JP4743713B2 - 赤飯等、豆入り米飯の素およびその製造方法 - Google Patents

赤飯等、豆入り米飯の素およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、家庭で洗米済のもち米と炊飯器を利用して、赤飯を簡単かつ容易に炊飯できる赤飯の素をはじめとする豆入り米飯のもとの製造方法に関するものである。
豆入り米飯として、たとえば赤飯であれば次にあげるような調理方法がとられる。
(1)小豆またはささげ豆の豆類を水で煮込む。
(2)一旦煮汁と茹で豆類を分け、予め洗米したもち米を煮汁に漬けておく。なお、色鮮やかに仕上げるため、もち米を漬ける前に、煮汁を空気に触れさせる作業を適宜入れてもよい。
(3)もち米を煮汁ごと火にかけ、食塩などを添加し調味した上で水分をもち米に吸わせる。
(4)先にとりわけた豆類をもち米と合わせ蒸し器で蒸す。それぞれの調理過程で煮込み時間、漬け時間、蒸し時間がかかる上に豆類が腹われないように微妙な火加減が要求され、難易度が高く煩雑な調理であるといえる。
そこで、家庭で常備されている電気式やガス式の炊飯器を利用して簡単に赤飯を調理できるように、予め豆類を調理加工し、家庭において洗米済のもち米とあわせて炊飯するだけでよい耐熱性容器包装入り赤飯の素加工品がいくつか考案されている。
たとえば、特許文献1で、洗浄後に水切りした豆類を水又は食塩水と共に、耐熱性容器包装に収容し、脱気、密封したのち、密封容器内において温度100℃〜135℃、加熱時間10分から30分加圧加熱処理する方法が報告されている。この方法では、豆類は水又は食塩水と共に収容して加圧加熱処理されているので、加圧加熱処理中あるいは炊飯時に豆類の腹われが多い上に豆類が非常にやわらかく、食感が悪い。
更に、特許文献1の方法では豆の食感が良くないとして、洗浄後に水切りした豆類を蒸し器で膨潤させ、膨潤させた豆類を耐熱性容器包装内に入れて真空包装し、真空包装した豆類を加圧過熱殺菌処理する方法も報告されている(特許文献2)。この方法では、豆を蒸すという工程が必要であるため製造設備に蒸し器が必要となり製造工程が複雑になる。また、炊飯調理時に熱湯を入れて放置する、あるいは豆をいったん茹でるなどの色出し作業が必要となり炊飯時の簡便性がそこなわれる。
その他には、前処理後乾燥させた小豆と、煮汁を顆粒状に乾燥させたもの、もち米をセットにした赤飯の素の提案もある(特許文献3)。この方法では、一旦吸水させた小豆を再度乾燥させねばならず、加工工程が煩雑であること、乾燥工程で煮汁の風味・色調が劣化するため好ましくない。
特開平9−172991 特開2003−339334 特開2004−165
家庭で常備されている電気式やガス式の炊飯器を利用して簡単に自然な風合いで、腹われが少なく風味、食感も良好な赤飯を調理できるように、予め豆類を調理加工し、洗米済のもち米とあわせて炊飯するだけでよい耐熱性容器包装入り赤飯の素をはじめとする豆入り米飯のもとおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、豆入り米飯のもとおよびその製造法に関するものであるが、代表的な例として赤飯についてコメントする。上記実情に鑑み、洗浄した豆類原料を茹で、茹で水を捨ててアク抜きした後、乳酸カルシウムを含む水または調味液と共に、耐熱性容器包装に収容し、脱気後密封し、密閉容器中において、第一段階として温度50〜90℃、好ましくは50〜70℃、さらに好ましくは57〜65℃で10〜60分、好ましくは20〜40分処理し、第二段階として温度100〜135℃、好ましくは110〜125℃で5〜60分間処理するという二段階の加熱条件で加熱、および加圧加熱処理して赤飯の素を製造する。
本発明により、複雑な製造工程を必要とせずに、腹われが少なく、風味がよく保存性の良い豆入り米飯のもとを容易に製造することができる。赤飯の素に限れば、自然な赤色で風味がよく保存性の良い赤飯の素を容易に製造することができる。
以下に、赤飯のもとを代表例として、本発明についてコメントする。
