JP4750242B2 - 造粒物および錠剤の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、漢方エキスあるいは生薬エキスを含有する造粒物の製造方法およびその造粒物から製造する漢方エキスあるいは生薬エキスを含有する錠剤の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
医薬品の造粒方法には、乾式破砕造粒法、湿式押し出し造粒法、流動層造粒法および高速撹拌造粒法等がある。これらの中では、流動層造粒法と高速撹拌造粒法が、他の方法に比べ工程が簡単であることと効率よく造粒物が製造できることから製薬業界で盛んに採り入れられている。
【0003】
撹拌造粒法は、薬の成分と賦形剤を混合する混合工程を経て、その後水を投入し、造粒する方法である。
この攪拌造粒法を用いて、高い吸水性を有する漢方エキスあるいは生薬エキス成分を含有する医薬品を製造する場合、水を投入する方法としては、スプレイ法などのように、水を少量づつ、長時間かけて投入する方法が採られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
漢方エキスあるいは生薬エキスの含有率の高い造粒物を製造することは、漢方エキスあるいは生薬エキス含有錠剤の小型化や服用回数・量を減らすことを可能にするために、極めて有効なことである。従って、服用を容易にする為の重要な課題である。
【0005】
漢方エキスあるいは生薬エキスを含有する造粒物の製造には、流動層造粒法が採り入れられているが、漢方エキスあるいは生薬エキス含有率の高いものを造ろうとすると、漢方エキスあるいは生薬エキスの高い吸水性のため、流動が低下し効率の良い造粒は困難であった。
特開平5-95988 には、流動層造粒法を改善する方法が記述されているが, 特殊な機械(浮遊旋回流動型流動層造粒機)を用いる方法であり、汎用性が高いとは言えない。
【0006】
一方、撹拌造粒でも、通常の水の投入法では、漢方エキスや生薬エキスが急激に水を吸収して塊状もしくは泥状になってしまい造粒が困難である。
高濃度の漢方エキスあるいは生薬エキスを含む造粒物を、ケイ酸カルシウムを用いて高速撹拌造粒により得る方法があるが、これは高速撹拌造粒機(例えば、商品名バーチカルグラニュレイター)を用い、漢方エキスあるいは生薬エキスとケイ酸カルシウムを混合した後、この混合物に水をスプレイしていく方法である。
【0007】
しかしながら、漢方エキスあるいは生薬エキスが急激に吸水するのを防ぐため、非常に低速で水をスプレイする必要があり、造粒に時間がかかるという問題がある。さらに、漢方の種類が変わると、スプレイの速度および造粒時間を変更する必要があり、最適の条件を見つけることが困難である。このため、実用に供するには十分ではない。
【0008】
一方、漢方エキスあるいは生薬エキスを含有する造粒物から造る錠剤については、漢方エキスあるいは生薬エキスの量を増やすと、錠剤の崩壊時間が著しく長くなることが知られている。
そこで、本発明の目的は、漢方エキスあるいは生薬エキスの含有量の高い造粒物を、高速撹拌造粒機を用いて製造するための実用的な造粒方法を提供し、さらに、この造粒物から崩壊性の良い高含有量漢方エキスあるいは生薬エキス配合錠剤の製造を可能にすることである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明では、ケイ酸カルシウムの一種である花弁状結晶構造を有する特殊なケイ酸カルシウムが、自重の2〜4倍の水を保持できる性質に着目し、新規な撹拌造粒方法による漢方エキスあるいは生薬エキス含有造粒物製造について検討した。
【0010】
以下に、本発明による漢方エキスあるいは生薬エキスの攪拌造粒法について説明する。
まず、容器に特殊ケイ酸カルシウムを投入し、その後、一定量の水を投入する。そして、水が特殊ケイ酸カルシウムに均一に分散、保持するように、容器に具備した撹拌装置を利用して撹拌する。さらに、水を保持した特殊ケイ酸カルシウム中に、漢方エキスあるいは生薬エキスを投入し、ケイ酸カルシウムの水を漢方エキスあるいは生薬エキスに移しながら造粒する。
