JP4746171B2 - 人工乳首 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば乳幼児等が授乳等に際し、利用する人工乳首に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の人工乳首は、例えば哺乳瓶等に取り付けられ、乳幼児等がこの哺乳瓶等に収容されたミルク等を飲むために用いられている。このような人工乳首、例えば図14に示すように構成されている。図14は人工乳首10の断面図である。すなわち、人工乳首10は、シリコンゴムで形成され、その内部にミルク等が哺乳瓶等から流入する部分である中空部Aを有している。そして、このシリコンゴムの部分は、乳首胴部11と、乳頭部12等から形成されている。
この乳首胴部11は、上記哺乳瓶等に取り付けられるためのベース部11aと母親の乳房の一部に相当する乳首胴部本体11bとを有している。この乳頭部12には、ミルク等が噴出する開口12aが備えられている。このような人工乳首10が、図示しない哺乳瓶等に取り付けられ、この哺乳瓶に収容されたミルク等をこの人工乳首10を介して飲むことになる。
図15は、乳幼児20が上記人工乳首10を使用して、図示しない哺乳瓶中のミルク等を飲んでいる状態を示す図である。図示するように、乳幼児20は、自己の舌23の蠕動運動によって、人工乳首10の乳頭部12を、自己の硬口蓋21にある哺乳窩22に対して押しつけることになる。このとき、これら軟口蓋24、舌23及び乳頭部12によって形成される閉空間Bは、喉頭蓋26近傍の空間Cと比べ圧力が高くなっている。
【0003】
したがって、図15の舌23が蠕動運動を行い、舌23と軟口蓋24との当接が解除されると、圧力が高くなっている部分の空間Bとその他の空間Cとの圧力の差により、上記人工乳首10内のミルク等が乳頭部12の開口12aより噴出し、喉頭蓋26方向に導かれることになる。
このように口腔内に圧力を発生させることにより、乳幼児20は人工乳首10に接続されている哺乳瓶中のミルク等を飲むことになる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、近年、乳幼児20がミルク等を飲む際に、乳幼児20の口腔内でどのような動作(哺乳運動)がなされているかについて、研究が行われた結果、以下のような事実が初めて明らかになった。
すなわち、乳幼児20が、人工乳首10付き哺乳瓶中のミルク又は母親の母乳を飲む際に、これら人工乳首10又は母親の乳首が如何なる変形をするかについて、エコーで観察した。その結果、乳幼児20が、その舌23を蠕動運動させることで、母親の乳首のうち、人工乳首20の乳頭部12に相当する乳頭部及び乳輪部が伸長することがわかった。
これは、乳幼児20に人工乳首10付きのミルク入りの哺乳瓶と母親の母乳を与え、その哺乳運動中の人工乳首10と母親の乳首の伸長状態を計測することにより、判明したものである。
ところで、人工乳首10は、ミルク等入りの哺乳瓶等に取り付けて用いられ、母親の母乳の代わりに乳幼児に与えられるものであるため、人工乳首10は、母親の乳首に出来るだけ近似していることが望ましいが、上記の研究結果からは、従来の人工乳首10は、母親の乳首に近似していないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑み、母親の乳首により近似している人工乳首を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、本発明によれば、乳首胴部と、この乳首胴部から突出して形成されている乳頭部とを有する人工乳首であって、上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部の少なくとも一部に伸長する伸長部が備わっており、上記伸長部より剛性のある剛性部が設けられ、上記伸長部が上記剛性部の材質と異なる材質により形成されていることを特徴とする人工乳首により、達成される。
【0007】
上記構成によれば、乳幼児の口腔内で上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部の少なくとも一部が伸長し、この口腔内に、より効果的に圧力が高い部分を形成することができる。
【0009】
上記構成によれば、上記伸長部に隣接して、この伸長部より剛性のある剛性部が設けられているため、上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部が伸長しても、上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部全体の剛性が低下することがない。
