JP4737594B2 - セラミックハニカムフィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、ディーゼルエンジンの排気ガス中の粒子状物質を捕集、浄化するセラミックハニカムフィルタ及び排気ガス浄化装置に関する。
近年、ディーゼルエンジンの排気ガス中から粒子状物質を除去するため、セラミックハニカム構造体の複数の流路を両端部で交互に目封止したセラミックハニカムフィルタが使用されるようになってきた。
通常、セラミックハニカムフィルタは、図1に示すように、外周壁20と、この外周壁の内周側で隔壁30により囲まれた多数の流路40を有する多孔質セラミックハニカム構造体10の排気ガス流入側端面、及び流出側端面で、所望の流路が交互に目封止されている。ハニカムフィルタに流入した排気ガスは、流入側端面に開口した流路からハニカムフィルタ内に侵入し、隔壁30に形成された細孔内(図示せず)を通過して、隣接する流出側端面に開口した流路から排出される。この隔壁に形成された細孔は例えば平均細孔径で10〜40μmのものなどが知られている。このとき、排気ガス中に含まれる粒子状物質などは、隔壁表面や隔壁内部に形成された細孔に捕集され、排気ガスが浄化される。この細孔に捕集された粒子状物質が一定量以上になると細孔の目詰まりが発生して、ハニカムフィルタの圧力損失が上昇し、エンジンの出力低下につながり好ましくないため、バーナーや電気ヒーターにより捕集された粒子状物質を燃焼させ、ハニカムフィルタの再生が行われる。この時、捕集された粒子状物質が多い程、ハニカムフィルタ内の温度を均一に制御することが困難であり、特に高濃度に粒子状物質が堆積した箇所の温度が上昇し易く、燃焼に伴い発生する熱応力によりハニカムフィルタが破損することがあった。また、場合によっては隔壁を構成するセラミック材料の溶融温度以上にハニカムフィルタの温度が上昇し、隔壁に溶損が発生するという問題もあった。一方、ハニカムフィルタの最高温度を、破損や、溶損が起きないように抑えようとすると、粒子状物質の燃え残りが発生し、燃え残り粒子状物質により、再生処理を行ってもハニカムフィルタの圧力損失を低減することができないという問題があった。
このような問題を解決するため、特許文献1に記載されている発明では、排気系の上流に酸化触媒、その下流に粒子状物質捕集用のフィルタとを配置し、上流側の酸化触媒で排気ガス中のNO(一酸化窒素)を酸化してNO2 (二酸化窒素)を生成し、下流のフィルタで排気ガス中の粒子状物質を捕集するとともに、この捕集された粒子状物質を前記酸化触媒で生成したNO2 を用いて燃焼させることにより、フィルタ上の粒子状物質を除去するディーゼル排ガスの微粒子除去方法とその装置が開示されている。この技術によれば、例えば225℃から300℃などの低温下でもフィルタに集積されている粒子状物質を効果的に燃焼させ、それによって、従来技術ではフィルタに集積された粒子状物質が原因で生じる背圧を低減させる効果があるとしている。
また、特許文献2に記載の発明では、隔壁表面に担持した白金族金属及びアルカリ土類金属酸化物を含んでなる触媒の作用により粒子状物質の燃焼が始まる温度を低下させ、この粒子状物質を連続的に除去するディ−ゼル排気粒子用フィルタが開示されている。このフィルタによれば、ディーゼルエンジンの作動条件下で得られる排気ガス温度程度の低い温度条件であっても例えばセラミックハニカム構造体から成るフィルタ中に蓄積した粒子をフィルタの損傷する危険無しに除去することができるとしている。
いずれの上記従来技術においても、触媒物質の作用により、セラミックハニカムフィルタ上での粒子状物質の燃焼を低温で且つ良好に行うことにより、排気ガス中の粒子状物質を除去すると共にセラミックハニカムフィルタの溶損を防ぐ技術が提案されている。
特開平1−318715号公報 特公平7−106290号公報 特開2003−254035号公報
しかしながら、従来技術のセラミックハニカムフィルタを、上記特許文献記載のディーゼル排気ガスの微粒子除去装置やディーゼル排気粒子用フィルタに適用してディーゼルエンジンからの排気ガスを浄化しようとした場合、排気ガス中の粒子状物質をある程度除去できるものの、完全に除去することは困難であり、未だに有害な粒子状物質が微量排出されるという問題を抱えていた。すなわち、ディーゼルエンジンの排気ガス中に含まれる粒子状物質は、主として燃料、潤滑油の不完全燃焼により生成するカーボンからなる煤、未燃焼の燃料分、潤滑油分であるSOF(Soluble Organic Fraction;可溶性有機成分)、燃料中の硫黄分が酸化されミスト状硫酸塩として排出される微量のサルフェートから成っているが、ナノメートルオーダーの微細な粒子から形成されていることから、従来技術のセラミックハニカムフィルタの隔壁に形成された平均細孔径10〜40μmの細孔では、粒子状物質全てを捕集、浄化することは困難であり、更なる捕集率の向上が望まれていた。
したがって、本発明の目的は、多孔質セラミックハニカム構造体の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタを使用した場合における上記問題を解決して、粒子状物質を高捕集効率で除去できるようにしたセラミックハニカムフィルタ、及び排気ガス浄化装置を提供することにある。
本発明のセラミックハニカムフィルタは、多孔質セラミックハニカム構造体の所望の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタにおいて、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止部の間の位置に目封止部を有する流路とを有有し、前記多孔質セラミックハニカム構造体は、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を充填して、外表面を形成する外周壁を有していると共に、前記凹溝と外周壁を構成する部材の少なくとも一部に空隙を有していることを特徴とする。
本発明のセラミックハニカムフィルタは、多孔質セラミックハニカム構造体の所望の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタにおいて、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止部の間の位置に目封止部を有する流路とを有有し、前記セラミックハニカム構造体の隔壁の結晶相主成分がコーディエライトであり、気孔率が50〜80%であって、前記セラミックハニカム構造体の隔壁がFeを含むとともに、スピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることを特徴とする。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、両端部近傍に目封止部を有する流路及び流路の内部に目封止部を有する流路とを少なくとも交互に配置したことが好ましい。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記多孔質セラミックハニカム構造体の隔壁が少なくとも一つの目封止部において流路方向に分断されていることが好ましい。
本発明の隔壁が少なくとも一つの目封止部において流路方向に分断されているセラミックハニカムフィルタにおいて、前記隔壁の平均細孔径は、前記流路内部の目封止部より下流側の隔壁の方が上流側の隔壁に比べて小さいことが好ましい。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記スピネルのうち粒径が0.01〜5μmであるスピネルの個数割合が80%以上であることが好ましい。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記スピネルに含有されるFeの濃度が、Fe換算で0.1〜10質量%であることが好ましい。
次に、本発明の作用効果について説明する。本発明のセラミックハニカムフィルタについて、図2の断面模式図を用いて説明する。本発明のセラミックハニカムフィルタ12は、多孔質セラミックハニカム構造体10の所望の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタにおいて、流路方向に二ヶ所以上の目封止部50及び51を有する流路42と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止部の間の位置に目封止部52を有する流路41とを有している。このような構成のセラミックハニカムフィルタ12に、ディーゼルエンジンからの排気ガス91が流入側端面13から流入すると、流路41の内部に形成された目封止部52より上流側の隔壁31中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス中の粒子状物質の大半が隔壁31の表面及び細孔に捕集され、浄化された排気ガス92が流路42中を進行する。更に、この排気ガス92が流路41の内部に形成された目封止部52より下流側の隔壁32中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス92中に残存している僅かな粒子状物質が隔壁32の表面及び細孔に捕集され、浄化された排気ガス93がセラミックハニカムフィルタの流出側端面14から排出される。以上のように、本発明のセラミックハニカムフィルタの一例である、図2に示す、流路方向に二ヶ所以上の目封止部50及び51を有する流路42と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止の間の位置に目封止部52を有する流路41とを有している構造のセラミックハニカムフィルタでは、排気ガスが隔壁中に形成された細孔内を2回通過することになるので、従来技術のセラミックハニカムフィルタが隔壁中を1回通過して粒子状物質を捕集しているのに対し、粒子状物質の捕集効果が大きくなり、粒子状物質の排出量を低減することができる。