【0011】
本発明における撹拌造粒とは、第十三改正 日本薬局方解説書の製剤総則の散剤、錠剤の項に記載されている造粒法(押出造粒法、転動造粒法、流動層造粒法、湿式および乾式破砕造粒法)の内、水または結合剤を含む溶液を投入して行う転動造粒法および湿式破砕造粒法に相当する。
具体的には、容器の中に造粒する粉体を入れた後、水または結合剤を含む溶液を投入後、容器に具備されている装置により、撹拌することを原則とする湿式の造粒方法である。
【0012】
撹拌方法には、様々な形態を有するものがあり、容器の上部から回転アームによるもの、容器の底部にある回転翼によるものと、さらにこれに異方向の撹拌を加えるものがある。
使用装置として、現在販売されているものとしては、次のような商品が挙げられる。バーチカルグラニュレーター、ハイシェアーミキサー、ハイスピードミキサー、プラネタリーミキサー、チョッパー式プラネタリーミキサーなどである。
【0013】
本発明における特殊ケイ酸カルシウムは、医薬品添加物規格(薬添規)や化粧品原料基準外成分規格(粧外規)に記載されている化学名「ケイ酸カルシウム」の規格に適合しているものである。
なお、ケイ酸カルシウムは大きな細孔径と細孔容積を有する花弁状結晶構造を持つ特殊なケイ酸カルシウムを用いることが良いとわかったので、本発明で使用するケイ酸カルシウムは、株式会社エーザイの商品名「フローライトRE」として流通している特殊なケイ酸カルシウムである。
【0014】
本発明に用いられる漢方エキス粉末としては、例えば、「一般用漢方処方の手引き」(厚生省薬務局監修、薬事時報社発行(1975)等に記載される通常の漢方処方から煎出し濃縮、乾燥して得られる漢方エキス粉末があげられる。
具体的には、漢方薬の小柴胡湯,柴苓湯,補中益気湯,柴朴湯,牛車腎気丸,加味逍遥散,麦門冬湯,八味地黄丸,大建中湯,小青竜湯,六君子湯,当帰芍薬散,十全大補湯,葛根湯,柴胡桂枝湯,桂枝茯苓丸,釣藤散,大柴胡湯,柴胡加竜骨牡蛎湯,猪苓湯,温経湯,黄連解毒湯,防已黄耆湯,五苓散,白虎加人参湯,芍薬甘草湯,半夏白朮天麻湯,人参養栄湯,防風通聖散,半夏瀉心湯,小柴胡湯加桔梗石膏,桂枝加朮附湯,荊芥連翹湯,半夏厚朴湯,加味帰脾湯,温清飲、清肺湯,大黄甘草湯,十味敗毒湯,当帰飲子,辛夷清肺湯,当帰四逆加呉茱萸生姜湯,麻黄附子細辛湯,乙字湯,葛根湯加川キュウ辛夷,安中散料,消風散,桂枝加竜骨牡蠣湯,麻黄湯,人参湯,苓桂朮甘湯,桂枝湯,麻杏甘石湯,清上防風湯,桃核承気湯,小建中湯,桂枝加芍薬湯,桔梗湯、四逆散、酸棗仁湯、桂枝茯苓丸料加ヨクイニン、治頭瘡一方、七物降下湯、竹茹湯胆湯、神秘湯、五虎湯などが挙げられる。
【0015】
また、生薬エキス粉末としては、1種または2種以上の生薬から煎出し、濃縮、乾燥して得られるもので、具体的には、例えば、シャクヤク,トウキ,ケイヒ,センキュウ,ソウジュツ,ブクリョウ,ボタンピ,トウヒ,コウブシ,ジオウ,カンゾウ,トウニン,オウレン,ショウキョウ,チョウジ,ニンジン,チンピ,エンゴサク,カノコソウ,キジツ,オウゴンなどが挙げられる。
【0016】
以下に、本発明において漢方エキスあるいは生薬エキスを含有する造粒物を製造する際、投入する水、漢方エキスあるいは生薬エキス、特殊ケイ酸カルシウムの投入量について説明する。
水の量は、特殊ケイ酸カルシウムの重量に対して、0. 3倍から3倍が好ましく、より好ましくは、0. 5倍から2倍である。投入する水の量が少ないと、後工程である漢方エキスあるいは生薬エキスを投入する工程で、粒ができないし、多すぎると、造粒が進み過ぎて、機械を動かすことができない。
【0017】
水の代わりに、50重量%以下のエタノール水溶液を用いてもよい。使用するエタノール水溶液の量は、特殊ケイ酸カルシウムの重量に対して、0. 5倍から5倍が好ましく、より好ましくは、等量から3倍である。
エタノール水溶液の量が、少ないと後工程である漢方エキスあるいは生薬エキスを投入する工程で粒ができないし、多いと造粒が進み過ぎて、機械を動かすことができない。
【0018】
