JP4749174B2 - ドライエッチング方法、微細構造形成方法、モールド及びその製造方法 - Google Patents

ドライエッチング方法、微細構造形成方法、モールド及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、タングステン(W)及び炭素(C)を含む物質を微細加工する技術並びにタングステン(W)及び炭素(C)を含む物質を構成要素とするモールド及びその形成方法に関する。
近年、インターネットの普及に伴い、高速通信インフラとして光通信システムの必要性が高まってきている。この高速通信システムを一般家庭に導入し、さらに普及させるためには、光通信システムを構成する光回路部品の低価格を実現する技術が必要である。
光回路部品の主構成要素である光導波路は、一般に、半導体プロセスに代表されるリソグラフィ技術とドライエッチング技術とを用いてガラス基板上に所望の溝パターンを形成することによって作ることができる。ところが、この方法では高価な製造装置が必要となるため、光導波路部品の低コスト化が困難であるという問題があった。そのため、特許文献1に記載されているように、所望の凹凸構造が形成されたモールド(所謂、金型)をガラスからなる軟化材料表面に圧着させることによって、ガラス表面上に所望の光導波路等を形成する方法が注目されている。この方法によれば、モールドさえあれば所望の光導波路を大量生産することが可能となり、光回路部品を安価に提供することができる。しかしながら、このガラス形成方法は高温高圧状態で行うことが必要であるため、モールドには耐熱性、剛性及び耐久性が要求される。この条件を満たす材料として、超硬金属であるタングステン(W)と炭素(C)とを主成分とするWC合金がある。
WC合金表面に微細なパターンを形成する方法としては、特許文献1に記載されているようなダイヤモンドバイトによる切削加工法があるが、当該加工法によってモールド上に刻み込める凹凸の寸法は数ミクロン以上であり、また、当該加工法は加工均一性についても限界がある。ダイヤモンドバイトによる切削加工により実現可能な凹凸寸法の範囲のみならず1μm以下の凹凸寸法での加工を実現する方法として、リソグラフィ技術とドライエッチング技術とを用いる微細加工技術が有効である。この方法では、微小凹凸の形成が可能なだけではなく、加工バラツキが少なく、ダイヤモンドバイトによる切削加工法よりも低コストでモールドを製造できると言う利点がある。
WC合金のドライエッチング技術として、特許文献2には、CF4 又はSF6 によりWC合金をドライエッチングできることが開示されている。
以下、図7(a)及び(b)を参照しながら、従来のドライエッチング方法について説明する。図7(a)に示すように、減圧状態で圧力を保持することが可能な反応室101にはガス供給口102が設けられていると共にガス排気口103が設けられている。また、反応室101の上部には、ガス供給口102から供給されたガスをプラズマ状態にするプラズマ発生装置104が設けられている。また、反応室101の下部には、被処理物、具体的にはWC合金基板又はWC合金を表面に備えた基板(以下、合わせてWC基板と称する)107の載置台となる電極106が絶縁体105を介して設けられている。反応室101の外部には、電極106にバイアスを印加するためのRF(ラジオ波)電源108が設けられている。
次に、エッチングガスとしてCF4 を用いた場合を例として、図7(a)に示すエッチング装置の動作について説明する。図7(a)に示すように、CF4 をガス供給口102から反応室101内に導入し、プラズマ発生装置104によりCF4 からなるプラズマ150を生成すると同時に、RF電源108によりWC基板107にRFバイアスを印加する。その結果、プラズマ150中に、C、F又はCFn (n=1〜4)のラジカル109及びそれらのイオン110が生成される。ここで、通常、ドライエッチングに用いるプラズマ150中では、プラズマ150により生成される原子数・分子数比率は、[F]>[CFn ]≫[C]となる。ラジカル109は等方的に拡散してWC基板107に到達するが、イオン110はプラズマ150とWC基板107との間で加速されるので、WC基板107に対してほぼ垂直に入射する。特に、F原子を含むF+ イオン及びCFn+イオンがWC基板107に入射する場合には、WCの結合を切断し、WはWFx (x=1〜6)として放出される。一方、CはCFy (y=1〜4)として再放出される。
図7(b)を参照しながら、WC基板表面におけるエッチング反応をさらに詳細に説明する。図7(b)に示すように、WC基板111上にレジストパターン112が形成されている。レジストパターン112をマスクとして、F+ 又はCF+ であるイオン113a及び113bを用いてWC基板111に対してエッチングを行うと、WC基板111を構成するWはWFx (x=1〜6)114として放出される。このとき、エッチングにより形成されたWC基板111のパターン側壁が、以下に述べる理由によって、弓なりになった形状つまりボウイング(Bowing)形状になる。
WC基板111のエッチングにおいて、ほとんどのイオンは、イオン113aのように、WC基板111に対してほぼ垂直に入射するが、基本的にイオンはエネルギー広がり(イオンエネルギー角度分布)を持っているために、イオン113bのように、WC基板111に対して斜めに入射するイオンが存在する。従って、WC基板111に対して垂直に入射するイオン113aにより、レジストパターン112をエッチングマスクとしてWC基板111の異方性(垂直)エッチングが実現される。しかしながら、WC基板111に対して斜めに入射するイオン113bの衝撃により、WC基板111のパターン側壁がエッチングされ、結果的に当該パターン側壁が図7(b)に示すようなボウイング形状になってしまう。
次に、従来のWC合金への微細構造形成方法及びそれを用いたモールドの製造方法について、図8(a)〜(d)を参照しながら説明する。
図8(a)に示すように、WC合金基板121を用意した後、図8(b)に示すように、WC合金基板121上にレジストパターン122を形成する。レジストパターン122は、通常、リソグラフィ技術により形成される。次に、図8(c)に示すように、レジストパターン122をマスクとしてWC合金基板121に対してパターン転写を行う。その際、パターン転写はドライエッチング技術により行われる。
前記の従来のドライエッチング技術を用いると、プラズマ中からWC合金基板121に入射するイオン123はエネルギー広がりを持っているため、WC合金基板121表面に垂直に入射する成分A以外に、当該表面に対して角度を持って斜めに入射する成分、つまり斜入射成分B及びCが存在する。そのため、これらの斜入射イオンにより、WC合金基板121のパターン側壁がエッチングされる結果、図8(c)に示すように、エッチング断面形状は、所謂、ボウイング形状になる。
次に、レジストパターン122をアッシング除去した後、洗浄を実施する。これにより、図8(d)に示すように、表面及び内部に微細な凹凸構造を備えたWC合金基板121からなるモールドが形成される。
尚、モールドを用いた加工を行う従来技術としては、S.Y.Chou等により提案されているナノインプリントリソグラフィ(例えば特許文献3及び非特許文献1参照)等のナノインプリント法という技術がある。ナノインプリント法は、半導体ウェハ上に形成されたレジスト薄膜にモールドを押圧することにより、微細なレジストパターンを形成する技術であって、最小寸法としてナノオーダの微細パターンを形成することを目的として現在も開発中の技術である。ナノインプリント法に用いられる従来のモールドの微細構造形成部には、加工が容易なSiO2 膜又はSi3 4 膜などが用いられている。
特許第3152831号公報 特開平1−98229号公報 米国特許5772905号公報 Stephen Y. Chou 他、Appl. Phys. Lett., Vol. 67、1995年、p.3114-3116
しかしながら、従来のCF4 又はSF6 によるドライエッチング方法では、前述のように、パターン底部だけではなくパターン側壁もエッチングされて当該側壁がボウイング形状となるため、垂直エッチング形状が得られず高性能な加工ができないという問題があった。また、従来のドライエッチング方法による加工は、WC合金表面及びその内部に高精度な微細構造を形成できないという問題を有していた。その結果、高精細微細構造を備えたWC合金モールドを製造できないという大きな問題があった。
前記に鑑み、本発明は、パターン側壁のエッチングを防止して垂直エッチング形状を実現できるWC合金のドライエッチング方法を提供することを目的とする。また、本発明は、WC合金表面及びその内部に垂直形状の高精度な微細構造を形成できる微細構造形成方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、高精細微細構造を備えたWC合金モールド及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明に係るドライエッチング方法は、タングステンと炭素とを含む物体に対して、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いてエッチングを行う。
本発明に係るドライエッチング方法によると、タングステンと炭素とを含む物体の表面及び内部にボウイング形状の無い高精度垂直形状又は高精度順テーパ形状を実現できるエッチング加工を行うことが可能となる。加えて、高アスペクト比エッチング加工を実現できる。尚、タングステンと炭素とを含む物体としては、WC合金又はWCを主成分とする(WとCとの合計組成が50at%以上である)物体等がある。
本発明のドライエッチング方法において、前記混合ガスに代えて、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガス(例えば、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(C6 3 F(NO2 2 ))、2−フルオロ−1,3,5−トリニトロベンゼン(C6 2 F(NO2 3 ))を用いてもよい。
本発明のドライエッチング方法において、前記弗素原子を含むガスは、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中のタングステン(W)のエッチングに必要な弗素をプラズマ放電により効率よく生成することができる。
本発明のドライエッチング方法において、前記CN結合及び水素原子を含むガスは、アルキルアミン、ジアルキルアミン若しくはトリアルキルアミンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることが好ましい。このようにすると、これらのガスは比較的小さな分子であるため、プラズマにより容易に解離でき、それにより水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができる。その結果、高アスペクト比形状を形成するためのエッチングにおいても、側壁保護膜を効率よく形成できる。
本発明のドライエッチング方法において、前記混合ガスに水素分子がさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、プラズマ放電により水素の生成量が増大するため、WとCとを含む物質中の炭素(C)のエッチング効率を増大させることができる。
本発明のドライエッチング方法において、前記混合ガスに酸素原子を含むガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、効率よく酸素を供給することができるので、過剰に堆積された膜を適度に除去できる。
本発明のドライエッチング方法において、前記混合ガスに希ガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、希ガス添加効果により、プラズマ放電をさらに安定化させることができるので、所謂プロセスウインドウ(適用可能なプロセス条件幅)を容易に拡大することができる。
本発明のドライエッチング方法において、前記混合ガスに窒素原子を含むガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中のCの除去能力が増大するので、エッチングレートを増大させることができる。尚、弗素原子を含むガス及び窒素原子を含むガスに代えて、弗素原子と窒素原子とを含むガスを用いてもよい。また、前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることが好ましい。このようにすると、これらのガスの分子量は小さいため、効率よく窒素原子イオンを生成することが可能となり、その結果、より大きなエッチングレート増大効果を得ることができる。また、微細構造の形状を垂直断面形状から順テーパ断面形状まで容易に制御することができる。
本発明のドライエッチング方法において、前記混合ガスに炭化水素分子がさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、側壁保護膜の形成が促進されると共にレジスト保護効果が増大する。また、前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることが好ましい。このようにすると、炭化水素分子内に二重結合が存在しないため、プラズマ放電により炭化水素分子を分解し易くなり、その結果、分解物としてCHr (r=1〜3)を効率よく生成することができるので、エッチング中にCHr によりパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できる。
本発明のドライエッチング方法において、前記混合ガスには、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスの少なくとも1つがさらに混合されていることが好ましい。このようにすると、塩素、臭素又はヨウ素の効果により加工部(凹部)の底部まで側壁保護効果を増大させることができるため、高アスペクト比微細構造エッチングにおいて垂直形状加工だけではなく順テーパ形状加工をも容易に実現できる。
本発明に係る微細構造形成方法は、タングステンと炭素とを含む物体上にマスクパターンを形成する工程と、前記マスクパターンを用いて、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマにより前記物体に対してドライエッチングを行う工程とを備えている。
本発明に係る微細構造形成方法によると、タングステンと炭素とを含む物体の表面及び内部に、ボウイング形状の無い高精度垂直形状又は高精度順テーパ形状を持つ高アスペクト比微細構造を形成することが可能となる。
