捨てる。この操作を泡が完全になくなるまで繰り返す。すすいだ回数を測定し、以下の基準に従い評価した。
〇：すすぎ性が良好（２回まで）
×：すすぎ性が悪い（３回以上）
【００５０】
（４）手あれ性の評価
手あれのない男女各１０名に対して、桶に各組成物の濃度が０．０７５％となるように水で希釈し、１日１５分間手首まで浸漬させた。この操作を３日間繰返し、４日目に手あれの具合を自己判断した。
全く手あれが見られない場合を２点、ややあれた場合を１点、あきらかにあれた場合を０点として、２０名の平均値を求める。この評価において平均値が１．５以上の場合は皮膚刺激性が弱いとし、平均値が１．０点以上１．５未満の場合は皮膚刺激性が中程度であるとし、平均値が１．０点未満の場合は皮膚刺激性が強いと評価した。
【００５１】
（５）流動性の評価
調製直後の台所用液体洗浄剤組成物の２５℃における粘度を、ブルックフィールド型粘度計を用い測定した。２号ローターを用い、回転数６０ｒｐｍ、測定時間１００秒の測定条件下で、１００〜５００ｍＰａ・ｓの粘度を示すものを適正な流動性を有する台所用液体洗浄剤と評価した。
【００５２】
（６）低温安定性の評価
台所用液体洗浄剤８０ｍｌを１００ｍｌのガラス製バイアルに摂取し、−５℃の恒温槽にて１週間静置した。その後、初期の状態と比較し、以下の基準で目視判定した。
〇：組成物が、均一性を保ち初期の状態と差異がない場合
×：分離、白濁および沈殿物が析出するなどの不都合が認められた場合
【００５３】
実施例１〜１３の本発明の台所用液体洗浄剤を用いた洗浄力の評価においては、洗浄力の値は７５〜８５であり、すべて充分な洗浄効果を有するとされる７０％を超えている。起泡性の評価においては、すべて起泡力が良好とされている１３０ｍｍ以上の泡立ちがあり、またすすぎ性の評価においては、すべてすすぎ性が良好とされている２回以下であった。皮膚刺激性の評価においては、平均値は１．７〜１．９であり、皮膚刺激性が弱いとされる平均値１．５を超えている。流動性の評価においては、粘度の値が１６０〜３１０であり、すべて適切な流動性を有するとされている１００〜５００ｍＰａ・ｓの範囲内である。さらに低温安定性の評価においては、すべて均一性を保ち、初期の状態と比較し、差異が認められなかった。
【００５４】
これに対し（ａ）成分の重量が少なすぎる比較例１の洗浄剤組成物は、起泡性が悪い。
（ａ）成分の重量が多すぎる比較例２の洗浄剤組成物は、すすぎ性が悪く、低温安定性が悪い。（ｂ）成分の重量が少なすぎる比較例３の洗浄剤組成物は、洗浄力が不充分である。
（ｂ）成分の重量が多すぎる比較例４の洗浄剤組成物は、低温安定性が悪い。（ｃ）成分の重量が少なすぎる比較例５の洗浄剤組成物は、粘度が低く、低温安定性が悪い。（ｃ）成分の重量が多すぎる比較例６の洗浄剤組成物は、低温安定性が悪い。（ｄ）成分の重量が少なすぎる比較例７の洗浄剤組成物は、皮膚刺激性がやや強い。（ｄ）成分の重量が多すぎる比較例８の洗浄剤組成物は、流動性が悪い。（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分および（ｄ）成分の合計量が多すぎる比較例９はゲル化する。（ｃ）成分のブチレンオキシドの付加モル数（ｙ）が５モルを超えている比較例１０の洗浄剤組成物は、洗浄力が不充分である。（ｃ）成分のエチレンオキシドの付加モル数（ｚ）および総和（ｘ＋ｚ）が２０モルを超えている比較例１１の洗浄剤組成物は、洗浄力が不充分である。（ｃ）成分の代わりにポリオキシエチレンアルキルエステルを使用している比較例１２の洗浄剤組成物は、流動性が悪く、低温安定性が悪い。（ｃ）成分の代わりにポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用している比較例１３の洗浄剤組成物は、流動性が悪く、低温安定性が悪い。（ｃ）成分の代わりにポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを使用している比較例１４の洗浄剤組成物は、流動性が悪い。（ａ）成分および（ｂ）成分の代わりにオレイン酸カリウム塩を使用している比較例１５の洗浄剤組成物は、洗浄力が不充分であり、起泡性、流動性、低温安定性が悪い。
【００５５】
【発明の効果】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物は、油脂汚れに対する洗浄力、起泡力、泡切れ性に優れ、皮膚刺激性が弱く、高濃度化しても適切な流動性を有し、かつ低温での安定性に優れている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、台所用液体洗浄剤に関し、さらに詳しくは油脂汚れに対する洗浄力、起泡力、泡切れ性に優れ、皮膚刺激性が弱く、高濃度化しても適切な流動性を有し、かつ低温での安定性に優れた台所用液体洗浄剤組成物に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、台所用液体洗浄剤には、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩などの陰イオン性界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、アミドプロピルベタインなどの両性界面活性剤が洗浄基剤として組み合せて用いられている。
