JP4745605B2 - 走査光学装置及び画像形成装置 - Google Patents

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本発明は、光源手段から射出した光束を偏向器の回転軸に垂直な面に対し所定角度で偏向器に光束を入射して偏向させ、fθ特性を有した走査光学系により被走査面上を光走査する走査光学装置の走査同期を検知する同期検知光学系に関する。また、この走査光学装置を用いて画像情報を記録するようにした、例えば電子写真プロセスを有するレーザービームプリンターやデジタル複写機等の画像形成装置に好適なものである。
従来の技術(特許文献1、2、等)を、図9〜図11を用いて説明する。
図9はカラー画像をプリントする画像形成装置であり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して独立した像担持体(以下、感光ドラムと表記)を持つ。感光ドラムは導電体に感光層を塗布したもので、走査光学装置から出射されたレーザ光により静電潜像を形成する。21は図示しない画像読取装置もしくはパーソナルコンピュータ等から送られてきた画像情報に基づいてレーザ光を照射する走査光学装置、122は前記感光ドラムに摩擦帯電されたトナーで感光ドラム上にトナー像を形成する現像器、123は前記感光ドラム上のトナー像を転写用紙に搬送するための中間転写ベルト、124はトナー像を形成する用紙を格納する給紙カセット、125は用紙上に転写されたトナー像を熱により用紙に吸着させる定着器、126は定着された転写用紙を積載する排紙トレイ、127は感光ドラムに残ったトナーを清掃するクリーナーである。
画像形成は、走査光学装置から画像情報に基づいてレーザ発光した光を感光ドラム上に照射することで、帯電器により帯電された感光ドラムに静電潜像を形成する。その後現像器内で摩擦帯電されたトナーを前記静電潜像に付着させることで前記感光ドラム上にトナー像が形成される。前記トナー像は前記感光ドラム上から中間転写ベルト上に転写され、本体下部に設けられた給紙カセットから搬送された用紙にトナー像を再度転写することで画像が用紙に形成される。用紙上に転写された画像は定着器によりトナーを定着され、排紙トレー上に積載される。
図10は図9の画像形成部を示した図であり、左右対称形状であるため図中の記号は片側のみ示す。図中の走査光学装置は、画像情報に基づいて発光したレーザ光を偏向走査する回転多面鏡128(以下、ポリゴンミラー)、レーザ光を等速走査およびドラム上でスポット結像させるfθレンズ129、130、ビームを所定の方向へ反射する複数の折り返しミラー131a〜131d、走査光学装置を埃から保護するための防塵ガラス132を経て、レーザ光により感光ドラムへ静電潜像を形成する。
走査光学装置は、画像形成装置のコンパクト化に伴い、図10に示すように、1台のポリゴンモータユニットで4つの感光ドラムを走査露光する方式が使用されるようになってきた。この方式はポリゴンミラーのそれぞれ対向面に複数のレーザ光を照射する2つの走査グループを有している。各走査グループはポリゴンミラーの反射面に、上下に所定距離平行シフトさせた2つのビームを入射させ偏向走査している。またこの上下2光路の光束をそれぞれ感光ドラム上に結像させるためFθレンズ129,130を設けている。Fθレンズ129,130はそれぞれ同一レンズ面を上下2段に有する。その製造は、2枚のレンズを張り合わせる、もしくはモールドレンズとして一体成型すればよい。
この上下2段の走査光学系ではそれぞれの光路に対してレーザ光を偏向走査する偏向面が必要で、分厚いポリゴンミラー、もしくは2段構成のポリゴンミラーが使用されている。この方式では大型のポリゴンミラーを駆動するモータの負荷が大きくなる傾向がある、これに対し、ポリゴンミラーを薄型化した使用する斜入射走査光学系を図11に示す。
図11では、偏向器(ポリゴンミラー)の回転軸に垂直な面に対し所定角度を有して偏向器に光束を入射させる斜入射走査光学系と呼ばれる方式を上下に配列した2つのレーザに適用したもので、各レーザ光をそれぞれ異なる角度で入射させることでポリゴンミラーを薄型化させている。各レーザ光はポリゴンミラーで偏向走査された後に共通のfθレンズ135、136を透過し、それぞれ2枚の折り返しミラーと1枚の凹面ミラー134b、134eを経由して感光ドラムに照射される。
