JP4748862B2 - ゴム組成物および空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム組成物およびそのゴム組成物をトレッドゴムに用いてなる空気入りタイヤに関し、より詳しくは、自動車が高速走行した場合においても、タイヤのグリップ性能および操縦安定性を良好に保つことができるとともに、タイヤの摩耗性をも良好に保つことができるゴム組成物およびそのゴム組成物をトレッドゴムに用いてなる空気入りタイヤを提供するものである。
【0002】
【従来の技術】
高性能タイヤトレッド用ゴム組成物の重要な特性であるグリップ性(路面把握力)および操縦安定性を向上させるとともに、耐摩耗性をも向上させる手法として、小粒径のカーボンブラックを比較的高い配合割合でゴム組成物に配合するとともに軟化剤を多量に配合することにより、高いヒステリシスロスを持たせる技術が開示されている。しかしながら、小粒径のカーボンブラックを比較的高い配合割合で配合するとともに軟化剤を多量に配合するゴム組成物では、タイヤトレッド用ゴム組成物のグリップ性と耐摩耗性との両方を十分に向上させるのは困難であった。
【0003】
また、タイヤトレッド用ゴム組成物のグリップ性および操縦安定性を向上させるとともに、耐摩耗性をも向上させる手法として、ガラス転移点の高いスチレンブタジエンゴム(SBR)をゴム組成物の主ゴム成分として採用する手法が開示されている。しかしながら、この様な手法によると、グリップ性の改良は認められるものの耐久性、特にサーキット走行などの厳しい条件下での耐ブローアウト性が著しく損われることが知られている。
【0004】
そのため、ガラス転移点が−35℃〜0℃のスチレンブタジエンゴム(SBR)に対し、軟化点が60℃〜100℃のジペンテン芳香族ビニル共重合体樹脂またはα−ピネン樹脂を配合して成るタイヤトレッド用ゴム組成物が特開平10−204216号公報などに開示されている。
【0005】
また、ガラス転移温度が−40℃以上のスチレンブタジエンゴム(SBR)に対し、カーボンブラックを添加するとともに、アスコルビン酸を含有させるゴム組成物が、特開2000−1574号公報などに開示されている。
【0006】
しかし、上述したいずれのゴム組成物は、自動車が高速走行をした場合において、高いグリップ力を得ることが可能であるが、タイヤ内部が高く発熱することにより、ゴム組成物の架橋構造が変化し、走行末期において、本来のグリップ性能および操縦安定性が損なわれる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述の問題を解決するものであり、高いグリップ性能と操縦安定性を実現させることができ、しかも走行末期においても、その高いグリップ性能と操縦安定性を維持することができるゴム組成物およびそのゴム組成物を用いて製造した空気入りタイヤを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るゴム組成物は、請求項1記載のように、天然ゴム(NR)もしくはジエン系合成ゴムのうち少なくともいずれか一方を含むゴム成分100重量部に対し、加硫剤としてのイオウ成分が0.2〜2.0重量部配合され、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドが0.1〜1.5重量部配合されている、ゴム組成物である。
【0009】
また、本発明に係るゴム組成物は、請求項2記載のように、スチレン含量が20〜60重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を80〜100重量%含有するゴム成分からなるとともに、前記ゴム成分100重量部に対し、窒素吸着比表面積が80〜250m2/gであるカーボンブラックが50〜200重量部配合され、加硫剤としてのイオウ成分が0.2〜2.0重量部配合され、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドが0.1〜1.5重量部配合されている、ゴム組成物である。
【0010】
また、本発明に係るゴム組成物は、請求項3記載のように、請求項1または2記載の発明において、前記ゴム成分に、粘着樹脂が1〜20重量部配合されているゴム組成物である。
【0011】
また、本発明に係る空気入りタイヤは、請求項4記載のように、請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いてなる空気入りタイヤである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係るゴム組成物は、天然ゴム(NR)もしくはジエン系合成ゴムのうち少なくともいずれか一方を含むゴム成分100重量部に対し、加硫剤としてのイオウ成分が0.2〜2.0重量部配合され、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドが0.1〜1.5重量部配合されている、ゴム組成物である。
【0013】
前記ゴム成分は、天然ゴム(NR)もしくはジエン系合成ゴムのうち少なくともいずれか一方を含むものである。ジエン系合成ゴムとしては、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、ブチルゴム(IIR)などを使用でき、本発明に使用されるゴム成分中に1種類または2種類以上含まれていてもよい。なお、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とは、エチレン−プロピレンゴム(EPM)に第三ジエン成分を含むものであり、ここで第三ジエン成分とは、炭素数5〜20の非共役ジエンであり、たとえば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエンおよび1,4−オクタジエンや、たとえば1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン、例えば5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネンおよび2−イソプロペニル−5−ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネンなどが挙げられ、特にジエンの中では、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが好ましく用いることが可能である。
