JP4743806B2 - 解砕混合用ミキサ - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、砕石場等にて発生する砕石粉の脱水ケーキ等の塊状物を解砕したり、また塊状物を解砕しながら固化材を混ぜ合わせたり、その他、泥土や飛灰等に固化材等を混ぜ合わせるなど、各種材料の解砕、混合、混練に使用されるミキサに関する。
【0002】
【従来の技術】
砕石場等では砕石を洗浄するなどの湿式処理をしてその廃水処理プロセスから多量の砕石粉脱水ケーキが発生している。この脱水ケーキは粒径の極めて細かい砂質系の微粒子であって、雨水等により容易に泥状化してしまう性状のため、産業廃棄物として埋め立て処分されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、最近では脱水ケーキを廃棄処分せずに有効利用できないかという要望もあり、そのためには固形化した脱水ケーキを細かく砕いて粒状化できれば、固化材等と混合して道路の路盤材等への用途も広がるのではないかと考えられている。
【0004】
本発明は上記の点に鑑み、脱水ケーキ等の塊状物を再利用可能に効果的に解砕する解砕混合用ミキサを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するために、請求項1記載の解砕混合用ミキサにあっては、混合槽内に相反方向に回転する二本の平行な混合軸を配設し、それぞれの混合軸にアームを放射状に所定間隔で複数配設すると共に、該アームの先端に材料を混合槽の内壁に押し当てて擦り潰す擦り潰し羽根と、混合槽の内壁に付着した材料を掻き取る掻き取り羽根とを混合軸と平行な一本の羽根固定ボルトで螺着し、固定ボルトの締緩にてよって擦り潰し羽根と掻き取り羽根をアームに対して角度調整自在に、かつ擦り潰し羽根や掻き取り羽根と混合槽内壁との間に異物が噛み込んで大きな負荷がかかったときには固定ボルトを中心にして擦り潰し羽根や掻き取り羽根が回動して衝撃を逃がせるように構成したことを特徴としている。
【0006】
また、請求項2記載の解砕混合用ミキサにあっては、前記アームの先端と擦り潰し羽根、及び掻き取り羽根との取り付けに補助アームを介在させ、該補助アームのアームへの取り付け箇所にはアームの軸方向に沿ってボルト幅のスリットを穿設し、擦り潰し羽根及び掻き取り羽根をアームの軸方向に対して進退自在に構成したことを特徴としている。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1記載の解砕混合用ミキサによれば、混合軸を回転させて混合槽内でアーム先端に螺着した擦り潰し羽根及び掻き取り羽根を回転させる。このとき、これらの羽根は混合槽の側壁に沿って上昇する方向に回転させる。
【0008】
そして、混合槽内に塊状の脱水ケーキ等を投入すると、擦り潰し羽根が混合槽の底部から側壁へと回転する間に材料を混合槽壁に押し付けて押し潰しながら持ち上げる。また、こうして混合槽壁に押し付けられて付着した材料は掻き取り羽根の回転と共に混合槽壁より掻き取られて混合槽内へと落下し、再び擦り潰し羽根により擦り潰しが行われる。このように、擦り潰し羽根と掻き取り羽根によって材料は擦り潰しの作用を何度も繰り返し受けて細かく解砕されていく。
【0009】
一方、混合槽の壁面と擦り潰し羽根や掻き取り羽根とによって形成される角度が、脱水ケーキの性状等によっては、大き過ぎてミキサに負荷がかかり過ぎたり、或いは小さ過ぎて十分な擦り潰し効果や掻き取り効果が得られなかったりする場合があり、各羽根とアームとを螺着している一本の羽根固定ボルトを軸として各羽根を随時回動させて適宜角度に調整するようにしている。また、各羽根と混合槽壁との間で異物が噛み込んで羽根に大きな負荷がかかかると羽根固定ボルト1本にて軸着しているだけなので固定ボルトを中心にして羽根が回動させられ、衝撃を逃がして羽根やアーム、或いは軸の破損等を防止することができる。
【0010】
また、請求項2記載の解砕混合用ミキサによれば、脱水ケーキの性状によって、アーム先端と補助アームとを螺着するボルトに補助アームのスリットを沿わせて補助アームを摺動させ、それに伴って擦り潰し羽根と掻き取り羽根羽根をアームの軸方向に対して進退させ、混合する材料に応じて羽根先端と混合槽壁との隙間を調整すれば擦り潰し効果や掻き取り効果を十分に発揮させることができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0012】
