JP4743091B2 - 自動販売機 - Google Patents

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Description

本発明は、自動販売機に関し、より詳細には、例えばICカード等の記録媒体との間で決済処理を実施する自動販売機に関するものである。
従来、いわゆる「電子マネーカード」と称されるICカード等の記録媒体に有価価値情報を記録させ、この有価価値情報を用いて商品やサービスの代価を決済するようにした電子決済システムが種々提供されている。これらの電子決済システムは、決済に際して現金を持ち合わせる必要がないため、利用者側の利便性のみならず、店舗側においても決済処理を容易化することができる等の利点がある。しかも、セキュリティの面も考慮されており、電子決済端末機器に用意された電子決済モジュールとの間において相互認証処理を実施し、相互認証が成立した場合にのみ電子マネーカードに対して電子決済処理が実施されることになる。つまり、電子マネーカードにおいては、相互認証が成立した電子決済モジュールのみが読み書きを行うことのできるセキュアな記憶領域に有価価値情報を記録することによって所定のセキュリティが確保されている。
ここで、上述の電子決済モジュールは、それぞれの電子決済システムで独自に開発されたものが殆どであり、電子決済システムが相違する電子マネーカードとの間において相互認証が成立することはなく、当然に有価価値情報の読み書きを行うことも不可能である。従って、例えば、利用者が一の電子決済事業者の電子決済システムに対応した電子マネーカードを所有しているとしても、店舗側の電子決済端末機器が他の電子決済事業者の電子決済システムに対応した電子決済モジュールを備えたものである場合には、利用者の提示した電子マネーカードを取り扱うことができず、電子決済を行うこともできない。
近年、複数の決済サービス情報が記録された記録媒体(ICカード、携帯電話等)が普及しており、かかる記録媒体に対応するためには、店舗側にそれぞれの電子決済システムに対応した数だけ電子決済端末機器を用意することで解決することは可能である。しかしながら、店舗側にあっては、複数の電子決済端末機器を設置するための大きなスペースが必要になるとともに導入コストも膨大なものとなり、結果として、電子決済本来の利便性が著しく損なわれることになる。
そこで、上記ICカード等のような複数の決済サービス情報が記録された記録媒体から決済サービス情報を読み出して、読み出された種々の決済サービス情報から一の決済サービス情報を選択することにより、取引対象となる電子端末機器との間で電子決済処理を実施できるようにした携帯端末機器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−256751号公報
ところが、上述したような携帯端末機器では、利用者側がICカードを使用する場合に常に携帯していなければならず、利便性の観点から優れたものとはいえない。また、現状において複数の決済サービス情報が記録された記録媒体との間で電子決済処理が可能な自動販売機は存在していない。
本発明は、上記実情に鑑みて、決済サービス情報が記録された記録媒体との間での決済処理の実施が可能であり、しかも利便性の向上を図ることができる自動販売機を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の請求項1に係る自動販売機は、機内に収容された商品を販売する自動販売機において、適用対象となる決済サービス情報ごとに設けられ、決済サービス情報を選択するための選択手段と、所定の通信可能領域に記録媒体が保持される前に前記選択手段を通じて決済サービス情報が選択された場合に、決済サービス情報が記録されており、かつ前記通信可能領域に保持された記録媒体との間で、選択された決済サービス情報に基づいて決済処理を実施する決済処理手段と、前記選択手段を通じて決済サービス情報が選択された場合であって該決済サービス情報に基づく決済処理の実施が可能であるときには、実施可能である旨を表示する一方、前記選択手段を通じて選択された決済サービス情報での決済処理の実施が不可能な場合には、実施不可能である旨を表示する表示手段と、前記選択手段を通じて決済サービス情報が選択される前に前記記録媒体が所定の通信可能領域に保持された場合に、前記選択手段による決済サービス情報の選択を促す選択促進手段とを備え、前記表示手段と前記選択促進手段とは、前記選択手段に内蔵されることを特徴とする。
また、本発明の請求項に係る自動販売機は、上述した請求項において、前記選択促進手段は、所定の通信可能領域に保持された前記記録媒体に記録されている決済サービス情報を読み出し、読み出した決済サービス情報の選択を促すことを特徴とする。
