JP4173577B2 - 固形安中散製剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸および結晶セルロースを含有してなる固形安中散製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
生薬製剤のうち、生薬末あるいは生薬末より抽出したエキスに適当な添加剤を加え、細粒状散剤としたものは投与量の調整が簡単で溶解分散性が良好なので汎用されている。しかし、粒子径が小さく密度が小さいため、飛散しやすく取り扱いが難しいのが欠点である。さらに生薬によっては溶解度が大きく、粘着性が大きいため、服用時、口腔内に付着することがある。また生薬の多くは苦味を有するため、コンプライアンスの問題がある。そのため散剤以外の製剤として錠剤が商品設計されることが多い。
特公平6−43325、特公平6−43337、特公平7−98752、特開平6−172195には漢方処方、生薬あるいはそれらの抽出物を配合した固形製剤について記載されている。特開平6−192113には安中散を配合した造粒物が記載されている。特開平6−312933にはケイヒを含有する錠剤が記載されている。特開平8−104650には特定の結晶セルロースを含有する漢方薬粉末もしくは生薬粉末を含有する錠剤が記載されている。粉体工学会誌 33巻 638頁 1996年には生薬末錠剤の成形性改善に及ぼす無機化合物の有用性が記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
生薬を含有する固形製剤は圧縮成形性が著しく劣るため、必要な強度を付与しつつ摩耗性の良好な製剤を得るためのいくつかの方法が提案されている。例えば、(1)顆粒内結合剤の添加濃度を上げる方法、(2)成形圧力を上げる方法、(3)錠剤の形状を工夫する方法、(4)顆粒外に結晶セルロース等の添加剤を加える方法が報告されている。
前記(1)の方法ではセルロース系およびデンプン系の結合剤が汎用されているが、生薬製剤では十分な効果は得られていない。また結合剤を増量すると、例えばヒドロキシプロピルセルロースでは強度は改善されるが、溶出性および崩壊性が劣る。
前記(2)の方法により、一般的な乳糖あるいはデンプン系の製剤では圧縮圧に比例して強度が増大するが、生薬製剤では粒子が塑性変形しにくく、圧力伝達性が悪いため、打錠機の限界に近い高い圧力で打錠しても強度は得られにくい。さらに打錠機への大きな負担や杵、臼の寿命などの問題がある。
前記(3)において杵形状をかえて、キャッピングやラミネーション等の障害を回避したり、カケ・ワレ等を抑制して強度を保持する方法が報告されているが、生薬製剤では、それほど大きな効果は得られない。
前記(4)の方法に関して、結晶セルロース、直打用乳糖、ケイ酸カルシウム、リン酸水素カルシウム等はそれ自体成形性が良く、多くの結晶性医薬品の賦形剤として優れた効果を有している。しかし生薬製剤では、例えば単に結晶セルロースを添加しても期待するような錠剤強度は得られない。このため、十分な強度を得るために多量の結晶セルロースの添加が必要となり、その結果、製剤が大きくなるなどの問題がある。また、添加剤として合成ケイ酸アルミニウムあるいは合成ヒドロタルサイト等の無機化合物を用いることが報告されている。しかし、この方法ではある程度強度は得られるものの摩耗しやすいことに加え、無機化合物の多量な添加が求められるため製剤が大きくなり服用しにくいなどの問題がある。
【0004】
【発明を解決するための手段】
本発明者らは生薬、とりわけ安中散に結晶セルロースおよび軽質無水ケイ酸カルシウムを配合することを着想し、かかる着想に基づいて鋭意研究した結果、製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸および結晶セルロースを配合することにより成形性及び摩耗性が著しく改善されることを見出し、さらに検討を重ね、本発明を完成した。
すなわち、本発明は
(1)製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸および結晶セルロースを含有してなる固形安中散製剤、
(2)軽質無水ケイ酸が製剤全体に対して5重量%をこえて15重量%以下である前記(1)記載の製剤、
(3)安中散末と安中散料エキス乾燥末を含有する前記(1)記載の製剤、
(4)錠剤である前記(1)記載の製剤、
(5)製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸および結晶セルロースを配合してなる固形安中散製剤の成形性改善方法、
