JP4749608B2 - 排気ガス浄化用触媒 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの内燃機関から排気ガス中に含まれる有害成分である一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)および窒素酸化物(NOx)を同時に除去する排気ガス浄化用触媒に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関から排出される排気ガス中の有害成分を除去する排気ガス浄化用触媒に関して種々の提案がなされている(特開平7−60117号公報など)。
【0003】
近年、世界的な排気ガスの規制強化に対応するために、エンジンの改良を含めて種々の検討がなされている。その最も有力な手段の一つとして、触媒の位置をよりエンジン側に近づけることにより、エンジン始動直後の触媒床温度をより速く上昇させ、触媒の着火を早める方法が検討されている。このような触媒の使用方法は、エンジン始動直後の排気ガスの浄化性能は優れるものの、エンジン近くで使用されるため、従来よりも高温に曝されることからより耐熱性を有する触媒が要求されることとなる。
【0004】
また、部品保証を目的として、触媒等の部材温度をある一定以下に保持するため、燃料冷却がとられてきたが、近年の低燃費化の要請に対応するため、燃料冷却がはずされる傾向にあり、触媒に対する耐熱性の要求は高まっている。このような状況下において、従来の触媒ではその耐熱性の要求に応えることは必ずしも十分とはいえなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、近年の排気ガスの規制強化に対応するため、従来より高い耐熱性を有する排気ガス浄化用触媒を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、この目的を解決するために鋭意研究した結果、ガソリン車用の三元触媒において最も重要な成分の一つである、酸素の吸着脱離作用を有する酸素貯蔵材料に着目した。これまで、種々のタイプのセリウム酸化物が酸素貯蔵材料として使用されてきている。現在までに、セリウム酸化物の酸素貯蔵能力の耐熱性を向上させるために、ジルコニウム酸化物を添加したり、希土類元素の酸化物を添加したり、また、酸化ジルコニウム中にセリウム酸化物を固溶させた技術が開示されている(特許2659796)。これらの技術の中で、反応温度帯が比較的低い400〜500℃においては、酸化ジルコニウム中にセリウム酸化物を固溶させた場合に、単位セリウム酸化物当たりの酸素貯蔵能力が最も高くなる。
【0007】
さらに、酸化ジルコニウム中にセリウム酸化物のみを固溶させるよりもその他の希土類酸化物、特にランタン酸化物を合わせて固溶させた方がより酸素貯蔵能力および耐熱性が向上することがわかっている。しかし、従来の酸素貯蔵材料においては、酸化ジルコニウムにセリウム酸化物やランタン酸化物を固溶すると、一部の成分が酸化ジルコニウム中に固溶しきれず、独立したセリウム酸化物等が形成してしまい、結晶構造が不均一であった。
【0008】
そこで、本発明においては、以下に述べるように、より高い耐熱性を有する酸素貯蔵材料を用いることにより、より高い耐熱性を有する触媒を開発することに成功した。すなわち、より高い耐熱性を有する酸素貯蔵材料として、酸化ジルコニウムにセリウム酸化物及びランタン酸化物を固溶し、かつ、独立したセリウム酸化物等が形成されることなく、均一な正方晶型の酸化ジルコニウムの結晶構造を有する複合酸化物を用いた触媒である。なお、この複合酸化物は、900℃以上の耐久後において、400〜500℃での酸素貯蔵能力が従来の酸素貯蔵材料よりも高いことも確認した。
【0009】
したがって、本発明の目的は、少なくとも1種の貴金属、耐火性無機酸化物、セリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物を含有する触媒活性成分を、三次元構造体に被覆した触媒において、前記セリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物の結晶構造が、ジルコニウム溶液を加水分解し、水酸化ジルコニウムを得た後、セリウム及びランタンの化合物の溶液を添加混合し、アルカリ添加により中和した後、洗浄、乾燥、焼成することによって得られる正方晶型の酸化ジルコニウムの単一構造であり、セリウムとジルコニウムとの質量比がCeO :ZrO 換算で1:8〜1:1であり、ランタンとジルコニウムとの質量比がLa 換算:ZrO 換算で1:1.5〜1:60であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒によって達成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に用いられる貴金属としては、パラジウム、白金及びロジウムよりなる群から選ばれた少なくとも1種が挙げられる。