上記の本発明のセラミックハニカムフィルタでは、細孔が形成された隔壁へ排気ガスを複数回、図2の例では2回通過させることによって、粒子状物質の捕集効率を高めるという大きな効果を得ているが、従来技術のセラミックハニカム構造体の排気ガス流入側端面、及び流出側端面において、所望の流路が交互に目封止されている構造のセラミックハニカムフィルタ11を2個直列に配置すれば、排気ガスを2回通過させることは可能ではある。しかしながら本発明のセラミックハニカムフィルタは従来のセラミッックハニカムフィルタを2個直列に配置した構成に対して圧力損失を小さくできるという大きな利点を有している。
以下に、その理由を説明する。セラミックハニカムフィルタの圧力損失は、(1)排気ガスが排気ガス流入側端面からフィルタ内に浸入する際の損失、(2)排気ガスが流入側端面に開口した流路内を進行する際の損失、(3)排気ガスが隔壁を通過する際の損失、(4)排気ガスが流出側端面に開口した流路内を進行する際の損失、(5)排気ガスがフィルタ内の排気ガス流出側端面から排出される際の損失、の合計と見なすことができる。仮に、本発明のセラミックハニカムフィルタと、本発明のセラミックハニカムフィルタ全長の半分を有する従来技術のセラミックハニカムフィルタを2ヶ直列に配置した場合を比較してみると、本発明のセラミックハニカムフィルタの場合、流路内部の目封止部より上流側の隔壁31を通過した排気ガス92は、直接流路内部の目封部より下流側の流路に進行してゆくのに対し、従来技術のセラミックハニカムフィルタを2ケ直列に配置した場合は、上流側のセラミックハニカムフィルタの隔壁を通過した排気ガスが、一旦上流側のセラミックハニカムフィルタの流路から排出され、更に下流側のセラミックハニカムフィルタの流路内に進行することになるので、セラミックハニカムフィルタへの排気ガスの出入りに伴う圧力損失が発生することになる。このため、本発明のセラミックハニカムフィルタは従来のセラミッックハニカムフィルタを2個直列に配置した構成に対して圧力損失を小さくできる。
以上の説明は、本発明のセラミックハニカムフィルタの一例である、図2に示す構造のセラミックハニカムフィルタ12を用いて行ったが、図3に示すように1つの流路における目封止部の数を増やすことで、排気ガスが隔壁を通過する回数を増やすことにより粒子状物質の捕集効果がより大きくなり、粒子状物質の排出量をより低減することができる。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、両端部近傍に目封止部を有する流路及び流路の内部に目封止部を有する流路とを少なくとも交互に配置したことが好ましいのは、上記のように、このような構成のセラミックハニカムフィルタに、ディーゼルエンジンからの排気ガス91が流入側端面13から流入すると、流路41の内部に形成された目封止部52より上流側の隔壁31中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス中の粒子状物質の大半が隔壁31の表面及び細孔に捕集され、浄化された排気ガス92が流路42中を進行する。更に、この排気ガス92が流路41の内部に形成された目封止部52より下流側の隔壁32中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス92中に残存している僅かな粒子状物質が隔壁32の表面及び細孔に捕集され、浄化された排気ガス93がセラミックハニカムフィルタの流出側端面14から排出される。以上のように、本発明のセラミックハニカムフィルタでは、排気ガスが隔壁中に形成された細孔内を2回通過することになるので、従来技術のセラミックハニカムフィルタが隔壁中を1回通過して粒子状物質を捕集しているのに対し、粒子状物質の捕集効果が大きくなり、粒子状物質の排出量を低減することができるからである。それと同時に、図2に示す構造のセラミックハニカムフィルタの場合、排気ガスが隔壁中に形成された細孔内を2回通過するが、図3(a)、(b)の場合の排気ガスが隔壁中に形成された細孔を3回、4回通過するのに比べて圧力損失の上昇を極力抑えることができるからである。ここで、流路の内部の目封止部とは、両端部近傍に目封止部50及び51を有する流路42に隣接した流路41に形成された、流路内部の目封止部52のことを言い、両端部近傍の目封止部50及び51とは異なるものである。
前記流路の両端部に目封止部を有するセラミックハニカムフィルタに対して、流路内部にも目封止部を設けた構造のセラミックハニカムフィルタは、特許文献3の発明において既に提案されているが、この特許文献3では流路内部に設けた目封止部を使って消音機能をもたせ、マフラーを不要にすることを主目的においたものであり、本特許文献3の図6、7、9、13に示されているように、排気ガスは隔壁を一回通過することにより、排出されている。本発明のセラミックハニカムフィルタは、両端部近傍に目封止部を有する流路42及び流路の内部に目封止部52を有する流路41とを少なくとも交互に配置した構造としていることから、排気ガスは隔壁を2回通過することにより、従来技術である特許文献3のフィルタに比べて、粒子状物質の排出量を低減することができるのである。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記隔壁の少なくとも一部に、例えばAl 、ZrO 、CeO 、TiO 、SiO などの酸化物或いはこれらの数種からなる複合酸化物から形成される高比表面積材料及び触媒物質が担持されていることが好ましい。これは、排気ガスが流路41の内部に形成された目封止部52より上流側の隔壁31及び下流側の隔壁32を通過する際に、触媒物質の作用により、排気ガス中の粒子状物質を連続的に燃焼させることが可能となり、粒子状物質が隔壁表面や隔壁中の細孔などに短時間で堆積してセラミックハニカムフィルタの圧力損失が増加し、エンジン出力が低下することを防ぐことができるためである。尚、例えばAl 、ZrO 、CeO 、TiO 、SiO などの酸化物或いはこれらの数種からなる複合酸化物から形成される高比表面積材料は、触媒物質が排気ガスと効率良く接触して、触媒反応を効率良く行わせるために担持され。この高比表面積材料は隔壁の表面だけでなく、隔壁中の細孔内の表面にも形成されていることが好ましい。この高比表面積材料の担持量はフィルタ1L(リットル)に対して、50〜300g/Lとすることが好ましい。担持量が50g/L未満では、触媒物質の粗大化が起こる場合があり、300g/Lを超えるとセラミックハニカムフィルタの圧力損失が高くなるからである。
また、前記触媒物質としては、触媒反応によって粒子状物質の酸化燃焼を促進するものであれば好ましいが、たとえば、Pt、Pd、Ru、Rh等の白金族金属から選ばれた1種或いはその組合せであることが好ましい。触媒物質の担持量は、セラミックハニカムフィルタの容積1L(リットル)あたり1〜5gであることが好ましい。担持量が1g/L未満であると、粒子状物質を燃焼させるには不十分で実用的ではなく、5g/Lを超えて担持すると、高価な貴金属を多量に使用することになり、コストアップにつながり実用的でないからである。
本発明の隔壁の少なくとも一部に高比表面積材料及び触媒物質が担持されたセラミックハニカムフィルタにおいて、前記高比表面積材料の担持量は、前記流路内部の目封止部より下流側の隔壁32の方が上流側の隔壁31に比べて多いことが好ましいのは、以下の理由による。ディーゼルエンジンからの排気ガス91が本発明のセラミックハニカムフィルタの流入側端面13から流入して、流路41の内部に形成された目封止部52より上流側の隔壁31中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス中の粒子状物質の大半が捕集され、浄化された排気ガス92が流路42中に進行すると、浄化された排気ガス92中には比較的微細な粒子状物質が僅かに残存することになる。従って、下流側の隔壁32に担持する高比表面積材料の担持量を上流側の隔壁31より多くすることにより、下流側の隔壁32を排気ガスが通過する通過経路を、上流側の隔壁31より狭くすることができることから、排気ガスが隔壁32を通過する際に、より微細な粒子状物質をも捕集することができるため、排気ガス中の粒子状物質の捕集効果が大きくなって、粒子状物質の排出量を低減することができるからである。上流側の隔壁31への高比表面積材料の担持量は50〜300g/Lが好ましく、下流側の隔壁32への高比表面積材料の担持量は、上流側の隔壁31への担持量に対して、1.1〜5倍であることが好ましい。
本発明の隔壁の少なくとも一部に高比表面積材料及び触媒物質が担持されたセラミックハニカムフィルタにおいて、前記高比表面積材料の粒径は、前記流路内部の目封止部より下流側の隔壁の方が上流側の隔壁に比べて小さいことが好ましいのは、以下の理由による。ディーゼルエンジンからの排気ガス91が本発明のセラミックハニカムフィルタの流入側端面13から流入して、流路41の内部に形成された目封止部52より上流側の隔壁31中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス中の粒子状物質の大半が捕集され、浄化された排気ガスが流路42中に進行すると、浄化された排気ガス中には比較的微細な粒子状物質が僅かに残存している。従って、下流側の隔壁32に担持する高比表面積材料の粒径を上流側の隔壁31より小さくすることにより、高比表面積材料間に形成される空隙も小さくなり、下流側の隔壁32を排気ガスが通過する通過経路が、上流側の隔壁31より狭くなることから、排気ガスが隔壁32を通過する際に、より微細な粒子状物質をも捕集することができるようになり、排気ガス中の粒子状物質の捕集効果が大きくなって、粒子状物質の排出量を低減することができるからである。
ここで、流路内部の目封止部52の流路方向位置は、流路の内部に存在すれば良いが、セラミックハニカムフィルタの圧力損失の増大を防ぐという意味では、上流側隔壁31及び下流側隔壁32のバランスをとる必要があり、排気ガス流入側端面13から全長の0.2〜0.8倍が好ましく、より好ましくは全長の0.3〜0.7である。
またここで、流路内部の目封止部52の流路方向位置は、一定の位置に配置される必要は無く、図4(a)に示すように、流入側端面13からの距離が均一である必要はなく、図4(b)に示すように目封止部の長さが均一である必要もなく、図4(c)に示すように目封止部端面の形態が凸形状であっても、凹形状であっても構わない。また図4(d)に示すように、外周付近の流路を断熱空間として利用するため、外周付近の流路では、目封止部が両端部に存在しても良い。
