JP4744735B2 - 埋設管の補修装置及び埋設管の補修方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、地盤内に埋設された埋設管に損傷部が発生した際に、埋設管の損傷部を補修する補修装置及び補修方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
地盤内に埋設された排水管などの埋設管が何らかの要因で損傷した際には、損傷部からの土砂や水の侵入を防ぐため、すぐに補修を行う必要がある。しかし、埋設管が、人が入ることのできない小口径のものである場合には、最初に、小型のビデオカメラやテレビなどを用いて埋設管内の損傷部を特定し、次に、特開2000−193188号公報に開示されているように、補修装置を用いて硬化性樹脂によって補修されるのが一般的である。
上述の公報に開示されている硬化性樹脂による補修方法は、まず、埋設管の径方向に膨張可能としたエアパッカを備えた補修装置のエアパッカの外周に、少なくとも織布を有する補修材を装着させ、この補修材を装着した補修装置をワイヤーロープで牽引して管内に搬入し、損傷部である補修箇所に位置決めする。次に、エアパッカに空気を供給し、エアパッカを径方向に膨張させて補修材を管内面に押圧するとともに、塗布又は含浸される硬化性樹脂を硬化させて管を内面から補修する。最後に、エアパッカ内の空気を排出してエアパッカを収縮させ、補修装置を管路外へ搬出して補修作業を終了する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、埋設管内の損傷部の確認にビデオカメラやテレビを用いると、精密機器であるため、いくら防水処理を施しているとはいえ、ケーブルなどの取り合いに細心の注意を払って作業を行わなければならず、損傷部の特定に手間がかかるといった問題があった。また、硬化性樹脂によって埋設管を補修すると、土砂や水など全ての侵入物を防ぐことができるため、十分な補修効果が得られる。しかし、液状化しやすい地盤においては、地盤内の余剰水を外部へ排水する必要があり、排水管などの埋設管の損傷部から水が流出することは好都合である。しかし、損傷部からは水と一緒に土砂も埋設管内へ流出するため、埋設管内に土砂が堆積し、やがて埋設管を詰まらせるという問題があった。
【0004】
そこで、本発明の課題は、埋設管に損傷部が発生した際に、手間のかからない簡単な方法で損傷部を特定することができるとともに、水を通し、かつ、土砂をせき止めることが可能な損傷部特定装置及び損傷部特定方法、補修装置及び補修方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、
請求項1記載の発明は、構造物や地盤内に埋設され、かつ、損傷が発生した際に損傷部から内部に漏水及び土砂等の固形物が流入する場合に、該固形物の流入を防止するように前記損傷部を補修する埋設管の補修装置4であって、
前記埋設管の径よりも大きく、かつ、該埋設管より小さく圧縮可能で圧縮された状態から復元可能なスポンジ状のフィルタ41と、
該フィルタを圧縮した状態に包む包装部材42と、
該包装部材に圧縮された状態で包まれた前記フィルタを前記埋設管の損傷部の位置に配置するフィルタ配置手段40と、
前記埋設管の開口部側からの操作により該包装部材を破って前記フィルタを復元させる復元手段44とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項1記載の発明によれば、埋設管より小さく圧縮可能なフィルタを用いているため、埋設管の断面よりも数倍大きなフィルタを挿入することができる。これにより、包装部材から取り出して圧縮状態を解放した際のフィルタの復元力によってフィルタを埋設管の損傷部に固定させることができる。また、フィルタは、水を通し、土砂をせき止める特徴を有しているため、埋設管の損傷部から水だけを埋設管内に流入させることが可能となる。また、土粒子がフィルタの空隙に詰まることによってさらに目の細かいフィルタを形成するため、フィルタの濾過性能が向上する。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の埋設管の補修装置を用いた埋設管の補修方法であって、
