JP4749570B2 - 摩擦撹拌接合法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、自動車、電算機器、産業機械等における金属製構造部材を製造する際に用いられる摩擦撹拌接合法に関する。
【0002】
【従来の技術】
摩擦撹拌接合法は、固相接合法の範疇に入り、接合部材である金属材の種類に制限を受けない、接合熱に伴う熱歪みが極めて少ない等の優れた利点を有し、近年、様々な構造物の接合手段として用いられている。
【0003】
図13〜図15は、従来の摩擦撹拌接合法について示している。同図において、(101)は薄肉の長尺平板状の金属製第1接合部材、(102)は厚肉の長尺平板状の金属製第2接合部材である。これら両接合部材(101)(102)は、裏面同士が面一に連なる態様にして幅方向の一端面同士が突き合わされており(突合せ部105)、このため、厚さ方向に両者の肉厚差に対応した段差を表面側にて生じている。そして、この状態で、両接合部材(101)(102)の裏面側に配置された前後の支持ローラ(115)(116)によって支持されている。なお、同図において、(107)は両接合部材(101)(102)の突合せ部(105)の位置における表面に形成された段部を示し、(107a)はこの段部(107)のすみ部を示している。
【0004】
(111)は摩擦撹拌接合用の接合ツールである。この接合ツール(111)は、径大の円柱状回転子(112)と、該回転子(112)の端面(112a)の回転中心部に回転軸線(Q’)上に沿って突出して一体に設けられた径小のピン状プローブ(113)と、を備えたものであって、前記プローブ(113)を接合ヘッド(114)とするものである。
【0005】
(117)は裏当てローラである。この裏当てローラ(117)は、両接合部材(101)(102)の裏面側において接合ツール(111)のプローブ(113)に対向して配置されている。
【0006】
而して、上記接合ツール(111)を用いて両接合部材(101)(102)の突合せ部(105)を表面側から接合する場合には、まず、接合ツール(111)の回転しているプローブ(113)を突合せ部(115)に表面側から埋入した状態に配置する。そして、この状態で、突合せ部(105)が順次、プローブ(113)を通過するように両接合部材(101)(102)を突合せ状態のままで移動させる。MDは両接合部材(101)(102)の移動方向を示している。
【0007】
この両接合部材(101)(102)の移動に伴い、両接合部材(101)(102)の突合せ部(105)がプローブ(113)埋入位置にて当該プローブ(113)により接合されていき、両接合部材(101)(102)が突合せ部(105)のプローブ通過部分において接合一体化される。W’は、接合された突合せ部に形成された接合部を示している。また、WDはこの接合方法での接合方向を示している。
【0008】
而して、上述した接合方法においては、両接合部材(101)(102)の突合せ部(105)における表面にて段差を生じているから、接合中に摩擦熱にて軟化した両接合部材(101)(102)の軟化部中の肉がプローブ近傍から飛散することがあり、このため肉不足に伴う接合欠陥を生じ易く、また摩擦熱不足に伴う接合欠陥を生じ易かった。このため、突合せ部(105)を良好に接合ことが困難であった。
【0009】
そこで、このような問題を解決するため、特開平10−249553号公報には、接合ツール(111)の回転しているプローブ(113)を突合せ部(105)に埋入した状態に配置するとともに、回転子(112)をその回転軸線(Q’)が両接合部材(101)(102)に対して低位側の接合部材(即ち、第1接合部材(101))側に相対的に傾斜した状態に配置し、この状態で、接合を行う方法が提案されている。
【0010】
この提案方法では、プローブ近傍から飛散する両接合部材(101)(102)の肉を回転子(112)の端面(112a)で反射したり回転子(112)の端面(112a)内に収容したりすることができるようになって、肉不足に伴う接合欠陥の発生を防止できるようになるし、また回転子(112)の回転軸線(Q’)の第1接合部材(101)側への傾斜角(θ’)を適宜変更することにより、摩擦熱の発生量を適度に調整することができるようになって、摩擦熱不足に伴う接合欠陥の発生を防止できるようになるという利点がある。
【0011】
さらに、この提案方法では、接合時に、回転子(112)の端面(112a)を、突合せ部(105)から表面側に突出している高位側の接合部材(即ち、第2接合部材(102))の肩部(102a)に圧接することによって、当該肩部(102a)をその表面が傾斜面になるように塑性変形させることができ、この結果、得られる突合せ継手において段部(107)に生じる応力集中を緩和できるようになるという利点がある。なお、P'は接合部材(101)(102)のプローブ埋入位置における表面の法線を示している。
【0012】
ところで、一般に摩擦撹拌接合では、接合ツール(111)のプローブ(113)を突合せ部(105)中に奥深くまで埋入した状態で接合を行うことが、突合せ部(105)を厚さ方向全体に亘って接合できるようになる点で、望ましい。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようにプローブ(113)を埋入して接合を行うと、接合中に当該プローブ(113)の先端が両接合部材(101)(102)の突合せ部(105)裏面から突き出てしまって裏当てローラ(117)等の裏当て部材に接触して破損する恐れがある。そこで、このような不具合を防止すべく、通常、プローブ(113)は、図14に示すようにその先端と両接合部材(101)(102)の裏面との間に少し距離をおいた状態にして埋入されるが、このような埋入状態で接合を行うと、図15に示すように、両接合部材(101)(102)の接合された突合せ部の裏面の表層部に、ルート残り部(R)が残存することがあった。このようにルート残り部(R)が残存すると、得られる突合せ継手の接合強度が低下するという問題が発生する。
