JP4737483B2 - ハーフトーン型位相シフトマスクブランク及びハーフトーン型位相シフトマスク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、位相シフターによる光の干渉作用を利用して転写パターンの解像度を向上できるようにした位相シフトマスク及びその素材としての位相シフトマスクブランク等に関し、特にハーフトーン型の位相シフトマスク及びブランク等に関する。
【0002】
【従来の技術】
位相シフト法は、光リソグラフィーにおける超解像技術の一つであり、同方法を用いることにより、同じ露光波長を使用した場合であって通常のフォトマスクを使用した場合と比較して、転写像のコントラストを向上させたり、あるいは波長限界を超える微細パターンを転写することが可能となる。位相シフト法では、微細パターンを転写するためのマスクとして位相シフトマスクが使用される。
【0003】
位相シフトマスクの1つにハーフトーン型位相シフトマスクがある。このハーフトーン型位相シフトマスクは、マスク作製時のパターン加工が比較的容易であることから、コンタクトホール形成を主たる用途として広く用いられるようになった。ハーフトーン型位相シフトマスクは、光透過部と、光半透過性を有しかつ位相シフト機能を有するハーフトーン位相シフター部からなり、両者を透過してくる光の位相を通常180°ずらすことで、パターン境界部分において光の相互干渉を起こさせることにより、転写像のコントラストを向上させる。ハーフトーン型位相シフトマスクは、ハーフトーン位相シフター部の層構成の面から、単層型と多層型とに大別できる。その中で、多層型は、前記ハーフトーン位相シフター部が、遮光層と、透明層との組合せからなるものが多い。ここでいう、遮光層とは露光波長において遮光性を有する材料からなる層であり、透明層とは露光波長において光透過率が80%以上あるような透明材料からなる層である。このような多層型ハーフトーン型位相シフトマスクでは、遮光層によってハーフトーン型位相シフトマスクとして使用可能な透過率範囲に調整し、透明層によって位相シフトマスクとして必要な、パターン開口部(光透過部)に対して180°の位相シフト量を与えるといったように、各層に独立した役割・機能をもたせている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、今後更な回路パターンの微細化に対応するには、位相シフト法による超解像技術を駆使してもなお、露光波長の短波長化が避けられなくなってきており、現在、次の世代の露光光源として、波長193nmのArFエキシマレーザ光、及び波長157nmのF2エキシマレーザ光が検討されている。しかしながら、これらの露光波長において光透過率が80%以上あるような透明材料となると、CaF2や高純度石英などごく一部であり、多くの材料は少なくとも20%程度の光を吸収し、少なくとも10%程度の光を反射してしまう。つまり、CaF2や高純度石英以外の材料を用いた場合、短波長化前に透明層に相当した層は、短波長化後には光透過率が70%未満の高透過率層となってしまう。したがって、上述と同様の短波長化前の構成からなる多層型のハーフトーン型位相シフトマスクを考えた場合、これまで透明層とされていた層についても、透過率を抑制する効果が自動的に発現してしまい、ハーフトーン型位相シフトマスクとして必要な透過率を下回ってしまう。
この問題を解決するひとつの方法として、短波長化前の透明層に対応する短波長化後の高透過率層の膜厚を薄くする手段が考えられるが、その場合には、この高透過率層による位相シフト量が不十分となる。
【0005】
本発明はこのような背景の下になされたものであり、F2エキシマレーザの波長157nmを含む140〜200nmの波長範囲において、上述した高透過率層に付随して発現してしまう透過率抑制効果が問題とならないような、多層型ハーフトーン型位相シフトマスク及びその素材となるハーフトーン型位相シフトマスクブランクの提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下の構成を有する。
【0007】
(構成1) 透明基板上に、露光光を透過させる光透過部と、露光光の一部を透過させると同時に透過した光の位相を所定量シフトさせる位相シフター部を有するハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記位相シフター部を形成するための位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
前記位相シフター膜が、透過率調整を主たる機能とする低透過率層と、位相シフト量の調整を主たる機能とする高透過率層の2層からなり、
前記低透過率層の消衰係数をK1、前記高透過率層の消衰係数をK2としたとき、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、K2<K1≦3.0の範囲であって、
