JP4750344B2 - エマルジョン化した油を含む被処理水の油水分離装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、廃水等の被処理水に油が界面活性剤にてエマルジョン化(乳化)した状態で混じっている場合において、この被処理水に対する油水分離装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、油分を含む廃水等の被処理水に対する油水分離処理には、第1に、例えば、特許文献1にに記載されているように、被処理水中に含有される油分を先ず浮上分離した後、さらに被処理水中に含有する微小油滴を2段の粗粒化エレメント(透過孔を通過する間に極微細な油同士を結合して粗大化させる機能を有する材料)によつて油分を粗大化して浮上分離する方法ががある。
【0003】
また、第2に、例えば、特許文献2に記載されているように、被処理水を2段階に構成した分離容器内に設けた粗粒化エレメントを通過させることにより小さな油滴を凝集して大きな油滴に成長させ、大きくなつた油滴を水との比重差により分離器内の上部に浮上させて分離する方法がある。
【0004】
更にまた、第3に、特許文献3に記載されているように、被処理水を、先ず荷電濾過装置に送って粗ゴミを除去し、この荷電濾過装置が出た被処理水を、荷電コアレッサー型の油水分離器に供給して油滴を分離し、この油水分離器から出た被処理水を、限界濾過膜(UF膜)又は逆浸透膜(RO膜)を使用した濾過装置において、その入り口と出口との間を繋ぐ循環管路に供給することにより、前記UF膜又はRO膜を濾過した濾過液を清浄水として取り出す一方、前記循環管路における被処理水の一部を、前記荷電濾過装置に戻すように構成した方法がある。
【0005】
【特許文献1】
実公平6−21521号公報
【特許文献2】
特開平8−309102号公報
【特許文献3】
特開平8−108020号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記被処理水に含まれている油分の一部又は全部が、界面活性剤にてエマルジョン化(乳化)している場合に、前記第1の油水分離方法では、油滴を粗粒化エレメントにおいて凝集させて大きな油滴に成長させるときにおいて、油をエマルジョン化するために使用した界面活性剤が油滴の凝集を妨げることになり、この結果油の粗大化が阻害されるために粗粒化エレメントにおけるエマルジョン化した油の分離率が著しく低いという問題がある。
【0007】
前記第2の油水分離方法は、一応、エマルジョン化(乳化)した油を含む被処理水に対する油水分離を目的するものであるものの、基本的に、油を粗粒化エレメントに凝集して粗大化することに依存するものであって、油をエマルジョン化するために使用した界面活性剤が油滴の凝集を妨げるから、処理済水における油分濃度規制が厳しい場合には十分な機能を発揮できないという問題がある。
【0008】
そこで、この第2の方法において、処理済水における油分濃度を厳しい規制値にまで下げるには、前記粗粒化エレメントを通過した後の被処理水を活性炭の等吸着剤の層を通過させ、ここで粗粒化エレメント通過したエマルジョン油を吸着して除去するか、あるいは、界面活性剤でエマルジョン化した油を粗粒化エレメントに供給する前に分解剤を添加するなどによリエマルジョンを破壊したうえで通常の油と同じ状況にして粗粒化エレメントに供給し、粗大化した油分を重力分離する方法などがある。
【0009】
しかしながら、前者では活性炭等の吸着剤における吸着能力に限度があり、適宜、活性炭等の吸着剤の取替え又は再生操作が必要となる。また、後者の方法ではエマルジョンを破壊するための分解剤を常時添加する必要があり、いずれも、運転経費の大幅なアップを招来することになる。
【0010】
前記第3の油水分離方法は、被処理水を最終的に、限界濾過膜又は逆浸透膜を使用した濾過装置において超精密濾過することによって、不純物の少ない純粋の清浄水として取り出すことを目的とすることにより、この超精密濾過に使用する前記限界濾過膜又は逆浸透膜は、水のみが透過するものに限られる。
【0011】
