JP4734587B2 - ハロゲン化シアヌル誘導体、その製造法およびその使用 - Google Patents

ハロゲン化シアヌル誘導体、その製造法およびその使用 Download PDF

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Description

本発明は、ハロゲン化シアヌル誘導体、その製造方法およびその使用に関するものである。より詳しくは、本発明は、単独でまたはトリアルキル置換アミンとの併用により、アミド結合の形成反応において有用な縮合剤として作用する、新規なハロゲン化シアヌル誘導体に関するものである。
従来、ペプチド合成におけるカルボキシ基とアミノ基との縮合によるアミド結合の形成反応における脱水縮合剤としては、カルボジイミド誘導体のような当業者に周知の縮合剤が用いられている。そして、そのような縮合反応においては、通常、過剰の縮合剤が用いられている。
しかしながら、上記のような縮合剤を用いる溶液反応では、例え縮合反応が定量的に進行しても、目的化合物を単離するために、過剰の縮合剤および/または反応後の縮合剤から目的化合物を分離し、精製する必要がある。この目的化合物の分離・精製には、通常、カラムクロマトグラフィー、液体高速クロマトグラフィー、蒸留または再結晶等の操作が煩雑な精製法が用いられている。
そして、通常、上記の縮合反応後の分離・精製には、反応に要する以上の時間、手間および溶媒などが必要である。
近年、塩化シアヌル(2,4,6-トリクロロ-1,3,5-トリアジン)とN-メチルモルホリンとの反応成績体であるモルホリニウム塩が、カルボキシ基と反応して活性化エステルを形成し、アミノ基とのペプチド結合の形成を促進することが見出されている(例えば非特許文献1)。
さらに、新しいタイプの脱水縮合剤として、2-クロロ-4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジンとN-メチルモルホリンとを反応させて得られた4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン2-イル)-4-メチルモルホリニオ クロライド(DMT-MM)が、塩化メチレンまたは酢酸エチルのような非水性有効溶媒中のみならず、メタノールもしくはエタノールのようなアルコール中または水性アルコール中、さらには水溶液中でも高収率でアミド結合形成反応を促進することも見出されている(例えば非特許文献2および3)。
一方、近年、前記のような反応後の煩雑な精製法を解消すべく、固液反応に用いる目的で、不溶性の種々の反応用ポリマー(固体)担持型試薬が開発されており(例えば非特許文献4)、塩化シアヌルをポリスチレン-ポリエチレングリコール樹脂と結合させた、固体担持型縮合反応試薬も報告されている(例えば非特許文献5)。これら、不溶性の反応用ポリマー担持型試薬は、反応後、溶媒による抽出または洗浄により目的物質を固体担持型試薬から分離できるという特徴を有しているので、ロボティックな自動合成システムやコンビナトリアルケミストリーにおいて、その用途は飛躍的に広がっている。
Z.J.Kaminskiら、J. Org. Chem., 1998, 63, 4248 Kunishimaら、Tetrahedron, 55 (1999), 13159-13170 Kunishimaら、Tetrahedron, 57 (2001), 1551-1558 Andreas Kirschningら、Angew. Chem. Int. Ed., 2001, 40, 650-679 S. Masalaら、Organic Letters, 1999, 1 (9), 1355-1357
しかしながら、従来、開発されてきた固体担持型試薬は、溶媒に不溶な固体と、試薬との反応により製造されるため、固体への試薬導入効率が悪い上に、反応収率の低下を防ぐために、過剰量の試薬を反応に用いられており、反応後に、残存する過剰の試薬の除去などの精製が必要であるなどの問題がある。
本発明は、高収率で脱水縮合反応を行うことが可能で、かつ反応後に、縮合剤から反応生成物を容易に分離できる固体の縮合剤を提供することを課題とする。より詳しくは、上記のように、既に重合した樹脂または固体に縮合剤を結合させずに、固体の縮合剤を提供することを課題とする。
本発明は、溶液中で、ハロゲン化シアヌルと(ポリ)エチレングリコールと反応させて個体のハロゲン化シアヌル誘導体を得、必要であれば、さらにアルキレンジアミンまたはトリス(アミノアルキル)アミンと反応させることにより得られる固体のハロゲン化シアヌル誘導体により上記の課題を解決する。
すなわち、本発明によれば、次の、式(I):
Figure 0004734587
[式中、R1は(ポリ)エチレングリコール残基を表し、X1およびX2はそれぞれ独立してハロゲン原子またはトリアルキル置換アミノ基(ここで、その2つのアルキル基は、それらが結合するアミノ基と共に、窒素原子または酸素原子を介するか、介さずに環構造を形成していてもよい)を表し、n1は1〜10000の整数を表す]、
式(II):
Figure 0004734587
[式中、R1、X1、X2およびn1は式(I)の化合物で定義したとおりであり、R2はアルキレン残基を表し、n2は1〜10000の整数を表す]、
式(III):
Figure 0004734587
[式中、R1、X1、X2およびn1は式(I)の化合物で定義したとおりであり、R2は式(II)の化合物で定義したとおりであり、n3は1〜10000の整数を表す]
または、式(IV):
Figure 0004734587
[式中、R1、X1、X2およびn1は式(I)の化合物で定義したとおりであり、R2およびn2は式(II)の化合物で定義したとおりであり、n3は式(III)の化合物で定義したとおりであり、n4は1〜10000の整数を表す]
で表される、固体のハロゲン化シアヌル誘導体が提供される。