またそのレーザ光の光路の分離は、光路の途中に配置された折り返しミラー134dで行われる。折り返しミラー134dで図中下側を偏向走査されるレーザ光を、上側を偏向走査されるレーザ光と交差するように図中上部方向へ反射させ、光学箱上部に配置された複数の折り返しミラー134c、134fで感光ドラムへ導く。このように光束を被走査面に導くため複数の折り返しミラーを使用している。
特許2982744号公報 特開平10−73778号公報 特開平10−62685号公報 特開平10−73778号公報
しかしながら上記のような従来例において以下のような課題を有する。
偏向器の回転軸に垂直な面に対し所定角度を有して偏向器に光束を入射させる斜入射走査光学系では、特許文献1や特許文献2のように、ポリゴンミラーで偏向された光束が湾曲し、コニカルな走査線の軌跡を描く事で走査光学系の軸外光束が回転してしまい、被走査面上でのビームスポットが回転し結像性能が劣化する事が知られている。
特許文献1では、ビームスポットが回転し結像性能が劣化する事情が記載されているが、技術的検討と説明が不十分である。よって以下にビームスポットが回転し結像性能が劣化する事情を図9、図10を用い詳細に説明する。
図9には偏向器の回転軸に垂直な面に対し所定角度を有して偏向器に光束を入射させ偏向した光束の軌跡を示す。図中、光源1、コリメータレンズ2、シリンダーレンズ41偏向器(ポリゴンミラー)5である。また21P、22P、23Pはそれぞれ主光線であり、21U、21L、22U、22Lはメリ方向のマージナル光線を示す。
光源1から発した光束はコリメータレンズ2により略平行光束に変換され、シリンダレンズ41により偏向器5近傍に線像を形成する。偏向器5の回転軸51に垂直な断面に対し、入射光束21P/21U/21Lは所定角度θで入射した斜入射系である。偏向器5の反射面52で反射された光束のうち、22Pを軸上光束の主光線、23Pを軸外光束の主光線とする。面71は主光線22Pに対して垂直に設けられた面であり、座標系を図9のように22Pに一致させたX軸、これと直交し、マージナル光線22U/22Lを結ぶ方向をY軸方向、X,Y軸に直交する方向をZ軸とする。
偏向器5の回転に伴い、入射光束の主光線21Pが偏向され面71上に描く軌跡を72Pとする。軌跡72Pが湾曲する理由は、軸上光束22Pと軸外光束23Pそれぞれの偏向器から垂直面71までの距離が異なることにある。すなわち、回転軸51に垂直な面に対して同じ角度(Z方向成分)で進行する軸上光束22Pと軸外光束23Pを比べると、偏向器から垂直面71までの距離が遠い軸外光束23Pの方がよりZ方向に進む。この結果、垂直面71上では、軸上光束22Pから画角が大きくなるにつれ、Z方向成分が増加し湾曲した軌跡72を示すようになる。
主光線と同様、マージナル光線も湾曲した軌跡をとり、軌跡72にそった軌跡を描く。この結果、軸外光束23の場合マージナル光線を結ぶ直線は面71のY軸に対して傾く。特許文献1ではマージナル光線を結ぶ直線は面71のY軸に対して傾いたことを“光ビームの座標系が回転した“とし(図17の段落0032)、”アナモフィックな走査光学系で被走査面上に結像しても1点に結像されない“としているが説明が不明瞭である。
図10には模式的に、軸外光束23Pを含み回転軸51に平行な面(サジタル方向)に軸外マージナル光線23U/23Lを投影し、反射面52と面71の位置を示した。破線の52U/52L、71U/71Lはそれぞれマージナル光束23U/23Lが反射面52と面71で交わる位置を示している。軸外光束23は画角をもって面71に入射しているため、すなわち、面71の法線(=X軸=軸上の主光線22Pの進行方向)に対して、軸外の主光線23Pが非平行のために、進行方向に測った距離が異なるので、主光線23Pとマージナル光線23U/23Lが反射面52と面71で交わる位置がそれぞれ光線方向にズレることになる。また図から分かるように71U/71P/71Lはこの順番でズレる。
面71がパワーをもった面であると図10の23P’/23U’/23L’のように、主光線とマージナル光線はサジタル方向の高さがずれてしまう。この主光線とマージナル光線のサジタル方向(副走査方向)の高さズレによりそれぞれ異なる屈折力を受け、互いにねじれあいながら被走査面(像面)に達する。そして被走査面(像面)での主光線とマージナル光線のサジタル方向(副走査方向)の高さズレの収差となりビームスポット形状の崩れの原因となるとなる。