従って、この第3の油水分離方法を、エマルジョン化した油を含む被処理水に適用した場合には、濾過装置より前の荷電コアレッサー型油水分離器において分離することができなかったエマルジョン化した油は、エマルジョン化したままの状態で、前記濾過装置における被処理水の入り口と出口との間を循環することになり、前記限界濾過膜又は逆浸透膜の目を詰まらせたり、循環する被処理水における界面活性剤の濃度が高くなったりするだけになるから、この第3の油水分離方法は、エマルジョン化した油を含む被処理水における油水分離に適用することができないという問題がある。
【0012】
本発明は、これらの問題を解決し、エマルジョン化した油を含む被処理水における油水分離に確実に適用できるようにすることを技術的課題とするものである。詳しくは、界面活性剤によリエマルジョン化された油を含有する被処理水に対して簡易な装置により処理済水中の油分濃度を十分に低減して環境への影響を最小化できる油水分離方法と、その装置とを提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を達成するため本発明の油水分離装置は、請求項1に記載したように、「被処理水中の油分を大きい油滴に凝集して分離するようにした粗粒化エレメントと、水及び界面活性剤が透過するようにした濾過膜を使用した濾過器とを備え、更に、界面活性剤にてエマルジョン化した油を含む被処理水を前記粗粒化エレメントに供給する管路と、前記粗粒化エレメントから排出される被処理水を前記濾過器の入り口にその一部が透過するように供給する管路と、前記濾過器における透過水を処理済水として排出する管路と、前記濾過器に供給した被処理水のうち前記透過水を除く残りの被処理水の総てを前記濾過器の出口から前記粗粒化エレメントに戻す管路とを備えており、前記粗粒化エレメントが、親油性の粗粒化エレメントであり、前記濾過膜が、精密濾過膜(MF膜)である。」
ことを特徴としている。
【0014】
また、本発明の油水分離装置は、請求項3に記載したように、
「被処理水中の油分を大きい油滴に凝集して分離するようにした粗粒化エレメントと、水及び界面活性剤が透過するようにした濾過膜を使用した濾過器とを備え、更に、界面活性剤にてエマルジョン化した油を含む被処理水を前記粗粒化エレメントに供給する管路と、前記粗粒化エレメントから排出される被処理水を前記濾過器の入り口にその一部が透過するように供給する管路と、前記濾過器における透過水を処理済水として排出する管路と、前記濾過器に供給した被処理水のうち前記透過水を除く残りの被処理水の総てを前記濾過器の出口から前記粗粒化エレメントに戻す管路とを備えており、前記粗粒化エレメントが、親油性の粗粒化エレメントであり、前記濾過膜が、界面活性剤が透過する分子量分画性にした限界濾過膜(UF膜)である。」
ことを特徴としている。
【0015】
【発明の作用・効果】
油を含有する被処理水を粗粒化エレメントを通過させると、この被処理水中に含有される微小油滴は、前記粗粒化エレメントにおいて凝集してより大きな油滴となり、この大きな油滴が被処理水から比重差により浮上分離する。
【0016】
しかしながら、前記被処理水中に界面活性剤が含まれる場合には、被処理水中に含まれる一部又は全部の油が界面活性剤でエマルジョン化しており、粗粒化エレメントを通しても十分に凝集・分離されることはない。
【0017】
そして、この粗粒化エレメントから排出される被処理水は、水及び界面活性剤のみが透過する濾過膜を使用した濾過器に供給され、この被処理水のうち一部の水及び界面活性剤のみが、前記濾過膜を透過して、この透過水が、油分が少ない状態の処理済水として排出される。
この場合、前記粗粒化エレメントとして、親油性の粗粒化エレメントを使用する一方、前記濾過膜として、精密濾過膜(MF膜)を使用するか、或いは、界面活性剤が透過する分子量分画性にした限界濾過膜(UF膜)を使用する。
【0018】
前記濾過器において濾過膜を透過しない残りの被処理水は、その油分濃度が当該被処理水における一部が濾過膜を透過する分だけ当然に高くなり、その総てが、濾過器における入り口と出口との間を循環することなく、濾過器より前記粗粒化エレメントに供給され、この粗粒化エレメントによる凝集・分離が再び繰り返される。