(6)製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸および結晶セルロースを配合してなる固形安中散製剤の摩耗性改善方法、
(7)▲1▼安中散末、安中散料エキスもしくはそれらの混合物、▲2▼製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸および▲3▼結晶セルロースを混合し圧縮成形することを特徴とする固形安中散製剤の製造法、及び
(8)安中散末、安中散料エキスもしくはそれらの混合物に、必要により軽質無水ケイ酸を加えて顆粒を製造し、ついで前記軽質無水ケイ酸との和が製剤全体に対して5重量%をこえる量の軽質無水ケイ酸および結晶セルロースを混合し、圧縮成形することを特徴とする固形安中散製剤の製造法に関する。
【0005】
安中散は、ケイヒ3〜5、エンゴサク3〜4、ボレイ3〜4、ウイキョウ1.5〜2、シュクシャ1〜2、カンゾウ1〜2、リョウキョウ0.5〜1、ブクリョウ5.0(ブクリョウのない場合も可)の成分比で配合した漢方処方の1つである。神経性胃炎、げっぷ、胃アトニー、胃のもたれ、食欲不振、胸やけに効果を示す。本発明では、安中散は製剤全体に対して約0.01〜90重量%配合される。好ましくは製剤全体に対して約50〜90重量%、より好ましくは製剤全体に対して約70〜90重量%配合される。安中散は安中散末単独、エキス単独あるいはそれらの混合物を含む。エキスはその乾燥末であってもよい。本発明では安中散末とエキスはそれぞれを単独で用いることもできる。好ましくは安中散末とエキスの混合物が用いられる。安中散末とエキスの配合比は乾燥重量比で好ましくは約10:0.1〜0.1:10、より好ましくは約10:1〜1:10、さらに好ましくは約10:1〜1:1の割合で配合される。乾燥重量比でエキスに比べ、安中散末の配合量が多い場合が特に好ましい。
【0006】
本発明の製剤で用いられる結晶セルロースは平均重合度、見かけ比容積、見かけタッピング比容積、比表面積、酢酸保持率、粒度分布、圧縮特性、破壊強度、圧縮成形特性等について特に限定はない。例えば、アビセルPH-101, PH-105[(商品名) 米国FMC社]; アビセルPH-101, PH-102, PH-105, PH-301, PH-302, PH-F20, セオラスKG801[(商品名) 旭化成工業株式会社]等を用いることができる。結晶セルロースはかさ密度 約0.1〜0.3g/cm3が好ましい。平均粒径は約40〜80μmが好ましい。重合度は約100〜300が好ましい。結晶セルロースの配合量は製剤全体に対して好ましくは約1〜50重量%、より好ましくは約3〜20重量%、さらに好ましくは約5〜10重量%である。
【0007】
本発明の製剤で用いられる軽質無水ケイ酸には特に限定はない。例えば、カープレックス[(商品名) 塩野義製薬株式会社];AEROSIL[(商品名) 日本アエロジル株式会社];サイリシア320[(商品名) ワイ・ケイ・エフ有限会社];アドソリダ-101[(商品名) フロイント産業株式会社]等が提供されている。軽質無水ケイ酸の配合量は製剤全体量に対して5重量%を超える量、好ましくは5重量%をこえて20重量%以下、より好ましくは5重量%をこえて15重量%以下である。本発明における軽質無水ケイ酸は成形性あるいは摩耗性の改善に関与するばかりでなく、エキスを配合する場合にエキスを吸着させるために有効である。これによりエキスを含んだ混合物の造粒を容易に行うことができる。
【0008】
本発明の製剤は固形であれば特にその大きさは制限されるものではない。本発明の製剤として、例えば顆粒剤、錠剤等が挙げられる。顆粒剤の場合、平均粒径は通常 約0.4〜1.4mmである。錠剤の場合は直径は通常約5〜15mm、好ましくは約8mm〜11mmである。さらには厚さは通常、約3〜6mmである。製剤の大きさとしては、顆粒剤より大きく通常の錠剤よりも小さな固形製剤にも適用することができる。好ましくは錠剤が用いられる。錠剤として例えば内服用錠剤、口腔用錠剤、非経口用錠剤あるいは外用錠剤等が挙げられる。好ましくは内服用錠剤として用いられる。本発明製剤は成形時あるいは成形後、コーティングされてもよい。例えば、圧縮コーティング錠、フィルムコーティング錠あるいは糖衣コーティング錠であってもよい。コーティング法としては自体公知の方法、例えば、パンコーティング法、流動コーティング法、スプレーコーティング法、転動コーティング法等を用いることができる。