JP4735042B2 - 永久磁石モータの再始動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、フリーラン中の永久磁石モータを再始動することを特徴とする永久磁石モータの制御方法及び装置に関する。
従来よりフリーラン中の永久磁石モータを始動させることは行われていた。
ここで言う「フリーラン」とは、モータが停電等により無制御状態で慣性により惰走している状態をさしている。
従来技術の永久磁石モータの始動方法では、零電流制御により、永久磁石モータの誘起電圧の大きさ及び位相及び速度を推定することにより、磁極の位置を推定し、インバータの出力周波数及び位相及び電圧の大きさを設定し始動するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−161094号公報
特許文献1記載の復電後の再始動を行う交流電動機の制御方法によれば、電流指令信号と電力変換器の出力電流検出信号の偏差信号に基づいて、電力変換器の出力電流を制御する電流制御部を備えた電力変換器において、交流電動機がフリーラン状態にある場合に、交流電動機の電流をゼロにするように強制的に電流指令信号をゼロとして電流制御し、この時の電流制御部出力を用いて演算した出力電圧指令信号を基に交流電動機の残留電圧の大きさと位相および角速度を求めるようにしている。これにより、確かに迅速かつスムーズに再運転できるようになった。
ところが、上記始動方法の演算を安価なCPUで実現するには負荷率が高すぎて電流制御周期が長くなるため、高速でフリーランしている永久磁石モータに対しては、周波数応答が足りず、過電圧や過電流といった異常が発生し、滑らかな始動ができないという問題があった。
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、演算速度の遅い安価なCPUを用いていても過電圧・過電流異常を発生することなしに、高速でフリーランしている永久磁石モータを再始動させることができる永久磁石モータの再始動装置を提供することを目的としている。
上記問題を解決するため、本発明は、次のようにしたのである。
請求項1に記載の発明は、永久磁石モータの再始動装置に係り、永久磁石モータが停電などで無制御状態で慣性により惰走している状態から再始動させる永久磁石モータの再始動装置であって、インバータ部から出力される出力電流値を検出するための電流検出手段と、インバータ部に入力される直流電圧を検出するための直流電圧検出手段と、予め与えられた電圧指令と周波数指令に基づいて前記電圧検出手段で検出した直流中間電圧検出値と前記電流検出手段で検出した出力電流値により電圧指令値を演算する電圧指令演算手段と、前記電圧指令演算手段の演算結果と前記周波数指令が入力されてインバータ部のスイッチングパターンを決定するPWM演算手段と、を備え、かつ、前記永久磁石モータの位置検出器および速度検出器を備えないインバータ制御装置による永久磁石モータの再始動装置において、インバータの運転準備時間として所定時間の待ち時間を設け、前記電圧指令演算手段が、電圧指令を0、周波数指令を0にすることで、P側3相ON、N側3相ONさせるPWM信号を出力することにより永久磁石モータの3相を短絡させて、永久磁石モータを減速させ、前記待ち時間経過後、前記電圧指令演算手段が、電圧指令0、周波数指令0で運転再開することを特徴としている。
請求項1に記載の発明によると、演算速度の遅い安価なCPUを用いていても過電圧・過電流異常を発生することなしに、高速でフリーランしている永久磁石モータを再始動することができるようになる
以下、本発明の方法の具体的実施例について、図に基づいて説明する。
図1は本発明における永久磁石モータの再始動方法の実施形態の構成を示すブロック図、図2はフリーラン中の永久磁石モータを再始動する為の電圧指令演算手段の動作を示すフローチャートである。
図1において、本実施形態における永久磁石モータの再始動方法を搭載したインバータ装置はコンバータ部101、コンデンサ102、インバータ部103、電流検出手段104からなるインバータ装置1、永久磁石モータ2、電圧検出手段3、電圧指令演算手段4、PWM演算手段5を備えている。
インバータ装置1は、三相交流をパワー素子により直流電圧に変換するコンバータ部101と変換した電圧を平滑するための平滑コンデンサ102と直流中間電圧をPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御方式により任意の周波数と電圧の交流に変換するインバータ部103と出力電流値を検出するための電流検出手段104から構成され、永久磁石モータ2に電力を供給する。