また、本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、図5に示すように、少なくとも排気ガス流入側目封止部50の一部がセラミックハニカムフィルタの排気ガス流入側端面13より離れて配置されるとより好ましい。この理由は、図5に示すようなセラミックハニカムフィルタの構造の場合、排気ガス流入側端面、特に排気ガス流入側目封止部50の排気ガス流入側端面に堆積した粒子状物質が粗大化して流路入口を塞ぎ、圧力損失が上昇する現象を防ぐことができるからである。
本発明のセラミックハニカムフィルタは、多孔質セラミックハニカム構造体の隔壁が少なくとも一つの目封止部において流路方向に分断されていることが好ましい。本発明の好ましい形態のセラミックハニカムフィルタは、図6の断面模式図に示すように、多孔質セラミックハニカム構造体の隔壁が流路内部の目封止部において流路方向に分断され、流路内部の目封止部より上流側の隔壁33と流路内部の目封止部より下流側の隔壁34の間に空隙35が形成されている。このような構造のセラミックハニカムフィルタは排気ガス上流側のセラミックハニカム構造体15と下流側のハニカム構造体16を流路方向に目封止部を利用して接合することにより製造することができる。
このような構造のセラミックハニカムフィルタに排気ガスが流入すると、排気ガスは図2と同様に流通して、隔壁中に形成された細孔内を2回通過することになるため、粒子状物質の捕集効果が大きくなり、粒子状物質の排出量を低減することができ、更に隔壁が流路方向に分断され、セラミックハニカム構造体の流路方向長さが短くなっていることから、隔壁表面や隔壁内の細孔に堆積した粒子状物質が燃焼される際の燃焼反応に伴ってセラミックハニカムフィルタに発生する熱衝撃に対する抵抗力が増大し、耐熱衝撃性に優れたセラミックハニカムフィルタを得ることができる。上記観点によれば、隔壁33と隔壁34との間の空隙35の幅は0でも良い。
また、排気ガス上流側のセラミックハニカム構造体15と下流側のハニカム構造体16の2種類のハニカム構造体を接合して製造できることから、流路内部の目封止部より上流側の隔壁33と流路内部の目封止部より下流側の隔壁34の材料特性を目的に応じて異ならせることができるという利点も有している。
本発明の隔壁が少なくとも一つの目封止部において流路方向に分断されているセラミックハニカムフィルタにおいて、隔壁の平均細孔径は、前記流路内部の目封止部より下流側の隔壁34の方が上流側の隔壁33に比べて小さいことが好ましいのは、以下の理由による。ディーゼルエンジンからの排気ガス91が本発明のセラミックハニカムフィルタの流入側端面13から流入して、流路41の内部に形成された目封止部52より上流側の隔壁33中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス中の粒子状物質の大半が捕集され、浄化された排気ガス92が流路42中に進行すると、浄化された排気ガス92中には比較的微細な粒子状物質が僅かに残存することになる。このため、下流側の隔壁34の平均細孔径を上流側の隔壁33より小さくすることにより、下流側の隔壁34を排気ガスが通過する際の通過経路が、上流側の隔壁33より狭くなるため、排気ガスが隔壁34を通過する際に、より微細な粒子状物質をも捕集することができるため、排気ガス中の粒子状物質の捕集効果が大きくなり、粒子状物質の排出量を低減することができるからである。上流側の隔壁33の平均細孔径は10〜40μmが好ましく、下流側の隔壁34の平均細孔径は、上流側の隔壁33に対して、0.5〜0.98倍であることが好ましい。上流側の隔壁の平均細孔径が10μm未満であると、排気ガスが隔壁に形成された細孔を通過することから、セラミックハニカムフィルタの圧力損失が上昇し、エンジンの出力低下につながることもあるからであり、隔壁の平均細孔径が40μmを超えると、微細な粒子状物質を捕集することが難しくなり、捕集効率が低下することもあるからであり、また隔壁の強度が低下して、使用時の熱衝撃や機械的振動により破損することもがあるからである。上流側の隔壁33の更に好ましい平均細孔径は15〜30μmである。
また上記に加え、図7及び図8に示すように、少なくとも排気ガス流入側目封止部50の一部がセラミックハニカムフィルタの排気ガス流入側端面13より離れて配置されるとより好ましい。この理由は、図7に示すようなセラミックハニカムフィルタの構造の場合、排気ガス流入側端面、特に排気ガス流入側目封止部50の排気ガス流入側端面に堆積した粒子状物質が粗大化して流路入口を塞ぎ、圧力損失が上昇する現象を防ぐことができるからである。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記多孔質セラミックハニカム構造体は、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を充填して、外表面を形成する外周壁を有していると共に、前記凹溝と外周壁を構成する部材の少なくとも一部に空隙を有していることが好ましい。即ち、セラミックハニカム構造体の外周部を加工により除去することにより、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を有するセラミックハニカム構造体とした後に、この凹溝にセラミックコーティング材を埋め込んで外周壁を形成、一体化し、更に、前記軸方向に延びる凹溝と外周壁を構成する部材の間の少なくとも一部に空隙を有していると、ハニカム構造体の外周部を除去しているので、押出成形の際に発生する外周部の変形した隔壁を除くことができるため、セラミックハニカム構造体の機械的強度を高くできるのと共に、寸法精度を向上させることができるという効果のほかに、セラミックハニカムフィルタの耐熱衝撃性が大幅に向上するという効果を有する。
図2に示すような隔壁を排気ガスが複数回通過する構造のセラミックハニカムフィルタ12の場合は、図1に示す従来のセラミックハニカムフィルタと比較して、全長が同じ場合には隔壁の単位面積当りを通過する排気ガスの量は多くなる。このためセラミックハニカムフィルタを高温の排気ガスが通過する場合、特にセラミックハニカムフィルタの通路内部の目封止部52より上流側において大きい熱衝撃を受けることとなり、場合によっては外周壁や隔壁にクラックが入ることが考えられる。しかしながら、本発明のように前記凹溝と外周壁を構成する部材の少なくとも一部に空隙を有していることにより、熱衝撃により外周壁部に発生する応力をこの空隙が開放するため、外周壁にクラックが発生する虞を低減し、外周壁にクラックが発生してもクラックの隔壁への進展を防ぎ、隔壁が脱落して、入口側と出口側の流路が連通し、粒子状物質の捕集率が低下するといった、排気ガス浄化装置の浄化性能に係わる、致命的な問題に発展することを防ぐことが出来るからである。また、空隙を設けることにより、外周壁部と凹溝を構成する隔壁の間の接着面積が小さくなることから、両者界面の熱膨張係数差により生じる残留応力が低減できるため、熱衝撃によるクラックが発生しにくいからである。ここで、前記外周壁を構成する部材と凹溝の間に形成された空隙を有する凹溝の個数割合が全凹溝のうちの5%以上であるとより好ましい。また、外周壁の少なくとも一部に外表面に開口した空隙を有していると、同様に耐熱衝撃性が向上することから好ましい。
同様に外周部の加工をハニカム構造の乾燥体の段階で行った後、焼成して、外周部に軸方向に凹溝を有するセラミックハニカム構造体とした後に、該凹溝にセラミックコーティング材を埋め込んで外周壁を形成しても良い。なお、セラミックコーティング材は、ハニカム構造体と一体化させることから、ハニカム構造体と同一のセラミック粒子と、コロイド状酸化物等の無期バインダーで形成すると、コーティング材とハニカム構造体間における熱膨張等の材料特性の違いによる剥離等の問題を極力小さくでき、外周壁を強固に一体化できることから好ましい。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、前記セラミックハニカム構造体の隔壁の結晶相主成分がコーディエライトであり、気孔率が50〜80%であって、前記セラミックハニカム構造体の隔壁がFeを含むとともに、スピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることが好ましいのは、以下の理由による。本発明に用いられる多孔質セラミックハニカム構造体の隔壁を構成する材料としては、本発明が主にディーゼルエンジンの排気ガス中の微粒子を除去するためのフィルタとして使用されるため、耐熱性に優れた、コーディエライト、アルミナ、ムライト、窒化珪素、炭化珪素、チタン酸アルミニウム及びLASからなる群から選ばれた少なくとも1種を主結晶とするセラミック材料を用いるこ
とができるが、特にセラミックハニカムハニカム構造体の隔壁の結晶相主成分をコーディエライトとした場合は、低熱膨張特性が得られることから、熱衝撃に強いセラミックハニカムフィルタが得られる。ただし、本件発明のセラミックハニカムフィルタに対しては、低圧損特性が必要とされることから、隔壁の気孔率は50〜80%の高気孔率が必要となり、かかる高気孔率を得ようとすると、製造過程で造孔剤を多量に添加する必要が有り、コーディエライト結晶の配向性が乱され、熱膨張係数が大きくなる場合がある。しかしながら、本発明のセラミックハニカムフィルタにおいては、セラミックハニカム構造体の隔壁がFeを含むとともに、スピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれるようにしていることから、コーディエライト化原料であるカオリン、タルク中に存在するFeに起因して不可避的にセラミックハニカム構造体中に存在するFeが、スピネル中に高濃度、例えば、Feに換算して、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)≧1.1で存在するようになり、相対的にコーディエライト結晶中のFe濃度が低くなってコーディエライト結晶の熱膨張係数を小さくすることができ、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数を低下させることができる。ここで、隔壁の気孔率を50〜80%とするのは、隔壁の気孔率が50%未満であると、排気ガスが隔壁に形成された細孔を通過することから、セラミックハニカムフィルタの圧力損失が上昇し、エンジンの出力低下につながることもあるからであり、隔壁の気孔率が80%を超えると、隔壁の強度が低下するため、使用時の熱衝撃や機械的振動により破損することもがあるからである。また、(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)≦15が好ましい。(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)が15を超えると、スピネル自体の熱膨張係数が大きくなり、セラミックハニカム構造体の熱膨張係数が高くなることもあるからである。更に好ましい(スピネル中のFe濃度)/(コーディエライト結晶中のFe濃度)の範囲は3〜10である。
