JP2021172614A - 漢方エキス製剤の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 漢方エキス製剤における崩壊性を向上させることができる新たな方法を提供する。【解決手段】 生薬の抽出物を加熱濃縮または減圧濃縮によりBrix値が約30%になるまで濃縮したところ、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させることができることを見出した。本発明の漢方エキス製剤の製造方法は、原生薬の抽出物をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含むことにより、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させることができる。本発明は、崩壊性が向上された、漢方エキス製剤を提供する。【選択図】 図1
Description
本発明は、漢方エキス製剤の製造方法および漢方エキス製剤の崩壊性を向上させる方法に関する。
漢方エキス製剤には、原生薬から抽出および濃縮された漢方エキスが含まれる。漢方エキスとして、原生薬から抽出および濃縮した後に噴霧乾燥等により粉末化した乾燥エキス末を用いることがある。
近年、漢方エキスの配合量の高い製剤の需要が高まっている。漢方エキス製剤は、独特の味や匂いなどがあることが多く、錠剤などの飲みやすい形態が好まれる。錠剤の小型化や、一回に摂取する錠剤数の低減なども求められている。
そのため、製剤における漢方エキスの配合割合を高くし、添加剤の割合を低減させた製剤の開発が進んでいる。しかし、添加剤の割合が少ないと、製剤の崩壊性が低下してしまうという問題がある。
特許文献1には、固形製剤の崩壊性の向上を目的として、植物の抽出物を含む原料液を、溶液温度70℃以下で噴霧乾燥処理に供する、植物エキス末の製造方法が報告されている。
効果が高く、かつ飲みやすい漢方エキス製剤を提供するため、漢方エキスの配合割合の高い製剤の崩壊性を向上させる、さらなる技術が求められている。
そこで、本発明は、漢方エキス製剤における崩壊性を向上させることができる新たな方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行い、生薬の抽出物を加熱濃縮または減圧濃縮によりBrix値が約30%になるまで濃縮したところ、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含む、漢方エキス製剤の製造方法を提供する。
また、本発明は、原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含む、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させる方法を提供する。
また、本発明は、原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含む方法によって製造された漢方エキス製剤であって、当該濃縮する工程を含まない方法によって製造された漢方エキス製剤と比較して崩壊性が向上された、漢方エキス製剤を提供する。
本発明は、原生薬の抽出液をBrix値が40%以上となるまで濃縮する工程を含む、漢方エキス製剤の製造方法を提供する。
また、本発明は、原生薬の抽出液をBrix値が40%以上となるまで濃縮する工程を含む、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させる方法を提供する。
また、本発明は、原生薬の抽出液をBrix値が40%以上となるまで濃縮する工程を含む方法によって製造された漢方エキス製剤であって、当該濃縮する工程を含まない方法によって製造された漢方エキス製剤と比較して崩壊性が向上された、漢方エキス製剤を提供する。