前記フィルタ配置手段により、前記包装部材に圧縮された状態で包まれた前記フィルタを前記埋設管の損傷部に配置した後に、
前記復元手段により前記包装部材を破って前記フィルタを圧縮した状態から前記埋設管の径の範囲で復元させるとともに、復元力により前記フィルタを前記埋設管内に固定することで、前記損傷部からの水の流入を許すとともに、固形物の流入を防止することを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明によれば、フィルタを取り出す際は、あらかじめ設けられた復元手段で包装部材を破るだけの簡単な作業でよいため、複雑な機構を設ける必要がなく、作業を簡単にすることができる。また、事前に復元手段を配置しておくことにより、包装部材を切断する手段を別途に必要としない。また、包装部材を破る復元手段を手元に備えておけば、包装部材の付近で作業をする必要がなく、包装部材からフィルタを取り出すことができる。
【0013】
請求項3記載の発明は、構造物や地盤内に埋設され、かつ、損傷が発生した際に損傷部から内部に漏水が生じる埋設管内の任意の位置で膨張して、水が流れないように前記埋設管を閉塞する閉塞部材と、該閉塞部材を貫通するとともに、該閉塞部材の奥側に水がある場合にこの水を前記埋設管の手前側の開口部まで導く導水管とを有する埋設管の損傷部特定装置を用いて、
前記埋設管の任意の位置で前記閉塞部材を膨張させて前記埋設管を閉塞した状態で、前記埋設管の前記開口部と、該開口部側の前記導水管の端部とからのそれぞれの排水の有無を確認することにより、損傷部の位置を特定した後に、
請求項2記載の埋設管の補修方法を用いて位置を特定された前記埋設管の損傷部を補修することを特徴とする。
【0014】
請求項3記載の発明によれば、埋設管の損傷部を特定した後で、埋設管の補修に請求項2記載の補修方法を用いているため、どちらも簡単な構造及び作業で、上述の課題を解決することができる。また、大がかりな機械や電気設備を必要としないため、施工工程の短縮、コストの低減を実現することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る実施の形態を図1〜図6を参照して詳細に説明する。
本発明の実施の形態例では、ロックフィルダムにおける老朽化した漏水管1を施工対象とする。
また、本発明の実施の形態例では、閉塞部材としてエアパッカ2を用い、該エアパッカ2によって漏水管1の損傷部11を特定し、そこへフィルタとしてモルトフィルタ41を備えた補修装置4を挿入し、損傷部11にモルトフィルタ41を取り付けて補修する施工方法について説明する。
施工の流れは、大きく分けて、▲1▼エアパッカによる漏水管の損傷部の特定と、▲2▼漏水管の損傷部の補修の二工程である。
【0016】
<エアパッカによる漏水管の損傷部の特定>
本実施の形態例で用いるエアパッカ2の構造及び動作について説明する。
エアパッカ2は、漏水管1の損傷部11の位置を特定するために用いられる。
エアパッカ2には、図1及び図2に示すように、エアパッカ2を漏水管1内に押し込むとともにエアパッカ2の先端部周囲の地盤の余剰水を排水するための管状のロッド21(導水管)、円筒状のゴムから形成されており、窒素ガスを注入することで膨張し、漏水管1内の水をせき止めるパッカゴム22、パッカゴム22のほぼ中心軸上に配置され、パッカゴム22のよれや折れを防ぐとともに、エアパッカ2の先端部周囲の地盤の余剰水を排水するためのパッカ芯23、パッカゴム22に窒素ガスを送り込むためエアチューブ24、パッカゴム22に送り込まれた窒素ガスが漏れないようにパッカゴム22の先端と後端に蓋をするパッカ先端蓋25及びパッカ後端蓋26、エアパッカ22の先端の揺動やねじれ、回転を防ぐためのセントライザ27、作業終了後に漏水管1からエアパッカ2を回収する回収用ワイヤ28等が備えられている。
【0017】