漢方エキス粉末もしくは生薬エキス粉末の配合量は、通常、特殊ケイ酸カルシウム1部に対して1部から10部であり、より好ましくは、4部から8部である。すなわち、出来上がり造粒物中の漢方エキスもしくは生薬エキスの含有量は、通常、50重量%から91重量% であり、より好ましくは、80重量%から89重量%である。漢方エキスあるいは生薬エキスの比率が高いと, 造粒が不可能になる。
【0019】
漢方エキスあるいは生薬エキスを含有する造粒物から錠剤を製造する場合、造粒物の投入量は、薬効もしくは効果を発揮するのに必要な1日服用エキス量と1日服用錠剤数に基いて決定する。
漢方エキスあるいは生薬エキスの比率が少ないと、錠剤を処方する場合に、処方する錠剤の数が多くなったり、薬効を示すのに十分な漢方エキスあるいは生薬エキスを処方できなかったりする。
【0020】
前記造粒物には、添加物として、以下の成分を賦形剤として配合することもできる。
賦形剤としては、糖や糖アルコールに分類される乳糖,白糖,ブドウ糖,マンニット,ソルビット等、デンプンやデンプン誘導体に分類されるトウモロコシデンプン,バレイショデンプン,α化デンプン,デキストリン,カルボキシメチルスターチ等、セルロースやセルロース誘導体に分類される結晶セルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,カルボキシメチルセルロース等、その他のものとして、アラビアガム,デキストラン,プルラン,軽質無水ケイ酸,合成ケイ酸アルミニウム,メタケイ酸アルミン酸マグネシウム,リン酸カルシウム,炭酸カルシウム,硫酸カルシウムなどが挙げられる。
【0021】
本発明による方法では、特殊ケイ酸カルシウムに水を均一に分散、保持させる湿潤工程から漢方エキスあるいは生薬エキス投入後の造粒まで、3から10分で終了する。漢方エキスあるいは生薬エキスのように、急激に吸水する成分を含む造粒物を製造する際に行われる従来の連続あるいは間欠スプレイ法に比べ、本発明に従うと短時間で製造が可能である。
【0022】
さらに、本発明は種々の漢方エキスあるいは生薬エキスに応用でき、かつ製造スケールを大きくすることも容易である。
前記造粒物から錠剤を製造する場合には、前記造粒物を整粒後、添加物として崩壊剤と滑沢剤を加え混合し、打錠用顆粒を生成する。
崩壊剤としては、バレイショデンプン,結晶セルロース,カルボキシルメチルセルロース,カルボキシルメチルセルロースカルシウム,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,クロスカルメロースナトリウム,カルボキシルメチルスターチナトリウム,架橋ポリビニルピロリドンなどが考えられる。
【0023】
1錠剤中の崩壊剤や滑沢剤の配合量は、漢方エキス粉末やケイ酸カルシウムの量に基いて決定する。崩壊剤の配合量については、1錠剤重量の35重量%以下とする。崩壊剤の配合量が多いと錠剤の成型性が悪くなると共に製造コストが高くなる。また、崩壊剤の配合量が少ないと、錠剤の崩壊性が悪くなり、崩壊時間が長くなる。崩壊剤の最も望ましい配合量は、1錠剤重量の25重量%から10重量%である。
【0024】
滑沢剤としては、ステアリン酸金属塩(マグネシウム、カルシウム),タルク,硬化ヒマシ油,ステアリルフマル酸ナトリウムなどが考えられる。滑沢剤の配合量については、1錠剤重量の0.1重量%から5重量%で、望ましくは0.3重量%から2重量%である。
製造した打錠用顆粒は、打錠機を用いて錠剤にする。なお、打錠用顆粒を錠剤にする方法は、従来と同様なのでその説明は省略する。
【0025】
このように製造した錠剤に、フィルムコーティングまたは糖衣コーティングを施すコーティング工程を設けてもよい。なお、フィルムコーティングまたは糖衣コーティングを施すことにより、錠剤の味のマスキングが可能となるから錠剤を飲みやすくすることができる。また、錠剤の経時安定性が向上する。なお、本発明の錠剤においては、腸溶性コーティングや徐放性コーティングしないこと以外は、工程、使用する素材を限定するものではない。
【0026】
本発明による製造方法で、以下に示す漢方エキス含有錠剤を6錠ずつつくり、日本薬局法の崩壊試験法に従って崩壊時間を測定した。
