JP4742439B2 - 精錬方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば溶銑鍋や転炉のような容器に貯留された溶銑に、炭材を添加し、かつ酸素ガスを吹き込んで脱燐、脱珪等の精錬を行う精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶銑鍋または転炉内での溶銑の脱燐および脱珪は、溶銑中に脱燐剤や脱珪剤を添加し、ランスを介して酸素ガスを吹き込むことにより行われるが、その際に炭素量が不足するおそれがあり、炭素量を確保する観点から、脱燐剤や脱珪剤の他に炭材が添加される。従来、このような炭材として、コークスや土壌黒鉛が用いられている。
【0003】
しかしながら、このような脱燐および脱珪は、10〜15分間程度と比較的短時間であることから、コークスや土壌黒鉛では溶け残りが生じてしまう。また、これらを溶銑に添加する際に、その一部が飛散してしまう。したがって、必然的に炭材歩留まりが低いものとならざるを得ない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、容器内の溶銑に炭材を添加し、かつ酸素ガスを吹き込む精錬において、炭材歩留まりを高くすることができる精錬方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、上記炭材の溶け残りの問題を解決するためには、炭材として無煙炭を用いることが有効であることを見出した。すなわち、無煙炭は溶銑上のスラグに着地した際に熱衝撃割れを起こしてコークスや土壌黒鉛と比較して細かくなり、溶解速度が上昇するため溶け残りがほとんど生じない。しかし、単に無煙炭を添加しただけでは、熱衝撃割れがスラグに着地する前にも起こるため、飛散による歩留まり低下の問題は解決されない。そこで、さらに検討を重ねた結果、炭材として無煙炭を結合材で結合した無煙炭ブリケットを用いることにより、溶け残りの問題および飛散の問題の両方を解決できることを見出した。つまり、無煙炭をブリケット状にすることにより、添加の際の飛散が生じず、また、無煙炭をブリケット状にしてもスラグ中で自然に崩壊し、溶け残りが生じない。
【0006】
本発明は、このような知見に基づいてなされたものであって、容器内に貯留した溶銑に炭材を添加し、かつ酸素ガスを吹き込んで精錬する精錬方法であって、前記炭材として、主成分としての粉状無煙炭に結合材を加えてなる無煙炭ブリケットであって、溶銑上のスラグに着地する前には熱衝撃割れを起こさず、前記溶銑上のスラグに着地した際に熱衝撃割れを起こす無煙炭ブリケットを用いることを特徴とする精錬方法を提供する。
【0007】
ここで、前記無煙炭ブリケットは、結合材としてブリケット全体重量の1〜10mass%のデンプンを含むことが好ましい。
【0008】
また、前記精錬としては、脱燐または脱珪を挙げることができる。すなわち、溶銑を転炉に装入する前における溶銑鍋または転炉での脱燐または脱珪に適用することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の精錬方法は、溶銑鍋、転炉等の溶銑容器内に貯留した溶銑に炭材を添加し、かつ酸素ガスを吹き込んで精錬することを前提としている。
【0010】
このような精錬としては、溶銑予備処理として溶銑鍋等で行われ、または転炉内溶銑に対して行われる溶銑脱燐および溶銑脱珪を挙げることができる。このような処理においては、溶銑中に脱燐剤または脱珪剤を添加し、溶銑中の炭素量を確保するために炭材を添加して、酸素ランスから酸素ガスを吹き込むことにより、溶銑中のPまたはSiを酸化除去する。
【0011】
本発明では、このような精錬の際の炭材として無煙炭を用いる。上述したように、このような脱燐、脱珪のプロセス時間は、通常10〜15分間程度と比較的短時間であり、従来、炭材として用いられていたコークスや土壌黒鉛では溶け残りが生じて炭材歩留まりが極めて低いものとなるが、無煙炭は溶銑上のスラグに達した時点で非常に細かくなるため、溶け残りが少なくなる。
【0012】
ただし、無煙炭は精錬過程でそのまま装入すると熱衝撃による粉化によって飛散しやすいため、本発明では飛散による歩留まり低下を防止するために粉状の無煙炭に結合材を加えてブリケットに成型し、そのブリケットを溶銑中に装入する。無煙炭はブリケット化してもスラグに達してからは自然に崩壊し溶け残りが生じるおそれが小さい。
【0013】