このような主光線とマージナル光線はサジタル方向の高さズレは、特許文献1では、偏向器で偏向された光束が通過する第1走査レンズ(特許文献1の図27の符号71など)において発生している。これを相殺するために、特許文献1では、第2走査レンズを偏心させたり、同期検知レンズを光軸周りに回転させることを提案している。
その弊害として、特許文献1の段落0050にも述べられたように“同期レンズが傾いている場合、同期センサー上をビームスポットが走査する方向も同じ角度だけ傾く”とされており、対策として特許文献1では同期検知センサも光軸周りに回転させて配置させざるを得ず、複雑な構成となっている。
特許文献1の図1や図27のように、同期レンズや同期検知センサーを光軸周りに回転させるとその分高さ方向のスペースが必要となる。また傾けて保持するためにケーシングの保持部に傾斜を設けなければならず、ケーシングの製造が難しくなる。さらに、同期検知センサーに配置上の制約が生じることで設計自由度が減少する。
本発明は以上のような問題点を解決するものであり、複雑な構成を取らなくても、BD光学系(同期検出光学系)の結像性能を向上させ、BD検知精度を向上させ、被走査面上での走査光束の書き出し位置を揃えることを実現した走査光学装置とそれを用いた画像形成装置を提供する事を目的としている。
上記課題を解決するために以下の構成を提案する。
本発明の請求項では、光源手段と、前記光源手段から出射された光束を偏向する偏向手段と、前記偏向手段にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる走査光学系と、前記偏向手段にて偏向走査された光束を前記走査光学系の光学面を通過させることなく同期検知手段に導く同期検知光学系と、を有する走査光学装置において、
副走査断面内において、前記偏向手段の偏向面と前記被走査面が略共役関係を満たしており、
前記光源手段から出射された光束は、副走査断面内において前記偏向手段の回転軸に垂直な面に対し斜め方向から前記偏向手段の偏向面に入射しており、
前記同期検知光学系の光軸と前記走査光学系の光軸は異なっており、
前記同期検知光学系は、前記同期検知光学系の光軸に対して回転対称な光学面により構成して、主走査方向にのみ集光し副走査方向に広がった光束を同期検知スリットに入射させており、
前記同期検知光学系の光軸は、前記同期検知手段に入射している光束の主光線と一致している構成としている。
本発明では、副走査断面内斜入射光学系の構成をとる走査光学装置において、同期検出光学系を構成する同期検出光学素子の光学面の光軸と前記同期検知光束の主光線との関係を適切に設定することで、BD光束の収差を低減し、BD光束の回転が生じることによるビームスポット形状の乱れを防止し、BD検知精度を向上させた走査光学装置を提供している。
以下に本発明の実施例を示す。本発明は、本実施例に限定されず、本発明の効果を満たす形態を全て含む。
図1〜3に本発明の実施例1における走査光学装置を示す。
図1では偏向器から被走査面までの走査光学系の副走査断面図、図2では同期検知光学系の斜視図を示している。本実施例で使用する走査光学装置は一つののポリゴンミラーに対して異なる2つの偏向反射面にそれぞれ2本ずつのレーザ光束を入射させ、各々の感光ドラム8を走査ビームE1〜E4で露光している。
本発明は、一つのポリゴンミラーに対して異なる2つの偏向反射面にそれぞれ4本ずつのレーザ光束を入射させ、各々の4つの感光ドラム8にそれぞれ2本ずつ走査ビームを露光するタンデムタイプのカラー画像形成装置にも適用できる。
図9において、レーザ光源1a,1b、コリメータレンズ2a,2b、絞り3a,3b、複合シリンダーレンズ4、ポリゴンミラー5、Fθレンズ6a,6b、折り返しミラー7a,7b,7c、感光ドラム8である。感光ドラム8は導電体に感光層を塗布している。ポリゴンミラー5はレーザ光源から入射したビームを偏向走査している。fθレンズ6a、6bはレーザ光を被走査面である感光ドラム8上で等速走査およびスポット結像させている。
また、第一の結像レンズ6aは主に主走査方向にパワーを有するアナモフィック非球面レンズ(プラスチック製)であり、第2結像レンズ6bは主に副走査方向にパワーを持つアナモフィック非球面レンズ(プラスチック製)である。7a〜7cはビームを所定の方向へ反射する折り返しミラー、9は走査光学装置の各部品を格納する光学ケースである。
本実施例の偏向器以降の光学配置はポリゴンミラー5を中心に、左右対称形状光学部品を配置しているため、まずは右半分の走査ビームE1、E2のグループに対して説明する。