本発明の微細構造形成方法において、前記混合ガスに代えて、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガス(例えば、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(C6 3 F(NO2 2 ))、2−フルオロ−1,3,5−トリニトロベンゼン(C6 2 F(NO2 3 ))を用いてもよい。
本発明の微細構造形成方法において、前記弗素原子を含むガスは、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中のタングステン(W)のエッチングに必要な弗素をプラズマ放電により効率よく生成することができるため、高速な微細加工が可能になる。
本発明の微細構造形成方法において、前記CN結合及び水素原子を含むガスは、アルキルアミン、ジアルキルアミン若しくはトリアルキルアミンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることが好ましい。このようにすると、エッチング加工中の微細構造(凹部)内部に水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができるため、側壁保護膜を効率よく形成できるので、高アスペクト比形状を形成するためのエッチングにおいても垂直形状微細加工及び順テーパ形状微細加工を容易に実現できる。
本発明の微細構造形成方法において、前記混合ガスに水素分子がさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中の炭素のエッチング効率が増大するため、さらに高速の微細加工を実現できる。
本発明の微細構造形成方法において、前記混合ガスに酸素原子を含むガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中の炭素、及び過剰に形成された側壁保護膜等の堆積物をそれぞれ適度に除去することができると共に、エッチングレートを高くすることができる。このため、さらに高速の微細加工を実現できる。
本発明の微細構造形成方法において、前記混合ガスに希ガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、希ガス添加効果により、プラズマ放電をさらに安定化させることができるので、微細加工において所謂プロセスウインドウを容易に拡大することができる。
本発明の微細構造形成方法において、前記混合ガスに窒素原子を含むガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、プラズマ中の窒素イオンにより、WとCとを含む物質中の炭素をさらに効率よくエッチング除去できるため、高速の微細加工を実現できる。また、微細構造形状を垂直断面形状から順テーパ断面形状まで容易に制御することができる。尚、弗素原子を含むガス及び窒素原子を含むガスに代えて、弗素原子と窒素原子とを含むガスを用いてもよい。また、前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることが好ましい。このようにすると、これらのガスの分子量は小さいため、効率よく窒素イオンを生成することが可能となり、その結果、高速微細構造形成が可能となる。
本発明の微細構造形成方法において、前記混合ガスに炭化水素分子がさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、CNHs 分子に加えて、さらにCHr (r=1〜3)の存在によって、エッチング中にパターン側壁部の保護膜の形成が促進されるため、微細垂直形状加工及び順テーパ形状加工を容易に実現できる。また、レジスト保護効果が大きく増大する。また、前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることが好ましい。このようにすると、炭化水素分子内に二重結合が存在しないため、プラズマ放電により炭化水素分子を分解し易くなり、その結果、分解物としてCHr (r=1〜3)を効率よく生成することができるので、エッチング中にCHr により、加工部上部に位置するパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できる。その結果、テーパ形状制御がさらに容易になる。
本発明の微細構造形成方法において、前記混合ガスには、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスの少なくとも1つがさらに混合されていることが好ましい。このようにすると、塩素、臭素又はヨウ素の効果により加工部(凹部)の底部まで側壁保護効果を増大させることができるため、高アスペクト比微細構造加工においても垂直形状加工及び順テーパ形状加工を容易に実現できる。
本発明に係るモールドの製造方法は、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体をモールドに加工する。
本発明のモールドの製造方法によると、本発明のドライエッチング方法を用いるため、WとCとを含む物質からなり、且つ垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを製造できる。また、高アスペクト比の微細構造を備えたモールドを製造できる。
本発明のモールドの形成方法において、前記混合ガスに代えて、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガス(例えば、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(C6 3 F(NO2 2 ))、2−フルオロ−1,3,5−トリニトロベンゼン(C6 2 F(NO2 3 ))を用いてもよい。
本発明のモールドの製造方法において、前記弗素原子を含むガスは、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中のタングステン(W)のエッチングに必要な弗素をプラズマ放電により効率よく生成することができるため、高精度な微小凹凸を備えたモールドをより安価且つ高速に製造できる。
本発明のモールドの製造方法において、前記CN結合及び水素原子を含むガスは、アルキルアミン、ジアルキルアミン若しくはトリアルキルアミンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることが好ましい。このようにすると、エッチング加工中の微細構造(凹部)内部に水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができるため、側壁保護膜を効率よく形成できるので、高アスペクト比形状を備えモールドにおいても垂直断面形状及び順テーパ断面形状を容易に実現できる。
本発明のモールドの製造方法において、前記混合ガスに水素分子がさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中の炭素のエッチング効率が増大するため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを高速に製造できる。
本発明のモールドの製造方法において、前記混合ガスに酸素原子を含むガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中の炭素、及び過剰に形成された側壁保護膜等の堆積物をそれぞれ適度に除去することができると共に、エッチングレートを高くすることができる。このため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに高速に製造できる。
本発明のモールドの製造方法において、前記混合ガスに希ガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、希ガス添加効果により、プラズマ放電をさらに安定化させることができるので、所謂プロセスウインドウを容易に拡大することができる。従って、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを安定に製造できる。
本発明のモールドの製造方法において、前記混合ガスに窒素原子を含むガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、プラズマ中の窒素イオンにより、WとCとを含む物質中の炭素を効率よくエッチング除去できると共に、微細構造形状を垂直断面形状から順テーパ断面形状まで容易に制御することができる。従って、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを高速且つ制御性良く製造できる。尚、弗素原子を含むガス及び窒素原子を含むガスに代えて、弗素原子と窒素原子とを含むガスを用いてもよい。また、前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることが好ましい。このようにすると、これらのガスの分子量は小さいため、効率よく窒素原子イオンを生成することが可能となり、その結果、垂直断面形状から順テーパ断面形状までの任意の形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを高速に製造できる。
本発明のモールドの製造方法において、前記混合ガスに炭化水素分子がさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、プラズマにより生成されたCHr (r=1〜3)によって、エッチング中にパターン側壁部の保護膜の形成が促進されると共にレジスト保護効果が増大するため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに容易に製造できる。また、前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることが好ましい。このようにすると、炭化水素分子内に二重結合が存在しないため、プラズマ放電により炭化水素分子を分解し易くなり、その結果、分解物としてCHr (r=1〜3)を効率よく生成することができるので、当該CHr により、エッチング中に加工部上部に位置するパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できる。従って、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに容易に製造できる。
本発明のモールドの製造方法において、前記混合ガスには、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスの少なくとも1つがさらに混合されていることが好ましい。このようにすると、塩素、臭素又はヨウ素の効果により、加工部(凹部)の底部の側壁保護効果を増大させることができるため、垂直形状又は順テーパ形状の高アスペクト比微細構造を備えたモールドを容易に製造できる。
本発明に係るモールドは、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体を成形加工することにより製造されている。
本発明のモールドによると、本発明のドライエッチング方法を用いて製造されたモールドであるため、WとCとを含む物質からなり且つ垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを提供できる。
本発明のモールドにおいて、前記混合ガスに代えて、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガス(例えば、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(C6 3 F(NO2 2 ))、2−フルオロ−1,3,5−トリニトロベンゼン(C6 2 F(NO2 3 ))を用いてもよい。
本発明のモールドにおいて、前記弗素原子を含むガスは、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることが好ましい。このようにすると、高速微細構造形成が可能となるため、高精度な微小凹凸を備えたモールドを安価に提供できる。
本発明のモールドにおいて、前記CN結合及び水素原子を含むガスは、アルキルアミン、ジアルキルアミン若しくはトリアルキルアミンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることが好ましい。このようにすると、エッチング加工中の微細構造(凹部)内部に水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができるため、側壁保護膜を効率よく形成できるので、垂直形状及び順テーパ形状の高アスペクト比微細構造を備えたモールドを提供できる。
本発明のモールドにおいて、前記混合ガスに水素分子がさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中の炭素のエッチング効率が増大するため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを高速に提供できる。
本発明のモールドにおいて、前記混合ガスに酸素原子を含むガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中の炭素及び過剰に形成された側壁保護膜等の堆積物をそれぞれ適度に除去することができると共にエッチングレートを高くすることができる。このため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに高速に提供できる。
本発明のモールドにおいて、前記混合ガスに希ガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、希ガス添加効果により、プラズマ放電をさらに安定化させることができるので、所謂プロセスウインドウを容易に拡大できると共に垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを安定に提供できる。
本発明のモールドにおいて、前記混合ガスに窒素原子を含むガスがさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、より高速のエッチングが実現されると共に垂直形状から順テーパ形状までの微細構造形状制御が容易になるので、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えた安価なモールドを提供できる。尚、弗素原子を含むガス及び窒素原子を含むガスに代えて、弗素原子と窒素原子とを含むガスを用いてもよい。また、前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることが好ましい。このようにすると、これらのガスの分子量が小さいため、効率よく窒素原子イオンを生成することが可能となり、その結果、垂直断面形状から順テーパ断面形状までの任意の形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを安価に提供できる。