エアパッカ2は、パッカゴム22の両端部に、ステンレス製のパッカ先端蓋25及びパッカ後端蓋26が挿入され、パッカゴム22の両端部は、外周からパッカバンド29によって固定されている。パッカ先端蓋25の先端側には、鉄板が湾曲されて形成された略楕円球状のセントライザ27が配置されている。パッカ芯23は、ガス管などで形成され、パッカゴム22のほぼ中心軸上に沿って、先端がパッカ先端蓋25の先端側と面一に位置合わせされるとともに開口され、後端がパッカ後端蓋26の後端側にて開口部を外部へ露出した状態で配置されている。ロッド21は、パッカ芯23と同径を有する塩化ビニル管で形成されるとともに、パッカ芯23と同軸上に配置されて連通している。ロッド21の一端は、パッカ芯23の後端と接続されている。ロッド21は、狭い施工区域での作業性を高めるために、組み立てが容易な任意の短い長さとされている。また、ロッド21の一端には、雄ネジ加工が、他端には、雌ネジ加工が施されており、雄ネジと雌ネジの端部を接続することにより複数のロッド21を連接して、適宜延長が可能である。エアチューブ24は、一端は窒素ガスボンベ31に接続されており、他端はパッカ後端蓋26の後端側に備えられたホースジョイント32に接続され、ホースジョイント32からは、金属などで形成されたエア管33がパッカ後端蓋26を貫通し、パッカゴム22内へ開口されている。パッカ後端蓋26の後端側には、作業終了後にエアパッカ2を回収するために、クリップ30が備えられ、クリップ30には回収用ワイヤ28が接続されている。
なお、湿度の高い場所での作業になるため、回収用ワイヤ28及びその他の部材においても、鉄製よりステンレス等の錆びない材質を用いるほうが好ましい。
【0018】
漏水管1の損傷部11の特定は、上述の構成からなるエアパッカ2を、図1に示すように、漏水管1にエアパッカ2の先端から挿入していく。作業は、ロッド21の後端にロッド21を継ぎ足しながら挿入していくこととなる。また、作業時には、漏水管1にレベルを合わせた作業台32を設置し、作業台32上でロッド21の継ぎ足しを行うようにすれば、作業性を向上させることができる。なお、エアチューブ24と回収用ワイヤ28は、一巻が百メートルから数百メートルのものを用い、挿入の途中で不足しないよう、十分な長さを確保しておく。
【0019】
継ぎ足されたロッド21により、所定の深度までエアパッカ2を挿入し、窒素ガスボンベ31のレギュレータバルブを開いて窒素ガスをパッカゴム22に送る。パッカゴム22は膨張していき、やがて漏水管1の水の流れはせき止められる。また、その位置での漏水管1内の水はパッカ芯23及びロッド21を通って外部に排水される。なお、排水時に排水量と時間を計測することにより、所定の深度での流量を測定することができる。パッカゴム22内の窒素を排気し、パッカゴム22がしぼんだ後、位置を変えて同様の作業を繰り返す。作業終了後、回収用ワイヤ28を巻き取ることによってエアパッカ2を回収する。
【0020】
次に、図3〜図5を参照して、エアパッカ2による漏水管1の損傷部11を特定する方法について説明する。
例えば、図3に示すような位置にエアパッカ2を設置したとする。図3の状況は、漏水管1の吐け口12(開口部)から排水がなく、ロッド21から排水がある場合である。この場合、パッカゴム22の位置よりダム側(奥側)の地盤に余剰水があるか、もしくは、パッカゴム22の位置よりダム側の漏水管1に損傷部11があるかということになる。したがって、パッカゴム22の位置より吐け口12側(手前側)の漏水管1には異常がないと判断することができる。
【0021】
また、図4に示すような位置にエアパッカ2を設置したとする。図4の状況は、漏水管1の吐け口12から排水があり、ロッド21から排水がない場合である。この場合、パッカゴム22の位置よりダム側の地盤に余剰水と漏水管1に損傷部11とがなく、パッカゴム22の位置より吐け口12側の漏水管1に損傷部11があるということになる。したがって、パッカゴム22の位置よりダム側の漏水管1には異常がないと判断することができる。
【0022】