本発明であれば、漢方エキスの配合割合が高い場合でも、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させることができ、効果が高く、かつ飲みやすい漢方エキス製剤を提供することができる。
(漢方エキス製剤の製造方法)
本発明は、漢方エキス製剤の製造方法を提供する。本発明の製造方法は、原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程(以下、「濃縮工程」または「二次濃縮工程」ともいう。)を含む。
本発明は、漢方エキス製剤の製造方法を提供する。本発明の製造方法は、原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程(以下、「濃縮工程」または「二次濃縮工程」ともいう。)を含む。
本明細書において、漢方エキス製剤は、原生薬の抽出物を乾燥等して得られる漢方エキス粉末を含有する。漢方エキス粉末は、特に限定されないが、たとえば防風通聖散、葛根湯、小青竜湯、芍薬甘草湯、葛根湯加川きゅう辛夷、乙字湯、安中散、八味地黄丸、大柴胡湯、小柴胡湯、柴胡桂枝湯、柴胡桂枝乾姜湯、黄連解毒湯、防已黄耆湯、当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸、桂枝加竜骨牡蛎湯、麻黄湯、麦門冬湯、人参湯、白虎加人参湯、猪苓湯、補中益気湯、六君子湯、釣藤散、大黄甘草湯、小建中湯、大建中湯、牛車腎気丸、人参養栄湯、三黄瀉心湯、柴苓湯、黄連湯、当帰建中湯、麻子仁丸、麻黄附子細辛湯、桂枝加芍薬大黄湯、桔梗湯および甘草湯などであることができる。
原生薬は、上述したような漢方エキス粉末に通常使用される1種類の生薬または複数の生薬の組み合わせであることができる。生薬には、たとえばアセンヤク、イレイセン(威霊仙)、ウイキョウ(茴香)、エンゴサク(延胡索)、オウギ(黄耆)、オウゴン(黄岑)、オウバク(黄柏)、オウヒ(桜皮)、オウレン(黄連)、オンジ(遠志)、ガジュツ、カンキョウ(乾姜)、カッコン(葛根)、カッコウ、カロニン、カノコソウ、カンゾウ(甘草)、カミツレ、キキョウ(桔梗)、キクカ(菊花)、キジツ(枳実)、キョウニン(杏仁)、キョウカツ、キンギンカ(金銀花)、クジン(苦参)、ケイガイ(荊芥)、ケイヒ(桂皮)、ゲンチアナ、コウカ(紅花)、コウブシ(香附子)、コウベイ、コウボク(厚朴)、ゴオウ、ゴシツ(牛膝)、ゴシュユ(呉茱萸)、ゴボウシ(牛蒡子)、ゴミシ(五味子)、サイコ(柴胡)、サイシン(細辛)、サンシシ(山梔子)、サンシュユ(山茱萸)、サンショウ(山椒)、サンザシ(山査子)、サンズコン(山豆根)、サンソウニン(酸棗仁)、サンヤク(山薬)、サンナ(山奈)、ジオウ(地黄)、シオン、シャクヤク(芍薬)、ジャコウ、ショウマ(升麻)、シツリシ、シャゼンシ、シャゼンソウ、シャジン(シュクシャ(縮砂))、獣胆(ユウタンを含む)、ショウキョウ(生姜)、ジリュウ(地竜)、シンイ(辛夷)、ジコッピ(地骨皮)、シコン、セキサン(石蒜)、セッコウ(石膏)、セネガ、センコツ(川骨)、ゼンコ(前胡)、センキュウ(川きゅう)、センブリ、ソウジュツ(蒼朮)、ソウハクヒ(桑白皮)、ソヨウ(蘇葉)、ダイオウ(大黄)、タイソウ、タクシャ(沢瀉)、チクジョ、チクセツニンジン(竹節人参)、チョウジ(丁子)、チョウトウコウ(釣藤鈎)、チョレイ(猪苓)、チンピ(陳皮)、テンナンショウ(天南星)、トウガシ(冬瓜子)、トウキ(当帰)、トウニン(桃仁)、トコン、トチュウ、ドッカツ(独活)、ナンテンジツ、ニンジン(人参)、ニンドウ(忍冬)、バイモ、バクモンドウ、ハッカ(薄荷)、ハンゲ(半夏)、ビャクシ、ビャクシャク、ビャクジュツ(白朮)、ビワヨウ(枇杷葉)、ビンロウジ(檳榔子)、ブクリョウ(茯苓)、ボクソク(樸ソク)、ボタンピ(牡丹皮)、マオウ(麻黄)、マシニン(麻子仁)、モッコウ(木香)、ヨクイニン(ヨク苡仁)、リュウガンニク(竜眼肉)、リョウキョウ(良姜)、リュウコツ(竜骨)、リュウタン(竜胆)、レンニク(蓮肉)およびレンギョウ(連翹)などを使用することができる。