本発明のモールドにおいて、前記混合ガスに炭化水素分子がさらに添加されていることが好ましい。このようにすると、プラズマにより生成されたCHr (r=1〜3)によって、エッチング中にパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できるため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに容易に提供できる。また、前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることが好ましい。このようにすると、炭化水素分子内に二重結合が存在しないため、プラズマ放電により炭化水素分子を分解し易くなり、その結果、分解物としてCHr (r=1〜3)を効率よく生成することができるので、当該CHr により、エッチング中にパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できる。従って、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに容易に提供できる。
本発明のモールドにおいて、前記混合ガスには、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスの少なくとも1つがさらに混合されていることが好ましい。このようにすると、塩素、臭素又はヨウ素の効果により、加工部の側壁保護効果を増大させることができるため、垂直形状又は順テーパ形状の高アスペクト比微細構造を備えたモールドを容易に提供できる。
本発明に係るドライエッチング方法によると、タングステン(W)と炭素(C)とを含む物質に対して、弗素原子を含むガスと、CN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いることにより、弗素原子を含むイオンによりタングステンがWFx (x=1〜6)の形でエッチング除去される。同時に、CN結合及び水素原子を含むガスから生成されるCNHs (s=0,1,2,3,4,5)分子によりエッチング途中のパターン側壁に保護膜が形成されるため、パターン側壁に入射するイオンの衝撃よるエッチング反応を阻止することができるので、垂直なエッチング断面形状を実現することができる。また、同時に、プラズマから供給される窒素原子を含むイオンにより、炭素がCN、C2 2 又はHCNという形で効率よく除去されるため、弗素イオンによるタングステンのエッチング効率をさらに向上させることができる。その結果、WとCとを含む物体に対する高アスペクト比エッチング加工において垂直断面形状及び順テーパ断面形状を実現することができる。
また、本発明に係るドライエッチング方法によると、前記混合ガスに窒素原子を含むガスをさらに添加することにより、窒素を独立に供給することができるため、窒素原子を含むイオンにより、炭素をCN、C2 2 又はHCNという形で効率よくエッチング除去することが可能となる。その結果、弗素原子を含むイオンによるWのエッチングと、窒素原子を含むイオンによるCのエッチングとが同時に起こり、その相乗効果により高速高効率エッチングが実現される。また、窒素原子を含むガスの添加により、CN結合及び水素原子を含むガスによる側壁保護膜の形成量を制御することが容易になるので、微細構造形状における垂直形状から順テーパ形状までの制御が容易になる。その結果、WとCとを含む物質に対して高アスペクト比垂直形状エッチング又は高アスペクト比順テーパ形状エッチングを高速で行うことが可能となる。すなわち、垂直形状から順テーパ形状までエッチング形状を容易に制御することができる。
また、本発明に係るドライエッチング方法によると、前記混合ガスに炭化水素分子をさらに添加することにより、分解物としてCHr (r=1〜3)を効率よく生成することができるため、当該CHr により、エッチング中に加工部上部のパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できると共にレジスト保護効果を増大させることができる。その結果、WとCとを含む物質の高アスペクト比エッチングにおいて、垂直形状エッチング又は順テーパ形状エッチングをさらに容易に実現することができる。また、同時に、耐レジストエッチング性(被エッチング物とレジストとの間のエッチング選択性)を大きく向上させることができる。
さらに、本発明に係るドライエッチング方法によると、前記混合ガスに、塩素を含むガス、臭素を含むガス又はヨウ素を含むガスのいずれかを添加することにより、WClx (x=1〜6)又はそれよりもさらに揮発性の低いWBrx (x=1〜6)若しくはWIx (x=1〜6)がエッチング表面から生成されるため、これらのガスを添加しない場合と比べて、さらに厚い側壁保護膜を容易に形成することがでる。また、エッチング加工部の底部での側壁保護効果を増大させることができる。これらの結果、さらなる高アスペクト比を持つ微細構造の加工において垂直形状エッチングだけではなく順テーパ形状エッチングも容易に実現することが可能となる。
本発明に係る微細構造形成方法によると、WとCとを含む物質の表面及び内部に、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を形成することができる。
本発明に係るモールドの製造方法によると、WとCとを含む物質からなり且つ垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを製造することができる。
本発明に係るモールドによると、WとCとを含む物質からなり且つ垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを実現することができる。
尚、本発明に係るドライエッチング方法、微細構造形成方法、モールドの製造方法及びモールドのそれぞれにおいて、タングステンと炭素とを含む物体にさらに窒素(N)が含まれていても、全く同様の効果が得られる。すなわち、本発明をWCN合金又はWNC合金等に適用しても、全く同様の効果が得られる。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るドライエッチング方法について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係るドライエッチング方法の説明図である。図1(a)に示すように、減圧状態で圧力を保持することが可能な反応室1にはガス供給口2が設けられていると共にガス排気口3が設けられている。また、反応室1の上部には、ガス供給口2から供給されたガスをプラズマ状態にするプラズマ発生装置4が設けられている。また、反応室1の下部には、タングステンと炭素とを含む被処理物、具体的にはWC合金基板又はWC合金を表面に備えた基板(以下、合わせてWC基板と称する)7の載置台となる電極6が絶縁体5を介して設けられている。反応室1の外部には、電極6にバイアスを印加するためのRF(ラジオ波)電源8が設けられている。
次に、エッチングガスとして、弗素原子を含むガスと、CN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスを用いた場合を例として、図1(a)に示すエッチング装置の動作つまり本実施形態のドライエッチング方法について説明する。図1(a)に示すように、弗素原子を含むガス(例えばCF4 )と、CN結合及び水素原子を含むガス(例えばCH3 NH2 )とからなる混合ガスをガス供給口2から反応室1に導入し、プラズマ発生装置4により当該混合ガスからなるプラズマ50を生成すると同時に、RF電源8によりWC基板7にRFバイアスを印加する。その結果、前記混合ガスからなるプラズマ50中に、CFp*(p=1、2、3)、F* 、CHr*(r=1、2、3)、CNHs*(s=0、1、2、3、4、5)、NHq*(q=1、2)、H* 及びN* であるラジカル9と、CFp +(p=1、2、3)、F+ 、NHq +(q=1、2)、N+ 、CHr +(r=1、2、3)、CNHs +(s=0、1、2、3、4、5)及びH+ であるイオン10とが生成される。尚、本願において、「*」は、励起状態にある原子も含めてラジカルを表すものとする。
ラジカル9は等方的に拡散してWC基板7に到達するが、イオン10はプラズマ50とWC基板7との間で加速されるので、WC基板7に対してほぼ垂直に入射する。このとき、イオン10のうちCFp +及びF+ がその運動エネルギーによりWCの結合を切断してWと反応し、WFx (x=1〜6)が放出される。一方、Cは窒素イオン(N+ )及び水素イオン(H+ )により、主にHCN、CN又はC2 2 としてエッチング除去される。尚、CFx (x=1〜4)として再放出されるものもある。
図1(b)を参照しながら、WC基板表面におけるエッチング反応をさらに詳細に説明する。特に図1(b)は、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマにより、WとCとを含む物質をエッチングする場合のエッチング機構を示している。
図1(b)に示すように、WC基板11上にレジストパターン12を形成した後、レジストパターン12をマスクとして、WC基板11に対してエッチングを行う。ここで、図1(b)において、13a、13b及び13cはCFp +イオン(p=1、2、3)及びF+ イオンを表し、14a及び14bは側壁保護膜及びレジスト保護膜を表し、15はCHr +イオン(r=1、2、3)及びH+ イオンを表し、16はCNHs +イオン(s=0、1、2、3、4、5)、NHq +イオン(q=1、2)及びN+ イオンを表し、17はCHr*ラジカル(r=1、2、3)、CNHs*ラジカル(s=0、1、2、3、4、5)、NHq*ラジカル(q=1、2)、H* ラジカル及びN* ラジカルを表す。尚、側壁保護膜14aは、CHFNポリマーとWFx 化合物との混合物からなり且つパターン側壁を被覆保護している。
次に、上記各イオン及び各ラジカルの役割について説明する。
CFp +(p=1、2、3)及びF+ のうち、WC基板11にほぼ垂直に入射したイオン13aは、イオン衝撃エネルギーによってWとCとの結合を切断すると共にFがWと化学結合することによって反応生成物としてのWFx を生成する。ここで、WFx は複数の入射イオン13aと何回も反応し、最終的にはWF5 又はWF6 等の分子として気相中に放出される。これが、WC基板11中のWの主エッチング機構である。
また、NHq +イオン(q=1、2)、N+ イオン及びH+ イオンがWC基板11に入射すると、イオン衝撃エネルギーによりWとCとの結合を切断すると共にN及びHがCと化学結合し、その結果、WC基板11中のCは反応生成物(主にHCN)としてエッチング除去される。これが、WC基板11中のCの主エッチング機構である。さらに、本実施形態の場合、CN結合及び水素原子を含むガスの分解物として、CHr*ラジカル(r=1、2、3)若しくはCNHs*ラジカル(s=0、1、2、3、4、5)及びそれらの分解物である水素原子ラジカル、並びにCHr +イオン(r=1、2、3)若しくはCNHs +イオン(s=0、1、2、3、4、5)及びそれらの分解物であるH+ イオンが生成される結果、エッチング反応表面(微細構造パターン底部を含む)に水素が供給される。特に、CN結合及び水素原子を含むガスを用いることにより、CNHs*ラジカル(s=0、1、2、3、4、5)及びCNHs +イオン(s=0、1、2、3、4、5)として、基板表面に効率よく水素を供給することができる。そのため、NHq +イオン(q=1、2)及びN+ イオンのイオン衝撃によるイオンアシストエッチング反応によってHCNとして炭素が除去される確率が大きく増大する。すなわち、エッチング反応表面に窒素イオンと水素とが同時に存在することにより、Cのエッチングレートが増大する。
このように、本実施形態においては、Wエッチングだけではなく、Cを積極的にエッチング除去する機構が存在することにより、高速なエッチング加工を実現できる。
次に、本実施形態における側壁保護膜の形成メカニズムについて説明する。
CHr*ラジカル(r=1、2、3)、CNHs*ラジカル(s=0、1、2、3、4、5)、NHq*ラジカル(q=1、2)、H* ラジカル及びN* ラジカルであるラジカル17は、プラズマ気相中を等方拡散してWC基板11表面に輸送され、さらに基板表面の微細構造内においても同様に等方拡散して微細構造内部(側壁及び底部)に堆積する。従って、堆積膜の主成分はCHNポリマーとなる。本実施形態のように、CN結合及び水素原子を含むガスを用いた場合、CHNポリマーの生成の元となるラジカルとイオンとが多量に前記微細構造内部に供給されるため、本来エッチングに寄与するはずのCFp*ラジカル(p=1、2、3)の一部分もCHNポリマーに取り込まれる。その結果、側壁保護膜14aはCHFNポリマーから構成される。
また、CFp +(p=1、2、3)及びF+ であるイオン13bのように、エッチング反応表面でWと化学反応し、その結果、生成された反応生成物WFx が気相中に放出されてエッチング途中のWC基板11のパターン側壁又はレジストパターン12の側面に吸着する場合も生じる。吸着したWFx はパターン側壁に堆積し、側壁保護膜14aの一部分を形成する。その結果、実際に形成される側壁保護膜14aはCHFNポリマーとWFx 化合物との混合物となる。但し、放出されたWFx 化合物は再堆積性が小さいため、ポリマー中のWFx 化合物の量は微量となる。
以上のように、本実施形態の特徴は、特に、CN結合及び水素原子を含むガスを用いることにより、ラジカルだけではなく、CHr +イオン(r=1、2、3)又はCNHs +イオン(s=0、1、2、3、4、5)として側壁保護膜の主成分が供給されるため、ポリマーの主成分であるCHr 又はCNHs が微細構造上部だけではなく微細構造の底部及びその近傍の側壁にも十分に供給されることである。
微細構造底部に形成されるポリマーは、入射してきたNHq +イオン、CHr +イオン、CNHs +イオン又はCFp +イオンの衝撃エネルギーを受け、所謂イオンアシストエッチング反応により化学反応を生じ、その結果、HCN、CN又はC2 2 として微細構造底部表面から脱離する。従って、イオンアシストエッチング反応によりエッチングが進行する条件下ではパターン底部の吸着物のほとんどはリアルタイムにWC基板の一部と共にエッチング除去される。しかしながら、パターン側壁では入射するイオンの量がパターン底部に比べて極めて少ないため、エッチングを進行させるイオンの量よりも堆積成分の方が多くなり、結果として堆積物が生成されて側壁保護膜14aが形成される。
