JP4734647B2 - 胸腺腫合併重症筋無力症の診断方法 - Google Patents

胸腺腫合併重症筋無力症の診断方法 Download PDF

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Description

本発明は、胸腺腫合併重症筋無力症の診断方法に関する。より詳細には、重症筋無力症と胸腺腫の合併の有無を、被験者の末梢血を用いて非侵襲的に診断する方法に関する。
重症筋無力症(Myasthenia Gravis:MG)とは、狭義には神経伝達物質であるアセチルコリンの筋肉側受容体(ニコチン性アセチルコリン受容体)に抗アセチルコリン受容体抗体が結合することで、アセチルコリンによる神経・筋伝達が阻害され、筋肉の易疲労性や脱力が起こる自己免疫疾患である。
MGの検査方法としては、テンシロンテスト、誘発筋電図検査、血液検査が使用されている。一般には、抗アセチルコリン受容体抗体陽性であり、テンシロンテストで陽性であることがMG診断の一応の目安となるが、アセチルコリン受容体抗体陰性の重症筋無力症というものも存在する。実際、抗アセチルコリン受容体抗体はMG患者の約80%に検出されるが、眼瞼に限局した眼筋型では約50%にしか検出されない。
MGには胸腺異常が高率で合併し、患者の約70%に胸腺の細胞成分が増加して胚中心を形成する「過形成」が、約20%に腫瘍である胸腺腫が見られる。胸腺腫は比較的早期に診断されれば、遠隔転移や隣接臓器への浸潤を防いで、外科的に胸腺を全摘出することで根治が期待されるが、その時期を逃すと予後が悪くなり、化学療法、放射線療法を併用してもその治療が困難となる。
一方、胸腺腫発症例の中には、種々の神経細胞成分に対する自己抗体(抗神経抗体)を伴って、多彩な神経症状が出現する例が知られており、その一つの症状として神経筋接合部シナプス後膜上のアセチルコリン受容体を標的とした自己免疫疾患であるMGがある。胸腺腫を伴ったMGは、他のMGとは免疫学的な背景が異なると言われていたが、その根拠は臨床的に他の自己免疫性神経疾患を合併しやすいことなどで、はっきりした病態としての理由に乏しかった。
これまで、後期発症MG患者、胸腺腫患者、及び胸腺腫合併MG患者の血清中にインターフェロンαやインターロイキン12(特に、IL-12p70)に対する自己抗体が存在することが報告されている(非特許文献1〜3参照)。しかしながら、胸腺腫合併MG患者と胸腺腫非合併MG患者について、その免疫学的特徴を比較した報告はなく、両者を区別する有用なマーカーについても知られていなかった。
本発明の課題は、胸腺腫合併MGの免疫学的特徴を解明し、MG患者における胸腺腫合併の有無を簡便かつ早期に診断する方法を提供することにある。
我々は胸腺腫合併MGの病態生理を明らかにするために、Th1-Th2バランスを調節するサイトカインに注目して、患者血清中の種々のサイトカイン(IFN-α,IFN-γ,IL-4, IL-12p40, IL-12p70)を測定し、IL-12p40が胸腺腫合併MG患者の血清中で特異的に上昇していることを見出した。
すなわち、本発明は、被験者から単離した末梢血中における、IL-12p40及び/又は抗IL-12p40抗体のレベルを指標として、当該被験者の重症筋無力症と胸腺腫の合併の有無を検査する方法に関する。
本発明の検査では、前記IL-12p40及び/又は抗IL-12p40抗体の量が健常人に比較して有意に高い場合に、前記被験者は胸腺腫を合併した重症筋無力症である可能性が高いと評価できる。
本発明の検査では、前記IL-12p40及び/又は抗IL-12p40抗体に加えて、抗IL-12p70抗体、抗アセチルコリン受容体抗体、及び抗リアノジン受容体抗体から選ばれる1又は2以上のレベルをさらに指標としてもよい。その場合、前記IL-12p40レベル及び/又は抗IL-12p40抗体のレベルと、抗IL-12p70抗体、抗アセチルコリン受容体抗体、及び抗リアノジン受容体抗体から選ばれる1又は2以上のレベルがともに健常人に比較して有意に高い場合に、前記被験者は胸腺腫を合併した重症筋無力症である可能性が高いと評価できる。
前記IL-12p40、抗IL-12p40抗体、抗IL-12p70抗体、抗アセチルコリン受容体抗体、及び抗リアノジン受容体抗体のレベルは、公知の免疫学的方法によって測定できる。免疫学的方法としては、免疫沈降法、ならびにウェスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、ELISA法、及びRIA法を含む固相免疫法あるいはこれらの変法等を挙げることができる。なお、本発明において「レベル」とは、測定対象とする蛋白の量に限定されず、その力価(抗体価等)等も含むものとする。