台所用液体洗浄剤は、使用時に皮膚に触れることが多く、そのためマイルドで皮膚刺激性が低い組成物が望まれている。
この解決手段として第３アミンオキシドを併用することが知られているが（洗剤・洗浄の事典、朝倉書店、１９９０年発行、１１６〜１１８ページ）、充分な効果を求めるためには洗浄剤組成物のｐＨを酸性領域に調整する必要がある。しかし酸性領域においては、著しい増粘がみられたり、低温安定性が悪化する。また、特開平３−１８８１９５号公報には、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、アミンオキシドおよび糖エステル系界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物が、特開平８−１６５５００号公報には、高級アルコールにエチレンオキシドおよびプロピレンオキシドをランダム状に付加させた非イオン性界面活性剤、アルキルジエタノールアミド、アミンオキシドを含む液体洗浄剤組成物が開示されている。しかし、これら組成物は、皮膚に対してはマイルドであるが、満足のいく洗浄力が得られていない。
【０００３】
さらに近年、消費者の環境に対する意識が高まっており廃棄物の低減、保管時の省スペース化、運搬時の省エネルギー化を目的として洗浄剤の高濃度化が図られている。
一般に、液体洗浄剤を高濃度化するに際しての課題としては、容器からの出し易さを考慮して適切な流動性（粘度：１００〜５００ｍＰａ・ｓ）、低温安定性が良好なことが要求される。
そこでこれら問題を解決すべく、特開平７−１１８６９５号公報には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸エタノールアミン塩、脂肪酸アルカノールアミド、エタノール、ベタイン型両性界面活性剤を含む高濃度中性液体洗浄剤組成物が、特開平１０−２０４４８４号公報には硫酸系アニオン界面活性剤、高級アルコールにエチレンオキシドとプロピレンオキシドをランダム付加させたエーテル型の界面活性剤を含む液体洗浄剤組成物が、特開平１１−５００９０号公報には直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、高級脂肪酸ジエタノールアミド、炭素数７〜１２のアリールカルボン酸またはその塩を含む台所用濃縮液体洗剤組成物が開示されている。
しかし、これら組成物は濃縮化時の適切な流動性および低温安定性については、改良が認められるものの、皮膚に対するマイルド性は満足のいくものではない。
【０００４】
また、特開平３−１２２１９７号公報には非イオン性界面活性剤、炭素数８〜２２の脂肪酸塩、スルホコハク酸アミドを配合した洗浄剤組成物が、特開平１０−２４５５８８号公報にはスルホコハク酸アミド、および、エーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤、アシルアルキルタウレート型陰イオン性界面活性剤、アシルイセチオネート型陰イオン性界面活性剤またはアミドエーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤を配合した洗浄剤組成物が、特開平１０−２４５５９１号公報にはスルホコハク酸アミド、および、両性界面活性剤を配合した洗浄剤組成物が、特開平１１−２９７８８号公報にはスルホコハク酸アミド、炭素数１０〜２２の脂肪酸塩、エーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤、アシルアルキルタウレート型陰イオン性界面活性剤またはアミドエーテルサルフェート型陰イオン性界面活性剤を配合した洗浄剤組成物が開示されている。しかし、これら組成物は油脂汚れに対する洗浄力が充分でない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、油脂汚れに対する洗浄力、起泡力、泡切れ性に優れ、皮膚刺激性が弱く、高濃度化しても適切な流動性を有し、かつ低温での安定性に優れた台所用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤とポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルキル硫酸エステル塩と式（II）で示される非イオン性界面活性剤と第３アミンオキシドを特定量配合することにより、前記課題を解決し得る台所用液体洗浄剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【０００７】
すなわち、本発明は、
（１）（ａ）式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤１〜３５重量％、
【０００８】
【化４】
（式中Ｒ1は炭素数１０〜２２のアルキル基またはアルケニル基であり、Ｒ2は水素原子、炭素数１〜３のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、Ｍ1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムであり、ＸとＹはいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｍ2であり、Ｍ2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムである。）