尚、イオンはRFバイアスにより基板表面に垂直に入射するため、基板表面つまりレジストパターン12上面へのイオンの供給量と微細構造底部のエッチング反応表面へのイオンの供給量とはほぼ同程度である。一方、本実施形態においても、微細構造底部まで供給されるラジカルの量は、基板表面に供給されるラジカルの量と比べて、少なくとも数分の1程度に減少する。従って、微細構造底部ではエッチング反応が効率よく生じていても、レジストパターン12の上部は薄い堆積膜(レジスト保護膜14b)により保護される結果、レジストパターン12の耐エッチング性が向上する。
従来技術であれば、CFp +(p=1、2、3)及びF+ であるイオン13cのように、基板に対して斜めに入射してくるイオン成分があるため、パターン側壁がエッチングされてボウイング形状になる。それに対して、本実施形態によれば、上述の側壁保護膜14aの存在により、イオン13cによるパターン側壁のエッチングは防止されるので、従来技術に見られたボウイング形状が発生しない。その結果、垂直形状又は順テーパ形状の側壁を持った微小凹凸パターンを形成することができる。尚、図1(b)には示していないが、CN結合及び水素原子を含むガスの供給量を増大させることにより、側壁保護膜14aの厚さを大きくすることができ、それによって順テーパ形状のパターン側壁を実現することができる。
このように本実施形態のドライエッチング方法によると、タングステンと炭素とを主成分とする物質であるWC合金の表面及び内部に、ボウイング形状の無い高精度垂直形状及び順テーパ形状を実現できるエッチング加工を行うことができる。
以上のように、本発明の本質は、弗素原子を含むイオンによるWエッチングと、窒素原子を含むイオンによるCエッチングと、CN結合及び水素原子を含むガス(その解離生成分子を含む)によるエッチング加工パターンの側壁保護効果とが同時に達成されるところにある。
尚、本実施形態において、弗素原子を含むガスとして、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物を用いれば良い。例えば、F2 、CF4 、C2 6 、C3 8 、C4 6 、C4 8 (環状又は直鎖)、C5 8 (環状又は直鎖)、CHF3 、CH2 2 、CH3 F等のガス又はさらに高分子からなる環境対策用のCFガスを用いれば良い。これらのガスを用いると、WとCとを含む物質中のタングステン(W)のエッチングに必要な弗素及び弗素を含む解離分子をプラズマ放電により効率よく生成することができる。
また、本実施形態において、CN結合及び水素原子を含むガスとして、アルキルアミン[R−NH2]、ジアルキルアミン[R2−NH]若しくはトリアルキルアミン[R3−NH]のいずれか又はそれらの2つ以上の混合物を用いれば良い。このようにすると、これらのガスは比較的小さな分子であるため、プラズマにより容易に解離でき、それにより水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができる。その結果、高アスペクト比形状を形成するためのエッチングにおいても、側壁保護膜を効率よく形成できる。アルキル基Rとしては、直鎖状又は環状のいずれでも良い。アルキルアミンとしては、例えば、メチルアミン(CH3 NH2 :1気圧(760mmHg:以下同じ)での沸点−6.33℃)、エチルアミン(C2 5 NH2 :1気圧での沸点16.6℃)、n−プロピルアミン(CH3 (CH2 2 NH2 :1気圧での沸点48℃)、イソプロピルアミン((CH3 2 CHNH2 :1気圧での沸点33.5℃)、3−ジメチルアミノプロピルアミン((CH3 2 NCH2 CH2 CH2 NH2 :1気圧での沸点135℃)、n−ブチルアミン(CH3 (CH2 3 NH2 :1気圧での沸点68.5℃)又はイソブチルアミン((CH3 2 CH−CH2 NH2 :1気圧での沸点78℃)等を用いればよい。ジアルキルアミンとしては、例えば、ジメチルアミン((CH3 2 NH:1気圧での沸点6.9℃)、ジエチルアミン((C2 5 2 NH:1気圧での沸点55.4℃)、ジ−n−プロピルアミン(CH3 (CH2 2 NH2 :1気圧での沸点48℃)、ジイソプロピルアミン(CH3 −CH(CH3 )−NH−CH(CH3 )−CH3 :1気圧での沸点84℃)、sec−ブチルアミン(CH3 CH(NH2 )C2 5 :1気圧での沸点63℃)、ジ−n−ブチルアミン((CH3 CH2 CH2 CH2 2 NH:1気圧での沸点159℃)又はジイソブチルアミン(CH3 CH(CH3 )CH2 NHCH2 CH(CH3 )CH3:1気圧での沸点140℃)等を用いればよい。トリアルキルアミンとしては、例えば、トリメチルアミン((CH3 3N:1気圧での沸点3℃)、トリエチルアミン((C2 5 3 N:1気圧での沸点89.5℃)又はトリブチルアミン((CH3 CH2 CH2 CH2 3 N:1気圧での沸点216.5℃)等を用いればよい。また、環状のアルキル基を持つガスとしては、アニリン(C6 5 NH2 :1気圧での沸点184℃)等を用いても良い。また、エチレンジアミン(H2 NCH2 CH2 NH2 :1気圧での沸点117℃)等の、アミンを2つ以上有するガスを用いても良い。その他、CN結合及び水素原子を含むガスとして、アセトニトリル(CH3 CN:1気圧での沸点82℃)、アクリロニトリル(CH2 =CH−CN:1気圧での沸点77℃)等のニトリル化合物、エチレンイミン(CH2 NHCH2 :1気圧での沸点56.5℃)若しくはプロピレンイミン(C3 7 N:1気圧での沸点77℃)等のイミン化合物、メチルヒドラジン(CH3 NHNH2 :1気圧での沸点87.5℃)若しくは1,1−ジメチルヒドラジン(NH2 −N(CH3 2 :1気圧での沸点63℃)等のヒドラジン化合物又はN,N−ジメチルアセトアミド(CH3 CON(CH3 2 :1気圧での沸点165℃)若しくはN,N−ジメチルホルムアミド(HCON(CH3 2 :1気圧での沸点153℃)等のアミド化合物なども使用可能である。もちろん、CN結合及び水素原子を含む最も小さいガスであるシアン化水素(HCN:1気圧での沸点26℃)を用いても良いが、シアン化水素は安全性に関しては最も危険なガスである。尚、上記各ガスを用いる場合、沸点の高いガスについても反応室に供給する直前に液体から又は固体からガスに変化させ、その後に反応室に供給する技術が十分に実用的であるが、安全にガス供給を行う上で利便性が高いのは、およそ100℃以下の沸点を持つガスである。また、本実施形態において、上記各ガスを複数(2種類以上)組合せて混合して用いても良いことは言うまでもない。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスを用いることに代えて、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガス(例えば、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(C6 3 F(NO2 2 ))、2−フルオロ−1,3,5−トリニトロベンゼン(C6 2 F(NO2 3 ))を用いてもよい。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに水素分子がさらに添加されていてもよい。これは、WとCとを含む物質中の炭素をHCNとしてエッチング除去するためには必要不可欠である。すなわち、水素分子を添加する場合には、水素分子の添加量を調節することにより、WとCとを含む物質中の炭素の除去が進みやすくなるため、全体としてエッチングレートを高くすることができる。実用的には全体ガス流量のおよそ50%以下の範囲で所望の水素分子ガス流量を設定すればよい。当該設定値については、使用する弗素原子を含むガスと、使用するCN結合及び水素原子を含むガスと、使用するプラズマ生成方式等とに依存するため、それらを考慮して最適化すればよい。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、酸素原子を含むガスがさらに添加されていてもよい。酸素原子を含むガスとして、例えば、酸素分子、酸化窒素分子、酸化硫黄分子若しくは酸化炭素分子のいずれか又はそれらの2つ以上の混合物を用いると、効率よく酸素を供給することができる。これらの酸素含有ガスを添加すると、プラズマ中で酸素原子、酸素分子、酸素原子イオン又は酸素分子イオンが生成される。その結果、WとCとを含む物質中の炭素及び過剰に形成された側壁保護膜等の堆積物をそれぞれ適切に除去することができると共にエッチングレートを高くすることができる。これは、前述の炭素除去反応に加え、酸素ラジカル及び酸素イオンにより、CO2 又はCOとして炭素を除去する効果が生まれるためである。実用的には全体ガス流量のおよそ50%以下の範囲で所望の酸素含有ガス流量を設定すればよい。当該設定値は、使用する弗素原子を含むガスと、使用するCN結合及び水素原子を含むガスと、使用するプラズマ生成方式等とに依存するため、それらを考慮して最適化すればよい。特に、炭素量の少ない「弗素原子を含むガス」を用いる場合に酸素含有ガスを添加した場合には、酸素含有ガス流量が全体ガス流量のおよそ10%以下、場合によってはおよそ数%以下であっても上記効果を発揮する場合がある。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、希ガスがさらに添加されていてもよい。希ガスを混合すると、希ガス添加効果により、プラズマ放電をさらに安定化させることができるので、所謂プロセスウインドウを容易に拡大することができる。特に、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスの数倍以上の流量で希ガスを混合する場合、プラズマ中の電子温度が希ガスの電子温度で規定され、その結果、プラズマ放電が安定化する。また、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスの反応室内での滞在時間を低下させる目的を兼ねて希ガスを使用する場合には、前記混合ガスのおよそ10倍以上の流量で希ガスを混合しても良い。希ガスとしては例えばArを使用してもよい。また、希ガスとしてHe、Ne、Ar、Kr、Xe又はRnを選択することにより、プラズマ中の電子温度を高くすることもできるし又は低くすることもできる。すなわち、希ガスからなるプラズマの電子温度は希ガスの第1イオン化エネルギーに大きく依存しているため、高い電子温度のプラズマを生成したいときには、より小さな原子番号の希ガスを、低い電子温度のプラズマを生成したいときには、より大きな原子番号の希ガスを用いればよい。ここで、2つ以上の希ガスを混合して用いても良い。
また、本実施形態において用いるエッチング装置としては、平行平板型等の反応性イオンエッチング(RIE)装置、2周波平行平板型RIE装置、マグネトロンエンハンストRIE(MERIE)装置、誘導結合プラズマ(ICP:inductively coupled plasma)エッチング装置、電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチング装置、UHFプラズマエッチング装置又は磁気中性線放電(NLD:neutral loop discharge)エッチング装置等のいずれのエッチング装置を用いてもよい。また、装置方式により、最適なエッチング条件は異なるが、本実施形態のエッチング条件の範囲については、例えばガス流量が数10〜数100cc/min(室温)であり、圧力が0.1〜20Paであり、プラズマ生成用高周波パワーが100〜数kWであり、RFバイアスが100〜1kWである。
また、本実施形態において、タングステン及び炭素を主成分とするWC基板をエッチング対象としたが、これに代えて、タングステン及び炭素を含む物質を表面に有する金属、絶縁物質又は半導体物質のいずれかをエッチング対象としてもよい。また、タングステン及び炭素を含む物質にさらに窒素が含まれていても、本実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、WCN合金又はWNC合金をエッチング対象としても、本実施形態と同様の効果が得られる。
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るドライエッチング方法について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のドライエッチング方法が第1の実施形態と異なる点は、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、窒素原子を含むガスをさらに加えてプラズマを生成し、それによってWとCとを含む物質をエッチングすることである。
図2(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係るドライエッチング方法の説明図である。尚、図2(a)及び(b)において、図1(a)及び(b)に示す第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号又は記号を付すことにより、説明を省略する。また、図2(a)及び(b)は、エッチングガスとして、CF4 、CH3 NH2 及びN2からなる混合ガスを用いた場合の様子を示している。
本実施形態の場合、図2(a)及び(b)に示すように、第1の実施形態の図1(a)及び(b)と比較して、生成されるラジカル及びイオンの種類は変わらないが、第1の実施形態と異なり、窒素ラジカルNt*(t=1、2)及び窒素イオンNt +(t=1、2)のそれぞれの生成量を独立に調整することができる。具体的には、ガスの総流量に占める窒素ガス流量の供給比率を制御することによって、窒素ラジカル及び窒素イオンのそれぞれの生成量を他のラジカルやイオンとは独立に制御できる。
窒素原子を含むガスから生成される窒素イオンは、特に、WとCとを含む物質中のCをエッチング除去するため主反応機構において、その駆動力となる。一方、CH3 NH2 等のCN結合及び水素原子を含むガスは、堆積膜量を調整する役割を担っている。すなわち、微細構造中の側壁保護膜及び微細構造底部に堆積する成分はそれぞれ、主にCN結合及び水素原子を含むガスの解離分解分子がラジカルとして供給されることにより生じたものである。ここで、微細構造底部のエッチング反応表面にはCFp +イオン(p=1、2、3)及び窒素イオン等の形でエッチング反応種(エッチャント)が供給されるので、WとCとを含む物質のエッチングが進行する。そのため、側壁保護膜形成とエッチング反応とを独立に制御することができる。従って、窒素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとの供給ガス流量比を制御することによって、窒素原子を含むガスを用いない場合と比べて、同じエッチング形状を得ようとする場合にも、WとCとを含む物質のより高速なエッチングが実現可能となる。