本発明はまた、重症筋無力症又は胸腺腫の検査用キットも提供する。前記キットは、IL-12p40あるいはその断片、及び/又は抗IL-12p40抗体を含み、被験者の重症筋無力症と胸腺腫の合併の有無を検査できることを特徴とする。これらのIL-12p40あるいはその断片、及び/又は抗IL-12p40抗体は、必要に応じて標識されていてもよいし、固相支持体に固定化されていてもよい。
前記キットは、さらに、IL-12p70あるいはその断片、アセチルコリン受容体あるいはその断片、リアノジン受容体あるいはその断片、他のサイトカインやその断片、サイトカイン抗体を含んでいてもよい。これらのIL-12p70あるいはその断片、アセチルコリン受容体あるいはその断片、リアノジン受容体あるいはその断片、他のサイトカインやその断片、サイトカイン抗体は、必要に応じて標識されていてもよいし、固相支持体に固定化されていてもよい。
本発明のキットは、前記した構成要素に加えて、ラベル体の検出のための試薬、反応用緩衝液、酵素、基質等、本発明の実施に必要な他の要素を含んでいてもよい。
本発明は、胸腺腫合併MGの免疫学的特徴を初めて明らかにしたもので、その治療及び診断において極めて有用である。本発明によれば、MG患者における胸腺腫合併の有無を簡便かつ早期に診断することが可能であり、胸腺腫合併MG患者の治療と予後の改善を図ることができる。
1.重症筋無力症と胸腺腫
重症筋無力症(Myasthenia Gravis: MG)とは、末梢神経が筋肉に接合する部分(神経筋接合部)において、筋肉側受容体であるニコチン性アセチルコリン受容体に抗アセチルコリン受容体抗体が結合することで、神経伝達物質であるアセチルコリンによる神経・筋伝達が阻害され、筋肉の易疲労性や脱力が起こる自己免疫疾患である。
MG患者では、その70〜80%に胸腺異常が見られ、特に約20%には胸腺腫が合併することが知られている。胸腺腫は比較的早期に発見されれば、外科的に胸腺を全摘出することで根治が期待されるが、その時期を逃すと予後が悪くなり、治療が困難となる。一方、原因は明らかではないが、胸腺摘出術は患者によってはMG自体の治療としても有用とされている。そのため、MG患者において胸腺腫の合併を早期に知ることは、MG治療の方向性を決定するうえでも重要である。
胸腺腫を伴ったMG(胸腺腫合併MG)は、他のMGとは免疫学的な背景が異なると言われていたが、その免疫学的特徴に関する詳細な報告はなく、診断のためのマーカーも知られていなかった。
発明者らは、胸腺腫合併MG患者と胸腺腫非合併MG患者、さらに他の胸腺腫患者や神経疾患患者らにおける、血清中サイトカイン(IFN-α,IFN-γ,IL-4, IL-12p40, IL-12p70)レベルやその抗体価を詳細に調査した。そして、IL-12p40と抗IL-12p40抗体が胸腺腫合併MG患者の血清中でのみ有意に上昇しており、胸腺腫合併MG患者を診断するマーカーとなりうることを見出した。
ところで、MG患者の血清中では抗アセチルコリン受容体抗体の上昇がみられ、従来からMGの診断マーカーとして利用されている。また、MG患者の血清中では抗リアノジン受容体抗体の有意な上昇がみられる(Romi F, et al “Complement activation by titin and ryanodine receptor autoantibodies in myasthenia gravis. A study of IgG subclasses and clinical correlations” J Neuroimmunol. 2000 Nov 1;111(1-2):169-76.)。そのほか、MG患者ではIL-αやIL-12p70に対する自己抗体が発現することが知られていたが、発明者らは、抗IL-12p70抗体は、MGであるか否かにかかわらず胸腺腫患者の血清中で有意に上昇することを確認した。つまり、抗IL-12p70抗体や抗アセチルコリン受容体抗体、抗リアノジン受容体抗体のレベルをIL-12p40や抗IL-12p40抗体のレベルと合わせて評価することで、当該被験者が胸腺腫あるいはMGを単独で発症しているか、胸腺腫とMGを合併して発症しているかをより正確に鑑別することができる。
2.インターロイキン−12(IL-12)
インターロイキン-12は、免疫制御機構であるTH1/TH2バランスを制御するサイトカインであり、(1)細胞性免疫へのシフトを誘導 (2)NK細胞の活性化 (3)細胞障害性T細胞の活性化増強等の機能を有することが知られている。