（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルキル硫酸エステル塩５〜４０重量％、
（ｃ）式（II）で示される非イオン性界面活性剤５〜４０重量％、および
Ｒ3Ｏ（ＡＯ）x（ＢＯ）y（ＡＯ）zＨ （II）
（式中Ｒ3は炭素数８〜２４のアルキル基、アルケニル基またはアシル基であり、ＡＯはオキシエチレン基、ＢＯはオキシブチレン基を表す。ｘ、ｙおよびｚはそれぞれの平均付加モル数を示し、０≦ｘ≦１０、１≦ｙ≦５、５≦ｚ≦２０、６≦ｘ＋ｚ≦２０である。）
（ｄ）式（III）で示される第３アミンオキシド０．１〜１０重量％を含有し、
【００１０】
【化５】
（式中Ｒ4は炭素数１０〜１８である直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基、Ｒ5およびＲ6は炭素数１〜２のアルキル基である。）
（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分および（ｄ）成分の合計量が３０〜７０重量％であり、（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）]／（ｃ）が１／２〜１０／１であり、（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）＋（ｃ）]／（ｄ）が３／１〜５０／１であることを特徴とする台所用液体洗浄剤組成物、および
（２）さらに（ｅ）式（IV）で示される化合物と（メタ）アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を重量比で１００／０〜１０／９０として６０〜１００重量％含有する重合体または共重合体であるポリマーを０．００１〜５重量％含有する（１）記載の台所用液体洗浄剤組成物である。
【００１２】
【化６】
（Ｒ7は水素原子またはメチル基、Ｒ8、Ｒ9およびＲ10は炭素数１〜８のアルキル基、ｎは２〜４の整数である。）
【００１４】
【発明の実施の形態】
本発明の組成物の（ａ）成分である式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤において、Ｒ1は炭素数１０〜２２のアルキル基またはアルケニル基であり、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ペプタデシル基、オクタデシル基、オレイル基、ノナデシル基、エイコシル基、ドコシル基などのほか、混合物であるヤシ油アルキル基、牛脂アルキル基等を挙げることができる。Ｒ1で示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が９以下であると、皮膚への刺激が強くなりすぎるおそれがある。Ｒ1で示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が２３以上であると、起泡性と経時安定性が低下するおそれがある。好ましくは、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基およびヤシ油アルキル基である。
【００１５】
式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤において、Ｒ2は水素原子、炭素数１〜３のアルキル基またはヒドロキシアルキル基であり、例えば炭素数１〜３のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を挙げることができる。炭素数１〜３のヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシイソプロピル基を挙げることができる。Ｒ2として好ましくは、水素原子、ヒドロキシエチル基である。
式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤において、Ｒ1で示される炭素数１０〜２２のアルキル基またはアルケニル基以外に、Ｒ2で示される置換基の炭素数が４以上であると、洗浄剤組成物の起泡性と経時安定性が低下するおそれがある。
【００１６】
式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤においてＭ1は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムである。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができ、アルカリ土類金属としては、例えば、１／２カルシウム、１／２マグネシウムなどを挙げることができる。式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤においてＭ1で示されるアンモニウムまたは有機アンモニウムとしては、ＮＨ4基、有機基が１個置換したアンモニウム、有機基が２個置換したアンモニウム、有機基が３個置換したアンモニウムを挙げることができる。このような有機アンモニウムを形成する有機アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミンなどの脂肪酸アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、アニリンなどの芳香族アミン、モルホリン、ピリジン、ピロリジン、ペピリジンなどの複素環式アミンなどをあげることができる。