ここで、スピネルとはMgO・Alの組成を有するスピネル型構造の複酸化物結晶のことを言うが、本発明ではFe及び不可避不純物を含有している。そして、セラミックハニカム構造体の隔壁がスピネルを含むとは、X線回折図形において、コーディエライト(5SiO・2Al・2MgO)の回折ピーク及びスピネルの回折ピークに相当する回折角に回折ピークが認められる場合のことを言う。X線回折強度の測定は、セラミックハニカム構造体を微粉砕した後、目開き径1μmの篩により粒度調整し、粉末X線回折法で行った。
またここで、結晶相の主成分がコーディエライトであるセラミックハニカム構造体の隔壁中のスピネルの含有量を、X線回折強度比にして4%以下が好ましいのは、スピネルの含有量が4%を越えると、不可避不純物であるFeをスピネル中に高濃度で存在させたとしても、スピネルの含有量自体が多くなるため、セラミックハニカム構造体の隔壁の熱膨張係数が大きくなり、12×10−7/℃以下の達成が困難になるからである。ここで、X線回折強度比は、上記で得られたX線回折図形から、スピネル〔220〕面のX線回折強度(Isp〔220〕)と、コーディエライト〔102〕面のX線回折強度(Ic〔102〕)を求め、X線回折強度比をIsp〔220〕/{Ic〔102〕}(%)として求めた。
またここで、スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれるようにしているのは、スピネルを微細にして、比表面積を大きくすることにより、前記の如くFeがスピネル結晶に固溶して高濃度で存在するようになり、相対的にコーディエライト結晶中のFe濃度が低くなってコーディエライト結晶の熱膨張係数を小さくすることができ、結果として、セラミックハニカム構造体の隔壁の熱膨張係数を小さくすることができるからである。スピネルの粒径が5μm超であると、スピネル中にFeを高濃度で存在させる効果が得にくくるからであり、スピネルの粒径は3μmであることが更に好ましい。ここで、スピネルの粒径は以下のように求める。まず、隔壁からマイクロサンプリング法により、厚さ約0.1μmの薄片化したマイクロサンプルを作成し、このサンプルを透過型電子顕微鏡(TEM)により、倍率10000倍程度でTEM像を観察し、Zコントラスト像の写真を撮影する。その後、微小箇所のEDX(エネルギ−分散型X線分析器)による組成分析を行って、スピネルの特定を行い、先に得られたZコントラスト像の写真から、画像解析装置を用いて最大径aと前記最大径aに直交する径bとを測定し、二軸平均粒径r(r=(a+b)/2:最大径と最大径に直交する径の相加平均)をスピネルの粒径として求める。
上記のセラミックハニカム構造体の隔壁は、Feを含んでいるが、その含有量はFeに換算して、0.1〜2質量%が好ましい。含有量が2質量%を越えると、微細なスピネルを利用して低熱膨張化を図ろうとしても、熱膨張係数自体が大きくなることもあるため好ましくない。更に好ましいFeの含有量はFeに換算して、0.2〜1.2質量%である。
本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、上記のセラミックハニカム構造体の隔壁は、上記観察したスピネルのうち粒径0.01〜5μmであるスピネルの個数割合が80%以上であると、スピネルの比表面積がより大きくなるため、スピネル中にFeを高濃度で存在させる効果が増加し、本発明の効果が大きくなる。ここで、観察したスピネルのうち粒径0.01〜5μmであるスピネルの個数割合は、任意のスピネルをN個(20個以上)選択し、上記の様に粒径を計測し、粒径0.01〜5μmのスピネル観測数n個の全スピネル観測数N個に対する百分率n/N×100(%)として算出した。
また、本発明のセラミックハニカムフィルタにおいて、上記のセラミックハニカム構造体の隔壁は、前記スピネルに含有されるFeの濃度が、Fe換算で0.1〜10質量%であることが好ましいのは以下の理由による。スピネル中のFe濃度が量Fe換算で0.1〜10質量%であると、スピネル中にFeが高濃度で存在し、相対的にコーディエライト結晶中のFe量を減少させ、コーディエライト結晶自体の熱膨張係数を低減する効果が大きくなり、熱膨張係数のより小さなセラミックハニカム構造体を得ることができる。
本発明に係るセラミックハニカムフィルタの隔壁厚は0.1〜0.5mmが好ましく、隔壁のピッチは1.2mm以上が好ましい。隔壁厚が0.1mm未満では、隔壁が細孔を有する高気孔率の多孔質体であることからハニカム構造体の強度が低下し、好ましくない。一方、隔壁厚が0.5mmを超えると、如何に隔壁が高気孔率であっても、排気ガスに対する隔壁の通気抵抗が大きくなるため、フィルタの圧力損失が大きくなるからである。より好ましい隔壁厚さは、0.2〜0.4mmである。また、隔壁のピッチが1.3mm未満であると、ハニカム構造体の入口の開口面積が小さくなることから、フィルタ入口の圧力損失が大きくなるためである。
本発明の排気ガス浄化装置の模式断面図を図9に示す。本発明の排気ガス浄化装置は、多孔質セラミックハニカム構造体の所望の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタ12が排気ガス通路に配置されている排気ガス浄化装置であって、前記セラミックハニカムフィルタ12は、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路42と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止の間の位置に目封止部を有する流路41とを有し、前記隔壁の少なくとも一部に高比表面積材料及び触媒物質が担持されていることを特徴とする理由を以下に説明する。ディーゼルエンジンから排出された排気ガス91は、多孔質セラミックハニカム構造体の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタであって、両端部近傍に目封止部を有する流路42及び流路の内部に目封止部を有する流路41とを少なくとも交互に配置し、前記隔壁の少なくとも一部に高比表面積材料及び触媒物質が担持されているセラミックハニカムフィルタに流入すると、流路41の内部に形成された目封止部52より上流側の隔壁31中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス中の粒子状物質の大半が隔壁31の表面及び細孔に捕集されると共に、隔壁の少なくとも一部に担持された触媒物質の作用に燃焼浄化され、浄化された排気ガス92が流路42中を進行する。更に、この排気ガス92が流路41の内部に形成された目封止部52より下流側の隔壁32中に形成された細孔(図示せず)を通過する際に排気ガス92中に残存している僅かな粒子状物質が隔壁32の表面及び細孔に捕集されされると共に、隔壁の少なくとも一部に担持された触媒物質及び高比表面積材料の作用に燃焼浄化され、浄化された排気ガス93がセラミックハニカムフィルタの流出側端面14から排出される。このように、本発明の排気ガス浄化装置では、排気ガスが隔壁中に形成された細孔内を複数回通過する際に、排気ガス中の粒子状物質が捕集、燃焼浄化されることになるので、粒子状物質の捕集効果が大きくなり、粒子状物質の排出量を低減することができる。
本発明の排気ガス浄化装置においてセラミックハニカムフィルタの上流に燃料供給手段が配置されていることが好ましい。近年のディーゼルエンジンは燃費向上が進み、排気ガス温度は低下する傾向にあり、200℃以下の排気ガス温度頻度が高くなっており、本発明の排気ガス浄化装置に配置されたセラミックハニカムフィルタの隔壁31及び隔壁32において、排気ガス温度が低下して触媒物質の活性度が低下し、粒子状物質の燃焼が十分行われない時には、粒子状物質がセラミックハニカムフィルタ上に堆積してゆくことになる。セラミックハニカムフィルタ上への粒子状物質の堆積量が多くなるとセラミックハニカムフィルタの圧力損失が増大して燃費が悪くなるため、粒子状物質の堆積量が多くなった際には、セラミックハニカムフィルタの上流側に配置された燃料添加装置83から排気ガス中に燃料を添加することにより、壁31及び隔壁32の少なくとも一部に担持された触媒物質、例えば白金族金属を含む触媒物質により、燃料の燃焼反応が促進され、排気ガス温度が上昇するのと共に、セラミックハニカムフィルタの温度が上昇し、堆積していた粒子状物質が燃焼除去されるからである。
本発明のセラミックハニカムフィルタによれば、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止の間の位置に目封止部を有する流路とを有することを特徴とすることから、セラミックハニカムフィルタに流入した排気ガスは隔壁中を少なくとも2回通過して排出されるため、従来技術の両端部で目封止されたセラミックハニカムフィルタに比べて、排気ガス中に含まれる粒子状物質を高効率で除去することができる。
以下、図2に示す、両端部近傍に目封止部を有する流路及び流路の内部に目封止部を有する流路とを少なくとも交互に配置した本発明のセラミックハニカムフィルタの製造方法の一例を説明する。先ず、カオリン、タルク、シリカ、水酸化アルミ、アルミナなどの粉末をコーディエライト組成となるよう調整後、成形助剤と造孔剤を添加し、規定量の水を注入して更に十分な混合を行い、押出成形可能な坏土を作製した。そして、得られた坏土を、公知の押出成形用金型を用いて押出成形し、外周壁と、この外周壁の内周側で隔壁により囲まれた断面が四角形状の流路を有するハニカム構造の成形体を作製した後、乾燥、焼成を行って、多孔質隔壁を有するセラミックハニカム構造体を作製する。