本発明の固体のハロゲン化シアヌル誘導体は、溶液反応により製造できるので、収率が高く、製造が容易であり、かつ原料が一般的な化合物であるため、製造コストを低く抑えることができる。さらに、本発明による固体のハロゲン化シアヌル誘導体をアミド結合の形成反応に用いれば、反応後、単にろ過するだけで、縮合剤からアミド化合物を容易に分離でき、かつ高収率で得ることができるという利点がある。
したがって、本発明による固体のハロゲン化シアヌル誘導体は、アミド形成反応における縮合剤として、特に有用である。
本発明は、上記の式(I)〜式(IV)の固体のハロゲン化シアヌル誘導体、それらの製造方法およびその使用に関している。
すなわち、本発明は、式(V):
Figure 0004734587
[式中、Xは、ハロゲン原子を表す]
で表されるハロゲン化シアヌルに、(ポリ)エチレングリコールを反応させて、式(I):
Figure 0004734587
[式中、R1、X1、X2およびn1は上記で定義したとおりである]
で表される化合物を得、この式(I)の化合物において、X1とX2の何れか一つまたは両方がトリアルキル置換アミノ基である化合物が所望されるときには、さらにトリアルキル置換アミンを反応させることを特徴とする、上記式(I)で表される、固体のハロゲン化シアヌル誘導体およびその製造方法に関する。
また、本発明は、X1およびX2がハロゲン原子である式(I)の化合物に、アルキレンジアミンまたはトリス(アミノアルキル)アミンを別々にまたは一緒に反応させて、式(II):
Figure 0004734587
[式中、R1、R2、X1、X2、n1およびn2は上記で定義したとおりである]、
式(III):
Figure 0004734587
[[式中、R1、R2、X1、X2、n1、n2およびn3は上記で定義したとおりである]、
または、式(IV):
Figure 0004734587
[式中、R1、R2、X1、X2、n1、n2およびn3は上記で定義したとおりである]
で表される、固体のハロゲン化シアヌル誘導体を得、上記の式(II)、式(III)および式(IV)の化合物において、X1とX2の何れか一つまたは両方がトリアルキル置換アミノ基である化合物が所望されるときには、さらにトリアルキル置換アミンを反応させることを特徴とする、これらの式(II)、式(III)または式(IV)で表される、固体のハロゲン化シアヌル誘導体およびその製造方法に関する。
前記の式(I)の化合物の製造に際して、用いられるハロゲン化シアヌルとしては、フッ化シアヌル、塩化シアヌル、臭化シアヌルまたはヨウ化シアヌルが挙げられる。なかでも入手の容易性の点などから塩化シアヌルが好ましい。
また、前記の式(I)の化合物の製造に際して、用いられる(ポリ)エチレングリコールとしては、重合度が1〜10の(ポリ)エチレングリコールが挙げられる。中でも、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールが反応性の点で好ましい。
式(I)の化合物の製造の際の反応は、不活性ガス雰囲気下に行うのが好ましく、不活性ガスとしては、窒素ガスおよびアルゴンガスが挙げられる。
式(I)の化合物の製造に用いられる溶媒としては、不活性な溶媒、エーテル系溶媒が挙げられる。なかでも入手の容易性などの点から、テトラヒドロフランおよびジエチレングリコールジメチルエーテルが好ましく、特にそれらの無水溶媒が好ましい。
この反応は強塩基の存在下に行うことができ、強塩基としては、金属ナトリウム、水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カリウムなどが挙げられるが、取扱いの容易さの点から水素化ナトリウムが好ましい。
この反応は、通常−78℃〜溶媒の沸点の間の温度で行うことができるが、強塩基の添加時および塩化シアヌルの添加時は、−78℃〜室温の間の温度で行うのが好ましく、その後は、50℃〜溶媒の沸点の間の温度で行うのが好ましい。
前記の式(II)、式(III)および式(IV)の化合物の製造に際して、用いられるアルキレンジアミンまたはトリス(アミノアルキル)アミンのアルキレンとしては炭素数2〜10のアルキレン基が挙げられるが、入手の容易さの点からエチレン、プロピレンまたはブチレン基が好ましい。
これら式(II)、式(III)および式(IV)の化合物の製造に用いられる溶媒としては、不活性な溶媒、エーテル系溶媒が挙げられる。なかでも入手の容易性などの点から、テトラヒドロフランおよびジエチレングリコールジメチルエーテルが好ましく、特にそれらの無水溶媒が好ましい。
また、式(II)、式(III)および式(IV)の化合物の製造は、前記の式(I)の化合物の製造の際の反応条件と同様の条件下で行うことができる。
なお、式(II)、式(III)および式(IV)の化合物の製造に用いられる塩基としては、前記の塩基以外に、トリエチルアミンまたはN,N-ジイソプロピルエチルアミン等を用いることができる。
式(I)、式(II)、式(III)または式(IV)の化合において、X1とX2の何れか一つまたは両方がトリアルキル置換アミノ基である化合物が所望されるときには、X1とX2がハロゲン原子である式(I)、式(II)、式(III)または式(IV)の化合物と、トリアルキル置換アミンとを、前記のような不活性溶媒中で、撹拌するだけで得ることができる。
この反応は、室温で行うことができるが、冷却下または加熱下に行ってもよい。
上記のトリアルキル置換アミンとしては、脂肪族のトリアルキル置換アミン以外に、トリアルキル置換基のうち、その2つのアルキル基が、それらが結合するアミノ基と共に、かつ任意に窒素原子または酸素原子を介して環構造を形成していているトリアルキル環式アミンも挙げられる。