電圧検出手段3は前記平滑コンデンサ102の電圧である直流中間電圧検出値Vpnを検出する。
電圧指令演算手段4は予め与えられた電圧指令Vrefと周波数指令frefに基づいて前記電圧検出手段3で検出した直流中間電圧検出値Vpnと前記電流検出手段104で検出した出力電流値Iacにより電圧指令値を可変し出力する。
PWM演算手段5は、前記電圧指令演算手段4から出力される前記電圧指令と出力周波数指令frefから前記インバータ部103のスイッチングパターンを決定する。
図2は永久磁石モータがフリーランしている状態から再始動するまでの処理手順を示すフローチャートである。以下、図2を用いて本発明の方法を順を追って説明する。
フリーランから再始動までの処理はステップS1から開始する。
ステップS2ではインバータの運転準備時間として所定時間の待ち時間を設け、ステップS3で電圧指令を0、周波数指令を0にすることで、50%デューティーでP側3相ON、N側3相ONさせるPWM信号を出力することにより、永久磁石モータの3相を短絡させ永久磁石モータが減速する。
ステップS4では前記電流検出手段104から検出された出力電流Iacと出力電流警報レベルIac1を比較し、出力電流Iacが出力電流警報レベルIac1を越えた場合、インバータが過電流状態となる可能性があるため、一旦運転を停止するようにステップ3に戻る。そして再度運転停止状態でステップS2の待ち時間経過後、電圧指令0、周波数指令0で運転再開する。
一方、出力電流Iacが出力電流警報レベルIac1以下の場合、ステップS5に分岐する。
ステップS5では前記平滑コンデンサ102の電圧である直流中間電圧検出値Vpnと直流中間電圧警報レベルVpn1を比較し、直流中間電圧検出値Vpnが直流中間電圧警報レベルVpn1を越えた場合、インバータが過電圧状態となる可能性があるため、一旦運転を停止するようにステップ3に戻る。
そして再度運転停止状態でステップS2の待ち時間経過後、電圧指令0、周波数指令0で運転再開する。
一方、直流中間電圧検出値Vpnが直流中間電圧異常レベルVpn1以下の場合、ステップS6に分岐する。
ステップS6では出力電流Iacと出力電流レベルIac2を比較し、出力電流Iacが出力電流レベルIac2を越えている場合、前記永久磁石モータが減速中と判断し、ステップ4に戻り電圧指令0の状態を維持する。
一方、出力電流Iacが出力電流レベルIac2未満になると、永久磁石モータが所定周波数fref1まで減速したと判断し、零電圧指令を止め周波数指令frefにfref1を設定し、通常運転を開始するのである。
以上のステップにより、インバータ装置が異常で停止することなく、フリーラン中の永久磁石モータを再始動することができる。
本発明によれば、電圧指令演算手段で電圧指令を0にすることにより、安価なCPUを用いていても高速でフリーランしている永久磁石モータを再始動することができるようになる。
本発明の方法を適用するインバータ装置の実施例のブロック図である。 本発明の方法の処理手順を示すフローチャートである。
符号の説明
1 インバータ
2 永久磁石モータ
3 電圧検出手段
4 電圧指令演算手段
5 PWM演算手段
101 コンバータ部
102 コンデンサ
103 インバータ部
104 電流検出手段

Claims (1)

  1. 永久磁石モータが停電などで無制御状態で慣性により惰走している状態から再始動させる永久磁石モータの再始動装置であって、インバータ部から出力される出力電流値を検出するための電流検出手段と、インバータ部に入力される直流電圧を検出するための直流電圧検出手段と、予め与えられた電圧指令と周波数指令に基づいて前記電圧検出手段で検出した直流中間電圧検出値と前記電流検出手段で検出した出力電流値により電圧指令値を演算する電圧指令演算手段と、前記電圧指令演算手段の演算結果と前記周波数指令が入力されてインバータ部のスイッチングパターンを決定するPWM演算手段と、を備え、かつ、前記永久磁石モータの位置検出器および速度検出器を備えないインバータ制御装置による永久磁石モータの再始動装置において、
    インバータの運転準備時間として所定時間の待ち時間を設け、
    前記電圧指令演算手段が、電圧指令を0、周波数指令を0にすることで、P側3相ON、N側3相ONさせるPWM信号を出力することにより永久磁石モータの3相を短絡させて、永久磁石モータを減速させ、
    前記待ち時間経過後、前記電圧指令演算手段が、電圧指令0、周波数指令0で運転再開することを特徴とする永久磁石モータの再始動装置
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