本発明で使用する生薬は、原料となる植物体そのものであってもよいし、原料を抽出処理した処理物であってもよい。本明細書において「処理物」には、原料に溶媒を加えて抽出することにより得られる抽出物、原料に圧搾処理を施した後に得られる圧搾液、および原料を圧搾後の残渣に溶媒を加えて抽出することに得られる抽出物、並びにこれらの抽出物または圧搾液を乾固させた乾固物などが含まれる。
本発明の製造方法において、濃縮工程に供する原生薬の抽出液は、当該技術分野において公知の任意の抽出液であることができる。濃縮工程に供する原生薬の抽出液は、たとえば原生薬から任意の抽出方法により抽出した抽出物の溶液だけでなく、該抽出物の濃縮物、および該濃縮物を乾燥して得た粉末を水に溶解した溶解物の溶液などであることができる。
本発明の製造方法の濃縮工程(二次濃縮工程)において、原生薬の抽出物は、Brix値が30%以上、たとえば40%以上、好ましくは45%以上となるまで濃縮する。
濃縮方法は、当該技術分野において公知の任意の濃縮方法を用いることができる。たとえば、濃縮方法は、加熱処理による濃縮および減圧濃縮などを用いることができる。加熱処理する場合、70℃〜100℃、たとえば80℃〜100℃、好ましくは85℃〜95℃で加熱してもよい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節することができる。たとえば、加熱は、抽出液が30%以上、たとえば40%以上のBrix値に濃縮されるまでの時間実施することができ、たとえば2時間以上、3時間以上、4時間以上および5時間以上であることができる。加熱する時間の上限は、特に限定されない。加熱処理は、攪拌しながら行ってもよい。減圧濃縮する場合、たとえば室温〜100℃、たとえば50℃〜100℃において減圧濃縮を行うことができる。
本明細書において、「Brix値」とは、糖の含有量を測るために糖度として用いられる物理量である。ショ糖1gのみを溶質として含む水溶液100gをBrix屈折計で測定したとき、その示度であるBrix値が1%である。たとえば、100gの溶液中に10gのショ糖が溶解した溶液(水は90g)は、Brix値が10%となる。生薬の抽出液についても、抽出液中の生薬成分の濃度がBrix値に対応することが分かっている。したがって、溶液中の生薬成分の固形分濃度(質量%)は、溶液のBrix値を測定することによって近似値を推定することができる。
図8には、上記の表1をグラフとして示した。縦軸に固形分濃度(%)、横軸にBrix値(%)をとると、縦軸の固形分濃度(%)が横軸のBrix値(%)に比例していることが分かる。葛根湯の場合、固形分濃度(%) = 0.9284×Brix値(%) + 0.2792の式で表される。ことのとき決定係数R2 = 0.9985である。
Brix値は、当該技術分野において通常使用される装置、たとえば糖度計、屈折計および密度計によって測定することができる。
本発明の製造方法において、加熱工程に供する原生薬の抽出物は、任意の抽出物であることができる。たとえば、加熱工程の前に、原生薬から抽出物を抽出する工程(以下、「抽出工程」ともいう。)で製造された抽出物であることができる。抽出工程では、特に限定されないが、たとえば、水、メタノールおよびエタノール等のアルコール類またはこれらの混合溶媒などの抽出溶媒を用いて、常温抽出または加熱抽出する方法を用いることができる。必要により、減圧または加圧下で抽出してもよい。また、加熱工程に供する原生薬の抽出物は、市販の抽出物を使用することもできる。
本発明の製造方法は、濃縮工程(二次濃縮工程)の前に、抽出工程において抽出された抽出物をある程度濃縮する工程(以下、「一次濃縮工程」ともいう。)をさらに含んでもよい。一次濃縮工程では、たとえば加熱処理による濃縮および減圧濃縮などの当該技術分野において公知の任意の方法を用いることができる。一次濃縮工程では、特に限定されないが、たとえばBrix値が3%〜4%程度の抽出液を約Brix値が20%〜30%となるくらいまで濃縮してもよい。