図中の1は塊状物を解砕混合するミキサであって、混合槽2内に二本の平行な混合軸3、3´を貫通し、混合槽2に固定した軸受4により回転自在に支持している。
【0013】
混合軸3、3´の一端部にはギヤ5、5´を装着して固定すると共に、それぞれのギヤ5、5´を噛合させて混合軸3、3´を同期速度で回転させるようにしている。また、混合軸3、3´の他端部には回転伝達機構としてスプロケット6、6´を装着して固定し、該スプロケット6、6´と駆動用モータ7、7´に取り付けたスプロケット8、8´とをチェーン9、9´により連結し、駆動用モータ7、7´によって混合軸3、3´を図5の矢印で示す方向に回転させる。
【0014】
混合軸3、3´にはアーム10を放射状に配設すると共に、該アーム10の先端には補助アーム11をボルト12で螺着しており、更に前記補助アーム11の先端に塊状物を擦り潰す作用を行う擦り潰し羽根13、または混合槽2に付着した材料を掻き取る作用を行う掻き取り羽根14を混合軸3、3´と平行とした一本の羽根固定ボルト15で螺着し、該羽根固定ボルト15の締緩によってアーム11に対する取り付け角度を調整できるようにしている。
【0015】
前記擦り潰し羽根13は混合軸3、3´の軸心に略平行とした平板状のものであり、混合槽2と擦り潰し羽根13との隙間は、図5に示すように、回転方向の先端部が一番広くて後方になるにしたがって漸次狭くなっており、擦り潰し羽根13と混合槽2の内壁16との隙間に擦り潰そうとする塊状物を噛み込み易く、かつ内壁16に強く押しつけられるようにしている。
【0016】
この擦り潰し羽根13と混合槽2の内壁16との隙間は、塊状物の擦り潰しに影響を与えるため、図6に示すように、アーム10先端と擦り潰し羽根13との間に介した補助アーム11にはアーム10の軸方向に沿ってボルト幅のスリット17を穿設しており、アーム10と補助アーム11とを螺着しているボルト12に前記スリット17を沿わせてスリット17の長さ範囲で補助アーム11を摺動させ、それに伴って擦り潰し羽根13をアーム10の軸方向に対して進退自在に調整できるようにし、脱水ケーキ等の塊状物の性状に応じて擦り潰すのに適切な隙間に調整できるようにしている。なお、この隙間は約5〜40mm程度に調整できるようにし、材料が脱水ケーキであれば約20mm程度の隙間が好ましいと考えられるが、材料によって異なるので実際に材料を混練して適宜調整すると良い。
【0017】
また、擦り潰し羽根13の内壁16に対する角度については、大き過ぎても小さ過ぎても材料の十分な擦り潰し効果は得られず、実験の結果、通常約30度±10度程度に設定すれば優れた擦り潰し効果が得られることが判明している。また、この角度は擦り潰す材料の性状により多少変化するため、図6に示すように、擦り潰し羽根13と補助アーム11とは混合軸3、3´と平行な一本の羽根固定ボルト15で螺着しており、該羽根固定ボルト15の締緩によって擦り潰し羽根13を回動させて塊状物の性状に応じて擦り潰すのに適切な角度に調整できるようにしている。
【0018】
一方、掻き取り羽根14も混合軸3、3´の軸心に略平行とした平板状のものであり、混合槽2と掻き取り羽根14との隙間は、図5に示すように、回転方向の先端部が一番狭くて後方になるにしたがって漸次広くなっている。前記掻き取り羽根14は回転方向先端側の一辺が鋭角な掻き取り刃18を形成しているので、擦り潰し羽根13により混合槽2の内壁16に押し付けられて強固に付着した材料であっても、材料と内壁16の間に掻き取り羽根14の掻き取り刃18が噛み込むようになっており、後は掻き取り羽根14の形状にしたがって付着材料は内壁16より容易に引き剥がされる。
【0019】
この掻き取り羽根14の掻き取り刃18と混合槽2の内壁16との隙間はできるだけ狭い方が良いため、図7に示すように、アーム10先端と掻き取り羽根14との間に介した補助アーム11にも、擦り潰し羽根13の場合と同様にアーム10の軸方向に沿ってボルト幅のスリット17を穿設しており、補助アーム11とアーム10を螺着しているボルト12に前記スリット17を沿わせて補助アーム11を摺動させ、それ伴って掻き取り羽根14をアーム10の軸方向に対して進退自在に調整できるようにし、極力隙間が狭くなるように微調整できるようにしている。