本実施例は、副走査断面内斜入射光学系である。斜入射光学系とは図2に示すよう副走査断面(紙面に対して平行な面)内で、偏向器(薄型ポリゴンミラー)5の回転軸に垂直な面に対し斜めに光束を入射させる光学系である。このように斜め入射させる事で、ポリゴンミラー5を薄く構成する事ができる。
本実施例の走査光学系の作用は以下のようになる。
まず図2のように、光源1aと1b、コリメータレンズ2aと2b、絞り3aと3bが副走査断面内で上下に並べられ、偏向反射面上に主断面に対して所望の角度±θとなる光路上に配置されている。それぞれの光路上に設けられたコリメータレンズ2a,2bは、光源1aと1bから放射されたレーザービームを略平行光束に変換する。それぞれの出射光束は、シリンダーレンズ4aと4bに入射する。シリンダーレンズ4aと4bは副走査断面のみにパワー(焦点距離Fs)を有するアナモフィックなレンズであり、光軸の間隔が2L離れて副走査断面内で一体構成され、複合結像素子4としている。シリンダーレンズ4aと4bは入射面がシリンダー形状、出射面が平面形状である。
シリンダーレンズ4aと4bは入射した平行光束を副走査方向に絞って、シリンダーレンズ4aと4bからX離れた点S0で光路をクロスさせ、ポリゴンミラーの偏向面近傍のSa、Sbに焦線を形成する。
図2から明らかなようにシリンダーレンズ4aと4bの距離2Lはコリメータレンズ2aと2bの距離よりも狭く、4aと4bをそれぞれ独立して配置することが困難である。そこで副走査断面内でシリンダーレンズ4aと4bを一体的に構成した。製造方法は成形型を用いて射出成形等の成形手法で同時に製造される。これにより狭い空間に複数の光学機能部品を高精度配置することが出来る。さらには同時成形によりコストダウンも期待できる。
偏向反射面に入射した光束はそれぞれ主断面に対して角度をもって反射され、偏向走査される。その後、二つの走査光束は共通の第1結像手段である第一結像レンズ6aの画像走査光束を結像させる光学面に入射する。第1結像レンズ6aを出射した各光束は、第1反射ミラー7aにより各光路に分離される。
レーザ1bより発したレーザ光束はポリゴンミラー5と第一結像レンズ6a以降、第1反射ミラー7aによって反射され、図1の光束E2となり、第2結像レンズ6bの画像走査光束を結像させる光学面を通過後、第2反射ミラー7bによって反射し、自身の光路と交差し感光ドラム8に向かう。またレーザ1aより発したレーザはポリゴンミラー5と第一結像レンズ6a以降,第2結像レンズ6bを通過後、第3反射ミラー7cによって反射し、光束E1として感光ドラム8に向かう。
主に主走査方向にパワーを有するアナモフィックの第一結像レンズ6aは、画像走査光束を結像させるレンズ面形状は既知の関数表現で示すことができる非球面形状である。副走査方向に対してはノンパワーもしくは略ノンパワーであり、例えば両面が副走査方向にフラットなシリンダー形状である。入射した光束に対し主に主走査方向の結像及び等速走査を達成する。
一方の第2結像レンズ6bは主に副走査方向にパワーを持つアナモフィックレンズである。こちらもやはり、主走査方向の形状はパワーを有するアナモフィック非球面レンズであり、画像走査光束を結像させるレンズ面形状は既知の関数表現で示すことができる非球面形状である。主走査方向に対しては略ノンパワーである。入射した光束に対し主に副走査方向の結像及び主走査方向の若干の歪曲収差を補正を担当する事になる。第1結像レンズ6aと第1結像レンズ6bによる副走査方向の結像関係は、偏向反射面と被走査面8が略共役関係となる所謂倒れ補正系となっている。
第1結像レンズ6aはE1,E2で共用され、第1結像レンズ6aはE1,E2にそれぞれ別々設けられている。
E2の光路では、第1反射ミラー7aは、図1で被走査面である感光ドラム8に向かう光路より右、すなわち、ポリゴンミラー4とは反対の方向に設けられている。さらに第1反射ミラー7aは図1の上下方向において、ポリゴンミラーよりも被走査面(感光ドラム1)側に設けられている。この第1反射ミラー7aにより光束E2は感光ドラムから離れる方向かつ、ポリゴンミラーに近付く方向に反射される。
さらに第2反射ミラー7bは図1のようにポリゴンミラーと第1反射ミラー7aの間に設けられ、入射した光束を感光ドラム1に向けて反射する構成になっている。この構成により、光路を空間的にオーバーラップして利用し、またミラーの使用枚数を減らして、コンパクトな装置構成が可能になる。
更に第1反射ミラー7aと第2反射ミラー7bの間には第2結像レンズ6bが設けられている。こうすることで、第1反射ミラー7aと第2反射ミラー7bの間に生じた空間を有効に使いコンパクトにまとめる事ができる。