本発明によれば、適用対象となる決済サービス情報ごとに設けられた選択手段を通じて決済サービス情報を選択し、選択された決済サービス情報に基づいて記録媒体との間で決済処理を実施するので、決済サービス情報が記録された記録媒体との間で決済が可能であり、しかも利用者は、当該記録媒体のみを保有していれば良く、利便性の向上を図ることができ、特に、選択手段を通じて決済サービス情報を直接的に選択することができるので、利用者に対しての説明を必要とせず、利用者が簡単な操作で利用することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照しながら、本発明に係る自動販売機の好適な実施の形態について詳細に説明する。
<実施の形態1>
図1および図2は、それぞれ本発明の実施の形態1における自動販売機を模式的に示したものであり、図1は斜視図であり、図2は内部構成を簡略的に示した説明図である。また、図3は本発明の実施の形態1における自動販売機の制御系を示すブロック図である。ここに例示する自動販売機は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのもので、本体キャビネット1を備えている。
本体キャビネット1は、前面が開口した直方状の断熱筐体として形成したものである。この本体キャビネット1の内部には、複数のコラム2が左右、前後に並設してある。各コラム2には、同一種類の商品が上下方向に沿って収納してある。コラム2の下方部には、商品搬出機3が設けてある。商品搬出機3は、指令が与えられた場合に、対応するコラム2に収納された商品群のうち最下段にあるものを一つずつ搬出するものである。搬出された商品は、商品シュータ(図示せず)等を転動した後に、後述する商品取出口10に至る。
上記自動販売機には、本体キャビネット1の一側縁部に外扉4が設けてある。外扉4は、本体キャビネット1の前面開口を開閉するものであり、前面側にディスプレイウィンドウ5、硬貨投入口6、紙幣挿入口7、金額表示器8、硬貨返却口9、商品取出口10、商品選択ボタン11、電子決済選択ボタン(選択手段)12、リーダライタ部13が設けてある一方、外扉4の後面側には、硬貨処理機14(図3参照)、硬貨回収箱(図示せず)、紙幣処理機15(図3参照)が設けてある。
ディスプレイウィンドウ5は、商品見本16を利用者に視認させるための窓である。硬貨投入口6は、利用者が硬貨を投入するための開口である。この硬貨投入口6を通じて投入された硬貨は、硬貨処理機14においてその金種が識別され、その後硬貨回収箱に収容される。紙幣挿入口7は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口7を通じて挿入された紙幣は、紙幣処理機15においてその金種が識別される。また、上記紙幣挿入口7は、紙幣処理機15において識別できなかった紙幣を返却するための機能を有している。金額表示器8は、貨幣の投入金額等を表示するためのものである。硬貨返却口9は、硬貨処理機14において識別できなかった硬貨、あるいは釣銭となる硬貨を利用者に返却するための開口である。また、硬貨返却口9は、利用者が返却レバー17を操作することにより、硬貨投入口6を通じて投入された硬貨を返却するための機能を有している。商品取出口10は、商品搬出機3により搬出されたコラム2内の商品を利用者が取り出すための開口である。
商品選択ボタン11は、利用者が購入商品を選択するための押ボタンスイッチであり、ディスプレイウィンドウ5を通じて視認される商品見本16ごとに用意してある。かかる商品選択ボタン11は、押下された場合には、割り付けられた商品等に関する情報を商品信号として後述する基本動作制御部30に出力するものである。
電子決済選択ボタン12は、適用対象となる決済サービス情報ごとに設けられ、決済サービス情報を選択するため押ボタンスイッチである。本実施の形態1における自動販売機は、例えば決済サービス情報A、B、C、Dの合計4つを適用対象としており、電子決済選択ボタン12が4つ設けてある。電子決済選択ボタン12は、押下されて決済サービス情報が選択されると、選択された決済サービス情報を電子決済選択信号として後述する電子決済制御部40に出力するものである。
そのような電子決済選択ボタン12は、表示機構(表示手段)12aを内蔵している。表示機構12aは、2つに区画された領域内にLED等を配置して構成したものであり、図4および図5に示すように、押下された電子決済選択ボタン12に割り付けられた決済サービス情報に基づく決済処理の実施が可能である場合には、電子決済制御部40からの指令に基づき一の区画のLEDを点灯させて例えば「選択中」のように決済処理が実施可能である旨を表示する一方、押下された電子決済選択ボタン12に割り付けられた決済サービス情報での決済処理の実施が不可能な場合には、電子決済制御部40からの指令に基づき他の区画のLEDを点灯させて例えば「受付不可」のように決済処理の実施が不可能である旨を表示するものである。
リーダライタ部13は、所定のアクセス領域(通信可能領域)に電子マネーカード20が配置された場合に、後述する電子マネーカード20のICメモリ21に対して情報の読み書きが可能になるとともに、IC制御部22に対して情報の送受信を行うことが可能になるものである。このリーダライタ部13は、電子マネーカード20が所定のアクセス領域に配置されると、電子マネーカード20が保持された旨を保持信号として電子決済制御部40に出力するものである。
