JP4742481B2 - マイクロ波加熱用容器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はマイクロ波加熱用容器に関するもので、より詳細には加熱殺菌が可能で、しかも充填された内容物のマイクロ波による均一加熱が可能な容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子レンジを用いて、容器のまま加熱できる食品が数多く提供されているが、これらの食品を電子レンジで加熱する際には長時間の加熱を必要としたり、また容器内部の食品を均一に加熱することが困難であるなどの問題がある。これは、電子レンジによる加熱が容器の角部や表層部分だけで行われ、容器内の食品全体を均一に加熱できないことに原因がある。
【0003】
従来、この問題を解消するため、容器底部の中央部に突起を形成し、これをマイクロ波による加熱スポットとすることにより、内容物の均一加熱を図ることが既に提案されている。
本発明者らの提案にかかる特許第2522355号公報には、一室で構成される容器の底部には、外方に突出しかつ容器内容物を収容する中空の突起を底部中央付近に形成し、場合によりこの突起の周囲にも同様の突起を形成したマイクロ波加熱用容器が記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
この提案は、容器の底部にマイクロ波が集中する加熱スポットを設けることにより、内容物の均一加熱を可能にしたという点で注目に値するものであるが、この突起部の熱変形の問題に触れられていない点で未だ改善の余地がある。
【0005】
即ち、喫食に際してマイクロ波加熱を行う食品類の殆どのものは、その保存性の点でレトルト殺菌などの加熱殺菌を必要とするものであるが、この加熱殺菌に際して最も熱変形を生じやすい部分は底部に形成される突起部であるが、この突起部の熱変形を防止する手段は未だ知られていない。
【0006】
また、従来の技術では内容物の均一加熱に関して、マイクロ波により加熱すべき内容物の特性と、容器底部に設ける突起部の寸法との関係も不明であり、内容物の均一加熱の点で改善すべき余地がある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、内容物充填密封後の加熱殺菌が可能であり、しかも開封後には容器内の内容物をマイクロ波により均一加熱することが可能な容器を提供するにある。
本発明の他の目的は、充填された内容物の特性に対応して最適でしかも効率のよい均一加熱性能が達成されるマイクロ波加熱用容器を提供するにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一室に構成され、容器底部に外方に突出して内部が中空に形成され且つ内部が内容物に接する突起を備えたマイクロ波加熱用容器において、前記容器の少なくとも突起がプラスチック材料で形成され、該材料のロックウエル硬度(R)と突起部の最小厚み(t、mm)とが、下記式(1)
R×t≧14 (1)
を満足する関係にあり、
前記突起の開口径(D、mm)が内容物の誘電特性(K)に関して、下記式(2)
130≦K×D≦670 (2)
式中、Kは内容物の比誘電率(εr)と内容物の誘電体損失(tanδ)との積で
ある、
を満足する関係にあることを特徴とするマイクロ波加熱用容器が提供される。また、本発明の容器では、突起部と底部平板部とが1mmよりも大きい曲率半径を有する上に凸の湾曲部を介して接続されていることが好ましい。
【0009】
【発明の実施形態】
本発明のマイクロ波加熱用容器は、一室に構成され、容器底部に外方に突出して内部が中空に形成され且つ内部が内容物に接する突起を備えているが、前記容器の少なくとも突起がプラスチック材料で形成され、該材料のロックウエル硬度(R)と突起部の最小厚み(t、mm)とが、下記式(1)
R×t≧14 ‥(1)
を満足する関係にあることが特徴であり、これにより内容物充填密封後の加熱殺菌が可能であり、しかも開封後には容器内の内容物をマイクロ波により均一加熱することが可能となる。
