JP4650599B2 - 電解コンデンサ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
この発明は、有底筒状からなり、対向する平面部と、この平面部に連続した湾曲部とを備えた電解コンデンサ、すなわち断面形状が長円形の外装ケースを用いた電解コンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、偏平型の電解コンデンサが使用されているが、この電解コンデンサは、たとえば、図6に示すように、楕円形あるいは長円形に形成されたコンデンサ素子2などを用いて構成され、そのコンデンサ素子2の形状に合わせて形成された金属性の外装ケース4にコンデンサ素子2とともに封口部材6を挿入して、その開口部を封口する。封口部材6には、コンデンサ素子2の端面から引き出された棒状のリード8を貫通させ、かつ、保持するための透孔10が形成される。そして、封口部材6は、外装ケース4の封口に先立って、コンデンサ素子2の端面部にリード8を貫通させて固定しておく。
【0003】
このような平面部と湾曲部とを備えた長円形の外装ケース4を加締め加工する場合、平面部と湾曲部とでは当然に曲率半径が異なるので、回転式の成形体を押し付けて成形圧力を加えても、その形状から成形力を均等に加えることが不可能であり、必要な気密性を得るための成形状態が得られない。
【0004】
そのため、このような外装ケース4の封口について、長円形に形成された外装ケース4の開口縁部に合致する案内面を持ち、かつ、この案内面を延長して内側に湾曲させた成形面を備えた成型型を用いて、確実なる封口を実現した封口方法についての出願を行っている(特公平3−71764号)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特公平3−71764号に開示したような封口方法であっても、外装ケースの寸法や硬度によっては、なお充分な封口強度が得られない場合がある。すなわち、長円形の外装ケースの湾曲部では、加締め加工によって開口縁部が円弧状に変形し、湾曲部の内側面に応力が集中するため、開口縁部が伸長し、封口部材に充分に圧着することになるが、外装ケースの平面部においてはこのような現象が生じないため、外装ケースの外観形状の見かけ上の寸法は平面部、湾曲部とも均一になるものの、封口強度において不均一となってしまう。このような封口強度の不均一は、外装ケースの硬度が高い場合に特に生じやすい。
【0006】
この発明は、断面長円形などの平面部と湾曲部とからなる外装ケースの加締め加工をより容易かつ確実に行い、信頼性の高い封口状態を実現した電解コンデンサの提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による電解コンデンサは、有底筒状からなり、対向する平面部と、この平面部に連続した湾曲部とを備えた長円形の外装ケースにコンデンサ素子を収納するとともに、この外装ケースの開口部に封口部材を挿入し、外装ケースの開口縁部全周に加締め加工を施した電解コンデンサにおいて、外装ケースの平面部の開口部から底面部までの縦寸法を、外装ケースの湾曲部の開口部から底面部までの縦寸法より短く形成したことを特徴としている。
【0008】
この発明による電解コンデンサにおいて、前記の外装ケースは、底面部と平行する張り出し部を開口部付近の側面に備えていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
この発明において、コンデンサ素子2は、アルミニウム等からなる両極電極箔を、セパレータを介して巻回して形成している。封口部材6は、ゴムなどの弾性力を備え、気密性を保持可能な材料からなるものや、弾性ゴムと合成樹脂板とを積層したもののほか、合成樹脂板の外周部に弾性ゴム等からなるOリングを嵌め込んだものなどを使用することができる。また、封口部材6には、中央部付近にコンデンサ素子から導出したリード端子を貫通する透孔が形成されたものや、外部接続用端子を固着したものなどを使用することができる。
【0012】
外装ケース4は、アルミニウム、またはアルミニウム、マンガンなどのアルミニウム合金からなり、対向する平面部41と、この平面部41に連続した湾曲部42とを備えた長円形に形成された有底筒状の外装ケースを用いている。
【0013】
この発明による電解コンデンサは、外装ケース4の平面部41の開口部から底面部までの縦寸法を、外装ケース4の湾曲部42の開口部から底面部までの縦寸法より短く形成することで、平面部41と湾曲部42とにおける封口部材への封口強度(密着性)を均一にしている。また、外装ケース4の開口部付近の側面に備えた、底面部と平行する張り出し部50により、開口部における強度を向上させることができる。
【0015】
【実施例】
図1ないし図5にこの発明の実施例を示す。図1に示すように、外装ケース4はアルミニウムなどの金属によって断面長円形に成形加工されている。即ち、外装ケース4は、平面状に平行またはほぼ平行に対向する一対の平面部41と湾曲部42とから形成され、断面長円形をなしている。そして、開口部付近の側面部には、金属ケース4の底面部とほぼ平行に張り出し部50が形成されている。
【0016】