粉状無煙炭の粒度としては特に制限はないが微粉であればブリケット製造過程で若干の飛散ロスがあり、粗粒であれば価格が上がることから、粒径が0.1〜10mmの無煙炭が望ましい。
【0014】
ブリケットを形成する際の結合材としては、特に限定されず、ブリケットの形成に通常用いられている種々のものを用いることができるが、澱粉を用いることが好ましい。澱粉は、安価であり、しかも無煙炭を比較的強固に結合させることができ、無煙炭の飛散を有効に防止することができる。
【0015】
澱粉と無煙炭はミキサー等によって混合してブリケットマシンによりブリケットとする。澱粉の含有量がブリケット全体量の1mass%未満ではブリケットの強度が不足する一方、10mass%を超えるとブリケットの強度が過剰となって製造コストの面で不利になる。したがって、澱粉の含有量はブリケット全体に対して1〜10mass%の範囲であることが望ましい。また、使用する澱粉の粒度は、通常のサイズである平均粒径で約数μm〜0.1mmであればよい。
【0016】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
表1の成分を有する澱粉と、表2の成分を有する粉状無煙炭とを、高速混練機によって混練し、さらにプレスロールで圧縮・成型をすることによってブリケットを製造した。ブリケットの粒度は50mmとし、澱粉の混合比率はブリケット全体に対する質量比で1.5mass%とした。
【0017】
【表1】
【0018】
【表2】
【0019】
本実施例では、上底吹き転炉に溶銑を装入し、脱燐剤としてCaOを添加し、その他媒溶剤、および鉄鉱石を添加し、表3に示す操業条件で脱燐処理を行う際に、溶銑の炭素量を確保するために、上記ブリケットを転炉内へ装入した。転炉へのブリケットの装入は炉上ホッパーへ巻き上げ、脱燐のための吹錬前すなわち溶銑中への酸素吹き込み前に炉上より添加した。この脱燐処理は、無煙炭ブリケットの炭材原単位を種々変化させて行い、炭材歩留まりを把握した。また、比較のため、炭材としてコークスおよび土壌黒鉛を用い、無煙炭ブリケットと同様にして転炉内に装入し炭材原単位を種々変化させて脱燐処理を行い、炭材歩留まりを把握した。
【0020】
【表3】
【0021】
その結果を図1に示す。図1は、横軸に炭材原単位をとり、縦軸に炭材歩留まりをとってこれらの関係を示すグラフである。このグラフから明らかなように、炭材として無煙炭ブリケットを用いた本発明例の場合には、コークスを用いた場合、および土壌黒鉛を用いた場合に比較して、炭材原単位にかかわらず高い炭材歩留まりが得られることが確認された。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、容器内に貯留した溶銑に炭材を添加し、かつ酸素ガスを吹き込んで精錬する際に、炭材として、主成分としての粉状無煙炭に結合材を加えてなる無煙炭ブリケットであって、溶銑上のスラグに着地する前には熱衝撃割れを起こさず、溶銑上のスラグに着地した際に熱衝撃割れを起こす無煙炭ブリケットを用いるので、脱燐、脱珪の短時間処理においても溶け残りが生じずしかも炭材が飛散しにくい。したがって、炭材歩留まりを高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭材として無煙炭ブリケット、コークス、土壌黒鉛を用いて転炉脱燐を行った際における、炭材原単位と炭材歩留まりとの関係を示すグラフ。
Claims (3)
- 容器内に貯留した溶銑に炭材を添加し、かつ酸素ガスを吹き込んで精錬する精錬方法であって、
前記炭材として、主成分としての粉状無煙炭に結合材を加えてなる無煙炭ブリケットであって、溶銑上のスラグに着地する前には熱衝撃割れを起こさず、前記溶銑上のスラグに着地した際に熱衝撃割れを起こす無煙炭ブリケットを用いることを特徴とする精錬方法。 - 前記無煙炭ブリケットは、結合材としてブリケット全体重量の1〜10mass%のデンプンを含むことを特徴とする請求項1に記載の精錬方法。
- 前記精錬は、脱燐または脱珪であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の精錬方法。
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2001
- 2001-04-02 JP JP2001103009A patent/JP4742439B2/ja not_active Expired - Lifetime
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