貴金属の形態としては、触媒活性を有すれば特に限定はされない。貴金属の使用量は、一体構造体1リットル当たり、通常、0.05〜30g、好ましくは0.15〜20gである。0.05g未満であると初期および耐久後の触媒活性が十分でなく、一方、30gを超えると使用量に比例して触媒活性が得られないために、好ましくない。ここで、一体構造体1リットル当たりの貴金属などの触媒成分の使用量とは、触媒成分自体を成型した場合は、その成型体自体の見掛け体積を基準とし、また、耐火性三次元構造体成分を担持した場合は、三次元構造体の見掛け体積を基準として表示する。
【0011】
本発明に用いられる耐火性無機酸化物(セリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物およびアルカリ土類金属酸化物を除く)としては、通常、触媒担体として用いられるものであれば何れでもよく、例えば、α−アルミナ、若しくはγ、δ、η、θなどの活性アルミナ、チタニア、もしくはジルコニア、チタニア、酸化珪素またはこれらの複合酸化物、例えば、アルミナ−チタニア、アルミナ−ジルコニア、チタニア−ジルコニアなどを用いることができるが、好ましくは活性アルミナの粉体である。耐火性無機酸化物の使用量は、一体構造体1リットル当たり、通常、10〜300g、好ましくは50〜250gである。10g未満であると貴金属が十分に分散できず、耐久性が十分でなく、一方、300gを越えると排気の圧力損失が増加するために、好ましくない。
【0012】
本発明に用いられるセリウムおよびランタンを含有するジルコニウム酸化物としては、正方晶型の酸化ジルコニウムの単一の結晶構造を示すものである。この結晶構造は、X線回析法により確認でき、従来のセリウムおよびランタンを含有するジルコニウム酸化物ではセリウム酸化物を含む種々の独立した酸化物のピークが存在するのに対し、本発明に使用される酸化物では正方晶型の酸化ジルコニウムのピークだけが現れる。すなわち、正方晶型の均一な結晶構造を示す。
【0013】
セリウムおよびランタンを含有するジルコニウム酸化物は、通常、(a)セリウムとジルコニウムとの質量比が、CeO2換算:ZrO2換算で、1:8〜1:1、好ましくは1:5〜1:1であり、(b)ランタンとジルコニウムとの質量比が、La23換算;ZrO2換算で、1:1.5〜1:60、好ましくは1:1.5〜1:40である。
【0014】
セリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物の製法については、例えば、以下を代表例として挙げることができるが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの製法に限定されるものではない。
【0015】
キシ塩化ジルコニウムなどのジルコニウム溶液を加水分解し、水酸化ジルコニウムを得た後、セリウム及びランタンの化合物の溶液を添加混合し、アルカリ添加により中和した後、洗浄、乾燥、焼成する。
【0017】
各触媒成分の担持量は、三次元構造体1リットル当たり、貴金属量が0.05〜30g、セリウム量がCeO2換算で10〜100g、ジルコニウム量がZrO2換算で10〜100g、ランタン量がLa23換算で0.1〜50gおよび耐火性無機酸化物が10〜300gであることが好ましい。なお、セリウム、ランタンおよびジルコニウムのそれぞれの量は、セリウムおよびランタンを含有するジルコニウム酸化物中に含まれるものの量である。
【0018】
さらに、アルカリ土類金属酸化物を用いることが好ましく、その使用量は、一体構造体1リットル当たり、通常、0.1〜50g、好ましくは1〜30gである。0.1g未満であると、特にPd含有触媒における耐熱性が不十分であり、一方、50gを越えると使用量に比例した結果がみられないため、好ましくない。
【0019】
セリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物の使用量は、一体構造体1リットル当たり、通常、5〜250g、好ましくは10〜200gである。5g未満であると、耐久性やOSC能の上で不十分であり、一方、250gを越えると排気の圧力損失が増加するために、好ましくない。
【0020】
さらに、貴金属としてPdを含む触媒では、上記の触媒成分の他に、耐久性及びNOx浄化能の観点からアルカリ土類金属酸化物を含むことが好ましい。アルカリ土類金属酸化物としては、バリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウムの酸化物を挙げることができ、なかでもバリウムが好ましい。
【0021】