検討した錠剤中のエキス量(重量%)と得られた崩壊時間(分)を示す。崩壊時間は、試験を行った6錠の平均値である。検討した錠剤は、小柴胡湯(70重量%,8分),柴苓湯(75重量%,10分),補中益気湯(70重量%,10分),柴朴湯(70重量%,10分),牛車腎気丸(75重量%,9分),加味逍遥散(70重量%,9分),麦門冬湯(75重量%,12分),八味地黄丸(70重量%,9分),大建中湯(70重量%,6分),小青竜湯(73重量%,8分),六君子湯(70重量%,10分),当帰芍薬散(66重量%,8分),十全大補湯(75重量%,9分),葛根湯(75重量%,10分),柴胡桂枝湯(80重量%,9分),桂枝茯苓丸(75重量%,10分),釣藤散(70重量%,6分),大柴胡湯(70重量%,8分),柴胡加竜骨牡蛎湯(75重量%,12分),猪苓湯(50重量%,6分),温経湯(75重量%,9分),黄連解毒湯(50重量%,5分),防已黄耆湯(70重量%,8分),五苓散(50重量%,7分),白虎加人参湯(80重量%,15分),芍薬甘草湯(50重量%,6分),半夏白朮天麻湯(75重量%,8分),人参養栄湯(80重量%,12分),防風通聖散(70重量%,7分),半夏瀉心湯(74重量%,10分),小柴胡湯加桔梗石膏(75重量%,10分),桂枝加朮附湯(70重量%,7分),荊芥連翹湯(70重量%,10分),半夏厚朴湯(80重量%,13分),加味帰脾湯(80重量%,12分),温清飲(70重量%,8分),清肺湯(80重量%,12.5分),大黄甘草湯(50重量%,8分),十味敗毒湯(70重量%,10分),当帰飲子(65重量%,9.5分),辛夷清肺湯(80重量%,13分),当帰四逆加呉茱萸生姜湯(75重量%,12分),麻黄附子細辛湯(55重量%,6分),乙字湯(65重量%,9分)である。
【0027】
この結果、使用した漢方エキスに依存して崩壊時間に違いがあるものの、長くとも15分以内で崩壊することが分かった。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
本実施の形態において、造粒時の攪拌回転速度はそれぞれ、底部撹拌装置(ブレード)が約200 回転/ 分、底部撹拌装置と異方向の撹拌装置(クロスセクション)が約3000回転/ 分である。
【0029】
(第1の実施の形態例)
防風通聖散エキス粉末含有の造粒物を以下のように製造した。
10重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フローライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入した。その後、水を15重量部添加、混合した。
【0030】
次に、防風通聖散エキス粉末を60重量部添加し3分間攪拌造粒を行った。造粒後、乾燥、整粒した。
さらに、乾燥、整粒後の顆粒に架橋ポリビニルピロリドン(商品名:Kollidon CL )を17重量部とステアリン酸マグネシウムを0.5重量部加え、打錠用顆粒とし、打錠機を用いて、円形の錠剤を製造した。
【0031】
この錠剤に対して、日本薬局方記載の崩壊試験法に従って行った結果、6錠の崩壊時間はそれぞれ,6分,6. 5分,6. 5分,7分,7分, 7分で、6錠平均で6. 7分であった。
(比較例1)
第1の実施の形態例の比較例1では,防風通聖散エキス粉末含有の造粒物を以下のように製造した。
【0032】
10重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フローライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入した。その後、水を30重量部添加、混合し、防風通聖散エキス粉末を60重量部添加し攪拌造粒した。
しかし、1分後に急激に底部撹拌装置(ブレード)の電流値が急激に上昇し、造粒が不可能であった。
【0033】
(比較例2)
第1の実施の形態例の比較例2では,防風通聖散エキス粉末含有の造粒物を以下のように製造した。