ここで、電子マネーカード20は、ICチップを備えた非接触式のICカードであり、図6に示すように、ICメモリ21およびIC制御部22を備えている。ICメモリ21は、決済処理を実施する場合に必要となる決済サービス情報23を記録したものである。本実施の形態1では、事業者識別情報23aと有価価値情報23bとによって決済サービス情報23が構成してあり、事業者の異なる複数の決済サービス情報23が電子マネーカード20のICメモリ21に各別に記録してある。事業者識別情報23aは、電子決済事業者を識別するためのものであり、ICメモリ21の共有領域に平文の状態で記録されている。有価価値情報23bは、決済処理を実施する場合に代金として用いられる電子的有価価値であり、事業者ごとに個別の認証が必要となるICメモリ21のセキュアなメモリ領域にそれぞれ事業者ごとに異なる暗号化処理が施された状態で記録してある。IC制御部22は、ICメモリ21に記録された決済サービス情報23の管理を主機能とするものである。本実施の形態1における電子マネーカード20は、複数(例えば3つ)の決済サービス情報23が記録された記録媒体である。具体的には、A、B、Cの合計3つの決済サービス情報23が記録されている。これにより、本実施の形態1においては、電子マネーカード20のICメモリ21に対して非接触の状態で情報の読み書きを行うことができるリーダライタ部13を適用している。
上記自動販売機は、上記構成要素の他に、基本動作制御部30および電子決済制御部40を有している。
基本動作制御部30は、基本動作メモリ31に予め格納されたプログラムやデータ等により自動販売機の基本動作、すなわち商品選択、金銭処理および商品搬出等の各動作の統括的な制御を行うものである。特に、基本動作制御部30は、押下された商品選択ボタン11から商品信号が出力された場合には、かかる商品信号に含まれる商品の決済金額を決済金額信号として電子決済制御部40に対して出力するものであり、また、後述するように電子決済制御部40からの決済処理終了信号が与えられることにより、商品搬出動作の制御を行うものである。
電子決済制御部40は、予め電子決済メモリ41に記録されたプログラムやデータ、並びに基本動作制御部30を通じて与えられた指令や情報にしたがって、電子決済処理の統括的な制御を行うものであり、決済処理部40a、表示処理部40bおよびタイマー部40cを備えて構成してある。
決済処理部40aは、リーダライタ部13を通じて電子マネーカード20の決済サービス情報23が与えられた場合、この決済サービス情報23が対応するものであることを条件に、決済処理の実施が可能になるものである。決済処理部40aの実施する決済処理とは、決済金額が与えられた場合に決済サービス情報23に含まれた事業者識別情報23aに基づいて対応する有価価値情報23bの減算処理を実施し、その後、決済処理が終了した旨を決済処理終了信号として上述した基本動作制御部30に出力するものである。尚、ICメモリ21に記録された有価価値情報23bに対して減算処理を行う場合に必要となる事業者ごとの認証鍵、暗号鍵および復号鍵は、予め決済処理部40aに用意されているものとする。また本実施の形態1では、決済処理部40aがA、B、C、Dの合計4つの決済サービス情報23に対応しているものとする。
表示処理部40bは、決済処理部40aを通じての電子決済処理が可能である場合には、表示機構12aに指令を与えて一の区画内にあるLEDを点灯させ、「選択中」である旨を表示させる一方(図4参照)、決済処理部40aを通じての電子決済処理が不可能な場合には、表示機構12aに指令を与えて他の区画内にあるLEDを点灯させ、「受付不可」である旨を表示させるものである(図5参照)。ここに、決済処理部40aを通じての電子決済処理が可能であるか否かの判断は、電子決済メモリ41に格納してあるデータやプログラム等に基づいて行われる。尚、図4および図5では、決済サービス情報A(23)に対応する電子決済選択ボタン12が押下され、かかる決済サービス情報A(23)での電子決済処理が可能な場合および不可能な場合の表示について示している。タイマー部40cは、時間を計測するものである。
図7は、上述した電子決済制御部が実施する電子決済処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図7を参照しながら、本実施の形態1における自動販売機において商品の代金を電子マネー決済処理する場合について説明する。尚、以下においては、説明の便宜上、決済サービス情報A(23)が選択されたものとして説明する。
この自動販売機では、商品選択待機状態となっており、利用者により商品選択ボタン11が押下されると商品信号が出力され、これにより基本動作制御部30は、商品信号を入力すると、該商品信号に含まれる商品の決済金額を決済金額信号として電子決済制御部40に対して出力する。このようにして決済金額信号が電子決済制御部40に与えられると(ステップS101:YES)、電子決済制御部40によって電子決済選択ボタン12が押下待機状態となる(ステップS102、ステップS103)。電子決済制御部40は、タイマー部40cを通じて予め設定した時間が経過すると(ステップS103:YES)、後述の処理を実施することなく今回の処理を終了する。