コーティング基剤としては、例えば白糖などの糖衣基剤;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶性フィルム基剤;ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーなどの酸可溶性フィルム基剤;酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマーL,LD,S、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、カルボキシメチルエチルセルロース、セラックなどの腸溶性フィルム基剤;エチルセルロース、アミノアルキルメタアクリレートコポリマーRS、アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチル・共重合体乳濁液、硬化ヒマシ油、ステアリン酸などの徐放性フィルム基剤;カルナバロウなどのワックス類;ステアリン酸マグネシウムなどの高級脂肪酸の金属塩;酸化チタンなどが挙げられる。
【0009】
本発明の固形製剤は好ましくは圧縮成形により製造される。圧縮成形により得られる錠剤製造時の圧縮圧は通常杵当り約300〜5000kg、好ましくは杵当り約1000〜3000kgである。錠剤の成形においては自体公知の方法、例えば直接粉末圧縮法、湿式顆粒圧縮法および乾式顆粒圧縮法等を用いることができる。好ましくは湿式顆粒圧縮法あるいは乾式顆粒圧縮法が用いられる。より好ましくは湿式顆粒圧縮法が用いられる。湿式顆粒圧縮法あるいは乾式顆粒圧縮法に用いられる顆粒は通常、平均粒径 約50〜1000μm、好ましくは約150〜500μmである。該顆粒は安中散を含有し、製剤全体に対して、好ましくは約50〜95重量%、より好ましくは約70〜95重量%用いられる。該顆粒は湿式造粒法あるいは乾式造粒法等の自体公知の製法で得ることができる。湿式造粒法の例として流動層造粒法、破砕造粒法、攪拌造粒法、液相造粒法、真空凍結造粒法、押し出し造粒法などが挙げられる。また、乾式造粒法では圧縮造粒法、溶融造粒法などが挙げられる。好ましくは湿式造粒法が用いられる。より好ましくは攪拌造粒法が用いられる。湿式造粒法において得られた該顆粒は溶媒含量が通常、約1〜10重量%、好ましくは約3〜7重量%まで乾燥させられる。乾燥は自体公知の方法によって行うことができる。湿式造粒に用いられる溶媒としてはアルコール類、水あるいはそれらの混合物が用いられる。好ましくは水、エタノールあるいはそれらの混合物が用いられる。より好ましくは水が用いられる。該顆粒は乾燥後、先述の好ましい粒径に粉砕、整粒される。また、該顆粒には製剤全体に配合される軽質無水ケイ酸の一部が含まれていることが好ましく、軽質無水ケイ酸の該顆粒への配合割合は製剤全体に対して好ましくは約10〜90重量%、より好ましくは約30〜70重量%である。
本発明顆粒剤は、例えば先述の顆粒圧縮法に用いる顆粒の製法に記載した自体公知の製法により得ることができる。
【0010】
製剤全体において安中散含有顆粒100重量部に対して結晶セルロースは好ましくは約1〜50重量部、より好ましくは約3〜20重量部、さらに好ましくは約5〜10重量部配合される。また、軽質無水ケイ酸は安中散含有顆粒100重量部に対して好ましくは約0.1〜10重量部、より好ましくは約0.5〜5重量部配合される。
【0011】
圧縮成形時あるいは顆粒造粒時にさらに薬理的に許容される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などを含んでいてもよい。例えば、乳糖、白糖、マンニトール、トウモロコシデンプン(コーンスターチ)、バレイショデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、(好ましくはコーンスターチ)などの賦形剤;例えば、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2906、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2910等)、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニールアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、デキストリン、デンプン、アルファー化デンプン