E1の光路は、第1結像レンズ6aを出射した各光束の片方が、第1反射ミラー7aの脇を通過し、第1反射ミラー7aで反射されたE2と光路分離される。第1反射ミラー7aの脇を通過した光束E1は第2結像レンズ6bを通過後、第3の反射ミラー7cによって反射し感光ドラム8に達する。
図3、4、5を用いて同期検知光学系について詳細に説明する。図中の記号は図9と共通であり、図9に対して、BDレンズ20とBDセンサ10を明記している。またシリンダレンズ4のうち4aのみを抜き出して記載している。
図3において、レーザ1より発した光束が、矢印の方向に回転する偏向器5によって偏向走査される。入射光束の主光線21Pとマージナル光線21U/21Lが偏向器51で偏向され、軸外光束の主光線24Pとマージナル光線24U/24Lや軸上光線の主光線22Pやマージナル光線22U/22Lとなる。このうち軸外光束の主光線24Pとマージナル光線24U/24Lを、BDレンズ100を通じてBDスリット(不図示)近傍に集光し、BDセンサー10に導いている。BDセンサ10は既知の同期検知センサーであり、被走査面8上での走査光束の書き出しタイミングを決めるために既知の機能を有する。
BDスリット(不図示)は検知精度を向上させる目的で設けるが、例えばBDセンサー10の受光部のエッジ(不図示)の直線性が十分に高精度であるならば、BDスリットは省略する事ができる。
BDレンズ20は入射面201が球面、出射面202がシリンダ面のアナモフィックレンズである。先に述べたように偏向器5に入射する光束は主走査方向が略平行、副走査方向が収束光であるので、BDセンサー10に光束を集光するためには主走査方向と副走査方向のパワーが異なるアナモフィックレンズが必要となる。本実施例ではBDセンサー10の前に設けられたBDスリット(不図示)に対しレーザ光束が集光するようなパワーをBDレンズ20に与えている。
BDレンズ20及びBDセンサ10は必ずしも図3のような位置関係でなくても、例えばBDレンズ20とBDセンサー10を偏向器5側に近づけコンパクトな構成をとっても良いし、逆に偏向器5から離してもよい。また入射面201と出射面202は球面やシリンダ面に限られるものではなくトーリック形状をはじめとする様々な既知の非球面形状でもよい。
図4を用いて、偏向器5で偏向された、軸外光束の24P/24U/24Lや軸上光線の22P//22U/22LとBDレンズ20と走査レンズ6aの配置関係を説明する。
面71は主光線22Pに対して垂直に設けられた面であり、座標系を図4のように22Pに一致させたX軸、これと直交し、偏向器の回転軸51と垂直な面に平行な方向をY軸方向、X,Y軸に直交する方向をZ軸とする。また、面73は主光線24Pに対して垂直に設けられた面であり、座標系を図4のように24Pに一致させたX’軸、これと直交し、偏向器の回転軸51と垂直な面に平行な方向をY’軸方向、X’,Y’軸に直交する方向をZ’軸とする。図から分かるようにXY平面とX’Y’平面は非平行である。
本実施形態のBDレンズ20は、球面である入射面201の光軸をX’軸に一致させ、かつアナモフィックなパワーのシリンダー面の出射面202の光軸をX’軸に一致させている。またシリンダー面の出射面102の母線方向はY’軸方向に一致させ、子線方向はZ’軸方向に一致させている。これにより、出射面201(アナモフィックな面)の子線を含む副走査断面は、偏向器5の回転軸51に対して平行、かつ出射面202(アナモフィックな面)の光軸は主光線24P(同期検知光束の主光線)に対して一致させて設けられたことになる。
このとき、図5には、模式的に、軸外光束24Pを含み回転軸51に平行な面(サジタル方向)に軸外マージナル光線24U/24Lを投影し、反射面52と入射面201の位置を示した。従来例 の図13と対比させて説明する。破線の52U/52Lは、マージナル光束24U/24Lが反射面52と交わる位置を示している。一方入射面201では、主光線24Pは201Pの位置で、またマージナル光線24U/24Lは、201ULの位置で入射面201に入射する。201Pと201ULのズレ量は球面である入射面の曲率によって生じるものであり、図13で軸外光束23が画角をもって面71に入射していたこととは本質的に異なり、ズレ量は非常に小さい。かつ、入射面301の光軸と主光線24Pを一致させた事で24P/24U24Lは高さ方向に関する屈折パワーを受けない。同様に出射面202のシリンダー面において、アナモフィックな形状の出射面202の光軸と主光線24Pを一致させ母線方向をY’軸方向(=子線方向をZ’軸方向)に一致させていた事で24P/24U24Lは高さ方向に関する屈折パワーを受けない。よって24P/24U24Lは互いにねじれあうことなく、集光することができる。