本発明の製造方法は、濃縮工程により得られた濃縮物を乾燥して漢方エキス粉末を得る工程(以下、「乾燥工程」ともいう。)をさらに含んでもよい。乾燥工程では、任意の方法で乾燥することができ、たとえば噴霧乾燥および凍結乾燥などの当該技術分野において公知の任意の乾燥方法を用いることができる。
本発明における濃縮工程(二次濃縮工程)は、抽出工程の後に行ってもよいし、抽出工程および一次濃縮工程の後に行ってもよい。また、濃縮工程(二次濃縮工程)は、乾燥工程の前に行ってもよい。たとえば、本発明の製造方法は、抽出工程および/または一次濃縮工程の後に濃縮工程(二次濃縮工程)を行い、その後乾燥工程を行ってもよい。
本発明の製造方法は、漢方エキス粉末を造粒する工程(以下、「造粒工程」ともいう。)をさらに含んでもよい。造粒工程では、たとえば湿式造粒および乾式造粒などを用いることができる。湿式造粒として、流動層造粒法、練合造粒法および押出造粒法などを用いることができる。
本発明の製造方法は、漢方エキス粉末を打錠する工程(以下、「打錠工程」ともいう。)をさらに含んでもよい。打錠工程では、漢方エキス粉末またはその造粒物を打錠する。漢方エキス粉末またはその造粒物は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤および滑沢剤等の担体と混合した後に打錠されてもよい。打錠方法には、漢方エキス粉末を造粒せずに打錠する直接打錠法および造粒後に打錠する顆粒打錠法などを用いることができる。
漢方エキス製剤における漢方エキス粉末の含有量は、当該技術分野において通常使用される含有量であることができる。漢方エキス製剤における漢方エキス粉末の含有量はたとえば1〜99重量%、10〜90重量%、20〜80重量%、30〜70重量%および40〜60重量%であってもよい。本発明の方法を用いれば、漢方エキス粉末を任意の含有量で含有する製剤であっても、その崩壊性を向上させることができる。
漢方エキス製剤は、固形製剤であることができる。固形製剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤およびトローチ剤などが含まれる。錠剤には、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠および溶解錠などが含まれる。
漢方エキス製剤は、漢方エキス粉末の他に、必要に応じて賦形剤、結合剤、崩壊剤、流動化剤および滑沢剤等を含有してもよい。漢方エキス製剤は、たとえば、乳糖、コーンスターチ、マルトースおよびマンニトール等の糖および糖アルコール、トウモロコシデンプン、デキストリンおよびアルファー化デンプン等のデンプンおよびデンプン誘導体、結晶セルロースおよびヒドロキシプロピルセルロース等のセルロースおよびセルロース誘導体、合成ケイ酸アルミニウム、リン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムおよびタルク等の無機物質などを含有してもよい。
本発明の製造方法であれば、漢方エキスの配合割合が高い場合でも、良好な崩壊性を有する漢方エキス製剤を製造することができる。
(崩壊性を向上させる方法)
本発明はまた、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させる方法を提供する。本発明の方法は、原生薬の抽出物を濃縮する工程(濃縮工程または二次濃縮工程)を含む。
本発明はまた、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させる方法を提供する。本発明の方法は、原生薬の抽出物を濃縮する工程(濃縮工程または二次濃縮工程)を含む。
