JP2003028881A - 難治性自己免疫疾患の測定方法 - Google Patents

難治性自己免疫疾患の測定方法

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JP2003028881A
JP2003028881A JP2001209897A JP2001209897A JP2003028881A JP 2003028881 A JP2003028881 A JP 2003028881A JP 2001209897 A JP2001209897 A JP 2001209897A JP 2001209897 A JP2001209897 A JP 2001209897A JP 2003028881 A JP2003028881 A JP 2003028881A
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JP2001209897A
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Kyokuho Yagita
旭邦 八木田
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ORIENT CANCER THERARY KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明の課題は、ステロイド、抗TNFα抗体お
よび薬物抵抗性の炎症性腸疾患(IBD)や難治性自己免疫
疾患に対する新規な検定方法を提供することである。 【構成】免疫を担う活性化されたNKT細胞が関与する
カスケードにおいて、NKT細胞の活性化に係わる2つ
の異なる抗原受容体、すなわちNKR-P1とVα24Vβ11の作
用が全く異なるものであることに続き、これらが陽性で
あることと難治性自己免疫疾患とが相関することを見出
し本発明を完成した。加えて、CD3CD161、CD3CD161パー
フォリン又はVα24Vβ11、Vα24Vβ11パーフォリンをマ
ーカーとして検定されることが、難治性自己免疫疾患の
測定手段として有効であることを見出し本発明を完成し
た。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人NKT細胞の活性化に
着目した新規な難治性自己免疫疾患の測定方法に関す
る。さらに詳しくは、難治性自己免疫疾患治療・予防
剤、および難治性自己免疫疾患治療・予防剤のスクリー
ニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、癌免疫に関与する細胞として、ナ
チュラルキラーT(人NKT)細胞(CuiJ. et al., Sc
ience 278,1623,1997)が見出された。人NKT細胞
は、免疫系に関与する細胞の一つであり、強力なサイト
カイン産生能、とくにIFNγ産生能、及びFasやパ
ーフォリンを介した細胞傷害性等の機能を持つ。従って
この細胞を活性化することにより、癌患者の治癒・延命
効果が更に高くなることが期待される。
【0003】谷口等は、人NKT細胞が有するVα24(Vβ1
1)という特異的なT細胞抗原受容体(TcR)が認識する
特異的な糖脂質抗原を発見し、この抗原が、αガラクト
シルセラミドであることを報告している。更に、αガラ
クトシルセラミドを投与した担癌マウスでは、NKT細胞
が活性化され(マウスではVα14をもつ細胞の存在比率
が増えている状態)、癌の消失はみられないものの転移
が抑制されることを証明した。
【0004】人NKT細胞には、もう一つの受容体としてN
KT細胞抗原受容体(NKR-P1)があることは報告されてい
る(特集 NKT細胞の基礎と臨床:最新医学55巻4号
2000年818〜823ページ)。NKR-P1も人NKT細
胞の活性化に関与する。
【0005】炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎(U
C)とクローン病(CD)とは先進国(日本も含めて)で著増し
ているが、その病因、病態に不明の点が多く、その治療
法も明らかでない。このIBDの病因、病態に免疫異常が
関与している可能性が多くの専門家から指示されてい
る。このIBDの発病には、2種類の免疫系が関与している
と考えられる。その一つは、TNFα→IFNγ→IL-12→CTL
の系の関与であり、他の一つは人NKT細胞の関与であ
る。
【0006】現在臨床的に使われているIBD製剤、ステ
ロイド、サラゾピリン、5-ASA、抗TNFα抗体は主として
前者のTh1系サイトカイン(IFNγ、IL-12、IL-18)を抑制
して、CTL活性を抑制することを目的にしている。これ
らの薬物でコントロールできないIBD症例は難治性IBDと
して注目されているが、未だ病因が不明である。
【0007】IBDの発病や病態の憎悪に人NKT細胞が関与
していることは谷口らにより報告されている。人NKT細
胞はT細胞とNK細胞の両方の性質を持ち、T細胞受容体(T
cR:Vα24Vβ11)とNK受容体(NKR-P1: CD161)とがあ
る。IBDでは、人NKT細胞のTcRの刺激では免疫学的に抑
制的に作用(谷口ら)し、NKR-P1の刺激は免疫学的に活性
化に作用する(八木田ら)ことを見出している。そしてこ
の人NKT細胞の活性はステロイドや抗癌剤、5-ASA薬物な
どに影響されないことが八木田らにより見出されてい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ステ
ロイド、抗TNFα抗体および薬物抵抗性の炎症性腸疾患
(IBD)や難治性自己免疫疾患に対する新規な検定方法を
提供することである。本発明は、これら疾患の新規なマ
ーカーを見出すことである。さらに本発明は、そのマー
カーを制御することによる難治性自己免疫疾患の治療・
予防剤を見出すことである。加えて、本発明は、新規な
難治性自己免疫疾患の治療・予防剤のスクリーニング方