また、BDレンズ20を光軸周りに回転させないことから、BDスリット(不図示)を横切るBD光束の進行方向は回転軸51に対して垂直な方向になり、BDスリットのエッジは回転軸51の方向に向ければよい。
次に軸上光線22P/22U/22Lと走査レンズ6aの関係は、有効走査範囲内のスポット形状が良好かつ走査する走査線の直線性が所望の範囲になるように最適化される。その方法は既知の方法に寄ればよく、例えば特許文献3や特許文献4などに示される手法を用いればよい。
図3ではレーザ1aに対してのみ同期検知光学系が設けられた構成である。各レーザに対して同期検知光学系をもつ構成に対して、本件では1つレーザ1aにのみについて同期検知光学系を持ち、他のレーザは1aとの相対的な時間差分を遅延させて駆動する方法が取られている。このように同期検知光学系を省略する事でコストダウンが可能となる。
本実施例では4つの光源の1a,1b,1c,1dの4つのレーザからはそれぞれ1つずつ計4本のレーザが放射される形態をとっているがこれに限定されるのもではない。たとえば、4つの光源をそれぞれ1チップからm本のビームが放射されるモノリシックマルチレーザに置き換えたり、n個のレーザチップとビーム合成系からなる既知のマルチレーザー光源に置き換えたりしてもよい。更に、1チップからm本のビームが放射される発光部を2次元状に配置した面発光マルチレーザ光源であっても良い。このような多光源化を図ることで、高速で4色同時に書き込みをする事が可能になる。このとき、光束はトータルで4nm本になる。n,mは自然数である(1以上の整数)。
なお、本実施例でBDレンズ20はアナモフィックなレンズを示したが、両面とも回転対称な面(球面や回転対称非球面)で構成して、主走査方向のみ集光し副走査方向には広がった光束をBDスリット上に結像させてもよい。この場合BDレンズ20の光軸とBD光束の主光線を一致させる事でBD光束の収差が低減し、ビームの回転は生じることによるビームスポット形状の乱れを防止できる。また、BDレンズ20の光軸周りの偏心敏感度も緩和できる。副走査方向にスポットは伸びてもBDスリットのエッジを横切る際にスリットのエッジの方向とビームが伸びる方向が一致するので問題はない。
本実施例では、同期検知光学系は、1枚のレンズより構成されているが、回折光学素子を含む光学素子で置換しても良い。例えば、レンズ表面に回折格子を設けた光学素子でも良い。また、BDレンズの枚数は、2枚以上でも良い。
BDレンズの材質は、樹脂製でもガラス製でも良い。
図6〜7に本発明の実施例2における走査光学装置を示す。図6では本実施例の走査光学系の斜視図を示しており、図7では図6を上方より見た部分図である。
図6〜7の実施例2は、実施例1と同様に斜入射走査光学系である。実施例1の図2のように副走査断面内で、偏向器5の回転軸に垂直な面に対し斜めに光束を入射させる光学系(副走査断面内斜入射光学系)である。このように斜め入射させる事で、偏向器5のポリゴンミラーを薄く構成する事ができる。
図6において、レーザ光源1、コリメータレンズ2、、シリンダーレンズ41、ポリゴンミラー5、Fθレンズ6a’,6b、BDレンズ30とBDセンサ10である。
第一の結像レンズ6a’の画像走査光束を結像させるレンズ面は主に主走査方向にパワーを有するアナモフィック非球面レンズであり、第2結像レンズ6bの画像走査光束を結像させるレンズ面は主に副走査方向にパワーを持つアナモフィック非球面レンズである。結像レンズ6a’は第1の実施形態の結像レンズ6aの有効径を若干広げたものである。
図6において、レーザ1より発した光束が、コリメータレンズ2で集光されシリンダレンズ41で副走査方向に収束されながら偏向器5の変更反射面52近傍に線像を形成する。さらに回転軸51まわりの矢印の方向に回転する偏向器5によって偏向走査される。偏向された光束は、fθレンズ6a、6bによって被走査面である被走査面上で等速走査およびスポット結像している。