上記構成によれば、上記構成によれば、上記伸長部が上記剛性部の材質と異なる材質により形成されているので、上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部が伸長しても、上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部全体の剛性が低下することをより防止することができる。
【0011】
上記構成によれば、上記伸長部と上記剛性部が交互に配置されているため、上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部が伸長しても、上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部全体の剛性が低下することをより防止することができる。
【0013】
上記構成によれば、上記シリコンゴムが比較的薄い上記伸長部が伸長し、このシリコンゴムが比較的厚い上記剛性部において剛性が高まるため、剛性が低下することなく、上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部全体が伸長することになる。
上記構成によれば、人工乳首の最も潰れ難い部分に、上記伸長部を設けることにより、人工乳首全体の剛性が低下することを防止することができる。
【0014】
また、好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1の構成において、上記伸長部と上記剛性部との境界部がなだらかに形成されている人工乳首である。
【0015】
上記構成によれば、上記伸長部と上記剛性部との境界部がなだらかに形成されているので、上記伸長部が伸長しても、この伸長部の剛性が低下するのを、より防止することができる。
【0016】
そして、好ましくは、請求項の発明によれば、請求項1又は請求項2の構成において、上記シリコンゴムの厚みが、上記伸長部から上記剛性部にかけて漸次薄くなるように形成されている人工乳首である。
【0017】
上記構成によれば、上記シリコンゴムの厚みが、上記伸長部から上記剛性部にかけて漸次薄くなるように形成されているので、上記伸長部が伸長しても、この伸長部において、シリコンゴムの剛性が低下するのを、より防止することができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好適な実施形態を図1乃至図8を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる人工乳首100を示す断面図である。図示するように、人工乳首100は、母親の乳房に相当する略お碗状の乳首胴部110と、それに連なって設けられている、母親の乳首に相当する乳頭部120とを有している。
また、この乳首胴部110の図において左側には、図示しない例えば哺乳瓶本体と接続するための鍔部であるベース部112が設けられている。このベース部112から径が縮径するように連続して形成されているのが乳首胴部本体111である。
また、上記乳頭部120の先端には開口121がもうけられている。この開口121は、人工乳首100の内部に設けられている空間Dと連通するようになっている。
この空間Dを形成している人工乳首100の斜線部分である壁面は、例えばシリコンゴム等で成っている。この人工乳首100が、上記のようにベース部112を介して例えばミルク等を収容している例えば哺乳瓶と接続されると、この哺乳瓶内部のミルクが哺乳瓶の瓶口を経て人工乳首100の空間Dに導かれることになる。
そして、人工乳首100の空間Dに導かれたミルクは、乳頭部120に設けられて上記開口121より、人工乳首100の外部に排出されるようになっている。
【0032】
この際、人工乳首100を例えば乳幼児の口腔内に挿入していれば、この排出されたミルクは、乳幼児に与えることができる構造となっている、このような人工乳首100は、母親が自己の母乳の代わりに、哺乳瓶等を用いて人工乳を乳幼児等に与える際に用いられるため、図1に示すように母親の乳房及び乳首に近似した形状となっている。
ところで、本実施の形態の人工乳首100の乳頭部120には、図1に示すように、伸長部である肉厚の薄い肉薄部122、122、122が例えば3箇所、環状に形成されている。そして、この肉薄部122、122、122の間には、これら肉薄部122、122、122と比べ、肉厚が比較的厚い剛性部である肉厚部123が隣接して、交互に形成されている。
具体的には、例えば図3に示すような寸法となっている。図3に示すように、人工乳首100の肉厚は、例えば2.56mmであり、この場合の肉薄部122、122、122は、この肉厚2.56mmに比べ1.00mm程度薄く形成されている。