本明細書において「崩壊性」とは、漢方エキス製剤の崩壊しやすさ、特に溶液中における崩壊しやすさ、たとえば口腔内および/または消化管内における崩壊しやすさを意味する。崩壊性は、たとえば日本薬局方6.09崩壊試験法に準拠して崩壊速度として測定することができ、たとえば富山産業株式会社製NT-400等の装置を使用して測定することができる。また、漢方エキス製剤が崩壊するとは、漢方エキス製剤が溶解し、分散し、または粉々になることを含む。本明細書において「崩壊性を向上させる」とは、崩壊するまでの時間が短縮されること、および崩壊速度が速くなることをいい、また、「崩壊性を向上させる」とは、本発明の崩壊性を向上させる方法による濃縮する工程を含まない方法によって製造された漢方エキス製剤と比較して、崩壊性を向上させることをいう。
本発明の崩壊性を向上させる方法において、濃縮工程に供する原生薬の抽出液は、当該技術分野において公知の任意の抽出液であることができる。濃縮工程に供する原生薬の抽出液は、たとえば上記のように、原生薬から任意の抽出方法により抽出した抽出物の溶液だけでなく、該抽出物の濃縮物および該濃縮物を乾燥して得た粉末を水に溶解した溶解物の溶液などであることができる。
本発明の製造方法の濃縮工程(二次濃縮工程)において、原生薬の抽出物は、Brix値が30%以上、たとえば40%以上、好ましくは45%以上となるまで濃縮する。
濃縮方法は、当該技術分野において公知の任意の濃縮方法を用いることができる。たとえば、濃縮方法は、加熱処理による濃縮および減圧濃縮などを用いることができる。加熱処理する場合、70℃〜100℃、たとえば80℃〜100℃、好ましくは85℃〜95℃で加熱してもよい。また、加熱時間は、加熱温度に応じて調節することができる。たとえば、加熱は、抽出液が30%以上、たとえば40%以上のBrix値に濃縮されるまで実施することができ、たとえば2時間以上、3時間以上、4時間以上および5時間以上実施することができる。加熱する時間の上限は、特に限定されない。加熱処理は、攪拌しながら行ってもよい。減圧濃縮する場合、たとえば室温〜100℃、たとえば50℃〜100℃において減圧濃縮を行うことができる。
本発明の方法は、濃縮工程の前に、原生薬から抽出物を抽出する工程(抽出工程)をさらに含んでもよい。また、本発明の方法は、濃縮工程の前に、抽出工程において抽出された抽出物をある程度濃縮する工程(一次濃縮工程)をさらに含んでもよい。また、本発明の方法は、濃縮工程により得られた濃縮物を乾燥して漢方エキス粉末を得る工程(乾燥工程)をさらに含んでもよい。また、本発明の方法は、漢方エキス粉末を造粒する工程(造粒工程)をさらに含んでもよい。また、本発明の方法は、漢方エキス粉末を打錠する工程(打錠工程)をさらに含んでもよい。
(崩壊性が向上された漢方エキス製剤)
また、本発明は、崩壊性が向上された漢方エキス製剤を提供する。本発明の漢方エキス製剤は、原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含む方法によって製造された漢方エキス製剤であって、濃縮する工程を含まない方法によって製造された漢方エキス製剤と比較して崩壊性が向上された、漢方エキス製剤である。
また、本発明は、崩壊性が向上された漢方エキス製剤を提供する。本発明の漢方エキス製剤は、原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含む方法によって製造された漢方エキス製剤であって、濃縮する工程を含まない方法によって製造された漢方エキス製剤と比較して崩壊性が向上された、漢方エキス製剤である。
本明細書において「崩壊性が向上された」とは、原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含まない方法によって製造された漢方エキス製剤と比較して、日本薬局方6.09崩壊試験法に準拠する測定法で測定したときの崩壊するまでの時間が短縮されたことをいう。
