JP4733863B2 - 内視鏡 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、挿入部に軟性な可撓管を有し、この可撓管内に少なくとも1つの細長なチューブ体を配置した内視鏡に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、細長の挿入部を体腔内に挿入することにより、体腔内臓器などを観察したり、必要に応じて処置具チャンネル内に挿通した処置具を用いて各種治療処置の行える医療用の内視鏡が広く利用されている。
【0003】
特に、医療分野で使用される内視鏡は、挿入部を体腔内に挿入して、臓器などを観察したり、内視鏡の処置具チャンネル内に挿入した処置具を用いて、各種治療や処置を行う。このため、一度使用した内視鏡や処置具を他の患者に再使用する場合、内視鏡や処置具を介しての患者間感染を防止する必要から、検査・処置終了後に内視鏡装置の洗滌消毒を行わなければならなかった。
【0004】
近年では、煩雑な作業を伴わず、滅菌後直ちに使用が可能で、ランニングコストが安価なオートクレーブ滅菌(高圧蒸気滅菌)が医療機器の消毒滅菌処理の主流になりつつある。
【0005】
このため、特開平10−276968号公報にはオートクレーブによる高圧蒸気滅菌を行った際、内蔵チューブが縮まず、十分な滅菌処理を繰り返し行うことができるように、流体又は処置具類を通すために内蔵される可撓性チューブとしてフッ素樹脂製チューブを用い、そのフッ素樹脂製チューブを内視鏡に組み込む以前にアニール処理した内視鏡が示されている。
しかしながら、前記チューブは、熱変形温度やガラス転移温度等の材質の違いや、チューブを形成する肉部を中実体にするか発泡体にするか等の構造の違いや、製造方法の違い等により、アニール処理の際に縮みきらせることが難しい。すなわち、非常に高温をかけなければ縮みきらないチューブもあれば、長時間に渡ってアニールが必要なチューブ等がある。これらのチューブでは、高圧蒸気滅菌工程よりも若干高い温度でアニール処理を行った場合でも、高圧蒸気滅菌工程が長期に渡って繰り返し行われることにより、チューブが所望の状態よりも縮んでしまうことがあった。
そして、チューブが所望の状態よりも縮んでしまうと、チューブ両端の接続部に無理な力が加わって破損の要因になったり、挿入部内でチューブが突っ張ることによって挿入部の先端側に設けた湾曲部の湾曲形状に不具合を発生させるおそれがあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記内視鏡は、長期に渡って高圧蒸気滅菌工程が繰り返し行われると、熱的負荷によって可撓管の外皮を形成する樹脂が変形し易い状態になり、ときには、高圧蒸気滅菌工程時の加圧工程によって、可撓管の内径が縮んでしまうおそれがあった。
【0007】
また、略チューブ状に形成されている外皮や、この外皮に内嵌している螺旋管や網状管が、製造時、拡径側に応力を与えられて形成されている場合には、螺旋管又は網状管の径が縮むことによって可撓管の内径が縮んでしまうことがある。万一、可撓管の内径寸法が縮むと、内蔵されているライトガイドや電気ケーブル、管路チューブなどが圧迫されて破損等の不具合が発生するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、高圧蒸気滅菌を繰り返し行った場合でも、可撓管の内径が縮む方向に変化して内蔵物に不具合が発生することを防止した内視鏡を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の内視鏡は、螺旋管と該螺旋管の外周に被覆された網状管とを具備する金属管と、無負荷状態から長手方向に延伸されることにより前記無負荷状態よりも縮径された前記金属管の外周に、一体的に嵌合された外皮層と、により形成された可撓管を具備し、前記金属管に対して、高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷により前記可撓管に加わる縮径方向への力に抗する前記無負荷状態における径まで戻ろうとする拡径方向の力が常に働いていることにより、前記可撓管は、熱的負荷後の常温時内径寸法が、熱的負荷を受ける前の常温内径寸法以上になるよう構成されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷によって、挿入部に内蔵されたチューブ体が収縮するとき、同時