また、乳頭部120の開口121から、最初の肉薄部122の端までが7.46mm、この肉薄部122から肉厚部123に変わる端までが9.46mm、さらに、次の肉薄部122の端までが11.46mm、この肉薄部122から肉厚部123に変わる端までが16.46mmとなっている。このように肉薄部122、122、122は、その幅を2.00mmとして、3箇所配置されており、これら3箇所の肉薄部122、122、122の間には、2.00mmの幅で肉厚部123、123が配置されている。これら肉厚部123、123は、他の人工乳首100の肉厚2.56mm(図3参照)より1.00mm程度厚く形成されている。
【0033】
本実施の形態にかかる人工乳首100は、以上のように構成されているが、以下のように使用等される。
先ず、人工乳首100は、例えばミルク等が収容された例えば哺乳瓶に取り付けられる。この哺乳瓶を母親が保持し、乳幼児の口腔内に人工乳首100を挿入することで、乳幼児にミルクを与えることになる。
図2は、母親等が人工乳首100を乳幼児200の口腔内に挿入し、乳幼児200が人工乳首100をくわえた状態を示す図である。図2において哺乳瓶等は省略され、人工乳首100のみが表されている。
人工乳首100が、乳幼児200にくわえられると、人工乳首100の乳頭部120の先端部は、乳幼児200の哺乳窩220の先端に当接され、乳幼児200の舌230によって人工乳首100は図において上方へ押しつけられることになる。すなわち、人工乳首100の図において上面部は、乳幼児200の哺乳窩220から硬口蓋210及び歯槽堤280から口唇270までの部分に押しつけられことになる。
【0034】
ところで、乳幼児200が、人工乳首100を介してミルク等を飲む際には、図4から図5に示されているような舌部の蠕動運動により哺乳運動を行うことになる。この図4及び図5は、乳幼児200が哺乳運動を行っている口腔内の状態を超音波断層撮影装置用いて撮影した連続画像を図示したものである。
図4(a)において、哺乳運動を行う乳幼児200には、哺乳窩220という窪みが存在する。この哺乳窩220は、乳幼児200が授乳のため哺乳運動をする期間だけ持っており、その後、成長すると無くなるものである。
母親の乳首は、乳幼児200の口腔内でこの哺乳窩220に入り込む。この状態で口腔内では乳幼児200の舌230が下から乳首に当たり、さらに舌230の側面がせりあがって、乳首を包むように密着することになる。
そして、図4(b)(c)に示すように、舌230の前方が盛り上がって、乳首を舌から押し、この動きは図5(a)乃至(c)に示すように、次第に舌230の後方へ波うつように移動していくことになる。
この過程で、舌230は前方から後方にかけて波うつように蠕動運動を行い、乳首は根元から先端に向けて絞られると共に、この乳首と舌230と上顎との間に閉空間Eが形成されることになる。
この図5(b)で示す、閉空間Eは、乳首等が伸びることにより、小さくなり、好ましくは、その閉空間Eが消滅するまで乳首等が伸びることになる。これにより、この閉空間Eは、より圧力が高まり、その後、舌230の蠕動運動により、この閉空間Eが開放されると、陰圧となり、母乳は、勢い良く乳幼児200の喉頭蓋260(図2参照)の方向へ噴出され、この噴出した母乳を飲み込むことで、哺乳運動が終了することになる。
【0035】
このように乳幼児200は、舌230の蠕動運動を行い、母親の乳首を伸ばし、上記閉空間Eの圧力を高め、その後の閉空間Eの開放時の陰圧を効果的に発生させるようにしている。このように陰圧を効果的に発生させることで、母乳の噴出をより促し、より効果的に母乳を飲もうとするものである。
本実施の形態にかかる人工乳首100においても、図2に示すように、その乳頭部120に肉薄部122、122、122(斜線部分)が3箇所設けられているため、上述の乳幼児200の舌230の蠕動運動によって、これら3箇所の薄肉部122、122、122が伸び、乳頭部120全体も乳幼児200の口腔内で伸びることになる。
この状態を示したのが図7である。図7に示すように、乳頭部120に設けられた肉薄部122、122、122(斜線部分)が、伸びることで、人工乳首100、舌230及び軟口蓋240等により形成される閉空間Eは、図2と比べ小さくなることになる。
これによって、より圧力が高くなった閉空間E(好ましくは、閉空間Eが消滅した状態となる)は、図6に示すように舌230の蠕動運動によって、開状態となる。このとき陰圧が生じ図6の矢印方向に人工乳首100内のミルクが噴出することになる。そして、このミルクの噴出量は、図7の閉空間Eの圧力が高ければ、その分、大きくなるため、本実施の形態のように乳頭部120の伸びることで、より高い圧力を閉空間Eに生じさせることができ、その開放により、より大量のミルクを人工乳首100から噴出させることができるものである。