本発明の崩壊性が向上された漢方エキス製剤は、上記の漢方エキス製剤の製造方法によって製造することができる。たとえば、本発明の漢方エキス製剤は、原生薬の抽出物の抽出工程および任意に一次濃縮工程の後に濃縮工程を行い、その後乾燥工程を行い、次いで造粒工程または打錠工程を行うことによって製造することができる。
本発明の崩壊性が向上された漢方エキス製剤であれば、漢方エキスの配合割合が高い場合でも、漢方エキス製剤の崩壊速度が速い。
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(崩壊性の測定方法)
以下の各実施例において、製剤の崩壊性は、日本薬局方6.09崩壊試験法に準拠した方法で富山産業株式会社製NT-400によって測定した。
以下の各実施例において、製剤の崩壊性は、日本薬局方6.09崩壊試験法に準拠した方法で富山産業株式会社製NT-400によって測定した。
(減圧濃縮)
以下の各実施例において、減圧濃縮は、株式会社日阪製作所製フラッシュ式濃縮試験機REV-T2で行った。
以下の各実施例において、減圧濃縮は、株式会社日阪製作所製フラッシュ式濃縮試験機REV-T2で行った。
(実施例1)
防風通聖散、葛根湯、小青竜湯および芍薬甘草湯のエキス粉末は、自社において、一般的な製造方法を使用して各生薬を抽出、濃縮、殺菌および噴霧乾燥することにより製造した。
防風通聖散、葛根湯、小青竜湯および芍薬甘草湯のエキス粉末は、自社において、一般的な製造方法を使用して各生薬を抽出、濃縮、殺菌および噴霧乾燥することにより製造した。
防風通聖散、葛根湯、小青竜湯および芍薬甘草湯のエキス粉末を、50℃の精製水に溶解したものを通常品とした。防風通聖散溶液のBrix値は、22.6%であった。葛根湯溶液のBrix値は、21.7%であった。小青竜湯溶液のBrix値は、19.1%であった。芍薬甘草湯溶液のBrix値は、25.4%であった。濃縮エキス溶液は、それぞれのエキス粉末溶液をIHクッキングヒーターにて90℃で3時間、攪拌しながら加熱することにより濃縮した(濃縮品)。濃縮後の防風通聖散溶液のBrix値は、35.1%であった。濃縮後の葛根湯溶液のBrix値は、45%以上であった。濃縮後の小青竜湯溶液のBrix値は、32.0%であった。濃縮後の芍薬甘草湯溶液のBrix値は、45%以上であった。その後、Brix値が通常品と同じ約20-25%になるよう精製水で希釈したものを濃縮品とした。
濃縮品および通常品をそれぞれ凍結乾燥して粉砕し、エキス粉末を得た。エキス粉末8gと結晶セルロース2gとを混合し、手動式卓上錠剤成形機HANDTAB-200(市橋精機株式会社)を使用して、滑沢剤を塗布した杵臼において、以下の表に示す打錠圧で通常の手順で単発打錠して素錠を作製した。各錠剤の性質を以下の表2〜9に示す。各表において、それぞれの打錠圧で打錠した2個の素錠について、表に示した性質を測定した。質量、厚さ、硬度および崩壊について、それぞれ同程度の打錠圧で打錠した1個の素錠で測定した。
防風通聖散の錠剤の崩壊性を図1に、葛根湯の錠剤の崩壊性を図2に、小青竜湯の錠剤の崩壊性を図3に、芍薬甘草湯の錠剤の崩壊性を図4に示す。各図において、横軸は、硬度(kgf)を示し、縦軸は、崩壊時間(分)を示す。全てのエキス粉末において、濃縮処理を行った濃縮品は通常品よりも崩壊性が向上した。防風通聖散のエキス粉末では、濃縮品の溶解速度が24分以下に向上した。葛根湯のエキス粉末では、濃縮品の溶解速度は72分以下に向上した。小青竜湯のエキス粉末では、濃縮品の溶解速度は103分以下に向上した。芍薬甘草湯のエキス粉末では、濃縮品の溶解速度は52分以下に向上した。
(実施例2)
防風通聖散について、生薬からエキスを抽出してエキス粉末を得る過程で濃縮処理を行った。
防風通聖散について、生薬からエキスを抽出してエキス粉末を得る過程で濃縮処理を行った。