尚、ロックウエル硬度の測定法は、ASTM D785−51で規定されており、本明細書における硬度はRスケールのものである。
【0010】
上記マイクロ波加熱用容器において、熱的に最も弱い部分は底部に設けた突起部の最小厚みの部分であるが、本発明においては、容器材料のロックウエル硬度(R)と突起部の最小厚み(t)との積を14以上とすることにより、加熱殺菌時における突起部の熱変形を有効に防止できるのである。
この事実は、本発明者が行った多数の実験から、現象として見出されたものであり、後述する実施例及び比較例を参照すると、上記積(R×t)が14以上であることが、突起部の加熱殺菌時における熱変形を防止する上でクリテカルである。即ち、上記積(R×t)が14を下回る場合には例外なしに突起部の熱変形を生じているのに対して、上記積(R×t)が14以上である場合には例外なしに突起部の熱変形が防止されるのであって、容器材料のロックウエル硬度(R)及び突起部の最小厚み(t)の選択と組合せのみが重要な要件であることが理解される。
【0011】
一般に、プラスチック材料の熱変形は、プラスチックの熱的特性に依存すると考えられがちである。ところが、本発明者の研究によると、硬度はポリマー結晶の塑性変形を起こさせるために必要な臨界応力と密接に関係するものであり、一方プラスチック容器の加熱殺菌条件では、プラスチックの結晶は当然残留しているので(結晶が融解する条件で加熱殺菌を行うことはあり得ない)、この応力が比例する因子として硬度を取りあげたことは理屈にも適うものである。また、この応力が比例する他方の因子として突起部の厚みが存在するのも理屈に適っているものである。
【0012】
本発明のマイクロ波加熱用容器においては、前記突起の開口径(D、mm)が内容物の誘電特性(K)に関して、下記式(2)
130≦K×D≦670
式中、Kは内容物の比誘電率(εr)と内容物の誘電体損失(tanδ)との積で
ある、
を満足する関係にあることが、マイクロ波による均一加熱の効率の点で必要である。尚、突起の開口径(D)とは、非円形の開口では最大内接円の径と定義される。
【0013】
上記開口径(D)と誘電特性(K)との積が上記範囲内にあることが、マイクロ波により加熱されにくい部分の加熱を促進し、均一加熱を実現するために重要である。後述する例に示すとおり、この積(K×D)が上記範囲を上回る場合にも、また下回る場合にも、マイクロ波により加熱されにくい部分、例えば底部の中心に近い部分の温度を上昇させることが困難となり、内容物の温度の不均一性が増大するようになる。これに対して、容器底部に設ける突起部の開口径(D)を内容物の誘電特性(K)との関連で上記式(2)の範囲に設定すると、この部分の温度を効率よく上昇させ、内容物の温度分布を均一にすることが可能となる。
【0014】
上記式(2)は、内容物の誘電特性(K)に関して、とりうる突起の開口径(D)には一定の範囲があることを示すものである。即ち、容器底部に下向きの突起部を形成する理由はこの突起部内の内容物にマイクロ波の吸収を集中させ、この部分に加熱スポットを形成させることにある。
マイクロ波による加熱は内容物の誘電損失によるものであり、前記式(2)における項Kはこの誘電損失による内容物の発熱の程度を表している。
【0015】
一般的にいって、電子レンジで加熱される食品等の内容物の比誘電率(εr)は30乃至80のオーダーであり、また誘電体損失(tanδ)は0.1乃至0.6のオーダーである。これに対して、プラスチックの比誘電率(εr)は2乃至4のオーダーであり、また誘電体損失(tanδ)は10−4乃至10−1のオーダーである。
一方、マイクロ波はプラスチック器壁、例えば突起部の器壁を通して内容物中に進行するが、マイクロ波の進行に伴ってその吸収が生じるため、その強度は次第に減衰する。この減衰の程度はマイクロ波の強度が1/2になる深さ、即ち半減深度によって表される。この半減深度は下記式(3)
D=3.32×1010/(f×(εr)1/2×tanδ)(mm) ‥(3)
ここで、fはマイクロ波の周波数(Hz)である、
で表される。因みに、例として前述した内容物について半減深度を計算すると、2乃至20mmのオーダーとなる。