また、図5に示すような位置にエアパッカ2を設置したとする。図5の状況は、漏水管1の吐け口12から排水があり、ロッド21からも排水がある場合である。この場合、(1)パッカゴム22の位置より吐け口12側の漏水管1に損傷部11があるとともに、パッカゴム22の位置よりダム側の地盤に余剰水がある、(2)パッカゴム22の位置より吐け口12側の漏水管1に損傷部11があるとともに、パッカゴム22の位置よりダム側の漏水管1に損傷部11がある、(3)パッカゴム22の位置より吐け口12側の漏水管1に損傷部11があるとともに、パッカゴム22の位置よりダム側の地盤に余剰水と漏水管1に損傷部11とがある、の(1)〜(3)のいずれかであると判断することができる。
なお、上述の方法により、漏水管1の吐け口12から損傷部11までの位置は、継ぎ足したロッド21の長さ及び本数を数えることで容易に求めることができる。
そして、エアパッカ2の位置を変えて上述の操作を繰り返すことにより、損傷部の位置を絞り込むことができる。
【0023】
<埋設管の損傷部の補修>
上述の方法により、漏水管1の損傷部11を特定した後、損傷部11の補修を行う。本実施の形態例で用いるフィルタと、補修装置4の構造及び動作とについて説明する。
フィルタは、(株)イノアック・コーポレーション製のモルトフィルタ41(MF−8型、φ260mm×400mm)を用いる。ここで、モルトとは、スポンジ状という意味であり、モルトフィルタ41に互いに連通した多数の孔を有し、透水性を有するとともに、フィルタとして機能するものである。
モルトフィルタ41は、優れた特徴を活かして、さまざまな製品に利用されている。また、モルトフィルタ41は、例えば、ウレタンフォームを特殊処理により完全なオープンセル構造にしたウレタンフィルタであり、ポリエステル系ウレタンフォームとポリエーテル系ウレタンフォームなどがある。
【0024】
補修装置4は、図6に示すように、損傷部11を補修する円柱状のモルトフィルタ41、モルトフィルタ41を圧縮して収納するビニール袋42(包装部材)、ビニール袋42に収納されたモルトフィルタ41を支持するフィルタ装着ケース40(フィルタ配置手段)、モルトフィルタ41を管内に挿入するためのフィルタ用ロッド48、ビニール袋42を破ってモルトフィルタ41を解放するとともに、モルトフィルタ41を回収するためのフィルタ用ワイヤ44(復元手段)、フィルタ装着ケース40を回収するためのケース用ワイヤ49などが備えられている。
【0025】
フィルタ装着ケース40には、モルトフィルタ41を載せるためのモルトフィルタ41の曲率と同様に湾曲された受け皿部45、受け皿部45及びモルトフィルタ41を支持する支持部46が備えられている。また、支持部46は、後端側(挿入したときの吐け口12側)にいくにつれ、断面が小さくなるような形状とされている。支持部46の後端側には、例えば、塩化ビニル管(φ30mm)などで形成されたモルトフィルタ41を管内に押し込むためのケース用ロッド47が接合されている。フィルタ用ロッド48は、例えば、塩化ビニル管(φ20mm)などで形成されており、フィルタ用ロッド48の先端側(挿入したときのダム側)は、円盤状のエンビプレート43のほぼ中心に接合されている。エンビプレート43の外周には、フィルタ用ワイヤ44が反力を取るために、係止部50が備えられ、フィルタ用ワイヤ44が係止部50に引っかけられた状態となっている。
【0026】
フィルタ装着ケース40にモルトフィルタ41を装着して補修装置4とするには、フィルタ用ワイヤ44をモルトフィルタ41のほぼ中心軸上に通し、一端をフィルタ用ロッド48に取り付けられたエンビプレート43に通し、係止部50に引っかけてフィルタ用ワイヤ44を折り返す。なお、他端は、モルトフィルタ41の先端側の断面にてエンビプレート43にて接続し、固定される。折り返したフィルタ用ワイヤ44は、モルトフィルタ41の外周上とビニール袋42との間に軸方向に沿って配置され、モルトフィルタ41の先端側の端部にてさらに折り返す。折り返したフィルタ用ワイヤ44は、ビニール袋42を挟みこむような状態で、モルトフィルタ41のビニール袋42上の外周上を軸方向に沿って配置され、補修装置4の後端側へ十分な長さを確保して備えられる。
上記方法によってできたモルトフィルタ41とフィルタ用ロッド48は、フィルタ用ロッド48の後端側からフィルタ装着ケース40に挿入され、受け皿45及び支持部46によってモルトフィルタ41を装着する。
【0027】