、アラビアゴム末、プルランなどの結合剤;カルメロースカルシウム[例えば、ECG505(商品名)等]、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、クロスカルメロースナトリウム[例えば、アクジゾル(商品名)等]、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、低置換度カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、[好ましくはカルメロースカルシウム[例えば、ECG505(商品名)等]]などの崩壊剤;例えば、ステアリン酸金属塩(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、タルク、コロイドシリカ、(好ましくはステアリン酸マグネシウム)などの滑沢剤等が挙げられる。これら賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0012】
以下に、本発明の代表的な製剤である湿式顆粒圧縮法による錠剤の製造法の一例を示す。
1.打錠用顆粒に配合される安中散含有顆粒の製造
打錠用顆粒に配合される安中散含有顆粒は次のように製造される。安中散末、エキスあるいはそれらの混合物に軽質無水ケイ酸、崩壊剤、賦形剤を吸着練合する。エキスを用いる際はエキス自身の溶媒を用いて吸着練合できるが、安中散末あるいはエキスの乾燥末を用いる際は先述の溶媒を添加する。造粒後、乾燥、粉砕、整粒することにより安中散含有顆粒を得ることができる。
2.打錠用顆粒の調製
本発明で用いる打錠用顆粒とは圧縮形成を行うための原料混合物を示し、第十三改正日本薬局方に定める顆粒の粒径とは必ずしも一致しない。結晶セルロース、軽質無水ケイ酸、安中散含有顆粒、滑沢剤を混合して打錠用顆粒を得、該打錠用顆粒を圧縮成形することにより錠剤を得ることができる。混合の際、好ましくは配合すべき結晶セルロースを用いて、軽質無水ケイ酸・結晶セルロース混合物、滑沢剤・結晶セルロース混合物を事前に調製し、安中散含有顆粒、結晶セルロース残部と混合することにより打錠用顆粒を得ることができる。なお、製剤全体に対する軽質無水ケイ酸の配合量が安中散含有顆粒中に5重量%をこえる量が含まれていない時には、該打錠用顆粒に5重量%を越えるように添加する。
3.圧縮形成
得られた打錠用顆粒は先述の圧縮圧により成形し、本発明の製剤の一例である錠剤を得ることができる。
【0013】
本発明製剤の投与量は「1994−95 一般薬 日本医薬品集」 日本医薬情報センター編 薬業時報社 記載の漢方製剤の製造承認基本方針・基準に従って規定される。本発明製剤の場合、製剤当たりの安中散の含有量により左右されるが、成人1日当たり1日2〜3回、錠剤であれば1回2〜3錠を経口投与することが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
さらに下記の参考例、実施例、試験例で本発明を詳しく説明するが、これらは単なる例であって本発明を限定するものではない。
【0015】
【実施例】
参考例1
打錠用顆粒に配合される安中散含有顆粒の製造
乾燥重量として576.0gを含む安中散料エキスに安中散末1800.0gおよび軽質無水ケイ酸[サイリシア320(商品名) ワイ・ケイ・エフ有限会社]102.6g、カルメロースカルシウム[ECG505(商品名) 五徳薬品株式会社]46.44g、コーンスターチ66.96gを加えて吸着練合し、バーチカルグラニュレーター(パウレック製)を用いて攪拌造粒した。水分含有量5.5重量%まで乾燥後、パワーミル(昭和化学機械製)を用いて粉砕、整粒して平均粒径250μmの安中散含有顆粒2592.0gを得た。錠剤1錠あたりに含有される安中散含有顆粒の処方を表1に示す。
【0016】
実施例1
ステアリン酸マグネシウム[ステアリン酸マグネシウム100(商品名) 堺化学工業株式会社]7.2gを結晶セルロース[アビセルセオラスKG801(商品名) 旭化成工業株式会社]の一部32.8gと混合した後、標準篩30号(L:0.5mm)を使用して篩過した。軽質無水ケイ酸[サイリシア320(商品名) ワイ・ケイ・エフ有限会社]60.0gは、結晶セルロースの一部40.0gと混合後、標準篩60号(L:0.25mm)を使用して篩過した。参考例1で得られた安中散含有顆粒のうち2160.0gに結晶セルロースの残部100.0g及び結晶セルロースと篩過混合した軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを添加し、ポリ袋中でさらに混合して打錠用顆粒を得た。打錠は、ロータリー打錠機(コレクト24K、菊水製作所)を用いて、9.5mmΦ隅角平面杵で1錠当り400mgで行い、直径9.5mmの錠剤を得た。圧縮圧は杵当り1500kg、2000kg、2500kgとした。また予圧は錠剤の最終厚みの110%の厚みとなるように設定した。錠剤1錠あたりの処方を表2に示す。