【0014】
前記ゴム成分が、スチレン含量が20〜60重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を80〜100重量%含有するものであることが可能である。溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)のスチレン含量が20重量部よりも少ない場合にあっては、そのようなゴム組成物を使用してタイヤを製造したとしてもタイヤのグリップ力が不足する場合があるからである。一方、溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)のスチレン含量が60重量部よりも多い場合にあっては、そのようなゴム組成物を使用してタイヤを製造しようとしても製造工程における加工性が悪化する場合があるからである。
【0015】
また、本発明に係るゴム組成物を構成するゴム成分中において、スチレン含量が20〜60重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)は80〜100重量%含有されていることが可能である。スチレン含量が20〜60重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)の含有量が80重量%よりも少ない場合にあっては、スチレン含量が20〜60重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)としての性質が弱いからである。
【0016】
また、本発明に係るゴム組成物を構成するゴム成分中において、ゴム成分100重量部に対し、窒素吸着比表面積が80〜250m2/gであるカーボンブラックが50〜200重量部配合されていることが可能である。カーボンブラックの窒素吸着比表面積が80m2/gよりも小さい場合は、そのようなゴム組成物を使用してタイヤを製造したとしてもタイヤのグリップ力が不足する場合があるからである。一方、カーボンブラックの窒素吸着比表面積が250m2/gよりも大きい場合は、そのようなゴム組成物を使用してタイヤを製造しようとしても製造工程における加工性が悪化する場合があるからである。
【0017】
また、ゴム成分中において、ゴム成分100重量部に対し、窒素吸着比表面積が80〜250m2/gであるカーボンブラックの配合量が50重量部よりも少ない場合は、そのようなゴム組成物を使用してタイヤを製造したとしてもタイヤのグリップ力が不足する場合があるからである。一方、ゴム成分中において、ゴム成分100重量部に対し、窒素吸着比表面積が80〜250m2/gであるカーボンブラックの配合量が200重量部よりも多い場合は、そのようなゴム組成物を使用してタイヤを製造しようとしても製造工程における加工性が悪化する場合があるからである。
【0018】
また、本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中において、ゴム成分100重量部に対し、加硫剤としてのイオウ成分が0.2〜2.0重量部配合されている必要がある。イオウ成分の配合量が0.2重量部よりも少ない場合にあっては、ゴム組成物のゴム強度が不足する場合があり、そのようなゴム組成物を使用してタイヤを製造した場合にあっては、タイヤの強度に問題がある場合があるからである。一方、イオウ成分の配合量が2.0重量部よりも多い場合にあっては、ゴム組成物の耐熱性が悪化するとともに、そのようなゴム組成部を使用してタイヤを製造した場合にあってはタイヤのグリップ力が低下する場合があるからである。
【0019】
また、本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中において、ゴム成分100重量部に対し、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドが0.1〜1.5重量部配合されている必要がある。テトラベンジルチウラムジスルフィドの配合量が0.1重量部よりも少ない場合にあっては、ゴム組成物の熱安定性の効果が期待できないからであり、そのようなゴム組成物を使用してタイヤを製造した場合にあってはタイヤの耐熱性に問題があるからである。一方、テトラベンジルチウラムジスルフィドの配合量が1.5重量部よりも多いと、そのようなゴム組成部を使用してタイヤを製造した場合にあってはタイヤのグリップ力が低下する可能性があるからである。
【0020】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドを、架橋剤としてのイオウ成分と併用して配合されていることが一因となって、耐熱性の良い架橋構造を有するゴム組成物となると考えられる。なお、テトラベンジルチウラムジスルフィドを構造式で示すと下記式(1)のようになる。
【0021】
【化1】
Figure 0004748862
【0022】
また、本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、粘着樹脂を1〜20重量部配合されることが可能である。ゴム成分中に粘着樹脂を含有させてゴム組成物を構成し、そのゴム組成物を使用してタイヤを製造した場合にあっては、タイヤのグリップ力を上昇させることが可能である。粘着樹脂の配合量が1重量部よりも少ない場合にあっては、タイヤのグリップ力の上昇としての効果がほとんど期待できない。一方、粘着樹脂の配合量が20重量部よりも多い場合にあっては、ゴム組成物を加工してタイヤを製造する場合において、加工性が低下する場合があるからである。
【0023】
粘着樹脂としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂などを使用することができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0024】