法を見出すことである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、本発明者はステロイド、抗TNFα抗体および薬物
抵抗性の炎症性腸疾患(IBD)や難治性自己免疫疾患の予
防又は治療における免疫カスケードについて検討を重
ね、免疫を担う活性化された人NKT細胞が関与するカス
ケードにおいて、人NKT細胞の活性化に係わる2つの異
なる抗原受容体、すなわちNKR-P1とTcR(Vα24Vβ11)
の作用が全く異なるものであることに続き、NKR-P1陽性
又はTcR陽性であることとこれら疾患(難治性自己免疫
疾患)とが相関することを見出し本発明を完成した。加
えて、CD3CD161もしくはCD3CD161パーフォリン、又はV
α24Vβ11もしくはVα24Vβ11パーフォリンをマーカー
として検定されることが、難治性自己免疫疾患の測定手
段として有効であることを見出し本発明を完成した。
【0010】本発明の本質は、人NKT細胞のNKR-P1又はT
cRをコントロールすることは難治性自己免疫疾患の有力
な治療手段になることを見出したことである。本発明
は、IBDやステロイドの有効性が知られている自己免疫
疾患のすべてにおいて適応可能となる。本発明はステロ
イド抵抗性、薬物抵抗性あるいは抗TNFα抗体で改善し
ない難治性の自己免疫疾患に有効である。
【0011】すなわち本発明は、以下からなる。 1.ナチュラルキラーT(人NKT)細胞が有するナチュ
ラルキラー(NK)細胞抗原受容体であるNKR-P1(ナチュラルキ
ラー受容体−P1)又はVα24(Vβ11)であるT細胞抗原受
容体(TcR)の活性化状況を指標として用いられる難治
性自己免疫疾患の測定又は検定方法。 2.NKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P1)の活性化又はVα24
(Vβ11)であるT細胞抗原受容体(TcR)の不活性化が
難治性自己免疫疾患の原因の一であると判定する前項1
の測定又は検定方法。 3.NKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P1)の活性化を制御する
物質又はVα24(Vβ11)であるT細胞抗原受容体(Tc
R)を活性化する物質からなる難治性自己免疫疾患治療
・予防剤。 4.NKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P1)又はVα24(Vβ11)
であるT細胞抗原受容体(TcR)の活性化を指標とする
難治性自己免疫疾患治療・予防剤のスクリーニング方
法。 5.CD3CD161もしくはCD3CD161パーフォリン、又はVα2
4Vβ11もしくはVα24Vβ11パーフォリンをマーカーとし
て検定する前項1もしくは2の方法。 6.CD3CD161もしくはCD3CD161パーフォリン、又はVα2
4Vβ11もしくはVα24Vβ11パーフォリンをマーカーとし
て検定する前項3の難治性自己免疫疾患治療・予防剤。 7.CD3CD161もしくはCD3CD161パーフォリン、又はVα2
4Vβ11もしくはVα24Vβ11パーフォリンをマーカーとし
て検定する前項4の方法。 8.前項1〜7の何れか一に記載の情報を担持した商業
的媒体。 9.前項1〜7の何れか一に記載の情報を担持した商業
方法。 10.前項1〜7の何れか一に記載の情報を担持した商
業的免疫機能検定サービスシステム。
【0012】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳述する。本発明
は、臨床における炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸
炎(UC)とクローン病(CD)における免疫機能の相関性を検
討することにより達成した。本発明者は、84例のCD疾
患患者と87例のUC疾患患者の各種サイトカイン、及び
人NKT細胞についての各種パラメーターの測定をおこな
った(図1〜10)。そして、その結果を、ステロイド
投与とステロイド非投与の各疾患患者における免疫機能
の比較データとして得た。
【0013】図1〜4及び図9〜10は、CD疾患患者分
であり、全数84例でステロイド投与が無効な患者を対象
とする。測定は、ステロイド投与群28例とステロイド非
投与群56例について、IFNγ、IL-12、及びCD3CD161を測
定した(CD3CD161の測定が、NKR-P1を介した人NKT細胞
の活性化を表すものであることは本発明者が別途確立し
ている)(図1〜3)。また、CD疾患患者へのステロイ
ド投与群とステロイド非投与群について、CD3CD161パー
フォリン、Vα24Vβ11、Vα24Vβ11パーフォリンを測定
した(表1〜6)(図4、9〜10)。
【0014】その結果、図1〜4ではステロイド投与群
でIFNγ、IL-12の値がステロイド非投与群に比して有意
に低値を示したのに対し、CD3CD161、CD3CD161パーフォ
リンの測定値は両群に差異がないことが判明した。この
ことは、炎症性腸疾患(IBD)であるクローン病(CD)であ
って、ステロイド無効例であってもステロイド投与でIF
Nγ、IL-12等のサイトカイン産生の抑制系は働いている
こと、それにもかかわらず疾患は難治性であること、ス
テロイド投与ではCD3CD161(NKR-P1)に対しては抑制に
働かないことを意味するものである。
【0015】図9〜10及び表1〜6は、CD疾患患者へ
のステロイド投与群とステロイド非投与群への影響であ
るが、両群においてVα24Vβ11、Vα24Vβ11パーフォリ
ンへの影響に差異はない。IFNγ、IL-12の値はステロイ
ド投与群で低下傾向にある。
【0016】図11〜13は、CD患者の活動期と非活動
期と健常人における各ファクター値の比較である。CD患
者では、IFNγ、IL-12の値はいずれも健常人より高い傾
向にあり、活動期と非活動期ではIL-12の値が、非活動
