JP4740078B2 - キャビネットにおける放熱構造 - Google Patents
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キャビネット51内の背板52a略中央部には、発熱体としてのVDSL装置53が設置されている。VDSL装置53は、図示しないファンを内蔵しており、空気を機体の下方から取り込んで上方へ噴き出し、機体の冷却を図るようになっている。該VDSL装置53の上方には、キャビネット51内に溜まった熱をキャビネット51外部へ放熱するための第一放熱板54がVDSL装置53に隣接して設置されている。該第一放熱板54は、キャビネット51内側へ突設された複数の内側フィン55、55・・と、キャビネット51外側(後方)へ突設された複数の外側フィン(図示せず)とを備えており、内側フィン55、55・・にてキャビネット51内の熱を吸収し、外側フィンを介して外部へ放熱可能となっている。また、キャビネット51の側板52b、52bには、内側フィン55と外側フィン56とを有する第二放熱板57、57が、キャビネット51の上下方向へ延設されており、第一放熱板54と同様にして、キャビネット51内の熱を放熱する。
キャビネット51内においては、空気の自然対流に加え、上述したようにVDSL装置53が空気を機体の下方から取り込んで上方へ噴き出すため、図5で白抜き矢印にて示したような空気流が生じることになる。該空気流によって、熱を有する空気が第一放熱板54や第二放熱板57、57の内側フィン55に触れることにより、その熱が内側フィン55に吸収され、キャビネット51外部へ放熱されることになる。
さらに、効率よく内側フィン55と空気とを接触させるべく、キャビネット51内に専用のファンを設置したものも見受けられるが、キャビネット51内の空気をファン等により循環させると、キャビネット51内における空気温度が平均化されてしまうため(たとえば、キャビネット51上部と下部とでの空気温度の差がでにくくなる等)、逆に放熱効果を低下させてしまうことになる。
さらに、ファンを用いて空気流を形成する構成とは異なり、誘導路により強制的に空気流を発生させるものであるため、熱を有する空気と放熱後の空気とが混合してしまうこともなく、空気熱がキャビネット内部で平均化して放熱効率が低下するといったこともない。さらにまた、キャビネット内に側板部材や天板部材を壁部材として設置して誘導路を形成するといったシンプルな構成であるため、既設のキャビネットに対して後付け可能とすることができ、汎用性に富むし、キャビネットの内外で空気を移動させるわけではないため、キャビネットの防水機能が損なわれることもない。加えて、誘導路の大きさに合わせて内側フィンのキャビネット内側への突出量を従来よりも小さく抑えることができ、内側フィンの軽量化、製造コストの低減等といった効果を図ることができる上、内側フィンを小型化するにも拘わらず、放熱効率を向上させることができるといった非常に合理的な構成とすることができる。
また、キャビネット内に立設した壁部材とキャビネットの側板、天板、及び底板との間のスペースを誘導路としているため、誘導路を形成するにあたって立設する壁部材を最小限に抑えることができ、構成の簡素化を図ることができるとともに、キャビネットの側板等に放熱部材が取り付けられている従来タイプのキャビネットに対して好適に適用することができる。
加えて、側板部材及び天板部材の背板からの突出量が側板の前後方向幅と同じであるため、たとえばキャビネットの前扉を閉塞して発熱体を運転する際に、誘導路内の空気が壁部材の前方を越えて発熱体側へ移動してしまうといった事態が起こりにくい。
さらに、上下方向に延設された一対の側板部材と、該側板部材の上端同士を連結するように架設された天板部材とからなるコ字状の誘導壁8が、VDSL装置3を囲むように背板2aに設けられている。加えて、キャビネット1の側板2b、2bには、上記第一放熱板4と略同様の構成を有する第二放熱板(放熱部材)7が設置されている。該第二放熱板7は、内側フィン5、5・・が誘導壁8の側板部材とキャビネット1の各側板2bとの間のスペースへ突出するように設置されている。