テルペン系樹脂とはテルペン単量体の重合体およびこれに第2成分をポリマー鎖に含む重合体であり、一般式(2)で基本構造を示すテルペン樹脂の他一般式(3)で基本構造を示すスチレン系テルペン樹脂、さらに一般式(4)で基本構造を示すフェノール変性テルペン樹脂、さらにこれらの樹脂を水素化した水添テルペン樹脂を包含する。
【0025】
【化2】
Figure 0004748862
【0026】
【化3】
Figure 0004748862
【0027】
【化4】
Figure 0004748862
【0028】
なお一般式(2)〜(4)におけるm,nは整数を示す。
テルペン系樹脂は松属の木から得られるテルペン油をフリーデルクラフト触媒を用いて重合して得ることができ、具体的には、α−ピネン、β−ピネンカンフェル、ジペンテンなどを使用することが可能である。
【0029】
ロジン系樹脂にはロジン誘導体が含有される。ロジン誘導体は、生松やにやトール油などに含有されているロジンを、水素添加、不均化、二重化、エステル化などして製造することが可能である。本発明に使用されるロジンエステルには、その水素添加物を含むものとし、具体的には、ペンタエリスリトールエステル、グリセリンエステル、水素添加ロジンエステル、水素添加ロジンメチルエステル、水素添加ロジンエチレングリコールエステル、水素添加ロジンペンタエリスリトールエステル、水素添加ロジンエステルエマルジョンなどを使用することができる。
【0030】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、加硫剤としてのイオウ成分に併用して、有機過酸化物系加硫剤を含有させることが可能である。有機過酸化物としては、たとえば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3あるいは1,3−ビス(t−ブチルパーオキシプロピル)ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゼン、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシロキサン、n−ブチル−4,4−ジ−t−ブチルパーオキシバレレートなどを使用することができる。これらの中で、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼンおよびジ−t−ブチルパーオキシ−ジイソプロピルベンゼンが好ましい。
【0031】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドに併用して、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、もしくは、キサンテート系の加硫促進剤を含有させることが可能である。
【0032】
スルフェンアミド系としては、たとえばCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、TBBS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N,N−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド系化合物などを使用することができる。チアゾール系としては、たとえばMBT(2−メルカプトベンゾチアゾール)、MBTS(ジベンゾチアジルジスルフィド)、2−メルカプトベンゾチアゾールのナトリウム塩、亜鉛塩、銅塩、シクロヘキシルアミン塩、2−(2,4−ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2−(2,6−ジエチル−4−モルホリノチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール系化合物などを使用することができる。チウラム系としては、たとえばTMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムモノスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド、ジペンタメチレンチウラムヘキサスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、ペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラム系化合物を使用することができる。チオウレア系としては、たとえばチアカルバミド、ジエチルチオ尿素、ジブチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、ジオルトトリルチオ尿素などのチオ尿素化合物などを使用することができる。グアニジン系としては、たとえばジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、トリフェニルグアニジン、オルトトリルビグアニド、ジフェニルグアニジンフタレートなどのグアニジン系化合物を使用することができる。ジチオカルバミン酸系としては、たとえばエチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ブチルフェニルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジアミルジチオカルバミン酸亜鉛、ジプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ペンタメチレンジチオカルバミン酸亜鉛とピペリジンの錯塩、ヘキサデシル(またはオクタデシル)イソプロピルジチオカルバミン酸亜鉛、ジベンジルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム、ペンタメチレンジチオカルバミン酸ピペリジン、ジメチルジチオカルバミン酸セレン、ジエチルジチオカルバミン酸テルル、ジアミルジチオカルバミン酸カドミウムなどのジチオカルバミン酸系化合物などを使用することができる。アルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系としては、たとえばアセトアルデヒド−アニリン反応物、ブチルアルデヒド−アニリン縮合物、ヘキサメチレンテトラミン、アセトアルデヒド−アンモニア反応物などのアルデヒド−アミン系またはアルデヒド−アンモニア系化合物などを使用することができる。イミダゾリン系としては、たとえば2−メルカプトイミダゾリンなどのイミダゾリン系化合物などを使用することができる。キサンテート系としては、たとえばジブチルキサントゲン酸亜鉛などのキサンテート系化合物などを使用することができる。