【0036】
また、本実施の形態によれば、図1に示すように、人工乳首100の肉薄部122、122、122に隣接して、比較的肉厚な肉厚部123、123が設けられ、且つ、これら肉薄部122、122、122とこれら肉厚部123、123が交互に配置されている。この肉厚部123、123は、上述のように人工乳首100の肉厚2.56mmに比べ、1.00mm程度厚く形成されているため、乳幼児200が哺乳運動に際し、人工乳首100を口腔内で押圧しても、剛性が強い肉厚部123、123によって、剛性が弱い肉薄部122、122、122の剛性を補うことができるようになっている。
この状態を示したのが図8である。図8は、その(a)の矢印で示す方向から撮影した人工乳首100が、(b)及び(c)に示されている。図8(b)は、図6に示す舌230の蠕動運動の状態での人工乳首100の潰れ状態を表すものである。
図8(b)に示すように、人工乳首100は、舌230によって押圧されているにもかかわらず、特に歯槽堤280で隠れている部分では、全く潰れることなくその形状を保持している。
また、図8(c)は、図7に示す舌230の蠕動運動が開放された状態での人工乳首100の潰れ状態を表すものである。図示するように、人工乳首100は、潰れることなく、舌230によって包まれていることがわかる。
【0037】
したがって、本実施の形態の人工乳首100は、母親の乳首と同様に伸長し、これによって、ミルクの噴出量が大きくなるとともに、母親の乳首と同様に人工乳首100自体が潰れることなく、その剛性も維持させることもできる。
なお、本実施の形態では、人工乳首100をミルクを収容した哺乳瓶に適用した例を示したが、本発明にかかる人工乳首100は、これに限らず乳幼児200がジュース等の液状の飲料を哺乳瓶以外の容器で飲む際にも適用できることは、明らかである。
また、本実施の形態では、人工乳首100に肉薄部122、122、122を3ヵ所設けているが、これに限らず、肉薄部122を人工乳首100の1ヵ所に設けてもよい。さらに、この肉薄部122を人工乳首100に2カ所、又は4ヵ所以上設けても良いことは明らかである。
【0038】
図9は、本発明の第2の実施の形態に係る人工乳首300を示す概略断面図である。本実施の形態に係る人工乳首300の構成は、上述の第1の実施の形態に係る人工乳首100と略同様であるため、相違点を中心に、以下説明し、同様の構成は符号を付す等して、説明を省略する。
図9において、人工乳首300は、上述の第1の実施の形態と同様に、乳首胴部110、乳頭部120及び鍔部112を有している。しかし、第1の実施の形態においては、伸長部である肉薄部122が、乳頭部120にのみ設けられているのに対して、本実施の形態においては、図9に示すように、伸長部である肉薄部322は、乳頭部120のみならず乳首胴部110にも設けられている。
また、本実施の形態においては、第1の実施の形態と同様に、この肉薄部322に隣接して、剛性部である肉厚部323が設けられている。しかし、本実施の形態においては、第1の実施の形態と異なり肉薄部322と肉厚部323の境界部がなだらかに構成されている。すなわち、図9に示すように波形を形成している。
【0039】
このように、肉薄部322と肉厚部323の境界部がなだらかに、波形を形成することで、伸長する肉薄部322の剛性の低下をなだらかにすることができる。そして、乳幼児200が、人工乳首300をくわえて上述のように哺乳運動を開始した際、この人工乳首300が図9において横方向に圧力が加わっても、伸長する肉薄部322の剛性が部分的に著しく低下することがないため、人工乳首300がつぶれて乳幼児200の哺乳運動が困難になることがない。
また、本実施の形態においては、第1の実施の形態と異なり、肉薄部322が乳頭部120から乳首胴部110にかけて設けられているため、乳幼児200の哺乳運動の際、人工乳首300が、より均等に伸びることになる。また、第1の実施の形態の乳頭部120と比較すると、本実施の形態においては、乳頭部120が多少潰れた場合でも、それによって、ミルク等の流路が塞がれるのを防ぐことができる。
これにより、乳幼児200は、より円滑に、且つより適切にミルクを飲むことができることになる。
さらに、本実施の形態においては、図9に示すように、肉薄部322と肉厚部323の境界部がなだらかに、波形を形成しているため、シリコンゴムにより形成されている人工乳首300の製造に当たり金型から抜き易く、製造しやすくなる。
【0040】
図10は、本発明の第3の実施の形態に係る人工乳首400を示す概略断面図である。本実施の形態に係る人工乳首400の構成は、上述の第1の実施の形態に係る人工乳首100と略同様であるため、相違点を中心に、以下説明し、同様の構成は符号を付す等して、説明を省略する。