各触媒成分の担持量としては、三次元構造体1リットル当たり、貴金属量が0.05〜30g、セリウム量がCeO2換算で10〜100g、ジルコニウム量がZrO2換算で10〜100g、ランタン量がLa23換算で0.1〜50g、耐火性無機酸化物量が10〜300gおよびアルカリ土類金属酸化物量が0.1〜50gであることが好ましい。なお、セリウム、ランタンおよびジルコニウムのそれぞれの量は、セリウムおよびランタンを含有するジルコニウム酸化物中に含まれるものの量である。
【0022】
上記触媒成分を被覆する耐火性三次元構造体としては、ハニカム担体などが挙げられるが一体成型のハニカム構造体が好ましく、例えば、モノリスハニカム担体、メタルハニカム担体、プラグハニカム担体等を挙げることができる。
【0023】
モノリス担体としては、通常、セラミックハニカム担体と称されるものであればよく、特に、コージェライト、ムライト、α−アルミナ、ジルコニア、チタニア、リン酸チタン、アルミニウムチタネート、ベタライト、スポンジュメン、アルミノシリケート、マグネシムシリケートなどを材料とするハニカム担体が好ましく、なかでもコージェライト質のものが特に好ましい。その他、ステンレス鋼、Fe−Cr−Al合金などの酸化抵抗性の耐熱性金属を用いて一体構造体としたものが用いられる。
【0024】
これらモノリス担体は、押出成型法やシート状素子を巻き固める方法などで製造される。そのガス通過口(セル形状)の形は、六角形、四角形、三角形またはコルゲーション形の何れであってもよい。セル密度(単位断面積6.45cm2(1平方インチ)当たりのセル数)は100〜1500セルであれば十分に使用可能であり、好ましくは200〜900セルである。
【0025】
本発明において、触媒成分を被覆する方法としては、特に限定されるものではないが、通常、含浸法が好適に用いられる。
【0026】
本発明による触媒は、例えば、次のような方法によって調製することができる。先ず、所定量の白金などの貴金属の硝酸塩等の水溶液中に、アルミナ等の耐火性無機酸化物の粉末及びセリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物の粉末を投入し、十分に混合して含浸させた後、80〜250℃、好ましくは100〜150℃の温度で乾燥し、次いで300〜850℃、好ましくは400〜700℃の温度で0.5〜5時間、好ましくは1〜2時間焼成する。貴金属としてPdを含む場合にはアルカリ土類金属酸化物を用いることが好ましいが、かかるアルカリ土類金属酸化物又はそれらの硝酸塩、酢酸塩等の塩類をこの段階で加える。貴金属を除いて全ての酸化物の粉末を用いる場合には、乾燥、焼成工程を経ることなく、そのまま次の湿式粉砕工程を行ってもよい。
【0027】
次に、得られた粉末はボールミル等を用いて湿式粉砕してスラリー化し、このようにして得られた触媒組成物のスラリーにコージェライト製等の耐火性三元構造体を含浸し、余分なスラリーを除去した後、80〜250℃、好ましくは100〜150℃の温度で乾燥し、必要により300〜850℃、好ましくは400〜700℃で0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間焼成する。触媒活性成分の担持量は、触媒1リットル当たり、特に限定はされないが、通常、30〜400gの範囲である。
【0028】
また、同一または異なった組成のスラリーを上記と同様の方法で調製し、含浸することにより多層コートすることも可能である。さらに、貴金属塩を水溶液などの形で後から含浸することも可能である。
【0029】
本発明の触媒は、内燃機関、特にガソリンエンジンからの排気ガス中に含まれる一酸化炭素、炭化水素および窒素酸化物を同時に浄化することに優れている。さらに、触媒の取り付け位置は効率的な炭化水素の浄化の点からエンジンに近接した位置が好ましい。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明するが、本発明の趣旨に反しない限り、これらの実施例に限定されるものではない。
【0031】
(参考例)
先ず、本発明に使用されるセリウムおよびランタンを含有するジルコニウム酸化物のX線回析法によるスペクトルのチャートを図1に、従来のセリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物のX線回折法によるスペクトルチャートを図2に示す。図2から、従来の酸化物はセリウム酸化物を含む種々の独立した酸化物のピークが存在するするのに対し、図1からは、本発明で用いられる酸化物は正方晶型の酸化ジルコニウムの均一な結晶構造のピークだけであった。図1は実施例1の場合を代表例として示す。なお、この評価は、それぞれ空気中1000℃で10時間エージングした後に行った。
【0032】
