JP4748879B2 - ガラスクロス及びプリプレグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は電子・電気分野で使用されるプリント配線板用に使用されるガラスクロス基材及びプリプレグに関するものである。
特に本発明は耐熱性・機械的強度が要求されるプリント基板用基板に用いられるガラスクロス基材及びプリプレグに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線板には、樹脂を含浸・保持し、強度を保つ基材として、その優れた耐熱性、寸法安定性、電気絶縁性等の特性からガラスクロスが用いられている。
ガラスクロス表面上には、無機物質であるガラスクロスと有機物質である樹脂との親和性を高めるために、ガラスと樹脂との両方に反応性を有する化合物、いわゆるシランカップリング剤が処理されている。
シランカップリング剤によるガラスクロスの表面処理は、一般的には、シランカップリング剤の水溶液中にガラスクロスを浸漬させ、それを乾燥し水分を除去することで行われている。表面処理において、水溶液中でシラノール化したシランカップリング剤が乾燥段階でガラスと縮合し、ガラスとシランカップリング剤が結合する。
【0003】
プリント配線板の耐熱性、機械的強度等の発現には、表面処理に使用されるシランカップリング剤種の樹脂との最適化によりガラス/樹脂界面の親和性を高めている。
例えば、エポキシ樹脂には、アミノ基を有するシランカップリング剤、不飽和ポリエステル樹脂には、不飽和結合を有するシランカップリング剤が使用されている。
しかし、最近は、耐熱性向上・電気的特性改良・ノンハロゲン対応等の新規な特性を持つ樹脂が市場に登場し、従来の表面処理では充分なガラス/樹脂界面の親和性が得られない場合が出てきている。
そこで、ガラスクロスへの表面処理の処方を変える等の試みが行われているが、根本的解決に至らない場合もある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は耐熱性・機械的強度が要求されるプリント配線板用に使用されるガラスクロス基材及びプリプレグとして、上記問題点を鑑み、高い耐熱性や機械的強度を発現するガラス/樹脂界面を形成できるガラスクロス基材及びプリプレグを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは前記課題を解決するため種々検討した結果、プリプレグにおいてガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化を全体の樹脂の硬化よりも速くすることで、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の架橋密度が上がり、強固なガラスと樹脂の接着力が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は:
(1) プリプレグ用基材として用いられるガラスクロスにおいて、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化を促進する化合物が、表面に付与され、該ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化を促進する化合物が水分であり、100℃〜200℃への昇温時に該ガラスクロス表面から発生する水分量が、ガラスクロス重量に対して30ppm以上100ppm以下であることを特徴とするガラスクロス、
(2) (1)に記載のガラスクロスに樹脂ワニスを含浸し、加熱及び/又は乾燥させてなるプリプレグにおいて、プリプレグ作成段階及び/又はプリプレグを1枚又は複数枚積層し加熱加圧して積層板を作成する段階に、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化が全体の樹脂の硬化よりも速いことを特徴とするプリプレグ、
である。
【0006】
ここで言う、ガラス/樹脂界面近傍とは、明確には規定できないが、ガラスクロスの表面処理剤が樹脂にマイグレーションし、該表面処理剤が該樹脂の硬化反応に影響を及ぼす領域と定義する。
【発明の実施の形態】
本発明について、以下具体的に説明する。
(A)ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化
本発明で言う、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化が全体の樹脂の硬化よりも速いということは、通常のプリプレグの樹脂(ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の割合が少ない樹脂:樹脂α)と、樹脂含有率が通常の10分の1でガラスの極表面にだけ樹脂を塗工したプリプレグの樹脂(ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の割合が多い樹脂:樹脂β)のゲルタイムを比較し、樹脂βのゲルタイムが樹脂αのゲルタイムの100分の95以下であるということで定義する。
例えば、樹脂含有率が50重量%の通常プリプレグの樹脂の所定の温度におけるゲルタイムが100秒であるときに、樹脂含有率が5重量%のプリプレグの樹脂のゲルタイムが95秒以下ならば、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化が全体の樹脂の硬化よりも速いという。
【0007】
(B)樹脂の種類
本発明のガラスクロス及びプリプレグに使用される樹脂としては、熱硬化性樹脂として、エポキシ基を有する化合物を硬化させるエポキシ樹脂、エポキシアクリレートや不飽和ポリエステルを硬化させる樹脂、水酸基及び/またはアミノ基を有する化合物を硬化させるウレタン樹脂、メラミン樹脂、ビスマレイミド・トリアジン樹脂、シアネ−ト樹脂、シリコーン樹脂、熱硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂等が挙げられる。
