JP2016222729A - 加味四物湯エキス末を含む造粒物 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、製造時の成形性に優れ、良好な崩壊性を備える加味四物湯エキス末含有造粒物を提供することである。【解決手段】加味四物湯エキス末とステアリン酸塩を併用して製剤化した加味四物湯エキス末含有造粒物は、製造時の成形性に優れ、良好な崩壊性を備えることができる。【選択図】なし

Description

本発明は、加味四物湯エキス末を含む造粒物に関する。より詳細には、本発明は、製造時の成形性に優れ、良好な崩壊性を備える加味四物湯エキス末含有造粒物に関する。
古来、生薬は漢方薬として使用されており、その漢方処方は、長年の経験の集積として多くの古典(万病回春、傷寒論、金匱要略等)に記載されている。しかしながら、古典に従って、生薬を切裁し、水で煎じて生薬中の成分を抽出した煎剤は、その独自の薬臭と呈味のために服用しづらいだけでなく、服用の度に調製しなければならないため、多くの手間と時間を要する。そこで、今日では、用時調製の手間を省け、服用し易い漢方製剤として、漢方薬エキス剤が利用されている。通常、漢方薬エキス剤は、切裁した生薬を、水やアルコール等の抽出溶媒で抽出し、この抽出液をそのまま又は濃縮、乾燥して漢方薬エキ
ス末を得、これを製剤化して、種々の剤型(例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、
顆粒剤等)にする方法により製されている。
従来、漢方薬エキス末を錠剤、顆粒剤、細粒剤等に製剤化する技術として、湿式造粒法と乾式造粒法が知られている。湿式造粒法は、溶媒を用いて混合、造粒をした後に乾燥を行って造粒物を得る製法であるが、溶媒を除去する際に高温加熱する必要があり、漢方薬エキス末に含まれる有効成分の損失が生じ得るという欠点があるため、一般的に漢方薬エキス末の製法には不向きと考えられている。一方、乾式造粒法は、混合、造粒の際に溶媒を利用しないため、高温加熱による有効成分の損失が生じないため、漢方薬エキス末の製法として適しており、従来、種々の漢方薬エキス末の製造に広く採用されている(例えば
、非特許文献1、特許文献1等参照)。
しかしながら、漢方薬エキス末は、その種類によって、吸湿性や安定性等の物性が異なるため、全ての漢方薬エキス剤に対して共通する処方や造粒法が適用できるものではない。特に、加味四物湯エキス末は、非常に高い吸湿性を有し、しかも成形性が悪いという特有の性質があることが知られている。そのため、加味四物湯エキス末を乾式造粒法によって製剤化に供する場合には、従来の技術では、多量の賦形剤を添加してその吸湿性及び成形性を改善することが必要とされている。
しかしながら、加味四物湯エキス末に多量の賦形剤を添加して造粒すると、成形性の欠点を改善できても、多量の賦形剤を含むことに起因して生じる造粒物の崩壊時間の遅延が問題となる。
このように、従来技術では、製造時の成形性に優れ、良好な崩壊性を備える加味四物湯エキス末含有造粒物の製剤化技術が確立しておらず、当該造粒物の提供を実現できていないのが現状であった。
中井由宣編、医薬品の開発、第11巻、製剤の単一操作と機械、48−49頁、廣川書店、1989年
特開平3−24019号公報
本発明は、製造時の成形性に優れ、良好な崩壊性を備える加味四物湯エキス末含有造粒物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、驚くべきことに、加味四物湯エキス末とステアリン酸塩を併用して製剤化した加味四物湯エキス末含有造粒物は、製造時の成形性に優れ、良好な崩壊性を備え得ることを見出した。更に、上記成分と共にショ糖脂肪酸エステルを配合することによって、加味四物湯エキス末含有造粒物の崩壊性をより一層向上できることも見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の造粒物を提供する。
項1.加味四物湯エキス末、及びステアリン酸塩を含有することを特徴とする、造粒物。
項2.ステアリン酸塩の含有量が、造粒物の総量当たり、2〜5重量%である、項1に記
載の造粒物。
項3.ステアリン酸塩がステアリン酸マグネシウムである、項1又は2に記載の造粒物。
項4.更に、ショ糖脂肪酸エステルを含有する、項1〜3のいずれかに記載の造粒物。
項5.ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数が12〜22である、項4に記載の造粒物。
項6.ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が10以上である、項4又は5に記載の造粒物。
項7.ステアリン酸塩1重量部当たり、ショ糖脂肪酸エステルが0.1〜5重量部の比率で含まれる、項4〜6の何れかに記載の造粒物。