次に、本発明に使用されるセリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物と従来のセリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物の酸素の吸着離脱作用の能力を表す酸素貯蔵量の比較を表1に示す。
【0033】
【表1】
Figure 0004749608
【0034】
測定法:H2中450℃×30分の還元後、O2をパルスしてO2消費量を測定した。
【0035】
表1から明らかなように、従来の酸化物と比較して、本発明に用いられる酸化物は、約3倍の酸素貯蔵能力を有することがわかる。なお、この評価は、空気中1000℃で10時間エージングした後に行った。
【0036】
(実施例1)
質量比で酸化ジルコニウム40gに対し、酸化セリウム20g、酸化ランタン15gとなるように、オキシ塩化ジルコニウム溶液を加水分解し、水酸化ジルコニウムを得た後、セリウム及びランタンの硝酸水溶液を添加混合し、アルカリ添加により中和した後、洗浄、乾燥(120℃で2時間)、焼成(700℃で1時間)してジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(A1)を得た。
【0037】
得られた(A1)40gをパラジウム2gを含有する硝酸パラジウム水溶液に含浸した。その後、150℃で充分乾燥した後、500℃で1時間焼成して、パラジウム含有ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(B1)を得た。
【0038】
次に、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)30gをパラジウム2gを含有する硝酸パラジウム水溶液に含浸し、150℃で充分乾燥した後、500℃で1時間焼成して、パラジウム含有アルミナを得た。
【0039】
得られたパラジウム含有アルミナ32gと、(A1)35g、(B1)42g、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)45g、および酸化物として30g相当の水酸化バリウムと、酢酸5g、イオン交換水150gをボールミルポットにメディアのボールとともに投入し、15時間湿式粉砕し、水性スラリーを得た。
【0040】
得られた水性スラリーを、コージェライト製モノリス担体、(日本碍子製:セル密度400セル/6.45cm2(1平方インチ)、外径33mm×長さ76mm)に浸し、取り出して後、余分のスラリーを圧縮空気でブローし、その後、乾燥(150℃で2時間)、焼成(500℃で1時間)して、触媒1を得た。
【0041】
(実施例2)
質量比が、酸化ジルコニウム25gに対し、酸化セリウム12.5g、酸化ランタン9.5gとなるように、オキシ塩化ジルコニウム、セリウム及びランタンの使用量を変更した以外は、実施例1と同様に、ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(A2)を得た。
【0042】
次に、(A1)40gに代え(A2)47gを用いた以外は、実施例1と同様に、パラジウム含有ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(B2)を得た。
【0043】
得られた(B2)49gと、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)103g、および酸化物として10g相当の水酸化バリウムと、酢酸5g、イオン交換水150gをボールミルで15時間湿式粉砕し、水性スラリーとした後、実施例1と同様に、モノリス担体に被覆して触媒2を得た。
【0044】
(実施例3)
実施例1と同様にして、ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(A1)47gをパラジウム2gを含有する硝酸パラジウム水溶液に含浸し、実施例1と同様に、パラジウム含有ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(B3)を得た。
【0045】
別に、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)10gをロジウム0.2gを含有する硝酸ロジウム水溶液に含浸した。その後、150℃で充分乾燥した後、500℃で1時間焼成して、ロジウム含有アルミナを得た。
【0046】
得られたロジウム含有アルミナ10.2gと、(A1)28g、(B3)49gと、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)65g、および酸化物として10g相当の水酸化バリウムと、酢酸5g、イオン交換水150gをボールミルで15時間湿式粉砕し、水性スラリーとした後、実施例1と同様に、モノリス担体に被覆して触媒3を得た。