期の方が高い傾向であった。CD3CD161及びCD3CD161パー
フォリンは、CD3CD161パーフォリンが健常人に対し有意
の高値を示した。活動期と非活動期の比較ではCD3CD161
は非活動期が減少傾向にあるが、CD3CD161パーフォリン
は両期で有意の差異は確認されない。Vα24Vβ11及びV
α24Vβ11パーフォリンは、両者とも健常人に比して有
意の高値を示したが、活動期と非活動期で有意の差異は
確認されない。
【0017】かくして、本発明者は、難治性自己免疫疾
患(例えばCD患者)は、CD3CD161(NKR-P1)特にCD3CD1
61パーフォリンが活性化状態にあり、これが原因で免疫
異常が誘発されていることを見出した。そして、このCD
3CD161(NKR-P1)特にCD3CD161パーフォリンの活性化状
態を制御(抑制)してやれば、難治性自己免疫疾患(CD
患者)の治療・予防が達成でき、CD3CD161(NKR-P1)特
にCD3CD161パーフォリンの活性化状態を制御(抑制)す
る物質をスクリーニングすれば難治性自己免疫疾患(特
にCD患者)の有力な治療・予防剤の提供が達成できるこ
とを見出した。
【0018】一方、NKT細胞のVα24Vβ11(TcR)、Vα2
4Vβ11パフォリンは、CD患者では健常人に比較して高値
であり、CD患者のNKT細胞の免疫系は抑制に働く傾向で
あることが確認された。CD患者の活動期と非活動期での
比較はVα24Vβ11で非活動期に高い傾向があった。この
ことからNKT細胞のVα24Vβ11(TcR)を活性化してやる
と、NKT細胞の免疫系は抑制にはたらき結果として難治
性自己免疫疾患の治療・予防が達成でき、Vα24Vβ11
(TcR)を活性化する物質をスクリーニングすれば難治
性自己免疫疾患の有力な治療・予防剤の提供が達成でき
ることを見出した。
【0019】図5〜8は、UC疾患患者分であり、全数87
例でステロイド投与が無効な患者を対象とする。測定
は、ステロイド投与群25例とステロイド非投与群62例に
ついて、IFNγ、IL-12、及びCD3CD161もしくはCD3CD161
パーフォリンを測定した(CD3CD161の測定が、NKR-P1を
介した人NKT細胞の活性化を表すものであることは本発
明者が別途確立している)。その結果、ステロイド投与
群でIFNγ、IL-12の値がステロイド非投与群に比して有
意に低値を示したのに対し、CD3CD161及びCD3CD161パー
フォリンの測定値は両群に差異がないことが判明した。
このことは、炎症性腸疾患(IBD)である潰瘍性大腸炎(U
C)であって、ステロイド無効例であってもステロイド投
与例ではIFNγ、IL-12等のサイトカイン産生の抑制系は
働いていること、それにもかかわらず疾患は難治性であ
ること、ステロイド投与ではCD3CD161(NKR-P1)に対し
ては抑制に働かないことを意味するものである。
【0020】図11〜13は、UC患者の活動期と非活動
期と健常人における各ファクター値の比較である。UC患
者では、活動期と非活動期ではIFNγ、IL-12の値が、非
活動期の方が高い傾向であった。CD3CD161及びCD3CD161
パーフォリンは、CD3CD161パーフォリンが健常人に対し
有意の高値を示した。活動期と非活動期の比較ではCD3C
D161、CD3CD161パーフォリン共に両期で有意の差異は確
認されない。Vα24Vβ11及びVα24Vβ11パーフォリン
は、両者とも健常人に比して有意の高値を示したが、活
動期と非活動期の比較で非活動期がCD3CD161、CD3CD161
パーフォリン共に減少傾向が確認された。
【0021】かくして、本発明者は、難治性自己免疫疾
患(例えばUC患者)は、CD3CD161(NKR-P1)特にCD3CD1
61パーフォリンが活性化状態にあり、これが原因で免疫
異常が誘発されていることを見出した。そして、このCD
3CD161(NKR-P1)特にCD3CD161パーフォリンの活性化状
態を制御(抑制)してやれば、難治性自己免疫疾患(UC
患者)の治療・予防が達成でき、CD3CD161(NKR-P1)特
にCD3CD161パーフォリンの活性化状態を制御(抑制)す
る物質をスクリーニングすれば難治性自己免疫疾患(特
にUC患者)の有力な治療・予防剤の提供が達成できるこ
とを見出した。
【0022】一方、NKT細胞のVα24Vβ11(TcR)、Vα2
4Vβ11パフォリンは、UC患者では健常人に比較して高値
であり、UC患者のNKT細胞の免疫系は抑制に働く傾向で
あることが確認された。UC患者の活動期と非活動期での
比較はVα24Vβ11、Vα24Vβ11パーフォリン共に非活動
期に低い傾向があった。すなわち、UCでは抑制性のフィ
ードバックとしてのVα24Vβ11活性化が不足であり、CD
非活動期のレベルまで活性化すればステロイド抵抗性UC
の病勢の制御につながる。このことからNKT細胞のVα24
Vβ11(TcR)を活性化してやると、NKT細胞の免疫系は
抑制にはたらき結果として難治性自己免疫疾患(UC患
者)の治療・予防が達成でき、Vα24Vβ11(TcR)を活
性化する物質をスクリーニングすれば難治性自己免疫疾
患(UC患者)の有力な治療・予防剤の提供が達成できる
ことを見出した。
【0023】ナチュラルキラーT(人NKT)細胞が有す
るナチュラルキラー(NK)細胞抗原受容体であるNKR-P1
(ナチュラルキラー受容体−P1)の活性化状況とは、CD3CD161の
測定において、CD3とCD161の両方が陽性の細胞、すなわ
ち細胞表面上に細胞表面マーカーであるCD3及びCD161を
有している細胞を意味する。その測定は、人NKT細胞の
細胞表面抗原であるCD3及びCD161を、モノクローナル抗
体を用いてフローサイトメトリーを使用するTwo Color
検査により測定する。人NKT細胞が活性化されていると
は、リンパ球の中で人NKT細胞の割合が10%以上であ
ることをいう。人NKT細胞活性化の制御とは、人NKT細胞