図10において、人工乳首400は、上述の第1の実施の形態と同様に、乳首胴部110、乳頭部120及び鍔部112を有している。しかし、本実施の形態においては、第1の実施の形態の乳頭部120及び乳首胴部110と比べ、乳頭部120及び乳首胴部110の肉厚が肉薄に形成されているため、この乳頭部120から乳首胴部110にかけて伸長部である肉薄部422が形成されている。
そして、図10に示すように、剛性部433が複数個、肉薄部422を形成する材料の内側に配置されている。
すなわち、図10において環状に配置されている剛性部423は、エラストマーにより形成されており、この剛性部423を覆うように配置されている肉薄部422が、第1の実施の形態と同様に、シリコンゴムにより形成されている。
このエラストマーは、シリコンゴムより硬度が高く、硬いため、乳幼児200が哺乳運動を行うと、人工乳首400のシリコンゴムで形成されている肉薄部422が、エラストマーで形成されている剛性部423より伸びることになる。
【0041】
この場合、肉薄部422の内側には、複数個、剛性部433であるエラストマーが設けられているため、乳幼児200の哺乳運動により、人工乳首400が図10において、縦方向につぶれ難くなることになる。このため、人工乳首400がつぶれて乳幼児200の乳哺乳運動が困難になるおそれがない。
また、本実施の形態においては、剛性部423が乳頭部120から乳首胴部110にかけて設けられているため、乳幼児200の哺乳運動の際、人工乳首400の乳首胴部110においても、剛性が担保されることになる。
さらに、この剛性部423は、エラストマーだけでなく、硬性シリコンとしてもよく、この場合は、肉薄部422を例えば軟性シリコンとする必要がある。
このようにシリコンの硬度に差を付けることで、肉薄部422と剛性部423を形成することができる。また、本実施の形態では、例えば3カ所、剛性部423を設けているが、これに限らず1カ所だけ剛性部423を設ける構成としてもよい。
【0042】
図11は、本発明の第4の実施の形態に係る人工乳首500を示す概略断面図である。本実施の形態に係る人工乳首500の構成は、上述の第1の実施の形態に係る人工乳首100と略同様であるため、相違点を中心に、以下説明し、同様の構成は符号を付す等して、説明を省略する。
図11において、人工乳首500は、上述の第1の実施の形態と同様に、乳首胴部110、乳頭部120及び鍔部112を有している。しかし、本実施の形態においては、図11に示すように、伸長部である肉薄部522が人工乳首500の乳頭部120及び乳首胴部110にかけて螺旋形状に形成されている点で、第1の実施の形態と異なる。
このように肉薄部522を螺旋形状に形成することで、乳幼児200の哺乳運動の際、人工乳首500がより伸び易くなる。また、この哺乳運動の際、図11の縦方向に、圧力が加わっても、人工乳首500の縦方向において、肉薄部522に対応する位置には必ず剛性部である肉厚部523が配置されているため、人工乳首500が潰れて、乳幼児200の哺乳運動が困難になることはない。
また、本実施の形態においては、図11に示すように、肉薄部522が螺旋形状に形成されているため、シリコンゴムにより形成されている人工乳首500の製造に当たり金型から抜き易くなり、製造し易くなる。
【0043】
図12(a)は、本発明の第5の実施の形態に係る人工乳首600を示す概略断面図である。本実施の形態に係る人工乳首600の構成は、上述の第1の実施の形態に係る人工乳首100と略同様であるため、相違点を中心に、以下説明し、同様の構成は符号を付す等して、説明を省略する。
図12(a)において、人工乳首600は、上述の第1の実施の形態と同様に、乳首胴部110、乳頭部120及び鍔部112を有している。しかし、本実施の形態においては、図12(a)に示すように、伸長部である肉薄部622が人工乳首600の乳首胴部110に複数の略菱形形状で形成されている点で、第1の実施の形態と異なる。
このように人工乳首600の乳首胴部110に肉薄部622が設けられていることにより、乳幼児200の哺乳運動の際、乳首胴部110が乳頭部120より伸展するため、より母親の乳房に近似した動作をする人工乳首600となる。
また、肉薄部622を略菱形形状に形成すると、この略菱形形状の性質から、その長手方向により伸展しやすくなる。すなわち、図12(a)において、略菱形形状は、横方向(矢印B)の方が、縦方向(矢印A)より長く形成されているため、哺乳運動に際し、横方向(矢印B)に伸び易くなる。