【0016】
かくして、一定の誘電特性(K)の内容物に対して、突起部の開口径(D)が小さすぎる場合には、突起部内の内容物の加熱の程度は高くなるが、突起部内の内容物からの対流や熱伝導で運ばれる熱量そのものが不足し、一方突起部の開口径(D)が大きすぎる場合には、突起部内の内容物の表層のみが加熱される結果として、突起部内の内容物からの対流や熱伝導で運ばれる熱量がやはり不足することが明らかとなる。
本発明においては、誘電特性(K)の大きい内容物に対しては、突起部の開口径(D)を相対的に小さくし、一方誘電特性(K)の小さい内容物に対しては、突起部の開口径(D)を相対的に大きくすることにより、内容物の効率のよい均一加熱が可能となるものである。
【0017】
本発明においては、突起部と底部平板部とを、1mmよりも大きい曲率半径を有する上に凸の湾曲部を介して滑らかに接続することが好ましい。この接続構造では、マイクロ波加熱に際して、対流により、突起部内の加熱された内容物が円滑に上方に移動すると共に、比較的低温の内容物が突起部内に流入し、内容物の効率のよい均一加熱が可能となる。また、容器からの内容物の取り出しに際しても、突起部内の内容物が突起部外に容易に流出して内容物の利用が無駄なしに可能となる。更に、この接続構造は突起部の座屈を防止して強度を高めるという効果をも有する。
【0018】
[容器の構造]
本発明の容器の一例を示す図1及び2において、このマイクロ波加熱用容器1は一体にかつ一室に形成されており、大まかにいって、蓋(図示せず)との密封を行うためのフランジ部2、胴部3及び底部4からなっている。この具体例において胴部3は倒立円錐台の形状をしており、底部4は平板部6とこの平板部6から下方に突出した突起部5とからなっている。底部4の周囲には突起部5が下につくのを防止し、自立性を向上させるための周状足部7が形成されている。
【0019】
突起部5の垂直断面構造は、図1に示す具体例では半球状であるが、この形状に限定されず、放物線回転体、楕円回転体、卵形、倒立円錐台型、倒立角錐型、円筒型、角柱型、倒立円錐型、倒立角錐型等の任意の断面構造をとりうる。応力集中を防止する見地からは半球状乃至これに近い滑らかな断面構造をとるのが望ましい。
【0020】
突起部の配置も任意の配置をとることができる。図1に示す具体例では、底部4の中央部に1個の突起部5が設けられているが、勿論、突起部5の数は複数個であってもよく、底部4に複数個が分散されて設けられていてもよい。
本発明においては、内容物のマイクロ波加熱が行われにくい底部中央部に突起部5を設けるのがよく、また図3に示すように、底部中央部に1個の突起部5を設けると共に、その周囲に複数個の突起部5aを分散して設けてもよい。複数個の突起部5aを分散して設ける場合には、これらの突起部5aが自立用の足部としても機能するので、前述した周状足部7を省略することもできる。
突起部5、5aの形状及び寸法は、互いに同一であっても、また互いに相違するものであってもよい。
【0021】
突起部5と底平板部6との接続構造を説明するための図4において、本発明では、突起部5と底部平板部6とを、1mmよりも大きい曲率半径(Rc)を有する上に凸の湾曲部8を介して滑らかに接続する。この接続構造では、既に指摘した多くの利点が達成される。
この図4には、突起部5が寸法Dの開口径を有し、突起部の最小厚みがtであることも示されている。
【0022】
本発明では、容器の少なくとも突起を形成するプラスチックのロックウエル硬度(R)と突起部5の最小厚みtとを前記式(1)を満足するように設定し、更に、突起部の開口径(D)を内容物の誘電特性(K)との関係で前記式(2)を満足するように設定する。
一方突起部の開口径(D)は内容物の誘電特性に合わせて設定する必要がある。また、突起部の高さは、3mm以上で底部4の周状足部7の下端から突出しない寸法とすることが好ましい。
【0023】
[プラスチック素材]