その後、図2に示すように所定の流路の両端部及び流路の内部に目封止部を形成する。ここで、流路内部に目封止部を形成する方法の一例を図10及び図11を用いて説明する。セラミックハニカム構造体の排気ガス流出側端面に市松模様に樹脂製スラリー導入通路71を設けた樹脂製のマスク70を装着し、図11の要部拡大図の矢印で示すようにスラリー導入通路71を通して目封止部形成用スラリー53を、セラミックハニカム構造体の流路の一部に充填する。その後、スラリー状の目封止材53中に含まれる水分はハニカム構造体の隔壁に吸水され目封止材が隔壁に着肉して行き保形性が得られるようになると、固化していないスラリーを排出し、樹脂製マスクを除去後、固化した目封止材の乾燥を行う。このとき樹脂製スラリー導入通路71内に存在する目封止部形成用スラリーは隔壁からの吸水されないいことから固化しないため、スラリ−導入通路の長さを調整することにより、流路内部の目封止部の形成位置を決定することができる。一方、流路端部の目封止部は、公知の技術により形成し、その後、目封止部の焼成を行い、隔壁と目封止部を一体化せしめ、セラミックハニカムフィルタを得る。
なお、目封止部を流路内部に形成するその他の方法としては、注射針状の管をセラミックハニカム構造体の端部から流路の所定位置まで挿入し、この管を通して所定位置に所定量のペースト状、或いはスラリー状の目封止材を導入後、乾燥、焼成させる方法や、セラミックチップをハニカム構造体の内部に埋め込み、焼成させる方法等を採用し、隔壁と目封止材を一体化する方法をとることもできる。
得られたセラミックハニカムフィルタを、触媒物質及び高比表面積材料からなるスラリーに浸漬後、焼成して隔壁に触媒物質及び高比表面積材料を担持させる。このとき、流路内部の目封止部より上流側の隔壁31と下流側の隔壁32とに異なる触媒物質及び高比表面積材料を担持させる場合は、それぞれセラミックハニカムフィルタの排気ガス流入側端面13及び排気ガス流出側端面14より、触媒物質及び高比表面積材料からなるスラリーを浸漬させて形成する。
次に、図6に示す、両端部近傍に目封止部を有する流路及び流路の内部に目封止部を有する流路とを少なくとも交互に配置したセラミックハニカムフィルタであって、前記隔壁が少なくとも一部の目封止部において流路方向に分断されているセラミックハニカムフィルタの製造方法の一例を説明する。先ず、カオリン、タルク、シリカ、水酸化アルミ、アルミナなどの粉末をコーディエライト組成となるよう調整後、成形助剤と造孔剤を添加し、規定量の水を注入して更に十分な混合を行い、押出成形可能な坏土を作製した。そして、得られた坏土を、公知の押出成形用金型を用いて押出成形し、外周壁と、この外周壁の内周側で隔壁により囲まれた断面が四角形状の流路を有するハニカム構造の成形体を作製した後、乾燥、焼成を行って、多孔質隔壁を有し、同一寸法のセラミックハニカム構造体15及び16を作製する。これら両者のセラミックハニカム構造体の一方の端面に対して従来技術の方法で市松模様になるように流路端部に目封止部を形成する。このとき図12に示すように、両者のもう一方の端面を突き合わせたときに、目封止部が形成されていない流路同士が連通するように目封止部を形成しておく。一方、可塑性を有する目封止材を準備しておき、セラミックハニカム構造体15及び16の目封止部が形成されていない流路端部より、挿入して両者を一体化した後目封止材の乾燥、焼成を行い、隔壁と目封止材を一体化せしめる。更に、セラミックハニカム構造体15及び16を一体化せしめた後、外周にセラミックコーティング材を塗布して、外周壁を形成しても良い。さらには、セラミックハニカム構造体15及び16の外周部を加工により除去して、外周部に軸方向に凹溝を有するセラミックハニカム構造体とした後に、同様に一体化した後、更に該凹溝にセラミックコーティング材を埋め込んで外周壁を形成しても良い。前記外周部の加工をハニカム構造の成形体の段階で行った後、焼成して、外周部に軸方向に凹溝を有するハニカム構造体とした後に、一体化し、更に該凹溝にセラミックコーティング材を埋め込んで外周壁を形成しても良い。
流路内部の目封止部の形成方法としては、上記以外に、図13に示すように、所望の流路の両端部に目封止部を形成したセラミックハニカム構造体17及び18、耐熱性セラミックス接着剤を準備しておき、セラミックハニカム構造体の突き合わせる端面の目封止部表面同士を接着剤で接合、一体化する方法も可能である。更には、図14に示すように突き合わせる端面の目封止部を好ましくは焼成前に、突出させておき、両者を突き合わせ加圧した後に、焼成一体化すると、接着剤と目封止部の熱膨張係数差に伴う、熱衝撃割れの問題を低減できるので好ましい。
その後、高比表面積材料及び触媒物質からなるスラリーに浸漬後、焼成して隔壁に高比表面積材料及び触媒物質を担持させる。このとき、流路内部の目封止部より上流側の隔壁31と下流側の隔壁32とに異なる高比表面積材料及び触媒物質を担持させる場合は、それぞれセラミックハニカムフィルタの排気ガス流入側端面13及び排気ガス流出側端面14より、高比表面積材料及び触媒物質からなるスラリーを浸漬させて形成する。
なお、本発明のセラミックハニカムフィルタの好ましい形態である、流路内部の目封止部より下流側の隔壁34の平均細孔径を上流側の隔壁33の平均細孔径に比べて小さくしたセラミックハニカムフィルタを得るには、セラミックハニカム構造体15及び16,もしくは17及び18を製造する際に原料粉末の種類、粒径及び造孔剤の種類及び粒径を適宜選択することにより平均細孔径の異なるセラミックハニカム構造体を得ることができ、かかる平均細孔径の異なるセラミックハニカム構造体を接合することにより、製造することができる。具体的には造孔剤の粒径を大きくすると、平均細孔径の大きなセラミックハニカム構造体が得られ、コーディエライトを主成分とするセラミックハニカム構造体の場合は、コーディエライト化原料粉末のうちタルク粉末やシリカ粉末の粒径を大きくすることにより平均細孔径の大きなセラミックハニカム構造体が得られる。
以下、発明の実施の形態を詳細に説明する。
(実施例1〜3)
カオリン、タルク、シリカ、水酸化アルミ、アルミナなどの粉末を調整して、質量比で、SiO2 :47〜53%、Al23:32〜38%、MgO:12〜16%及びCaO、Na2O 、K2O、TiO2、Fe23、PbO、P25などの不可避的に混入する成分を全体で2.5%以下を含むようなコーディエライト生成原料粉末に、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の成形助剤とグラファイト及び有機発泡材からなる造孔剤を添加し、規定量の水を注入して更に十分な混合を行い、ハニカム構造に押出成形可能な坏土を調整した。そして、公知の押出成形用金型を用い押出成形後、乾燥して外周壁と、この外周壁の内周側で隔壁により囲まれた断面が四角形状の流路を有するハニカム構造の乾燥体を作製した。その後、このハニカム構造の乾燥体の外周部を加工により除去した後に、1420℃で焼成を行って、隔壁のピッチ1.5mmで、隔壁厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径265mm、全長330mmであり、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を有するセラミックハニカム構造体を作製した。
このセラミックハニカム構造体に対して、流路内部の目封止部52の排気ガス流入側端面の位置が、排気ガス流入側端面から、132mm、165mm、198mm(全長の0.4倍、0.5倍、0.6倍)となり、目封止部の長さが12mmとなるよう、注射針状の管をセラミックハニカム構造体の端部から流路の所定位置まで挿入し、この管を通して
コーディエライト化原料からなるスラリーを導入後、乾燥、させることによって流路内部の目封止部52を形成し、次に、このセラミックハニカム構造体の両端面にマスキングフィルムを貼りつけた後、両端面の所定の流路が開口するよう市松模様に穿孔し、続いて、コーディエライト化原料からなるスラリーを端面より導入して目封止長さが12mmとなるよう排気ガス流入側目封止部50、及び排気ガス流出側目封止部51を形成した後、焼成一体化した。
更に、外周部に平均粒径10μmのコーディエライト骨材とコロイダルシリカ等からなるコーティング材をコートした後450℃で加熱して、外径267mmの外周壁部を形成して、両端部に目封止部を有する流路及び流路の内部に目封止部を有する流路とを少なくとも交互に配置した図2に示す形態の実施例1〜3のセラミックハニカムフィルタを得た。
これらの実施例1〜3のセラミックハニカムフィルタは各3個作製し、そのうちの各1個に対して、耐熱衝撃温度の評価試験を実施した。耐熱衝撃温度の評価試験は、一定温度(室温+400℃)に加熱された電気炉中にセラミックハニカムフィルタを挿入して30分間保持し、その後室温に急冷した後、セラミックハニカムフィルタの軸方向両端面の目視観察を行い、隔壁に発生したクラックの有無を確認した。また、隔壁にクラックが発見されない場合は、電気炉の温度を25℃上昇させ同様の試験を行い、クラックが発生するまで繰り返した。そしてクラックが発見されなかった最高温度差(加熱温度−室温)を耐熱衝撃温度とした。
耐熱衝撃温度が測定終了したハニカム構造体から試験片を切り出し、水銀ポロシメータ(米国MICROMERITICS社製AutoPore 4)を用いて、水銀圧入法より気孔率と平均細孔径を求めた。更に、耐熱衝撃温度が測定終了したハニカム構造体を軸方向に垂直に5等分に切断し、切断面での凹溝に充填され形成された外壁部形態の観察を、1切断面につき、90°間隔で4カ所行い、全凹溝のうち外壁部を構成する部材と凹溝の間に空隙を有する凹溝の個数割合をカウントした。
次に、実施例1〜3のセラミックハニカムフィルタの流路内部の目封止部52より上流側の隔壁31及び下流側の隔壁32に対して、Pt及び活性アルミナからなる触媒物質を担持させた。Ptの担持量は2g/L(ハニカムフィルタ容積1Lに対して2g担持の意味)活性アルミナの担持量は100g/Lとした。