そして、この外装ケース4に、図2に示すように、コンデンサ素子2とともに封口部材6を挿入する。封口部材6はゴムなどの弾性力を備え、気密性を保持可能な材料で構成されており、その形状は外装ケース4の開口形状に合致している。この封口部材6には、そのほぼ中央部付近にリード端子用の2つの透孔が形成され、コンデンサ素子2から引き出されたリード端子8を貫通させ、封口部材6の外面部にそのリード端子8を突出させておく。
【0017】
このように封口部材6が装着された外装ケース4を、張り出し部50において嵌合するように、保持型12に固定保持させる
【0018】
次に、第1の成型型14を矢印aの方向から押しつけ、図3に示すように封口処理を行う。第1の成型型14には、テーパ面からなる第1の案内面16が形成されるとともに、この案内面16に連続して第2の案内面18が形成され、また、この案内面18に連続して成形面20が形成されて、その中央には、リード8を逃がすための透孔22が形成されている。すなわち、第1の案内面16は外装ケース4の開口形状より大きく、上方に行くに従って狭まる形態を成し、第2の案内面18は、外装ケース4の開口形状に合致する形状とする。そして、成形面20は、案内面18から延長されて外装ケース4に所望の加締め形状を得るために、たとえば、湾曲面を成している。図2は、第1の成型型14の案内面16、18および成形面20の平面形状を示す。なお、成形面20の曲率半径をL/2とし、その深さDを(L/2)±αとすると、αは封口部材6の形状に対応して補正し、最適値を設定するものとする。
【0019】
このような第1の成型型14を外装ケース4の開口部に押し付けると、外装ケース4の開口部は、案内面16、18によって案内されて成形面20に臨み、加圧力に従って成形面20の形状に沿って湾曲し、開口部の加締め加工が行われ、図3に示すように、外装ケース4の開口部が成形される。その場合、外装ケース4の開口部には、平面部41から湾曲部42に至る部分、即ち、曲率の小さい部分の4箇所に切欠部11が形成されているので、その切欠部11に加締め応力が集中し、その部分から加締め成形が進み、全体に波及するため、加締め加工が容易に行われて、図3に示すように、長円形の外装ケース4が第1の成型型14の成形面20に沿って見かけの寸法上ほぼ均等に成形される。
【0020】
次いで、図4、図5に示すように、第1の成型型14で封口された外装ケース4を、保持型12に固定保持したまま、第2の成型型15で矢印bの方向から押しつけ、ふたたび封口処理を行う。このとき、第2の成型型15は、外装ケース4の開口部のうち平面部41の幅に相当する寸法を備えており、平面部41のみを加圧することになる。この実施例においては、外装ケース4の平面部41の開口部から底面部までの縦寸法を、外装ケース4の湾曲部の開口部から底面部までの縦寸法より0.2mmから1.0mm程度短く形成した。
【0021】
このように外装ケース4の開口部を、開口縁部全周に加締め加工を施した後、ふたたび加締め加工を施しているため、外装ケース4の平面部41は、湾曲部42と同様に、開口縁部が封口部材6に充分に圧着し、ほぼ均等な封口強度を得ることができる。
【0022】
なお、実施例では、封口部材6が装着された外装ケース4を、開口部付近に形成した張り出し部50において嵌合するように保持型12に固定保持させているが、このように、張り出し部50に加締め加工用の治具(保持型20)を配置することで加締め加工時における加圧力を、外装ケース4の開口部に集中させることができ、外装ケース4のほかの部位への不要な機械的ストレスを軽減できる。
【0023】
また、第1の成型型14に代えて、従来より用いられている回転式の成形体を押し付けて成型してもよい。この場合、第1の成型型14に比較して、外装ケースの湾曲部と平面部との封口強度の格差はより大きくなるため、第2の成型型15による外装ケースの平面部に限定した加締め加工がさらに有効となる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による電解コンデンサは、外装ケースの平面部の開口部から底面部までの縦寸法を、外装ケースの湾曲部の開口部から底面部までの縦寸法より短く形成することで、湾曲部と平面部における封口部材への密着性を均一にしている。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例による電解コンデンサを示す部分斜視図。
【図2】外装ケースの加締め前の断面図。
【図3】封口された電解コンデンサの開口部の示す断面図。
【図4】第2の成型型による加締め加工を示す断面図。
【図5】第2の成型型による加締め加工を、図4の直交方向から示す断面図。
【図6】長円形の電解コンデンサを示す部分斜視図。
【符号の説明】
2 コンデンサ素子
4 外装ケース
6 封口部材
14 第1の成型型
15 第2の成型型
41 平面部
42 湾曲部
50 張り出し部
Claims (2)
- 有底筒状からなり、対向する平面部と、この平面部に連続した湾曲部とを備えた長円形の外装ケースにコンデンサ素子を収納するとともに、この外装ケースの開口部に封口部材を挿入し、外装ケースの開口縁部全周に加締め加工を施した電解コンデンサにおいて、外装ケースの平面部の開口部から底面部までの縦寸法を、外装ケースの湾曲部の開口部から底面部までの縦寸法より短く形成した電解コンデンサ。
- 前記外装ケースが、底面部と平行する張り出し部を外装ケースの開口部付近の側面に備えた請求項1記載の電解コンデンサ。
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