【0014】
殊に、同図のように両接合部材(101)(102)が厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突き合わされている場合には、特にルート残り部(R)が残存し易かった。すなわち、両接合部材(101)(102)がこのような態様で突き合わされている場合には、接合ツール(111)の回転子(112)の端面(112a)を両接合部材(101)(102)上に安定良く載置することが困難であり、図14に示すように回転子(112)が不本意に第1接合部材(101)側や第2接合部材(102)側に傾き易かった。このように回転子(112)が傾いてしまうと、プローブ(113)の埋入深さが変化してしまうことから、安全を見込んでプローブ(113)の埋入深さを更に浅く設定する必要があり、このためルート残り部(R)が特に残存し易かった。
【0015】
更に、この場合には、接合ツール(111)の回転子(112)はその回転軸線(Q’)が傾斜状態になるように配置されるので、プローブ(113)の埋入深さの設定が困難であり、その上、接合中に第2接合部材(102)の肩部(102a)が塑性変形することでプローブ(113)の埋入深さが深くなるから、やはり安全を見込んでプローブ(113)の埋入深さを浅く設定する必要があり、ルート残り部(R)が特に残存し易かった。
【0016】
もとより、接合部材(101)(102)の製造ロット間には、少なからず肉厚寸法等の寸法バラツキが生じているから、接合の際にプローブ(113)の埋入深さを一定に設定することが困難であり、この点からも、ルート残り部(R)が発生することがあった。
【0017】
この発明は、上述した問題を解決するためになされたもので、その目的は、ルート残り部の発生を抑制又は防止することのできる摩擦撹拌接合法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、突合せ状に配置されるとともに突合せ部に表面側から接合ツールの回転している接合ヘッドが埋入された2個の接合部材を、突合せ部が順次接合ヘッドを通過するように接合ヘッドに対して相対的に移動させることにより、両接合部材の突合せ部を接合する摩擦撹拌接合法において、両接合部材の突合せ部における接合ヘッド埋入位置の裏面又は接合ヘッド埋入位置の接合方向前方側の裏面を加熱して接合を行うことを特徴としている。
【0019】
この摩擦撹拌接合法においては、両接合部材の突合せ部における接合ヘッド埋入位置の裏面又は接合ヘッド埋入位置の接合方向前方側の裏面を加熱することにより、両接合部材の加熱された裏面から熱が厚さ方向に伝導していき、この結果、両接合部材の裏面の厚さ方向近傍部分が高温状態になる。このため、接合時に接合ヘッドの先端と両接合部材の裏面との間にある肉が迅速に軟化するようになり、もってルート残り部の発生が抑制又は防止されるようになる。
【0020】
請求項2の発明は、上記請求項1記載の摩擦撹拌接合法において、両接合部材は、厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置されているものである。
【0021】
すなわち、この発明に係る摩擦撹拌接合法によれば、厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を表面側から接合する場合であっても、ルート残り部の発生を抑制できるようになり、もって両接合部材の突合せ部を良好に接合できるようになる。
【0022】
請求項3の発明は、請求項1又は2記載の摩擦撹拌接合法において、両接合部材の裏面側において接合ヘッドに対向して配置されるとともに外周面が加熱された裏当てローラからの熱伝導によって、加熱するものである。
【0023】
この摩擦撹拌接合法では、接合時に、両接合部材の突合せ部における接合ヘッド埋入位置の裏面が裏当てローラの加熱された外周面に当接し、これにより裏当てローラの外周面の熱が当該裏面に伝導して当該裏面が加熱される。このように裏面が加熱されながら接合が行われる。このため、接合作業を能率良く行えるようになる。また、この摩擦撹拌接合法では、両接合部材の突合せ部における接合ヘッド埋入位置の裏面が加熱されるようになるため、熱損失が少なく、したがって効率良く加熱を行えるようになる。
【0024】
参考発明1は、厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置されるとともに突合せ部に表面側から接合ツールの回転している接合ヘッドが埋入された2個の接合部材を、突合せ部が順次接合ヘッドを通過するように接合ヘッドに対して相対的に移動させることにより、両接合部材の突合せ部を接合する摩擦撹拌接合法において、ルート残り部を接合するための接合ヘッドを備えた副接合ツールを用い、この副接合ツールの回転している接合ヘッドを両接合部材の突合せ部に裏面側から埋入した状態に配置し、この状態で、両接合部材を、突合せ部が順次接合ツールの接合ヘッド及び副接合ルーツの接合ヘッドを通過するように相対移動させることにより、両接合部材の突合せ部を接合することを特徴としている。