【0020】
また、掻き取り羽根14を螺着した補助アーム11には送り羽根19を固着しており、アーム10の軸心に対して斜め向きに取り付けられていて材料を混合軸3、3´の軸心方向に送り出せるような構造になっており、掻き取り羽根14にて混合槽2の内壁16に付着した材料を掻き取り、それを送り羽根19にて随時軸心方向に送り出して再度擦り潰し羽根13によって擦り潰すようにしている。また、この送り羽根19にはこうした材料の送り出し作用と共に、塊状物の材料を剪断する作用も有していて擦り潰し処理の前処理的な効果もあるので、取り扱う塊状物の大きさや粘性等の性状に応じて羽根の大きさや傾斜角度を適宜選定すると良い。なお、この送り羽根19は掻き取り羽根14側に取り付けているが、掻き取り羽根14側か擦り潰し羽根13側かのいずれか一方、また両側に取り付けても良いし、また独立して取り付けても良い。
【0021】
20は送り羽根19にて一方の混合軸3側の端部まで送り出された材料を他方の混合軸3´側へ送り出す返し羽根であって、該返し羽根20にて混合軸3´側へと送り出された材料は、混合軸3´側の送り羽根19によって再び軸心方向へ送り出されていく。
【0022】
しかして、脱水ケーキ等の塊状の材料をミキサ1にて混合するときには、先ず、擦り潰し羽根13と混合槽2の内壁16との間隔と、擦り潰し羽根13の内壁16に対する角度とを、処理を行う脱水ケーキの性状に応じた状態にそれぞれ予め調整しておく。
【0023】
そして、ミキサ1の混合軸3、3´を回転させながら混合槽2内に脱水ケーキ等の塊状の材料を投入すると、送り羽根19が材料を捕らえて剪断しながら混合槽2の下方へと押し込むように取り込む。この混合槽2の下方に押し込まれた材料は続いて回転してくる擦り潰し羽根13により捕らえられ、擦り潰し羽根13の回転に伴って混合槽2の内壁16に押し当てられながら擦り潰される。擦り潰される際に混合槽2の内壁16に押し付けられて付着した材料は、再度回転してくる掻き取り羽根14により掻き取られて混合槽2内へと落下し、再び擦り潰し羽根13により擦り潰しが行われる。このように、送り羽根19による剪断作用と送り込み作用、擦り潰し羽根13による擦り潰し作用、掻き取り羽根14による掻き取り作用が繰り返されて塊状の材料が次第に細かく解砕されていく。
【0024】
このとき、擦り潰し羽根13による擦り潰し作用だけでは、混合槽2の内壁16に付着する付着物が圧密を起こし、動力負荷が上昇して擦り潰し効率が低下するので、掻き取り羽根14による付着物の掻き取り作用との組み合わせにより効率の良い材料の擦り潰し混合が可能となる。また、擦り潰し作用と掻き取り作用の組み合わせにより掻き取った材料が粒状化する効果も発揮する。
【0025】
ミキサ1はバッチ処理用のために混合軸3、3´のそれぞれの送り羽根17の傾斜は逆にしているので、投入された材料はミキサ1内を混合軸3、3´に沿って周回するように移動し、所定時間解砕すれば混合槽2の底部の排出口を開放して排出される。
【0026】
このように、上記ミキサ1にて脱水ケーキ等の塊状物を解砕して粒状化し再利用可能な状態にすることができ、これによってミキサ1の材料解砕中に種々の固化材等を添加すれば、粒状化した材料と固化材等が良く混合されて所望の製品に仕上げることができるのである。
【0027】
また、擦り潰し羽根13及び掻き取り羽根14と補助アーム11とをそれぞれ混合軸3、3´と平行な一本の羽根固定ボルト15で螺着したことにより、擦り潰し羽根13及び掻き取り羽根14と内壁16とのそれぞれの間に異物が噛み込んだりして大きな負荷がかかると、擦り潰し羽根13や掻き取り羽根14は羽根固定ボルト15を軸として滑って容易に回動するため、衝撃を逃がして装置を破損等から保護することができる。
【0028】
なお、本実施例では、バッチ処理のミキサを例に上げて説明したが、何らバッチ処理のミキサに限定するものではなく、混合槽2の一端部に材料投入口を、他端部に排出口を備えた連続処理用のミキサであっても良く、この場合には混合軸3、3´のそれぞれの送り羽根19は一端の材料投入口から他端の排出口に送り出すような角度を有するものとする。