【0019】
このとき、濾過器から粗粒化エレメントに戻される被処理水における一部のエマルジョン化した油は、当該被処理水中における界面活性剤の量が濾過膜より透過する分だけ減少することによって、エマルジョン化した状態を維持するのが困難になって、エマルジョン化していない状態の油滴に戻り、これが粗粒化エレメントにおいて凝集・分離されることになるから、エマルジョン化した油の分離を、前記濾過器において界面活性剤の一部を処理済水と一緒に濾過膜を透過することで大幅に促進することができる一方、油分濃度の高い被処理水が粗粒化エレメントに戻されて油分が分離されることにより、前記濾過膜に目詰まりが発生することを確実に低減できる。
【0020】
従って、本発明によると、被処理水にエマルジョン化した油を含んでいる場合において、その油の分離率を、以下の実施の形態において詳しく述べるように、処理済水における油分濃度が厳しい規制値にまで下げるように向上することを、従来のように、吸着剤又は分解剤等を使用することなく、ひいては、運転経費の大幅なアップを招来することなく、確実に達成できる。
【0021】
前記粗粒化エレメントを、請求項4に記載したように、被処理水が最初に通過する一段目の粗粒化エレメントと、この一段目の粗粒化エレメントを通過した後の被処理水が通過する二段目の粗粒化エレメントとで構成することができる。
また、前記濾過器における濾過膜として精密濾過膜(MF膜)を使用した場合は、この精密濾過膜(MF膜)を、請求項2に記載したように、疎水性高分子膜にすることができる。
【0022】
特に、このように、疎水性高分子膜の精密濾過膜(MF膜)を使用した場合には、水の透過性が良くなるから、濾過面積を縮小できるとともに、濾過器に対する被処理水の供給圧、つまり、被処理水の濾過圧を下げることができる利点がある。
【0023】
更にまた、請求項5又は6に記載した構成にすることにより、処理済水における油分濃度を、当該処理済水の量を少なくすることがない状態のもとで、所定値を越えることがないように確実に規制することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面について説明する。
【0025】
図1は、第1の実施の形態を示す。
【0026】
この図において、符号1は、本装置の系外に配置された被処理水タンクを示し、この被処理水タンク1内には、界面活性剤でエマルジョン化した油を含有する被処理水が入れられている。
【0027】
符号2は、油分を大きい油滴に凝集して分離するようにした粗粒化エレメント3を内蔵した分離装置を示し、この分離装置2の上部には、排出弁4を備えた油取り出し管路5を備えている。
【0028】
符号6は、濾過器を示し、この濾過器6は、一般に、孔径0.1ミクロン程度の微小孔を有する親水性有機高分子膜による精密濾過膜(MF膜)7を備えている。
【0029】
そして、被処理水タンク1内における被処理水を、ポンプ8を備えた被処理水供給管路9にて、前記分離装置2に対して、当該分離装置2内における粗粒化エレメント3を通過するように供給する。
【0030】
次いで、前記分離装置2内において粗粒化エレメント3を通過した後における被処理水を、ポンプ10にて汲み出し、管路11を介して前記濾過器6に、その入り口6aから当該被処理水のうち一部の被処理水が濾過器6における精密濾過膜7を透過するように供給する。
【0031】
そして、前記精密濾過膜7からの透過水を、処理済水として処理済水排出管路12より排出する一方、前記濾過器6に供給した被処理水のうち前記透過水を除く残りの被処理水の総てを濾過器6における出口6bから被処理水戻し管路13を介して、前記被処理水タンク1に戻すように構成する。
【0032】
この構成において、前記被処理水タンク1における被処理水を、分離装置2内における粗粒化エレメント3を通過させると、この被処理水中に含有される微小油滴は、前記粗粒化エレメント3において凝集してより大きな油滴となり、この大きな油滴が被処理水から比重差により浮上分離する。
【0033】
しかしながら、前記被処理水中に界面活性剤が含まれる場合には、被処理水中に含まれる一部又は全部の油が界面活性剤でエマルジョン化しており、粗粒化エレメントを通しても十分に凝集・分離されることはない。