前記低透過率層の膜厚をd1としたときに、前記露光波長λにおいて、0.001≦K1d1/λ≦0.500であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0008】
(構成2) 構成1記載のλが、ArFエキシマレーザの波長193nm付近である場合に、0.010≦K1d1/λ≦0.500であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0009】
(構成3) 構成1記載のλが、F2エキシマレーザの波長157nm付近である場合に、0.001≦K1d1/λ≦0.250であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0010】
(構成4) 前記高透過率層の屈折率をn2、消衰係数K2としたときに、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、n2≧1.5かつK2≦0.45であることを特徴とする構成1〜3のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0011】
(構成5) 構成4記載のλが、ArFエキシマレーザの波長193nm付近である場合に、n2≧1.7かつK2≦0.45であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0012】
(構成6) 構成4記載のλが、F2エキシマレーザの波長157nm付近である場合に、n2≧1.5かつK2≦0.40であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0013】
(構成7) 透明基板上に、露光光を透過させる光透過部と、露光光の一部を透過させると同時に透過した光の位相を所定量シフトさせる位相シフター部を有するハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記位相シフター部を形成するための位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
前記位相シフター膜が、透過率調整を主たる機能とする低透過率層と、位相シフト量の調整を主たる機能とする高透過率層とを、それぞれ少なくとも1層づつ有する3層以上の多層膜からなり、
前記低透過率層の消衰係数をK3、前記高透過率層の消衰係数をK4としたとき、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、K4<K3≦3.0の範囲であって、
前記低透過率層の膜厚をd3としたときに、前記露光波長λにおいて、0.001≦K3d3/λ≦0.500であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0014】
(構成8) 構成7記載のλが、ArFエキシマレーザの波長193nm付近である場合に、0.010≦K3d3/λ≦0.500であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0015】
(構成9) 構成7記載のλが、F2エキシマレーザの波長157nm付近である場合に、0.001≦K3d3/λ≦0.250であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0016】
(構成10) 前記高透過率層の屈折率をn4、消衰係数K4としたときに、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、n4≧1.5かつK4≦0.45であることを特徴とする構成7〜9のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0017】
(構成11) 構成10記載のλが、ArFエキシマレーザの波長193nm付近である場合に、n4≧1.7かつK4≦0.45であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0018】
(構成12) 構成10記載のλが、F2エキシマレーザの波長157nm付近である場合に、n4≧1.5かつK4≦0.40であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
【0019】
(構成13) 構成1〜12のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける位相シフター膜を、所定のパターンが得られるように選択的に除去するパターニング処理を施すことにより得られた、光透過部と位相シフター部とからなるマスクパターンを有することを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
【0020】