本発明の造粒物は、非常に高い吸湿性を備える加味四物湯エキス末を含みながら、製造時の成形性が格段に向上しており、造粒時に生じる製造ロスを抑制できるため、工業的製造において高い製造効率を実現することができる。
また、本発明の造粒物は、良好な崩壊性を備えており、服用後に、体内で加味四物湯エキス末の所望効果を有効に奏させることが可能になっている。
本発明の造粒物は、加味四物湯エキス末、及びステアリン酸塩を含有することを特徴とする。以下、本発明について詳述する。
加味四物湯は、中国明時代の医書「万病回春」に記載されており、下肢の筋力低下、神経痛、関節の腫れや痛み、関節リウマチ、関節炎等を改善するために使用されることが多い処方である。加味四物湯は、当帰、川きゅう、芍薬、地黄、蒼朮、麦門冬、人参、牛膝、黄柏、五味子、黄連、知母、及び杜仲を含む混合生薬である。ここで、当帰とは、セリ科トウキの根;川きゅうとは、セリ科センキュウの根茎を湯通ししたもの;芍薬とは、ボタン科シャクヤク等の根;地黄とは、ゴマノハグサ科カヤジオウ等の根;蒼朮とは、キク
科ホソバオケラ等の根;麦門冬とは、ユリ科ジャノヒゲ等の根;人参とは、ウコギ科オタネニンジンの根;牛膝とは、ヒユ科ヒナタイノコズチ等の根;黄柏とは、ミカン科キハダの皮を除いた根;五味子とは、マツブサ科チョウセンゴミシの果実;黄連とは、キンポウゲ科オウレン等の根茎;知母とは、ユリ科ハナスゲの根茎;杜仲とは、トチュウ科トチュウの樹皮である。また、加味四物湯に含まれる生薬の内、蒼朮は、白朮(キク科オケラの根茎)と置換又は併用されていてもよい。本発明において、加味四物湯に含まれる各生薬の混合比については、特に制限されないが、通常、重量比で、当帰2.5〜3、川きゅう
2〜3、芍薬2〜3、地黄3〜8、蒼朮3(白朮の場合、2.5)、麦門冬2.5〜5、人参1.5〜2.5、牛膝1〜2.5、黄柏1.5、五味子1〜1.5、黄連1.5、知母1〜1.5、及び杜仲1.5〜2が挙げられる。
本発明に使用される加味四物湯エキス末とは、加味四物湯を抽出処理することにより得られる抽出液又はその濃縮液を、乾燥処理に供して得られる乾燥エキス粉末である。以下に、加味四物湯の抽出及び乾燥条件について説明する。
加味四物湯の抽出処理に使用される抽出溶媒としては、特に制限されないが、例えば、水、エタノール、酢酸及びこれらの混合液が挙げられる。
加味四物湯の抽出条件としては、特に制限されないが、例えば、加味四物湯の総重量(
乾燥重量換算)に対して、5〜25倍量、好ましくは10〜20倍量の抽出溶媒を加え、
通常70〜100℃で1〜2時間インキュベートして加熱煎出する方法が挙げられる。
斯して得られた加味四物湯抽出液について、濾過等により固形分を除去し、必要に応じ
て、濃縮した後に、乾燥処理に供される。加味四物湯の抽出液又はその濃縮液の乾燥方法
としては、特に制限されず、例えば、スプレードライ、減圧濃縮乾燥、凍結乾燥等が挙げ
られる。これらの乾燥方法の中でも、スプレードライ法が好適である。
加味四物湯抽出液を乾燥処理(特に、スプレードライによる乾燥処理)に供する場合、
加味四物湯抽出液に賦形剤を添加することが望ましい。このように賦形剤を添加することにより、乾燥時間を短縮すると共に、乾燥後の加味四物湯エキス末の吸湿性を低減させることも可能になる。加味四物湯抽出液の乾燥処理に際して添加される賦形剤としては、薬学的に許容されるものである限り、特に制限されず、例えば、無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、夕ルク、酸化チタン等の無機賦形剤;セルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース類;デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ等のデンプン類;デキストリン、ゼラチン等が挙げられる。これらの賦形剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
加味四物湯抽出液の乾燥処理に際して添加される賦形剤の量(即ち、加味四物湯エキス末に含まれる賦形剤量)としては、特に制限されるものではないが、例えば、加味四物湯抽出液の乾燥重量100重量部当たり、賦形剤が5〜70重量部、好ましくは20〜50重量部が挙げられる。
本発明の造粒物において、前記加味四物湯エキス末の含有量については、特に制限されないが、例えば、当該造粒物の総量当たり、加味四物湯エキス末の乾燥エキス量換算で、10〜85重量%、好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは30〜70重量%が挙げられる。本明細書において、加味四物湯エキス末の乾燥エキス量とは、加味四物湯エキス末中の加味四物湯由来成分の量であり、例えば、加味四物湯エキス末に賦形剤が含まれている場合には、当該賦形剤含量を除いて換算される値である。