したがって、本発明におけるトリアルキル置換アミンとしては、N-メチル-N-ジアルキルアミン(ここで、ジアルキル基は互いに独立して、炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を意味するか、または互いに一緒になって環を形成していてもよく、該アルキル基はヒドロキシ基を有していてもよく、エーテル結合、アミド結合またはエステル結合を有していてもよい)あるいはN,N-ジメチルアルキルアミン(ここで、アルキル基は炭素数1〜12の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基またはシクロアルキル基を意味し、該アルキル基はヒドロキシ基を有していてもよく、エーテル結合、アミド結合またはエステル結合を有していてもよい)、N-メチルモルホリン、N-メチルピペリジン等が挙げられる。
なかでも、入手の容易性および反応性などの観点から、N-メチルモルホリンが好ましい。
本発明による化合物は何れも、溶媒中、カルボキシ基とアミノ基とを、室温で縮合させることができることを特徴とする。
本発明による式(I)、式(II)、式(III)および式(IV)の化合物において、X1とX2が共にハロゲン原子を表すか、または少なくともX2がハロゲン原子を表す場合には、式(I)、式(II)、式(III)または式(IV)の化合物は、例えばN-メチルモルホリンのような前記のトリアルキル置換アミンとの併用で、カルボキシ基とアミノ基の縮合反応における縮合剤として用いることができる。
また、本発明による式(I)、式(II)、式(III)および式(IV)の化合物において、X1とX2の何れか一つまたは両方が例えばN-メチルモルホリニオ基である場合には、式(I)、式(II)、式(III)または式(IV)の化合物は、そのままカルボキシ基とアミノ基の縮合反応における縮合剤として用いることができる。
これらの縮合反応において用いられる溶媒としては、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、メタノール、エタノール、酢酸エチル、アセトニトリルおよび水などが挙げられるが、縮合反応に要する時間およびアミド化合物の収率などの点から、塩化メチレンが好ましい。
また、別の観点によれば、本発明による式(I)、式(II)、式(III)および式(IV)の化合物において、X1とX2がハロゲン原子である式(I)、式(II)、式(III)または式(IV)のシアヌル誘導体は、アミン化合物の混合物の分離剤として用いることができる。
すなわち、1級または2級アミン化合物と3級アミン化合物との混合物に、上記の本発明によるシアヌル誘導体をアミン化合物の分離剤として用い、次いでアルカリ処理することにより、該アミン化合物の混合物から3級アミン化合物のみを効率よく単離できる。
より詳細には、上記の本発明によるシアヌル誘導体を、1級、2級および3級アミン化合物の混合物に加えると、1級および2級アミン化合物は、該シアヌル誘導体と不可逆的に結合するが、3級アミン化合物は該シアヌル誘導体と結合しても、アルカリ処理により遊離することができるので、アミン化合物の混合物からの3級アミン化合物の分離剤として好適に用いることもできる。
また、本発明によるシアヌル誘導体をアミン化合物の混合物の分離剤として用いる場合のアミン化合物としては、直鎖のアルキル置換アミン(ここで、アルキルは、炭素数1から20のアルキル基を意味する)以外に、シクロヘキシル置換アミンのような環式炭化水素置換アミンまたはベンジル置換アミンのような芳香族炭化水素置換アミンが挙げられ、いずれも無置換であっても置換されていてもよい。
さらに、上記の本発明によるシアヌル誘導体は、3級アミン化合物の混合物のうち、ジエチルモノ直鎖アルキルアミン(ここで、アルキルは上記の定義と同じである)およびモノメチルジエチルアミン(ここで、その2つのエチル基はそれらが結合するアミノ基と共に、窒素原子または酸素原子を介するか、介さずに環構造を形成していてもよい)と、例えばトリエチルアミンおよびジメチル分枝鎖アルキルアミンなどのようなそれ以外の3級アミンとの窒素原子の孤立電子対の配位性の違いにより、該アミン混合物の分離剤としても好適に用いることもできる。
以下の実施例は、本発明を説明するものであり、本発明を限定するものではない。
なお、実施例では、特に記載のない限り、以下の測定装置を用いた。
赤外吸収測定装置:ニコレット社製、FT-IR AVATER360
核磁気共鳴測定装置:ブルッカー社製、DPX400スペクトロメーター
質量分析装置:島津/クレイトス社製、レーザーイオン化飛行時間型質量分析装置AXIMA-CFRplus
電位差滴定装置:メトローム社製、Metrohm 794 Basic Titrino
実施例1(参考例1)
1がテトラエチレングリコール基である式(I)の化合物の合成
テトラヒドロフラン(THF)で洗浄した水素化ナトリウム(60%オイル分散型;9.11 g,実質量5.74 g, 228 mmol)の無水THF(40 ml)懸濁液に、窒素雰囲気下0℃で、テトラエチレングリコール(23.2 g, 119 mmol)を滴下し、同温度で1時間、さらに室温で1時間撹拌した。得られた反応混合物を-78℃に冷却し、塩化シアヌル(20.0 g, 109 mmol)の無水THF(70 ml)溶液を滴下した。次に、混合物を-78℃、-40℃、0℃および室温でそれぞれ1時間ずつ撹拌した後、乾燥ジエチレングリコールジメチルエーテル(4 ml)を加えた。混合物を50℃で1時間撹拌した後、125℃まで加熱し(この間にTHFを留去した)、この温度で16時間撹拌を継続した。反応終了後、反応混合物を0℃に冷却して30分放置した後、固体の化合物を吸引ろ取し、THF、水、THFで順次洗浄した。ろ取物を減圧乾燥して、クリーム色の目的物(14.8 g)を収率45%で得た。
1がテトラエチレングリコール残基である式(I)の化合物のIRスペクトルを図1に示す。
実施例1で得られた化合物の塩素量滴定