これに対し電子決済選択ボタン12の押下待機状態において決済サービス情報A(23)に対応する電子決済選択ボタン12が押下されると、すなわち決済サービス情報A(23)が選択されると(ステップS102:YES)、電子決済制御部40は、表示処理部40bを通じて電子決済処理が可能であるか否かを判断する(ステップS104)。そして、電子決済処理が不可能であると判断した場合には(ステップS104:NO)、表示機構12aに電子決済処理が不可能である旨を表示させる(ステップS105)。すなわち、図5に示すように、表示機構12aに指令を与えて他の区画内にあるLEDを点灯させ、「受付不可」である旨を表示させる。このように表示をすることにより、利用者に対して選択された決済サービス情報A(23)での電子決済処理が不可能であることを早期に報知することができる。これにより、利用者も選択した決済サービス情報A(23)での電子決済処理ができない旨を認識することができる。上記ステップS105で電子決済処理が不可能である旨を表示した後、後述の処理を実施することなく今回の処理を終了する。
一方、上記ステップS104において電子決済処理が可能であると判断した場合には(ステップS104:YES)、電子決済制御部40は、表示処理部40bを通じて表示機構12aに電子決済処理が可能である旨を表示させる(ステップS106)。すなわち、図4に示すように、表示機構12aに指令を与えて一の区画内にあるLEDを点灯させ、「選択中」である旨を表示させる。このように表示をすることにより、利用者に対して選択された決済サービス情報A(23)での電子決済処理が可能であることを早期に報知することができる。これにより、利用者も選択した決済サービス情報A(23)での電子決済処理が可能であることを認識することができる。
電子決済処理が可能である旨を表示させると、電子決済制御部40によってリーダライタ部13が電子マネーカード20の読取待機状態となる(ステップS107、ステップS108)。電子決済制御部40は、タイマー部40cを通じて予め設定した時間が経過すると(ステップS108:YES)、後述の処理を実施することなく今回の処理を終了する。
これに対し読取待機状態においてリーダライタ部13のアクセス領域に電子マネーカード20が配置され、IC制御部22からのカードセンス応答によりこれを確認すると(ステップS107:YES)、上記ステップS102で選択された決済サービス情報A(23)に基づき、決済処理部40aを通じて決済処理を実施する(ステップS109)。この決済処理の実施により、電子マネーカード20に記録された決済サービス情報A(23)の有価価値情報23bが減算処理される。このような決済処理が行われて、今回の処理を終了する。
このようにして決済処理が行われると、決済処理部40a(電子決済制御部40)から基本動作制御部30に決済処理終了信号が出力される。その結果、決済処理信号が与えられた基本動作制御部30は、商品搬出機3を通じて選択された商品を搬出させる。これにより、搬出された商品は商品取出口10に導かれ、利用者が商品取出口10より商品を受け取ることができる。
以上説明したように、自動販売機によれば、適用対象となる決済サービス情報23ごとに設けられたいずれかの電子決済選択ボタン12を押下することにより決済サービス情報23を選択し、選択された決済サービス情報23に基づいて電子マネーカード20との間で決済処理を実施するので、決済サービス情報23が記録された電子マネーカード20との間で決済が可能であり、しかも利用者は、当該電子マネーカード20のみを保有していれば良く、利便性の向上を図ることができる。特に、上記自動販売機では、電子決済選択ボタン12を押下することにより決済サービス情報23を直接的に選択することができるので、利用者に対しての説明を必要とせず、利用者が簡単な操作で利用することでき、利便性のさらなる向上を図ることができる。
上述した実施の形態1では、電子マネーカード20は、複数の決済サービス情報23が記録されたものであるが、本発明はこれに限定されず、一つの決済サービス情報23が記録された記録媒体(電子マネーカード20)であっても用いることができる。
上述した実施の形態1では、選択手段の一例として電子決済選択ボタン12を示したが、本発明では、これら電子決済選択ボタン12以外に、一旦選択した決済サービス情報23を取り消すための取消ボタンを設けても構わない。
上述した実施の形態1では、電子決済選択ボタン12を押下して決済サービス情報23を選択した後に、電子決済制御部40(決済処理部40a)を通じて電子決済処理を実施していたが、本発明ではこれに限定されず、電子決済選択ボタン12が押下されずに、すなわち決済サービス情報23が選択されずに電子マネーカードがリーダライタ部13のアクセス領域に配置された場合、かかる電子マネーカードに記録されている決済サービス情報が1つであれば、かかる決済サービス情報に基づいて電子決済処理を行っても構わない。