赤飯のもとにおいて使用する原料となる豆類としては、従来より赤飯用に使用されている小豆、ささげ豆等を使用することができる。これら豆類は使用に際しては十分に汚れやゴミを取り除くために水による洗浄を行い、洗浄後は直ちに水切りを行う。
洗浄後、水切りした豆類は、水または調味液とともに耐熱性容器包装に入れて密封する。密封する前に、一度水で茹でた後、茹で水を捨てるアク抜き処理を行うと最終的に豆類の風味が良くなるためより好ましい。
豆類と共に耐熱性容器包装に入れる水または調味液には、乳酸カルシウムが含まれる。乳酸カルシウムは、水100重量部に対して0.1〜1.0重量部、好ましくは0.3〜0.6重量部使用するのがよい。0.1重量部に満たないと豆類の食感改善及び腹われ防止の効果がなく、1.0重量部を超えると後口に苦味が出て風味上好ましくない。
調味液に配合する調味原料は、食塩、糖類、調味目的の食品添加物等赤飯の風味をより向上させる目的で配合するもので、特に種類を選ばない。これらは単独で、あるいは適宜組み合わせて用いることができる。
豆類と、乳酸カルシウムを含む水または調味液との重量比は、好ましくは洗浄前の豆類の1に対して2〜7倍、より好ましくは3〜4倍とする。豆類に対する乳酸カルシウムを含む水または調味液の重量比が2倍未満の場合には、水分が少ないため耐熱性容器包装内で豆の膨潤が十分に行われない。また、この重量比が7倍を超えると、乳酸カルシウムが最終炊飯品の風味に及ぼす影響が大きくなると共に、豆自体の色が薄れるため好ましくない。
豆類を密封する耐熱性容器包装としては、耐熱性のプラスチック袋やプラスチック容器類、あるいはアルミパックのような金属製の袋又は容器類が使用されるが、このうちプラスチック袋やプラスチック容器類は、適度の遮光性を有する非通気性および非透湿性のものであることが好ましい。
耐熱性容器包装に収容された後、密封する際には、酸素による風味・色調の劣化を抑制するため、できるだけ空気を含まないように密封することが望ましい。容器包装を収容したチャンバー内を真空引きして脱気包装する方法、真空引き後窒素ガス、炭酸ガスなどを吹き込んで空気を置換する方法など定法に従えばよい。
脱気包装された豆類と乳酸カルシウムを含む水または調味液は、耐熱容器包装ごと密閉容器内で加圧加熱処理される。この加圧加熱処理に使用される密閉容器としてはレトルト釜などの使用が好ましい。
使用するレトルト釜は、形態、性能により特に限定されるものでない。使用される加熱媒体により、熱水循環式、熱水循環スプレー式、蒸気式、熱水循環蒸気インジェクション式などが挙げられるが、二段階の加熱温度間の昇温を迅速に行える、熱水循環スプレー式、蒸気式、熱水循環蒸気インジェクション式が好ましい。
加熱処理条件は、雰囲気中で温度50〜90℃、好ましくは50〜70℃、さらに好ましくは57〜65℃で10〜60分、好ましくは20〜40分で第一段階の加熱処理を行う。続いて、100〜135℃、好ましくは110〜125℃で5〜60分間の第二段階の加熱処理をおこなうものである。
第一段階の加熱処理は、100℃以下で処理されるため、加圧してもしなくてもよい。また、第一段階の加熱処理は、加熱処理温度が50℃未満または70℃を超える場合は、豆類の食感改善効果が得られず、やわらかいままであり、炊飯時に腹割れの発生が甚だしい。処理時間が10分未満では同様に豆類の食感改善効果が得られず、やわらかいままである。処理時間が60分を越えても、豆類の食感改善は達成されるが、更に向上するものではなく、60分以下とするのは60分で十分の効果があるという意味であり、60分を超えてはならないということではない。
第二段階の加熱処理は、殺菌の目的であり、100℃以上で処理されるため、加圧する必要がある。また、第二段階の加熱処理は、加熱処理温度100℃未満では、充分な殺菌効果が得られない。加熱処理温度135℃を越える場合は、耐熱性容器包装の酸素透過度や水蒸気透過度といったバリア性が低下し、内容物の褐変や風味の劣化が顕著になり好ましくない。加熱処理時間は、殺菌に必要な加熱処理温度にみあった加熱処理時間を定法に従って設定すればよい。
本特許願に示したような腹われを減らし、風味、食感も良好とする効果は、小豆またはささげ豆に限らず、大豆、空豆等、豆類全般に見られる。しかしながら、小豆またはささげ豆を用いた赤飯において、とくに顕著である。