上記で得られた化合物(0.20 mmol, 62.0 mg)を蒸留水10mlに懸濁し、過剰量のN-メチルモルホリン(0.61 mmol, 61.6 mg)を加えて室温で1時間撹拌した。次に硝酸ナトリウム(1.01 mmol, 86.2 mg)を加えて室温で更に2時間撹拌した。得られた懸濁液に直接蒸留水40 mlを加えて0.01 mol/L硝酸銀水溶液により、電位差滴定装置を用いて滴定した。
結果:使用したポリマー(mol)=0.203 mmol
Cl (mol)=0.01 mol/L×f(1.00)×19.0 ml(滴定量) /1000=0.190 mmol
塩素量(%)=0.190/0.203×100=94%
有効塩素活性(mmol/g)=0.190 mmol/62 mg=3.07 mmol/g
であることが判った。
試験例1
実施例1で得られた化合物によるアミド結合の形成反応(以下の表1における試験例1.3)
実施例1で得られた化合物(0.41 mmol、126 mg、有効塩素活性=3.07 mmol/gを基準にして2.1当量)に3-フェニルプロピオン酸(0.19 mmol、29.1 mg、1当量)、DL-1-フェニルエチルアミン(0.19 mmol、23.5 mg、1.0当量)およびN-メチルモルホリン(NMM、0.41 mmol、41.7 mg、ポリマー塩素量と等モル)の塩化メチレン溶液を加え、室温で21時間撹拌した。反応混合物を吸引ろ過し、ろ取物を塩化メチレン-アセトン(1:1)とメタノールで順次洗浄し、ろ液と洗液を合わせて濃縮した。濃縮残渣をエーテルに溶解し、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液、1M塩酸、及び飽和食塩水で順次洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を、ヘキサン-酢酸エチル(1:1)混液を展開溶媒とする分取用TLCで精製して、対応する酸アミド(N-DL-1-フェニルエチル-3-フェニルプロパンアミド)の無色結晶44.2 mgを、収率90%で得た。
mp 50-51℃;IR (KBr, cm-1) 3260、1646、1557;1H NMR (CDCl3) δ(ppm):1.40 (d, 3H)、2.46-2.50 (m, 2H)、2.97 (t, J=7.5 Hz)、5.10 (q, J=7.2 Hz)、7.16-7.32 (m, 10H);LC/MS (m/z)=254 [(M+1)+]
同様に3-フェニルプロピオン酸およびDL-1-フェニルエチルアミンを用いて、種々の溶媒、上記の化合物の異なった使用量および反応時間に対して試験を行った結果を以下の表に示す。なお、得られた化合物は1H-NMRを測定してその構造を確認した。
Figure 0004734587
Figure 0004734587
実施例2(参考例2)
1がジエチレングリコール残基であり、n1が1である式(I)の化合物の合成
塩化シアヌル(20.0 g、108.5 mmol)の無水THF(58 ml)溶液に、窒素雰囲気下0℃でジエチレングリコール(5.76 g、54.2 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(14.0 g、108. 5mmol)の無水THF(7 ml)溶液を滴下した。同温度で20時間撹拌した後、不溶性の物質をろ別し、ろ液を濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出し、有機相を濃縮した。残渣をヘキサン-酢酸エチル(8:2)混液で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して、無色結晶の目的物(18.1 g)を収率83%で得た。
mp 82-83℃; 1H NMR (CDCl3) δ(ppm): 3.90-3.3.93 (m, 2H), 4.63-4.65 (m, 2H); LC/MS (m/z)=393(ジメトキシ体)[(M+1)+], 415[(M+Na)+]; 元素分析 理論値(C10H8Cl4N6O3): C; 29.88, H; 2.01, N; 20.90, Cl; 35.27、実測値: C;29.80, H; 2.13, N; 21.16, Cl; 35.35
1がジエチレングリコール残基であり、n1が1である式(I)の化合物のIRスペクトルを図2に示す。
実施例3(参考例3)
1がテトラエチレングリコール残基であり、n1が1である式(I)の化合物の合成
塩化シアヌル(17.0 g、92.2 mmol)の無水THF(50 ml)溶液に、窒素雰囲気下0℃で、テトラエチレングリコール(8.95 g、46.1 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(11.9 g、92.2 mmol)のTHF(6 ml)溶液を滴下した。同温度で27時間撹拌した後、不溶性の物質をろ別し、ろ液を濃縮した。残渣を酢酸エチルで抽出し、有機相を合わせて乾燥後に減圧濃縮した。残渣をヘキサン-酢酸エチル(8:2)混液で溶出するシリカゲルカラムクロマトグラフィーで分離し、無色油状の目的物(18.8 g)を収率83%で得た。
1H NMR (CDCl3) δ(ppm) 3.64-3.70 (m, 4H), 3.86-3.88 (m, 2H), 4.65-4.67 (m, 2H); LC/MS (m/z)=481(ジメトキシ体)[(M+1)+], 485(モノメトキシ体)[(M+1)+], 507[(M+Na) +]
元素分析 理論値(C14H16Cl4N6O5): C; 34.31, H; 3.29, N; 17.15, Cl; 28.93、実測値 C; 34.12, H; 3.39, N; 16.96, Cl; 28.72
1がテトラエチレングリコール残基であり、n1が1である式(I)の化合物のIRスペクトルを図3に示す。
実施例4
1がジエチレングリコール残基であり、n1が1であり、R2がエチレン残基である式(II)の化合物の合成