また、本実施形態によると、以上のように、エッチング量と側壁保護膜量とを独立に制御できることによって、窒素原子を含むガスを用いない場合と比べて、同じエッチングレートを得ようとする場合にも、垂直形状(薄い側壁保護膜)から順テーパ形状(厚い側壁保護膜)までパターン側壁のテーパ角度が調整可能となる。
尚、本実施形態において、窒素原子を含むガスとしては、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物を用いればよい。窒素分子を用いる場合、前述のように、窒素の供給量のみを直接制御することができる。一方、アンモニアを用いる場合、水素も同時に供給されることになるが、CN結合及び水素原子を含むガスとは独立に、プラズマ中の窒素を含む分子又は原子の発生量を制御することができる。但し、この場合、窒素だけではなく、水素濃度も増大する。しかしながら、WとCとを含む物質中の炭素をHCNとしてエッチング除去する場合には、水素原子は必要な原子であり、水素濃度の増大は、結果的にはWとCとを含む物質のエッチング速度を大きくする方向に寄与する。
また、本実施形態において、窒素原子を含むガスは窒素分子又はアンモニア分子に限られるものではなく、それら以外の分子であっても、窒素原子を積極的に供給できる分子であれば、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガス及び窒素原子を含むガスに代えて、弗素原子と窒素原子とを含むガスを用いてもよい。
(第3の実施形態)
以下、本発明の第3の実施形態に係るドライエッチング方法について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のドライエッチング方法が第1の実施形態と異なる点は、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、炭化水素分子を含むガスをさらに加えてプラズマを生成し、それによってWとCとを含む物質をエッチングすることである。
図3(a)及び(b)は本発明の第3の実施形態に係るドライエッチング方法の説明図である。尚、図3(a)及び(b)において、図1(a)及び(b)に示す第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号又は記号を付すことにより、説明を省略する。また、図3(a)及び(b)は、エッチングガスとして、CF4 、CH3 NH2 及びCH4 からなる混合ガスを用いた場合の様子を示している。
本実施形態の場合、図3(a)及び(b)に示すように、第1の実施形態の図1(a)及び(b)と比較して、生成されるラジカル及びイオンの種類は変わらないが、第1の実施形態と異なり、CHr*ラジカル(r=1、2、3)及びCHr +イオン(r=1、2、3)の生成量を独立に調整することができる。具体的には、供給ガスの総流量に占めるCH4 の流量の供給比率を制御することによって、CHr*ラジカル及びCHr +イオンの生成量を他のラジカルやイオンとは独立に制御できる。
CHr*ラジカル(r=1、2、3)は、その吸着係数(スティッキング係数)が小さいため、エッチング加工中の微細構造内部に供給されて側壁保護膜形成に大きく寄与する。また、同時にCHr*ラジカル(r=1、2、3)はレジストパターン12の表面にも積極的に堆積する。一方、未解離のCH4 ラジカルの吸着係数は大きいため、特にレジストパターン12表面に堆積しやすい。そのため、CH4 ガスを添加する場合、CH4 ガスを添加しない場合と比べて、レジスト表面に厚い保護層14bが形成される。その結果、供給ガスの総流量に対するCH4 ガスの流量の供給比率が大きいほど、側壁保護膜14aの厚さが大きくなり順テーパエッチング形状を形成しやすくなる。また、供給ガスの総流量に対するCH4 ガスの流量の供給比率が大きいほど、レジスト上面の保護効果が大きくなり、レジストパターン12の耐エッチング性が向上する。
本実施形態によると、以上のようにエッチング量と側壁保護膜量とを独立に制御できるため、炭化水素分子を含むガスを用いない場合と比べて、同じエッチングレートを得ようとする場合にも、垂直形状(薄い側壁保護膜)から順テーパ形状(厚い側壁保護膜)までパターン側壁のテーパ角度が調整可能となる。また、レジストの耐エッチング性が高いエッチングが実現される。
尚、本実施形態において、エッチングガスとして用いる炭化水素分子としては、C2i(2i+2)、C2i(2i+1)、C2i2i等の分子(i:自然数)を用いればよい。また、炭化水素分子は直鎖状であっても環状であってもよい。さらに、炭化水素分子は前記表記で表される分子に限られるものではない。具体的には、例えばCH4 、C2 4 、C2 6 、・・・、C4 8 、・・・等を用いればよい。しかしながら、実用的には飽和炭化水素分子C2i(2i+2)を用いることが好ましい。飽和炭化水素分子は、内部に二重結合が存在しないため、プラズマ放電により分解し易くなり、分解物としてCHr (r=1〜3)を効率よく生成することができる。従って、エッチング中にCHr によりパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できる。また、特に、CHr (r=1〜3)等の小さな分解(解離)分子は、吸着係数が小さいため、高アスペクト比(縦/横比)を持った微細構造パターン内部に入ることができる。特に飽和炭化水素分子の中で最も小さな分子であるCH4 は最もH/C比が大きいため、炭化水素分子の中で最も堆積性が小さい分子である。この特性は、特に未解離状態の分子同士を比較した場合に顕著である。そのため、微細パターン内壁に作用するCHr (r=1〜3)ラジカルを効率よく生成する上で、CH4 は最も取り扱いが容易で且つ実用上最も有効なガスと言える。
(第4の実施形態)
以下、本発明の第4の実施形態に係るドライエッチング方法について、図面を参照しながら説明する。本実施形態のドライエッチング方法が第1の実施形態と異なる点は、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、「塩素原子を含むガス」、「臭素原子を含むガス」又は「ヨウ素原子を含むガス」の少なくとも1つをさらに加えてプラズマを生成することによって、WとCとを含む物質をエッチングすることである。
図4(a)及び(b)は、本発明の第4の実施形態に係るドライエッチング方法の説明図であり、ドライエッチング方法によるWC基板のエッチング途中の様子を示している。具体的には、図4(a)は側壁保護膜が薄く形成される場合を示しており、図4(b)は側壁保護膜が厚く形成される場合を示している。また、図4(a)及び(b)において、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号又は記号を付すことにより、説明を省略する。以下、第1の実施形態と同様のエッチングガスに加えて、塩素原子を含むガスとしてCl2 、臭素原子を含むガスとしてBr2 、ヨウ素原子を含むガスとしてI2 を用いた場合を例として、本実施形態のドライエッチング方法について説明する。
尚、エッチングの基本的機構は第1の実施形態と同様であるので、以下の説明においては、第1の実施形態と異なる点であるCl+ イオン、Br+ イオン及びI+ イオンによる効果に焦点を絞って説明する。
図4(a)及び(b)に示すように、本実施形態においては、WC基板11上にレジストパターン12を形成した後、レジストパターン12をマスクとしてWC基板11に対してエッチングを行う。具体的には、第1の実施形態と同様の「弗素原子を含むイオン」13a、13b及び13cによるタングステンエッチング反応に加えて、Cl2 から生成されたClm +(m=1、2)イオン、Br2 から生成されたBrm +(m=1、2)イオン又はI2 から生成されたIm +(m=1、2)イオンであるイオン18a、18b及び18cによってWC基板11中のタングステンがエッチングされる。このとき、反応生成物はWClx 、WBrx 又はWIx (x=1〜6)という形で気相中に脱離して除去される。また、Cln +イオン、Brn +イオン又はIn +イオンであるイオン18bにより生じたエッチング反応生成物の一部はWC基板11の加工側面及びレジストパターン12の側面に再付着して側壁保護膜14aを形成する。その際の付着確率は、WIx >WBrx >WClx >WFx の順である。従って、本実施形態では、側壁保護膜14aとして、第1の実施形態のようにCHr (r=1、2、3)にWFx が混入したものではなく、CHr とWClx 、WBrx 又はWIx との混合物からなる側壁保護膜が形成される。その結果、イオン13c及び18cのように、基板表面に斜めに入射したイオンによるWC基板11のパターン側壁でのエッチング反応は側壁保護膜14aにより防止される。従って、側壁保護膜14aが比較的薄い場合には、図4(a)に示すように、WC基板11の表面及び内部に垂直エッチング形状を実現でき、側壁保護膜14aが比較的厚い場合には、図4(b)に示すように、WC基板11の表面及び内部に順テーパ形状のエッチング形状を実現できる。
以上のように、Clm +イオン、Brm +イオン又はIm +イオンを生成するガスを添加して使用する場合、これらのガスの存在によって、タングステンがエッチングされる効果と比べて側壁保護膜が形成される効果の方が顕著となる。
尚、本実施形態において、塩素を含むガス、臭素を含むガス又はヨウ素を含むガスの混合比は総ガス流量に対して約50%以下の範囲内であれば十分である。また、臭素を含むガス又はヨウ素を含むガスを用いる場合には、総ガス流量に対する混合比が5%未満であっても側壁保護膜形成効果が十分に得られる。また、第1の実施形態で述べたように、本来、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いてエッチングを行なうことにより、垂直エッチング形状から順テーパエッチング形状までのエッチング形状を実現できるため、Clm +イオン、Brm +イオン又はIm +イオンを生成するガスを添加しながら垂直エッチング形状を得たい場合には、塩素を含むガス、臭素を含むガス又はヨウ素を含むガスの総ガス流量に対する混合比が数%未満であってもよい。
本実施形態において、Clm +イオン、Brm +イオン又はIm +イオンを生成するガスを添加する第1の効用は、特にWとCとを含む物質に対して高アスペクト比エッチング、つまり深いエッチングを行う際に現れてくる。具体的には、CHr*ラジカル及びCNHs*ラジカルは、加工パターン(凹部)の上部から内部に拡散しながら供給されるため、加工パターン底部での側壁保護膜厚は加工パターン上部での側壁保護膜厚よりも薄くなる。これに対して、Clm +イオン、Brm +イオン又はIm +イオンによるエッチング反応で生成されたWClx 、WBrx 又はWIx はエッチング反応面である加工パターン底部から放出されて加工パターン側壁に再付着するため、加工パターン側壁上部よりも加工パターン側壁下部に付着しやすい。このように、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスのいずれかを添加してプラズマを生成し、それによってWとCとを含む物質をエッチングすることにより、高アスペクト比パターン加工において垂直形状エッチング及び順テーパ形状エッチングを実現できる。
また、本実施形態において、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスのいずれかを添加する第2の効用は、図4(b)に示すように、順テーパ形状加工を容易に実現できることである。具体的には、プラズマ生成用の総ガス流量に対して、「塩素を含むガス」、「臭素を含むガス」又は「ヨウ素を含むガス」を5%以上混合することにより、前記の側壁保護膜形成機構によって比較的厚い側壁保護膜14aを容易に形成することができる。その結果、数%から30%までの範囲で「塩素を含むガス」、「臭素を含むガス」又は「ヨウ素を含むガス」の混合比率を調整することにより、エッチング加工により得られるテーパ形状を自由に変化させることができる。尚、当該混合比率はテーパ形状と完全に1対1対応するものではなく、混合するガス種又はプラズマ生成条件等の影響を受ける。従って、当該混合比率を30%にとどまらず50%程度まで高くした場合にもテーパ形状加工制御性が保たれる場合もある。
尚、反応生成物であるハロゲン化タングステンによる側壁保護膜の形成能力の強さは、WIx >>WBrx >>WClx >WFx の順であるため、「塩素を含むガス」、「臭素を含むガス」又は「ヨウ素を含むガス」を添加する場合には、それぞれのガス毎に混合比率を最適化する必要がある。また、「塩素を含むガス」、「臭素を含むガス」又は「ヨウ素を含むガス」は混合して用いても良い。
以上のように、第4の実施形態によると、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、さらに塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスのいずれかをさらに添加してプラズマを生成し、それによってWとCとを含む物質をエッチングすることにより、第1の実施形態と同様の効果に加えて次のような効果が得られる。すなわち、加工部の側壁保護効果を増大させることができるため、高アスペクト比の加工エッチングにおいても垂直形状だけではなく任意の順テーパ形状を容易に実現することができる。
尚、本実施形態において、塩素原子を含むガスとしては、例えばCl2 、HCl又はClF3 等を用いればよい。また、臭素原子を含むガスとしては、例えばBr2 又はHBr等を用いればよい。また、ヨウ素原子を含むガスとしては、I2 又はHI等を用いればよい。或いは、塩素原子と臭素原子又はヨウ素原子の少なくとも一方とを含むガス、例えばICl、ClF2 Br、ClF2 I又はBrCl等を用いてもよい。さらに、CFx Cl4-x 、CFx Br4-x 又はCFx 4-x (x=1〜3)等の炭素、弗素及びハロゲンからなる分子ガスを用いてもよい。この場合、第2の実施形態と同様のFによるエッチレート増大効果も同時に期待できる。すなわち、Wはハロゲン(F、Cl、Br、I)と反応し、WF6 、WCl6 、WBr6 、WI6 等の反応生成物として揮発することによりエッチング反応が進むが、WF6 の揮発性が高い(蒸気圧が低い)のに対して、WCl6 、WBr6 、WI6 等のハロゲンタングステンの揮発性は低いため、エッチング反応自体はFの場合が最も起こりやすい。従って、Wエッチングのエッチングレートを大きくするためにはFが最適である。