の割合が10%以上の状況を減少せしめる機能、又はあ
る物質を投与する前の人NKT細胞の割合より更に減少せ
しめる機能を意味する。TcRの活性化状況は、Vα24Vβ1
1をマーカーとする以外略同一である。
【0024】本発明で、難治性自己免疫疾患とは、ステ
ロイド、抗TNF抗体、IBD製剤、サラゾピリン、5-ASA等
の治療剤投与に無効・抵抗性の免疫疾患を意味し、例え
ばUC、CD等が例示される。これら疾患であることの検定
のために、本発明からなるNKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P
1)(CD3CD161)及び/又はTcR(Vα24Vβ11)の活性化
状況の測定は、新規で有力な手段を提供する。
【0025】本発明でNKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P1)の
活性化を制御する物質とは、前記NKR-P1(ナチュラルキラー受容
体−P1)(CD3CD161)(CD3CD161パーフォリン)の測定
系において、候補物質の試行において、リンパ球の中で
陽性細胞の割合が10%以上の状況を減少せしめる機能
をもつ物質、ある物質を投与する前の陽性細胞の割合よ
り更に減少せしめる機能を有する物質、あるいはある物
質の投与で人NKT細胞のNKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P1)
をマスキング可能な物質を意味する。本発明のNKR-P1
(ナチュラルキラー受容体−P1)の活性化を制御する物質の最も
手短な物質はNKR-P1に対する抗体である。
【0026】本発明で、TcR(Vα24Vβ11)の活性化を
誘導する物質とは、TcR(Vα24Vβ11)(Vα24Vβ11パ
ーフォリン)の測定系において、候補物質の試行におい
て、リンパ球の中で陽性細胞の割合が0.04%以上の状況
をもたらしめる機能をもつ物質、ある物質を投与する前
の陽性細胞の割合より更に増加せしめる機能を有する物
質を意味する。具体的な物質としては、BCG生ワクチ
ン、αガラクトシルセラミドが例示される。BCG生ワク
チンは、結核の治療薬として使用されているが、本発明
ではこれを経口投与することが好ましい。摂取はBCG生
菌量約10〜500mg、より好ましくは40〜100mgであ
る。投与手法の一例では、約80mg生菌製剤を3〜10日
に一度、約1〜数ヶ月摂取する。
【0027】抗体は、NKR-P1またはその由来物からなる
CD3,CD161のようなペプチドの抗原決定基を選別して作
製する。抗原はNKR-P1またはその断片でもよく、少なく
とも8個、好ましくは少なくとも10個、より好ましく
は少なくとも12個、さらに好ましくは15個以上のア
ミノ酸で構成される。NKR-P1に特異的な抗体を作製する
ためには、NKR-P1に固有なアミノ酸配列からなる領域を
用いることが好ましい。抗体は、免疫学的にNKR-P1また
はその由来物からなるペプチドを結合または認識する限
り特に限定されない。この結合または認識の有無は、公
知の抗原抗体結合反応によって決定される。
【0028】抗体を産生するためには、自体公知の抗体
作製法を利用できる。例えば、NKR-P1またはその由来物
からなるペプチドを、アジュバントの存在または非存在
下で単独または担体に結合して動物に投与し、体液性応
答および/または細胞性応答などの免疫誘導を行うこと
により得られる。担体は、それ自体が宿主に対して有害
作用をおこさなければ、特に限定されず例えばセルロー
ス、重合アミノ酸、アルブミンなどが例示される。免疫
される動物は、マウス、ラット、兎、ヤギ、馬などが好
適に用いられる。
【0029】ポリクローナル抗体は、上記免疫手段を施
された動物の血清から自体公知の抗体回収法によって取
得される。好ましい手段として免疫アフィニティクロマ
トグラフィー法により得られる。
【0030】モノクロ−ナル抗体を生産するためには、
上記の免疫手段が施された動物から抗体産生細胞(例え
ば、脾臓またはリンパ節由来のリンパ球)を回収し、自
体公知の永久増殖性細胞(例えば、P3X63Ag8株
などのミエローマ株)への形質転換手段を導入すること
によって行われる。例えば、抗体産生細胞と永久増殖性
細胞とを自体公知の方法で融合させてハイブリドーマを
作成してこれをクローン化し、NKR-P1を特異的に認識す
る抗体を産生するハイブリドーマを選別し、該ハイブリ
ドーマの培養液から抗体を回収する。
【0031】かくして得られた、NKR-P1またはその由来
物であるペプチドを認識し結合しうるポリクローナル抗
体またはモノクローナル抗体は、試薬または標識マーカ
ーなどとして利用できる。特にNKR-P1の活性化を抑制し
得る抗体は、本発明からなるNKR-P1の活性を調節するた
めに使用でき、そのためNKR-P1が関連する疾患特に難治
性自己免疫疾患の治療・予防のために有用である。
【0032】(同定・スクリーニング手段)本発明で
は、難治性自己免疫疾患とNKR-P1(CD3CD161,CD3CD161
パーフォリン)及び/又はTcR(Vα24Vβ11、Vα24Vβ11
パーフォリン)の関係が明らかにされたことから、NKR-
P1の活性化を制御、抑制すること(CD3CD161,CD3CD161
パーフォリンをマーカーにする)又はTcRを活性化する
こと(Vα24Vβ11、Vα24Vβ11パーフォリン)をマーカ
ーにして難治性自己免疫疾患治療・予防剤の同定・スク
リーニングが可能となる。制御・抑制・活性化とは前記
定義と同じ。例えば、NKR-P1(CD3CD161)、TcR(Vα24
Vβ11)、パーフォリンまたはそれらの由来ペプチドの
立体構造に基づくドラッグデザインによる拮抗剤・活性
化剤の選別、遺伝子レベルでの発現調節剤の選別、抗体
を利用した抗体認識物質の選別などが、自体公知の医薬
品スクリーニングシステムを利用して構築可能である。
【0033】また、NKR-P1(CD3CD161)、TcR(Vα24Vβ
