JP4740439B2 - 塗装用ブラシ - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗装用として好適であるブラシの改良に関するものであり、詳しくは、流体物を十分に含浸保持させて使用する作業に好適なブラシに関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来、塗装用ブラシには、獣毛や合成樹脂フィラメント等の毛材を束ねて固定したものや、連続気泡を有する発泡樹脂、繊維材料によるもの等が用いられていた。
【０００３】
上記の毛材を束ねたブラシは、塗装用として利用した場合は、毛先を使うことにより木目等の凹凸面をよくカバーできるが、塗跡が生じたり、液体の含浸保水能力が低い為に液垂れが生じたり、特に低粘度で流動性の高い塗料では、使用時の毛先の変形により、含浸した塗料を一度に大量に吐き出してしまい、未熟者には上手く取り扱えない欠点あった。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、実開平６−８４９２７号公報には、液体の含浸保水能力が高く、塗装用ブラシとして、塗装を司るブラシ部分を、超極細繊維材料に依って形成したものが開示されている。
【０００５】
しかしながら、上記のブラシ部分は、布材で形成されているので、液体洗剤を使うモップ等の清掃用具として利用するには好適であるが、塗料の塗装作業のように、ブラシに適度の腰の強さを必要とする塗装用ブラシとしては不適である。
【０００６】
また、実開平４−１２０６７２号公報には、超極細繊維で製したブラシ材をブラシ部に植設すると共に、当該ブラシ部材の腰の無さを補うように、その回りに通常のブラシ毛を植設したブラシが開示されている。この構造のブラシは、超極細繊維の密接性を利用して主として歯、爪等を磨くのに好適なものであるが、液体の含浸保持性が高いブラシ部の構造とは言えず、塗装用ブラシとしては、使い勝手や塗面への配慮が全くなされていない。
【０００７】
また、実開平４−１３１３２３号には、超極細繊維で製した布材を、歯ブラシに於けるクッション体で形成したブラシ部分に被覆したものが開示されている。この構造のブラシは、歯磨きに好適であるが、毛先が利用できる毛材によるブラシのように、木目のような大小不規則の凹凸部分をカバーすることは不能であり、塗装用ブラシとしてはカバーできる塗装作用面が極めて限られている。
【０００８】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたので、液体の含浸保水能力が高く且つ腰の強さも備えて、広範な塗装の用途に好適あると共に、その他の用途、即ち流体物を十分に含浸保持させて使用する作業に好適な塗装用ブラシを提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、第１の手段として、毛束の周囲を布材で囲んで、前記毛束の先端面が露出したブラシ主体を設けた。
【００１０】
これにより、ブラシ主体の含浸保水能力が向上し、使用時に於ける毛束の変形が小さくなって低粘度の溶液を良く保持する。従って、液垂れが防止され、一回の作業面積を大きくなり、毛先の使える腰のある塗装に好適ブラシとすることができる。
【００１１】
また、布材が１デニール以下の超極細糸で製された布材であることにより、更に保水能力が高まると共に、作用面への密接性が向上して、塗装作業を更に効果的に行うことができる。
【００１２】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の塗装用ブラシの好適な実施の形態を添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【００１３】
図１乃至図３は、本発明の第１の実施の形態を示すものであり、毛束２の周囲を吸水性の布材３で囲み、前記毛束２の先端面２ａを露出させてブラシ主体１を形成し、このブラシ主体１の上部をブラシ柄４の下端部４ａで挟着して、締着用の針金５で締め付け固定して成るもので、塗装用として好適なブラシである。
【００１４】
この塗装用ブラシのブラシ主体１を構成する毛束２の毛材には、塗装用の刷毛として一般に使用されている獣毛や植物繊維等の天然繊維やポリアミド、ポリエステル等の化学繊維が使用されている。
【００１５】
布材２には、ポリエステル、アクリル、ポリアミド、またはこれらの混紡等にて、１デニール以下の超極細糸によって編織した超極細繊維、又は、超極細糸を使用した不織布が使用されている。
【００１６】
超極細糸製の布材は、その超極細糸の密集に基づく毛細管現象により吸水性、保水性に優れていると共に、素材の糸が超極細であることに基ずき塗装面に対する密なる接触性を有している。