【0025】
この摩擦撹拌接合法においては、ルート残り部が副接合ツールの接合ヘッドにより接合されながら接合が行われるようになる。このため、厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を接合する場合であっても、ルート残り部の発生を抑制又は防止できるようになる。
【0026】
参考発明2は、表面同士及び裏面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置されるとともに突合せ部に表面側から接合ツールの回転している接合ヘッドが埋入された2個の接合部材を、突合せ部が順次接合ヘッドを通過するように接合ヘッドに対して相対的に移動させることにより、両接合部材の突合せ部を接合する摩擦撹拌接合法において、ルート残り部を接合するための接合ヘッドを備えた副接合ツールを用い、この副接合ツールの回転している接合ヘッドを両接合部材の突合せ部に0.1〜0.5mmの範囲内の埋入深さで裏面側から埋入した状態に配置し、この状態で、両接合部材を、突合せ部が順次接合ツールの接合ヘッド及び副接合ルーツの接合ヘッドを通過するように相対移動させることにより、両接合部材の突合せ部を接合することを特徴としている。
【0027】
この摩擦撹拌接合法においては、接合一体化される2個の接合部材は、互いに同じ肉厚を有している。この摩擦撹拌接合法において、副接合ツールの接合ヘッドの埋入深さを0.1〜0.5mmの範囲内に設定することにより、ルート残りの発生を確実に抑制又は防止できるようになるし、両接合部材の移動操作(即ち接合操作)を容易に行えるようになる。
【0028】
すなわち、副接合ツールの接合ヘッドの埋入深さが0.1mm未満である場合には、埋入深さが不足してルート残り部が残存する。一方、埋入深さが0.5mmを超えた場合には、両接合部材の移動に要する力が大きくなり過ぎてしまって、両接合部材の移動操作が困難になる。したがって、埋入深さを0.1〜0.5mmの範囲内に設定する必要がある。
【0029】
また、上記参考発明1においても、これと同様の理由により、副接合ツールの接合ヘッドの埋入深さをこの範囲内に設定することが、望ましい。
【0030】
さらに、上記参考発明1の発明において、両接合部材の肉厚が相異し且つ裏面同士が面一に連なる態様で両接合部材が突合せ状に配置されている場合には、両接合部材のうち薄肉の方の接合部材の肉厚が3mm以下である場合に対して、埋入深さをこの範囲内に設定することが、かかる作用を確実に奏し得るようになる点で、望ましい。また同じく、上記参考発明2においても、両接合部材の肉厚が3mm以下である場合に対して、埋入深さをこの範囲内に設定することが、かかる作用を確実に奏し得るようになる点で、望ましい。
【0031】
【発明の実施の形態】
次に、この発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0032】
図1〜図5はこの発明の第1実施形態を示している。なお、この第1実施形態の摩擦撹拌接合法で接合された突合せ継手は、自動車のテーラードブランク材として用いられるものである。
【0033】
図1において、(1)は薄肉の長尺板状のアルミニウム(その合金を含む、以下同じ)製第1接合部材、(2)は厚肉の長尺板状のアルミニウム製第2接合部材(2)である。
【0034】
各接合部材(1)(2)は、図3に示すように、幅方向の一端面(4)を突合せ面とするものであって、この端面(4)は接合部材の表面及び裏面に対して略垂直に形成されている。そして、これら両接合部材(1)(2)は、裏面同士が面一に連なる態様にしてこの端面(4)(4)同士が突き合わされており(突合せ部5)、このため、厚さ方向に両者の肉厚差に対応した段差を表面側にて生じている。そして、この突合せ状態で両接合部材(1)(2)が後述する前後の支持ローラ(15)(16)によって裏面側から支持されている。図3において、(7)は両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)の位置における表面に形成された段部を示し、(7a)はこの段部(7)のすみ部を示している。
【0035】
この第1実施形態では、このように突合せ状に配置された両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)を突合せ状態のままで表面側から摩擦撹拌接合により接合する場合について示すものである。
【0036】
図1において、(10)は接合装置である。この接合装置(10)は、両接合部材(1)(2)を裏面側から支持する前後の支持ローラ(15)(16)と、摩擦撹拌接合用の接合ツール(11)と、裏当てローラ(17)とを備えている。
【0037】
前支持ローラ(15)及び後支持ローラ(16)は、両接合部材(1)(2)の裏面側において互いに離間して平行状に配置されている。この前後の支持ローラ(15)(16)は、図示しない回転駆動装置を備えており、この駆動装置を作動させることにより、両接合部材(1)(2)をその長さ方向に移動させる駆動ローラとしても機能するものとなされている。MDは両接合部材(1)(2)の移動方向を示している。また、WDはこの接合方法における接合方向を示している。
【0038】
接合ツール(11)は、上述した従来例で示されたもの(111)と同じく、径大の円柱状回転子(12)と、該回転子(12)の端面(12a)の回転中心部に回転軸線(Q)上に沿って突出して一体に設けられた径小のピン状プローブ(13)とを備えたものであって、前記ピン状プローブ(13)を接合ヘッド(14)とするものである。