本発明の造粒物は、前記加味四物湯エキス末と共に、ステアリン酸塩を含有する。このようにステアリン酸塩を含むことにより、製造時の成形性を格段に向上させ、しかも良好な崩壊性を備えることが可能になる。
本発明で使用されるステアリン酸塩としては、薬学的に許容されるものである限り、特に制限されず、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、製造時の成形性及び造粒物の崩壊性をより一層向上させるという観点から、好ましくはステアリン酸マグネシウムが挙げられる。
本発明の造粒物において、ステアリン酸塩の含有量は、特に制限されないが、当該造粒物の総量当たり、2〜5重量%が好ましい。とりわけ、ステアリン酸塩の含有量が2.5〜5重量%を充足する場合、造粒物に優れた崩壊性を備えさせつつ、製造時の成形性を格段顕著に向上させることができるので、本発明におけるステアリン酸塩の含有量として好適である。なお、従来、医薬製剤において、ステアリン酸塩は滑沢剤として使用されているが、例えば、ステアリン酸マグネシウムは過剰添加または過剰混合により成形阻害や成形品の崩壊不良を引き起こすことから(津田恭介ら、医薬品開発基礎講座X"18製剤工
学"170−173頁、地人書館(1971);砂田久一ら、打錠用顆粒に関する研究、PHARM TECH JAPAN,9,1139、(1993年)等参照)、0.1〜1重量%程度配合されるに留まっている。それに対して、本発明におけるステアリン酸塩の含有量は従来の配合量を遥かに超えており、従来の滑沢剤とは目的及び好適な含有量の双方の点で異なっている。
本発明の造粒物において、加味四物湯エキス末に対するステアリン酸塩の比率としては、特に制限されないが、例えば、加味四物湯エキス末の乾燥エキス量換算1重量部に対して、ステアリン酸塩が0.01〜0.5重量部、好ましくは0.025〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.5重量部、さらに好ましくは0.06〜0.5重量部、とくに好ましくは0.06〜0.25重量部が挙げられる。
本発明の造粒物は、上記成分の他に、ショ糖脂肪酸エステルを含有することができる。
ショ糖脂肪酸エステルを含有することによって、製造時の優れた成形性を保持しつつ、造粒物の崩壊性をより一層向上させることが可能になる。
本発明で使用されるショ糖脂肪酸エステルの種類については、特に制限されないが、例えば、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖ミリスチン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル、ショ糖アラキジン酸エステル、ショ糖ベヘニン酸エステル、ショ糖カプリン酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、ショ糖リノール酸エステル等が挙げられる。これらのショ糖脂肪酸エステルの中でも、造粒物の崩壊性をより一層向上させるという観点から、ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸が、好ましくは炭素数12〜22、更に好ましくは炭素数14〜20、特に好
ましくは炭素数16〜18のものが挙げられる。
また、本発明で使用されるショ糖脂肪酸エステルのHLB値としては、造粒物の崩壊性をより一層向上させるという観点から、好ましくは10以上、更に好ましくは11〜16が挙げられる。
本発明において、ショ糖脂肪酸エステルは1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
本発明の造粒物にショ糖脂肪酸エステルを含有させる場合、前記ステアリン酸塩とショ糖脂肪酸エステルの比率については、特に制限されないが、造粒物の崩壊性をより一層向上させるという観点から、ステアリン酸塩1重量部当たり、ショ糖脂肪酸エステルが、好ましくは0.1〜5重量部、更に好ましくは0.25〜4重量部、特に好ましくは0.5〜3重量部が挙げられる。
本発明の造粒物にショ糖脂肪酸エステルを含有させる場合、当該ショ糖脂肪酸エステルの含有量については、特に制限されず、前述するステアリン酸塩とショ糖脂肪酸エステルの比率等に応じて適宜設定される。例えば、ショ糖脂肪酸エステルの含有量として、当該造粒物の総量当たり、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜15重量%、より好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは0.75〜10重量%が挙げられる。