に可撓管はチューブ体の縮み量以上に縮むので、チューブ体と、このチューブ体が直接的又は間接的に固定された可撓管との長さ関係は初期状態と同様、若しくはチューブ体が弛む傾向になる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図8は本発明の一実施形態に係り、図1は内視鏡装置を説明する図、図2は可撓管の構成を説明する図、図3は可撓管内を挿通する内蔵物を説明する図、図4はチューブ体の挿入部配置状態を説明する図、図5はチューブ体の縮み量を説明する図、図6は可撓管の縮み量を説明する図、図7は可撓管の形成工程を説明する図、図8は可撓管の他の形成工程を説明する図である。
【0012】
なお、図7(a)は自然長さ状態の螺旋管と網状管とを組み合わせた組立体を示す図、図7(b)は所定長さ延伸させた組立体を示す図、図7(c)は延伸させた組立体に外皮層を被覆して形成した可撓管を示す図、図7(d)は高圧蒸気滅菌後の縮んだ状態の可撓管を示す図、図8(a)は自然長さ状態の螺旋管と網状管とを組み合わせた組立体を示す図、図8(b)は組立体に外皮層を設けた状態を示す図、図8(c)は外皮層で覆われた組立体を延伸させて形成した可撓管を示す図、図8(d)は高圧蒸気滅菌後の縮んだ状態の可撓管を示す図である。
【0013】
図1に示すように本実施形態の内視鏡装置1は、撮像手段を備えた電子内視鏡(以下内視鏡と記載する)2と、照明光を供給する光源装置3と、撮像手段を制御するとともに前記撮像手段から得られる信号を処理するビデオプロセッサ5と、このビデオプロセッサ5に接続されたモニタ6とで主に構成されている。なお、符号34はこの内視鏡2を収納する後述する滅菌用収納ケースである。
【0014】
前記内視鏡2は、細長で可撓性を有する挿入部7と、この挿入部7の基端部に連設する操作部8と、この操作部8の側方から延出する可撓性を有するユニバーサルコード9とで構成されている。
【0015】
前記ユニバーサルコード9の端部には前記光源装置3に着脱自在なコネクタ10が設けられている。このコネクタ10を光源装置3に接続することによって、光源装置3に備えられている図示しないランプからの照明光が内視鏡2の図示しないライトガイドを伝送されて観察部位を照射するようになっている。
【0016】
前記挿入部7と操作部8との接続部分には急激な曲がりを防止する弾性部材で構成された挿入部折れ止め部材12が設けられ、前記操作部8とユニバーサルコード9との接続部分には同様に操作部折れ止め部材13が設けられ、そしてユニバーサルコード9とコネクタ10との接続部分には同様にコネクタ折れ止め部材14が設けられている。
【0017】
前記内視鏡2の細長で可撓性を有する挿入部7は、先端側から順に硬性で例えば先端面に図示しない観察窓や照明窓などを配設した先端部17,複数の湾曲駒を連接して湾曲自在な湾曲部16、可撓性を有する可撓管15とを連設して構成されている。前記湾曲部16は、操作部8に設けられている湾曲操作ノブ30を適宜操作することによって湾曲し、観察窓等を配設した先端部17の先端面を所望の方向に向けられるようになっている。
【0018】
前記操作部8には前記湾曲操作ノブ30の他に先端面に設けた図示しない送気送水ノズルから前記観察窓に向けて洗滌液体や気体を噴出させる際の送気操作、送水操作を行う送気送水操作ボタン28及び先端面に設けた図示しない吸引口を介して吸引操作を行うための吸引操作ボタン29、前記ビデオプロセッサ5を遠隔操作する複数のリモートスイッチ31,…,31や内視鏡2の挿入部内に配置された処置具チャンネルに連通する処置具挿入口32が設けられている。
【0019】
前記コネクタ10の側部には電気コネクタ部11が設けられている。この電気コネクタ部11には前記ビデオプロセッサ5に接続された信号コードの信号コネクタ4が着脱自在に接続される。この信号コネクタ4をビデオプロセッサ5に接続することによって、内視鏡2の撮像手段を制御するとともに、この撮像手段から伝送される電気信号から映像信号を生成して、内視鏡観察画像を前記モニタ6の画面上に表示する。なお、電気コネクタ部11には内視鏡2の内部と外部とを連通する図示しない通気口が設けられている。このため、前記内視鏡2の電気コネクタ部11には前記通気口を塞ぐ圧力調整弁(不図示)を設けた圧力調整弁付き防水キャップ(以下防水キャップと略記する)33が着脱自在な構成になっている。
【0020】