【0033】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、所望により練り加工性を一層向上させるために軟化剤を併用させ含有させることもできる。この様な軟化剤としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリンなどの石油系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油などの脂肪油系軟化剤;トール油;サブ;蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリンなどのワックス類;リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸などが挙げられる。
【0034】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、老化防止剤(劣化防止剤)を含有させることができる。老化防止剤(劣化防止剤)としては、アミン系、フェノール系、イミダゾール系、カルバミン酸金属塩、ワックスなどが挙げられる。
【0035】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、発泡剤を含有させることもできる。発泡剤としては、たとえば、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾジカルボンアミド、p−トルエンスルホニルアセトンヒドラゾーンなどの有機系や、NaHCO3などの無機系のものを使用できる。
【0036】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、白色充填剤を含有させることができる。白色充填剤としては具体的には、シリカ、クレー、アルミナ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタンなどが挙げられ、これらは単独あるいは2種以上混合して用いることができる。特に好ましい白色充填剤としてはシリカ、クレー、水酸化アルミニウム、アルミナである。
【0037】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、白色充填剤を含有させる場合、さらに、カップリング剤を含有させることも可能である。カップリング剤とは、有機高分子と無機質の界面に強固な結合を形成させる化合物である。分子中に異種の反応性基が導入され、一方は高分子と、他方は無機質と化学結合する。カップリング剤は、アルミネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤もしくはチタン系カップリング剤のうち少なくともいずれか一つを含有するものを使用することが可能である。アルミネート系カップリング剤とは、たとえばアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレートを使用することができる。シラン系カップリング剤は、一般式RSiX3の化学構造を有し、同一分子中に有機材料と結合する置換基をもつ有機官能性基Rと、無機材料と反応する加水分解性基Xとをもっている。Rはビニル、グリシドキシ、メタクリル、アミノ、メルカプト基などをもつ有機官能性基で、Xは主に塩素とアルコキシ基である。このため、シランカップリング剤は有機材料と無機質の界面に介在して、両者を結合させる橋渡しの役割を果たす。具体的には、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシランなどを使用することができる。チタン系カップリング剤は、一般式ROTi(XY)3で表すことができ、Xは長鎖成分で衝撃強度の改善、ROはアルコキシ基で充填剤に、Yはポリマーと結合して補強性の役割を有するものと考えられている。具体的には、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネートなどを使用することができる。
【0038】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、可塑剤を含有させることも可能である。可塑剤は、そのままでは可塑性がなく、あるいは可塑化温度が高い物質に加えて可塑性を付与し、軟化する作用を持つ薬剤である。可塑剤は一般に液体のものが多いが固体のこともある。判然とした区別はないが、ゴムに対するプロセス油のように、すでに可塑性のあるものに加えるものは軟化剤と呼んでいる。具体的な可塑剤としては、DMP(フタル酸ジメチル)、DEP(フタル酸ジエチル)、DBP(フタル酸ジブチル)、DHP(フタル酸ジヘプチル)、DOP(フタル酸ジオクチル)、DINP(フタル酸ジイソノニル)、DIDP(フタル酸ジイソデシル)、BBP(フタル酸ブチルベンジル)、DLP(フタル酸ジラウリル)、DCHP(フタル酸ジシクロヘキシル)、無水ヒドロフタル酸エステル、TCP(リン酸トリクレジル)、TEP(トリエチルホスフェート)、TBP(トリブチルホスフェート)、TOP(トリオクチルホスフェート)、TCEP(リン酸トリ(クロロエチル))、TDCPP(トリスジクロロプロピルホスフェート)、TBXP(リン酸トシブトキシエチル)、TCPP(トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート)、TPP(トリフェニルホスフェート)、オクチルジフェニルホスフェート、リン酸(トリスイソプロピルフェニル)、DOA(ジオクチルアジペート)、DINA(アジピン酸ジイソノニル)、DIDA(アジピン酸ジイソデシル)、D610A(アジピン酸ジアルキル610)、BXA(ジブチルジグリコールアジペート)、DOZ(アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル)、DBS(セバシン酸ジブチル)、DOS(セバシン酸ジオクチル)、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、DBM(マレイン酸ジブチル)、DOM(マレイン酸−2−エチルヘキシル)、DBF(フマル酸ジブチル)などを使用することができる。