【0039】
この接合ツール(11)において、回転子(12)及びプローブ(13)は、両接合部材(1)(2)よりも硬質で且つ接合時に発生する摩擦熱に耐え得る耐熱材料から形成されている。また、プローブ(13)の外周面には、摩擦熱にて軟化した両接合部材(1)(2)の肉を撹拌するための撹拌用凸部(図示せず)が設けられている。また、回転子(12)の端面(12a)の少なくとも外周縁部は、回転軸線(Q)に直交する平面内にあり、この第1実施形態では、回転子(12)の端面(12a)は平坦面からなる。なお、この発明では、回転子(12)の端面(12a)は、図示していないが外周縁部から回転中心部側に向かって窪んだ形状になっていても良い。
【0040】
そして、この接合ツール(11)は、両接合部材(1)(2)の表面側においてプローブ(13)を下方に向ける態様にして配置されている。
【0041】
裏当てローラ(17)は、両接合部材(1)(2)の裏面側における前後の支持ローラ(15)(16)の間の位置にて接合ツール(11)のプローブ(13)に対向して配置されている。更にこの裏当てローラ(17)は、図示しない回転駆動装置を備えており、この駆動装置を作動させることにより、前後の支持ローラ(15)(16)と同じく、両接合部材(1)(2)をその長さ方向に移動させるための駆動ローラとして機能するものとなされている。なお、この発明では、裏当てローラ(17)は回転自在なものであっても良い。
【0042】
さらに、この裏当てローラ(17)の長さ方向中間部における内部の外周面近傍部分には、図2に示すように、熱源としての電気ヒータ(20)が全周に亘って埋設内蔵されている。図1において、(20a)はこの電気ヒータ(20)の電力供給コードである。この裏当てローラ(17)は、電気ヒータ(20)から発生する熱に耐え得る耐熱材料から形成されている。
【0043】
(18)は各接合部材(1)(2)の接合方向(WD)前方側を押さえる回転自在な前押さえローラであって、各接合部材(1)(2)の表面側における前支持ローラ(15)の上方位置に配置されている。
【0044】
(19)は各接合部材(1)(2)の接合方向(WD)後方側を押さえる回転自在な後押さえローラであって、各接合部材(1)(2)の表面側における後支持ローラ(16)の上方位置に配置されている。
【0045】
次に、上記構成の接合装置(10)を用いて両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)を接合する方法について説明する。
【0046】
まず、接合ツール(11)のプローブ(13)を裏当てローラ(17)の上方離間位置に待機させておき、前後の支持ローラ(15)(16)及び裏当てローラ(17)を同一の周速度で回転駆動させるとともに、裏当てローラ(17)に内蔵された電気ヒータ(20)を発熱させることにより当該裏当てローラ(17)の外周面を加熱する。
【0047】
次いで、突合せ状に配置された両接合部材(1)(2)の長さ方向の一端部を、前支持ローラ(15)と前押さえローラ(18)との間に通してこの各接合部材(1)(5)を前押さえローラ(18)によって押さえる。そして、この状態のままで両接合部材(1)(2)を前支持ローラ(15)の駆動力により移動させることにより、両接合部材(1)(2)を裏当てローラ(17)と接合ツール(11)のプローブ(13)との間に通し、これにより、当該両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)裏面を裏当てローラ(17)の加熱された外周面に当接させる。すると、裏当てローラ(17)の外周面の熱が両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)裏面に伝導するとともに、この伝導した熱が当該裏面から両接合部材(1)(2)の厚さ方向に伝導していき、もって当該裏面の厚さ方向近傍部分が高温状態になる。図2及び図4において、(H)は両接合部材(1)(2)の高温状態になっている部分を示している。ここで、この発明では、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)裏面の温度が400〜500℃の範囲内になるように加熱することが特に望ましい。その理由は、400℃未満では、加熱不足で撹拌混合が十分に行えなくなる恐れがあり、一方500℃を超えると、加熱し過ぎて接合部材(1)(2)が溶融する恐れがあるからである。
【0048】
一方、所定の時点で、接合ツール(11)の回転子(12)をその回転軸線(Q)を中心に回転させてプローブ(13)を回転させる。そして、この回転子(12)を回転軸線(Q)が第1接合部材(1)側に傾斜した状態に配置し、この傾斜状態で、プローブ(13)を突合せ部(5)に表面側から埋入する(図4参照)。さらに、この回転子(12)の端面(12a)を、突合せ部(5)から表面側に突出している第2接合部材(2)の肩部(2a)に圧接する。Pは接合部材(1)(2)のプローブ埋入位置における表面の法線を示している。また、θは、この法線Pに対する回転子(12)の回転軸線(Q)の第1接合部材(1)側への傾斜角を示している。さらに、図2に示すように、回転子(12)の回転軸線(Q)を接合方向(WD)後方側に僅かに傾けて該回転子(12)の端面(12a)における接合方向(WD)前側の部分を両接合部材(1)(2)の表面から浮き上がらせた状態にすることが、両接合部材(1)(2)の表面に存在することのある微細な凹凸(図示せず)への引っ掛かりを防止し得るようになる点で、望ましい。