損傷部11の補修は、上述の構成からなる補修装置4を、漏水管1にモルトフィルタ41が装着されている先端側からケース用ロッド47を押し込みながら挿入していく。作業は、ケース用ロッド47及びフィルタ用ロッド48の後端にケース用ロッド47及びフィルタ用ロッド48を継ぎ足しながら挿入していくこととなる。その際、後のフィルタ装着ケース40の回収作業を考慮してフィルタ用ロッド48をケース用ロッド47より長くなるように接続しておく。また、作業時には、上述の損傷部11の特定作業と同様、漏水管1にレベルを合わせた作業台32を設置し、作業台32上でロッド21の継ぎ足しを行うようにすれば、作業性を向上させることができる。なお、フィルタ用ワイヤ44及びケース用ワイヤ49は、一巻が百メートルから数百メートルのものを用い、挿入の途中で不足しないよう、十分な長さを確保しておく。
【0028】
漏水管1の損傷部11にモルトフィルタ41が到達すると、フィルタ用ロッド48及びケース用ロッド47を固定し、モルトフィルタ41に取り付けられているフィルタ用ワイヤ44を引く。すると、図6に示すように、モルトフィルタ41の先端側の外周でフィルタ用ワイヤ44がビニール袋42を挟んでいる部分におけるフィルタ用ワイヤ44の折り返し部分が吐け口12側(後端側)に移動してくる。その際、フィルタ用ワイヤ44に挟まれたビニール袋42はフィルタ用ワイヤ44の折り返し部分によって簡単に破られていく。そして、フィルタ用ワイヤ44が支持部46の縁に触れるまで引かれると、ビニール袋42はモルトフィルタ41の軸方向に沿って破られた状態となり、圧縮されていたモルトフィルタ41は解放されてもとの大きさに復元しようとして、フィルタ装着ケース40上で膨張する。そして、フィルタ用ロッド48を固定した状態のまま、ケース用ロッド47を吐け口12側に引いてモルトフィルタ41をフィルタ装着ケース40から完全に取り外す。また、モルトフィルタ41の径は、漏水管1の管径より数倍大きいため、圧縮状態が解放されると、復元力で損傷部11に密着する。最後に、フィルタ用ロッド48及びケース用ロッド47を漏水管1内から回収し、作業は終了する。その際、モルトフィルタ41を回収するためのフィルタ用ワイヤ44は、エンビプレート43に案内されてモルトフィルタ41の中心軸に沿ってほぼ同一直線上に配置され、管内に残ることになる。
【0029】
これにより、損傷部11に設置されたモルトフィルタ41は、漏水管1を流れてくる水を通すとともに、損傷部11から侵入してくる水を通すことができる。ただし、土粒子は、モルトフィルタ41の孔の目より大きいために阻止されるか、土粒子がモルトフィルタ41の孔に捕獲されて阻止され、土砂が漏水管1に侵入することはできず、モルトフィルタ41は、フィルタとしての機能を発揮することができる。また、土粒子がモルトフィルタの空隙に詰まることによってさらに目の細かいフィルタを形成するため、モルトフィルタの濾過性能が向上する。また、モルトフィルタ41は、その復元力によって漏水管1内壁に密着しているため、漏水管1のような水流の小さい管内では流されることはなく、鉄板の溶接や硬化性樹脂の融着など接着手段を用いなくても損傷部11に固定することができる。また、上述した施工方法は、大掛かりな電気設備や組立設備を必要とせず、各部材も小さいため、作業性が高く、現場での調達も可能である。
【0030】
なお、本発明は、上記実施の形態に限られるものではなく、補修可能な埋設管は、例えば、小径の下水道の管等にも適用可能である。また、フィルタは、モルトフィルタに限らず、圧縮可能で、水を通し、土砂を通さないものであれば適宜変更可能である。また、ビニール袋を破る機構に変えて包装部材にファスナを設け、ファスナをロープ等で引いてフィルタを解放する方法でも良い。また、補修装置の大きさ及び材質、ワイヤの取り合い方法等も任意であって、本発明の要旨を満たすものであれば変更可能である。また、補修に漏れやミスがないように、例えば、VCH562RB型などのTVカメラを塩化ビニル管に接続し、漏水管内へ挿入して、漏水管内の確認、記録をすることも可能である。