上記のように作製した実施例1〜3のセラミックハニカムフィルタを圧力損失試験装置(図示せず)に設置し、空気流量7.5Nm3 /minの条件で空気を流入し、流入側端面と流出側端面の差圧を測定し、各セラミックハニカムフィルタの初期圧力損失を評価した。この初期圧力損失は、次に述べる比較例1のセラミックハニカムフィルタの初期圧力損失を1として、相対値で示した。更に、実施例1〜3のセラミックハニカムフィルタを、ディーゼルエンジンの排気管に配置し、市街地走行を模したパターン走行条件で粒子状物質排出量を測定した。この際、排気ガス温度が触媒物質の活性下限温度を下まわるような運転状態が続くような場合を発生させ、粒子状物質がフィルタ上に僅かに堆積するような条件を作り出した上で、この運転状態に応じて、フィルタの上流側に燃料を噴射して、粒子状物質を燃焼させた。そして、10,000km走行に相当する時点での、セラミックハニカムフィルタから排出された排気ガス中の粒子状物質排出量を測定し、次に述べる比較例1のセラミックハニカムフィルタの粒子状物質排出量を1として相対値で示した。試験結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1〜3と同様の方法により、隔壁のピッチ1.5mmで、隔壁厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径265mm、全長330mmであり、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を有するセラミックハニカム構造体を作製した。次に、このハニカム構造体の両端面にマスキングフィルムを貼りつけた後、両端面の流路が交互に開口するよう市松模様に穿孔し、続いて、コーディエライト化原料からなるスラリーを端面より導入して目封止長さ12mmとなるように、目封止部を形成して、目封止部と隔壁を焼成一体化させた。更に、外周部に平均粒径10μmのコーディエライト骨材とコロイダルシリカ等からなるコーティング材をコートした後450℃で加熱して、外径267mmの外周壁部を形成し、両端部に交互に目封止部を有する図1に示す形態の比較例1のセラミックハニカムフィルタを得た。そして、このセラミックハニカムフィルタに対して、実施例1〜3と同様に、耐熱衝撃温度の試験を実施すると共に、Pt、及び活性アルミナからなる触媒物質を隔壁に担持させ(Ptの担持量2g/L、活性アルミナの担持量100g/L)、実施例1〜3と同様の圧力損失試験及び粒子状物質排出量の試験を行った。試験結果を表1に示す。
(比較例2)
比較例1と同様の方法により、隔壁のピッチ1.5mmで、隔壁厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径267mm、全長165mmであり、凹溝にコーティング材を充填して形成された外周壁部を有し、両端部に目封止部を有するセラミックハニカムフィルタを作製した。そして、このセラミックハニカムフィルタに対して、実施例1〜3と同様に、耐熱衝撃温度の試験を実施すると共に、Pt、及び活性アルミナからなる触媒物質を隔壁に担持させ(Ptの担持量2g/L、活性アルミナの担持量100g/L)した後、この従来技術のセラミックハニカムフィルタを2個直列に配置することによって、比較例2のセラミックハニカムフィルタとした。そしてこの比較例2のセラミックハニカムフィルタに対して圧力損失試験及び粒子状物質排出量の試験を行った。試験結果を表1に示す。
Figure 0004737594
Figure 0004737594
(実施例4〜7)
実施例2と同様の方法により、隔壁のピッチ1.5mmで、隔壁厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径267mm、全長330mmであり、凹溝にコーティング材を充填して形成された外周壁部を有し、且つ両端部に目封止部を有する流路及び流路の内部に目封止部を有する流路とを少なくとも交互に配置した実施例4〜7のセラミックハニカムフィルタを作製した。ここで、流路内部の目封止部52の排気ガス流入側端面の位置は、排気ガス流入側端面から、165mm(全長の0.5倍)とした。また、外周壁をコートするコーディエライト骨材とコロイダルシリカ等からなるコーティング材の粘度を実施例4から7へ徐々に高くなるように調整して外周壁を形成した。そして、これら実施例4〜7のセラミックハニカムフィルタに対して、実施例1〜3と同様耐熱衝撃温度の評価試験を実施した。
上記のように作製した、実施例4〜7のセラミックハニカムフィルタの流路内部の目封止部より上流側の隔壁には、実施例1〜3と同様にPt及び活性アルミナからなる触媒物質を担持した。Ptの担持量は2g/L(ハニカムフィルタ容積1Lに対して2g担持の意味)活性アルミナの担持量は100g/Lとした。一方、流路内部の目封止部より下流側の隔壁に対しては、実施例4では活性アルミナの担持量を120g/L、実施例5では活性アルミナの担持量を150g/L、実施例6では活性アルミナの平均粒径を1.5μm、実施例7では活性アルミナの平均粒径を1μmとした以外は上流側の隔壁と同様にしてPt及び活性アルミナからなる触媒物質を担持した。そしてこの実施例4〜7のセラミックハニカムフィルタに対して圧力損失試験及び粒子状物質排出量の試験を行った。試験結果を表2に示す。
(実施例8)
実施例1と同様の方法により、カオリン、タルク、シリカ、水酸化アルミ、アルミナなどの粉末を調整して、質量比で、SiO2 :47〜53%、Al23:32〜38%、MgO:12〜16%及びCaO、Na2O 、K2O、TiO2、Fe23、PbO、P25などの不可避的に混入する成分を全体で2.5%以下を含むようなコーディエライト生成原料粉末に、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の成形助剤とグラファイト及び有機発泡材からなる造孔剤を添加し、規定量の水を注入して更に十分な混合を行い、ハニカム構造に押出成形可能な坏土を調整した。そして、公知の押出成形用金型を用い押出成形後、乾燥して外周壁と、この外周壁の内周側で隔壁により囲まれた断面が四角形状の流路を有するハニカム構造の乾燥体を作製した。その後、このハニカム構造の乾燥体の外周部を加工により除去した後に、1420℃で焼成を行って、隔壁のピッチ1.5mmで、隔壁厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径265mm、全長165mmであり、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を有する上流側に配置するセラミックハニカム構造体を作製した。そしてこのハニカム構造体の一方の端面に従来技術と同様の方法で市松模様に長さ12mmの目封止部を形成した。
一方、前記上流側に配置するセラミックハニカム構造体の製造において、造孔剤の粒径を小さくした以外は、同様にして、隔壁のピッチ1.5mmで、隔壁厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径265mm、全長165mmであり、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を有する、下流側に配置するセラミックハニカム構造体を作製した。そしてこのハニカム構造体の一方の端面に従来技術と同様の方法で市松模様に長さ12mmの目封止部を形成した。
また、コーディエライト化原料、メチルセルロースからなるバインダー、水などを混合、混練して、流路寸法とほぼ同様の断面積を有し、長さが15mmのコーディエライトからなる可塑化可能な目封止材を準備しておき、図12に示すように上記上流側のセラミックハニカム構造体15及び下流側のセラミックハニカム構造体に挿入した後、目封止材の焼成を行って、両者を一体化させた。その後、一体化させたセラミックハニカム構造体の外周部にコーティング材を充填して、外径267mmの外周壁を有する、実施例8のセラミックハニカムフィルタを得た。そして、このセラミックハニカムフィルタに対して、実施例1〜3と同様に、耐熱衝撃温度の試験を実施すると共に、Pt、及び活性アルミナからなる触媒物質を隔壁に担持させ(Ptの担持量2g/L、活性アルミナの担持量100g/L)、実施例1〜3と同様の圧力損失試験及び粒子状物質排出量の試験を行った。評価結果を表3に示す
(実施例9)
実施例9のセラミックハニカムフィルタは、下流側のセラミックハニカム構造体の隔壁の平均細孔径を上流側よりさらに小さくした以外は実施例8のセラミックハニカムフィルタと同様にして作製した。評価結果を表3に示す。
(実施例10〜11)
実施例10〜11のセラミックハニカムフィルタは、セラミックハニカム構造体を作製する際に、ハニカム構造の乾燥体の外周部を加工により除去せずに、0.5mmの厚さの外周壁を有する状態で焼成を行って、隔壁のピッチ1.5mm、隔壁厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径267mm、全長165mmであって、外周壁の内周側で隔壁により囲まれた断面が四角形状の流路を有するハニカム構造体とした以外は全て実施例8〜9のセラミックハニカムフィルタと同様にして作製した。従って、本実施例10〜11ではコーティング材による外周壁の形成は実施していない。評価結果を表3に示す。
(実施例12〜15)
カオリン、タルク、シリカ、水酸化アルミ、アルミナなどの粉末を調整して、質量比で、SiO2 :47〜53%、Al23:32〜38%、MgO:12〜16%及びCaO、Na2O 、K2O、TiO2、Fe23、PbO、P25などの不可避的に混入する成分を全体で2.5%以下を含むようなコーディエライト生成原料粉末に、メチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース等の成形助剤とグラファイト及び有機発泡材からなる造孔剤を添加し、規定量の水を注入して更に十分な混合を行い、ハニカム構造に押出成形可能な坏土を調整した。そして、公知の押出成形用金型を用い押出成形後、乾燥して外周壁と、この外周壁の内周側で隔壁により囲まれた断面が四角形状の流路を有するハニカム構造の乾燥体を作製した。その後、このハニカム構造の乾燥体の外周部を加工により除去した後に、1420℃で焼成を行って、隔壁のピッチ1.5mmで、隔壁厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径265mm、全長330mmであり、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を有するセラミックハニカム構造体を作製した。