誘導壁8は、断熱性を有する部材により形成されており、各側板2bと対向するように上下方向へ延設された側板部材と、該側板部材の上端同士を連結するように、且つ、VDSL装置3と第一放熱板4との間を仕切るように架設された天板部材とからなる。該天板部材には開口部が設けられており、この開口部を介してVDSL装置3が噴き出す空気を第一放熱板4側(すなわち、誘導壁8外側)へ放出可能としている。また、側板部材は、天板部材の左右両端部からキャビネット1の下方まで延設されており、該側板部材と各側板2bとの間に形成されたスペースが、開口部を介して噴き出された空気をキャビネット1の下方まで導く誘導路9となる。
VDSL装置3は、機体の下方から誘導壁8内の空気を取り込み、熱とともに上方へ噴き出すことにより、自身の冷却を図っている。このVDSL装置3から噴き出された熱を有する空気は、開口部を介して誘導壁8外側へ放出され、まず第一放熱板4の内側フィン5、5・・と接触し、第一次放熱される。この後、空気は、誘導壁8により誘導壁8内側への移動が阻止されているため、第二放熱板7の内側フィン5、5・・と接触しながら誘導路9、9内を流下することになり、ここで第二次放熱される。このようにして、第一放熱板4と第二放熱板7とにより確実に冷却された空気は、誘導路9の下端から誘導壁8内へ入り込み、再びVDSL装置3に取り込まれ、VDSL装置3の機体の冷却に用いられることになる。
以上のようにしてキャビネット1における放熱は行われる。尚、VDSL装置3で発生した熱は、放熱スペーサ11を介して自身に取り付けられた外側フィン6、6・・からも放熱される。
加えて、キャビネット1の背板2aに誘導壁8を設置し、誘導壁8と側板2b、2bとの間を誘導路9、9とするといったシンプルな構成であるため、キャビネット1の側板2b、2bに第二放熱板7、7が取り付けられているような従来タイプのキャビネットに対して後付け可能であり、汎用性に富む。また、キャビネット1の内外で空気を移動させるわけではないため、キャビネット1の防水機能が損なわれることもない。
また、上記実施形態に記載したように誘導壁をコ字状に形成するのではなく、L字状体とし、発熱体の側方から下方へフック状に突出するように発熱体の両側面に夫々誘導壁を取り付けるような構成とすることも可能である。
加えて、発熱体としては上記実施形態に記載のVDSL装置に何ら限定されることはないし、キャビネットの外側に外側フィンを覆う遮蔽部材を設け、外側フィンに直射日光等が当たる事態を防止して放熱効率の更なる向上を図る等、キャビネットの構造についても適宜変更可能である。
Claims (1)
- 一方から空気を取り込み他方へ排出して冷却を図る発熱体が内部に設置されたキャビネットにおける放熱構造であって、
前記キャビネットを、背板、一対の側板、底板、及び天板から構成し、前記背板に下方から空気を取り込んで上方へ排出する前記発熱体を設置する一方、
各前記側板と前記発熱体とを仕切るように各前記側板と対向して上下方向へ延設され、且つ、下端が前記発熱体よりも下方に位置する一対の側板部材と、前記側板同士の上端同士を連結するように架設されて前記天板と前記発熱体との間を仕切っており、且つ、前記発熱体から排出される空気を前記天板側へ放出可能な開口部を備えた天板部材とを壁部材として前記背板から前記側板と同じ前後方向幅だけ突設し、前記天板部材と前記天板との間のスペース、前記側板部材と前記側板との間のスペース、及び前記側板部材の下端と前記底板との間のスペースを前記発熱体から排出された空気を空気取り込み側へ導く誘導路とするとともに、前記キャビネット内側へ突出する内側フィンと前記キャビネット外側へ突出する外側フィンとからなる放熱部材を、前記内側フィンが前記誘導路内へ突出するように設置し、
前記誘導路を設けたことにより強制的に生じさせた空気流のみによって前記発熱体から排出された空気を前記発熱体の空気取り込み側へ導くとともに、その過程で、前記排出された空気が有する熱を前記放熱部材により前記キャビネット外部へ放熱させることを特徴とするキャビネットにおける放熱構造。
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