また、可とう性付与の目的等で、上記熱硬化性樹脂に、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリエ−テルイミド樹脂、フッ素樹脂等の熱可塑性樹脂を混合したものなどが挙げられる。
【0008】
ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化を全体の樹脂の硬化よりも速くするために、樹脂の硬化を促進させる作用のある化合物が使用されるが、その樹脂の硬化を促進させる作用が発揮できるための化合物の添加量は、樹脂の種類や化合物の種類により異なり、その樹脂における最適量は(A)記載の方法で決定できる。
【0009】
(C)硬化促進作用のある化合物
本発明のガラスクロス及びプリプレグは、樹脂ワニスに使用する樹脂の種類に対する公知の硬化剤及び/又は硬化触媒を、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂又はガラスクロス表面に付与することで達成できる。
例えば、エポキシ基を有する化合物を硬化させるエポキシ樹脂に対しては、(1) ポリアミン系硬化剤として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ポリアミドポリアミン、メンセンジアミン、イソホロンジアミン、N−アミノエチルピペラジン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンアダクト、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、ジシアンジアミド、アジピン酸ヒドラジド等が挙げられ、
【0010】
(2) 酸無水物系硬化剤として、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、ドデシル無水コハク酸、無水クロレンディック酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、ポリアゼライン酸無水物等が挙げられ、
(3) 第三アミン化合物系硬化剤として、ベンジルジメチルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリ(ジアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリ(ジアミノメチル)フェノールのトリ−2−エチルヘキシル酸塩等が挙げられ、
(4) イミダゾール化合物系硬化剤として、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6−(2−メチルイミダゾリル−(1))−エチルS−トリアジン等が挙げられ、その他、フェノールノボラック、トリオキサントリメチレンメルカプタン、イソシアネート基を有する化合物、フェノール基を有する化合物、ヒドラジド基を有する化合物、カルボキシル基を有する化合物等が挙げられる。
【0011】
また、エポキシアクリレートや不飽和ポリエステルを硬化させる樹脂に対しては、過酸化物として、ベンゾイルパーオキサイド、パラクロロベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、カプリリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、ビス(1−ヒドロキシシクロヘキシルパーオキサイド)、ヒドロキシヘプチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ(t−ブチルパーオキサイド)、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチルヘキシル−2,5−ジ(パーオキシベンゾエート)、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルパーアセテート、t−ブチルパーオクトエート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、ジ(t−ブチル)ジ(パーフタレート)、過酸化こはく酸等が挙げられる。
【0012】
また、水酸基及び/またはアミノ基を有する化合物を硬化させるウレタン樹脂に対しては、イソシアネート基を有する化合物として、トリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシレンジアソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルネンジイイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
【0013】
本発明のプリプレグ及びガラスクロスは、公知の硬化剤及び/又は硬化触媒以外に硬化を促進させる作用のある化合物を、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂又はガラスクロス表面に付与させてもよい。
公知の硬化剤及び/又は硬化触媒以外に硬化を促進させる作用のある化合物としては、水酸基を有する化合物あれば特に限定されず、例えば、(1) 水、アルコール類としてメタノール、エタノール、n−プロパノール、n−デカノール、イソプロピルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、グリセリン等が挙げられ、(2) フェノール類としてフェノール、(o−,m−,p−)クレゾール、(o−,m−,p−)エチルフェノール、カテコール、レソルシノール、ヒドロキノン等が挙げられる。
上記樹脂の硬化を促進させる作用が発揮できるための化合物の添加量には、それぞれ適切な範囲が存在する。樹脂の種類によって、化合物の添加量の適切な範囲は異なる。