さらに、人工乳首600が伸長した際、肉薄部622が図12においてB方向に伸び、図においてA方向に潰れた菱形に変形することになる。このとき、肉薄部622に隣接して剛性部である肉厚部623が設けられているため、この菱形がよりA方向に潰れるを防ぐことになる。
したがって、より実際の乳房に近い動きをする人工乳首600であるため、乳幼児200がより円滑に哺乳運動をすることができることになる。
【0044】
なお、本実施の形態では、略菱形形状として説明したが、この略菱形形状に代えて、図12(b)に示すような略波線状としても同様の作用、効果を生じるものである。
【0045】
図13は、本発明の第6の実施の形態に係る人工乳首700を示す概略断面図である。本実施の形態に係る人工乳首700の構成は、上述の第1の実施の形態に係る人工乳首100と略同様であるため、相違点を中心に、以下説明し、同様の構成は符号を付す等して、説明を省略する。
図13において、人工乳首700は、上述の第1の実施の形態と同様に、乳首胴部110、乳頭部120及び鍔部112を有している。しかし、本実施の形態においては、図13に示すように、伸長部である肉薄部722が乳頭部120の先端部に設けられている。
このように肉薄部722を、乳頭部120の先端部に設けることによって、哺乳運動を行う乳幼児200に対してより適切にミルクが噴出することになる。すなわち、上述の哺乳運動における、図5(b)に示す段階、すなわち、図示する閉空間Eが開放され、人工乳首700からミルクが乳幼児200の口腔内に噴出される場合に、人工乳首700の先端部が伸びるため、より円滑にミルクが噴出することになる。
また、本実施の形態に係る人工乳首700は、乳頭部120の先端部以外は、剛性部である肉厚部723に成っているため、乳幼児200の哺乳運動によって、図13の縦方向に人工乳首700が潰れ難い構造となっている。
【0046】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、母親の乳首により近似している人工乳首を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる人工乳首を示す断面図である。
【図2】母親等が人工乳首を乳幼児の口腔内に挿入し、乳幼児が人工乳首をくわえた状態を示す図である。
【図3】人工乳首の一部の具体的な寸法を示す図である。
【図4】乳幼児が哺乳運動を行っている口腔内の状態を超音波断層撮影装置用いて撮影した連続画像を図示したものである。
【図5】乳幼児が哺乳運動を行っている口腔内の状態を超音波断層撮影装置用いて撮影した連続画像を図示したものである。
【図6】蠕動運動の開始時における乳幼児の口腔内の状態を示す図である。
【図7】人工乳首が乳幼児の口腔内で伸長した状態を示す図である。
【図8】哺乳運動中の人工乳首の状態を撮影した図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態にかかる人工乳首を示す断面図である。
【図10】本発明の第3の実施の形態にかかる人工乳首を示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態にかかる人工乳首を示す断面図である。
【図12】(a)本発明の第5の実施の形態にかかる人工乳首を示す断面図である。(b)(a)の他の形態を示す図である。
【図13】本発明の第6の実施の形態にかかる人工乳首を示す断面図である。
【図14】従来の人工乳首の断面図を表した図である。
【図15】乳幼児が従来の人工乳首を使用している状態を示す図である。
【符号の説明】
100、300、400、500、600、700・・・人工乳首
110・・・乳首胴部
111・・・乳首胴部本体
112・・・ベース部
120・・・乳頭部
121・・・開口
122、322、422、522、622、722・・・肉薄部
123、326、523、623、723・・・肉厚部
D・・・空間

Claims (3)

  1. 乳首胴部と、
    この乳首胴部から突出して形成されている乳頭部と、を有する人工乳首であって、
    上記乳頭部及び/又は上記乳首胴部の少なくとも一部に伸長する伸長部が備わっており、
    上記伸長部より剛性のある剛性部が設けられ、
    上記伸長部が上記剛性部の材質と異なる材質により形成されていることを特徴とする人工乳首。
  2. 上記伸長部と上記剛性部との境界部がなだらかに形成されていることを特徴とする請求項1に記載の人工乳首。
  3. 上記シリコンゴムの厚みが、上記伸長部から上記剛性部にかけて漸次薄くなるように形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の人工乳首。
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