【0047】
(実施例4)
実施例1と同様にして、ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(A1)を調製し、次に、実施例3と同様に、パラジウム含有ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(B3)を得た。
【0048】
得られた(B3)49gと、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)43g、および酸化物として10g相当の水酸化バリウムと、酢酸4g、イオン交換水150gをボールミルで15時間湿式粉砕し、水性スラリーとした。得られた水性スラリーを用いて、実施例1と同様に、モノリス担体に被覆してPd触媒被覆(C4)層を得た。
【0049】
別に、実施例3と同様にして得られたロジウム含有アルミナ10.2gと、(A1)13g、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)47g、および酢酸5g、イオン交換水126gをボールミルで15時間湿式粉砕し、水性スラリーとした。
【0050】
得られた水性スラリーを用いて、Pd触媒被覆層(C4)上に被覆して、触媒4を得た。
【0051】
(実施例5)
質量比が、酸化ジルコニウム40gに対し、酸化セリウム10g、酸化ランタン10gとなるように、オキシ塩化ジルコニウム、セリウム及びランタンの使用量を変更した以外は実施例1と同様に、ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(A5)を調製した。
【0052】
得られた(A5)47gをパラジウム2gを含有する硝酸パラジウム水溶液に含浸し、実施例1と同様に、パラジウム含有ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(B5)を得た。
【0053】
実施例3と同様にして得られたロジウム含有アルミナ10.2gと、(A5)13g、(B5)49gと、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)80g、および酸化物として10g相当の水酸化バリウムと、酢酸5g、イオン交換水150gをボールミルで15時間湿式粉砕し、水性スラリーとした。得られた水性スラリーを用いて、実施例1と同様に、モノリス担体に被覆して触媒5を得た。
【0054】
(実施例6)
実施例5と同様に、ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(A5)、パラジウム含有ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物(B5)を調製した。
【0055】
得られた(B5)49gと、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)43g、および酸化物として10g相当の水酸化バリウムと、酢酸5g、イオン交換水150gをボールミルで15時間湿式粉砕して水性スラリーとし、得られた水性スラリーを用いて、実施例4と同様に、Pd触媒被覆層(C6)を得た。
【0056】
別に、実施例3と同様にして得られたロジウム含有アルミナ10.2gと、(A5)13g、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)47g、および酢酸4g、イオン交換水126gをボールミルで15時間湿式粉砕し、水性スラリーとした。
【0057】
得られた水性スラリーを用いて、Pd触媒被覆層(C6)上に被覆して、触媒6を得た。
【0058】
(実施例7)
実施例6においてロジウム含有アルミナ10.2gに代え、比表面積150m2/gのアルミナ(γ−Al23)10gをロジウム0.2gを含有する硝酸ロジウム水溶液及び白金0.2gを含有する硝酸白金水溶液に含浸し、実施例3と同様にして得た白金ロジウム含有アルミナ10.4gを用いた以外は、実施例6と同様に、触媒7を得た。
【0059】
(比較例1〜7)
ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物を調製する際に、ジルコニウムを原料としてオキシ塩化ジルコニウムの加水分解により得た水酸化ジルコニウムを各々対応する量の酸化ジルコニウムに代えて正方晶以外の結晶構造を有する酸化物を調製する以外は、各々実施例1〜7と同様に、触媒を調製した。図2は比較例1の場合の結晶構造を代表例として示した。
【0060】
(比較例8〜9)
ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物の代わりに、酸化ジルコニウム40gに対し、酸化セリウム20gとなるように、酸化ジルコニウムに硝酸セリウム水溶液を添加混合し、乾燥、焼成して得た正方晶以外の結晶構造を有するジルコニウム−セリウム複合酸化物を使用した以外は、各々実施例1,3と同様に、触媒を調製した。