<実施の形態2>
図8および図9は、それぞれ本発明の実施の形態2における自動販売機を模式的に示したものであり、図8は斜視図であり、図9は内部構成を簡略的に示した説明図である。また、図10は本発明の実施の形態2における自動販売機の制御系を示すブロック図である。ここに例示する自動販売機は、缶入り飲料やペットボトル入り飲料等の商品を販売するためのもので、本体キャビネット100を備えている。
本体キャビネット100は、前面が開口した直方状の断熱筐体として形成したものである。この本体キャビネット100の内部には、複数のコラム102が左右、前後に並設してある。各コラム102には、同一種類の商品が上下方向に沿って収納してある。コラム102の下方部には、商品搬出機103が設けてある。商品搬出機103は、指令が与えられた場合に、対応するコラム102に収納された商品群のうち最下段にあるものを一つずつ搬出するものである。搬出された商品は、商品シュータ(図示せず)等を転動した後に、後述する商品取出口110に至る。
上記自動販売機には、本体キャビネット100の一側縁部に外扉104が設けてある。外扉104は、本体キャビネット100の前面開口を開閉するものであり、前面側にディスプレイウィンドウ105、硬貨投入口106、紙幣挿入口107、金額表示器108、硬貨返却口109、商品取出口110、商品選択ボタン111、電子決済選択ボタン(選択手段)112、リーダライタ部113が設けてある一方、外扉104の後面側には、硬貨処理機114(図10参照)、硬貨回収箱(図示せず)、紙幣処理機115(図10参照)が設けてある。
ディスプレイウィンドウ105は、商品見本116を利用者に視認させるための窓である。硬貨投入口106は、利用者が硬貨を投入するための開口である。この硬貨投入口106を通じて投入された硬貨は、硬貨処理機114においてその金種が識別され、その後硬貨回収箱に収容される。紙幣挿入口107は、利用者が紙幣を挿入するための開口である。この紙幣挿入口107を通じて挿入された紙幣は、紙幣処理機115においてその金種が識別される。また、上記紙幣挿入口107は、紙幣処理機115において識別できなかった紙幣を返却するための機能を有している。金額表示器108は、貨幣の投入金額等を表示するためのものである。硬貨返却口109は、硬貨処理機114において識別できなかった硬貨、あるいは釣銭となる硬貨を利用者に返却するための開口である。また、硬貨返却口109は、利用者が返却レバー117を操作することにより、硬貨投入口106を通じて投入された硬貨を返却するための機能を有している。商品取出口110は、商品搬出機103により搬出されたコラム102内の商品を利用者が取り出すための開口である。
商品選択ボタン111は、利用者が購入商品を選択するための押ボタンスイッチであり、ディスプレイウィンドウ105を通じて視認される商品見本116ごとに用意してある。かかる商品選択ボタン111は、押下された場合には、割り付けられた商品等に関する情報を商品信号として後述する基本動作制御部130に出力するものである。
電子決済選択ボタン112は、適用対象となる決済サービス情報ごとに設けられ、決済サービス情報を選択するため押ボタンスイッチである。本実施の形態2における自動販売機は、例えば決済サービス情報A、B、C、Dの合計4つを適用対象としており、電子決済選択ボタン112が4つ設けてある。電子決済選択ボタン112は、押下されて決済サービス情報が選択されると、選択された決済サービス情報を電子決済選択信号として後述する電子決済制御部140に出力するものである。
そのような電子決済選択ボタン112は、表示機構(表示手段)112aを内蔵している。表示機構112aは、3つに区画された領域内にLED等を配置して構成したものである。より詳細に説明すると、図11および図12に示すように、押下された電子決済選択ボタン112に割り付けられた決済サービス情報に基づく決済処理の実施が可能である場合には、電子決済制御部140からの指令に基づき上方部分の区画のLEDを点灯させて例えば「選択中」のように決済処理が実施可能である旨を表示する一方、押下された電子決済選択ボタン112に割り付けられた決済サービス情報での決済処理の実施が不可能な場合には、電子決済制御部140からの指令に基づき下方部分の区画のLEDを点灯させて例えば「受付不可」のように決済処理の実施が不可能である旨を表示するものである。また、電子決済制御部140から与えられた指令に基づき、図13に示すように中央部分の区画のLEDを点灯させて当該電子決済選択ボタン112の押下、すなわち決済サービス情報の選択を促す旨を表示するものである。
リーダライタ部113は、所定のアクセス領域(通信可能領域)に電子マネーカード120が配置された場合に、後述する電子マネーカード120のICメモリ121に対して情報の読み書きが可能になるとともに、IC制御部122に対して情報の送受信を行うことが可能になるものである。このリーダライタ部113は、電子マネーカード120が所定のアクセス領域に配置されると、電子マネーカード120が保持された旨を保持信号として電子決済制御部140に出力するものである。
