JP4747447B2 - コンデンサの封口構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、長円形電解コンデンサ等の長円形筒体の外装ケースを用いたコンデンサの封口構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
偏平円柱状のコンデンサ素子を用いた電解コンデンサは、真円柱状のコンデンサ素子のものに比較し、同体積比率で許容リップル電流を大きく取れる等の利点がある。従来、この種の電解コンデンサでは、体積効率を高めるため、偏平形のコンデンサ素子に合致した長円形筒体からなる外装ケースが用いられ、この外装ケースにはアルミニウムの成形品が用いられている。
【0003】
例えば、図7及び図8に示すように、コンデンサ素子を収納する外装ケース200の封口にはその開口部202の形状に対応して長円形の封口板204が用いられてきた。即ち、この封口板204及び外装ケース200には、一対の平坦部A及び湾曲部Bが備えられている。封口板204には、機械的な強度を維持する要請から硬質合成樹脂板が用いられ、その上面側周縁部に形成された凹部210に封止部材であるゴムリング212が取り付けられている。
【0004】
そして、外装ケース200の開口部202に挿入された封口板204には、その上面側に張り出させた外装ケース200の開口縁部214を内側に加締め、即ち、湾曲成形処理(カーリング処理)により、ゴムリング212に開口縁部214を食い込ませて外装ケース200の封口及び封止が行われてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、長円形の封口板204に対して長円形筒体である外装ケース200の開口縁部214に均等な加圧力で加締め処理を施すと、その湾曲部Bに比較して平坦部Aの強度が低いため、加締め状態が弱く、ゴムリング212の圧縮力が平坦部A側で低下する。即ち、平坦部A側と湾曲部B側とではゴムリング212に対する開口縁部214の食い込み量に差異が生じ、平坦部A側のゴムリング212に対する開口縁部214の食い込み量が少なくなるため、外装ケース200の開口縁部214の加締め状態が悪化する。
【0006】
周知のように、電解コンデンサでは、通電時、外装ケース200内にコンデンサ素子から発生するガスが充満し、その内圧上昇をもたらす。この内圧上昇は外装ケース200に膨れを生じさせ、封止強度が低い平坦部A側に気密不良を発生させる原因になる。換言すれば、外装ケース200における気密耐圧、即ち、封止強度は、外装ケース200の平坦部A側のゴムリング212の圧縮力に依存し、その圧縮力が小さいと、気密耐圧が低下することとなる。
【0007】
このような不都合を改善するため、加締め処理の加圧力を高めると、平坦部A側で加圧力が増大した分だけ、湾曲部Bでの加締力が過大となるため、ゴムリング212が損傷し、湾曲部B側の気密性を低下させる原因になる。また、加締め処理における加圧力を湾曲部Bと平坦部Aとで異ならせるような加締め制御は、容積の異なる多種の外装ケース200に対応することや、加圧力の部分制御は非常に厄介であり、現実的でない。
【0008】
そこで、本発明は、簡単な構造で封止強度を高めたコンデンサの封口構造を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のコンデンサの封口構造は、平坦部(A)と湾曲部(B)とからなる長円形筒体からなる外装ケース(2)の開口縁部(34)を封口部材(8)側に湾曲させて封止するコンデンサの封口構造であって、前記封口部材の少なくとも封止部(42)の前記平坦部側を前記湾曲部側より厚くして成ることを特徴とする。ここで、封口部材の封止部とは、封口部材と外装ケースの開口縁部とが接触ないし湾曲処理された外装ケースの開口縁部と密着する外装ケースの封止機能部分を指している。この封止部の平坦部側を湾曲部側より厚くすることで、外装ケースの開口縁部の加締め時、封止部材に対する開口縁部の食い込み量が湾曲部と平坦部とでほぼ同等となり、湾曲部及び平坦部に同等の封止強度を実現することができる。
【0010】
