JP4746201B2 - グリル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はグリル庫内を照明可能としたグリルに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来からグリル庫内で魚等を加熱するグリルにおいて、グリル庫内を照明する照明装置を備えたものが考えられている。例えば、特開平11−155740号公報には、図9に示すように、ブンゼン式のグリルバーナ102の火炎形成位置に照明用部材としてセラミック棒113を設けたものが開示されている。このグリルでは、グリルバーナ102の火炎により、セラミック棒113が1000〜1100℃程度に赤熱され、図9に示すように温度放射による赤色の光を発生して被調理物Fを照明する。従って、電源を用いることなくグリル庫内の照明が可能となり、グリル扉を開けなくても覗き窓から焼き色等の調理状態を確認することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近では、燃焼排ガスをグリル庫内に一時的にこもらせて、その燃焼排ガスの滞留による高温熱気で被調理物を加熱調理するタイプのグリルが普及してきている。このようなグリルにおいては、セラミックス製の燃焼プレート上で表面燃焼するような全一次空気式バーナが、グリル庫内で二次空気を必要としないために、特に適したものとなっている。
しかしながら、全一次空気式バーナの火炎温度は、ブンゼン式バーナなどと比べると温度が低いので、上述したようにして取り付けたセラミック棒が十分に赤熱されず、グリル庫内を照明するのに必要な光量が得られないという問題があった。
本発明のグリルは上記課題を解決し、セラミックス製の燃焼プレート上で表面燃焼させる全一次空気式バーナを備えたグリルにおいても、グリル庫内での照明効果を十分に得ることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明の請求項1記載のグリルは、
ガスこんろに内蔵されたグリル庫の壁面に、面方向をグリル庫内部に向けて取り付けられるセラミックス製の燃焼プレートを有し、当該燃焼プレート上で表面燃焼させる全一次空気式のバーナと、
調理中のグリル庫内の様子を確認するための覗き窓、
とを備えたグリルにおいて、
上記全一次空気式のバーナの燃焼プレートは、グリル庫の奥―手前方向に沿って長尺に、グリル庫の奥―手前方向に直交する方向に短尺に形成されて被調理物を載置する焼網よりも上方位置に取り付けられ、
この燃焼プレートの燃焼面の正面には、金属細線が燃焼プレートの短尺方向に対する一端と他端との間を繰り返し複数回横切りながら長尺方向に向けて張設され、
該金属細線を該燃焼プレート上に形成される火炎であぶり赤熱させることによりグリル庫内を照明することを要旨とする。
【0005】
また、本発明の請求項2記載のグリルは、上記請求項1記載のグリルにおいて、
上記金属細線は、上記燃焼プレートの燃焼面の正面に、格子状に張設されることを要旨とする。
【0006】
また、本発明の請求項3記載のグリルは、上記請求項1記載のグリルにおいて、
上記金属細線は、上記燃焼プレートの燃焼面の正面に、所定間隔をあけて複数回蛇行してジグザグ状に張設されることを要旨とする。
【0007】
また、本発明の請求項4記載のグリルは、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリルにおいて、
上記バーナを上記グリル庫内へ取り付けるためのバーナ取付板に、上記金属細線を張設するための引掛片を一体形成したことを要旨とする。
【0008】
また、本発明の請求項5記載のグリルは、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載のグリルにおいて、
上記金属細線は、電熱用金属線であることを要旨とする。
【0009】
上記構成を有する本発明の請求項1記載のグリルは、セラミックス製の燃焼プレート上で表面燃焼させる全一次空気式バーナの燃焼面の正面に熱容量が非常に小さい金属細線が張設されているため、燃焼プレート上に形成される火炎により金属細線が良好に赤熱されて温度放射による赤色の光を発生させるので、グリル庫内の被調理物を照明することができる。
【0010】
また、本発明の請求項2又は請求項3記載のグリルは、燃焼プレートの燃焼面の正面に、金属細線を格子状に、あるいは所定間隔をあけて複数回蛇行してジグザグ状に張設することで、発光面積を大きくして、全体を効率良く加熱することができるので、照明を明るくできる。