Ｍ1として好ましくは、水素原子、アルカリ金属である。
【００１７】
式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤において、ＸおよびＹは、いずれか一方が水素原子であり、他方がＳＯ3Ｍ2である。Ｍ2は水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムまたは有機アンモニウムである。
Ｍ2で示されるアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどを挙げることができ、アルカリ土類金属としては、例えば、１／２カルシウム、１／２マグネシウムなどを挙げることができる。式（Ｉ）においてＭ2で示されるアンモニウムまたは有機アンモニウムとしては、ＮＨ4基、有機基が１個置換したアンモニウム、有機基が２個置換したアンモニウム、有機基が３個置換したアンモニウムを挙げることができる。このような有機アンモニウムを形成する有機アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミンなどの脂肪酸アミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどのアルカノールアミン、アニリンなどの芳香族アミン、モルホリン、ピリジン、ピロリジン、ペピリジンなどの複素環式アミンなどをあげることができる。Ｍ2として好ましくは、水素原子、アルカリ金属である。
【００１８】
本発明組成物において（ａ）成分のスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤の配合量は、１〜３５重量％、好ましくは５〜３０重量％である。（ａ）成分の含有量が１重量％未満であると起泡力が劣るおそれがある。（ａ）成分の含有量が３５重量％を越えると低温安定性が低下するおそれがある。また、すすぎ性が劣るおそれがある。
【００１９】
本発明の（ｂ）成分であるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、アルコールにエチレンオキサイドを付加させた後、濃硫酸、発煙硫酸またはクロロスルホン酸などの硫酸化剤を用いて硫酸化し、次いで塩基性化合物で中和することにより得ることが出来る。アルキル基は炭素数１０〜２０、エチレンオキシドの平均付加モル数は、１分子に０．５〜８モルである。アルキル基は、飽和または不飽和のいずれともすることができ、さらに直鎖状または分岐状のいずれともすることができる。
アルキル硫酸エステル塩は、アルコールを濃硫酸、発煙硫酸またはクロロスルホン酸などの硫酸化剤を用いて硫酸化し、次いで塩基性化合物で中和することにより得ることができる。アルキル基は、炭素数１０〜２０、飽和または不飽和のいずれともすることができ、さらに直鎖状または分岐状のいずれともすることができる。
ここで上記陰イオン性界面活性剤の対イオンとしてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオン、アンモニウム、炭素数２または３のアルカノール基を１〜３個有するアルカノールアミンなどを挙げることができ、好ましくは洗浄力においてナトリウム、カリウム等のアルカリ金属イオンである。
【００２０】
本発明組成物において（ｂ）成分の配合量は、５〜４０重量％、好ましくは１０〜３０重量％である。（ｂ）成分の含有量が５重量％未満であると洗浄力が低下するおそれがある。（ｂ）成分の含有量が４０重量％を越えると低温安定性が低下するおそれがある。
【００２１】
本発明組成物の（ｃ）成分である式（II）で表される非イオン性界面活性剤において、Ｒ3は炭素数８〜２４のアルキル基、アルケニル基またはアシル基である。例えば、アルキル基としてはオクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ペンタデシル基、イソペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、イソノナデシル基、エイコシル基、イソエイコシル基、ヘネイコシル基、イソヘネイコシル基、ドコシル基、イソドコシル基、トリコシル基、イソトリコシル基、テトラコシル基、イソテトラコシル基などが挙げられる。また、アシル基としてはオクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基、テトラコサノイル基、２−エチルヘキサノイル基、オクタデセノイル基、ヘキサデセノイル基などが挙げられる。また、アルケニル基としてはテトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基、エイコセニル基、ドコセニル基などが挙げられる。
好ましくは、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、エイコサノイル基、ドコサノイル基、２−エチルヘキサノイル基、ヘキサデセノイル基およびオクタデセノイル基である。
【００２２】