【0034】
そして、前記粗粒化エレメント3を通過して分離装置2から排出される被処理水は、精密濾過膜(MF膜)7を使用した濾過器6に供給され、この被処理水のうち一部の水及び界面活性剤のみが、前記精密濾過膜7を透過して、この透過水が、油分が少ない状態の処理済水として、処理済水排出管路12より排出される。
【0035】
前記濾過器6において精密濾過膜7を透過しない残りの被処理水は、その油分濃度が当該被処理水における一部が精密濾過膜7を透過する分だけ当然に高くなり、その総てが、濾過器6における入り口6aと出口6bとの間を循環することなく、被処理水戻し管路13を介して前記被処理水タンク1に戻り、分離装置2における粗粒化エレメント3に供給され、この粗粒化エレメント3による凝集・分離が再び繰り返される。
【0036】
このとき、濾過器6から粗粒化エレメント3に戻される被処理水における一部のエマルジョン化した油は、当該被処理水中における界面活性剤の量が精密濾過膜7より透過する分だけ減少することによって、エマルジョン化した状態を維持するのが困難になって、エマルジョン化していない状態の油滴に戻り、これが粗粒化エレメント3において凝集・分離されることになるから、エマルジョン化した油の分離を、前記濾過器6において界面活性剤の一部が処理済水と一緒に精密濾過膜7を透過することで大幅に促進することができる一方、油分濃度の高い被処理水が粗粒化エレメント3に戻されて油分が分離されることにより、前記精密濾過膜7に目詰まりが発生することを確実に低減できる。
【0037】
なお、前記分離装置2において粗粒化エレメント3から浮上分離した油は、分離装置2の上部における排出弁4を、適宜時間の間隔で開くことにより、油取り出し管路5から器外に排出される。
【0038】
また、前記濾過器6からの被処理水を、その戻し管路13を前記被処理水タンク1に接続することによって、粗粒化エレメント3に戻すように構成することに代えて、二点鎖線で示すように、前記戻し管路13を前記分離装置2への被処理水供給管路9に接続することによって、粗粒化エレメント3に戻すように構成しても良い。
【0039】
次に、図2は、第2の実施の形態を示す。
【0040】
この第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態において、粗粒化エレメント3を内蔵した分離装置2を一段目の分離装置とし、この一段目の分離装置2と濾過器6との間に、同じく粗粒化エレメント3′を内蔵した二段目の分離装置2′を設けたものである。
【0041】
すなわち、前記一段目の分離装置2における粗粒化エレメント3を通過した後の被処理水を、前記二段目の分離装置2′における粗粒化エレメント3′を通過したのち、前記濾過器6に供給するように構成したものであり、その他の構成は前記第1の実施の形態と同様であり、前記二段目の分離装置2′の上部には、排出弁4′を設けた油取り出し管路5′を備えている。
【0042】
この第2の実施の形態は、油分の分離を、一段目の粗粒化エレメント3と、二段目の粗粒化エレメント3′との二段によって行うものである。
【0043】
次に、本発明者達は、以下に述べる三つの装置、
[装置1]
前記図1に示す第1の実施の形態(分離装置が一段のもの)において、分離装置2における粗粒化エレメント3として、孔径7ミクロンの親油性の不織布等の繊維を使用する一方、濾過器6における濾過膜7として、孔径0.1ミクロン程度の微小孔を有する親水性有機高分子膜による精密濾過膜(MF膜)を使用した装置。
[装置2]
前記図1に示す第1の実施の形態(分離装置が一段のもの)において、分離装置2における粗粒化エレメント3として、孔径2ミクロンの親油性の不織布等の繊維を使用する一方、濾過器6における濾過膜7として、孔径0.1ミクロン程度の微小孔を有する親水性有機高分子膜による精密濾過膜(MF膜)を使用した装置。
[装置3]
前記図2に示す第2の実施の形態(分離装置が二段のもの)において、一段目の分離装置2における粗粒化エレメント3として、孔径50ミクロンの親油性の不織布等の繊維を使用し、二段目の分離装置2′における粗粒化エレメント3′として、孔径2ミクロンの親油性の不織布等の繊維を使用する一方、濾過器6における濾過膜7として、孔径0.1ミクロン程度の微小孔を有する親水性有機高分子膜による精密濾過膜(MF膜)を使用した装置。