このセラミックハニカム構造体の両端面にマスキングフィルムを貼りつけた後、両端面の所定の流路が開口するよう市松模様に穿孔し、続いて、コーディエライト化原料からなるスラリーを端面より導入して目封止部を形成させた。このとき一方の端面はマスキングフィルムの厚さ、穿孔の方法を調整することにより、セラミックハニカム構造体の端面より突出させた。その後、このセラミックハニカム構造体を2個準備して、図14に示すように突出した目封止部が接触するように、両者を圧接して焼成を行い、目封止部とハニカム構造体を一体化した。このときの両端部の目封止部長さは12mm、流路内部の目封止部長さは15mmとした。そして、これら実施例12〜15のセラミックハニカムフィルタに対して、実施例1〜3と同様耐熱衝撃温度の評価試験を実施した。
上記のように作製した、実施例12〜15のセラミックハニカムフィルタの流路内部の目封止部より上流側の隔壁には、実施例4〜7と同様にPt及び活性アルミナからなる触媒物質を担持した。Ptの担持量は2g/L(ハニカムフィルタ容積1Lに対して2g担持の意味)活性アルミナの担持量は100g/Lとした。一方、流路内部の目封止部より下流側の隔壁に対しては、実施例12では活性アルミナの担持量を120g/L、実施例13では活性アルミナの担持量を150g/L、実施例14では活性アルミナの平均粒径を1.5μm、実施例15では活性アルミナの平均粒径を1μmとした以外は上流側の隔壁と同様にしてPt及び活性アルミナからなる触媒物質を担持した。そしてこの実施例12〜15のセラミックハニカムフィルタに対して圧力損失試験及び粒子状物質排出量の試験を行った。試験結果を表4に示す。
実施例1〜3の本発明のセラミックハニカムフィルタは、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止の間の位置に目封止部を有する流路とを有することにより、排気ガスが隔壁を2回通過することから、全長と径において同一寸法を有する比較例1のセラミックハニカムフィルタに比べて、圧力損失は若干大きくなるものの、粒子状物質の排出量を低減できるという大きな効果のあることがわかる。また実施例1〜3のセラミックハニカムフィルタは、従来構造のセラミックハニカムフィルタを2個直列配置して、排気ガスが2回隔壁を通過するようにした比較例2に対して、圧力損失の増加を低く抑えることのできることがわかる。
実施例4〜7の本発明のセラミックハニカムフィルタは、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止の間の位置に目封止部を有する流路とを有していることから、比較例1のセラミックハニカムフィルタに比べて、圧力損失は若干大きくなるものの、粒子状物質の排出量を低減できるという大きな効果のあることがわかる。また実施例4〜7の本発明のセラミックハニカムフィルタは、実施例2のセラミックハニカムフィルタに対して、流路内の目封止部より下流側の隔壁に担持する、高比表面積材料の担持量を多く、或いは高比表面積材料の粒径を小さくしていることから、粒子状物質排出量をより低減できることがわかる。
実施例8〜11の本発明のセラミックハニカムフィルタは、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止の間の位置に目封止部を有する流路とを有していることから、比較例1のセラミックハニカムフィルタに比べて、圧力損失は若干大きくなるものの、粒子状物質の排出量を低減できるという大きな効果のあることがわかる。また、実施例8〜11の本発明のセラミックハニカムフィルタは、流路内の目封止部より下流側の隔壁の平均細孔径を小さくしていることから、実施例2のセラミックハニカムフィルタに比べて粒子状物質排出量の、より低減できることがわかる。また実施例8及び9のセラミックハニカムフィルタは、実施例10及び11のセラミックハニカムフィルタが、外周壁を押出成形時に一体的に形成しているのに対し、押出成形時のハニカム構造体の外周部を除去してできた流路方向に延びる凹溝にコーティング材を充填して形成しており、且つ凹溝と外周壁を形成する部材の間に空隙が存在することから、耐熱衝撃温度の高いことがわかる。
実施例12〜15のセラミックハニカムフィルタは、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止の間の位置に目封止部を有する流路とを有していることから、比較例1のセラミックハニカムフィルタに比べて、圧力損失は大きくなるものの、粒子状物質の排出量を低減できるという大きな効果のあることがわかる。また、実施例12〜15のセラミックハニカムフィルタは、実施例4〜7のセラミックハニカムフィルタが、図2に示すように1個のセラミックハニカム構造体から形成されているのに対し、図6に示すように、2個のセラミックハニカム構造体を流路内の目封止部を利用して接合していることから、耐熱衝撃温度が改善されるという効果のあることもわかる。
(実施例16〜19)
表5〜6に示す平均粒径、粒度分布、Fe含有量のカオリン、タルク、溶融シリカ、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等のコーディエライト化原料を用い、表4に示す、(SiO―Al―MgO)の配合比が得られるよう秤量した。次いで、このコーディエライト化原料100質量部に対して、有機発泡剤を12質量部、メチルセルロース5質量%、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを2質量%添加し、混合調整した。その後、このコーディエライト化原料100質量部に対して水を投入し、混合、混練を加え、可塑化可能な坏土を作製し、この坏土を押出成形機に投入して、ハニカム構造を有する成形体を得た。次いで得られた成形体をマイクロ波乾燥機で乾燥した後、熱風乾燥を行い、所定の寸法に両端面を切断し、外周壁と、この外周壁の内周側で隔壁により囲まれた断面が四角形状の流路を有するハニカム構造の乾燥体をえた。その後、このハニカム構造の乾燥体の外周部を加工により除去した後に、バッチ炉に投入し、1000〜1200℃間の昇温速度20℃/h、1200〜1350℃間の昇温速度50℃/h、1350〜1400℃間の昇温速度10℃/hとして、1400℃、10時間の条件で焼成を行い、隔壁のピッチ1.58mmで、隔壁の厚さ0.3mmの隔壁構造を有し、直径265mm、全長330mmであり、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を有するセラミックハニカム構造体を作製した。
このセラミックハニカム構造体に対して、実施例2のセラミックハニカムフィルタと同様に、流路内部の目封止部52の排気ガス流入側端面の位置が、排気ガス流入側端面から165mm(全長の0.5倍)となり、目封止部の長さが12mmとなるよう、流路内部の目封止部52を形成し、次に、隣接する流路の両端部に目封止長さが12mmとなるよう排気ガス流入側目封止部50、及び排気ガス流出側目封止部51を形成した後、焼成一体化した。
更に、外周部に平均粒径10μmのコーディエライト骨材とコロイダルシリカ等からなるコーティング材をコートした後450℃で加熱して、外径267mmの外周壁部を形成して、両端部に目封止部を有する流路及び流路の内部に目封止部を有する流路とを少なくとも交互に配置した図2に示す形態の実施例16〜19のセラミックハニカムフィルタを得た。
これらの実施例16〜19のセラミックハニカムフィルタは各3個作製し、実施例2と同様に耐熱衝撃温度の評価、全凹溝のうち外壁部を構成する部材と凹溝の間に空隙を有する凹溝の個数割合の測定、気孔率、熱膨張係数の測定のほか、Fe量、スピネル/コーディエライトのX線回折強度比、コーディエライト結晶の配向度、TEM観察によるスピネル及びコーディエライト中のFe量とスピネルの粒径の測定を行った。また、実施例2と同様、セラミックハニカムフィルタの流路内部の目封止部52より上流側の隔壁31及び下流側の隔壁32に対して、Pt及び活性アルミナからなる触媒物質を、Ptの担持量2g/L(ハニカムフィルタ容積1Lに対して2g担持の意味)活性アルミナの担持量100g/Lで担持した。そして実施例16〜19のセラミックハニカムフィルタの初期圧力損失及び粒子状物質排出量を測定した。
ここで、コーディエライトを結晶相主成分とするセラミックハニカム構造体中のFe量は、ICP発光分析により求めた。スピネル/コーディエライトのX線回折強度比は、コーディエライトを結晶相主成分とするセラミックハニカム構造体の任意部位より試験片を切り出した後、粉砕して粉末化し、目開き径1μmの篩を通過させて粒度調整した後、粉末X線回折装置(リガク社製RINT1500)を用いて一定条件(X線源CuKα1線、波長λ=1.540562Å、2θ範囲8°〜40°、走査速度2°/min.)においてX線回折強度測定を行い、得られたX線回折プロファイルをJCPDSファイル(Powder Diffraction File Published by JCPDS International Center for Diffraction Data)に登録されている無機化合物カードと照合し、コーディエライト結晶とスピネル結晶の同定を行った。スピネル/コーディエライトのX線回折強度比は、得られたX線回折プロファイルのIsp〔220〕(スピネル〔220〕面のX線回折強度)と、Ic〔102〕(コーディエライト〔102〕面のX線回折強度)を用い、Isp〔220〕/{Ic〔102〕}(%)として求めた。
コーディエライト結晶の配向度は、コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体の任意部位より試験片を切出し、隔壁面をX線照射面とし、上記と同様にX線回折強度測定を行った。コーディエライト結晶の配向度の評価は、得られたX線回折プロファイルのIc〔110〕(コーディエライト〔110〕面のX線回折強度)とIc〔002〕(コーディエライト〔002〕面のX線回折強度)を用いてI比=Ic〔110〕/{Ic〔110〕+Ic〔002〕}を求めた。