実施例2で得られた化合物(2.97 g、7.38 mmol)の無水THF(7 ml)溶液に、窒素雰囲気下-40℃でエチレンジアミン(0.44 g、7.38 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.86 g、22.1 mmol)の無水THF(3 ml)溶液を滴下し、同温度で2時間撹拌した。次いで、反応温度を-15℃前後に上げ24時間撹拌を継続した。得られた固体を吸引ろ取し、予め氷冷しておいた2-プロパノール、水、THFで順次洗浄し、減圧乾燥して、白色固体の目的物(1.68 g)を収率58%で得た。実施例1で得られた化合物と同様にして有効塩素活性を測定したところ、有効塩素活性は0.61 mmol/gであった。
1がジエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(II)の化合物のIRスペクトルを図4に示す。
実施例5
1がテトラエチレングリコール残基であり、n1が1であり、R2がエチレン残基である式(II)の化合物の合成
実施例3で得られた化合物(3.80 g、7.75 mmol)の無水THF(10 ml)溶液に、窒素雰囲気下-40℃で、エチレンジアミン(0.47 g、7.75 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.00 g、23.3 mmol)の無水THF(4 ml)溶液を滴下し、同温度で2時間撹拌した。次いで、反応温度を-15℃前後に上げ42時間撹拌を継続した。得られた固体を吸引ろ取し、予め氷冷していた2-プロパノール、水、THFで順次洗浄し、減圧乾燥して、淡黄色固体の目的物(2.53 g)を収率68%で得た。実施例1で得られた化合物と同様にして有効塩素活性を測定したところ、有効塩素活性は1.26 mmol/gであった。
IR: 3416 (NH), 1637, 1560, 1333, 1290, 1134, 1065, 806 (cm-1)
1がテトラエチレングリコール残基であり、n1が1であり、R2がエチレン残基である式(II)の化合物のIRスペクトルを図5に示す。
試験例2
実施例5で得られた化合物の分子量測定
実施例5において、反応混合物をろ過したろ取物およびろ液について、マルディ トフマス(MALDI TOFMS)により分子量測定を行った。
ろ取物を、2-プロパノール、水、THFで順次洗浄し、塩化メチレンで抽出し、塩化メチレン可溶画分の分子量測定を行ったところ、以下の構造式に相当する477のユニットで連続したピークが観測され、重合度が6〜14であり、当該重合反応が逐次型交互重合によることが確認された。
Figure 0004734587
また、ろ液を濃縮して得られた残渣を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチル可溶画分の分子量測定を行ったところ、2900および3377ユニットマスのピークが観測され、重合度が6および7であることが判明した。
上記の結果から、実施例5で得られた化合物は、重合度が少なくとも15以上であることが判明した。
試験例3
実施例5で得られた化合物を用いたアミド結合の形成反応
実施例5で得られた化合物(0.49 mmol、391 mg)に3-フェニルプロピオン酸(0.16 mmol, 24.6 mg)、DL-1-フェニルエチルアミン(0.16 mmol、19.9 mg)およびN-メチルモルホリン(0.74 mmol、74.6 mg)の塩化メチレン溶液を加えて室温で21時間撹拌した。反応混合物を吸引ろ過し、ろ取物を塩化メチレン-アセトン(1:1)およびメタノールで洗浄し、ろ液と洗液を合わせて濃縮した。残渣をエーテルに溶解して、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液、1M塩酸および飽和食塩水で順次洗浄し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を常法に従って、ヘキサン-酢酸エチル(1:1)混液を展開溶媒とする分取用TLCで精製して、対応する酸アミド(N-DL-1-フェニルエチル-3-フェニルプロパンアミド、30.5 mg)を収率74%で得た。
この化合物の1H-NMRを測定したところ標品と完全に一致した。
実施例6
1がジエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(III)の化合物の合成
実施例2で得られた化合物(4.10 g、10.2 mmol)の無水THF(8 ml)溶液に、トリス(2-アミノエチル)アミン(1.00 g、6.8 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(5.27 g、40.8 mmol)の無水THF(2 ml)溶液を-40℃で滴下し、そのまま1時間撹拌した。次いで、反応温度を0℃に上げ1.5時間撹拌し、更に室温で1.5時間撹拌した。得られた固体を吸引ろ過し、ろ取物をTHF、2-プロパノール、水、THFおよびジエチルエーテルで順次洗浄し、減圧乾燥して白色〜淡黄色固体である目的物(2.03 g)を収率47%で得た。実施例1で得られた化合物と同様にして塩素量および有効塩素活性を測定したところ、塩素量が27%で、有効塩素活性が1.26 mmol/gであった。
1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(III)の化合物のIRスペクトルを図6に示す。
実施例7
1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(III)の化合物の合成