【0011】
また、本発明の請求項4記載のグリルは、バーナ取付板に金属細線を張設するための引掛片を一体形成することにより、金属細線と燃焼プレートとの離隔を良好に設定しながら、金属細線を容易に張設することができる。しかも、金属細線を張設するための部材を別個に作製する必要がないので、安価に実施することができる。
【0012】
また、本発明の請求項5記載のグリルは、金属細線として非常に熱伝導性が良好な電熱用金属線を用いることにより、照明を明るくすることができ、さらに、電熱用金属線は、熱伝達速度が速いのですばやく赤熱され十分な照明効果が得られるまでの時間を短くできる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明のグリルの好適な実施形態について図1〜図8を用いて説明する。
【0014】
グリルバーナ2は、図2及び図3に示すように、中空のバーナ本体3と、バーナ本体3に装着される多数の炎口が設けられたセラミックス製の燃焼プレート4とを備える。尚、炎口は、実際には燃焼プレート4の全面にわたって形成されているが、図においては燃焼プレート4の中間部の炎口は省略してある。図3は、図2中の一点鎖線A−Aでの断面図である。バーナ本体3には、燃焼プレート4が装着される長方形状の中空部5と、燃料ガスと一次空気とを混合させるための混合管6とが形成され、混合管6の基端には、燃料ガスと一次空気とが吸入される吸入孔7が開口している。このグリルバーナ2では、吸入孔7から吸入された一次空気と燃料ガスが混合管6内で良好に混合され、その混合気が燃焼プレート4の炎口から噴出して、燃焼プレート4上で表面燃焼する。
【0015】
図4に示すように、グリルバーナ2は、中空部5のまわりに設けられたフランジ部26でバーナ取付板8(後述)と重ねられてバーナ組立を形成する。このバーナ組立は、グリル庫16の側壁27に開口された挿入孔28にグリル庫16の外側から燃焼プレート4の燃焼面をグリル庫16内に露出するようにして挿入され、ビス29で固定されて設置される構成である。
【0016】
次に、バーナ取付板8について図5〜図7を用いて説明する。図6は、図5中の一点鎖線B−Bでの断面図である。バーナ取付板8には、燃焼プレート4の上面をはめ込むための嵌込穴9が開口され、その周りには枠板10が折り曲げ形成される。嵌込穴9の長手方向の枠板10には、図7に示すように、複数の突起11が並んで設けられる。尚、図7は、図5中の嵌込穴9の長手方向の枠板10をC側面から見た矢視図である。また、枠板10には、突起11の配列の途中に、内側に折り曲げられた止板12が複数形成される。この止板12は、燃焼プレート4が嵌込枠9内に突出する限界位置を決めるためものである。すなわち、燃焼プレート4は、この止板12よりも外側に突出することはない。
この突起11には、照明用部材として細いワイヤー状の電熱用金属線13(例えば、シルバー鋼機(株)の商品名 SILVER No.30(材質:Cr;23〜26%、Al;4〜6%、Fe;残量、 直径:0.32mm))が引っ掛けて取り付けられる。
ここで電熱用金属線13(以下、金属細線13と呼ぶ)の取り付け方について図5を用いて説明する。
まず、金属細線13の一端をバーナ取付板8に設けられた始爪14に数回巻いて結線する。次に、金属細線13を枠板10の突起11に図5に示す番号順に引っ掛けて、燃焼プレート4の燃焼面の正面を横切るようにして格子状に張設し、終爪15に数回巻いて結線することによって取り付け完了する。この場合、止板12は、突起11の金属細線引掛け位置Xよりもわずかに(好ましくは、1〜2mm程度)下方に形成されているために、図4に示すように、金属細線13を燃焼プレート4の燃焼面に非接触で極近傍に簡単に張設することができる。しかも、燃焼プレート4の表面と金属細線13との離隔を正確に位置決めできる。
【0017】
次に、このグリルバーナ2を備えたグリル1について説明する。図1にグリル1を側面から見た断面説明図を示す。グリル庫16内の中段には、魚等の被調理物Fを載せる焼網17が、下段には焼網17を載せたまま手前にスライドさせて引き出すことができる受皿18がそれぞれ設けられる。グリル庫16の前面には、受皿18の引き出し/収納動作に連動して開閉するグリル扉19が設けられており、このグリル扉19の中央には透明なガラスにより覗き窓20が形成されて、調理中のグリル庫16内の状態を確認することができるようになっている。グリル庫16の奥には、仕切壁21を介してグリル庫16に並設され、上方に排気口22を開口する排気室23が設けられ、この仕切壁21に、グリル庫16と排気室23とを連通させる連通口24が、焼網17に載置される被調理物Fより低い位置で設けられる。