容器の少なくとも突起を形成するプラスチック素材としては、熱可塑性樹脂、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1−ブテン、ポリ4−メチル−1−ペンテンあるいはエチレン、ピロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体等のエチレン・ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α−メチルスチレン・スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン6−6、ナイロン6−10、ナイロン11、ナイロン12等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド等あるいはそれらの混合物などが挙げられる。
これらの樹脂の内でも、衛生的特性に優れた結晶性樹脂、オレフィン系樹脂、ポリアミド樹脂、熱可塑性ポリエステル等が本発明の目的に好適なものである。
【0024】
本発明に用いる樹脂には、それ自体公知のプラスチック用配合剤、例えば酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、充填剤、着色剤等を配合することができる。成形容器を不透明化する目的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、アルミナ、シリカ、各種クレイ、焼せっこう、タルク、マグネシヤ等の充填剤やチタン白、黄色酸化鉄、ベンガラ、群青、酸化クロム等の無機顔料や有機顔料を配合することができる。
【0025】
上記樹脂は、単一の樹脂層からなっていても、2種以上の積層樹脂層からなっていてもよい。例えば、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂を用いる場合には、器壁のガスバリアー性を向上させるために、ガスバリアー性樹脂層との積層体として用いるのが好ましい。
ガスバリヤー性樹脂としては、公知の任意のもの、例えばエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ナイロン樹脂(Ny)、ガスバリアー性ポリエステル樹脂(BPR)、環状オレフィン系共重合体(COC)などを用いることができる。
ガスバリアー性樹脂は、2層構成で内層或いは外層として用いることもできるし、また3層構成で中間層として用いることもできる。
【0026】
ガスバリヤー性樹脂層としては、ビニルアルコール含有量が40乃至85モル%、特に50乃至80モル%のエチレン−ビニルアルコール共重合体が適している。
ガスバリアー性樹脂の他の例として、ナイロン樹脂、例えばナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン6/ナイロン6,6共重合体、キシリレン基含有ポリアミドを挙げることができる。
ガスバリアー性樹脂の更に他の例として、ガスバリヤー性ポリエステルを用いることもできる。このガスバリヤー性ポリエステルの1種(以下、BPRと記すこともある。)は、重合体鎖中に、テレフタル酸成分(T)とイソフタル酸成分(I)とを、
T:I=95: 5乃至 5:95
特に 75:25乃至25:75
のモル比で含有し且つエチレングリコール成分(E)とビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン成分(BHEB)とを、
のモル比で含有するものである。
【0027】
本発明の容器は、上述した結晶性樹脂層及びガスバリアー性樹脂層に加えて、任意の他の樹脂層を含有していることができる。
例えば、ポリオレフィン系樹脂層とガスバリアー性樹脂層との間に熱接着性がない場合には、両樹脂層間に接着剤樹脂層を介在させることができる。
接着剤樹脂としては、特に限定されないが、酸変性オレフィン系樹脂、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、無水マレイン酸グラフトポリプロピレンなどを用いることができる。
【0028】