【００１７】
本実施の形態に於けるブラシ主体１は、超極細繊維の布材３で毛束２周りを囲んで布材３の両端部を縫着して布材３を筒状に形成するか、または、帯状に裁断した布を、毛束２周りに１〜数回捲回して布端を縫着し、毛束２の先端面２ａを露出して形成されている。
【００１８】
この塗装用ブラシを使用したとき、毛束２による腰の強さを有しており、捲回した超極細繊維の布材３より毛束２の変形が小さく押さえられるので、毛束２により塗料をよく保持する。また、布材３自身が超極細糸による空隙の高さに基づき塗料をよく保持するので、従来の塗料用の刷毛に比較して塗料の含浸保持能力が極めて高くなっている。従って、特に、流動性の高い低粘度の塗料の保持性に優れており、液垂れ防止効果を有し、一回の作業で広範囲の作用面の塗布作業が行える。
【００１９】
また、ブラシ主体１は毛束２の先端面２ａが露出しているので、毛先を使って木目のような不規則な凹凸面もよくカバーできると共に、塗料の含浸量が大きいのでブラシ主体１への小さな力で含浸塗料がよく吐出される。
【００２０】
作業中に毛束２から吐出される余分な塗料は布材２で吸収保持され、その後均一に吐出するので、均質なブラシ操作で塗装作業を進めることができると共に、ブラシの操作により布材３の部分が塗装作用面に密接するので、刷毛目のない滑らかな塗装面を形成することができる。従って、未熟者にも取り扱い易いブラシとなっている。
【００２１】
尚、本発明の塗装用ブラシにおけるブラシ主体１およびブラシ単体６は、図４に示すように、その毛束２の先端面２ａを、毛束２を囲む布材３から僅かに凹没させて露出させた状態に形成してもよい。
【００２２】
毛束２の先端面２ａおよび先端部２ｂの露出度合いは、ブラシを使用する作業内容に対応して、所望の効果が奏するように設定すればよい。
【００２３】
【実施例】
図５および図６は、本発明の塗装用ブラシ（刷毛）と従来の塗装用ブラシにおける塗布溶液の含み量と塗布面積の比較テストを行い、その結果を、塗布溶液の含み量を折れ線グラフ、塗布面積を棒グラフにして示したものである。
【００２４】
下記の塗装条件で実施した。
１．塗装方法 手による刷毛塗り
２．塗布刷毛の種類 １５号 馬毛 筋違い刷毛
３．刷毛毛先の条件
ａ従来品 刷毛そのまま
ｂ発明品Ａ 刷毛＋綿製白ウエス１回巻き
ｃ発明品Ｂ 刷毛＋超極細繊維１回巻き
４．塗布溶液
ａ水道水
ｂアルキド樹脂系低粘度塗料（粘度：アネスト岩田製粘度カップＮＫー２ 約８秒 ２０℃）
５．被塗装面
ａ水道水 アクリルエマルジョン仕上げ垂直壁面
ｂアルキド樹脂系低粘度塗料 模造紙貼り垂直壁面
【００２５】
図５は、塗布溶液として水道水を用いた場合の例を示しており、図６は、塗布溶液としてアルキド樹脂系低粘度塗料を用いた場合の例を示している。テスト結果を示す二つのグラフから明らかなように、塗布溶液が水の場合も、塗布溶液がアルキド樹脂系低粘度塗料の場合も、従来品に比較して発明品Ａ、発明品Ｂ共に含み量、塗布面積が大きく、発明品の塗装用ブラシとしての性能が従来品よりも遙かに高いことを示している。特に、超極細繊維を巻いた発明品Ｂの性能は極めて高く、簡単な構成で驚異的な性能を有するブラシとなっている。
【００２６】
【発明の効果】
本発明である塗装用ブラシは、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【００２７】
毛束の周囲を布材、特に超極細繊維による布材で囲んで、前記毛束の先端面が露出したブラシ主体を設けた構成としたので、ブラシ本来の機能を失うことなくブラシ主体の含浸保水能力が著しく向上し、塗装面が良好で一回の作業面積が大きい塗装に好適な、未熟者にも扱いやすいブラシとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の塗装用ブラシの第１の実施の形態を示す正面図。
【図２】図１の塗装用ブラシのＡーＡ矢視方向を示す断面図。
【図３】図１の塗装用ブラシの要部を示す底面図。
【図４】別の実施の形態を示す要部の断面図。
【図５】本発明の塗装用ブラシと従来のブラシとの性能比較テストの結果を示すグラフ。
【図６】本発明の塗装用ブラシと従来のブラシとの別の性能比較テストの結果を示すグラフ。
【符号の説明】
１ ブラシ主体，２ 毛束，２ａ 先端面，３ 布材，６ ブラシ単体，７基盤

Claims (2)

1. 毛束の周囲を布材で囲んで、前記毛束の先端面のみを露出したブラシ主体を設けたことを特徴とする塗装用ブラシ。
2. 布材が１デニール以下の超極細糸で製された布材であることを特徴とする請求項１記載の塗装用ブラシ。

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