【0061】
(比較例10)
ジルコニウム−セリウム−ランタン複合酸化物の代わりに、酸化ジルコニウム25gに対し、酸化セリウム12.5gとなるように、酸化ジルコニウムに硝酸セリウム水溶液を添加混合し、乾燥、焼成して得た正方晶以外の結晶構造を有するジルコニウム−セリウム複合酸化物を使用した以外は、実施例7と同様に、触媒を調製した。
【0062】
【表2】
Figure 0004749608
【0063】
得られた触媒は、一体構造体1リットル当たり、表2に示す触媒成分を有するものであった。
【0064】
(評価)
実施例1〜7及び比較例1〜10で得られた触媒を、エンジン耐久後、触媒活性を評価した。
【0065】
市販の電子制御方式のエンジンを使用し、各触媒を充填したマルチコンバーターをエンジンの排気系に設置し、耐久テストを行った。
【0066】
エンジンは、定常運転60秒、減速6秒(減速時に燃料がカットされて、触媒は高温酸化雰囲気の条件に曝される)というモード運転で運転し、触媒床温度が定常運転時900℃となる条件で50時間触媒を耐久した。耐久後の触媒性能の評価は、市販の電子制御方式のエンジンを使用し、各触媒を充填したマルチコンバーターを、エンジンの排気系に設置して行った。触媒の三元性能は、触媒入口温度400℃、空間速度250,000hr-1の条件で評価した。この際、外部発振器より、1Hzの正弦波型信号をエンジンのコントロールユニットに導入して、空燃比(A/F)を、±1.0A/F、1Hzで振動させながら平均空燃比を連続的に変化させ、この時の触媒入口及び出口ガス組成を同時に分析して、平均空燃比A/Fが15.1から14.1までのCO、HCおよびNOxの浄化率を求めた。
【0067】
このようにして求めたCO、HCおよびNOxの浄化率対入口空燃比をグラフにプロットして三元特性曲線を作成し、CO、NOx浄化曲線の交点(クロスオーバーポイント)の浄化率と、その交点のA/F値におけるHC浄化率を表3に示す。
【0068】
また、触媒の低温での浄化性能は、空燃比を±0.5A/F(1Hz)の条件でガスを振動させながら、平均空燃比A/F=14.6に固定し、エンジンを運転し、エンジン排気系の触媒コンバーターの前に熱交換器を取り付け、触媒入口ガス温度を、200〜500℃まで一定の昇温速度(20℃/min)で変化させ、触媒入口及び出口ガス組成を分析して、CO、HCおよびNOxの浄化率を求めることにより評価した。このようにして求めたCO、HCおよびNOxの浄化率が50%に達した温度(ライトオフ温度)を測定して表3に示す。
【0069】
【表3】
Figure 0004749608
【0070】
表3から、本発明の触媒は、CO、HCおよびNOxの三成分を同時に効率的に除去できることがわかる。また、従来の触媒と比較して、耐熱性が向上していることもわかる。
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、自動車などの内燃機関からの排気ガス中に含まれる一酸化炭素、炭化水素および窒素酸化物を同時に除去することができる。さらに、本発明の触媒がセリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物を含むので、耐熱性、耐久性に優れている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用されるセリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物のX線回折法によるチャートである。
【図2】従来のセリウム及びランタンを含有するジルコニウム酸化物のX線回折法によるチャートである。

Claims (2)

  1. 少なくとも1種の貴金属、耐火性無機酸化物、セリウムおよびランタンを含有するジルコニウム酸化物を含有する触媒活性成分を、耐火性三次元構造体に被覆した触媒において、前記セリウムおよびランタンを含有するジルコニウム酸化物の結晶構造が、ジルコニウム溶液を加水分解し、水酸化ジルコニウムを得た後、セリウム及びランタンの化合物の溶液を添加混合し、アルカリ添加により中和した後、洗浄、乾燥、焼成することによって得られる正方晶型の酸化ジルコニウムの単一構造であり、セリウムとジルコニウムとの質量比がCeO:ZrO換算で1:8〜1:1であり、ランタンとジルコニウムとの質量比がLa換算:ZrO換算で1:1.5〜1:60であることを特徴とする排気ガス浄化用触媒。
  2. さらに、アルカリ土類金属酸化物を含有する請求項1に記載の触媒。
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