本発明の造粒物は、賦形剤を含有することもできる。本発明の造粒物に配合可能な賦形剤としては、薬学的に許容される限り特に制限されず、例えば、乳糖、ブドウ糖、麦芽糖、ショ糖、白糖等の糖類:マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、エリスリトール等の糖アルコール;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、小麦デンプン、米デンプン、α化デンプン、デキストリン、カルボキシメチルスターチ等のデンプン及びその誘導体;セルロース、結晶セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等のセルロース及びその誘導体;アラビアガム、デキストラン、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム等が挙げられる。これらの賦形剤は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの賦形剤の中でも、好ましくは糖類、更に好ましくは乳糖が挙げられる。
本発明の造粒物に賦形剤を含有させる場合、当該賦形剤の含有量については、特に制限
されないが、例えば、当該造粒物の総量当たり、通常5〜75重量%、好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは15〜40重量%が挙げられる。
また、本発明の造粒物は、必要に応じて、更に、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、保存剤、酸味料、甘味料、香料、着色料等を含有してもよい。
本発明の造粒物の平均粒径については、特に制限されないが、例えば、100〜2000μm、好ましくは250〜1500μm、更に好ましくは300〜1000μmが挙げられる。ここで、造粒物の平均粒径とは、第15改正日本薬局方の粒度測定法のふるい分け法に準じて行う際の積算50重量%の粒子径である。
本発明の造粒物の製造は、例えば、乾式造粒法、加熱造粒等の造粒法によって行うことができる。これらの造粒法の中でも、熱負荷が少なく、本発明の造粒物の成形性を高め、効率的な製造を行うには、乾式造粒法(特に、ローラーコンパクターを用いた乾式造粒法)が好適である。
本発明の造粒物は、そのまま顆粒剤又は細粒剤として提供することができるが、必要に応じて、水溶性高分子等によりコーティングを施してコーティング製剤として提供したり、カプセルに充填してカプセル剤として提供することもできる。更に、本発明の造粒物は、更に打錠成型に供して錠剤として提供してもよい。
本発明の造粒物は、下肢の筋力低下、神経痛、関節の腫れや痛み、関節リウマチ、関節炎等を改善するための漢方製剤として使用される。
本発明の造粒物を含む漢方製剤は、1日当たり、加味四物湯エキス末の乾燥エキス量換算で1000〜6000mg1日当たり1回又は数回に分けて経口投与することができ、その投与量は、年齢、体重、症状の程度等に応じて適宜調整することができる。
以下に、実施例等に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
試験例1
1.加味四物湯エキス末の製造
当帰3重量部、川きゅう3重量部、芍薬3重量部、地黄3重量部、蒼朮3重量部、麦門冬5重量部、人参2.5重量部、牛膝2.5重量部、黄柏1.5重量部、五味子1.5重量部、黄連1、5重量部、知母1.5重量部、及び杜仲1.5重量部の割合でとり、10倍量の水を用いて、約1時間加熱抽出を行った。得られた抽出液をろ過にて回収した。
得られた抽出液を70℃以下で減圧濃縮後、賦形剤を適当量添加して、スプレードライにより乾燥させて、加味四物湯エキス末(加味四物湯の乾燥エキス量70重量%、賦形剤30重量%含有)を得た。
2.造粒物の製造
上記で得られた加味四物湯エキス末、ステアリン酸マグネシウム、及び乳糖を、表1に示す割合で混合して、ローラーコンパクター(フロイント産業株式会社製)で圧縮成形した後に、ロールグラニュレーターを用いて粉砕することにより顆粒を得た。得られた顆粒の平均粒径は600〜900μmであった。
3.成形性及び崩壊性の評価
上記の顆粒製造時に、ローラーコンパクターのロールへの原料の付着の程度を目視にて観察し、下記の判定基準に従って、成形性を評価した。
<成形性の判定基準>
5:ロールへの原料の付着が全く認められず、圧縮成形・粉砕を全く問題なく行うことができた。
4:ロールに原料が僅かに付着していたが、圧縮成形に殆ど影響がなく、圧縮成形・粉砕を問題なく行うことができた。
3:ロールに原料が付着し、圧縮成形時に製造ロスを生じ、ローラーコンパクターによる圧縮成形物の製造効率が低下したが、圧縮成形・粉砕は行うことができた。
2:ロールへの原料の付着量が多く、時間の経過と共に、ローラーコンパクターによる圧縮成形物の製造効率が低下していき、最終的には、全ての原料を圧縮成形物にすることができなかった。
1:ロールへの原料の付着が顕著であり、ローラーコンパクターによる圧縮成形物を製造できなかった。