水15870gと生薬1587gを混合し、エキスを抽出した(Brix値:約3%)。これを濾過し、抽出液を60℃で減圧濃縮した(一次濃縮;Brix値:約18%)。これを通常品とした。次いで、この通常品をIHクッキングヒーターにて90℃で3時間、攪拌しながら加熱して濃縮した。濃縮した抽出液のBrix値は、約21%であった。その後、Brix値が18%になるよう精製水で希釈した(濃縮品)。
濃縮品および通常品をそれぞれ凍結乾燥して粉砕し、エキス粉末を得た。エキス粉末と結晶セルロースとを混合し、滑沢剤を塗布した杵臼において、通常の方法で単発打錠して素錠を作製した。各錠剤の性質を以下の表10〜11に示す。各表においてそれぞれの打錠圧で打錠した2個の素錠について、表に示した性質を測定した。質量、厚さ、硬度および崩壊について、それぞれ同程度の打錠圧で打錠した1個の素錠で測定した。
防風通聖散の錠剤の崩壊性を図5に示す。図5において、横軸は、硬度(kgf)を示し、縦軸は、崩壊時間(分)を示す。濃縮品は通常品よりも崩壊性が高かった。
(実施例3)
葛根湯について、生薬からエキスを抽出してエキス粉末を得る過程で加熱濃縮処理を行った。
葛根湯について、生薬からエキスを抽出してエキス粉末を得る過程で加熱濃縮処理を行った。
水15625gと生薬1562.5gを混合し、エキスを抽出した(Brix値:約4%)。これを濾過し、抽出液を60℃で減圧濃縮した(一次濃縮;Brix値:約25%)。これを通常品とした。次いで、この通常品をIHクッキングヒーターにて90℃で2時間、攪拌しながら加熱することにより濃縮した(二次濃縮)。濃縮後のBrix値は、45%以上であった。その後、もとのBrix値25%となるよう精製水で希釈した(濃縮品)。
濃縮品および通常品をそれぞれ凍結乾燥して粉砕し、エキス粉末を得た。エキス粉末と結晶セルロースとを混合し、滑沢剤を塗布した杵臼において、通常の方法で単発打錠して素錠を作製した。各錠剤の性質を以下の表12〜13に示す。各表においてそれぞれの打錠圧で打錠した2個の素錠について、表に示した性質を測定した。質量、厚さ、硬度および崩壊について、それぞれ同程度の打錠圧で打錠した1個の素錠で測定した。
葛根湯の錠剤の崩壊性(min)を図6に示す。図において、横軸は、硬度(kgf)を示し、縦軸は、崩壊時間(分)を示す。濃縮品は通常品よりも崩壊性が高かった。
(実施例4)
葛根湯について、生薬からエキスを抽出してエキス粉末を得る過程で加熱濃縮処理または減圧濃縮処理を行い、崩壊性を比較した。
葛根湯について、生薬からエキスを抽出してエキス粉末を得る過程で加熱濃縮処理または減圧濃縮処理を行い、崩壊性を比較した。
水と生薬を混合し、エキスを抽出した(Brix値:約4%)。これを濾過し、抽出液を60℃で減圧濃縮した(一次濃縮;Brix値:約25%)。これを通常品とした。次いで、この通常品をさらに濃縮した。加熱濃縮処理を行う群では、通常品をIHヒーターにて90℃で2時間、攪拌しながら加熱することにより濃縮した(二次濃縮)。濃縮後のBrix値は、45%以上であった。また、減圧濃縮処理を行う群では、通常品を60℃で45分間減圧濃縮を行った(二次濃縮)。濃縮後のBrix値は、約49%であった。その後、それぞれもとのBrix値25%となるよう精製水で希釈した(加熱濃縮品および減圧濃縮品)。なお、通常品および加熱濃縮品は、実施例3において調製した試料を使用した。
加熱濃縮品、減圧濃縮品および通常品をそれぞれ凍結乾燥して粉砕し、エキス粉末を得た。エキス粉末と結晶セルロースとを混合し、滑沢剤を塗布した杵臼において、通常の方法で単発打錠して素錠を作製した。各錠剤の性質を以下の表14〜16に示す。各表においてそれぞれの打錠圧で打錠した2個の素錠について、表に示した性質を測定した。質量、厚さ、硬度および崩壊について、それぞれ同程度の打錠圧で打錠した1個の素錠で測定した。
葛根湯の錠剤の崩壊性を図7に示す。加熱濃縮品および減圧濃縮品は、いずれも通常品よりも崩壊性が高かった。
(実施例5)