【0049】
なお、この発明では、プローブ(13)を突合せ部(5)中に埋入した後で、回転子(12)の回転軸線(Q)を第1接合部材(1)側に傾斜させても良い。また、プローブ(13)を予め下降させておき、このプローブ(13)に向かって両接合部材(1)(2)を移動させることで該プローブ(13)を両接合部材(1)(2)の長さ方向の一端面から突合せ部(5)に強制的に埋入させても良いことはもちろんである。
【0050】
そして、両接合部材(1)(2)を、その突合せ部(5)裏面を裏当てローラ(17)の加熱された外周面に当接させた状態のままで、突合せ部(5)が順次プローブ(13)を通過するように移動させる。そして、この両接合部材(1)(2)を後支持ローラ(16)と後押さえローラ(19)との間に通して後押さえローラ(19)で各接合部材(1)(2)を押さえる。この状態で両接合部材(1)(2)を前後の支持ローラ(15)(16)及び裏当てローラ(17)の駆動力で移動させる。
【0051】
この両接合部材(1)(2)の移動に伴い、突合せ部(5)がプローブ埋入位置において該プローブ(13)により順次、接合されていく。
【0052】
すなわち、プローブ(13)の回転により発生する摩擦熱と、回転子(12)の端面(12a)と第2接合部材(2)の肩部(2a)との摺動に伴い発生する摩擦熱とによって、両接合部材(1)(2)がプローブ埋入位置近傍において軟化するとともに、第2接合部材(2)の肩部(2a)が回転子(12)の端面(12a)からの圧接力を受けてその表面が傾斜面になるように塑性変形されて当該肩部(2a)の肉が段部(7)のすみ部(7a)内に充填される。
【0053】
このように充填されながら両接合部材(1)(2)の肉が、プローブ(13)の回転力を受けて撹拌混合されるとともに該プローブ(13)の通過溝を埋めるように塑性流動したのち、摩擦熱を急速に失って冷却固化する。この現象が両接合部材(1)(2)の移動に伴ってプローブ埋入位置にて順次繰り返されていき、もって両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)がプローブ通過部分にて接合される。Wは突合せ部(5)に形成された接合部を示している。
【0054】
そして、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)の接合終了予定部がプローブ(13)の位置に到達したとき、プローブ(13)を抜出させ、接合が終了する。
【0055】
而して、以上の摩擦撹拌接合法において、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の裏面は、図2及び図4に示すように、常に、裏当てローラ(17)の加熱された外周面に当接して加熱されているから、当該裏面の厚さ方向近傍部分は高温状態になっている。このため、プローブ(13)の先端と両接合部材(1)(2)の裏面との間にある肉は、極めて迅速に軟化するようになり得て、当該肉の撹拌混合が良好に行われるようになり、もってルート残り部(図15参照、R)の発生が抑制又は防止されるようになる。このため、もし仮に接合部材(1)(2)の肉厚が長さ方向において僅かに変化している場合であっても、ルート残り部(R)の発生を抑制又は防止することができ、接合状態の良好な突合せ継手を得ることができる。
【0056】
さらに、この摩擦撹拌接合法は、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の裏面を、裏当てローラ(17)の外周面で加熱しながら、接合を行うものであるから、接合作業を能率良く行うことができるし、効率良く加熱を行うことができる。
【0057】
もとより、この摩擦撹拌接合法によれば、接合ツール(11)の回転子(12)を回転軸線(Q)が第1接合部材(1)側に傾斜した状態に配置するとともに、回転子(12)の端面(12a)を第2接合部材(2)の肩部(2a)に圧接した状態に配置し、この状態で、接合が行われているので、肉不足に伴う接合欠陥の発生を防止することができるし、摩擦熱不足に伴う接合欠陥の発生を防止することができる。しかも、第2接合部材(2)の肩部(2a)をその表面が傾斜面になるように塑性変形させることができる。したがって、こうして得られた突合せ継手は、段部(7)に生じる応力集中を緩和できるものとなる。
【0058】
図6及び図7はこの発明の第2実施形態を示している。これらの図には、上記第1実施形態と同じ構成要素に同一の符号が付されており、以下、この第2実施形態を上記第1実施形態との相異点を中心に説明する。
【0059】
この第2実施形態は、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)裏面を加熱するための加熱手段として、レーザ加熱が採用されている。
【0060】
すなわち、この第2実施形態では、図6に示すように、裏当てローラ(17)には電気ヒータが内蔵されておらず、その代わりに、同図に示すように、両接合部材(1)(2)の裏面側における裏当てローラ(17)の接合方向(WD)前方側近傍に、レーザ加熱装置に備えられたレーザ噴射ノズル(21a)が、その噴射口を上方に向ける態様にして配置されている。
【0061】
而して、この第2実施形態では、接合時にノズル(21a)の噴射口からレーザ(21)を噴射させ、このレーザ(21)を両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の接合方向(WD)前方側近傍の裏面に照射し、これにより当該裏面を加熱する。すると、この裏面から熱が厚さ方向に伝導していき、もって両接合部材(1)(2)の当該裏面の厚さ方向近傍部分が高温状態(その部分H)になる。