式（II）で表される界面活性剤はアルカリ触媒下、アルコールあるいは脂肪酸にブチレンオキシドをまず付加反応し、さらにエチレンオキシドを付加させるか、またはエチレンオキシド付加反応後、ブチレンオキシドを付加し、さらにエチレンオキシドを付加させることにより得られる。平均付加モル数であるｙは１〜５あり、１〜３が好ましい。ｙが５を超えると良好な洗浄力が得られない。ｙが１より小さいと高濃度化した組成物の粘度が高く、流動性が悪くなる。平均付加モル数であるｘは０〜１０であり、好ましくは０〜８である。ｘが１０を超えると良好な洗浄力が得られない。平均付加モル数であるｚは５〜２０であり、好ましくは８〜１８である。ｚが５未満または２０を超えると良好な洗浄力が得られない。また、ｘ＋ｚは６〜２０であり、８〜１８が好ましい。ｘ＋ｚが６未満または２０を超えると良好な洗浄力が得られない。
【００２３】
本発明組成物において（ｃ）成分の非イオン性界面活性剤の配合量は、５〜４０重量％、好ましくは１０〜３０重量％である。（ｃ）成分の含有量が５重量％未満であると粘度が低くなるおそれがある。また、低温安定性が低下するおそれがある。（ｃ）成分の含有量が４０重量％を越えると低温安定性が低下するおそれがある。
【００２４】
本発明組成物の（ｄ）成分である第３アミンオキシドにおいて、Ｒ4は炭素数１０〜１８である直鎖または分岐のアルキル基またはアルケニル基である。例えばアルキル基としてはデシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ペンタデシル基、イソペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基などが挙げられる。また、アルケニル基としては、テトラデセニル基、ヘキサデセニル基、オクタデセニル基などが挙げられる。Ｒ4で示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が１０未満であると、組成物の洗浄力が低下するおそれがある。Ｒ4で示されるアルキル基またはアルケニル基の炭素数が１８を超えると、低温安定性が悪化するおそれがある。
Ｒ5およびＲ6は炭素数１または２のアルキル基である。例えば、メチル基、エチル基であり、好ましくはメチル基である。
【００２５】
本発明組成物において（ｄ）成分の第３アミンオキシドの配合量は、０．１〜１０重量％、好ましくは２〜５重量％である。（ｄ）成分の含有量が０．１重量％未満であると皮膚に対する刺激性が強くなるおそれがある。（ｄ）成分の含有量が１０重量％を越えると粘度が高くなり、使用し難いおそれがある。
【００２６】
本発明組成物において（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分および（ｄ）成分の合計量は３０〜７０重量％であり、好ましくは３５〜５５重量％である。３０重量％未満であると目的とする省資源、省エネルギーおよび省スペースが達成されず、７０重量％を超えると洗浄剤組成物の粘度が高くなり、使用し難いおそれがある。
【００２７】
本発明組成物において（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）]／（ｃ）は、１／２〜１０／１であり、好ましくは１／１〜５／１である。（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量が少なく、（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比が１／２未満であると低温安定性が低下するおそれがある。（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量が多く、（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比が１０／１を超えると低温安定性が低下するおそれがある。
【００２８】
本発明組成物において（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）＋（ｃ）]／（ｄ）は、３／１〜５０／１であり、好ましくは５／１〜３０／１である。（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量が少なく、（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比が３／１未満であると洗浄剤組成物の粘度が高くなり、使用し難いおそれがある。（ａ）成分と（ｂ）成分と（ｃ）成分との合計量が多く、（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比が５０／１を超えると刺激性が強くなるおそれがある。
【００２９】
さらに、本発明の台所用液体洗浄剤組成物は、より皮膚への刺激性がマイルドな組成物を得る目的で（ｅ）成分を０．００１〜５重量％添加することにより、さらに皮膚刺激性が低下する。
式（IV）で示される化合物において、Ｒ7は水素原子またはメチル基であり、Ｒ8、Ｒ9およびＲ10は炭素数１〜８のアルキル基であり、ｎは２〜４の整数である。炭素数１〜８のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。
式（IV）で示される化合物の中でも、好ましくは式（Ｖ）で示される２−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン（以下ＭＰＣと称する）である。