多層プラスチックの断面構造の一例として、オレフィン系樹脂から成る内層及び外層、ガスバリヤー性樹脂から成る中間層、及び必要により内外層と中間層とを強固に接着するために設けられた接着剤層の積層構造を有するものが挙げられる。
【0029】
[容器の製造]
本発明の容器は、前述した突起部を形成する点を除けば、それ自体公知の製造法により製造することができる。
即ち、前述した容器の形状に対応するキャビティを備えた金型に樹脂を射出することにより、本発明のマイクロ波加熱用容器を製造することができる。この際、複数の樹脂を共射出或いは逐次射出することにより多層構造の容器を製造することができる。
また、本発明の容器は、単層或いは多層の樹脂シートを製造し、この樹脂シートをシート成形することによっても製造することができる。
シート成形によりプラスチック容器を製造する方法としては、溶融樹脂シートを用い、雌型とプラグとの組合せを使用するプラグアシスト圧空成形法乃至真空成形法や、プラスチックシートを保持するクランプ、案内リング及び円筒状雄型の組合せを用いる真空成形法等が採用される。
また、プラグアシスト成形法には、プラスチックシートを融点よりも低いが、延伸成形可能な温度に予備加熱した後、成形プラグと開口金型との間に導入し、成形プラグでシートを隆起させて金型内に移動させ、プラグとシートとの間に圧力流体を導入するか、或いはシートと金型との間を真空にするかして金型表面での成形を行う固相シート成形法も採用される。
【0030】
本発明のマイクロ波加熱用容器は、少なくとも突起部が前述した要件を満足するプラスチックで形成されている限り、任意の容器構成を有することができる。
この容器は全体がプラスチックで構成されていてもよいのは勿論であるが、例えば、容器の胴部及び/又は底部の一部が紙を構成素材とする容器素材で形成されていてもよい。
紙製の容器素材としては、容器用ボール紙、コート紙、プラスチックフィルムとのラミネート紙、プラスチック発泡体とのラミネート紙等が挙げられる。紙製の胴部或いは更に底部の一部を備えた容器素材は、紙コップ用素材として当業者間に周知であり、この紙コップ用素材を用いて、本発明のマイクロ波加熱用容器を製造することができる。すなわち、紙コップ用素材を射出型中にインサートし、この状態でプラスチックを射出して前述した突起部或いは突起部を含む底部を成形することができる。
或いは、突起部或いは突起部を含む底部をプラスチックで別体として成形し、この成形体を紙コップ用素材に熱接着等により貼り合わせてもよい。
【0031】
[用途]
本発明のマイクロ波加熱用容器は、内容物を充填し、フランジ部とヒートシール性蓋との間でヒートシールにより密封し、湯殺菌、ボイル殺菌、レトルト殺菌等による加熱殺菌を行い、開封後食事に先立って電子レンジで内容物を容器ごと加熱する用途に広く用いることができる。
充填する内容物としては、各種カレー、各種シチュー、各種スープ、おでん、八宝菜等を挙げることができるが、この例に限定されない。
【0032】
【実施例】
つぎに、本発明のマイクロ波加熱用容器における容器の材料のロックウェル硬度(R)と突起部の最小厚み(t)との関係そして容器内に収容される内容物の誘電体損失角係数(K)と、中空の突起の開口経(D)の関係を、実施例及び比較例に基づいて説明する。
【0033】
(実施例1)
比誘電率(εr)が67.2、誘電体損失角(tanδ)が0.50の市販のカレーを収容するために、開口径が66mm、深さが100mmの図1に示す形状のポリプロピレン(PP)製容器を成形した。この容器の底部中央には開口径(D)が14mm、深さが7mmで、容器底面との接続部の半径が2mmの半球状の突起を、下方に突出するように設けた。また、容器底部の外周部に突起の深さよりも長い脚部を形成した。この容器の最小肉厚(t)は突起部の先端で、その厚みは0.15mmであった。またこのPP材料のロックウェル硬度(R)は95.2であった。
この容器に内容物として、上記カレーをヘッドスペースの深さが10mmになるように充填し、ポリエステル/ポリプロピレン積層体から成る蓋材を、ポリプロピレンを内側とし、容器の開口部にヒートシールして密封した。この密封容器を120℃30分の熱水加熱加圧殺菌を行ない、更にその後、蓋材を剥離し、市販の電子レンジ(出力500W)により3分間加熱し、容器内食品温度を5箇所測定した。