73重量部の防風通聖散エキス粉末と12重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フローライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入し、混合した。その後、防風通聖散エキス粉末と特殊ケイ酸カルシウムの混合重量に対して70重量%の水をスプレイ機を用い噴霧した。
【0034】
その結果、40分経過後、水を設定量の30%スプレイした時に、急激に底部撹拌装置(ブレード)の電流値が急激に上昇造粒が不可能になった。
(比較例3)
日本薬局法の崩壊試験法に従い、市販されている防風通聖散エキスの崩壊試験を行ったところ、6錠平均の崩壊時間は以下の通りであった。
【0035】
製品A: 35分
製品B: 40分
製品C: 38分
(第2の実施の形態例)
防已黄耆湯エキス粉末含有の造粒物を以下のように製造した。
【0036】
10重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フローライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入した。その後、水を15重量部添加、混合した。そして、防已黄耆湯エキス粉末を60重量部添加し、3分間攪拌造粒を行った。その後、乾燥、整粒した。
さらに、乾燥、整粒後の顆粒に架橋ポリビニルピロリドン(商品名:Kollidon CL )を18重量部とステアリン酸マグネシウムを0.5重量部加え、打錠用顆粒とし、打錠機を用いて、円形の錠剤を生成した。
【0037】
この錠剤に対して、日本薬局方記載の崩壊試験法に従って行った結果、6錠の崩壊時間はそれぞれ,6分,6. 5分,7分,7分,7分, 8分で、6錠平均で6.9分であった。
(比較例4)
第2の実施の形態例の比較例4では,防已黄耆湯エキス粉末含有の造粒物を以下のように製造した。
【0038】
10重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フローライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入した。その後、水を30重量部添加、混合した。そして、防已黄耆湯エキス粉末を60重量部添加し、攪拌造粒した。
その結果、1分経過後、急激に底部撹拌装置(ブレード)の電流値が急激に上昇、造粒が不可能であった。
【0039】
(比較例5)
第2の実施の形態例の比較例5では,防已黄耆湯エキス粉末の造粒物を以下のように製造した。
73重量部の防已黄耆湯エキス粉末と12重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フーライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入し、混合した。その後、防已黄耆湯エキス粉末と特殊ケイ酸カルシウムの混合重量に対して70重量%の水をスプレイ機を用い噴霧した。
【0040】
その結果、20分経過後、水を設定の30%量スプレイした時に、急激に底部撹拌装置(ブレード)の電流値が急激に上昇造粒が不可能になった。
(比較例6)
第5の実施の形態例の比較例6として、日本薬局方の崩壊試験法に従い、市販されている防已黄耆湯エキス錠の崩壊試験法を行ったところ、6錠平均の崩壊時間は以下の通りであった。
【0041】
製品D: 32分
製品E: 39分
(第3の実施の形態例)
八味地黄丸エキス粉末含有の造粒物を以下のように製造した。
10重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フローライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入した。その後、水を15重量部添加、混合した。そして、八味地黄丸エキス粉末を60重量部添加し3分間撹拌造粒した。造粒後、乾燥、整粒した。
【0042】
さらに、乾燥、整粒後の顆粒に架橋ポリビニルピロリドン(商品名:Kollidon CL )を18重量部とステアリン酸マグネシウムを0.5重量部加え、打錠用顆粒とし、打錠機を用いて、円形の錠剤を製造した。