11)、パーフォリンまたはそれらの由来物からなるペプ
チドは、スクリーニングしようとする化合物とこれらペ
プチドとの間の相互作用を可能にする条件を選別し、こ
の相互作用の有無を検出することのできるシグナルおよ
び/またはマーカーを使用する系を導入し、このシグナ
ルおよび/またはマーカーの存在または不存在を検出す
ることにより、NKR-P1(CD3CD161、CD3CD161パーフォリ
ン)活性を阻害する又はTcR(Vα24Vβ11)を活性化する
化合物を同定し難治性自己免疫疾患治療・予防剤の提供
が可能である。
【0034】また、例えば形質転換技術を用い、スクリ
ーニングしようとする化合物と形質転換体を接触させ、
NKR-P1(CD3CD161)、TcR(Vα24Vβ11)、もしくはパフ
ォリン、またはそれらの由来物からなるペプチドの発現
の有無を検出することのできるシグナルおよび/または
マーカーを使用する系を導入し、このシグナルおよび/
またはマーカーの存在または不存在を検出することによ
り、NKR-P1(CD3CD161)、TcR(Vα24Vβ11)、もしくは
パフォリン、またはそれらの由来物からなるペプチドの
発現を阻害する化合物を同定し難治性自己免疫疾患治療
・予防剤の提供が可能である。
【0035】上記の手段で同定された化合物は、NKR-P1
又はパーフォリンに関する活性阻害剤または活性拮抗
剤、TcR(Vα24Vβ11)に関する活性化剤、ひいては難
治性自己免疫疾患治療・予防剤の候補化合物として利用
可能である。また、遺伝子レベルでのNKR-P1又はパーフ
ォリン遺伝子系に対する発現阻害剤もしくは発現拮抗
剤、またはもしくはTcR(Vα24Vβ11)遺伝子系に対す
る活性化剤は難治性自己免疫疾患治療・予防剤の候補化
合物としても利用可能である。
【0036】かくして選別された候補化合物は、生物学
的有用性と毒性のバランスを考慮して選別することによ
って、難治性自己免疫疾患治療・予防剤の医薬組成物と
して調製可能である。また本発明のNKR-P1(CD3CD161、
CD3CD161パーフォリン)、TcR(Vα24Vβ11、Vα24Vβ11
パーフォリン)に関する測定系は、難治性自己免疫疾患
の診断マーカーや試薬などの疾病診断手段として有用で
ある。
【0037】また、上記本発明の難治性自己免疫疾患の
測定方法及び/又は上記本発明のスクリーニング方法を
商業的媒体に担持させれば、当該製品の価値について差
別化手段となる。従って、これら情報を商業的媒体に担
持させた物は、極めて有用性の高いものである。そのう
え、これら情報を商業的に利用すれば、当該製品の価値
について差別化手段となるから、これら情報を利用した
商業方法は、極めて有用性の高いものである。
【0038】さらに本発明は、上記本発明の難治性自己
免疫疾患の測定方法についての情報を担持した商業的免
疫機能検定サービスシステムを提供するものである。
【0039】
【実施例】本発明の実施例を示し、更に具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発
明の技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の応用が可能
である。
【臨床例1】CD3CD161の測定は、CD3/CD161又はCD3陽
性CD161陽性とも記載し、CD3とCD161が陽性の細胞、す
なわち細胞表面上に細胞表面マーカーであるCD3及びCD1
61を有している細胞を意味する。CD3CD161パーフォリン
とは、CD3CD161に加えてさらにパーフォリンが陽性の細
胞を意味する。Vα24Vβ11の測定は、Vα24/Vβ1
1又はVα24+Vβ11+とも記載し、Vα24及び
Vβ11が陽性の細胞、すなわち細胞表面上に細胞表面
マーカーであるVα24及びVβ11を有している細胞
を意味する
【0040】細胞及び各サイトカインの測定方法を以下
に示す。 (人NKT細胞の測定)人NKT細胞の活性化のうち、NKR-P1
への作用による活性化の測定は、人NKT細胞の細胞表面
に特異的に存在する細胞表面抗原(CD3及びCD161)の測
定により、人NKT細胞数の増加を調べることで行うこと
ができる。具体的には、末梢血中のリンパ球について、
CD3陽性細胞でかつCD161陽性細胞の細胞を検定する。つ
まり、人NKT細胞の細胞表面抗原であるCD3及びCD161
を、モノクローナル抗体を用いてフローサイトメトリー
を使用するTwo Color検査により測定する。人NKT細胞が
活性化されているとは、リンパ球の中で人NKT細胞の割
合が10%以上であることをいう。人NKT細胞活性化能
とは、人NKT細胞の割合を10%以上に増加せしめる機
能、又はある物質を投与する前の人NKT細胞の割合より
更に増強せしめる機能を意味する。
【0041】患者の血液を用いて、血中細胞について、
細胞表面抗原であるCD3及びCD161が陽性である細胞の割
合をフローサイトメトリーを用いたTwo Color検査によ
り常法通り測定した。CD3及びCD161に対するモノクロー
ナル抗体は、それぞれコールター社製のCD3−PC5並
びにベクトンディッキンソン社製のCD161を使用した。
【0042】Vα24Vβ11への作用による活性化の測定
は、NKT細胞の細胞表面に特異的に存在する細胞表面
抗原(Vα24及び所望によりVβ11)の測定によ
り、NKT細胞数の増加を調べることで行うことができ
る。具体的には、末梢血中のリンパ球について、Vα2
4陽性細胞でかつVβ11陽性細胞の細胞を検定する。
つまり、NKT細胞の細胞表面抗原であるVα24及び
Vβ11を、モノクローナル抗体(TcR−Vα24P
E、TcR−Vβ11FITC;Beckman Cou
lter社)を用いてフローサイトメトリー(FCM)
を使用するTwo Color検査により測定した。
【0043】(CD3CD161パーフォリンのThree Color検
査)患者の血液を用いて、血中細胞について、細胞表面
抗原であるCD3、CD161、及びパーフォリンが陽性である