ここで、電子マネーカード120は、ICチップを備えた非接触式のICカードであり、図14に示すように、ICメモリ121およびIC制御部122を備えている。ICメモリ121は、決済処理を実施する場合に必要となる決済サービス情報123を記録したものである。本実施の形態2では、事業者識別情報123aと有価価値情報123bとによって決済サービス情報123が構成してあり、事業者の異なる複数の決済サービス情報123が電子マネーカード120のICメモリ121に各別に記録してある。事業者識別情報123aは、電子決済事業者を識別するためのものであり、ICメモリ121の共有領域に平文の状態で記録されている。有価価値情報123bは、決済処理を実施する場合に代金として用いられる電子的有価価値であり、事業者ごとに個別の認証が必要となるICメモリ121のセキュアなメモリ領域にそれぞれ事業者ごとに異なる暗号化処理が施された状態で記録してある。IC制御部122は、ICメモリ121に記録された決済サービス情報123の管理を主機能とするものである。本実施の形態2における電子マネーカード120は、複数(例えば3つ)の決済サービス情報123が記録された記録媒体である。具体的には、A、B、Cの合計3つの決済サービス情報123が記録されている。これにより、本実施の形態2においては、電子マネーカード120のICメモリ121に対して非接触の状態で情報の読み書きを行うことができるリーダライタ部113を適用している。
上記自動販売機は、上記構成要素の他に、基本動作制御部130および電子決済制御部140を有している。
基本動作制御部130は、基本動作メモリ131に予め格納されたプログラムやデータ等にしたがって自動販売機の基本動作、すなわち商品選択、金銭処理および商品搬出等の各動作の統括的な制御を行うものである。特に、基本動作制御部130は、押下された商品選択ボタン111から商品信号が出力された場合には、かかる商品信号に含まれる商品の決済金額を決済金額信号として電子決済制御部140に対して出力するものであり、また、後述するように電子決済制御部140からの決済処理終了信号が与えられることにより、商品搬出動作の制御を行うものである。
電子決済制御部140は、予め電子決済メモリ141に記録されたプログラムやデータ、並びに基本動作制御部130を通じて与えられた指令や情報にしたがって、電子決済処理の統括的な制御を行うものであり、決済処理部140a、表示処理部140bおよびタイマー部140cを備えて構成してある。
決済処理部140aは、リーダライタ部113を通じて電子マネーカード120の決済サービス情報123が与えられた場合、この決済サービス情報123が対応するものであることを条件に、決済処理の実施が可能になるものである。決済処理部140aの実施する決済処理とは、決済金額が与えられた場合に決済サービス情報123に含まれた事業者識別情報123aに基づいて対応する有価価値情報123bの減算処理を実施し、その後、決済処理が終了した旨を決済処理終了信号として上述した基本動作制御部130に出力するものである。尚、ICメモリ121に記録された有価価値情報123bに対して減算処理を行う場合に必要となる事業者ごとの認証鍵、暗号鍵および復号鍵は、予め決済処理部140aに用意されているものとする。また本実施の形態2では、決済処理部140aがA、B、C、Dの合計4つの決済サービス情報123に対応しているものとする。
表示処理部140bは、決済処理部140aを通じての電子決済処理が可能である場合には、表示機構112aに指令を与えて上方部分の区画内にあるLEDを点灯させ、「選択中」である旨を表示させる一方(図11参照)、決済処理部140aを通じての電子決済処理が不可能な場合には、表示機構112aに指令を与えて下方部分の区画内にあるLEDを点灯させ、「受付不可」である旨を表示させるものである(図12参照)。ここに、決済処理部140aを通じての電子決済処理が可能であるか否かの判断は、電子決済メモリ141に格納してあるデータやプログラム等に基づいて行われる。尚、図11および図12では、決済サービス情報A(123)に対応する電子決済選択ボタン112が押下され、かかる決済サービス情報A(123)での電子決済処理が可能な場合および不可能な場合の表示について示している。
また、表示処理部140bは、上述したように決済処理部140aを通じての電子決済処理が行われる前に、リーダライタ部113のアクセス領域に電子マネーカード120が配置された場合には、表示機構112aに指令を与えて中央部分の区画内にあるLEDを点灯させ(選択LED点灯させ)、当該電子決済選択ボタン112の押下、すなわち決済サービス情報123の選択を促す旨を表示させるものである(図13参照)。タイマー部140cは、時間を計測するものである。