葛根湯のエキス粉末を精製水に溶解したエキス溶液について、種々の濃縮温度および濃縮方法で濃縮処理を行った。
葛根湯のエキス粉末を精製水に溶解したエキス溶液について、種々の濃縮温度および濃縮方法で濃縮処理を行った。
実施例1と同様に、葛根湯のエキス粉末を精製水に溶解した後、濃縮処理を行わなかったものを対照とした(通常品)。加熱濃縮エキス溶液は、それぞれのエキス粉末を50℃の精製水に添加して溶解したエキス溶液を加熱した。エキス溶液を90℃でBrix値60.8%に(水浴)、90℃でBrix値45.5%に(水浴)、90℃でBrix値30.4%に(水浴)、50℃でBrix値30.8%に(濃縮装置)、60℃でBrix値49.4%に(濃縮装置)濃縮した。上記において、水浴にて加熱濃縮した試料を(水浴)と示し、濃縮装置で減圧濃縮した試料を(濃縮装置)と示した。示したBrix値まで濃縮後、それぞれもとのBrix値20%となるよう精製水で希釈した(加熱濃縮品および減圧濃縮品)。また、加熱濃縮処理も減圧濃縮処理も行わなかったものを対照とした(通常品)。なお、通常品および60℃でBrix値49.4%に(濃縮装置)濃縮した減圧濃縮品は、それぞれ実施例3および実施例4において調製した試料を使用した。
加熱濃縮品、減圧濃縮品および通常品をそれぞれ凍結乾燥して粉砕し、エキス粉末を得た。エキス粉末と結晶セルロースとを混合し、滑沢剤を塗布した杵臼において、通常の方法で単発打錠して素錠を作製した。各錠剤の性質を以下の表17〜22に示す。各表においてそれぞれの打錠圧で打錠した2個の素錠について、表に示した性質を測定した。質量、厚さ、硬度および崩壊について、それぞれ同程度の打錠圧で打錠した1個の素錠で測定した。
葛根湯の各濃縮温度および濃縮方法で濃縮した錠剤の崩壊性を図8に示す。図8において、横軸は、硬度(kgf)を示し、縦軸は、崩壊時間(分)を示す。
90℃でBrix値60.8%に濃縮すると、通常品よりも崩壊時間が早く崩壊性が向上した。また、90℃でBrix値45.5%に濃縮すると、通常品よりも崩壊時間が早く崩壊性が向上した。また、90℃でBrix値30.4%に濃縮すると、通常品よりも崩壊時間が早く崩壊性が向上した。
50℃でBrix値30.8%に濃縮すると、通常品よりも崩壊時間が早く崩壊性が向上した。また、上記の実施例4のとおり、60℃でBrix値49.4%に濃縮すると、通常品よりも崩壊時間が早く崩壊性が向上した。
上記の結果より、生薬の抽出液は、濃縮温度および濃縮方法に関わらずBrix値約30%以上に濃縮すると崩壊性が向上することが明らかとなった。また、Brix値約40%以上に濃縮すると十分に崩壊性が向上することが明らかとなった。
本発明は、漢方エキスの配合割合が高い漢方エキス製剤の製造に好適に利用可能である。
Claims (6)
- 原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含む、漢方エキス製剤の製造方法。
- 原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含む、漢方エキス製剤の崩壊性を向上させる方法。
- 原生薬の抽出液をBrix値が30%以上となるまで濃縮する工程を含む方法によって製造された漢方エキス製剤であって、前記濃縮する工程を含まない方法によって製造された漢方エキス製剤と比較して崩壊性が向上された、漢方エキス製剤。
- 原生薬の抽出液をBrix値が40%以上となるまで濃縮する工程を含む、請求項1に記載の漢方エキス製剤の製造方法。
- 原生薬の抽出液をBrix値が40%以上となるまで濃縮する工程を含む、請求項2に記載の漢方エキス製剤の崩壊性を向上させる方法。
- 原生薬の抽出液をBrix値が40%以上となるまで濃縮する工程を含む方法によって製造された、請求項4に記載の漢方エキス製剤。
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