図6において、偏向器5への入射光束の主光線21Pとマージナル光線21U/21Lが偏向器5で偏向され、軸外光束の主光線24Pとマージナル光線24U/24Lや軸上光線の主光線22Pやマージナル光線22U/22Lとなる。このうち軸外光束の主光線24Pとマージナル光線24U/24Lは、結像レンズ6a’とBDレンズ30を通じてBDスリット(不図示)近傍に集光し、BDセンサー10に導いている。BDセンサ10は既知の同期検知センサーであり、走査光束の書き出しタイミングを決めるために既知の機能を有する。
BDスリット(不図示)は検知精度を向上させる目的で設けるが、例えばBDセンサー10の受光部のエッジ(不図示)の直線性が十分に高精度であるならば、BDスリットは省略する事ができる。
BDレンズ30は入射面301が平面、出射面302がシリンダ面のアナモフィックレンズである。先に述べたように偏向器5に入射する光束は主走査方向が略平行、副走査方向が収束光であるので、BDセンサー10に光束を集光するためには主走査方向と副走査方向のパワーが異なるアナモフィックな同期検知光学系が必要となる。本実施例ではBDセンサー10の前に設けられたBDスリット(不図示)に対しレーザ光束が集光するようなパワーを結像レンズ6a’とBDレンズ30が協働して与えている。
図7を用いて、偏向器5で偏向された、軸外光束の24P/24U/24Lや軸上光線の22P/22U/22LとBDレンズ30と結像レンズ6a‘の配置関係を説明する。
本実施形態の主光線24Pに対して結像レンズ6a’の周辺部の法線61は図に示すように非平行である。またBDレンズ30は主光線24Pに対して法線301は図7に示すように非平行である。
課題のところで述べたように、偏向された光束が画角をもってレンズ面に入射すると主光線とマージナル光線がレンズ面で交わるサジタル方向の高さが異なり、結果として異なる屈折力を受けるために、互いにねじれあいながら被走査面(像面)に達し被走査面で収差となりビームスポット形状の崩れの原因となる。本実施例では、主走査断面に投影した場合、同期検知光学系を構成するふたつのレンズ(BDレンズ30と結像レンズ6a')を主光線24Pに対して互いに逆方向の画角を持たせることで収差の発生をキャンセルさせている。
よって24P/24U24Lは互いにねじれあうことなく、被走査面に集光することができる。
よって、ビーム(光束)の回転は生じることによるビームスポット形状の乱れを防止できる。また、BDレンズ30の光軸周りの偏心敏感度も緩和できる。
図8は本発明の前述した実施形態1〜2の走査光学系を用いた画像形成装置(電子写真プリンタ)の実施形態を示す副走査断面内における要部断面図である。
イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して独立した像担持体101(以下、感光ドラムと表記)を持つ。
図8において、符号104は画像形成装置を示す。この画像形成装置104には、パーソナルコンピュータ等の外部機器117からコードデータDcが入力する。このコードデータDcは、装置内のプリンタコントローラ118によって、画像データ(ドットデータ)Diに変換される。この画像データDiは、前記各実施形態で示した構成を有する光走査ユニット100に入力される。そして、この光走査ユニット(走査光学系)100からは、画像データDiに応じて、各色ごとに変調された光ビーム(光束)103が射出され、この光ビーム103によって感光ドラム101の感光面が主走査方向に走査される。
静電潜像担持体(感光体)たる感光ドラム101は、不図示モータによって回転させられる。そして、この回転に伴って、感光ドラム101の感光面が光ビーム103に対して、主走査方向と直交する副走査方向に移動する。感光ドラム101の上方には、感光ドラム101の表面を一様に帯電せしめる帯電ローラ102が表面に当接するように設けられている。そして、帯電ローラ102によって帯電された感光ドラム101の表面に、前記光走査ユニット100によって走査される光ビーム103が照射されるようになっている。
先に説明したように、光ビーム103は、画像データDiに基づいて各色ごとに変調されており、この光ビーム103を照射することによって感光ドラム101の表面に静電潜像を形成せしめる。この静電潜像は、上記光ビーム103の照射位置よりもさらに感光ドラム101の回転断面内における下流側で感光ドラム101に当接するように配設された現像器107によってトナー像として現像される。