【0029】
なお、図8は、擦り潰し羽根13及び掻き取り羽根14の内壁16までの隙間を調整する機能を省略し、アーム10と擦り潰し羽根13及び掻き取り羽根14とを一本の羽根固定ボルト15で螺着したものである。図5と同一符号は同一構成要素を示す。解砕処理を行う材料の性状が安定しておれば一本の羽根固定ボルト15の締結による羽根角度調整機能と異物噛み込時の衝撃防止機能を有しているだけでも十分な効果を発揮する。
【0030】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1記載の解砕混合用ミキサによれば、混合槽内に相反方向に回転する二本の平行な混合軸を配設し、それぞれの混合軸にアームを放射状に所定間隔で複数配設すると共に、該アームの先端に材料を混合槽の内壁に押し当てて擦り潰す擦り潰し羽根と、混合槽の内壁に付着した材料を掻き取る掻き取り羽根とを混合軸と平行な一本の羽根固定ボルトで螺着し、固定ボルトの締緩にてよって擦り潰し羽根と掻き取り羽根をアームに対して角度調整自在に、かつ擦り潰し羽根や掻き取り羽根と混合槽内壁との間に異物が噛み込んで大きな負荷がかかったときには固定ボルトを中心にして擦り潰し羽根や掻き取り羽根が回動して衝撃を逃がせるように構成したので、擦り潰し羽根と掻き取り羽根を適度な角度に調整して十分な擦り潰し効果や掻き取り効果を発揮でき脱水ケーキ等の塊状物を解砕粒状化させて再利用可能な状態とすることができる。また、各羽根と混合槽壁との間に異物が噛み込んでも羽根固定ボルト1本にて軸着しているだけなので回動して衝撃を逃がし、羽根やアーム、或いは軸の破損等を防止できる。
【0031】
また、請求項2記載の解砕混合用ミキサによれば、前記アームの先端と擦り潰し羽根、及び掻き取り羽根との取り付けに補助アームを介在させ、該補助アームのアームへの取り付け箇所にはアームの軸方向に沿ってボルト幅のスリットを穿設し、擦り潰し羽根及び掻き取り羽根をアームの軸方向に対して進退自在に構成したので、混合槽と擦り潰し羽根との隙間を塊状物の性状に応じて擦り潰すのに適切な幅にその都度容易に調整でき、また混合槽と掻き取り羽根との隙間は混合槽の内壁の付着材料をきれいに掻き取れるようにできるだけ狭く微調整することができて脱水ケーキ等の塊状物を解砕粒状化するに好適なミキサとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る解砕混合用ミキサの一実施例を示す正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の一部を切り欠いた要部拡大図である。
【図4】図3の平面図である。
【図5】図4のA−A線断面図である。
【図6】図5の擦り潰し羽根部分の拡大図である。
【図7】図5の掻き取り羽根部分の拡大図である。
【図8】別の実施例を示す図5に相当する図である。
【符号の説明】
1…ミキサ 2…混合槽
3、3´…混合軸 10…アーム
11…補助アーム 13…擦り潰し羽根
14…掻き取り羽根 15…ボルト
16…内壁 17…スリット
19…送り羽根
Claims (2)
- 混合槽内に相反方向に回転する二本の平行な混合軸を配設し、それぞれの混合軸にアームを放射状に所定間隔で複数配設すると共に、該アームの先端に材料を混合槽の内壁に押し当てて擦り潰す擦り潰し羽根と、混合槽の内壁に付着した材料を掻き取る掻き取り羽根とを混合軸と平行な一本の羽根固定ボルトで螺着し、固定ボルトの締緩にてよって擦り潰し羽根と掻き取り羽根をアームに対して角度調整自在に、かつ擦り潰し羽根や掻き取り羽根と混合槽内壁との間に異物が噛み込んで大きな負荷がかかったときには固定ボルトを中心にして擦り潰し羽根や掻き取り羽根が回動して衝撃を逃がせるように構成したことを特徴とする解砕混合用ミキサ。
- 前記アームの先端と擦り潰し羽根、及び掻き取り羽根との取り付けに補助アームを介在させ、該補助アームのアームへの取り付け箇所にはアームの軸方向に沿ってボルト幅のスリットを穿設し、擦り潰し羽根及び掻き取り羽根をアームの軸方向に対して進退自在に構成したことを特徴とする請求項1記載の解砕混合用ミキサ。
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