樹脂中に微量存在すると樹脂の硬化が促進されるが、多量存在しすぎると、逆に樹脂の硬化を阻害し硬化が遅くなることが確認されている。最適量の決定には、(A)記載の方法により行う。
【0014】
(D)硬化促進作用のある化合物のガラスクロスへの付与
硬化促進作用のある化合物をガラスクロスへ付与するには、シランカップリング剤による表面処理時に、その処理液中に硬化促進作用のある化合物を添加する方法も1つの手法である。
表面処理に使用できるシランカップリング剤としては、樹脂に反応性を有するものであれば特に限定されない。
例えば、樹脂がそれぞれエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、メラミン樹脂単独もしくはいずれかの組み合わせである場合に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン等のシラン化合物が使用できる。
【0015】
樹脂がエポキシアクリレートや不飽和ポリエステルを硬化させる樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、メラミン樹脂のいずれかの組み合わせである場合に、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン及びその塩酸塩、N−β−(N−ベンジルアミノエチルアミノプロピル)メチルジメトキシシラン及びその塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメトキシシラン等のシラン化合物が使用できる。
【0016】
硬化促進作用のある化合物を添加した処理液による表面処理は、浸漬法、噴霧法、ガス化法などの任意の公知の方法で塗布し、その後、熱風、電磁波、等の公知の方法で溶液を乾燥せさればよい。
硬化促進作用のある化合物が処理液中でシランカップリング剤と反応することを防ぐために、シランカップリング剤処理の前後に硬化促進作用のある化合物単独の水溶液又は有機溶剤溶液又は化合物そのもので処理してもよい。
また、硬化促進作用のある化合物自身の揮発性が高いか、ガラスクロス表面と化学的に結合することが困難な場合、硬化促進作用のある化合物を化学的に結合させたシランカップリング剤、又は、水酸基を持つシランカップリング剤、又は、水溶液中でエポキシ基が開環し水酸基の生成が期待できるエポキシ基を持つシランカップリング剤を処理液に添加し、塗布してもよい。
【0017】
硬化促進作用のある化合物をシランカップリング剤に化学結合させておき、表面処理後にプリプレグ作成段階、積層板を作成する段階の温度である100℃以上200℃以下の温度範囲において、ガラスクロス表面上で解離させ、硬化促進作用を発揮させるようにしてもよい。
例えば、アルコール解離型のブロックイソシアネート基を持つシランカップリング剤を処理液に添加して塗布する手段が挙げられる。
また、表面処理後にガラスクロス表面上でシランのシラノール化を促進させることで、加熱時の縮重合により水分を発生させて、硬化促進作用を発揮させることも可能である。この場合、表面処理前に処理液中でシランのシラノール化を促進させると、表面処理時にシラノールがガラスの水酸基と反応しシラノール基の量が低減するので、表面処理後にシラノール化を促進させることが重要である。
【0018】
特に、水分を発生させる場合には、100℃〜200℃への昇温時に、ガラスクロス表面から発生する水分量が、20ppm以上100ppm以下であることが好ましい。
100℃〜200℃への昇温時に、ガラスクロス表面から発生する水分量は、例えばカールフィッシャー水分計を用いて、200℃での発生水分量と100℃での発生水分量との差分から求めることができる。特に好ましい水分量は30ppm以上50ppm以下である。
硬化促進作用のある化合物のガラスクロス表面への付着量は、対する樹脂の種類によっても異なるが、シランカップリング剤のカップリング機能を阻害しない量であることが必要であり、シランカップリング剤10に対し、モル比で1以上8以下、好ましくは3以上5以下である。
硬化促進作用のある化合物の付着量の経時変化を最小にするためにも、ガラスクロスへの付着処理は、プリプレグ作成時のワニス塗工工程の直前に付着させることが好ましく、さらにはワニス塗工と連続的に実施することが好ましい。
【0019】
(E)ガラスクロスの製造
本発明のガラスクロス及びプリプレグは、一般に生産されるガラスクロスに対し、前述の処理を施すことにより得られ、特にガラスクロスの構成、スタイル等には依存しない。
(F)プリント配線板用積層板の製造
本発明のガラスクロス及びプリプレグを用いてプリント配線板用積層板を製造するには常法に従えばよく、例えば本発明のガラスクロスにエポキシ樹脂のようなマトリックス樹脂を含浸させて、樹脂含浸プリプレグを作り、これを複数枚積層し、または内層コア板の上にこれを複数枚または1枚積層し、加熱加圧成形することにより得られる。
【0020】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
下記の5項目を、各実施例、比較例で得られたサンプルに対しそれぞれ測定し、その結果を表1に示した。
〇ガラスクロスの水分量:
カールフィッシャー水分計により、測定温度100℃と200℃とで、それぞれガラスクロス表面から発生する水分量を測定し、その差分をガラスクロスの水分量とした。なお、水分量はガラスクロス質量に対する水分の質量をppm単位で示した。
〇プリプレグのゲルタイム:
樹脂含有率(RC)が50重量%,5重量%のプリプレグからそれぞれ樹脂分だけを削ぎ落とし、170℃にセットしたホットプレート上にその樹脂を置いた時点から、細針で溶融した樹脂を攪拌しながら細針を引き上げた時に樹脂の糸引きがなくなった時点までの時間を測定した。