により、界面活性剤にてエマルジョン化した油を含む油分濃度が3000ppmの被処理水について、油水分離を行う実験を行った。
【0044】
この実験において、処理済水排出管路12より排出される処理済水の量が45リットルになった時点で、前記図1及び図2に示したA箇所(粗粒化エレメント3を通過する前の箇所)、B箇所(粗粒化エレメント3を通過した後の箇所)、C箇所(二段目の粗粒化エレメント3′を通過した後の箇所)、D箇所(被処理水戻し管路13の箇所)及びE箇所(処理済水排出管路12)における油分濃度を測定したところ、表1のとおりであった。
【0045】
【表1】
【0046】
すなわち、粗粒化エレメント3又は3及び3′を通過した被処理水は、濾過器6においてその一部が精密濾過膜7を透過することにより、その油分濃度が高くなるが、この被処理水の透過と同時に界面活性剤の一部も前記精密濾過膜7を透過し、この状態で、濾過器6内に停滞することなく、前記粗粒化エレメント3又は3及び3′に、これを再び通過するように戻されることにから、エマルジョン化した油を高い分離率で分離できるとともに、処理済水排出管路12から排出される処理済水における油分濃度を、処理済水における油分濃度を、前記従来のように、活性炭等の吸着剤又は分解剤を使用することなく、厳しい規制値以下に確実に下げることができた。
【0047】
前記分離装置2又は2及び2′における粗粒化エレメント3又は3及び3′としては、例えば、前記特許文献2等に開示されているように、主に親油性の織布、編布、不織布などの布又はマット状、シート状、フェルト状などの繊維シートが使用されるが、これらに限らず、特許文献1に開示されている金属繊維の焼結体のものでも、さらにはゴム製あるいはセラミック製のものも使用可能である。勿論、特許文献3に記載されているような荷電型コアレッサーも使用可能である。
【0048】
一方、前記濾過器6においては、前記した親水性有機高分子による精密濾過膜(MF膜)7を使用することに代えて、界面活性剤が透過する分子量分画性にした限界濾過膜(UF膜)を使用することができるほか、精密濾過膜(MF膜)のうち疎水性高分子のものを使用することができ、この疎水性高分子による精密濾過膜(MF膜)を使用した場合には、水の透過性が良くなって、濾過抵抗を低減できる。
【0049】
次に、図3は、第3の実施の形態を示す。
【0050】
この第3の実施の形態は、前記第1又は第2の実施の形態を前提として、その処理済水排出管路12に、油分濃度計14と、これに次いで三方切換弁15とを設け、前記油分濃度計14にて測定した油分濃度が予め設定した所定値を越えていないときには、濾過器6からの処理済水を、前記処理済水排出管路12から排出するが、前記前記油分濃度計14にて測定した油分濃度が前記所定値を越えているはときには、前記三方切換弁15を作動することにより、濾過器6からの処理済水を、戻し管路16を介して、前記被処理水供給管路9又は前記被処理水タンク1に戻すして、再度の油水分離を行うように構成する。
【0051】
これにより、前記処理済水排出管路12から排出される処理済水における油分濃度を、前記所定値を越えることをないように規制することができる。
【0052】
そして、図4は、第4の実施の形態を示す。
【0053】
この第4の実施の形態は、前記第1又は第2の実施の形態を前提として、その処理済水排出管路12に、油分検出計14と流量制御弁17とを、油分検出計14を下流側に位置して設ける一方、前記被処理水戻し管路13中に流量制御弁17を設け、前記油分検出計14により前記処理済水排出管路12における流量制御弁17と、前記被処理水戻し管路13における流量制御弁18を以下に述べるように制御するように構成する。
【0054】
すなわち、前記油分検出計14にて検出した油分濃度が予め設定した所定値を越えているときには、前記処理済水排出管路12における流量制御弁17を閉じて、前記被処理水戻し管路13における流量制御弁18を開くように制御する一方、前記油分検出計14にて検出した油分濃度が前記所定値を越えていないときには、前記処理済水排出管路12における流量制御弁17を開いて、前記被処理水戻し管路13における流量制御弁18を閉じるように制御する。