【0039】
本発明に係るゴム組成物は、ゴム成分中に、スコーチ防止剤すなわち加硫遅延剤を配合することも可能である。スコーチ防止剤とは配合ゴムに少量添加し加硫の速度を遅延させ、加硫の立上りの早すぎを是正する薬剤である。具体的なスコーチ防止剤としては、無水フタル酸、サリチル酸、安息香酸などの有機酸、N−ニトロソジフェニルアミンなどのニトロソ化合物、N−シクロヘキシルチオフタルイミドなどを使用することができる。
【0040】
本発明に係るゴム組成物は、空気入りタイヤの全ての部分において使用することが可能である。図1は、本発明に係る空気入りタイヤを例示したものである。タイヤ1は、トレッド部2と、その両端からタイヤ半径方向内方にのびる一対のサイドウォール部3と、各サイドウォール部3の内方端に位置するビード部4とを具える。またビード部4、4間にはカーカス6が架け渡されるとともに、このカーカス6の外側かつトレッド部2内にはタガ効果を有してトレッド部2を補強するベルト層7が配される。前記カーカス6は、カーカスコードをタイヤ赤道COに対して例えば70〜90°の角度で配列する1枚以上のカーカスプライ6aから形成され、このカーカスプライ6aは、前記トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5の廻りをタイヤ軸方向の内側から外側に折返されて係止される。前記ベルト層7は、ベルトコードをタイヤ赤道COに対して例えば70°以下の角度で配列した2枚以上のベルトプライ7aからなり、各ベルトコードがプライ間で交差するよう向きを違えて重置している。なお、必要に応じてベルト層7のリフティングを防止するためのバンド層(図示しない)を、ベルト層7の外側に設けても良く、このときバンド層は、低モジュラスの有機繊維コードを、タイヤ赤道COとほぼ平行に螺旋巻きした連続プライで形成する。またビード部4には、前記ビードコア5から半径方向外方にのびるビードエーペックスゴム8が配されるとともに、カーカス6の内側には、タイヤ内腔面をなすインナーライナゴム9が隣設され、カーカス6の外側は、チェーファーゴム4Gおよびサイドウォールゴム3Gで保護される。本発明に係るタイヤ用ゴム組成物は、上述したように空気入りタイヤの全ての部分において使用することが可能であるが、空気入りタイヤのビードエーペックスゴム8に使用することが可能であり、特に、空気入りタイヤのトレッド部2に使用することが好適である。
【0041】
【実施例】
(実施例1)
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドを0.5重量部と、アロマオイルを40重量部と、粘着樹脂としてのロジンエステル樹脂を4重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を2.0重量部と、を含有させて実施例1に係るゴム組成物を得た。
【0042】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を評価した。走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムを測定し、比較例1との差を比較した。なお、参考例1は比較例4との差を比較した。この評価結果は下記表1のラップタイム1に示されている。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムを測定し、比較例1のラップタイム1との差を比較した。なお、参考例1は比較例4のラップタイム1との差を比較した。この評価結果は下記表1のラップタイム2に示されている。そして、表1におけるラップタイム2の下段カッコ内は、比較例1のラップタイム2との差を比較したものである。なお、参考例1は比較例4のラップタイム2との差を比較した。
【0043】
また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を評価した。摩耗性の評価は、走行後の摩耗量を比較例1を3として、5点評価を行った。数値が大きいほど摩耗量が少なく良好と判断する。
【0044】
実施例1に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムにおける比較例1との差は+0.04であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲1▼との差は+0.31であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲2▼との差は−0.27であった。また、摩耗量は3点であった。
【0045】
(実施例2)
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドを1.0重量部と、アロマオイルを40重量部と、粘着樹脂としてのロジンエステル樹脂を4重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を2.0重量部と、を含有させて実施例2に係るゴム組成物を得た。
【0046】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を実施例1と同様に評価した。また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を実施例1と同様に評価した。
【0047】
実施例2に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムにおける比較例1との差は+0.27であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲1▼との差は+0.49であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲2▼との差は−0.09であった。また、摩耗量は4点であった。