【００３０】
【化７】
本発明に用いられる（ｅ）成分であるポリマーは、式（IV）で示される化合物と（メタ）アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を重量比で１００／０〜１０／９０含有し、好ましくは１００／０〜３０／７０、更に好ましくは９５／５〜５０／５０含有する重合体または共重合体であるポリマー（以下ＰＣポリマーと称する）である。そして、ＰＣポリマー中の式（IV）で示される化合物と（メタ）アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位の量は合せて６０〜１００重量％であり、好ましくは７０〜１００重量％、更に好ましくは８０〜１００重量％である。上記の範囲をはずれると、皮膚へのマイルド性の向上が少ないおそれがある。
ＰＣポリマーの重量平均分子量は１０，０００〜２，０００，０００が好ましく、更に好ましくは５０，０００〜１，５００，０００である。
【００３２】
式（IV）で示される化合物および（メタ）アクリル酸アルキルエステルが１００重量％とならない場合は、式（IV）で示される化合物および（メタ）アクリル酸アルキルエステルと他の単量体を共重合することができる。式（IV）で示される化合物および（メタ）アクリル酸アルキルエステルと共重合性を有する他の単量体は、付加重合可能な二重結合を有する化合物であり、本発明の効果を損なわないものであればよく、例えばエチレン、プロピレン、ブテン、イソブテン等のオレフィン炭化水素；アクリル酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のエチレン性不飽和カルボン酸およびそれらの無水物；ビニルアルコールおよびこれと各種カルボン酸とのエステル、各種アルコールとのエーテルなどが挙げられる。
（メタ）アクリル酸アルキルエステルを構成するアルコールは、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、ｔｅｒｔ−ブチルアルコールなどの炭素数１〜１２のアルコール、好ましくは炭素数３〜４のアルコールである。
【００３３】
（ｅ）成分であるＰＣポリマーは、組成物全量中に０．００１〜５重量％であり、好ましくは０．００５〜３重量％である。０．００１重量％未満では、皮膚へのマイルド性の向上が少ないおそれがあり、５重量％を超えると配合が困難になるおそれがあり、さらにコスト的に不利である。
【００３４】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、一般に洗浄剤に配合される成分、例えば、アルキルベタイン、アミドベタイン、イミダゾリニウムベタイン、スルホベタイン等の両性界面活性剤、高級脂肪酸アルカノールアミド、脂肪酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールとのエステル、脂肪酸ソルビタンエステル等の非イオン性界面活性剤、低級アルコール、多価アルコール、ポリエチレングリコール、低級アリールスルホン酸等のハイドロトロープ剤、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸誘導体、ニトリロトリ酢酸三ナトリウム等のキレート剤、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル等の防腐剤、色素、香料などが挙げられる。
【００３５】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。
実施例１〜１３
表２に示す成分および配合量で１３種類の台所用液体洗浄剤組成物を次のように調製し、その特性を評価した。
水を６０〜７０℃程度まで加熱する。この温水に（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分、（ｄ）成分およびクエン酸を配合する。その後、冷却を行い４０〜５０℃にてエタノール、防腐剤を配合して台所用液体洗浄剤組成物を得た。
評価結果も合せて示す。
【００３６】
〈ａ成分〉
以下に示す４種類のスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤を用いた。
〈ａ−１成分〉
式（Ｉ）においてＲ1がドデシル基、Ｒ2が水素原子、Ｍ1が水素原子、ＸとＹのいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｎａである化合物
〈ａ−２成分〉
式（Ｉ）においてＲ1がヤシ油アルキル基、Ｒ2がヒドロキシエチル基、Ｍ1がカリウム、ＸおよびＹのいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｋである化合物アルキル組成；Ｃ８：６重量％、Ｃ１０：７重量％、Ｃ１２：５０重量％、Ｃ１４：１８重量％、Ｃ１６：９重量％、Ｃ１８：３重量％、Ｃ１８Ｆ１：７重量％
※Ｃ１８Ｆ１は炭素数１８で不飽和基を１つもつことを示す。
〈ａ−３成分〉
式（Ｉ）においてＲ1がヤシ油アルキル基、Ｒ2が水素原子、Ｍ1がナトリウム、ＸおよびＹのいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｎａである化合物