本容器は容器の変形なしに、加熱加圧殺菌処理ができた。また電子レンジ加熱後の内容物の温度は測定した5箇所全てが70℃以上となり、攪拌することなく食することができた。
本容器のPP材のロックウェル硬度(R)は95.2で、最小肉厚(t)は0.15mmで、R×t=95.2×0.15=14.28で上記式(1)の範囲であり、またこの例のカレーの誘電体損失各係数(K)は62×0.42=26.04であり、したがって、K×D=33.6×14=470.4となり、上記式(2)の範囲内にある。
【0034】
(比較例1)
実施例1の容器において、容器の最小肉厚が0.13mmであること以外は実施例1と同様にしてPP製容器を成形し、実施例1と同様にカレーを充填密封し、120℃の熱水加熱加圧殺菌を行なった。その結果、容器の最小肉厚部である突起が変形し、容器が傾き、容器が転倒した。
本容器のPP材のロックウェル硬度(R)は95.2で、最小肉厚(t)は0.13mmで、R×t=95.2×0.13=12.38で上記式(1)を満足していない。
【0035】
(比較例2)
実施例1の容器において、容器底部の突起を設けず底部を平面状に構成した以外は実施例1と同様にしてPP製容器を成形し、実施例1と同様にカレーを充填密封し、120℃の熱水加熱加圧殺菌を行ない、更にその後、蓋材を剥離し、市販の電子レンジ(出力500W)により3分間加熱し、容器内食品温度を5箇所測定した。本容器は容器の変形なしに、加熱加圧殺菌処理ができた。また電子レンジ加熱後の内容物の温度は上層中央部および上層側方部では70℃以上あるにも関わらず、下層中央部では40℃以下で、殆ど加熱されておらず、食するには攪拌後さらに2分間の電子レンジ加熱が必要であった。
本容器の底部には突起部がなく、容器底部全体を突起とみなしてK×Dを算出すると2217.6となり、上記式(2)の範囲外である。
【0036】
(実施例2〜4・比較例3〜5)
表1に示した材料及び最小厚みで、実施例1に記載した容器形状の容器を成形し、内容物として、ビーフシチュー(比誘電率(εr)が62.0、誘電体損失角(tanδ)が0.42)を充填し、市販の電子レンジ(出力500W)により3分間加熱し、容器内食品温度を5箇所測定した。
本容器は容器の変形なしに、電子レンジ加熱ができ、加熱後の内容物の温度は測定した5箇所全てが70℃以上となり、攪拌することなく食することができた。
これに対して、比較例3〜5の容器では、電子レンジ加熱において、加熱中容器の最小肉厚部である突起が変形し、容器が傾き、容器が転倒した。
【0037】
【表1】
【0038】
(実施例5〜7・比較例6〜7)
実施例2の容器において、容器底部に設ける半球状の突起のサイズを表2のように種々変更したほかは、実施例2と同様にしてポリエステル製容器を成形した。
これらの容器に、実施例2と同様にビーフシチューを充填し、電子レンジ加熱を行なったところ、実施例5〜7の容器では、容器内のシチューの温度は測定した5箇所で全て70℃以上となり攪拌することなく、食することができたが、比較例6と7の容器では、シチューの温度は上部中央および上部側方では70℃以上であるにもかかわらず、下部中央では40度以下でほとんど加熱されていなかった。
【0039】
【表2】
【0040】
(実施例8〜10・比較例8〜9)
容器の開口径が83mm、底径が63、深さが67mmの逆円錐台形状のPP製容器を成形した。この容器の底部中央には、表3に示す種々のサイズのほぼ立方体形状をした突起を下方に突出するように設けた。この突起の開口径D(内接円の直径)は立方体の一辺の長さと同じである。また突起と容器底面との接続部および先端部ならびに角部は丸味をおびるように構成し、容器底部の外周部には、突起の深さより長い脚部を形成した。