【0048】
(実施例3)
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドを0.5重量部と、アロマオイルを40重量部と、粘着樹脂としてのロジンエステル樹脂を10重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を2.0重量部と、を含有させて実施例3に係るゴム組成物を得た。
【0049】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を実施例1と同様に評価した。また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を実施例1と同様に評価した。
【0050】
実施例3に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムにおける比較例1との差は−0.46であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲1▼との差は+0.15であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲2▼との差は−0.43であった。また、摩耗量は2点であった。
【0051】
(実施例4)
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドを1.0重量部と、アロマオイルを40重量部と、粘着樹脂としてのロジンエステル樹脂を20重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を2.0重量部と、を含有させて実施例4に係るゴム組成物を得た。
【0052】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を実施例1と同様に評価した。また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を実施例1と同様に評価した。
【0053】
実施例4に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムにおける比較例1との差は−0.75であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲1▼との差は−0.12であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲2▼との差は−0.70であった。また、摩耗量は2点であった。
【0054】
参考例1
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドを1.5重量部と、アロマオイルを40重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を2.0重量部と、を含有させて参考例1に係るゴム組成物を得た。粘着樹脂は添加しなかった。
【0055】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を評価した。また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を評価した。
【0056】
参考例1に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムにおける比較例4との差は+0.15であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例4のラップタイム1との差は+0.18であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例4のラップタイム2との差は−0.10であった。また、摩耗量は5点であった。
【0057】
(比較例1)
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、アロマオイルを40重量部と、粘着樹脂としてのロジンエステル樹脂を4重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を2.0重量部と、を含有させて比較例1に係るゴム組成物を得た。加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドは含有しなかった。
【0058】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を評価した。走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムをラップタイム▲1▼として測定した。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムを測定し、比較例1のラップタイム▲1▼との差を比較した。この評価結果は下記表1のラップタイム▲2▼に示されている。
【0059】
また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を評価した。摩耗性の評価は、走行後の摩耗量を比較例1を3とした。数値が大きいほど摩耗量が少なく良好と判断する。
【0060】
実施例1に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲1▼との差は+0.58であった。また、摩耗量は3点であった。
【0061】
(比較例2)
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドを2.0重量部と、アロマオイルを40重量部と、粘着樹脂としてのロジンエステル樹脂を4重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を1.5重量部と、を含有させて比較例2に係るゴム組成物を得た。
【0062】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を実施例1と同様に評価した。また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を実施例1と同様に評価した。