細胞の割合をフローサイトメトリーを用いたThreeColor
検査により常法通り測定した。具体的には、患者から採
取した血液に固定液を加えて細胞を固定し、膜透過液を
添加後抗パーフォリン抗体(Pharminogen)を添加して
反応させ、さらにPRE−Cy5標識化2次抗体(DAK
O)を添加して反応させる。ついで抗CD3−PE(Coulte
r 6604627)抗体及び抗CD161−FITC(B-D)抗体を
添加して反応させ、その後FCMで測定する。
【0044】(Vα24Vβ11パーフォリンのThree
Color検査)CD3及びCD161が、Vα24及
びVβ11であることを除いて上記と同様である。
【0045】(サイトカインを測定するための試料の調
製)まず、被検患者血液より単核球細胞を分離調製す
る。患者から得たヘパリン加末梢血をリン酸緩衝生理食
塩水(Phosphate Buffered Sal
ine;PBS)で2倍に希釈して混和した後、Fic
oll−Conray液(比重1.077)上に重層
し、400Gで20分遠沈後、単核球層を採取した。洗
浄後、10%牛胎児血清(FBS)を加えたRPMI−
1640培地を加え、単核球数を1×10個となるよ
うに調製した。得られた細胞浮遊液200μlにフィト
ヘマグルチニン(Phytohemagglutini
n;以下、PHAと略称する)(DIFCO製)を20
μg/mlの濃度となるように加え、96穴マイクロプ
レートにて5%CO存在下、37℃で24時間培養
し、該培養した細胞溶液中のサイトカインを測定する試
料とした。
【0046】(IL−12の測定)IL−12は、R&
D SYSTEMS製のキットを用いたELISA法に
て測定した。実際には96穴マイクロプレートの各穴に
測定用希釈液AssayDiluent RD1Fを5
0μl、標準液(standard)又は実施例1で調
製した試料を200μlずつ分注した後、室温にて静置
して2時間反応させた。その後、horse radi
sh peroxidase(以下、HRPと略称す
る)標識抗IL−12抗体を200μlずつ分注し2時
間室温で静置した。各穴の反応液を除去し3回洗浄後、
発色基質溶液を200μlずつ分注し、20分室温静置
後、酵素反応停止溶液を50μlずつ分注した。550
nmを対照として450nmにおける各穴の吸光度をE
max(和光純薬株式会社)にて測定した。IL−12
量は、pg/mlとして表される。IL−12産生誘発
能とは、末梢血単核球が刺激により産生するIL−12
量を、7.8pg/ml以上(7.8は測定限界値)に
増強せしめる機能、又はある物質を投与する前のIL−
12産生量より増強せしめる機能を意味する。
【0047】(IFNγの測定)IFNγの測定は、B
ioSource Europe S.社のIFNγキ
ットを用いて、酵素免疫測定法(EIA法)で測定し
た。実際には96穴マイクロプレートの各穴に標準液
(standard)又は上記調製した試料を2倍希釈
したものを50μlずつ分注し、HRP標識抗IFN−
γ抗体を50μlずつ分注し更に振盪しながら2時間室
温で反応させた。各穴の反応液を除去し3回洗浄後、発
色基質溶液を200μlずつ分注し、振盪しながら15
分室温で反応させ、酵素反応停止溶液を50μlずつ分
注した。630nmを対照として450nm及び490
nmにおける各穴の吸光度をEmax(和光純薬)にて
測定した。IFNγ量は、IU/mlとして表される。
【0048】対象とした患者は、ステロイド治療、IBD
製剤治療、サラゾピリンもしくは5-ASA治療、または抗T
NFα治療が無効と判断された活動期及び非活動期を含め
た難治性自己免疫疾患を対象にした。CD患者の場合は全
数84例で、通常の免疫抑制剤あるいは抗炎症剤としての
処方によりステロイドの継続投与中の患者28例、ステロ
イド非投与患者56例である。UC患者の場合は全数87例
で、同上記処方のステロイドの継続投与中の患者25例、
ステロイド非投与患者62例である。
【0049】以上の測定結果データをもとに以下に各分
析をした。図1は、CD患者のIFNγ値であり、ステロイ
ド投与患者はステロイド非投与患者に比して約1/2に減
少しており、有意の抑制効果が確認された。図2は、CD
患者のIL-12値であり、ステロイド投与患者はステロイ
ド非投与患者に比して約1/5に減少しており、有意の抑
制効果が確認された。図3及び図4は、各々CD患者のCD
3CD161値及びCD3CD161パーフォリンであり、ステロイド
投与患者とステロイド非投与患者には有意の効果差が確
認されなかった。これはステロイドには人NKT細胞のCD3
CD161に全く影響を及ぼさず難治性自己免疫疾患の患者
では有意の活性化状態にあることを示唆した。このこと
から、人NKT細胞のCD3CD161の活性化を制御すればCD患
者のような難治性自己免疫疾患の治療・予防に有用であ
ることを確認した。
【0050】図5は、UC患者のIFNγ値であり、ステロ
イド投与患者はステロイド非投与患者に比して約1/3に
減少しており、有意の抑制効果が確認された。図6は、
UC患者のIL-12値であり、ステロイド投与患者はステロ
イド非投与患者に比して約3/5に減少しており、有意の
抑制効果が確認された。図7及び図8は、各々UC患者の
CD3CD161値及びCD3CD161パーフォリンであり、ステロイ
ド投与患者とステロイド非投与患者には有意の効果差が
確認されなかった。これはステロイドには人NKT細胞のC
D3CD161に全く影響を及ぼさず難治性自己免疫疾患の患
者では有意の活性化状態にあることを示唆した。このこ
とから、人NKT細胞のCD3CD161の活性化を制御すればUC
患者のような難治性自己免疫疾患の治療・予防に有用で
あることを確認した。
【0051】図9、10及び表1〜6は、CD患者であ
る。IFNγ、IL-12はステロイド投与群では低値を示し、
ステロイド非投与群では高値を示した。CD3CD161、Vα2