アルキル組成；Ｃ８：６重量％、Ｃ１０：７重量％、Ｃ１２：５０重量％、Ｃ１４：１８重量％、Ｃ１６：９重量％、Ｃ１８：３重量％、Ｃ１８Ｆ１：７重量％
〈ａ−４成分〉
式（Ｉ）においてＲ1がドデシル基、Ｒ2が水素原子、Ｍ1が水素原子、ＸおよびＹのいずれか一方が水素原子で他方がＳＯ3Ｋである化合物
【００３７】
〈ｂ成分〉
以下に示す３種類の陰イオン性界面活性剤を用いた。
〈ｂ−１成分〉
ポリオキシエチレン（３モル付加物）アルキル（Ｃ１２〜１４）エーテル硫酸エステルナトリウム
アルキル組成；Ｃ１２：６５重量％、Ｃ１４：３５重量％
〈ｂ−２成分〉
ポリオキシエチレン（２モル付加物）アルキル（Ｃ１２〜１４）エーテル硫酸エステルナトリウム
アルキル組成；Ｃ１２：７５重量％、Ｃ１４：２５重量％
〈ｂ−３成分〉
アルキル（Ｃ１２〜１６）硫酸エステルナトリウム
アルキル組成；Ｃ１２：６５重量％、Ｃ１４：３４重量％、Ｃ１６：１重量％
【００３８】
〈ｃ成分〉
表１に示す６種類の非イオン性界面活性剤を用いた。
【００３９】
【表１】
＊：ｃ-５およびｃ−６は本発明の範囲外の非イオン性界面活性剤である。
ＥＯ：オキシエチレン基、ＢＯ：オキシブチレン基
１）ヤシ油脂肪酸４０重量％と牛脂脂肪酸６０重量％との混合脂肪酸由来のアシル基
アルキル組成；Ｃ８：２重量％、Ｃ１０：２重量％、Ｃ１２：１９重量％、Ｃ１４：１０重量％、Ｃ１６：１９重量％、Ｃ１６Ｆ１：４重量％、Ｃ１８：１１重量％、Ｃ１８Ｆ１：２９重量％、Ｃ１８Ｆ２：４重量％
【００４１】
〈ｄ成分〉
以下に示す２種類の化合物を用いた。
〈ｄ−１成分〉
式（III）においてＲ4がドデシル基、Ｒ5およびＲ6がメチル基である化合物
〈ｄ−２成分〉
式（III）においてＲ4がオクタデシル基、Ｒ5およびＲ6がメチル基である化合物
【００４２】
〈ｅ成分〉
以下に示す３種類の化合物を用いた。
〈ｅ−１成分〉
ＭＰＣ８０重量％、メタクリル酸ブチル２０重量％の構成単位で重量平均分子量約６０万の共重合体
〈ｅ−２成分〉
ＭＰＣ７０重量％、メタクリル酸ブチル２０重量％、エチレン１０重量％の構成単位で重量平均分子量約１００万の共重合体
〈ｅ−３成分〉
ＭＰＣ６０重量％、メタクリル酸プロピル３０重量％、アクリル酸１０重量％の構成単位で重量平均分子量約８０万の共重合体
【００４３】
〈その他成分〉
ポリオキシエチレン（６モル付加物）オレイン酸エステル：ノニオンＯ−６［日本油脂（株）製］
ポリオキシエチレン（９モル付加物）アルキルエーテル：ノニオンＮＣ２０９［日本油脂（株）製］
アルキル組成；Ｃ１２：７５重量％、Ｃ１４：２５重量％
ポリオキシエチレン（８．５モル付加物）ポリオキシプロピレン（２モル付加物）トリデシルエーテル：ディスパノールＴＯＣ−２Ｐ［日本油脂（株）製］
【００４４】
【表２】
比較例１〜１５
表３に示す配合量で、調製手順などについては実施例１〜１３と同様にして、比較例の台所用液体洗浄剤を調製し、その特性を評価した。その評価結果を合せて示す。
【００４６】
【表３】
表２〜表３中の洗浄力試験および評価項目は、下記の方法により行なった。
（１）洗浄力の評価
リーナッツ改良洗浄試験法(ＪＩＳ ３３７０ ４．９)に準じて行った。２５℃で３分間洗浄(２５０ｒｐｍ)後、1分間すすぎを行ない、洗浄前後の重量より洗浄率（％）を下記式により求め、洗浄力を評価した。洗浄力は各組成物の界面活性剤濃度が３００ｐｐｍとなるように水で希釈して行なった。なお、牛脂(１０ｇ)、大豆油(１０ｇ)、モノオレイン酸グリセリド(０．２５ｇ)、スダンIII(０．１ｇ)をクロロホルム６０ｍｌに溶解したものを人工汚垢として用いた。
洗浄率（％）＝[(洗浄後のスライドガラス重量)−(汚垢付着前のスライドガラス重量)]／（汚垢付着量）
洗浄力の値が、７０％以上であると充分な洗浄効果を有し、７０％未満であると洗浄効果は不充分であると評価した。
【００４８】
（２）起泡力の評価
Ｒｏｓｓ−Ｍｉｌｅｓ起泡力試験法（ＪＩＳ Ｋ３３６２ ６．５）に準じて行った。各組成物の濃度を０．０７５重量％となるように希釈した水溶液２００ｍｌを２５℃に調整し、９００ｍｍの高さから３０秒間で水面上に落下させる。この時、生じる泡の高さを測り、起泡力とした。起泡力は以下の基準に従い評価した。
〇：起泡力が良好（１３０ｍｍ以上）
×：起泡力が弱い（１３０ｍｍ未満）
【００４９】
（３）すすぎ性の評価
各組成物の濃度を０．０７５％となるように希釈した水溶液２００ｍｌを２５℃に調整し、直径６５ｍｍ×高さ１４０ｍｍのカップに入れ、ミルサー（岩谷産業（株）製 ＩＦＭ−１００）にて１分間攪拌する。次に、泡だった水溶液の水を捨て、２００ｍｌの水を入れ、よく振り、水を捨てる。この操作を泡が完全になくなるまで繰り返す。すすいだ回数を測定し、以下の基準に従い評価した。
〇：すすぎ性が良好（２回まで）
×：すすぎ性が悪い（３回以上）
【００５０】
（４）手あれ性の評価
手あれのない男女各１０名に対して、桶に各組成物の濃度が０．０７５％となるように水で希釈し、１日１５分間手首まで浸漬させた。この操作を３日間繰返し、４日目に手あれの具合を自己判断した。
全く手あれが見られない場合を２点、ややあれた場合を１点、あきらかにあれた場合を０点として、２０名の平均値を求める。この評価において平均値が１．５以上の場合は皮膚刺激性が弱いとし、平均値が１．０点以上１．５未満の場合は皮膚刺激性が中程度であるとし、平均値が１．０点未満の場合は皮膚刺激性が強いと評価した。