また、本実施形態において、塩素原子及び窒素原子を含むガス(例えばNCl3 )、臭素原子若しくはヨウ素原子及び窒素原子を含むガス(例えばNBr3 、NI3 )、又は塩素原子と酸素原子とを含むガス(さらに臭素原子、ヨウ素原子又は窒素原子を含んでいてもよい:例えばCOCl2 、ClFO3 、NOCl、NO2 Cl、SOCl2 、SO2 Cl2 、SO3 HCl)を用いてもよい。
(第5の実施形態)
以下、本発明の第5の実施形態に係る微細構造形成方法及びそれを用いたモールドの製造方法について、図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態は、第1〜第4の実施形態で説明したドライエッチング方法を応用するものである。
図5(a)〜(f)は、本発明の第5の実施形態に係るモールドの製造方法の各工程を示す断面図である。
まず、図5(a)に示すように、WC合金基板21を用意した後、図5(b)に示すように、WC合金基板21上にレジストパターン22を形成する。ここで、レジストパターン22は、通常、リソグラフィ技術により形成される。
次に、側壁保護膜が薄く形成されるエッチング条件(第4の実施形態(特に図4(a))参照)を用いて、図5(c)に示すように、レジストパターン22をマスクとして、少なくとも弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマによりWC合金基板21に対してドライエッチングを行うことによって、WC合金基板21にパターンを転写する。一般に、如何なるドライエッチング装置を用いてドライエッチングを行った場合にも、プラズマ中からWC合金基板21に入射するイオン23はエネルギー広がりを持っているため、基板表面に垂直に入射する成分A以外に、基板表面に角度を持って入射する成分つまり斜入射成分B及びCが存在する。しかしながら、少なくとも弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマによりドライエッチングを行うことにより、エッチング反応生成物であるWFx (x=1〜6)等が加工側面に側壁保護膜24aを形成するため、イオン23の斜入射成分B及びCによる側壁エッチングを防止できる。そのため、図5(c)に示すように、エッチング断面形状として基板表面に垂直な断面形状を有する微細構造が形成される。
次に、レジストパターン22及び側壁保護膜24aをアッシング及び洗浄により除去する。これにより、図5(d)に示すように、垂直側壁を持つ微小凹凸構造を備えたWC合金基板21からなるWC合金モールドが形成される。
一方、図5(c)及び(d)に示す工程に代えて、側壁保護膜が厚く形成されるエッチング条件(第4の実施形態(特に図4(b))参照)を用いて、図5(e)に示すように、レジストパターン22をマスクとして、少なくとも弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマによりWC合金基板21に対してドライエッチングを行うことによって、WC合金基板21にパターンを転写してもよい。この場合、WC合金基板21には、エッチング断面形状として順テーパ形状を有する微細構造が形成される。その理由は、イオンによる側壁エッチングを防止するために必要な厚さ以上に側壁保護膜24bが堆積されるため、エッチングの進行に伴い、加工部の開口領域が狭くなるためである。
次に、レジストパターン22及び側壁保護膜24bをアッシング及び洗浄により除去する。これにより、図5(f)に示すように、順テーパ形状側壁を持つ微小凹凸構造を備えたWC合金基板21からなるWC合金モールドが形成される。
以上に説明したように、本実施形態に係る微細構造形成方法及びモールドの製造方法は、タングステンと炭素とを含む物体上にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクとして、少なくとも弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとを含む混合ガスから生成されたプラズマにより前記物体をエッチングする工程とを備えている。すなわち、本実施形態は本発明のドライエッチング方法(第1〜第4の実施形態)を用いるものであるため、タングステンと炭素とを含む物体の表面及び内部を、ボウイング形状の無い高精度垂直形状又は高精度順テーパ形状に加工することが可能となる。従って、WとCとを含む物質からなり且つ垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを確実に製造することができる。
尚、本実施形態において、エッチングマスクとしてレジストパターンを用いたが、これに代えて、絶縁膜からなるハードマスク等を用いても良いことは言うまでもない。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとして、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物を用いれば良い。例えば、F2 、CF4 、C2 6 、C3 8 、C4 6 、C4 8 (環状又は直鎖)、C5 8 (環状又は直鎖)、CHF3 、CH2 2 、CH3 F等のガス又はさらに高分子からなる環境対策用のCFガスを用いれば良い。これらのガスを用いると、WとCとを含む物質中のタングステン(W)のエッチングに必要な弗素及び弗素を含む解離分子をプラズマ放電により効率よく生成することができる。このため、WとCとを含む物質に対して、より安価且つ高速に高精度垂直形状加工又は高精度順テーパ形状加工を行うことができる。その結果、高精度垂直形状又は高精度順テーパ形状の側壁を有する微小凹凸を備えたモールドをより安価に製造できる。
また、本実施形態において、CN結合及び水素原子を含むガスとして、アルキルアミン[R−NH2]、ジアルキルアミン[R2−NH]若しくはトリアルキルアミン[R3−NH]のいずれか又はそれらの2つ以上の混合物を用いれば良い。このようにすると、これらのガスは比較的小さな分子であるため、プラズマにより容易に解離でき、それにより水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができる。すなわち、エッチング加工中の微細構造(凹部)内部に水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができるため、側壁保護膜を効率よく形成できるので、高アスペクト比形状を形成するためのエッチングにおいても垂直形状微細加工及び順テーパ形状微細加工を容易に実現できる。アルキル基Rとしては、直鎖状又は環状のいずれでも良い。アルキルアミンとしては、例えば、メチルアミン(CH3 NH2 :1気圧(760mmHg:以下同じ)での沸点−6.33℃)、エチルアミン(C2 5 NH2 :1気圧での沸点16.6℃)、n−プロピルアミン(CH3 (CH2 2 NH2 :1気圧での沸点48℃)、イソプロピルアミン((CH3 2 CHNH2 :1気圧での沸点33.5℃)、3−ジメチルアミノプロピルアミン((CH3 2 NCH2 CH2 CH2 NH2 :1気圧での沸点135℃)、n−ブチルアミン(CH3 (CH2 3 NH2 :1気圧での沸点68.5℃)又はイソブチルアミン((CH3 2 CH−CH2 NH2 :1気圧での沸点78℃)等を用いればよい。ジアルキルアミンとしては、例えば、ジメチルアミン((CH3 2 NH:1気圧での沸点6.9℃)、ジエチルアミン((C2 5 2 NH:1気圧での沸点55.4℃)、ジ−n−プロピルアミン(CH3 (CH2 2 NH2 :1気圧での沸点48℃)、ジイソプロピルアミン(CH3 −CH(CH3 )−NH−CH(CH3 )−CH3 :1気圧での沸点84℃)、sec−ブチルアミン(CH3 CH(NH2 )C2 5 :1気圧での沸点63℃)、ジ−n−ブチルアミン((CH3 CH2 CH2 CH2 2 NH:1気圧での沸点159℃)又はジイソブチルアミン(CH3 CH(CH3 )CH2 NHCH2 CH(CH3 )CH3:1気圧での沸点140℃)等を用いればよい。トリアルキルアミンとしては、例えば、トリメチルアミン((CH3 3N:1気圧での沸点3℃)、トリエチルアミン((C2 5 3 N:1気圧での沸点89.5℃)又はトリブチルアミン((CH3 CH2 CH2 CH2 3 N:1気圧での沸点216.5℃)等を用いればよい。また、環状のアルキル基を持つガスとしては、アニリン(C6 5 NH2 :1気圧での沸点184℃)等を用いても良い。また、エチレンジアミン(H2 NCH2 CH2 NH2 :1気圧での沸点117℃)等の、アミンを2つ以上有するガスを用いても良い。その他、CN結合及び水素原子を含むガスとして、アセトニトリル(CH3 CN:1気圧での沸点82℃)、アクリロニトリル(CH2 =CH−CN:1気圧での沸点77℃)等のニトリル化合物、エチレンイミン(CH2 NHCH2 :1気圧での沸点56.5℃)若しくはプロピレンイミン(C3 7 N:1気圧での沸点77℃)等のイミン化合物、メチルヒドラジン(CH3 NHNH2 :1気圧での沸点87.5℃)若しくは1,1−ジメチルヒドラジン(NH2 −N(CH3 2 :1気圧での沸点63℃)等のヒドラジン化合物、又はN,N−ジメチルアセトアミド(CH3 CON(CH3 2 :1気圧での沸点165℃)若しくはN,N−ジメチルホルムアミド(HCON(CH3 2 :1気圧での沸点153℃)等のアミド化合物なども使用可能である。もちろん、CN結合及び水素原子を含む最も小さいガスであるシアン化水素(HCN:1気圧での沸点26℃)を用いても良いが、シアン化水素は安全性に関しては最も危険なガスである。尚、上記各ガスを用いる場合、沸点の高いガスについても反応室に供給する直前に液体から又は固体からガスに変化させ、その後に反応室に供給する技術が十分に実用的であるが、安全にガス供給を行う上で利便性が高いのは、およそ100℃以下の沸点を持つガスである。また、本実施形態において、上記各ガスを複数(2種類以上)組合せて混合して用いても良いことは言うまでもない。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスを用いることに代えて、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガス(例えば、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(C6 3 F(NO2 2 ))、2−フルオロ−1,3,5−トリニトロベンゼン(C6 2 F(NO2 3 ))を用いてもよい。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに水素分子がさらに添加されていてもよい。このようにすると、WとCとを含む物質中の炭素のエッチング効率が増大するため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを高速に製造できる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、酸素原子を含むガスがさらに添加されていてもよい。このようにすると、WとCとを含む物質中の炭素、及び過剰に形成された側壁保護膜等の堆積物をそれぞれ適度に除去することができると共に、エッチングレートを高くすることができる。このため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに高速に製造できる。酸素原子を含むガスとして、例えば、酸素分子、酸化窒素分子、酸化硫黄分子若しくは酸化炭素分子のいずれか又はそれらの2つ以上の混合物を用いると、効率よく酸素を供給することができる。これらの酸素含有ガスを添加すると、プラズマ中で酸素原子、酸素分子、酸素原子イオン又は酸素分子イオンが生成される。その結果、WとCとを含む物質中の炭素及び過剰に形成された側壁保護膜等の堆積物をそれぞれ適切に除去することができると共にエッチングレートを高くすることができる。これは、前述の炭素除去反応に加え、酸素ラジカル及び酸素イオンにより、CO2 又はCOとして炭素を除去する効果が生まれるためである。実用的には全体ガス流量のおよそ50%以下の範囲で所望の酸素含有ガス流量を設定すればよい。当該設定値は、使用する弗素原子を含むガスと、使用するCN結合及び水素原子を含むガスと、使用するプラズマ生成方式等とに依存するため、それらを考慮して最適化すればよい。特に、炭素量の少ない「弗素原子を含むガス」を用いる場合に酸素含有ガスを添加した場合には、酸素含有ガス流量が全体ガス流量のおよそ10%以下、場合によってはおよそ数%以下であっても上記効果を発揮する場合がある。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、希ガスがさらに添加されていてもよい。希ガスを混合すると、希ガス添加効果により、プラズマ放電をさらに安定化させることができるので、微細加工において所謂プロセスウインドウを容易に拡大することができる。従って、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを安定に製造できる。特に、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスの数倍以上の流量で希ガスを混合する場合、プラズマ中の電子温度が希ガスの電子温度で規定され、その結果、プラズマ放電が安定化する。また、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスの反応室内での滞在時間を低下させる目的を兼ねて希ガスを使用する場合には、前記混合ガスのおよそ10倍以上の流量で希ガスを混合しても良い。希ガスとしては例えばArを使用してもよい。また、希ガスとしてHe、Ne、Ar、Kr、Xe又はRnを選択することにより、プラズマ中の電子温度を高くすることもできるし又は低くすることもできる。すなわち、希ガスからなるプラズマの電子温度は希ガスの第1イオン化エネルギーに大きく依存しているため、高い電子温度のプラズマを生成したいときには、より小さな原子番号の希ガスを、低い電子温度のプラズマを生成したいときには、より大きな原子番号の希ガスを用いればよい。ここで、2つ以上の希ガスを混合して用いても良い。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、窒素原子を含むガスをさらに添加することが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中のCの除去能力が増大するので、エッチングレートを増大させることができる。また、微細構造形状を垂直断面形状から順テーパ断面形状まで容易に制御することができる。従って、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを高速且つ制御性良く製造できる。尚、弗素原子を含むガス及び窒素原子を含むガスに代えて、弗素原子と窒素原子とを含むガスを用いてもよい。