実施例3で得られた化合物(3.07 g、6.26 mmol)の無水THF(4 ml)溶液に、トリス(2-アミノエチル)アミン(0.61 g、4.18 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.24 g、25.1 mmol)の無水THF(2 ml)溶液を-40℃で滴下し、そのまま1時間撹拌した。次いで、反応温度を0℃に上げ1.5時間、更に室温で1.5時間それぞれ撹拌した。得られた固体を吸引ろ過し、ろ取物をTHF、2-プロパノール、水、THFおよびジエチルエーテルで順次洗浄し、減圧乾燥して白色〜淡黄色固体である目的物(2.18 g)を収率68%で得た。実施例1で得られた化合物と同様にして塩素量および有効塩素活性を測定したところ、塩素量が75%で、有効塩素活性が2.91 mmol/gであった。
1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(III)の化合物のIRスペクトルを図7に示す。
試験例4
実施例7で得られた化合物を用いたアミド結合の形成反応
実施例7で得られた化合物(有効塩素活性で0.47 mmol、160 mg)に、3-フェニルプロピオン酸(23.3 mg、0.16 mmol)、DL-1-フェニルエチルアミン(18.8 mg、0.16 mmol)およびN-メチルモルホリン(47.1 mg、0.47 mmol)の塩化メチレン溶液を加え、室温で19時間撹拌した。反応混合物を吸引ろ過し、ろ取物を塩化メチレン-アセトン(1:1)混液で洗浄し、ろ液と洗液を合わせて濃縮した。残渣をエーテルに溶解して、水、炭酸ナトリウム水溶液、水、1M塩酸、水および飽和食塩水で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥して溶媒を減圧留去した。得られた残渣を試験例1と同様に精製して、対応する酸アミド(N-DL-1-フェニルエチル-3-フェニルプロパンアミド、32.2 mg)を収率82%で得た。
この化合物の1H-NMRを測定したところ標品と完全に一致した。
実施例8
1がテトラエチレングリコール残基である式(I)の化合物とN-メチルモルホリンとの反応
実施例1で得られた化合物(有効塩素活性3.07mmol/g、402 mg、1.23 mmol)をTHF(10 mL)に懸濁し、N-メチルモルホリン(399 mg, 3.94 mmol, 3.2eq)を室温で加え、20分間撹拌した。反応混合物を吸引ろ過し、ろ取物をTHFおよびエチルエーテルで洗浄し、乾燥してN-メチルモルホリンの付加体432.5 mgを収率82%で得た。
1がテトラエチレングリコール残基である式(I)の化合物とN-メチルモルホリンとの反応物のIRスペクトルを図8に示す。
試験例5
実施例8で得られた化合物を用いたアミド結合の形成反応
実施例8で得られた化合物(0.285 mmol、121.7 mg、有効塩素活性基準で2.34 mmolとして計算)に、3-フェニルプロピオン酸(0.150 mmol、22.5 mg)とDL-1-フェニルエチルアミン(0.150 mmol、18.1 mg)の塩化メチレン溶液を加え、室温で19時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、ろ取物を塩化メチレン-アセトンで洗浄し、ろ液と洗液を合わせて濃縮した。残渣をエーテルに溶解して、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液、1M塩酸および飽和食塩水で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、対応する酸アミド(N-DL-1-フェニルエチル-3-フェニルプロパンアミド) 21.4mgを収率56%で得た。この化合物の1H-NMRを測定したところ標品と完全に一致した。
実施例9
1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(IV) (n2:n3=1:1)の化合物の合成
実施例3で得られた化合物(4.00 g、8.16 mmol)の無水THF(4 ml)溶液に、窒素雰囲気下-40℃で、トリス(2-アミノエチル)アミン(0.48 g、3.26 mmol)、エチレンジアミン(0.20g、3.26 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(3.24 g、25.1 mmol)の無水THF(10 ml)溶液を滴下し、そのまま1時間撹拌した。次いで、反応温度を0℃に上げ1.5時間、更に室温で1.5時間それぞれ撹拌した。得られた固体を吸引ろ過し、ろ取物を無水THF、2-プロパノール、水、THFおよびジエチルエーテルで順次洗浄し、減圧乾燥して白色固体である目的物(2.56 g)を収率63%で得た。実施例1で得られた化合物と同様にして塩素量および有効塩素活性を測定したところ、塩素量が96%で、有効塩素活性が3.83 mmol/gであり、単位活性当たりの分子量は261であった。
1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(IV) (n2:n3=1:1)の化合物のIRスペクトルを図9に示す。
実施例10
1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(IV) (n2:n3=3:1)の化合物の合成
実施例3で得られた化合物(2.00 g、4.08 mmol)の無水THF(2 ml)溶液に、窒素雰囲気下-40℃で、トリス(2-アミノエチル)アミン(0.13 g、0.91 mmol)、エチレンジアミン(0.16g、2.72 mmol)およびN,N-ジイソプロピルエチルアミン(1.05 g、8.16 mmol)の無水THF(5 ml)溶液を滴下し、そのまま1時間撹拌した。次いで、反応温度を0℃に上げ1.5時間、更に室温で1.5時間それぞれ撹拌した。得られた固体を吸引ろ過し、ろ取物を無水THF、2-プロパノール、水、THFおよびジエチルエーテルで順次洗浄し、減圧乾燥して淡黄色固体である目的物(1.40 g)を収率70%で得た。実施例1で得られた化合物と同様にして塩素量および有効塩素活性を測定したところ、塩素量が81%で、有効塩素活性が4.08 mmol/gであり、単位活性当たりの分子量は303であった。