IL-12はp35(分子量約35 Kd)とp40(分子量約40 Kd)の2つのサブユニットからなるユニークな構造を有することが知られており、このサブユニットの組合せにより、p70(p35とp40のヘテロダイマー)、p40-p40(p40ホモダイマー)、p40(p40モノマー)の3種が存在する。これらのうち生理活性を有する活性型IL-12はヘテロダイマーp70のみで、p40ホモダイマーはヘテロダイマーに対してアンタゴニストとしてはたらく。p40はp35よりはるかに多く発現されるため、通常p40(モノマーとホモダイマー)はp70よりも多く存在する。
3.重症筋無力症と胸腺腫の合併の有無を検査する方法
3.1 試料の調製
本発明の検査方法は、被験者から採取した末梢血を用いて非侵襲的に行われる。検体である血液は、必要に応じて高速遠心を行うことにより不溶性の物質を除去した後、その後の検出方法に応じて適宜調製される。
ELISA/RIA(あるいはこれらの変法)用試料は、例えば、回収した血清をそのまま使用するか、緩衝液で適宜希釈したものを用いる。ウエスタンブロット用(電気泳動用)試料は、例えば、細胞抽出液をそのまま使用するか、緩衝液で適宜希釈して、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動用の2−メルカプトエタノールを含むサンプル緩衝液(シグマ社製等)と混合したものを用いる。ドット/スロットブロット用試料は、例えば、回収した細胞抽出液そのもの、又は緩衝液で適宜希釈したものを、ブロッティング装置を使用するなどして、直接メンブレンへ吸着させたものを用いる。
3.2 サイトカイン又は抗体の検出
指標とするサイトカインや抗体のレベルは、抗原抗体反応を利用した免疫学的方法を用いて検出することができる。ここで「レベル」とは当該蛋白質の量に限定されず、これを間接的に示す力価(抗体価等)も含む。
免疫学的方法としては、たとえば、免疫沈降法や、ウェスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、ELISA法、及びRIA法を含む固相免疫法あるいはこれらに改変を加えた公知の変法等を挙げることができる。すなわち、これらの方法に基づき、抗原検出の場合はこれに対する特異的抗体を、抗体検出の場合はこれに対する特異的抗原を利用して行う。特に抗体検出には、たとえばUS Patent No.4202875に記載の方法やMeagerらの方法(Meager A., Clin Exp Immunol. 2003 Apr, 132(1), p128-36)等を利用することができる。
検出に用いられる抗体は、公知の方法にしたがって調製できるし、市販のものを用いてもよい。抗体は、常法により、抗原となるサイトカイン蛋白質、あるいはそのアミノ酸配列から選択される任意のポリペプチドを用いて動物を免疫し、該動物生体内に産生される抗体を採取、精製することによって得ることができる。また、公知の方法(例えば、Kohler and Milstein, Nature 256, 495-497, 1975、Kennet, R. ed., Monoclonal Antibody p.365-367, 1980, Prenum Press, N.Y.)にしたがって、特異的抗体を産生する抗体産生細胞とミエローマ細胞とを融合させることによりハイブリドーマを樹立し、これよりモノクローナル抗体を得ることもできる。
検出に用いられる抗原あるいは前記抗体作製用の抗原は、抗原であるサイトカイン蛋白質又はその少なくとも6個の連続した部分アミノ酸配列からなるポリペプチド(エピトープ部分のポリペプチド)、あるいはこれらに任意のアミノ酸配列や担体(例えば、N末端付加するキーホールリンペットヘモシアニン)が付加された誘導体を挙げることができる。
前記抗原ポリペプチドは、サイトカイン蛋白質を遺伝子操作により宿主細胞に産生させることによって得ることができる。具体的には、サイトカイン遺伝子を発現可能なベクターを作製し、これを宿主細胞に導入して該遺伝子を発現させればよい。
抗サイトカイン抗体は、それを直接標識するか、又は該抗体を一次抗体とし、該一次抗体を特異的に認識する(抗体を作製した動物由来の抗体を認識する)標識二次抗体と協同で検出に用いられる。