【0017】
実施例2
参考例1で得られた安中散含有顆粒(水分含有量5.5重量%)にかえて水分含有量3.5重量%の安中散含有顆粒を使用した以外は、実施例1と同様に製造を行い、杵当り2000kgの圧縮圧で打錠し、直径9.5mmの錠剤を得た。錠剤1錠あたりの処方を表2に示す。
【0018】
比較例1
ステアリン酸マグネシウム[ステアリン酸マグネシウム100(商品名) 堺化学工業株式会社]7.2gを結晶セルロース[アビセルセオラスKG801(商品名) 旭化成工業株式会社]の一部72.8gと混合した後、標準篩30号(L:0.5mm)を使用して篩過した。参考例1と同様にして得られた安中散含有顆粒(水分含有量5.5重量%)2160.0gに結晶セルロースの残部100.0g及び結晶セルロースと篩過混合したステアリン酸マグネシウムを添加し、ポリ袋中でさらに混合して打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒を実施例1と同様にして1錠当り390mgで打錠し、直径9.5mmの錠剤を得た。錠剤1錠あたりの処方を表3に示す。
【0019】
比較例2
結晶セルロースにアビセルPH101[(商品名)、旭化成工業株式会社]を使用した以外は比較例1と同様に打錠用顆粒を調製し、杵当り2000kgの圧縮圧で打錠することにより直径9.5mmの錠剤を得た。錠剤1錠あたりの処方を表3に示す。
【0020】
比較例3
ステアリン酸マグネシウム[ステアリン酸マグネシウム100(商品名) 堺化学工業株式会社]7.2gは、カルメロースカルシウム[ECG505(商品名) 五徳薬品株式会社]の一部32.8gと混合した後、標準篩30号(L:0.5mm)で篩過した。軽質無水ケイ酸[サイリシア320(商品名) ワイ・ケイ・エフ有限会社]60.0gは、カルメロースカルシウム30.0gと混合後、標準篩60号(L:0.25mm)を使用して篩過した。参考例1と同様にして得られた安中散含有顆粒(水分含有量5.5重量%)2160.0gにカルメロースカルシウムの残部50.0g及びカルメロースカルシウムと篩過混合した軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを添加し、ポリ袋中でさらに混合して打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒を比較例1と同様にして1錠当り390mgで打錠し、直径9.5mmの錠剤を得た。錠剤1錠あたりの処方を表3に示す。
【0021】
比較例4
ステアリン酸マグネシウム[ステアリン酸マグネシウム100[(商品名) 堺化学工業株式会社]7.2gは、結晶セルロース[アビセルセオラスKG801(商品名) 旭化成工業株式会社]の一部32.8gと混合した後、標準篩30号(L:0.5mm)で篩過した。軽質無水ケイ酸[サイリシア320(商品名) ワイ・ケイ・エフ有限会社]60.0gは、結晶セルロースの一部30.0gと混合後、標準篩60号(L:0.25mm)を使用して篩過した。参考例1と同様にして得られた安中散含有顆粒(水分含有量5.5重量%)2160.0gに結晶セルロースの残部50.0g、結晶セルロースと篩過混合した軽質無水ケイ酸およびステアリン酸マグネシウムを添加し、ポリ袋中でさらに混合して打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒を比較例1と同様にして1錠当り390mgで打錠し、直径9.5mmの錠剤を得た。錠剤1錠あたりの処方を表3に示す。
【0022】
比較例5
ステアリン酸マグネシウム[ステアリン酸マグネシウム100(商品名) 堺化学工業株式会社]7.2gは、結晶セルロース[アビセルセオラスKG801(商品名) 旭化成工業株式会社]の一部32.8gと混合した後、標準篩30号(L:0.5mm)で篩過した。ケイ酸カルシウム[フローライトRE(商品名) エーザイ株式会社]60.0gは、結晶セルロースの一部30.0gと混合後、標準篩60号(L:0.25mm)を使用して篩過した。参考例1と同様にして得られた安中散含有顆粒(水分含有量5.5重量%)2160.0gに結晶セルロースの残部50.0g、結晶セルロースと篩過混合したケイ酸カルシウムおよびステアリン酸マグネシウムを添加し、ポリ袋中でさらに混合して打錠用顆粒を得た。そして比較例1と同様にして1錠当り390mgで打錠し、直径9.5mmの錠剤を得た。錠剤1錠あたりの処方を表3に示す。