家庭においては、このようにして製造した豆ご飯のもとと米をあわせ、適宜水を加え、家庭で常備されている電気式やガス式の炊飯器を利用して、誰にでも簡単に豆ご飯を失敗することなく炊くことができる。また、この豆ご飯のもとと、生の米をセットで販売すれば、家庭において他の原料を準備する手間もなく、豆ご飯を炊くことも可能である。
以下、実施例、比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
40gのささげ豆を計量し、十分に水洗いしてゴミ、汚れを取り除いたのち、直ちに水きりし、5倍量の水で茹でる。90℃以上で3分間茹でた後液を切り、これをレトルト袋内に食塩濃度0.2%、乳酸カルシウム濃度0.5%、砂糖濃度3.0%の調味液130gと共に投入し、袋を脱気、密封する。この袋をレトルト釜で、60℃30分間、120℃25分間加圧加熱殺菌を行った。得られた赤飯の素を袋から出して観察したところ、艶のある、割れの少ない豆ときれいな赤色を保持した調味液を得ることができた。
得られた赤飯の素と、無洗もち米280g、水200gを炊飯器に入れスイッチを入れて炊き上げた。得られた赤飯は豆の腹われもほとんどなく、食感もあり、風味も良いものであった。この赤飯の素を密封した袋のまま約6ヶ月20℃の定温室で保存したのち、袋を開けて中身を取り出し観察したところ、綺麗な色を保持し、食感、風味とも変化はみられなかった。
(実施例2)
実施例1で用いたささげ豆に代えて小豆を使用した以外は、実施例1と同様にして小豆からなる赤飯の素を得た。得られた赤飯は外観、風味、食感とも良好なものであった。得られた赤飯の素と、無洗もち米280g、水200gを炊飯器に入れスイッチを入れて炊き上げた。得られた赤飯は豆の腹われもほとんどなく、食感もあり、風味も良いものであった。この赤飯の素を密封した袋のまま約6ヶ月20℃の定温室で保存したのち、袋を開けて中身を取り出し観察したところ、綺麗な色を保持し、食感、風味とも変化はみられなかった。
(実施例3)
実施例1と同様にて得られた赤飯の素と、無洗もち米280g、無洗うるち米160g、水460gを炊飯器に入れスイッチを入れて炊き上げた。得られた赤飯は豆の腹われもほとんどなく、食感もあり、風味も良いものであった。
(比較例1)
40gのささげを計量し、十分に水洗いしてゴミ、汚れを取り除いたのち、直ちに水きりし、5倍量の水で茹でる。90℃以上で3分間茹でた後液を切り、これをレトルト袋内に食塩濃度0.2%、乳酸カルシウム濃度0.5%、砂糖濃度3.0%の調味液130gと共に投入し、袋を脱気、密封する。この袋をレトルト釜で、120℃15分間加圧加熱殺菌を行った。得られた赤飯の素を袋から出して観察したところ、得られた赤飯は豆の腹われが実施例1と比較してやや多く、食感も柔らかいが、風味は良い。
得られた赤飯の素と、無洗もち米280g、水200gを炊飯器に入れスイッチを入れて炊き上げた。得られた赤飯は豆の50%以上が腹われを発生しており、食感がやわらかいものであった。
本発明の赤飯の素によれば、複雑な製造工程を必要とせずに、腹われが少なく、自然な色調で風味、食感が良い赤飯の素を容易に製造することができる。

Claims (3)

  1. 豆類原料を洗浄後水切りし、乳酸カルシウム単独または乳酸カルシウム及びその他調味料を含有する調味液と共に耐熱容器包装に収容後密封し、温度50℃〜70℃で10〜60分と温度100℃〜135℃で5〜60分の二段階の加熱温度で加熱、および加圧加熱処理し、豆類と、乳酸カルシウムを含む水または調味液との重量比は、洗浄前の豆類の1に対して2〜7倍であることを特徴とする豆入り米飯の素の製造方法。
  2. 豆類が小豆またはささげ豆であることを特徴とする請求項1記載の豆入り米飯の素の製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の製造方法により得られた豆入り米飯の素と、生のもち米、生のうるち米、生のもち米とうるち米の混合物のいずれかをセットしてなる豆入り米飯の素セット
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