(構成14) 構成13に記載のハーフトーン型位相シフトマスクを用いてパターン転写を行うことを特徴とするパターン転写方法。
【0021】
なお、本発明において、「高透過率層」、「低透過率層」は、層同士を比較した場合の相対的な透過率の高低を表しており、低透過率層の消衰係数は高透過率層の消衰係数よりも大きいものとなる。
【0022】
【作用】
上記構成1によれば、低透過率層の消衰係数K1、及び低透過率層の膜厚をd1としたときのK1d1/λの値をそれぞれ規定することによって、波長λ=140〜200nmの真空紫外領域において上述した高透過率層に付随して発現してしまう透過率抑制効果が問題とならず、十分な光透過率、すなわち、ハーフトーン型位相シフトマスクに必要な3%〜40%の範囲の光透過率を確保することが可能となる。
これに対し、低透過率層の消衰係数K1が、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、K1>3.0となるか、あるいは、低透過率層の膜厚をd1としたときに、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、K1d1/λ>0.500となる場合には、ハーフトーン型位相シフトマスクに必要な3%〜40%の範囲の光透過率を得ることができない。
また、低透過率層の消衰係数K1が、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、K1d1/λ<0.001となる場合には、逆に光透過率が高くなりすぎるため、ハーフトーン型位相シフトマスクとしては不適となる。
以上の条件をふまえた、低透過率層の材料としては、Si、Ti、Cr、Ta、Zr、Mo、V、Nb、W、Alから選ばれる少なくとも1種以上を主たる成分とする金属膜、金属窒化物膜、金属酸窒化物膜が望ましい。これらのうち、成膜や加工の制御の観点からは、Ti、Cr、Ta、Al、Zrや、TaNx、CrNx、TiNx、AlNx、、ZrNx、などが特に好ましい。
なお、低透過率層と高透過率層の積層の順番についてはどちらが上層でも構わない。ただし、反射率を低減するという観点からは、高透過率層が最上層となることが好ましい。
【0023】
上記構成2では、特にArFエキシマレーザの露光波長193nm付近で、所望の位相シフト量及び光透過率が得られるようなK1d1/λの値を規定している。
光透過率の観点からより好ましい範囲は、0.040≦K1d1/λ≦0.300である。同様に、位相シフト量の観点からより好ましい範囲は、0.010≦K1≦2.50である。
【0024】
上記構成3では、特にF2エキシマレーザの露光波長157nm付近で、所望の位相シフト量及び光透過率が得られるようなK1d1/λの値を規定している。
光透過率の観点からより好ましい範囲は、0.040≦K1d1/λ≦0.200である。同様に、位相シフト量の観点からより好ましい範囲は、0.010≦K1≦2.70である。
【0025】
上記構成4によれば、上記構成1〜3において、高透過率層の屈折率をn2、消衰係数K2としたときに、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、n2≧1.5かつK2≦0.45である場合に、所望の位相シフト量及び光透過率を得ることが可能となる。
これに対し、K2>0.45である場合には、ハーフトーン型位相シフトマスクに必要な3%〜40%の範囲の光透過率を得ることができない。
また、n2<1.5である場合には、必要な位相シフト量を得るための高透過率層の膜厚が大きくなりすぎるため、パターン形状のアスペクト比が高く、幅が狭く高さの高い不安定な形状となるという問題がある。
以上の条件をふまえた、高透過率層の材料としては、SiOxNy、SiOx、CaF2、MgF2などが挙げられる。これらは微量金属や微量元素を含むものであってもよい。
【0026】
上記構成5では、特にArFエキシマレーザの露光波長193nm付近で、所望の位相シフト量及び光透過率が得られるような高透過率層のK2、及びn2の値を規定している。
位相シフト量の観点からより好ましい範囲は、n2≧2.0、光透過率の観点からより好ましい範囲はK2≦0.40である。
【0027】
上記構成6では、特にF2エキシマレーザの露光波長157nm付近で、所望の位相シフト量及び光透過率が得られるような高透過率層のK2、及びn2の値を規定している。
位相シフト量の観点からより好ましい範囲は、n2≧1.7、光透過率の観点からより好ましい範囲はK2≦0.38である。
【0028】
上記構成7〜12によれば、上記構成1〜6までに述べた2層膜の各層を細分化し、任意の態様で多層化した場合において、波長140〜200nmの真空紫外領域において上述した高透過率層に付随して発現してしまう透過率抑制効果が問題とならず、十分な光透過率、すなわち、ハーフトーン型位相シフトマスクに必要な3%〜40%の範囲の光透過率を確保することが可能となる。