これらの容器に内容物として、比誘電率(εr)が73.3、誘電体損失角(tanδ)が0.19の市販のおかゆをヘッドスペースの深さが10mmになるように充填し、市販の電子レンジ(出力500W)により3分間加熱し、容器内食品温度を5箇所測定した。実施例8〜10の容器では、容器内のカレーの温度は測定した5箇所で全て70℃以上となり攪拌することなく、食することができたが、比較例8と9の容器では、カレーの温度は上部中央および上部側方では70℃以上であるにもかかわらず、下部中央では40度以下でほとんど加熱されていなかった。
【0041】
【表3】
【0042】
(実施例11〜13)
容器の開口径が83mm、底径が63、深さが67mmの逆円錐台形状のPP製容器を成形した。この容器の底部中央には開口径(D)が14mm、深さが7mm、容器の底面との接続部の半径が2mmの半球状の突起を、下方に突出するように設けた。また、容器底部中央の突起の周囲に、周方向に等間隔で4個の深さの深い突起を形勢した。これらの突起と容器底面との接触部との丸味のサイズは、表4に示すようなサイズに変更した。
これらの容器に内容物として、上記のカレーをヘッドスペースの深さが10mmになるように充填し、市販の電子レンジで3分間加熱した結果、いずれの容器でもカレーの温度は測定した5箇所で全て70℃以上となった。また全ての容器において、米飯の上に加熱したカレーを容器から移す際に、突起内にカレーは残らず全て取り出すことができた。
【0043】
【表4】
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば、一室に構成され、容器底部に外方に突出して内部が中空に形成され且つ内部が内容物に接する突起を備えたマイクロ波加熱用容器において、前記容器の少なくとも突起がプラスチック材料で形成され、該材料のロックウエル硬度(R)と突起部の最小厚み(t、mm)とを、下記式(1)
R×t≧14 ‥(1)
を満足する関係にしたことにより、内容物充填密封後の加熱殺菌を突起部の熱変形を生じることなしに可能となり、しかも開封後には容器内の内容物をマイクロ波により均一加熱することが可能となる。
また、本発明によれば、前記突起の開口径(D、mm)を内容物の誘電特性(K)に関して、下記式(2)
130≦K×D≦670 ‥(2)
式中、Kは内容物の比誘電率(εr)と内容物の誘電体損失(tanδ)との積である、
を満足する関係とすることにより、充填された内容物の特性に対応して最適でしかも効率のよい均一加熱性能を達成することが可能となる。
更に、本発明によれば、突起部と底部平板部とを1mmよりも大きい曲率半径を有する上に凸の湾曲部を介して接続したことにより、一層効率のよい加熱が可能となり、更に内容物の取り出しもロスなしに行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマイクロ波加熱用容器の一例の側断面図である。
【図2】図1の容器の底面図である。
【図3】本発明のマイクロ波加熱用容器の他の例の側断面図(A)及び底面図(B)である。
【図4】図1の容器の突起部の拡大側断面図である。
【符号の説明】
1 マイクロ波加熱用容器
2 フランジ部
3 胴部
4 底部
5 突起部
6 底部平板部
7 周状足部
8 湾曲部
Claims (2)
- 一室に構成され、容器底部に外方に突出して内部が中空に形成され且つ内部が内容物に接する突起を備えたマイクロ波加熱用容器において、前記容器の少なくとも突起がプラスチック材料で形成され、該材料のロックウエル硬度(R)と突起部の最小厚み(t、mm)とが、下記式(1)
R×t≧14 (1)
を満足する関係にあり、
前記突起の開口径(D、mm)が内容物の誘電特性(K)に関して、下記式(2)
130≦K×D≦670 (2)
式中、Kは内容物の比誘電率(εr)と内容物の誘電体損失(tanδ)との積で
ある、
を満足する関係にあることを特徴とするマイクロ波加熱用容器。 - 突起部と底部平板部とが1mmよりも大きい曲率半径を有する上に凸の湾曲部を介して接続されていることを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波加熱用容器。
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