前記標識の種類として好ましいものは、酵素(アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼ)又はビオチン(ただし二次抗体のビオチンにさらに酵素標識ストレプトアビジンを結合させる操作が加わる)であるが、これらに限定されない。標識二次抗体(又は標識ストレプトアビジン)としては、予め標識された抗体(又はストレプトアビジン)が、各種市販されている。なお、RIAの場合は125I等の放射性同位元素で標識された抗体を用い、測定は液体シンチレーションカウンター等を用いて行う。
これら標識された酵素の活性を検出することにより、抗原の発現量が測定される。アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼで標識する場合、これら酵素の触媒により発色する基質や発光する基質が市販されている。
発色する基質を用いた場合、ウエスタンブロット法やドット/スロットブロット法を利用すれば、目視で検出できる。ELISA法では、市販のマイクロプレートリーダーを用いて各ウェルの吸光度(測定波長は基質により異なる)を測定し、定量することが好ましい。また上述の抗体作製に使用した抗原の希釈系列を調製し、これを標準抗原試料として他の試料と同時に検出操作を行い、標準抗原濃度と測定値をプロットした標準曲線を作成することにより、他の試料中の抗原濃度を定量することも可能である。
一方、発光する基質を使用した場合は、ウエスタンブロット法やドット/スロットブロット法においては、X線フィルム又はイメージングプレートを用いたオートラジオグラフィーや、インスタントカメラを用いた写真撮影により検出することができる。また、デンシトメトリーやモレキュラー・イメージャーFxシステム(バイオラッド社製)等を利用した定量も可能である。さらに、ELISA法で発光基質を用いる場合は、発光マイクロプレートリーダー(例えば、バイオラッド社製等)を用いて酵素活性を測定する。
3.3 評価
評価は、試料中に含まれるIL-12p40及び/又は抗IL-12p40抗体の量を指標として行う。すなわち、健常人に比較して、被験者の末梢血(血清)中においてIL-12p40及び/又は抗IL-12p40抗体のレベルの有意な上昇(p<0.05)が認められた場合には、当該被験者は胸腺腫とMGを合併して発症している可能性が高いと診断できる。
前記評価では、必要に応じて、MGや胸腺腫のマーカーとなりうる他のサイトカインや抗体のレベルも合わせて指標としてもよい。たとえば、抗IL-12p70抗体はMGの有無にかかわらず胸腺腫患者で有意に上昇し、抗アセチルコリン受容体抗体や抗リアノジン受容体抗体は、胸腺腫合併の有無にかかわらずMG患者で上昇する。したがって、IL-12p40と抗IL-12p40抗体の有意な上昇とともに、抗IL-12p70抗体、抗アセチルコリン受容体抗体レベル、あるいは抗リアノジン受容体抗体の有意な上昇が認められれば、当該被験者は胸腺腫合併MGである可能性が高く、抗IL-12p70抗体レベルのみ上昇している場合には胸腺腫のみ発症している可能性が高く、抗アセチルコリン受容体抗体や抗リアノジン受容体抗体レベルのみ上昇している場合にはMGのみ発症している可能性が高いと診断できる。
4.検査用キット
本発明はまた、重症筋無力症又は胸腺腫の検査用キットであって、被験者の重症筋無力症と胸腺腫の合併の有無を検査できることを特徴とするキットを提供する。本発明のキットは、必須の構成要素としてIL-12p40あるいはその断片、及び/又は抗IL-12p40抗体を含む。
前記IL-12p40あるいはその断片の由来は、抗ヒトIL-12p40抗体が検出可能であれば特に限定されないが、ヒトIL-12p40あるいはそのエピトープを含む断片、もしくはこれと同じアミノ酸配列を有する組替え型ヒトIL-12p40あるいはそのエピトープを含む断片であることが好ましい。これらIL-12p40あるいはその断片、組替え型ヒトIL-12p40あるいはその断片は、3.2に記載した方法により作製することができる。
前記抗IL-12p40抗体の由来は、ヒトIL-12p40を検出可能であれば特に限定されないが、抗ヒトIL-12p40抗体が好ましい。抗ヒトIL-12p40抗体は、3.2に記載した方法により作製することができる。
さらに、本発明のキットは、IL-12p70あるいはその断片、アセチルコリン受容体あるいはその断片、リアノジン受容体抗体あるいはその断片、その他のサイトカインやその断片、抗サイトカイン抗体を含んでいてもよい。前記IL-12p70あるいはその断片及び/又はアセチルコリン受容体あるいはその断片、その他のサイトカインやその断片、抗サイトカイン抗体の由来は特に限定されないが、ヒト由来のもの、あるいはヒト由来の配列に基づいて作製された組替え型のものが好ましい。これらの抗体あるいは抗原蛋白質もまた、3.2に記載した方法により作製することができる。