4Vβ11への影響は両群ともなかった。しかし、Vα24Vβ
11はステロイド投与・非投与両群とも高値を示した。な
お、表1〜2は各数値の平均値、表3〜4は標準偏差
値、表5〜6は症例数を示す。表中パ+とはパーフォリ
ン+を意味する。
【0052】
【臨床例2】難治性自己免疫疾患としてCD患者、UC患者
及び健常人を対象として(被験者数は図中にn数として
表示)IFNγ、IL-12、CD3CD161、CD3CD161パーフォリ
ン、Vα24Vβ11、Vα24Vβ11パーフォリンの測定を行
い、CD及びUCの各活動期と非活動期についての数値の比
較検討をした。図11は、IFNγ、IL-12の比較結果であ
る。IFNは、CDでは健常人に対し約6倍、活動期と非活動
期で有意差なし、UCでは健常人に対し約2倍〜5倍、活動
期と非活動期では後者が約2.5倍高い値を示した。IL-12
は、CDでは健常人に対し約2.5〜5倍、活動期と非活動期
で後者が約1.8倍高く、UCでは健常人に対し約1〜1.7
倍、活動期と非活動期では後者が約1.5倍高い値を示し
た。図12は、CD3CD161、CD3CD161パーフォリンの比較
結果である。CD3CD161は、CDでは健常人に対し約1.1〜
1.4倍、活動期と非活動期で前者が約1.2倍高い傾向、UC
では健常人に対し約0.9倍〜1.1倍、活動期と非活動期で
は後者が約1.2倍高い傾向を示した。CD3CD161パーフォ
リンは、CDでは健常人に対し約3.5〜3.7倍、活動期と非
活動期で後者が約1.04倍高い傾向、UCでは健常人に対し
約2.2〜2.4倍、活動期と非活動期では後者が約1.09倍高
い傾向を示した。図13は、α24Vβ11、Vα24Vβ11パ
ーフォリンの比較結果である。α24Vβ11は、CDでは健
常人に対し約4.9〜5.3倍、活動期と非活動期で前者が約
1.08倍高い傾向、UCでは健常人に対し約3.2倍〜4.6倍、
活動期と非活動期では後者が約1.4倍高い傾向を示し
た。α24Vβ11パーフォリンは、CDでは健常人に対し約
4.5〜5倍、活動期と非活動期で後者が約1.1倍高い傾
向、UCでは健常人に対し約3.3〜4.8倍、活動期と非活動
期では後者が約1.45倍高い傾向を示した。
【0053】
【臨床例3】BCG生ワクチン経口投与(週1回70mgをの
べ4回、以後70mgを月1回、3ヶ月)のUC・癌合併症例
で、BCG生ワクチンの経口投与前に比べてVα24Vβ11が
上がり、同時にIFN-γ産生能とIL-12産生能が変異しな
かったがUCの病態改善・癌悪化の症例Aがあった。
【0054】
【臨床例4】症例Bは、ACTH産生腫瘍とクローン(CD)病
の合併症例であるが、BCG生ワクチン経口投与(週1回7
0mgをのべ4回、以後70mgを月1回、3ヶ月)により、IF
N-γ産生能とIL-12産生能が変化せず、一方Vα24Vβ11
が上昇してクローン病の病勢が改善した。
【0055】
【臨床例5】症例Cは、潰瘍性大腸炎患者にBCG生ワクチ
ンを経口投与(週1回70mgをのべ4回、以後70mgを月1
回、3ヶ月)することで、投与前に比べてVα24Vβ11が
上がり、IFN-γ産生能とIL-12産生能は変化せず、UC病
勢が改善した。
【0056】
【臨床例6】肺腺癌と急性活動期の全大腸炎型の潰瘍性
大腸炎症例にステロイド30mg/日投与していたが改善が
認められなかった。しかも肺癌は増大傾向が認められ
た。そこで抗腫瘍効果を目的にBCG70mgを週1回4週連続
で経口投与した。肺癌は変化が認められなかったが、潰
瘍性大腸炎の症状は1日10回以上の下痢と血便が2〜3回/
日に著明に改善した。この間NKT細胞のNK受容体(CD3CD
161)に変化は認められなかったが、NKT細胞のT細胞受
容体すなわちVα24Vβ11がBCG投与前の0.01%に比べ投
与後1ヶ月目で0.06%と6倍に改善していた。またVα24V
β11パーフォリン産生能も0.005%から0.025% 5倍に改
善していた。この傾向はBCG投与3ヶ月後もUCの改善が認
められた。この事実は、BCG経口投与によりVα24Vβ11
が活性化した事によりUCが改善したものと推察された。
【0057】
【臨床例7】44才の男性クローン病患者で10年にわたっ
てのステロイド投与例である。4年前から縦隔腫瘍が合
併しACTH産生胸腺腫瘍と診断された。この症例にIL-12
誘導の新免疫療法を施行したが胸腺腫瘍が縮小するとAC
TH産生が低下し血中コーチゾールも低下しクローン病が
悪化することがわかっている症例である。胸腺腫瘍が増
大したのでIL-12誘導の新免疫療法を強化したが胸腺腫
瘍は増大した。そこでBCG経口療法を開始した。この間
クローン病はやや改善傾向を示したものの、まだ活動期
の下血が5〜6回/日、腹痛も認められた。BCG投与後、胸
腺腫瘍の増大は停止したが、それよりもクローン病の症
状の著明な改善が認められた。NKT細胞の表面マーカー
を検討したところ、NKT細胞のTcRの著明な改善が認めら
れた。すなわちBCG投与前はVα24Vβ11が0.02%であっ
たのに対しBCG投与後2ヶ月目で0.08%と4倍になりVα24
Vβ11パーフォリン産生能もそれぞれ0.01%から0.05%
と5倍に増強していた。このことは、BCG投与によりNKT
細胞のTcRが活性化されたことによるものと推察され
た。
【0058】
【臨床例8】クローン病とACTH産生胸腺腫瘍の同症例に
おいて、BCG投与によりクローン病の病勢が改善したた
め、腫瘍治療を目的としてNKT細胞のNKR-P1活性が認め
られたα1-3グルカン(ニゲロオリゴ糖)の投与を開始
したところ、1日5回の下痢が起き、CRPは8.8mg/dlに上
昇し、CD活動期となった。この時BCG投与中に7.2% で
あったCD3+CD161+は18.1%と上昇していた。CD3+CD161+
パーフォリン+は3.4%から8.2%に上昇していた。この
事実はα1-3グルカン(ニゲロオリゴ糖)経口投与によ
りNKT細胞のCD161受容体が活性化したためにCDが悪化し