【0055】
これにより、前記処理済水排出管路12から排出する処理済水における油分濃度を、当該処理済水の量を少なくすることがない状態で、予め設定した所定値を越えることがないように規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示すフローシートである。
【図2】第2の実施の形態を示すフローシートである。
【図3】第3の実施の形態を示すフローシートである。
【図4】第4の実施の形態を示すフローシートである。
【符号の説明】
1 被処理水タンク
2,2′ 分離装置
3,3′ 粗粒化エレメント
5,5′ 油取り出し管路
6 濾過器
6a 濾過器の入り口
6b 濾過器の出口
7 濾過膜
9 被処理水供給管路
12 処理済水排出管路
13 被処理水戻し管路
14 油分検出計
15 三方切換弁
17,18 流量制御弁
Claims (6)
- 被処理水中の油分を大きい油滴に凝集して分離するようにした粗粒化エレメントと、水及び界面活性剤が透過するようにした濾過膜を使用した濾過器とを備え、更に、界面活性剤にてエマルジョン化した油を含む被処理水を前記粗粒化エレメントに供給する管路と、前記粗粒化エレメントから排出される被処理水を前記濾過器の入り口にその一部が透過するように供給する管路と、前記濾過器における透過水を処理済水として排出する管路と、前記濾過器に供給した被処理水のうち前記透過水を除く残りの被処理水の総てを前記濾過器の出口から前記粗粒化エレメントに戻す管路とを備えており、前記粗粒化エレメントが、親油性の粗粒化エレメントであり、前記濾過膜が、精密濾過膜(MF膜)であることを特徴とするエマルジョン化した油を含む被処理水の油水分離装置。
- 前記精密濾過膜(MF膜)が、疎水性高分子膜であることを特徴とする前記請求項1に記載したエマルジョン化した油を含む被処理水の油水分離装置。
- 被処理水中の油分を大きい油滴に凝集して分離するようにした粗粒化エレメントと、水及び界面活性剤が透過するようにした濾過膜を使用した濾過器とを備え、更に、界面活性剤にてエマルジョン化した油を含む被処理水を前記粗粒化エレメントに供給する管路と、前記粗粒化エレメントから排出される被処理水を前記濾過器の入り口にその一部が透過するように供給する管路と、前記濾過器における透過水を処理済水として排出する管路と、前記濾過器に供給した被処理水のうち前記透過水を除く残りの被処理水の総てを前記濾過器の出口から前記粗粒化エレメントに戻す管路とを備えており、前記粗粒化エレメントが、親油性の粗粒化エレメントであり、前記濾過膜が、界面活性剤が透過する分子量分画性にした限界濾過膜(UF膜)であることを特徴とするエマルジョン化した油を含む被処理水の油水分離装置。
- 前記粗粒化エレメントが、被処理水が最初に通過する一段目の粗粒化エレメントと、この一段目の粗粒化エレメントを通過した後の被処理水が通過する二段目の粗粒化エレメントとで構成されていることを特徴とする前記請求項1〜3のいずれかに記載したエマルジョン化した油を含む被処理水の油水分離装置。
- 前記濾過器からの処理済水の排出管路に設けた油分濃度計と、この油分濃度計で検出した油分濃度が所定値を越えているとき前記処理済水を前記粗粒化エレメントに戻す手段を備えていることを特徴とする前記請求項1〜4のいずれかに記載したエマルジョン化した油を含む被処理水の油水分離装置。
- 前記濾過器からの処理済水の排出管路に設けた油分濃度計と、この油分濃度計で検出した油分濃度が所定値を越えることがないように前記濾過器から粗粒化エレメントへの戻り管路における流量及び前記濾過器からの処理済水の排出管路における流量を制御するようにした手段を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載したエマルジョン化した油を含む被処理水の油水分離装置。
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