1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(IV) (n2:n3=3:1)の化合物のIRスペクトルを図10に示す。
試験例6
実施例9で得られた化合物を用いたアミド結合の形成反応
実施例9で得られた化合物(0.383 mmol、100 mg、有効塩素活性基準で3.83 mmolとして計算)に、3-フェニルプロピオン酸(0.191 mmol、28.7 mg)とDL-1-フェニルエチルアミン(0.191 mmol、23.2 mg)の塩化メチレン溶液を加え、室温で19時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、ろ取物を塩化メチレン-アセトンで洗浄し、ろ液と洗液を合わせて濃縮した。残渣をエーテルに溶解して、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液、1M塩酸および飽和食塩水で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、対応する酸アミド(N-DL-1-フェニルエチル-3-フェニルプロパンアミド) 42.8 mgを収率88%で得た。この化合物の1H-NMRを測定したところ標品と完全に一致した。
試験例7
実施例9で得られた化合物を用いたアミド結合の形成反応
実施例9で得られた化合物(0.383 mmol、100 mg、有効塩素活性基準で3.83 mmolとして計算)に、3-フェニルプロピオン酸(0.153 mmol、23.0 mg)とDL-1-フェニルエチルアミン(0.153 mmol、18.5 mg)の塩化メチレン溶液を加え、室温で19時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、ろ取物を塩化メチレン-アセトンで洗浄し、ろ液と洗液を合わせて濃縮した。残渣をエーテルに溶解して、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液、1M塩酸および飽和食塩水で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、対応する酸アミド(N-DL-1-フェニルエチル-3-フェニルプロパンアミド) 34.1mgを収率88%で得た。この化合物の1H-NMRを測定したところ標品と完全に一致した。
試験例8
実施例9で得られた化合物を用いたアミド結合の形成反応
実施例9で得られた化合物(0.383 mmol、100 mg、有効塩素活性基準で3.83 mmolとして計算)に、安息香酸(0.191 mmol、23.4 mg)とDL-1-フェニルエチルアミン(0.191 mmol、23.2 mg)の塩化メチレン溶液を加え、室温で19時間撹拌した。反応混合物を吸引濾過し、ろ取物を塩化メチレン-アセトンで洗浄し、ろ液と洗液を合わせて濃縮した。残渣をエーテルに溶解して、水、飽和炭酸ナトリウム水溶液、1M塩酸および飽和食塩水で順次洗浄した。有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して、対応する酸アミド(N-DL-1-フェニルエチル安息香酸アミド) 34.3 mgを収率80%で得た。この化合物の1H-NMRを測定したところ標品と完全に一致した。
試験例9
実施例9で得られた化合物を用いた、N,N-ジベンジルアミンおよびトリベンジルアミン混合物からの各アミンの分離
N,N-ジベンジルアミン(7.56 mg、38.3μmol)、トリベンジルアミン(11.01 mg、38.3μmol)、実施例9で得られた化合物(100 mg、0.383 mmol)および炭酸ナトリウム(40.6 mg、0.383 mmol)を用いたほかは、以下の試験例10と同様にして、N,N-ジベンジルアミン(1.21 mg)を含むトリベンジルアミン(11.61 mg)を収率105%で単離した。
なお、ここで得られたトリベンジルアミンの純度をNMRで測定したところ純度90%であった。
試験例10
実施例9で得られた化合物を用いた、N,N-ジメチルドデシルアミンおよびトリヘキシルアミン混合物からの各アミンの分離
N,N-ジメチルドデシルアミン(8.02 mg、37.6μmol)およびトリヘキシルアミン(10.1 mg、37.6μmol)の塩化メチレン-2-プロパノール(8:2、1 ml)混合溶液中に、実施例9で得られた化合物(100 mg、0.38 mmol)および炭酸ナトリウム(39.8 mg、0.38 mmol)を加え室温で3時間静置した。この混合物を吸引濾過に付し、得られたろ取物を塩化メチレン−2-プロパノール(8:2)混液および2-プロパノールで交互に3回ずつ洗浄した。合わせたろ液と洗液に炭酸ナトリウム(19.9 mg、0.19 mmol)を加え、10分間撹拌し、ろ過し、残渣をジエチルエーテルで洗浄し、ろ液を減圧濃縮し、減圧乾燥してトリヘキシルアミン(9.37 mg)を93%の収率で単離した。
一方、上記のろ過工程で得られたろ取物を、再び塩化メチレン-2-プロパノール(8:2、1 ml)混液に懸濁し、次いで安息香酸(229 mg、1.88 mmol)を加え、室温で2時間静置した。この混合物を吸引濾過に付し、ろ取物を塩化メチレン−2-プロパノール(8:2)混液および2-プロパノールで交互に3回ずつ洗浄した。合わせたろ液と洗液に炭酸ナトリウム(19.9 mg、0.19 mmol)を加え、上記と同様の操作に付し、N,N-ジメチルドデシルアミン(5.91 mg)を74%の収率で単離した。
なお、ここで得られたトリヘキシルアミンおよびN,N-ジメチルドデシルアミンの純度をNMRで測定したところそれぞれ純度100%であった。