【0023】
比較例6
ステアリン酸マグネシウム[ステアリン酸マグネシウム100(商品名) 堺化学工業株式会社]7.2gは、結晶セルロース[アビセルセオラスKG801(商品名) 旭化成工業株式会社]の一部62.8gと混合した後、標準篩30号(L:0.5mm)で篩過した。参考例1と同様にして得られた安中散含有顆粒2160.0g(水分含有量5.5重量%)に結晶セルロースの残部50.0g、カルメロースカルシウム[ECG505(商品名) 五徳薬品株式会社]60.0g、結晶セルロースと篩過混合したステアリン酸マグネシウムを添加し、ポリ袋中でさらに混合して打錠用顆粒を得た。得られた打錠用顆粒を比較例1と同様にして1錠当り390mgで打錠し、直径9.5mmの錠剤を得た。錠剤1錠あたりの処方を表3に示す。
【表1】
【表2】
【表3】
【0024】
試験例1
実施例1、2ならびに比較例1−6で得られた錠剤を次の方法で試験した。
結果錠剤の評価方法重量は20錠を電子天秤(ザルトリウス社)で、厚みは20錠をダイアルゲージ(テクロック社、SM-528型)で測定した。
硬度は硬度計(富山産業、TH-203型)で10錠を、崩壊時間は崩壊試験機(富山産業、NT-20H型)を用いて水、ディスク無しで6錠を試験した。
摩耗率は10錠を精秤後、55cmΦのモロサ試験機に入れ、30rpmで10分間回転させた後、再び重量を測定した。そして下式より摩耗率を計算した。
【式1】
摩耗率(%)=(試験前重量―試験後重量)/試験前重量 ×100
平衡相対湿度(ERH)は、試料約1g(未粉砕)をロトロニック水分計(グンゼ産業)を用いて測定した。
【0025】
実施例で得られた製剤の特性を表4に示す。実施例1の製剤は圧縮圧に依存して強度が上昇し、圧縮圧2000kg/杵で硬度が8.3kg得られた。また、摩耗率は0.65%と小さくすることができた。実施例2の製剤は安中散含有顆粒の水分含量が3.5%と低い割合でありながら、圧縮圧2000kg/杵で硬度は7.3kg、摩耗率は1.02%であり、水分の変化に十分対応できる処方であることが判明した。
表5に示すように比較例1−6において圧縮圧2000kg/杵における硬度および摩耗率の値はいずれも実施例に比べ劣るものであった。
【表4】
【表5】
【0026】
【発明の効果】
本発明の製剤は適当な崩壊性を維持しながら成形性および摩耗性に優れている。ゆえに、製造中および流通過程での衝撃、摩擦にも十分耐え得る製剤を提供することができる。本発明製剤は取扱い性に優れている。本発明製剤は製剤中に安中散末あるいは安中散料エキス乾燥末を高濃度に配合することができる。
Claims (8)
- 製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸と、結晶セルロースとを含有してなる固形安中散製剤。
- 軽質無水ケイ酸が製剤全体に対して5重量%をこえて15重量%以下である請求項1記載の製剤。
- 安中散末と安中散料エキス乾燥末を含有する請求項1記載の製剤。
- 錠剤である請求項1記載の製剤。
- 製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸と、結晶セルロースとを配合してなる固形安中散製剤の成形性改善方法。
- 製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸と、結晶セルロースとを配合してなる固形安中散製剤の摩耗性改善方法。
- (1)安中散末、安中散料エキスもしくはそれらの混合物、(2)製剤全体に対して5重量%をこえる軽質無水ケイ酸および(3)結晶セルロースを混合し、圧縮成形することを特徴とする固形安中散製剤の製造法。
- 安中散末、安中散料エキスもしくはそれらの混合物に、必要により軽質無水ケイ酸を加えて顆粒を製造し、ついで前記軽質無水ケイ酸との和が製剤全体に対して5重量%をこえる量の軽質無水ケイ酸と、結晶セルロースとを混合し、圧縮成形することを特徴とする固形安中散製剤の製造法。
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