図15は、上述した電子決済制御部が実施する電子決済処理の内容を示すフローチャートである。以下、この図15を参照しながら、本実施の形態2における自動販売機において商品の代金を電子マネー決済処理する場合について説明する。尚、以下においては、説明の便宜上、決済サービス情報A(123)が選択されたものとして説明する。
この自動販売機では、商品選択待機状態となっており、利用者により商品選択ボタン111が押下されると商品信号が出力され、これにより基本動作制御部130は、商品信号を入力すると、該商品信号に含まれる商品の決済金額を決済金額信号として電子決済制御部140に対して出力する。このようにして決済金額信号が電子決済制御部140に与えられると(ステップS201:YES)、電子決済制御部140は、リーダライタ部113のアクセス領域に電子マネーカード120が配置されたか否かを確認し(ステップS202)、電子マネーカード120が配置された場合には(ステップS202:YES)、図13に示すように表示処理部140bを通じて表示機構112aに中央部分の区画内にあるLED(選択LED)を点灯させる(ステップS203)。これにより、利用者に対して決済サービス情報123の選択を促すことになる。
上記ステップS202において電子マネーカード120の配置されていない場合、あるいは選択LEDを点灯させた場合には、電子決済制御部140によって電子決済選択ボタン112が押下待機状態となる(ステップS204、ステップS205)。電子決済制御部140は、タイマー部140cを通じて予め設定した時間が経過すると(ステップS205:YES)、後述の処理を実施することなく今回の処理を終了する。
これに対し電子決済選択ボタン112の押下待機状態において決済サービス情報A(123)に対応する電子決済選択ボタン112が押下されると、すなわち決済サービス情報A(123)が選択されると(ステップS204:YES)、電子決済制御部140は、表示処理部140bを通じて電子決済処理が可能であるか否かを判断する(ステップS206)。そして、電子決済処理が不可能であると判断した場合には(ステップS206:NO)、表示機構112aに電子決済処理が不可能である旨を表示させる(ステップS207)。すなわち、図12に示すように、表示機構112aに指令を与えて下方部分の区画内にあるLEDを点灯させ、「受付不可」である旨を表示させる。このように表示をすることにより、利用者に対して選択された決済サービス情報A(123)での電子決済処理が不可能であることを早期に報知することができる。これにより、利用者も選択した決済サービス情報A(123)での電子決済処理ができない旨を認識することができる。上記ステップS207で電子決済処理が不可能である旨を表示した後、後述の処理を実施することなく今回の処理を終了する。
一方、上記ステップS206において電子決済処理が可能であると判断した場合には(ステップS206:YES)、電子決済制御部140は、表示処理部140bを通じて表示機構112aに電子決済処理が可能である旨を表示させる(ステップS208)。すなわち、図11に示すように、表示機構112aに指令を与えて上方部分の区画内にあるLEDを点灯させ、「選択中」である旨を表示させる。このように表示をすることにより、利用者に対して選択された決済サービス情報A(123)での電子決済処理が可能であることを早期に報知することができる。これにより、利用者も選択した決済サービス情報A(123)での電子決済処理が可能であることを認識することができる。
電子決済処理が可能である旨を表示させると、電子決済制御部140によってリーダライタ部113が電子マネーカード120の読取待機状態となる(ステップS209、ステップS210)。電子決済制御部140は、タイマー部140cを通じて予め設定した時間が経過すると(ステップS210:YES)、後述の処理を実施することなく今回の処理を終了する。
これに対し読取待機状態においてリーダライタ部113のアクセス領域に電子マネーカード120が配置され、IC制御部122からのカードセンス応答によりこれを確認すると(ステップS209:YES)、上記ステップS204で選択された決済サービス情報A(123)に基づき、決済処理部140aを通じて決済処理を実施する(ステップS211)。この決済処理の実施により、電子マネーカード120に記録された決済サービス情報A(123)の有価価値情報123bが減算処理される。このような決済処理が行われて、今回の処理を終了する。
このようにして決済処理が行われると、決済処理部140a(電子決済制御部140)から基本動作制御部130に決済処理終了信号が出力される。その結果、決済処理信号が与えられた基本動作制御部130は、商品搬出機103を通じて選択された商品を搬出させる。これにより、搬出された商品は商品取出口110に導かれ、利用者が商品取出口110より商品を受け取ることができる。