たものと考えられ、NKR-P1の活性化を制御することがCD
の病勢に重要な影響を及ぼすことを見い出した。
【0059】
【臨床例9】ステロイド抵抗性のUC疾患の患者3名に、B
CG生ワクチン経口投与(週1回70mgをのべ4回、以後70
mgを月1回、3ヶ月)し、BCG投与前と投与後の各サイト
カインの測定値を比較した。結果は表7及び8。その結
果、TcRのVα24Vβ11及びVα24Vβ11パーフォリンは明
らかに増加傾向が確認されUC症状の改善が確認された。
【0060】
【臨床例10】ステロイド抵抗性のCD疾患の患者3名
に、BCG生ワクチン経口投与(週1回70mgをのべ4回、
以後70mgを月1回、3ヶ月)し、BCG投与前と投与後の各
サイトカインの測定値を比較した。結果は表9及び1
0。その結果、TcRのVα24Vβ11及びVα24Vβ11パーフ
ォリンは明らかに増加傾向が確認されCD症状の改善が確
認された。
【0061】
【発明の効果】本発明では、難治性自己免疫疾患と人NK
T細胞受容体の関係を証明したことから、難治性自己免
疫疾患の検査において、NKR-P1及び/又はTcRを測定す
ればその病態の把握が可能となり、またNKR-P1を介した
人NKT細胞の活性化阻害剤・拮抗剤、TcRを介した人NKT
細胞の活性化剤、ひいては難治性自己免疫疾患治療・予
防剤のスクリーニングを容易に可能する。かくして本発
明は難治性自己免疫疾患治療における革命的な成果を達
成したものである。
【0062】以下に表を列記する。
【0063】
【表1】 続き
【表2】
【0064】
【表3】 続く
【表4】
【0065】
【表5】 続く
【表6】
【0066】
【表7】 続く
【表8】
【0067】
【表9】 続く
【表10】
【0068】
【図面の簡単な説明】
【図1】 CD患者のIFNγ値を示す図である。
【図2】 CD患者のIL-12値を示す図である。
【図3】 CD患者のCD3×CD161値を示す図である。
【図4】 CD患者のCD3×CD161×パーフォリン値を示す
図である。
【図5】 UC患者のIFNγ値を示す図である。
【図6】 UC患者のIL-12値を示す図である。
【図7】 UC患者のCD3×CD161値を示す図である。
【図8】 UC患者のCD3×CD161パーフォリン値を示す図
である。
【図9】 CD患者のVα24Vβ11値を示す図である。
【図10】CD患者のVα24Vβ11パーフォリン値を示す図
である。
【図11】IBDにおけるサイトカインの比較図である。
【図12】IBDにおけるCD3×CD161、CD3×CD161パーフ
ォリンの比較図である。
【図13】IBDにおけるVα24Vβ11、Vα24Vβ11パーフ
ォリンの比較図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 37/06 A61P 37/06 G01N 33/15 G01N 33/15 Z 33/50 33/50 Z 33/53 33/53 V // C12Q 1/02 C12Q 1/02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナチュラルキラーT(人NKT)細胞が有す
    るナチュラルキラー(NK)細胞抗原受容体であるNKR-P1
    (ナチュラルキラー受容体−P1)又はVα24(Vβ11)であるT細
    胞抗原受容体(TcR)の活性化状況を指標として用いら
    れる難治性自己免疫疾患の測定又は検定方法。
  2. 【請求項2】NKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P1)の活性化又
    はTcRの不活性化が難治性自己免疫疾患の原因の一であ
    ると判定する請求項1の測定又は検定方法。
  3. 【請求項3】NKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P1)の活性化を
    制御する物質又はTcRの活性化を誘導する物質からなる
    難治性自己免疫疾患治療・予防剤。
  4. 【請求項4】NKR-P1(ナチュラルキラー受容体−P1)の活性化又
    はTcRの活性化を指標とする難治性自己免疫疾患治療・
    予防剤のスクリーニング方法。
  5. 【請求項5】CD3CD161もしくはCD3CD161パーフォリン、
    又はVα24Vβ11もしくはVα24Vβ11パーフォリンをマー
    カーとして検定する請求項1もしくは2の方法。
  6. 【請求項6】CD3CD161もしくはCD3CD161パーフォリン、
    又はVα24Vβ11もしくはVα24Vβ11パーフォリンをマー
    カーとして検定する請求項3の難治性自己免疫疾患治療
    ・予防剤。
  7. 【請求項7】CD3CD161もしくはCD3CD161パーフォリン、
    又はVα24Vβ11もしくはVα24Vβ11パーフォリンをマー
    カーとして検定する請求項4の方法。
  8. 【請求項8】請求項1〜7の何れか一に記載の情報を担
    持した商業的媒体。
  9. 【請求項9】請求項1〜7の何れか一に記載の情報を担
    持した商業方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜7の何れか一に記載の情報を
    担持した商業的免疫機能検定サービスシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008039472A (ja) * 2006-08-02 2008-02-21 Kanazawa Univ 胸腺腫合併重症筋無力症の診断方法
KR101467926B1 (ko) * 2006-10-18 2014-12-03 교와 메덱스 가부시키가이샤 소입자 저밀도 리포단백질 중의 콜레스테롤의 정량 방법

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