また、前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることが好ましい。このようにすると、これらのガスの分子量は小さいため、効率よく窒素原子イオンを生成することが可能となり、その結果、より大きなエッチングレート増大効果を得ることができる。また、微細構造の形状を垂直断面形状から順テーパ断面形状まで容易に制御することができる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、炭化水素分子を含むガスをさらに添加することが好ましい。このようにすると、側壁保護膜の形成が促進されると共にレジスト保護効果が増大する。このため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに容易に製造できる。また、CNHs 分子に加えて、さらにCHr (r=1〜3)の存在によって、エッチング中にパターン側壁部の保護膜の形成が促進されるため、微細垂直形状加工及び順テーパ形状加工を容易に実現できる。また、前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることが好ましい。このようにすると、炭化水素分子内に二重結合が存在しないため、プラズマ放電により炭化水素分子を分解し易くなり、その結果、分解物としてCHr (r=1〜3)を効率よく生成することができるので、エッチング中にCHr によりパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できる。その結果、テーパ形状制御がさらに容易になり、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに容易に製造できる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、「塩素原子を含むガス」、「臭素原子を含むガス」又は「ヨウ素原子を含むガス」の少なくとも1つをさらに加えてプラズマを生成することが好ましい。このようにすると、塩素、臭素又はヨウ素の効果である加工部の側壁保護効果を増大させることができるため、高アスペクト比微細構造加工においても垂直形状加工及び順テーパ形状加工を容易に実現できる。すなわち、垂直形状又は順テーパ形状の高アスペクト比微細構造を備えたモールドを容易に製造できる。塩素原子を含むガスとしては、例えばCl2 、HCl又はClF3 等を用いればよい。また、臭素原子を含むガスとしては、例えばBr2 又はHBr等を用いればよい。また、ヨウ素原子を含むガスとしては、I2 又はHI等を用いればよい。或いは、塩素原子と臭素原子又はヨウ素原子の少なくとも一方とを含むガス、例えばICl、ClF2 Br、ClF2 I又はBrCl等を用いてもよい。さらに、CFx Cl4-x 、CFx Br4-x 又はCFx 4-x (x=1〜3)等の炭素、弗素及びハロゲンからなる分子ガスを用いてもよい。また、塩素原子及び窒素原子を含むガス(例えばNCl3 )、臭素原子若しくはヨウ素原子及び窒素原子を含むガス(例えばNBr3 、NI3 )、又は塩素原子と酸素原子とを含むガス(さらに臭素原子、ヨウ素原子又は窒素原子を含んでいてもよい:例えばCOCl2 、ClFO3 、NOCl、NO2 Cl、SOCl2 、SO2 Cl2 、SO3 HCl)を用いてもよい。
また、本実施形態において、「塩素原子を含むガス」、「臭素原子を含むガス」又は「ヨウ素原子を含むガス」を用いる場合、これらのガスの混合比は総ガス流量に対して約50%以下の範囲内であれば十分である。また、臭素を含むガス又はヨウ素を含むガスを用いる場合には、総ガス流量に対する混合比が5%未満であっても側壁保護膜形成効果が十分に得られる。また、第1の実施形態で述べたように、本来、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いてエッチングを行なうことにより、垂直エッチング形状から順テーパエッチング形状までのエッチング形状を実現できるため、Clm +イオン、Brm +イオン又はIm +イオンを生成するガスを添加しながら垂直エッチング形状を得たい場合には、塩素を含むガス、臭素を含むガス又はヨウ素を含むガスの総ガス流量に対する混合比が数%未満であってもよい。
また、本実施形態に係るモールド製造における微小凹凸の加工寸法限界はレジストパターンを形成するリソグラフィ技術に大きく依存しており、現在最小寸法50nm程度までの加工が可能である。
また、本実施形態において用いるエッチング装置としては、平行平板型等の反応性イオンエッチング(RIE)装置、2周波平行平板型RIE装置、マグネトロンエンハンストRIE(MERIE)装置、誘導結合プラズマ(ICP)エッチング装置、電子サイクロトロン共鳴(ECR)エッチング装置、UHFプラズマエッチング装置又は磁気中性線放電(NLD)エッチング装置等のいずれのエッチング装置を用いてもよい。
また、本実施形態において、タングステン及び炭素を主成分とするWC基板をエッチング対象としたが、これに代えて、タングステン及び炭素を含む物質を表面に有する金属、絶縁物質又は半導体物質のいずれかをエッチング対象としてもよい。また、タングステン及び炭素を含む物質にさらに窒素が含まれていても、本実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、WCN合金又はWNC合金をエッチング対象としても、本実施形態と同様の効果が得られる。
(第6の実施形態)
以下、本発明の第6の実施形態に係るモールドについて、図面を参照しながら説明する。尚、本実施形態に係るモールドは、第5の実施形態で説明したモールドの製造方法によって得られたものである。
図6(a)は、本実施形態に係るモールドの全体の断面図である。図6(a)に示すように、下地基板31上に、例えばWC合金等の、タングステンと炭素とを含む物体32が成膜されている。物体32の表面には、第1〜第4の実施形態のドライエッチング方法によって垂直形状(基板表面に対して垂直な壁を持つ形状)又は順テーパ形状を持つ微小凹凸が形成されている。また、図6(b)〜(d)及び図6(e)〜(g)はそれぞれ、図6(a)に示すモールドの表面(一点鎖線で囲んだ領域)における微小凹凸を拡大した様子を示している。
本実施形態に係るモールドは、タングステンと炭素とを含む物質に対して、少なくとも弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとを含む混合ガスから生成されたプラズマによるドライエッチングを行うことにより形成されたものであるため、図6(b)〜(d)に示すような、ボウイング形状のない垂直断面形状を持つ微小凹凸を有するモールド、及び図6(e)〜(g)に示すような、順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を有するモールドを実現できる。
ここで、モールドの下地基板31としては、金属若しくは導電性物質からなる基板31a(図6(b)又は図6(e))、縁物物質からなる基板31b(図6(c)又は図6(f))、又は半導体物質からなる基板31c(図6(d)又は図6(g))のいずれであってもよく、用途に応じて選べばよい。例えば、モールド表面に電気を流しながら使用する際には下地基板31として基板31aを使用すればよい。また、モールドを電気的に絶縁した状態で用いる場合には下地基板31として基板31bを使用すればよい。
尚、本実施形態において、モールド製造に用いる「弗素原子を含むガス」としては、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物を用いれば良い。例えば、F2 、CF4 、C2 6 、C3 8 、C4 6 、C4 8 (環状又は直鎖)、C5 8 (環状又は直鎖)、CHF3 、CH2 2 、CH3 F等のガス又はさらに高分子からなる環境対策用のCFガスを用いれば良い。これらのガスを用いると、WとCとを含む物質中のタングステン(W)のエッチングに必要な弗素及び弗素を含む解離分子をプラズマ放電により効率よく生成することができる。このため、WとCとを含む物質に対して、より安価に高精度垂直形状加工又は高精度順テーパ形状加工を行うことができる。その結果、高精度垂直形状又は高精度順テーパ形状の側壁を有する微小凹凸を備えたモールドをより安価に提供できる。
また、本実施形態において、モールド製造に用いる「CN結合及び水素原子を含むガス」として、アルキルアミン[R−NH2]、ジアルキルアミン[R2−NH]若しくはトリアルキルアミン[R3−NH]のいずれか又はそれらの2つ以上の混合物を用いれば良い。このようにすると、これらのガスは比較的小さな分子であるため、プラズマにより容易に解離でき、それにより水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができる。すなわち、エッチング加工中の微細構造(凹部)内部に水素及びCNHs 分子(s=0,1,2,3,4,5)を効率よく供給することができるため、側壁保護膜を効率よく形成できるので、垂直形状及び順テーパ形状の高アスペクト比微細構造を備えたモールドを提供できる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスを用いることに代えて、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガス(例えば、1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(C6 3 F(NO2 2 ))、2−フルオロ−1,3,5−トリニトロベンゼン(C6 2 F(NO2 3 ))を用いてもよい。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに水素分子がさらに添加されていてもよい。このようにすると、プラズマ放電により水素の生成量が増大するため、WとCとを含む物質中の炭素(C)のエッチング効率を増大させることができる。このため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを高速に提供できる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、酸素原子を含むガスがさらに添加されていてもよい。このようにすると、効率よく酸素を供給することができるので、WとCとを含む物質中の炭素及び過剰に形成された側壁保護膜等の堆積物をそれぞれ適度に除去することができると共にエッチングレートを高くすることができる。このため、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに高速に提供できる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、希ガスがさらに添加されていてもよい。このようにすると、希ガス添加効果により、プラズマ放電をさらに安定化させることができるので、所謂プロセスウインドウ(適用可能なプロセス条件幅)を容易に拡大できると共に垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを安定に提供できる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、窒素原子を含むガスをさらに添加することが好ましい。このようにすると、WとCとを含む物質中のCの除去能力が増大するので、エッチングレートを増大させることができる。尚、弗素原子を含むガス及び窒素原子を含むガスに代えて、弗素原子と窒素原子とを含むガスを用いてもよい。また、前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることが好ましい。このようにすると、これらのガスの分子量は小さいため、効率よく窒素原子イオンを生成することが可能となり、その結果、垂直断面形状から順テーパ断面形状までの任意の形状を持つ微小凹凸を備えたモールドを安価に提供できる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、炭化水素分子を含むガスをさらに添加することが好ましい。このようにすると、側壁保護膜の形成が促進されると共にレジスト保護効果が増大する。また、前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることが好ましい。このようにすると、炭化水素分子内に二重結合が存在しないため、プラズマ放電により炭化水素分子を分解し易くなり、その結果、分解物としてCHr (r=1〜3)を効率よく生成することができるので、エッチング中にCHr によりパターン側壁部の保護膜を効率よく形成できる。従って、垂直断面形状又は順テーパ断面形状を持つ微小凹凸を備えたモールドをさらに容易に提供できる。
また、本実施形態において、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスに、「塩素原子を含むガス」、「臭素原子を含むガス」又は「ヨウ素原子を含むガス」の少なくとも1つをさらに添加することが好ましい。このようにすると、塩素、臭素又はヨウ素の効果により加工部(凹部)の底部まで側壁保護効果を増大させることができるため、垂直形状又は順テーパ形状の高アスペクト比微細構造を備えたモールドを容易に提供できる。
以上のように、本実施形態によると、高精度に加工された微小凹凸を有するモールドを安価に且つ容易に安定して供給することができる。また、微小凹凸の断面形状として、基板表面に対して垂直から順テーパ(凸部の断面形状において底辺よりも上辺が短い状態)までの側壁を有する微小凹凸をWC合金等に自由に作り込むことが可能となる。
尚、本実施形態に係るモールドにおける微小凹凸の加工寸法限界はレジストパターンを形成するリソグラフィ技術に大きく依存しており、現在最小寸法50nm程度までの加工が可能である。また、本実施形態に係るモールドは、加工寸法の大きな光回路部品の製造から最小寸法を追求するナノインプリントまでの幅広い分野に活用することができる。また、本実施形態のモールドは、ボウイング形状のない垂直又は順テーパの加工断面を持っているため、当該モールドの凹部に、凹凸が転写される側の物質が詰まることがなく、押圧転写後にモールドを容易に剥がすことができる。さらに、本実施形態のモールドの目詰まり防止をより確実なものにして使用耐久回数を大きくするためには、本実施形態のモールドの微小凹凸表面に金属、テフロンコート又はシリコンカップリング材等による処理等を行えばよい。また、当該表面処理材料は、モールドの作用により凹凸が転写される側の物質に応じて、任意に選べばよい。
また、本実施形態において、モールドの表面材料として、タングステン及び炭素を含む物質を用いたが、当該物質にさらに窒素が含まれていても、本実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、WCN合金又はWNC合金を用いても、本実施形態と同様の効果が得られる。