前記した各種抗体やサイトカイン(抗原)あるいはその断片は、適当な標識によりラベル(例えば、酵素標識、放射性標識、蛍光標識等)されていてもよいし、ビオチン等により適当に修飾されていてもよい。また、前記抗体やサイトカインあるいはその断片は、適当な支持体に固相化されていてもよいし、あるいは固相化可能なように別個に支持体がキットが含まれていてもよい。そのような支持体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド等の蛋白を付着可能な合成樹脂、ガラス、ニトロセルロース、セルロース、及びアガロース製の支持体、あるいはゲル型支持体を使用することができる。支持体の形態は特に限定されないが、極小球あるいはビーズ(例えば“ラテックス”ビーズ)などの微粒子、微量遠心チューブなどのチューブ(内壁)、マイクロタイタープレート(ウェル)等の形態で提供される。
本発明のキットは上記した構成要素のほか、必要に応じて、ラベル体の検出のための試薬、反応用緩衝液、酵素、基質等、本発明の実施に必要な他の要素を含んでいてもよい。
1.対象
金沢大学倫理委員会の承認のもと、インフォームドコンセントを得た104名の被験者:MGを伴わない胸腺腫患者7名、MG患者(正常胸腺16名、LFH合併11名、胸腺腫合併15名)、他の神経疾患患者(疾患コントロール)25名、健常者(正常コントロール)20名を対象として、以下の試験を行なった。被験者の臨床所見は表1のとおりである。
Figure 0004734647
2.方法
以下の方法により、常法にしたがい被験者の末梢血を採取し、その血清中における各種サイトカイン(IFN-α、IFN-γ、IL-4、IL-12p40及びIL-12p70)、抗IL-12 p40抗体及び抗IL-12 p70抗体のレベルを測定した。
(1)血清サイトカインの測定
IFN-α、IFN-γ、IL-4、IL-12p40及びIL-12p70のレベルは、市販のELISAキット(Quantikine, R&D Systems, Inc., Minneapolis, MN)により測定した。
(2)血清抗IL-12 p40抗体、抗IL-12 p70抗体の測定
血清の抗IL-12 p40抗体、抗IL-12 p70抗体の値は、Meagerらの検出法(Meager A., Clin Exp Immunol. 2003 Apr, 132(1), p128-36)に、以下に示す改変を加えて行った。マイクロタイタープレート(Nunc MaxiSorp C bottom well, Nalge Nunc International, Rochester NY)の各ウェルあたり50μLの0.05% carbonate-bicarbonate buffer, pH 9.6に溶かした組み替え型ヒトIL-12 p40 (0.4μg protein/mL, R&D systems)、もしくは組替えヒトIL-12 p70 (2μg protein/mL, PeproTech Inc., Rocky Hill, NJ) を加えた後、50mM Tris buffered saline/1% bivine serum albumin (BSA), pH 8.0(TBS)で30分間ブロックした。その後、血清を60倍 に希釈して各ウェルに加え、1時間、室温でインキュベートした。ウェルを0.05% Tween 20 を含んだTBS (TBS-T) で5回、洗浄した後、100μLのHorse Radish Peroxidase(HRP)結合抗ヒトIgG Fc部分抗体(1:50000希釈、Bethyl Laboratories, Inc., Montgomery, TX)を各ウェルに入れ、1時間インキュベーションした。さらに、TBS-Tで5回洗浄した後、TMB peroxidase基質を入れ、室温で30分インキュベーションした。2M H2SO4 100μLを加えて反応を停止させ、450nMの吸光度を、マイクロプレートリーダー(Multiskan MS-UV, Labsystems, Helsinki, Finland)で測定した。なお、希釈血清サンプルの測定吸光度は0.1から4.0の間で、直線となることを確認した。
3.結果
表2及び図1に血清中の(A)IL-12p40量、(B)抗IL-12p40抗体価、(C)抗IL-12p70抗体価を示す。また、図2に胸腺腫合併重症筋無力症(MG)患者における血清中の抗アセチルコリン受容体抗体価と(A)IL-12p40量、(B)抗IL-12p40抗体価、(C)抗IL-12p70抗体価の相関を示す。