【0062】
このように加熱しながら、両接合部材(1)(2)を突合せ部(5)が順次プローブ(13)を通過するように移動させることにより、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)を接合する。
【0063】
この第2実施形態では、両接合部材(1)(2)の移動に伴い、両接合部材(1)(2)の高温部分(H)がプローブ埋入位置に到達すると、プローブ(13)の先端と両接合部材(1)(2)の裏面との間にある肉が、極めて迅速に軟化するようになり得て、当該肉の撹拌混合が良好に行われるようになる。この結果、ルート残り部の発生が抑制又は防止されるようになる。
【0064】
なお、この第2実施形態では、レーザ(21)を両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の接合方向前方側近傍の裏面に照射することで当該裏面を加熱する場合について示しているが、この発明では、この他に、裏当てローラ(17)を用いないで接合を行う場合など、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の裏面側にノズル(21a)の設置スペースが空いている場合には、このスペースを利用してこの位置からレーザ(21)を両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の裏面に照射して当該裏面を加熱しても良い。
【0065】
図8及び図9はこの発明の第3実施形態を示している。これらの図には、上記第1実施形態と同じ構成要素に同一の符号が付されており、以下、この第3実施形態を上記第1及び第2実施形態との相異点を中心に説明する。
【0066】
この第3実施形態では、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)裏面を加熱するための加熱手段として、高周波誘導加熱が採用されている。
【0067】
すなわち、この第3実施形態では、図8に示すように、裏当てローラ(17)には電気ヒータが内蔵されておらず、その代わりに、図8及び図9に示すように、両接合部材(1)(2)の裏面側における裏当てローラ(17)の接合方向前方側近傍に、高周波誘導加熱装置に備えられた誘導コイル(22)が、突合せ部(5)を跨ぐ態様にして両接合部材(1)(2)の裏面に接触して又は近接して配置されている。この高周波誘導加熱装置には、図示しない高周波電源が備えられている。
【0068】
而して、この第3実施形態では、高周波電源から高周波電流を誘導コイル(22)に流すことによって、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の接合方向前方側近傍の裏面の表層部に誘導電流を発生させ、これにより当該裏面を加熱する。すると、この裏面から熱が厚さ方向に伝導していき、もって両接合部材(1)(2)の当該裏面の厚さ方向近傍部分が高温状態(その部分H)になる。
【0069】
このように加熱しながら、両接合部材(1)(2)を突合せ部(5)が順次プローブ(13)を通過するように移動させることにより、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)を接合する。
【0070】
この第3実施形態では、上述した第2実施形態と同じく、両接合部材(1)(2)の移動に伴い、両接合部材(1)(2)の高温部分(H)がプローブ埋入位置に到達すると、プローブ(13)の先端と両接合部材(1)(2)の裏面との間にある肉が、極めて迅速に軟化するようになって、当該肉の撹拌混合が良好に行われるようになる。この結果、ルート残り部の発生が抑制又は防止されるようになる。
【0071】
なお、この第3実施形態では、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の接合方向前方側近傍の裏面を加熱する場合について示しているが、この発明では、この他に、裏当てローラ(17)を用いないで接合を行う場合など、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の裏面側に誘導コイル(22)の設置スペースが空いている場合には、このスペースを利用してここに誘導コイル(22)を配置してこの位置から両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ埋入位置の裏面を加熱しても良い。
【0072】
図10〜図12はこの発明の第4実施形態を示している。これらの図には、上記第1実施形態と同じ構成要素に同一の符号が付されており、以下、この第4実施形態を上記第1〜第3実施形態との相異点を中心に説明する。
【0073】
この第4実施形態において、第1接合部材(1)の肉厚をt1とし、第2接合部材(2)の肉厚をt2(但しt2>t1)とすると(図12参照)、第1接合部材(1)の肉厚t1は3mm以下であり、具体的に言うとt1は1mmである。
【0074】
そして、両接合部材(1)(2)は、上記第1実施形態と同じく、裏面同士が面一に連なる態様にして突き合わされており、このため、厚さ方向に両者の肉厚差に対応した段差を表面側にて生じている。
【0075】