本発明による固体のハロゲン化シアヌル誘導体は、カルボキシ基とアミノ基またはヒドロキシ基との縮合反応における縮合剤として用いることができ、反応後、単にろ過するだけで、縮合剤と目的物を容易に分離できるので、特に有用である。
1がテトラエチレングリコール残基である式(I)の化合物のIRスペクトルである(実施例1)。 1がジエチレングリコール残基であり、n1が1である式(I)の化合物のIRスペクトルである(実施例2)。 1がテトラエチレングリコール残基であり、n1が1である式(I)の化合物のIRスペクトルである(実施例3)。 1がジエチレングリコール残基でありR2がエチレン残基である式(II)の化合物のIRスペクトルである(実施例4)。 1がテトラエチレングリコール残基であり、n1が1であり、R2がエチレン残基である式(II)の化合物のIRスペクトルである(実施例5)。
1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(III)の化合物のIRスペクトルである(実施例6)。 1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(III)の化合物のIRスペクトルである(実施例7)。 1がテトラエチレングリコール残基である式(I)の化合物とN-メチルモルホリンとの反応物のIRスペクトルである(実施例8)。 1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(IV) (n2:n3=1:1)の化合物のIRスペクトルである(実施例9)。 1がテトラエチレングリコール残基であり、R2がエチレン残基である式(IV) (n2:n3=3:1)の化合物のIRスペクトルである(実施例10)。

Claims (10)

  1. 次の、式(II):
    Figure 0004734587
    [式中、R1は(ポリ)エチレングリコール残基を表し、X1およびX2はそれぞれ独立してハロゲン原子またはトリアルキル置換アミノ基(ここで、その2つのアルキル基は、それらが結合するアミノ基と共に、窒素原子または酸素原子を介するか、介さずに環構造を形成していてもよい)を表し、R2はアルキレン残基を表し、n1は1〜10000の整数を表し、n2は1〜10000の整数を表す]、
    式(III):
    Figure 0004734587
    [式中、R1、X1、X2およびn1は式(II)の化合物で定義したとおりであり、R2は式(II)の化合物で定義したとおりであり、n3は1〜10000の整数を表す]
    または、式(IV):
    Figure 0004734587
    [式中、R1、X1、X2およびn1は式(II)の化合物で定義したとおりであり、R2およびn2は式(II)の化合物で定義したとおりであり、n3は式(III)の化合物で定義したとおりであり、n4は1〜10000の整数を表す]
    で表される、固体のハロゲン化シアヌル誘導体。
  2. 請求項1に記載の式(II)、式(III)および式(IV)中のR1の(ポリ)エチレングリコール残基が、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコールまたはヘキサエチレングリコールの何れかであることを特徴とする、請求項1に記載の固体のハロゲン化シアヌル誘導体。
  3. 請求項1に記載の式(II)、式(III)および式(IV)中のR2のアルキレン残基がエチレン、プロピレンまたはブチレンの何れかであることを特徴とする、請求項1に記載の固体のハロゲン化シアヌル誘導体。
  4. トリアルキル置換アミノ基が、N−メチルモルホリニオ基である請求項1〜3のいずれか一つに記載の固体のハロゲン化シアヌル誘導体。
  5. ハロゲン化シアヌルに、(ポリ)エチレングリコールを反応させて、式(I):
    Figure 0004734587
    [式中、R1、X1、X2およびn1は上記で定義したとおりである]
    で表される化合物を得、この式(I)の化合物において、X1およびX2がハロゲン原子である化合物に、アルキレンジアミンまたはトリス(アミノアルキル)アミンを別々にまたは一緒に反応させて、式(II):
    Figure 0004734587
    [式中、R1、R2、X1、X2、n1およびn2は上記で定義したとおりである]
    式(III):
    Figure 0004734587
    [式中、R1、R2、X1、X2、n1、n2およびn3は上記で定義したとおりである]
    または、式(IV):
    Figure 0004734587
    [式中、R1、R2、X1、X2、n1、n2、n3およびn4は上記で定義したとおりである]で表されるハロゲン化シアヌル誘導体を得、これらの式(II)、式(III)および式(IV)の化合物において、X1とX2の何れか一つまたは両方がトリアルキル置換アミノ基である化合物が所望されるときには、さらにトリアルキル置換アミンを反応させることを特徴とする、請求項1に記載の固体のハロゲン化シアヌル誘導体の製造方法。
  6. トリアルキル置換アミンがN−メチルモルホリンである、請求項5に記載の固体のハロゲン化シアヌル誘導体の製造方法。
  7. ハロゲン化シアヌルに、(ポリ)エチレングリコールを反応させて式(II)、(III)または(IV)の化合物を得る反応が、溶液反応である、請求項5に記載の製造方法。
  8. 固体のハロゲン化シアヌル誘導体の製造に用いられる溶媒が、エーテル系溶媒から選択される請求項5に記載の製造方法。
  9. エーテル系溶媒が、テトラヒドロフランまたはジエチレングリコールジメチルエーテルである請求項8に記載の製造方法。
  10. 1 およびX 2 がハロゲン原子である請求項1〜3の何れか1つに記載の化合物の、アミド結合形成用縮合剤または第三級アミン化合物の単離剤としての使用。
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