【００５１】
（５）流動性の評価
調製直後の台所用液体洗浄剤組成物の２５℃における粘度を、ブルックフィールド型粘度計を用い測定した。２号ローターを用い、回転数６０ｒｐｍ、測定時間１００秒の測定条件下で、１００〜５００ｍＰａ・ｓの粘度を示すものを適正な流動性を有する台所用液体洗浄剤と評価した。
【００５２】
（６）低温安定性の評価
台所用液体洗浄剤８０ｍｌを１００ｍｌのガラス製バイアルに摂取し、−５℃の恒温槽にて１週間静置した。その後、初期の状態と比較し、以下の基準で目視判定した。
〇：組成物が、均一性を保ち初期の状態と差異がない場合
×：分離、白濁および沈殿物が析出するなどの不都合が認められた場合
【００５３】
実施例１〜１３の本発明の台所用液体洗浄剤を用いた洗浄力の評価においては、洗浄力の値は７５〜８５であり、すべて充分な洗浄効果を有するとされる７０％を超えている。起泡性の評価においては、すべて起泡力が良好とされている１３０ｍｍ以上の泡立ちがあり、またすすぎ性の評価においては、すべてすすぎ性が良好とされている２回以下であった。皮膚刺激性の評価においては、平均値は１．７〜１．９であり、皮膚刺激性が弱いとされる平均値１．５を超えている。流動性の評価においては、粘度の値が１６０〜３１０であり、すべて適切な流動性を有するとされている１００〜５００ｍＰａ・ｓの範囲内である。さらに低温安定性の評価においては、すべて均一性を保ち、初期の状態と比較し、差異が認められなかった。
【００５４】
これに対し（ａ）成分の重量が少なすぎる比較例１の洗浄剤組成物は、起泡性が悪い。
（ａ）成分の重量が多すぎる比較例２の洗浄剤組成物は、すすぎ性が悪く、低温安定性が悪い。（ｂ）成分の重量が少なすぎる比較例３の洗浄剤組成物は、洗浄力が不充分である。
（ｂ）成分の重量が多すぎる比較例４の洗浄剤組成物は、低温安定性が悪い。（ｃ）成分の重量が少なすぎる比較例５の洗浄剤組成物は、粘度が低く、低温安定性が悪い。（ｃ）成分の重量が多すぎる比較例６の洗浄剤組成物は、低温安定性が悪い。（ｄ）成分の重量が少なすぎる比較例７の洗浄剤組成物は、皮膚刺激性がやや強い。（ｄ）成分の重量が多すぎる比較例８の洗浄剤組成物は、流動性が悪い。（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分および（ｄ）成分の合計量が多すぎる比較例９はゲル化する。（ｃ）成分のブチレンオキシドの付加モル数（ｙ）が５モルを超えている比較例１０の洗浄剤組成物は、洗浄力が不充分である。（ｃ）成分のエチレンオキシドの付加モル数（ｚ）および総和（ｘ＋ｚ）が２０モルを超えている比較例１１の洗浄剤組成物は、洗浄力が不充分である。（ｃ）成分の代わりにポリオキシエチレンアルキルエステルを使用している比較例１２の洗浄剤組成物は、流動性が悪く、低温安定性が悪い。（ｃ）成分の代わりにポリオキシエチレンアルキルエーテルを使用している比較例１３の洗浄剤組成物は、流動性が悪く、低温安定性が悪い。（ｃ）成分の代わりにポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルを使用している比較例１４の洗浄剤組成物は、流動性が悪い。（ａ）成分および（ｂ）成分の代わりにオレイン酸カリウム塩を使用している比較例１５の洗浄剤組成物は、洗浄力が不充分であり、起泡性、流動性、低温安定性が悪い。
【００５５】
【発明の効果】
本発明の台所用液体洗浄剤組成物は、油脂汚れに対する洗浄力、起泡力、泡切れ性に優れ、皮膚刺激性が弱く、高濃度化しても適切な流動性を有し、かつ低温での安定性に優れている。
Claims (2)
- （ａ）式（Ｉ）で示されるスルホコハク酸アミド型陰イオン性界面活性剤１〜３５重量％、
（ｂ）ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩またはアルキル硫酸エステル塩５〜４０重量％、
（ｃ）式（II）で示される非イオン性界面活性剤５〜４０重量％、および
Ｒ3Ｏ（ＡＯ）x（ＢＯ）y（ＡＯ）zＨ （II）
（式中Ｒ3は炭素数８〜２４のアルキル基、アルケニル基またはアシル基であり、ＡＯはオキシエチレン基、ＢＯはオキシブチレン基を表す。ｘ、ｙおよびｚはそれぞれの平均付加モル数を示し、０≦ｘ≦１０、１≦ｙ≦５、５≦ｚ≦２０、６≦ｘ＋ｚ≦２０である。）
（ｄ）式（III）で示される第３アミンオキシド０．１〜１０重量％を含有し、
（ａ）成分、（ｂ）成分、（ｃ）成分および（ｄ）成分の合計量が３０〜７０重量％であり、（ａ）成分および（ｂ）成分との合計量と（ｃ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）]／（ｃ）が１／２〜１０／１であり、（ａ）成分、（ｂ）成分および（ｃ）成分との合計量と（ｄ）成分の重量比[（ａ）＋（ｂ）＋（ｃ）]／（ｄ）が３／１〜５０／１であることを特徴とする台所用液体洗浄剤組成物。 - さらに（ｅ）式（IV）で示される化合物と（メタ）アクリル酸アルキルエステルに基づく構成単位を重量比で１００／０〜１０／９０として６０〜１００重量％含有する重合体または共重合体であるポリマーを０．００１〜５重量％含有する請求項１記載の台所用液体洗浄剤組成物。
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