多層化の態様は、低透過率層と高透過率層とを交互に積層する態様の他、低透過率層又は高透過率層が2層以上直接積層された部分を多層膜中に含む態様なども含まれる。
これらの場合、低透過率層と高透過率層の積層の順番についてはどちらが上層でも構わない。ただし、反射率を低減するという観点からは、高透過率層が最上層となることが好ましい。
多層膜において、低透過率層又は高透過率層が2層以上ある場合にあっては、2層以上ある低透過率層のうちのそれぞれの層の材料及び組成は同じであっても構わないし、異なってもよい。同様に、2層以上ある高透過率層のうちのそれぞれの層の材料及び組成は同じであっても構わないし、異なってもよい。
【0029】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0030】
実施例1〜7、比較例1〜3
実施例1〜7及び比較例1〜3は、F2エキシマレーザの露光波長157nm付近に対応したハーフトーン型位相シフトマスクブランクに関する。
実施例1〜6及び比較例1〜3では、透明CaF2基板上に、RF反応性スパッタリング法により、表1に示す材料からなる低透過率層を、適当な金属ターゲット及び反応性ガスを用いて成膜した。
次いで、上記低透過率層上に、Siターゲットを用い、反応性ガスとして窒素及び酸素を導入してSiOxNy組成の高透過率層を成膜して、2層膜からなる位相シフター膜を形成した。
なお、2層膜における各層の膜厚は、波長157nmにおいて位相シフト量が180°となるように設定している。また、SiOxNy膜は、波長157nmにおける膜の屈折率nが2.2、消衰係数Kが0.2となるように、反応性ガスである窒素及び酸素の量を調整して成膜した。
実施例7は、多層膜に関するものであり、表1に示す材料からなる低透過率層と、実施例1〜6と同じ屈折率n:2.2、消衰係数K:0.2を有する高透過率層(SiOxNy層)を交互に2回ずつ成膜して、4層膜からなる位相シフター膜を形成した。
【0031】
エリプソメーターを用いた測定によって得られた、各実施例及び比較例における低透過率層の消衰係数K、Kd/λの値を表2に示す。また、真空紫外分光光度計を用いた測定によって得られた、2層膜又は4層膜の波長157nmにおける透過率、反射率の値を表2に示す。ここで、dは低透過率層の膜厚(nm)又は膜厚の総和(nm)を指し、λはF2エキシマレーザの波長157nmを指す。
【0032】
【表1】
【表2】
【0033】
表2から、各実施例1〜7とも157nmにおいてハーフトーン型位相シフトマスクとして十分な3〜40%の光透過率を示している。一方、比較例1〜2のように、低透過率層のKd/λの値が大きい場合には、十分な光透過率が得られていない。逆に、比較例3のように、低透過率層のKd/λの値が小さい場合には、光透過率が大きすぎるため、ハーフトーン型位相シフトマスクとしては不適当である。なお、比較例3の低透過率層は、高透過率層のSiOxNy膜に比べ窒素量が多いSiOxNy膜である。
なお、高透過率層の材料を酸素量の少ないSiOxNy膜とし、この高透過率層の157nmにける消衰係数K>0.40とした場合、十分な光透過率を得ることができないことを確認した。また、この高透過率層の157nmにける屈折率n<1.5である場合には、必要な位相シフト量を得るための高透過率層の膜厚が大きくなりすぎるため、パターン形状のアスペクト比が高く、不安定な形状となることを確認した。
【0034】
実施例8〜10、比較例4〜5
実施例8〜10及び比較例4〜5は、ArFエキシマレーザの露光波長193nm付近に対応したハーフトーン型位相シフトマスクブランクに関する。
実施例8〜10及び比較例4〜5では、透明CaF2基板上に、RF反応性スパッタリング法により、表3に示す材料からなる低透過率層を、適当な金属ターゲット及び反応性ガスを用いて成膜した。
次いで、上記低透過率層上に、Siターゲットを用い、反応性ガスとして窒素及び酸素を導入してSiOxNy組成の高透過率層を成膜して、2層膜からなる位相シフター膜を形成した。
なお、2層膜における各層の膜厚は、波長193nmにおいて位相シフト量が180°となるように設定している。また、SiOxNy膜は、波長193nmにおける膜の屈折率nが2.2、消衰係数Kが0.11となるように、反応性ガスである窒素及び酸素の量を調整して成膜した。
【0035】
エリプソメーターを用いた測定によって得られた、各実施例及び比較例における低透過率層の消衰係数K、Kd/λの値を表4に示す。また、真空紫外分光光度計を用いた測定によって得られた、2層膜の波長193nmにおける透過率、反射率の値を表4に示す。ここで、dは低透過率層の膜厚(nm)を指し、λはArFエキシマレーザの波長193nmを指す。
【0036】
【表3】
【表4】
【0037】