この第4実施形態では、ルート残り部の発生を防止するために、ルート残り部を接合するための接合ヘッド(34)を備えた接合ツール(31)を用いる。以下、説明の便宜上、第4実施形態では、この接合ツール(31)を「副接合ツール」と呼び、一方、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)を接合するための接合ヘッド(14)を備えている上記第1〜第3実施形態で用いられた接合ツール(11)を「主接合ツール」と呼ぶ。
【0076】
この副接合ツール(31)は、径大の円柱状回転子(32)と、該回転子(32)の端面(32a)の回転中心部に回転軸線(S)上に沿って突出して一体に設けられた径小のピン状プローブ(33)とを備えており、前記ピン状プローブ(33)を接合ヘッド(34)とするものである。
【0077】
この副接合ツール(31)において、プローブ(33)の長さは、上述した主接合ツール(11)のプローブ(13)よりもかなり短く設定されており、特に0.1〜0.5mmに設定されていることが望ましい。この副接合ツール(31)の他の構成は、上述した主接合ツール(11)と同じである。
【0078】
そして、この副接合ツール(31)は、両接合部材(1)(2)の裏面側における裏当てローラ(17)の接合方向前方側近傍に、そのプローブ(33)を上方に向ける態様にして配置されている。
【0079】
この第4実施形態では、副接合ツール(31)の回転しているプローブ(33)を、両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ(13)埋入位置の接合方向(WD)前方側近傍に裏面側から埋入した状態に配置し、更に好ましくは回転子(32)の端面(32a)を両接合部材(1)(2)の裏面に圧接した状態に配置する。そして、この状態で、突合せ部(5)が順次、主接合ツール(11)のプローブ(13)及び副接合ツール(31)のプローブ(33)を通過するように両接合部材(1)(2)を移動させる。なお、この際、副接合ツール(31)のプローブ(33)の埋入深さ(δ)は、0.1〜0.5mmの範囲内に設定することが、上述したように、ルート残り部の発生を確実に抑制又は防止できるようになり、且つ両接合部材(1)(2)の移動操作を容易に行えるようになる点で、望ましい。
【0080】
この両接合部材(1)(2)の移動に伴い、副接合ツール(31)のプローブ(33)によって両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)におけるプローブ(13)埋入位置の接合方向前方側近傍が裏面側から浅く接合されるとともに、この接合部分が主接合ツール(11)のプローブ(13)埋入位置に到達したとき、該プローブ(13)によって両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)が厚さ方向全体に亘って接合されるようになり、もってルート残り部の発生が抑制又は防止されるようになる。
【0082】
以上でこの発明の第1〜第4実施形態について説明したが、この発明はこられの実施形態に限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
【0083】
例えば、第1〜第4実施形態では、いずれも、接合ツール(11)の接合ヘッド(14)の位置を固定しておき、突合せ部(5)が順次接合ヘッド(14)を通過するように両接合部材(1)(2)を移動させることにより、突合せ部(5)を接合する場合について示しているが、この発明では、この他に、両接合部材(1)(2)の位置を固定しておき、突合せ部(5)に埋入された接合ツール(11)の接合ヘッド(14)を突合せ部(5)に沿って移動させることにより、突合せ部(5)を接合するものであっても良い。この場合には、接合ツール(11)の接合ヘッド(14)の移動方向が接合方向となる。
【0084】
また、第1〜第4実施形態では、いずれも、厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材(1)(2)の突合せ部(5)を表面側から接合する場合について示しているが、請求項1の発明では、この他に、表面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を表面側から接合する場合に対して、適用しても良い。
【0085】
【実施例】
次に、この発明の具体的実施例を示す。
【0086】
<実施例1>
長尺平板状のアルミニウム製第1接合部材(材質6063−T5、肉厚1mm)と、同じく長尺平板状のアルミニウム製第2接合部材(材質6063−T5、肉厚2mm)とを準備した。そして、両接合部材を裏面同士が面一に連なる態様にして幅方向の一端面同士を突き合わせて、この突合せ部を上記第1実施形態の接合方法に従って接合した。
【0087】
<実施例2>
長尺平板状のアルミニウム製第1接合部材(材質6063−T5、肉厚1mm)と、同じく長尺平板状のアルミニウム製第2接合部材(材質6063−T5、肉厚2mm)とを準備した。そして、両接合部材を裏面同士が面一に連なる態様にして幅方向の一端面同士を突き合わせて、この突合せ部を上記第2実施形態の接合方法に従って接合した。
【0088】
<実施例3>
長尺平板状のアルミニウム製第1接合部材(材質6063−T5、肉厚1mm)と、同じく長尺平板状のアルミニウム製第2接合部材(材質6063−T5、肉厚2mm)とを準備した。そして、両接合部材を裏面同士が面一に連なる態様にして幅方向の一端面同士を突き合わせて、この突合せ部を上記第3実施形態の接合方法に従って接合した。
【0089】
<実施例4>