スピネル及びコーディエライト中のFe量とスピネルの粒径は、以下の手順で求めた。コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体の任意部位より、集束イオンビーム加工装置(FIB、日立製作所製FB−2000A)を用いてマイクロサンプリング法により厚さ100nm程度に薄片化試件片を作成した後、得られた薄片化試験片に対して透過型電子顕微鏡(TEM、日立製作所製HF−2100型)を用いて、倍率10000倍程度でTEM像を観察し、コーディエライト及びスピネルの認められた視野のZコントラスト像の写真を撮影する。その後、微小箇所のEDX(エネルギ−分散型X線分析器)による組成分析を行って、スピネル及びコーディエライトの組成を求め、各々に含まれるFe量を算出した。また、先に得られたZコントラスト像の写真から、画像解析装置を用いて最大径aと前記最大径aに直交する径bとを測定し、二軸平均粒径r(r=(a+b)/2:最大径と最大径に直交する径の相加平均)をスピネルの粒径として求める。ここで、観察したスピネルのうち粒径0.01〜5μmであるスピネルの個数割合は、任意のスピネルをN個(20個以上)選択し、上記の様に粒径を計測し、粒径0.01〜5μmのスピネル観測数n個の全スピネル観測数N個に対する百分率n/N×100(%)として算出した。
熱膨張係数は、コーディエライトを主結晶とするセラミックハニカム構造体より試験片を切出し、熱機械分析装置(TMA、リガク社製ThermoPlus、圧縮荷重方式/示差膨張方式)を用いて一定荷重20gのもと、温度範囲35〜800℃間を昇温速度10℃/min.で測定を行い、平均熱膨張係数として求めた。
Figure 0004737594
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Figure 0004737594
Figure 0004737594
Figure 0004737594
Figure 0004737594
Figure 0004737594
これら実施例16〜19のセラミックハニカムフィルタより切り出した試験片の試験結果を表8に示す。表8に示すように、実施例16〜18のセラミックハニカムフィルタは、結晶相主成分がコーディエライトであり、FeをFe換算で0.65〜0.77質量%含むとともに、スピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして0.6〜3.7%であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることから、12×10−7/℃以下の低い熱膨張係数を示した。
また、実施例16〜19のセラミックハニカムフィルタでは、スピネル/コーディエライトのX線回折強度比が4%以下であるため、熱膨張係数が10×10−7/℃の低い値を示した。また、特に実施例16のセラミックハニカムフィルタでは、スピネル/コーディエライトのX線回折強度比が4%以下であるとともに、全スピネルに対する粒径が0.01〜5μmであるスピネルの量が80%であるため、熱膨張係数が5.9×10−7/℃の特に低い値を示した。
これら実施例16〜19のセラミックハニカムフィルタの初期圧力損失及び粒子上物質排出量の試験結果を表9に示す。本発明の実施例16〜19のセラミックハニカムフィルタは、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止の間の位置に目封止部を有する流路とを有することにより、排気ガスが隔壁を2回通過することから、全長と径において同一寸法を有する比較例1のセラミックハニカムフィルタに比べて、圧力損失は若干大きくなるものの、粒子状物質の排出量を低減できるという大きな効果のあることがわかる。また実施例16〜19のセラミックハニカムフィルタは、実施例2のセラミックハニカムフィルタに対して、高気孔率としているため、圧力損失の増加を低く抑えることのできる。更に、実施例16〜18のセラミックハニカムフィルタは、高気孔率であっても、熱膨張係数を10×10−7/℃以下としているため、耐熱衝撃温度が、比較例1のセラミックハニカムフィルタより高くなった。
従来のセラミックハニカムフィルタを示した模式断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタを示した模式断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタを示した模式断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタを示した模式断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタを示した模式断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタを示した模式断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタを示した模式断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタを示した模式断面図である。 本発明の排気ガス浄化装置を示した模式断面図である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの製造方法一例を示した図面である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの製造方法一例を示した図面である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの製造方法一例を示した図面である。 本発明のセラミックハニカムフィルタの製造方法一例を示した図面である 本発明のセラミックハニカムフィルタの製造方法一例を示した図面である
符号の説明
10:セラミックハニカム構造体
11:従来のセラミックハニカムフィルタ
12:本発明のセラミックハニカムフィルタ
13:排気ガス流入側端面
14:排気ガス流出側端面
15:上流側のセラミックハニカム構造体
16:下流側のセラミックハニカム構造体
17:上流側の両端部に目封止部を有するセラミックハニカム構造体
18:下流側の両端部に目封止部を有するセラミックハニカム構造体
20:外周壁
30:隔壁
31:流路内部の目封止部より上流側の隔壁
32:流路内部の目封止部より下流側の隔壁
33:流路内部の目封止部より上流側の隔壁
34:流路内部の目封止部より下流側の隔壁
40:流路
41:流路の内部に目封止部を有する流路
42:流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路
50:流入側目封止部
51:流出側目封止部
52:流路内部の目封止部
53:目封止部形成用スラリー
70:マスク
71:スラリー導入通路
80:本発明の排気ガス浄化装置
81:金属製容器
82:把持部材
83:燃料添加装置
91:流入する排気ガス
92:流路の内部に目封止部を有する流路を通過する排気ガス
93:流出する排気ガス

Claims (7)

  1. 多孔質セラミックハニカム構造体の所望の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタにおいて、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止部の間の位置に目封止部を有する流路とを有し、前記多孔質セラミックハニカム構造体は、最外周に位置する流路が、外部との間の隔壁を有しないことによって、外部に開口して軸方向に延びる凹溝を充填して、外表面を形成する外周壁を有していると共に、前記凹溝と外周壁を構成する部材の少なくとも一部に空隙を有していることを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。
  2. 多孔質セラミックハニカム構造体の所望の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタにおいて、流路方向に二ヶ所以上の目封止部を有する流路と、前記流路に隣接し、流路方向で少なくとも前記目封止部の間の位置に目封止部を有する流路とを有し、前記セラミックハニカム構造体の隔壁の結晶相主成分がコーディエライトであり、気孔率が50〜80%であって、前記セラミックハニカム構造体の隔壁がFeを含むとともに、スピネルを含み、該スピネルの含有量はX線回折強度比にして4%以下であり、該スピネルの粒径は0.01〜5μmのものが含まれることを特徴とするセラミックハニカムフィルタ。
  3. 多孔質セラミックハニカム構造体の所望の流路を目封止することによりハニカム構造体の隔壁に形成された細孔に排気ガスを通過させる構造のセラミックハニカムフィルタにおいて、両端部近傍に目封止部を有する流路及び流路の内部に目封止部を有する流路とを少なくとも交互に配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックハニカムフィルタ。
  4. 前記多孔質セラミックハニカム構造体の隔壁が少なくとも一つの目封止部において流路方向に分断されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のセラミックハニカムフィルタ。
  5. 前記隔壁の平均細孔径は、前記流路内部の目封止部より下流側の隔壁の方が上流側の隔壁に比べて小さいことを特徴とする請求項記載のセラミックハニカムフィルタ。
  6. 前記スピネルのうち粒径が0.01〜5μmであるスピネルの個数割合が80%以上であることを特徴とする請求項2乃至5の何れかに記載のセラミックハニカムフィルタ。
  7. 前記スピネルに含有されるFeの濃度が、Fe2O3換算で0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項2乃至6の何れかに記載のセラミックハニカムフィルタ。
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