この錠剤に対して、日本薬局方記載の崩壊試験法に従って行った結果、6錠の崩壊時間はそれぞれ,8分,8. 5分,8. 5分,9分,9分, 10分で、6錠平均で8.8分であった。
【0043】
(比較例7)
第3の実施の形態例の比較例7では,八味地黄丸エキス粉末の含有造粒物を以下のように製造した。
10重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フローライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入した。その後、水を25重量部添加、混合した。そして、八味地黄丸エキス粉末を60重量部添加し撹拌造粒した。しかし、1分経過後、急激に底部撹拌装置(ブレード)の電流値が急激に上昇し、造粒が不可能であった。
【0044】
(比較例8)
第3の実施の形態例の比較例8では、八味地黄丸エキス粉末含有の造粒物を以下のように製造した。
73重量部の八味地黄丸エキス粉末と12重量部の特殊ケイ酸カルシウム(商品名フローライトRE)を篩過し、バーチカルグラニュレーター(造粒機)に投入、混合した。その後、八味地黄丸エキス粉末と特殊ケイ酸カルシウムの混合重量に対して60重量%の水をスプレイを用い噴霧した。
【0045】
その結果、20分経過後、水を設定の25%量スプレイした時に、急激に底部撹拌装置(ブレード)の電流値が急激に上昇造粒が不可能になった。
(比較例9)
日本薬局法の崩壊試験法に従い、市販されている八味地黄丸エキス錠の崩壊試験を行ったところ、6錠平均の崩壊時間は以下の通りであった。
【0046】
製品F: 30分
製品G: 20分
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、ケイ酸カルシウムと漢方エキスあるいは生薬エキスの含有量の高い造粒物を、高速撹拌造粒機を用いて製造できる効果を有する。
さらに、この造粒物から崩壊性の良い高含有量漢方エキスあるいは生薬エキス配合錠剤が製造できる効果を有する。
Claims (9)
- 大きな細孔と細孔容積を有する花弁状結晶構造であるケイ酸カルシウム10重量部に対して水を3から30重量部加え、均一に混合・分散させた後、漢方エキス粉末を加え攪拌造粒することを特徴とする造粒物製造方法。
- 大きな細孔と細孔容積を有する花弁状結晶構造であるケイ酸カルシウム10重量部に対して水を3から30重量部加え、均一に混合・分散させた後、生薬エキス粉末を加え攪拌造粒することを特徴とする造粒物製造方法。
- 請求項1もしくは請求項2において、大きな細孔と細孔容積を有する花弁状結晶構造であるケイ酸カルシウム10重量部に対して水を5から20重量部加え攪拌造粒することを特徴とする造粒物製造方法。
- 請求項1または請求項2において、水の代わりに50重量%以下のエタノール含有水溶液を用いることを特徴とする造粒物製造方法。
- 請求項4において、ケイ酸カルシウム10重量部に対してエタノール含有水溶液を5から50重量部加えることを特徴とする造粒物製造方法。
- 請求項4において、ケイ酸カルシウム10重量部に対してエタノール含有水溶液を10から30重量部加えることを特徴とする造粒物製造方法。
- 大きな細孔と細孔容積を有する花弁状結晶構造であるケイ酸カルシウム10重量部に対して水を3から30重量部加え、均一に混合・分散させた後、漢方エキス粉末を加え攪拌造粒して製造された造粒物に、崩壊材を5から35重量部加えて製造する崩壊性に優れた錠剤の製造方法。
- 大きな細孔と細孔容積を有する花弁状結晶構造であるケイ酸カルシウム10重量部に対して水を3から30重量部加え、均一に混合・分散させた後、生薬エキス粉末を加え攪拌造粒して製造された造粒物に、崩壊材を5から35重量部加えて製造する崩壊性に優れた錠剤の製造方法。
- 請求項7または請求項8において、錠剤中のエキスの重量組成が、50から90重量%である崩壊性に優れた錠剤の製造方法。
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