長尺平板状のアルミニウム製第1接合部材(材質6063−T5、肉厚1mm)と、同じく長尺平板状のアルミニウム製第2接合部材(材質6063−T5、肉厚2mm)とを準備した。そして、両接合部材を裏面同士が面一に連なる態様にして幅方向の一端面同士を突き合わせて、この突合せ部を上記第4実施形態の接合方法に従って接合した。なお、ここでは、副接合ツールのプローブの突合せ部裏面への埋入深さδを0.1mmに設定して、接合を行った。
【0090】
[接合結果]
以上の実施例1〜4で接合された両接合部材に対して、顕微鏡による断面観察を行い、接合状態を評価した。この結果、いずれもルート残り部が残存していなかった。したがって、この発明によれば良好な接合部を形成できることを確認し得た。
【0091】
【発明の効果】
上述の次第で、請求項1の発明に係る摩擦撹拌接合法は、両接合部材の突合せ部における接合ヘッド埋入位置の裏面又は接合ヘッド埋入位置の接合方向前方側の裏面を加熱することを特徴とするものであるから、この摩擦撹拌接合法によれば、接合ツールの接合ヘッドの先端と両接合部材の裏面との間にある肉が、迅速に軟化されるようになり、このため、表面同士が面一に連なる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を接合する場合はもとより、厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を接合する場合であっても、ルート残り部の発生を抑制又は防止することができる。更には、接合部材の製造ロット間に肉厚寸法等の寸法バラツキが発生している場合であっても、この摩擦撹拌接合法によれば、当該寸法バラツキに起因するルート残り部の発生を抑制又は防止することができ、接合状態の良好な突合せ継手を得ることができる。
【0092】
また、両接合部材の裏面側において接合ヘッドに対向して配置されるとともに外周面が加熱された裏当てローラからの熱伝導によって、加熱する場合には、接合作業を能率良く行うことができるし、効率良く加熱を行うことができる。
【0093】
また、参考発明1に係る摩擦撹拌接合法によれば、ルート残り部を副接合ツールの接合ヘッドにより接合することができる。このため、厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置された2個の接合部材の突合せ部を表面側から接合する場合であっても、ルート残り部の発生を抑制又は防止することができる。
【0094】
さらに、この摩擦撹拌接合法において、副接合ツールの接合ヘッドを両接合部材の突合せ部に所定範囲内の埋入深さで裏面側から埋入した状態に配置し、この状態で接合を行う場合には、ルート残り部の発生を確実に抑制又は防止できるようになるし、その上、接合操作を容易に行えるようになるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施形態の摩擦撹拌接合法を説明するための図で、両接合部材を接合途中の状態で示す斜視図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】図1中のIII−III線断面図である。
【図4】図1中のIV−IV線断面図である。
【図5】図1中のV−V線断面図である。
【図6】この発明の第2実施形態の摩擦撹拌接合法を説明するための図で、両接合部材を接合途中の状態で示す図2に対応する断面図である。
【図7】図6中のIIV−IIV線断面図である。
【図8】この発明の第3実施形態の摩擦撹拌接合法を説明するための図で、両接合部材を接合途中の状態で示す図2に対応する断面図である。
【図9】図8中のIX−IX線断面図である。
【図10】この発明の第4実施形態の摩擦撹拌接合法を説明するための図で、両接合部材を接合途中の状態で示す斜視図である。
【図11】図10中のXI−XI線断面図である。
【図12】図10中のXII−XII線断面図である。
【図13】従来の摩擦撹拌接合法を説明するための図で、両接合部材を接合途中の状態で示す斜視図である。
【図14】図13中のXIV−XIV線断面図である。
【図15】図14中のXV−XV線断面図である。
【符号の説明】
1…第1接合部材
2…第2接合部材
5…突合せ部
10…接合装置
11…接合ツール
13…プローブ
14…接合ヘッド
17…裏当てローラ
20…電気ヒータ
21…レーザ
22…高周波誘導加熱装置の誘導コイル
31…副接合ツール
33…プローブ
34…接合ヘッド
W…接合部
R…ルート残り部

Claims (3)

  1. 突合せ状に配置されるとともに突合せ部(5)に表面側から接合ツール(11)の回転している接合ヘッド(14)が埋入された2個の接合部材(1)(2)を、突合せ部が順次接合ヘッドを通過するように接合ヘッドに対して相対的に移動させることにより、両接合部材の突合せ部を接合する摩擦撹拌接合法において、
    両接合部材(1)(2)の突合せ部(5)における接合ヘッド埋入位置の裏面又は接合ヘッド埋入位置の接合方向前方側の裏面を加熱して接合を行うことを特徴とする摩擦撹拌接合法。
  2. 両接合部材(1)(2)は、厚さ方向に段差を表面側にて生じる態様で突合せ状に配置されている請求項1記載の摩擦撹拌接合法。
  3. 両接合部材(1)(2)の裏面側において接合ヘッド(14)に対向して配置されるとともに外周面が加熱された裏当てローラ(17)からの熱伝導によって、加熱する請求項1又は2記載の摩擦撹拌接合法。
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