そして、グリル庫16の左右側面上方には、金属細線13の張設されたグリルバーナ2が、その燃焼プレート4の燃焼面をグリル庫16内に臨ませて設けられる。尚、グリル庫16の天井部となるグリル天板25は、正面から見てV字形状に形成され、中央が下がっている。
【0018】
上述した構成のグリル1においては、点火操作を行うと、図示しないガスノズルから吸入孔7を介して、バーナ本体3の混合管6へ燃料ガスが噴出され、その噴出に伴い吸入孔7から燃焼に必要な全ての一次空気が取り込まれる。こうして、混合管6で一次空気と混合された燃料ガスは、バーナ本体3の中空部5から燃焼プレート4の炎口を通って燃焼プレート4の前面に噴出し、図示しない点火用電極によって着火され、燃焼プレート4上で表面燃焼する。
【0019】
燃焼が開始すると、高温の燃焼排ガスは一旦グリル庫16上部に溜まり、下方の連通口24へあふれて排気室23へ流入し、ドラフト効果により排気室23内を上昇して排気口22から外部へ排出される。従って、グリル庫16の上部に溜まった高温の燃焼排ガスにより被調理物Fを加熱するため、熱エネルギーを有効に利用できガス消費量が少なく省エネとなる。また、グリルバーナ2から遠いために輻射熱による受熱が少ない中央部分に載置された被調理物Fにも、燃焼ガスの対流により加熱が補われ、被調理物F全体がより均一に焼ける。しかも、グリル天板25がV字状に形成されているため、燃焼ガスを一層効果的に中央部分に集めることができ、より均一に加熱できる。
【0020】
グリルバーナ2の燃焼時には、燃焼プレート4の表面に形成された火炎により金属細線13が赤熱され、温度放射による赤色の光を発生して被調理物Fを照明する。従って、グリル扉19の覗き窓20から調理状態を確認しやすくすることができる。
そして、このようなグリル1では、照明用部材として線径の細い金属細線13を用いて熱容量を非常に小さくし、かつ、燃焼面の極近傍に張設することにより、火炎温度が低い上述したような全一次空気式バーナの火炎によっても金属細線13は十分に赤熱し、グリル庫16内を覗き窓20を通して視認するのに十分な照明効果が得ることができる。さらに、金属細線13は、電熱用金属線であるから、熱伝導性が非常に良好なものであるためにより照明を明るくすることができ、熱伝達速度が速いので、すばやく赤熱し十分な照明効果が得られるまでの時間が短くてすむ。しかも、燃焼面の正面に金属細線13を張設するだけの簡単な構成であると共に従来の照明用部材である破損しやすいセラミック棒と比べて、金属細線13は、扱いやすく加工しやすいため、このようなグリル1を製造する工程が複雑化せず生産コストを抑えることができる。
【0021】
また、グリルバーナ2を取り付けて固定するためのバーナ取付板8に、金属細線13を張設する突起11を一体形成することにより、金属細線13と燃焼プレート4との離隔を良好に設定しながら、金属細線13を容易に張設することができる。尚、この離隔は、テスト結果によれば、特に1〜2mmに設定すると良好な照度が得られる。さらに、金属細線13は、変形自在なものであるから突起11に引掛けていくことにより、燃焼プレート4の正面に自由にレイアウトして張設することが可能である。しかも、張設するための部材を別個に作製する必要もないので、安価に実施することができる。
また、金属細線13を燃焼プレート4の正面に格子状に張設することにより、発光面積を大きくして照明を明るくすることができる。
【0022】
以上本発明の実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
例えば、本実施形態では、金属細線13を燃焼プレート4の燃焼面の正面に、格子状に張設しているが、図8に示すように、所定間隔をあけて複数回蛇行してジグザグ状に張設しても構わない。要するに、金属細線は、燃焼プレート4の燃焼面の正面に張設されていれば良いのである。
また、金属細線13は、一本の素線に限らず、複数の素線をよりあわせた形態としたり、ワイヤーに限らず細径の金属棒を複数張設させたりしても差し支えない。また、張設範囲も上記形態に限定するものではなく、燃焼に影響がなければ複数範囲に張設したり、燃焼面全面に張設したりすることもできる。