現像器107によって現像されたトナー像は、感光ドラム101の下方で、感光ドラム101に対向するように配設された第1の転写ローラ(転写器)108aによって中間転写体である転写ベルト109に転写される。同様に他の3色についても転写ベルト109に画像が形成され、4色が合成された画像が転写ベルト109に掲載される。更に第2の転写ローラ(転写器)108bによっての被転写材たる用紙110上に転写される。用紙110は走査光学装置100の下方)の用紙カセット111内に収納されている。用紙カセット111端部には、給紙ローラ112が配設されており、用紙カセット111内の用紙110を搬送路へ送り込む。
以上のようにして、未定着トナー像を転写された用紙109はさらに定着器へと搬送される。定着器は内部に定着ヒータ(図示せず)を有する定着ローラ113とこの定着ローラ113に圧接するように配設された加圧ローラ114とで構成されており、転写部から撒送されてきた用紙109を定着ローラ113と加圧ローラ114の圧接部にて加圧しながら加熱することにより用紙109上の未定着トナー像を定着せしめる。更に定着器の後方には排紙ローラ115が配設されており、定着された用紙109を画像形成装置の外の排紙トレー116上に排出せしめる。
図8においては図示していないが、プリントコントローラ111は、先に説明したデータの変換だけでなく、画像形成装置内の各部や、光走査ユニット100内のポリゴンモータなどの制御、さらには4色の画像の位置合わせ(レジストレーション)などを行う。
以上説明したように、本実施例の構成を取る事で、複数の光源から放射された複数の光束を少なくとも副走査断面内で異なる角度、さらには主走査方向に並べて、偏向器に入射させ、同時に偏向走査し異なる複数の被走査面を走査する走査光学装置において、同期検出用レンズ(BDレンズ)や同期検知センサーを光軸周りに回転させることなく、複雑な構成を取らなくても、BD光学系の結像性能を向上させた走査光学装置とそれを用いた画像形成装置を提供する事ができる。
実施形態1の走査光学系の副走査断面図 実施形態1における入射系の副走査断面図 実施形態1における同期検知光学系の斜視図 実施形態1における走査光束の説明図 実施形態1における同期検知光学系の説明図 実施形態2における同期検知光学系の斜視図 実施形態2における同期検知光学系の説明図 実施形態3の画像形成装置 従来例を説明する図 従来例を説明する図 従来例を説明する図 従来例を説明する図 従来例を説明する図
符号の説明
1 レーザ
2a−2d コリメータレンズ
3 絞り
4 複合結像素子
4a〜4d アナモフィックなレンズ
5 偏向器(ポリゴンミラー)
6a 第一結像レンズ(fθレンズ)
6b 第二結像レンズ(fθレンズ)
7a〜7d 折り返しミラー
8 感光体
9 光学箱
10 BDセンサー
20,30 BDレンズ
E1,E2,E3,E4 走査光束

Claims (3)

  1. 光源手段と、前記光源手段から出射された光束を偏向する偏向手段と、前記偏向手段にて偏向走査された光束を被走査面上に結像させる走査光学系と、前記偏向手段にて偏向走査された光束を前記走査光学系の光学面を通過させることなく同期検知手段に導く同期検知光学系と、を有する走査光学装置において、
    副走査断面内において、前記偏向手段の偏向面と前記被走査面が略共役関係を満たしており、
    前記光源手段から出射された光束は、副走査断面内において前記偏向手段の回転軸に垂直な面に対し斜め方向から前記偏向手段の偏向面に入射しており、
    前記同期検知光学系の光軸と前記走査光学系の光軸は異なっており、
    前記同期検知光学系は、前記同期検知光学系の光軸に対して回転対称な光学面により構成して、主走査方向にのみ集光し副走査方向に広がった光束を同期検知スリットに入射させており、
    前記同期検知光学系の光軸は、前記同期検知手段に入射している光束の主光線と一致していることを特徴とする走査光学装置。
  2. 請求項1に記載の走査光学装置と、前記被走査面に配置された感光体と、前記走査光学系で走査された光束によって前記感光体上に形成された静電潜像をトナー像として現像する現像器と、現像されたトナー像を被転写材に転写する転写器と、転写されたトナー像を被転写材に定着させる定着器とを有することを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1に記載の走査光学装置と、外部機器から入力したコードデータを画像信号に変換して前記走査光学装置に入力せしめるプリンタコントローラとを有していることを特徴とする画像形成装置。
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