表4から、各実施例8〜10とも193nmにおいてハーフトーン型位相シフトマスクとして適当な光透過率を示している。一方、比較例4のように、Kd/λの値が大きい場合には、十分な光透過率が得られていない。逆に、比較例5のように、Kd/λの値が小さい場合には、光透過率が大きすぎるため、ハーフトーン型位相シフトマスクとしては不適当である。
なお、高透過率層の材料を酸素量の少ないSiOxNy膜とし、この高透過率層の193nmにける消衰係数K>0.45とした場合、十分な光透過率を得ることができないことを確認した。また、この高透過率層の193nmにける屈折率n<1.7である場合には、必要な位相シフト量を得るための高透過率層の膜厚が大きくなりすぎるため、パターン形状のアスペクト比が高く、不安定な形状となることを確認した。
【0038】
本発明は上述した実施例の範囲に限定されない。
例えば、実施例に示す材料、成膜条件等に限定されない。
また、各層を成膜する際のスパッタガスとしては、窒素、酸素、一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化二窒素等の各種窒素源、酸素源と、アルゴンあるいはキセノン等の不活性ガスを適宜混合したスパッタガスを用いることが可能である。また、スパッタリング法の方式や、スパッタ装置の電力印加方式(RF、DCなど)、スパッタ出力、ガス圧、基板加熱の有無等に関しては、用いるターゲット及びガスの種類、また目的とする膜特性に応じて適宜選択することが可能である。
また、基板材料は、高純度石英基板などを適宜用いることが可能である。
【0039】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、F2エキシマレーザの波長157nmを含む140〜200nmの波長範囲において、従前の2層又は多層膜からなるハーフトーン型位相シフトマスクを使用する上で生じていた、高透過率層に付随して発現してしまう透過率抑制効果が問題となることがなく、したがって、これらの波長範囲において使用可能な多層型ハーフトーン型位相シフトマスク及びそのマスクブランクを提供できる。
Claims (6)
- 透明基板上に、露光光を透過させる光透過部と、露光光の一部を透過させると同時に透過した光の位相を所定量シフトさせる位相シフター部を有するハーフトーン型位相シフトマスクを製造するために用いるハーフトーン型位相シフトマスクブランクであり、透明基板上に前記位相シフター部を形成するための位相シフター膜を有するハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおいて、
前記位相シフター膜が、透過率調整を主たる機能とする低透過率層と、位相シフト量の調整を主たる機能とする高透過率層の2層からなり、
前記高透過率層は、SiOxNyからなり、
前記低透過率層の消衰係数をK1、前記高透過率層の消衰係数をK2としたとき、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、K2<K1≦3.0の範囲であって、
前記低透過率層の膜厚をd1としたときに、前記露光波長λにおいて、0.001≦K1d1/λ≦0.500であり、
前記低透過率層は、Cr、Ta、Mo、V、Nb、Wから選ばれる少なくとも1種以上を主たる成分とする金属膜、金属窒化物膜、または金属酸窒化物膜であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。 - 請求項1記載のλが、ArFエキシマレーザの波長193nm付近である場合に、0.010≦K1d1/λ≦0.500であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 前記高透過率層の屈折率をn2、消衰係数K2としたときに、波長140nm〜200nmの範囲から選ばれる露光波長λにおいて、n2≧1.5かつK2≦0.45であることを特徴とする請求項1又は2に記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 請求項3記載のλが、ArFエキシマレーザの波長193nm付近である場合に、n2≧1.7かつK2≦0.45であることを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスクブランク。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のハーフトーン型位相シフトマスクブランクにおける位相シフター膜を、所定のパターンが得られるように選択的に除去するパターニング処理を施すことにより得られた、光透過部と位相シフター部とからなるマスクパターンを有することを特徴とするハーフトーン型位相シフトマスク。
- 請求項5に記載のハーフトーン型位相シフトマスクを用いてパターン転写を行うことを特徴とするパターン転写方法。
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