本発明のコンデンサの封口構造は、前記外装ケースと密着させる封止部材(14)と、この封止部材を取り付ける封口基体(12)とを備え、前記封止部材の前記平坦部側を前記湾曲部側より厚くして成ることを特徴とする。即ち、外装ケースを封口及び封止する封口部材は、硬質合成樹脂板等からなる封口基体と、外装ケースの開口縁部とを密着させる封止部材とから構成されている。そこで、本発明では、封止部材の平坦部側を湾曲部側より厚くすることで、封口部材の平坦部側を厚くしたものである。
【0011】
本発明のコンデンサの封口構造は、前記外装ケースと密着させる前記封止部材と、この封止部材を取り付ける前記封口基体とを備え、前記封口基体の前記平坦部側を前記湾曲部側より厚くして成ることを特徴とする。即ち、封口基体の平坦部側を湾曲部側より厚くすることで、封口部材の平坦部側を厚くしたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明及びその実施の形態を図面に示した実施例を参照して詳細に説明する。
【0014】
図1〜図3は本発明のコンデンサの封口構造の第1実施例を示し、図1の(A)は電解コンデンサの封止前の封口部材及び外装ケースの平面構造、図1の(B)は図1の(A)のIB−IB線断面、図2は図1の(A)のII−II線断面、図3は外装ケースの封止処理を示している。
【0015】
このコンデンサの封口構造には、例えば、アルミニウム等の成形性金属材料で形成された外装ケース2が用いられ、この外装ケース2は、長円形柱体に形成されたコンデンサ素子4を内蔵するため、対向面を平坦部A及び湾曲部Bからなる長円形の開口部6を持つ有底長円形筒体である。この外装ケース2の開口部6を封口する手段として封口部材8が用いられ、この封口部材8は、外装ケース2に挿入されるとともに、外装ケース2の中間部に設けられた係止段部10に係止されている。
【0016】
そして、この封口部材8は、外装ケース2の開口部6の形状に合致する平坦部Aと湾曲部Bとからなる長円形状であって、硬質合成樹脂板等の気密性のある補強部材等で形成された封口基体12と、封止手段としてのゴムリング等の気密性弾性材料等で形成された封止部材14とを接合したものである。
【0017】
封口部材8の中心部には、外装ケース2に充満するガスを放出させる手段として安全弁16が設けられ、この安全弁16を挟んで陽極側及び陰極側の端子18、20が取り付けられ、外装ケース2の内面側に突出させた各端子18、20のリベット部22、24にはコンデンサ素子4から引き出された陽極側及び陰極側の各タブ26、28が同極同士でリベット部22、24の加締めによって接続されている。
【0018】
そして、封口基体12の周縁部にはこの実施例の場合、平坦部A側を平行、湾曲部B側を同心円状に形成された段部30が設けられ、この段部30に沿って環状の封止部材14が取り付けられている。この封止部材14の平坦部A側は湾曲部B側より厚く設定され、この実施例の場合、湾曲部B側から平坦部A側に緩やかに傾斜して厚みが増加するように形成されているとともに、平坦部A側は同一の厚さに設定される。段部30の上面には、断面山形の係止部32が突出し、この係止部32上に弾性を有する封止部材14が係止されている。
【0019】
このように構成された封口部材8が挿入された外装ケース2の開口縁部34の加締めには、図3に示すように、湾曲した成形面36を備えた加締めゴマ38が用いられ、この加締めゴマ38には、その軸40に取り付けられた図示しない回転手段から所定の回転力Nとともに、加圧力Fが付与される。即ち、加締めゴマ38を回転させながら、その成形面36が外装ケース2の開口縁部34に押し付けられると、外装ケース2の素材が成形性により成形面36に沿って湾曲し、開口縁部34が封止部材14を巻き込みながら封止部材14内に食い込むことで封止が行われ、封止部42が形成される。このとき、封口部材8は、外装ケース2の内側に押さえ付けられる結果、外装ケース2の開口縁部34と係止段部10との間に強固に挟み込まれて固定される。
【0020】
そして、封口部材8の平坦部A側が湾曲部B側より厚くされているので、外装ケース2の平坦部A側の加締めは湾曲部B側と同様に行われ、封止部材8の平坦部A側の圧縮状態は湾曲部B側と同様になる。即ち、平坦部A側の封止部42の封止強度が湾曲部B側と同等になり、封止された外装ケース2の気密耐圧を向上させることができる。