【0063】
比較例2に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムにおける比較例1との差は+0.59であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲1▼との差は+0.80であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲2▼との差は+0.22であった。また、摩耗量は4点であった。
【0064】
(比較例3)
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドを1.0重量部と、アロマオイルを40重量部と、粘着樹脂としてのロジンエステル樹脂を25重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を2.0重量部と、を含有させて比較例3に係るゴム組成物を得た。
【0065】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を実施例1と同様に評価した。また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を実施例1と同様に評価した。
【0066】
比較例3に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期5Lap〜10Lapの平均ラップタイムにおける比較例1との差は−1.02であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲1▼との差は+0.10であった。また、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例1のラップタイム▲2▼との差は−0.48であった。また、摩耗量は1点であった。
【0067】
(比較例4)
スチレン含量が35重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を100重量%有するゴム成分を100重量部に対し、窒素吸着比表面積が140m2/gであるカーボンブラックを100重量部と、加硫剤としてのイオウ成分を1.2重量部と、アロマオイルを40重量部と、加硫促進剤としてのCBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)を2.0重量部と、を含有させて比較例4に係るゴム組成物を得た。粘着樹脂は添加しなかった。加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドは添加しなかった。
【0068】
このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤのグリップ性能および操縦安定性を評価した。また、このゴム組成物を用いてタイヤを製造し、そのタイヤの摩耗性を評価した。
【0069】
比較例4に係るゴム組成物を用いてタイヤを製造した場合、走行初期25Lap〜30Lapの平均ラップタイムにおける比較例4のラップタイム▲1▼との差は+0.28であった。また、摩耗量は4点であった。
【0070】
【表1】
Figure 0004748862
【0071】
なお、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0072】
【発明の効果】
本発明に係るゴム組成物は、スチレン含量が20〜60重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を80〜100重量%含有するゴム成分からなるとともに、前記ゴム成分100重量部に対し、窒素吸着比表面積が80〜250m2/gであるカーボンブラックが50〜200重量部配合され、加硫剤としてのイオウ成分が0.2〜2.0重量部配合され、加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドが0.1〜1.5重量部配合されている。そのため、本発明に係るゴム組成物を加工してタイヤを製造した場合にあっては、高いグリップ性能と操縦安定性を有するタイヤを製造することができた。しかも走行末期においても、その高いグリップ性能と操縦安定性を維持することができた。また、本発明に係るゴム組成物を加工してタイヤを製造した場合にあっては、耐摩耗性が良好なタイヤを製造することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る空気入りタイヤを説明する図である。
【符号の説明】
1 タイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカス、7 ベルト層、8 ビードエーペックスゴム、9 インナーライナゴム。

Claims (4)

  1. スチレン含量が20〜60重量%の溶液重合スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を80〜100重量%含有するゴム成分からなるとともに、前記ゴム成分100重量部に対し、
    窒素吸着比表面積が80〜250m2/gであるカーボンブラックが50〜200重量部配合され、
    粘着樹脂が1〜20重量部配合され、
    加硫剤としてのイオウ成分が0.2〜2.0重量部配合され、
    加硫促進剤としてのテトラベンジルチウラムジスルフィドが0.1〜1.5重量部配合されている、
    ゴム組成物。
  2. 前記粘着樹脂が10〜20重量部配合されている、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記粘着樹脂がロジン系樹脂またはテルペン系樹脂である、請求項1に記載のゴム組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物をトレッドゴムに用いてなる空気入りタイヤ。
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