以上説明したように、自動販売機によれば、適用対象となる決済サービス情報123ごとに設けられたいずれかの電子決済選択ボタン112を押下することにより決済サービス情報123を選択し、選択された決済サービス情報123に基づいて電子マネーカード120との間で決済処理を実施するので、決済サービス情報123が記録された電子マネーカード120との間で決済が可能であり、しかも利用者は、当該電子マネーカード120のみを保有していれば良く、利便性の向上を図ることができる。特に、上記自動販売機では、電子決済選択ボタン112を押下することにより決済サービス情報123を直接的に選択することができるので、利用者に対しての説明を必要とせず、利用者が簡単な操作で利用することでき、利便性のさらなる向上を図ることができる。
特に本実施の形態2における自動販売機によれば、決済サービス情報123が選択される前にリーダライタのアクセス領域に電子マネーカード120が配置された場合に、選択LEDを点灯させて電子決済選択ボタン112の押下、すなわち決済サービス情報123の選択を促すので、決済サービス情報123を選択してから決済処理が行われるという商品購入動作を知らない、あるいは商品購入動作に慣れていない利用者に対しても当該商品購入動作を教示することが可能になり、これにより商品購入動作を知らない、あるいは商品購入動作に慣れてない利用者が商品購入を諦めてしまうことを回避することができる。
上述した実施の形態2では、電子マネーカード120は、複数の決済サービス情報123が記録されたものであるが、本発明はこれに限定されず、一つの決済サービス情報が記録された記録媒体(電子マネーカード)であっても用いることができる。
また、上述した実施の形態2では、決済サービス情報123が選択される前にリーダライタ部113のアクセス領域に電子マネーカード120が配置された場合に、選択LEDを点灯させて決済サービス情報123の選択を促すようにしていたが、本発明はこれに限定されず、電子マネーカードに記録されている決済サービス情報を読み出し、適用可能な決済サービス情報に対応する電子決済選択ボタンに内蔵された選択LEDを点灯させても構わない。
以上のように、本発明に係る自動販売機は、例えばICカード等の電子マネーカードとの間で決済処理を実施するのに有用である。
本発明の実施の形態1における自動販売機を模式的に示した斜視図である。 本発明の実施の形態1における自動販売機の内部構成を簡略的に示した説明図である。 本発明の実施の形態1における自動販売機の制御系を示すブロック図である。 表示機構による表示例を示した説明図である。 表示機構による表示例を示した説明図である。 電子マネーカードの一例を模式的に示した説明図である。 電子決済制御部の電子決済処理の内容を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2における自動販売機を模式的に示した斜視図である。 本発明の実施の形態2における自動販売機の内部構成を簡略的に示した説明図である。 本発明の実施の形態2における自動販売機の制御系を示すブロック図である。 表示機構による表示例を示した説明図である。 表示機構による表示例を示した説明図である。 表示機構による表示例を示した説明図である。 電子マネーカードの一例を模式的に示した説明図である。 電子決済制御部の電子決済処理の内容を示すフローチャートである。
符号の説明
12,112 電子決済選択ボタン(選択手段)
12a,112a 表示機構(表示手段)
13,113 リーダライタ部
20,120 電子マネーカード
21,121 ICメモリ
22,122 IC制御部
23,123 決済サービス情報
23a,123a 事業者識別情報
23b,123b 有価価値情報
30,130 基本動作制御部
40,140 電子決済制御部
40a,140a 決済処理部
40b,140b 表示処理部
40c,140c タイマー部

Claims (2)

  1. 機内に収容された商品を販売する自動販売機において、
    適用対象となる決済サービス情報ごとに設けられ、決済サービス情報を選択するための選択手段と、
    所定の通信可能領域に記録媒体が保持される前に前記選択手段を通じて決済サービス情報が選択された場合に、決済サービス情報が記録されており、かつ前記通信可能領域に保持された記録媒体との間で、選択された決済サービス情報に基づいて決済処理を実施する決済処理手段と
    前記選択手段を通じて決済サービス情報が選択された場合であって該決済サービス情報に基づく決済処理の実施が可能であるときには、実施可能である旨を表示する一方、前記選択手段を通じて選択された決済サービス情報での決済処理の実施が不可能な場合には、実施不可能である旨を表示する表示手段と、
    前記選択手段を通じて決済サービス情報が選択される前に前記記録媒体が所定の通信可能領域に保持された場合に、前記選択手段による決済サービス情報の選択を促す選択促進手段と
    を備え、
    前記表示手段と前記選択促進手段とは、前記選択手段に内蔵されることを特徴とする自動販売機。
  2. 前記選択促進手段は、所定の通信可能領域に保持された前記記録媒体に記録されている決済サービス情報を読み出し、読み出した決済サービス情報の選択を促すことを特徴とする請求項1に記載の自動販売機。
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