以上に説明したように、本発明のドライエッチング方法は、WC合金のようなWとCとを含む物質を高精度に微細加工する方法として有用である。また、本発明の微細構造形成方法は、WC合金のようなWとCとを含む物質に高精度に微細パターンを形成する方法として非常に有用である。すなわち、超硬材としてのWC合金等の加工を飛躍的に高精度化し且つ容易にする技術として本発明のドライエッチング方法及び微細構造形成方法は、MEMS(Micro-Electro-Mechanical Systems)分野でのWC合金等の利用に大きな道を開くことができる。
また、本発明のモールド製造方法は、WC合金のようなタングステンと炭素とを含む物質をモールド母材として使用して、高精度な微小凹凸を備えたモールドを製造するのに必要不可欠である。また、本発明のモールドは、超硬合金であるWC合金等に超高精度な微小凹凸を設けた構成であるため、光回路部品の製造用モールド又はナノインプリント用のモールドのみならず、あらゆる分野における耐久性の高い高精度微小凹凸モールドとして用いることができる。
図1(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係るドライエッチング方法の説明図である。 図2(a)及び(b)は本発明の第2の実施形態に係るドライエッチング方法の説明図である。 図3(a)及び(b)は本発明の第3の実施形態に係るドライエッチング方法の説明図である。 図4(a)及び(b)は本発明の第4の実施形態に係るドライエッチング方法の説明図である。 図5(a)〜(f)は本発明の第5の実施形態に係る微細構造形成方法及びそれを用いたモールドの製造方法の各工程を示す断面図である。 図6(a)は本発明の第6の実施形態に係るモールドの全体の断面図であり、図6(b)〜(g)はそれぞれ図6(a)に示すモールドの表面における微小凹凸を拡大した様子を示す図である。 図7(a)及び(b)は従来のドライエッチング方法の説明図である。 図8(a)〜(d)は従来の微細構造形成方法及びそれを用いたモールドの製造方法の各工程を示す断面図である。
符号の説明
1 反応室
2 ガス供給口
3 ガス排気口
4 プラズマ発生装置
5 絶縁体
6 電極
7 WC基板
8 RF電源
9 ラジカル
10 イオン
11 WC基板
12 レジストパターン
13a、13b、13c イオン
14a 側壁保護膜
14b レジスト保護膜
15 イオン
16 イオン
17 ラジカル
18a、18b、18c イオン
21 WC合金基板
22 レジストパターン
23 イオン
24a、24b 側壁保護膜
31 下地基板
31a 金属又は導電性物質からなる基板
31b 縁物物質からな基板
31c 半導体物質からなる基板
32 タングステンと炭素とを含む物体
50 プラズマ

Claims (44)

  1. タングステンと炭素とを含む物体に対して、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いてエッチングを行う工程を備え、
    前記CN結合及び水素原子を含むガスは、アルキルアミン、ジアルキルアミン若しくはトリアルキルアミンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることを特徴とするドライエッチング方法。
  2. 請求項1に記載のドライエッチング方法において、
    前記弗素原子を含むガスは、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることを特徴とするドライエッチング方法。
  3. 請求項1に記載のドライエッチング方法において、
    前記混合ガスに酸素原子を含むガスがさらに添加されていることを特徴とするドライエッチング方法。
  4. 請求項1に記載のドライエッチング方法において、
    前記混合ガスに希ガスがさらに添加されていることを特徴とするドライエッチング方法。
  5. 請求項1に記載のドライエッチング方法において、
    前記混合ガスに窒素原子を含むガスがさらに添加されていることを特徴とするドライエッチング方法。
  6. 請求項に記載のドライエッチング方法において、
    前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることを特徴とするドライエッチング方法。
  7. 請求項1に記載のドライエッチング方法において、
    前記混合ガスには、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスの少なくとも1つがさらに混合されていることを特徴とするドライエッチング方法。
  8. タングステンと炭素とを含む物体に対して、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガスから生成されたプラズマを用いてエッチングを行うことを特徴とするドライエッチング方法。
  9. タングステンと炭素とを含む物体に対して、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いてエッチングを行う工程を備え、
    前記混合ガスに水素分子がさらに添加されていることを特徴とするドライエッチング方法。
  10. タングステンと炭素とを含む物体に対して、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いてエッチングを行う工程を備え、
    前記混合ガスに炭化水素分子がさらに添加されていることを特徴とするドライエッチング方法。
  11. 請求項10に記載のドライエッチング方法において、
    前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることを特徴とするドライエッチング方法。
  12. タングステンと炭素とを含む物体上にマスクパターンを形成する工程と、
    前記マスクパターンを用いて、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマにより前記物体に対してドライエッチングを行う工程とを備え、
    前記CN結合及び水素原子を含むガスは、アルキルアミン、ジアルキルアミン若しくはトリアルキルアミンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることを特徴とする微細構造形成方法。
  13. 請求項12に記載の微細構造形成方法において、
    前記弗素原子を含むガスは、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることを特徴とする微細構造形成方法。
  14. 請求項12に記載の微細構造形成方法において、
    前記混合ガスに酸素原子を含むガスがさらに添加されていることを特徴とする微細構造形成方法。
  15. 請求項12に記載の微細構造形成方法において、
    前記混合ガスに希ガスがさらに添加されていることを特徴とする微細構造形成方法。
  16. 請求項12に記載の微細構造形成方法において、
    前記混合ガスに窒素原子を含むガスがさらに添加されていることを特徴とする微細構造形成方法。
  17. 請求項16に記載の微細構造形成方法において、
    前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることを特徴とする微細構造形成方法。
  18. 請求項12に記載の微細構造形成方法において、
    前記混合ガスには、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスの少なくとも1つがさらに混合されていることを特徴とする微細構造形成方法。
  19. タングステンと炭素とを含む物体上にマスクパターンを形成する工程と、
    前記マスクパターンを用いて、弗素原子、CN結合及び水素原子を含むガスから生成されたプラズマにより前記物体に対してドライエッチングを行う工程とを備えていることを特徴とする微細構造形成方法。
  20. タングステンと炭素とを含む物体上にマスクパターンを形成する工程と、
    前記マスクパターンを用いて、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマにより前記物体に対してドライエッチングを行う工程とを備え、
    前記混合ガスに水素分子がさらに添加されていることを特徴とする微細構造形成方法。
  21. タングステンと炭素とを含む物体上にマスクパターンを形成する工程と、
    前記マスクパターンを用いて、弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマにより前記物体に対してドライエッチングを行う工程とを備え、
    前記混合ガスに炭化水素分子がさらに添加されていることを特徴とする微細構造形成方法。
  22. 請求項21に記載の微細構造形成方法において、
    前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることを特徴とする微細構造形成方法。
  23. 弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体をモールドに加工する工程を備え、
    前記CN結合及び水素原子を含むガスは、アルキルアミン、ジアルキルアミン若しくはトリアルキルアミンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることを特徴とするモールドの製造方法。
  24. 請求項23に記載のモールドの製造方法において、
    前記弗素原子を含むガスは、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることを特徴とするモールドの製造方法。
  25. 請求項23に記載のモールドの製造方法において、
    前記混合ガスに酸素原子を含むガスがさらに添加されていることを特徴とするモールドの製造方法。
  26. 請求項23に記載のモールドの製造方法において、
    前記混合ガスに希ガスがさらに添加されていることを特徴とするモールドの製造方法。
  27. 請求項23に記載のモールドの製造方法において、
    前記混合ガスに窒素原子を含むガスがさらに添加されていることを特徴とするモールドの製造方法。
  28. 請求項27に記載のモールドの製造方法において、
    前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることを特徴とするモールドの製造方法。
  29. 請求項23に記載のモールドの製造方法において、
    前記混合ガスには、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスの少なくとも1つがさらに混合されていることを特徴とするモールドの製造方法。
  30. 素原子、CN結合及び水素原子を含むガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体をモールドに加工する工程を備えていることを特徴とするモールドの製造方法。
  31. 弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体をモールドに加工する工程を備え、
    前記混合ガスに水素分子がさらに添加されていることを特徴とするモールドの製造方法。
  32. 弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体をモールドに加工する工程を備え、
    前記混合ガスに炭化水素分子がさらに添加されていることを特徴とするモールドの製造方法。
  33. 請求項32に記載のモールドの製造方法において、
    前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることを特徴とするモールドの製造方法。
  34. 弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体を成形加工することにより製造されたモールドであって、
    前記CN結合及び水素原子を含むガスは、アルキルアミン、ジアルキルアミン若しくはトリアルキルアミンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることを特徴とするモールド。
  35. 請求項34に記載のモールドにおいて、
    前記弗素原子を含むガスは、弗素分子、フルオロカーボン若しくはフルオロハイドロカーボンのいずれか又はそれらの2つ以上の混合物からなることを特徴とするモールド。
  36. 請求項34に記載のモールドにおいて、
    前記混合ガスに酸素原子を含むガスがさらに添加されていることを特徴とするモールド。
  37. 請求項34に記載のモールドにおいて、
    前記混合ガスに希ガスがさらに添加されていることを特徴とするモールド。
  38. 請求項34に記載のモールドにおいて、
    前記混合ガスに窒素原子を含むガスがさらに添加されていることを特徴とするモールド。
  39. 請求項38に記載のモールドにおいて、
    前記窒素原子を含むガスは、窒素分子若しくはアンモニア分子のいずれか又はそれらの混合物であることを特徴とするモールド。
  40. 請求項34に記載のモールドにおいて、
    前記混合ガスには、塩素原子を含むガス、臭素原子を含むガス又はヨウ素原子を含むガスの少なくとも1つがさらに混合されていることを特徴とするモールド。
  41. 素原子、CN結合及び水素原子を含むガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体を成形加工することにより製造されたことを特徴とするモールド。
  42. 弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体を成形加工することにより製造されたモールドであって、
    前記混合ガスに水素分子がさらに添加されていることを特徴とするモールド。
  43. 弗素原子を含むガスとCN結合及び水素原子を含むガスとからなる混合ガスから生成されたプラズマを用いて、タングステンと炭素とを含む物体を成形加工することにより製造されたモールドであって、
    前記混合ガスに炭化水素分子がさらに添加されていることを特徴とするモールド。
  44. 請求項43に記載のモールドにおいて、
    前記炭化水素分子は飽和炭化水素分子であることを特徴とするモールド。
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