【0033】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、埋設管の断面よりも数倍大きなフィルタを挿入することができる。これにより、包装部材から取り出して圧縮状態を解放した際のフィルタの復元力によってフィルタを埋設管の損傷部に固定させることができる。また、埋設管の損傷部から水だけを埋設管内に流入させることが可能となる。また、土粒子がフィルタの空隙に詰まることによってさらに目の細かいフィルタを形成するため、フィルタの濾過性能が向上する。
【0034】
請求項2記載の発明によれば、フィルタを取り出す際は、あらかじめ設けられた復元手段で包装部材を破るだけの簡単な作業でよいため、複雑な機構を設ける必要がなく、作業を簡単にすることができる。また、包装部材を切断する手段を別途に必要としない。また、包装部材を破る復元手段を手元に備えておけば、包装部材の付近で作業をする必要がなく、包装部材からフィルタを取り出すことができる。
【0035】
請求項3記載の発明によれば、埋設管の損傷部を特定した後で、埋設管の補修に請求項2記載の補修方法を用いているため、どちらも簡単な構造及び作業で、上述の課題を解決することができる。また、大がかりな機械や電気設備を必要としないため、施工工程の短縮、コストの低減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の埋設管の損傷部特定方法について説明するための図である。
【図2】上記埋設管の損傷部特定方法に用いられるエアパッカについて説明するための図である。
【図3】上記埋設管の損傷部特定方法について説明するための図である。
【図4】上記埋設管の損傷部特定方法について説明するための図である。
【図5】上記埋設管の損傷部特定方法について説明するための図である。
【図6】上記埋設管の補修装置について説明するための図である。
【符号の説明】
1 埋設管(漏水管)
2 閉塞部材(エアパッカ)
4 補修装置
11 損傷部
12 開口部(吐け口)
21 導水管(ロッド)
40 フィルタ配置手段(フィルタ装着ケース)
41 フィルタ(モルトフィルタ)
42 包装部材(ビニール袋)
44 復元手段(フィルタ用ワイヤ)
Claims (3)
- 構造物や地盤内に埋設され、かつ、損傷が発生した際に損傷部から内部に漏水及び土砂等の固形物が流入する場合に、該固形物の流入を防止するように前記損傷部を補修する埋設管の補修装置であって、
前記埋設管の径よりも大きく、かつ、該埋設管より小さく圧縮可能で圧縮された状態から復元可能なスポンジ状のフィルタと、
該フィルタを圧縮した状態に包む包装部材と、
該包装部材に圧縮された状態で包まれた前記フィルタを前記埋設管の損傷部の位置に配置するフィルタ配置手段と、
前記埋設管の開口部側からの操作により該包装部材を破って前記フィルタを復元させる復元手段とを備えることを特徴とする埋設管の補修装置。 - 請求項1記載の埋設管の補修装置を用いた埋設管の補修方法であって、
前記フィルタ配置手段により、前記包装部材に圧縮された状態で包まれた前記フィルタを前記埋設管の損傷部に配置した後に、
前記復元手段により前記包装部材を破って前記フィルタを圧縮した状態から前記埋設管の径の範囲で復元させるとともに、復元力により前記フィルタを前記埋設管内に固定することで、前記損傷部からの水の流入を許すとともに、固形物の流入を防止することを特徴とする埋設管の補修方法。 - 構造物や地盤内に埋設され、かつ、損傷が発生した際に損傷部から内部に漏水が生じる埋設管内の任意の位置で膨張して、水が流れないように前記埋設管を閉塞する閉塞部材と、該閉塞部材を貫通するとともに、該閉塞部材の奥側に水がある場合にこの水を前記埋設管の手前側の開口部まで導く導水管とを有する埋設管の損傷部特定装置を用いて、
前記埋設管の任意の位置で前記閉塞部材を膨張させて前記埋設管を閉塞した状態で、前記埋設管の前記開口部と、該開口部側の前記導水管の端部とからのそれぞれの排水の有無を確認することにより、損傷部の位置を特定した後に、
請求項2記載の埋設管の補修方法を用いて位置を特定された前記埋設管の損傷部を補修することを特徴とする埋設管の補修方法。
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