また、金属細線13は、電熱用でなくてもかまわなく、赤熱可能な金属細線であればよい。
【0023】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明の請求項1記載のグリルによれば、照明用部材として線径の細い金属細線を用いて熱容量を非常に小さくし、かつ、燃焼面の極近傍に張設することにより、セラミックス製の燃焼プレート上で表面燃焼させる火炎温度が低い全一次空気式バーナにおいても良好に赤熱して、十分な照明効果が得られる。しかも、金属細線は、例えば、破損しやすい従来のセラミックス製の照明用部材などと比べて加工がしやすいので、このようなグリルを製造する工程が複雑化せず生産コストを抑えることができる。
【0024】
更に、本発明の請求項2又は請求項3記載のグリルによれば、発光面積を広くすることができるため、照明を明るくしてグリル庫内の視認性を向上させることができる。
【0025】
更に、本発明の請求項4記載のグリルによれば、バーナ取付板に金属細線を張設するための引掛片を一体形成することにより、金属細線と燃焼プレートとの離隔を良好に設定しながら、金属細線を容易に張設することができる。しかも、金属細線を張設するための部材を別個に作製する必要がないので、安価に実施することができる。
【0026】
更に、本発明の請求項5記載のグリルによれば、金属細線として、熱伝導性が非常に良好な電熱用金属線を用いることにより、照明を明るくすることができ、しかも、電熱用金属線は、熱伝達速度が速いので十分な照明効果が得られるまでの時間を短かくできて使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態としてのグリルを側面から見た断面説明図である。
【図2】グリルバーナの正面図である。
【図3】グリルバーナを上面から見た断面図である。
【図4】バーナ組立のグリル庫への取り付け方を示す断面説明図である。
【図5】バーナ取付板の正面図である。
【図6】バーナ取付板を側面から見た断面図である。
【図7】バーナ取付板の一部分を拡大した図である。
【図8】別の実施形態としてのグリルを側面から見た断面説明図である。
【図9】従来例としてのグリルの照明状態を表す説明図である。
【符号の説明】
2…グリルバーナ、3…バーナ本体、4…燃焼プレート、13…金属細線、16…グリル庫、20…覗き窓、F…被調理物。
Claims (5)
- ガスこんろに内蔵されたグリル庫の壁面に、面方向をグリル庫内部に向けて取り付けられるセラミックス製の燃焼プレートを有し、当該燃焼プレート上で表面燃焼させる全一次空気式のバーナと、
調理中のグリル庫内の様子を確認するための覗き窓、
とを備えたグリルにおいて、
上記全一次空気式のバーナの燃焼プレートは、グリル庫の奥―手前方向に沿って長尺に、グリル庫の奥―手前方向に直交する方向に短尺に形成されて被調理物を載置する焼網よりも上方位置に取り付けられ、
この燃焼プレートの燃焼面の正面には、金属細線が燃焼プレートの短尺方向に対する一端と他端との間を繰り返し複数回横切りながら長尺方向に向けて張設され、
該金属細線を該燃焼プレート上に形成される火炎であぶり赤熱させることによりグリル庫内を照明することを特徴とするグリル。 - 上記金属細線は、上記燃焼プレートの燃焼面の正面に、格子状に張設されることを特徴とする請求項1記載のグリル。
- 上記金属細線は、上記燃焼プレートの燃焼面の正面に、所定間隔をあけて複数回蛇行してジグザグ状に張設されることを特徴とする請求項1記載のグリル。
- 上記バーナを上記グリル庫内へ取り付けるためのバーナ取付板に、上記金属細線を張設するための引掛片を一体形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のグリル。
- 上記金属細線は、電熱用金属線であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のグリル。
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- 2001-04-19 JP JP2001120455A patent/JP4746201B2/ja not_active Expired - Fee Related
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