〇プリント配線板用積層板の弾性率:
RDAII〔レオメトリックス(株)製〕で粘弾性挙動を測定し、tanδのピークの示す温度であるガラス転移温度よりも高い温度(270℃)での貯蔵弾性率を測定した。
〇プリント配線板用積層板のはんだ耐熱性:
50mm角の積層板を121℃・1気圧加圧のPCT条件にさらし、30分ごとに取り出し、サンプルを288℃のはんだ浴に20秒浸して膨れが発生した時間で評価した。
〇層間の引剥強度:
積層板の1層目を銅箔とともに引き剥がし、その時に必要な力を測定した。
【0021】
(参考実施例1)
(a)ガラスクロス
常法により脱油処理した下記仕様の旭シュエーベル(株)製2116(商品名)を用いた。
[ガラスクロス仕様]
糸使い: E225 1/0×E225 1/0
密度: 経糸60本/25mm×緯糸58本/25mm
目付: 104g/m2
厚み: 0.095mm
(b)シランカップリング剤によるガラスクロスの表面処理
シランカップリング剤としてN−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩である東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製SZ6032(商品名)を用い、該シランカップリング剤を固形分として0.5重量%、酢酸3.0重量%、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1重量%を含む水溶液を得た。
この水溶液に(a)のガラスクロスを浸漬し、ピックアップが30重量%になるように絞液した後に、170℃で30秒加熱乾燥した。得られたガラスクロスを500mm×350mmにカットし、ガラスクロス片とした。
【0022】
(c)プリプレグの製造
(b)で得たガラスクロス片に、下記組成のエポキシ樹脂ワニス(FR−5処方)に浸漬し、予備乾燥して樹脂分50重量%のプリプレグを得た。
[エポキシ樹脂ワニス組成]
E157S70B75(油化シェルエポキシ(株)商品名):25重量部
E5050T60(油化シェルエポキシ(株)商品名) :25重量部
834B75(油化シェルエポキシ(株)商品名) : 5重量部
YLH129B65(油化シェルエポキシ(株)商品名) :25重量部
2−エチル−4−メチルイミダゾール : 1重量部
2−メトキシエタノール :20重量部
(d)積層板の製造
(c)で得たプリプレグを4枚積層し、さらにその上に12μの銅箔を重ねて常法により加熱加圧して板厚が0.4mmの積層板を得た。
【0023】
(参考実施例2)
参考実施例1(b)において、該シランカップリング剤を固形分として0.5重量%、酢酸3.0重量%、n−デカノール0.1重量%を含む水溶液で表面処理を行った以外は参考実施例1と同様の方法で実施例2のサンプルを得た。
(参考実施例3)
参考実施例1(b)において、該シランカップリング剤を固形分として0.5重量%、酢酸3.0重量%、p−エチルフェノール0.1重量%を含む水溶液で表面処理を行った以外は参考実施例1と同様の方法で実施例3のサンプルを得た。
(参考実施例4)
参考実施例1(b)において、該シランカップリング剤を固形分として0.5重量%、酢酸3.0重量%、シクロヘキセンオキサイド型エポキシ官能性シラン(KBM−303:信越化学工業(株)商品名)0.1重量%を含む水溶液で表面処理を行った以外は参考実施例1と同様の方法で参考実施例4のサンプルを得た。
(実施例5)
参考実施例1(b)において、該シランカップリング剤を固形分として0.5重量%、酢酸3.0重量%を含む水溶液で表面処理を行い、乾燥条件を調整して、ガラスクロス片から発生する水分量が30ppmになるようにした以外は参考実施例1と同様の方法で実施例5のサンプルを得た。この水分量は、樹脂の硬化促進作用を発揮することの出来る量である。
【0024】
(比較例1)
参考実施例1(b)において、該シランカップリング剤を固形分として0.5重量%、酢酸3.0重量%を含む水溶液で表面処理を行った以外は参考実施例1と同様の方法で、比較例1のサンプルを得た。前記の方法で測定した水分量は15.1ppmであり、この水分量は、樹脂の硬化作用を発揮しない量である。
(比較例2)
参考実施例1(b)において、該シランカップリング剤を固形分として0.5重量%、酢酸3.0重量%を含む水溶液で表面処理を行い、200℃で1時間加熱乾燥した以外は参考実施例1と同様の方法で、比較例2のサンプルを得た。前記の方法で測定しても水分は検出されず、このサンプルは、樹脂の硬化促進作用を有する化合物を全く持たないものであった。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明のガラスクロス及びプリプレグは、強固なガラスと樹脂の接着力が得られ、高い耐熱性や機械的強度が必要な分野のプリント配線板に最適な材料となる。
Claims (2)
- プリプレグ用基材として用いられるガラスクロスにおいて、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化を促進する化合物が、表面に付与され、該ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化を促進する化合物が水分であり、100℃〜200℃への昇温時に該ガラスクロス表面から発生する水分量が、ガラスクロス重量に対して30ppm以上100ppm以下であることを特徴とするガラスクロス。
- 請求項1に記載のガラスクロスに樹脂ワニスを含浸し、加熱及び/又は乾燥させてなるプリプレグにおいて、プリプレグ作成段階及び/又はプリプレグを1枚又は複数枚積層し加熱加圧して積層板を作成する段階に、ガラス/樹脂界面近傍の樹脂の硬化が全体の樹脂の硬化よりも速いことを特徴とするプリプレグ。
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