更に、上記で得られた顆粒について、第16改正日本薬局方の崩壊試験法に準じて、崩壊性の評価を行った。具体的には、30号篩に残留した顆粒を0.10gずつ補助筒に入れ、試験液として37±2℃の水を用いて試験機を作動させ、崩壊した時間を測定した。
4.結果
得られた結果を表1に示す。表1から明らかなように、ステアリン酸マグネシウムを配合せずに造粒した場合(比較例1)では、成型性が著しく悪く、顆粒の製造ができなかったが、ステアリン酸マグネシウムを配合して造粒した場合(実施例1−5)では、成型性が向上しており、高い製造効率で顆粒を製造することができた。とりわけ、ステアリン酸マグネシウムの含有量が2重量%以上、特に2.5〜4重量%の場合に、成形性が顕著に優れていた。また、ステアリン酸マグネシウムを配合した顆粒(実施例1−5)は、いずれも、崩壊時間が30分以内であり、良好な崩壊性を備えていることも確認された。
また、実施例3において、ステアリン酸マグネシウムに代えて、ステアリン酸カルシウム、又はステアリン酸アルミニウムを使用して顆粒を調製したところ、同様に成形性及び崩壊性に優れた顆粒を得ることができた。但し、成形性及び崩壊性は、ステアリン酸マグネシウムを配合した顆粒が、特に優れていた。
一方、実施例3において、ステアリン酸マグネシウムに代えてタルクを使用して顆粒を調製したところ、成形性及び崩壊性ともに優れた顆粒を得ることはできなかった。
試験例2
試験例1で調製した加味四物湯エキス末、ステアリン酸マグネシウム、ショ糖ステアリン酸エステル及び乳糖を、表2に示す割合で混合して、ローラーコンパクター(フロイント産業株式会社製)で圧縮成形した後に、ロールグラニュレーターを用いて粉砕することにより顆粒を得た。得られた顆粒の平均粒径は600〜950μmであった。顆粒製造時の成形性、及び顆粒の崩壊性について、試験例1と同様の方法で評価を行った。
得られた結果を表2に示す。この結果から、加味四物湯エキス末及びステアリン酸マグネシウムに加えて、ショ糖ステアリン酸エステルを配合することによって、優れた成形性を維持しつつ、崩壊性をより一層向上できることが確認された(実施例6−13)。とりわけ、ステアリン酸マグネシウム1重量部当たり、ショ糖ステアリン酸エステルが0.166〜4重量部、特に0.25〜3重量部の比率で含まれている場合には、崩壊性が格段顕著に向上することが明らかとなった。
試験例3
試験例1で調製した加味四物湯エキス末、ステアリン酸マグネシウム、表3に示す各種ショ糖脂肪酸エステル及び乳糖を、表3に示す割合で混合して、ローラーコンパクター(フロイント産業社製)で圧縮成形した後に、ロールグラニュレーターを用いて粉砕することにより顆粒を得た。得られた顆粒の平均粒径は500〜900μmであった。顆粒製造時の成形性、及び顆粒の崩壊性について、試験例1と同様の方法で評価を行った。
得られた結果を表3に示す。この結果から、ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数を変化させても、上記試験例2の結果と同様に、崩壊性をより一層向上させ得ることが確認された。特に、本結果から、ショ糖脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数が16〜18である場合やショ糖脂肪酸エステルのHLB値が11以上である場合(実施例15、16及び18)に、格段顕著に崩壊性を向上させ得ることも確認された。
処方例
下記表4〜6に、本発明の造粒物に関する処方例1〜18を示す。試験例1で調製した加味四物湯エキス末を用いて、常法により、処方例1〜18に示す組成の造粒物を製した。これらの造粒物についても試験例1と同様の試験を実施したところ、製造時の成形性に優れ、良好な崩壊性を有することが確認された。

Claims (7)

  1. 加味四物湯エキス末、及びステアリン酸塩を含有することを特徴とする、造粒物。
  2. ステアリン酸塩の含有量が、造粒物の総量当たり、2〜5重量%である、請求項1に記
    載の造粒物。
  3. ステアリン酸塩がステアリン酸マグネシウムである、請求項1又は2に記載の造粒物。
  4. 更に、ショ糖脂肪酸エステルを含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の造粒物。
  5. ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸の炭素数が12〜22である、請求項4に記載
    の造粒物。
  6. ショ糖脂肪酸エステルのHLB値が10以上である、請求項4又は5に記載の造粒物。
  7. ステアリン酸塩1重量部当たり、ショ糖脂肪酸エステルが0.1〜5重量部の比率で含
    まれる、請求項4〜6の何れかに記載の造粒物。
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