Figure 0004734647
表2及び図1に示されるように、IL-12p40の値は、53.3% (15人中8人:図1(A)のa〜h)の胸腺腫合併重症筋無力症(MG)患者において、正常コントロール+3SD(172.5 pg/mL)以上に上昇していたが、胸腺腫を合併しないMG患者ならびにMGを伴わない胸腺腫患者では上昇していなかった。IL-12p40の上昇が認められた8名の胸腺腫合併MG患者では、抗アセチルコリン受容体抗体(AChRAb)は陽性であった。調べた他のサイトカインの値は、胸腺腫合併MG患者、胸腺腫非合併MG患者、MGを伴わない胸腺腫患者のすべてで正常であった。次に、IL-12p40に対する自己抗体を調べた。その結果、抗IL-12p40抗体は、コントロールの平均+3SD以上に40.0% (15人中6人:図1(B)のa〜d,f,i)の胸腺腫合併MGで上昇していることがわかった。さらに、抗IL-12p70抗体を測定したが、その値は、胸腺腫合併MG患者だけでなくMGを伴わない胸腺腫患者でも上昇していることが確認された(表2、図1(C))。抗アセチルコリン受容体抗体価とIL-12p40量、抗IL-12p40抗体価、抗IL-12p70抗体価の間にはいずれも相関関係は認められなかった。
以上から、IL-12p40とその自己抗体は、胸腺腫合併MGに特異的マーカーであることが確認された。
本発明は、胸腺腫合併MGの免疫学的特徴を初めて明らかにしたもので、MGや胸腺腫の治療及び診断において極めて有用である。
図1は、被験者の血清中の(A)IL-12p40量、(B)抗IL-12p40抗体価、(C)抗IL-12p70抗体価を示す。図中、a〜hはIL-12p40の上昇が認められた8名の胸腺腫合併MG患者を示す。 胸腺腫合併重症筋無力症(MG)患者における血清中の抗アセチルコリン受容体抗体価と(A)IL-12p40量、(B)抗IL-12p40抗体価、(C)抗IL-12p70抗体価の相関を示す。それぞれの値は、抗アセチルコリン受容体抗体価とは相関がなく、独立した因子であることがわかる。

Claims (8)

  1. 被験者から単離した末梢血中における、IL-12p40及び/又は抗IL-12p40抗体のレベルを指標として、当該被験者の重症筋無力症と胸腺腫の合併の有無を検査する方法。
  2. 前記IL-12p40及び/又は抗IL-12p40抗体の量が健常人に比較して有意に高い場合に、前記被験者は胸腺腫を合併した重症筋無力症である可能性が高いと評価することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記IL-12p40及び/又は抗IL-12p40抗体に加えて、抗IL-12p70抗体、抗アセチルコリン受容体抗体、及び抗リアノジン受容体抗体から選ばれる1又は2以上のレベルをさらに指標とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記IL-12p40レベル及び/又は抗IL-12p40抗体のレベルと、前記抗IL-12p70抗体、抗アセチルコリン受容体抗体、及び抗リアノジン受容体抗体から選ばれる1又は2以上のレベルがともに健常人に比較して有意に高い場合に、前記被験者は胸腺腫を合併した重症筋無力症である可能性が高いと評価することを特徴とする、請求項3に記載の方法
  5. 前記IL-12p40、抗IL-12p40抗体、抗IL-12p70抗体、抗アセチルコリン受容体抗体、及び抗リアノジン受容体抗体のレベルが免疫学的方法によって測定されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記免疫学的方法が、免疫沈降法、ならびにウェスタンブロット法、ドットブロット法、スロットブロット法、ELISA法、及びRIA法を含む固相免疫法あるいはこれらの変法から選ばれるいずれかの方法である、請求項5に記載の方法。
  7. 重症筋無力症又は胸腺腫の検査用キットであって、IL-12p40あるいはその断片、及び/又は抗IL-12p40抗体を含み、被験者の重症筋無力症と胸腺腫の合併の有無を検査できることを特徴とする前記キット。
  8. さらに、IL-12p70あるいはその断片、アセチルコリン受容体あるいはその断片、及びリアノジン受容体あるいはその断片から選らばれる1又は2以上を含むことを特徴とする請求項7に記載のキット。
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