【0021】
次に、図4は、本発明のコンデンサの封口構造の第2実施例を示している。第1実施例では、封口基体12の段部30側の厚みを一定にしたが、この第2実施例では、段部30側又は封口基体12の平坦部A側の厚みを湾曲部Bより厚くし、この封口基体12に一定の厚みを持つ封止部材14を取り付けたものである。このように構成しても、封口部材8の平坦部A側を湾曲部B側より厚くでき、第1実施例と同様に平坦部A側の封止部材14の封止強度を高め、外装ケース2の気密耐圧を向上させることができる。
【0022】
そして、第1実施例又は第2実施例の外装ケース2において、図5に示すように、加締め前に平坦部A側の開口縁部34を内側に傾斜させ、又は、図6に示すように、加締め前に平坦部A側の開口縁部34を内側に湾曲させる等、変形させてもよい。図5において、44は傾斜部、図6において、46は湾曲部である。このように、加締め前に外装ケース2の開口縁部34側を傾斜部44や湾曲部46の形成により変形させておけば、加締め時、外装ケース2の平坦部Aに加わる応力を軽減させることができ、加締め処理の容易化とともに、成形性を高めることができる。
【0023】
なお、実施例では、封口部材8の封止部42の厚みを選択的に厚く設定したが、このような封止部42を含んで封口部材8の全体を平坦部A側で厚く設定しても同様の効果が得られるものであり、本発明は実施例の外装ケース2の封口構造に限定されるものではない。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次の効果が得られる。
a 封口部材の封止部の平坦部側を湾曲部側より厚くするという極めて簡単な構造によって外装ケースの開口縁部の加締め時、封止部材に対する開口縁部の食い込み量が湾曲部と平坦部とでほぼ同等となり、湾曲部及び平坦部に同等の封止強度を実現でき、外装ケースの気密耐圧を向上させることができる結果、コンデンサの信頼性及び寿命特性を高めることができる。
b 封止部材にゴムリングを用いて平坦部及び湾曲部が同等の圧縮状態を得ることができ、気密耐圧を向上させることができる。
c 平坦部側の開口縁部を封止処理前に内側に変形させた外装ケースを用いれば、加締め時の湾曲変形が容易化し、過大な応力から封口部材の平坦部側を防護できるので、外装ケースの平坦部側の封止強度の低下を防止でき、コンデンサの信頼性及び寿命特性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のコンデンサの封口構造の第1実施例を示し、(A)は外装ケースの加締め前の状態を示す平面図、(B)はそのIB−IB線断面図である。
【図2】図1の(A)のII−II線断面図である。
【図3】外装ケースの加締め処理を示す断面図である。
【図4】本発明のコンデンサの封口構造の第2実施例を示す縦断面図である。
【図5】外装ケースの加締め前の処理の一例を示す断面図である。
【図6】外装ケースの加締め前の処理の他の例を示す断面図である。
【図7】電解コンデンサを示す斜視図である。
【図8】外装ケースの加締め前の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
2 外装ケース
A 平坦部
B 湾曲部
8 封口部材
12 封口基体
14 封止部材
34 開口縁部
42 封止部
Claims (3)
- 平坦部と湾曲部とからなる長円形筒体からなる外装ケースの開口縁部を封口部材側に湾曲させて封止するコンデンサの封口構造であって、
前記封口部材の少なくとも封止部の前記平坦部側を前記湾曲部側より厚くして成ることを特徴とするコンデンサの封口構造。 - 前記外装ケースと密着させる封止部材と、この封止部材を取り付ける封口基体とを備え、前記封止部材の前記平坦部側を前記湾曲部側より厚くして成ることを特徴とする請求項1記載のコンデンサの封口構造。
- 前記外装ケースと密着させる前記封止部材と、この封止部材を取り付ける封口基体とを備え、前記封口基体の前記平坦部側を前記湾曲部側より厚くして成ることを特徴とする請求項1記載のコンデンサの封口構造。
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