また、このコネクタ10には光源装置3に内蔵されている図示しない気体供給源に着脱自在に接続される気体供給口金21や、液体供給源である送水タンク22に着脱自在に接続される送水タンク加圧口金23及び液体供給口金24、前記吸引口より吸引を行うための図示しない吸引源が接続される吸引口金25、送水を行うための図示しない送水手段と接続される注入口金26が設けられている。
【0021】
さらに、高周波処置等を行った際、内視鏡2に高周波漏れ電流が発生した場合、この漏れ電流を図示しない高周波処置装置に帰還させるためのアース端子口金27が設けられている。
【0022】
前記内視鏡2は、観察や処置に使用された際、洗滌後、高圧蒸気滅菌を行うことが可能に構成されており、この内視鏡2を高圧蒸気滅菌する際には前記防水キャップ33を電気コネクタ部11に取り付ける。
【0023】
そして、前記内視鏡2を高圧蒸気滅菌する際、この内視鏡2を滅菌用収納ケース34に収納する。この滅菌用収納ケース34は、ケース本体であるトレイ35と蓋部材36とで構成され、このトレイ35には内視鏡2の挿入部7、操作部8、ユニバーサルコード9、コネクタ10等の各部が所定の位置に収まるように内視鏡形状に対応した図示しない規制部材が配置されている。
また、これらトレイ35及び蓋部材36には高圧蒸気を導くための通気孔が複数形成されている。
【0024】
図2に示すように前記可撓管15は、最内層を構成する薄い帯状の金属片を螺旋状に巻いて形成した螺旋管37と、この螺旋管37の外周を覆うように設けられた金属素線を編み込んで又は非金属素線を編み込んで又はこれらを編み込んで管状に形成した網状管38と、この網状管38の外周を被覆するように一体に設けた外皮層39とを積層して形成されている。なお、前記外皮層39は例えば熱可塑性エラストマー等の樹脂材料で形成されている。
【0025】
図3に示すように前記可撓管15を含む挿入部7内には複数の細長な内蔵物が挿通されている。これら内蔵物は、前記湾曲操作ノブ30の操作によって進退移動して前記湾曲部16を例えば上下左右方向に湾曲動作させる金属製の湾曲操作ワイヤ40や、この湾曲操作ワイヤ40を遊嵌状態で覆う金属製のワイヤ被覆コイル41、照明光を供給するための光学繊維束からなるライトガイド42、PTFE等にて形成されたチューブ体である送気チューブ43及び送水チューブ44、処置具を挿通させるためのチャンネル及び流体の吸引管路を兼ねる処置具挿通チャンネルチューブ(以下、処置具用チューブと略記する)45、複数の電気ケーブル46等である。
【0026】
前記送気チューブ43、送水チューブ44、処置具用チューブ45は、挿入部7の両端に連設された操作部8、先端部17にそれぞれ設けられている接続部である後述する例えば接続パイプ18等に固定されている。
【0027】
図4に示すように例えば、前記処置具用チューブ45の一端は、先端部17に固定された接続パイプ18に接続固定されている。一方、前記処置具用チューブ45の他端は、前記処置具挿入口32を有する分岐部材19に接続固定されている。
【0028】
前記分岐部材19は、操作部8を介して可撓管15の基端に設けられた図示しない口金に一体的に固定され、前記先端部17は前記湾曲部16を介して可撓管15の先端に設けられた図示しない口金に一体的に固定されている。
【0029】
この固定状態で、例えば前記処置具用チューブ45が縮んでしまうと、先端部17を介して前記湾曲部16をいずれかの方向に湾曲動作させる力が作用する。すると、湾曲部16が意図しない方向に湾曲してしまったり、湾曲操作の際の操作力量が重くなる等の不具合が生じる。
【0030】
図5に示すように前記送気チューブ43、送水チューブ44、処置具用チューブ45は、内視鏡2が繰り返し高圧蒸気滅菌されることにより、この高圧蒸気滅菌工程の際の熱的負荷によって、初期状態長さに比べ、それぞれ長手方向に縮みが生じる。この縮み量は、送気チューブ43でX1、送水チューブ44でX2、処置具用チューブ45でX3である。
【0031】
なお、前記縮み量は、前記チューブ43,44,45が製造時、押し出し成形等の成形時に引っ張られた状態で成形されるためであり、熱的負荷によってこれらチューブ43,44,45が変形可能な状態になって応力が開放されて生じるものである。
【0032】
これらのことを考慮して、本実施形態の可撓管15では、高圧蒸気滅菌工程における熱的負荷が与えられた際の縮み量を、前記送気チューブ43、送水チューブ44、処置具用チューブ45の縮み量よりも大きくなるように設定している。
【0033】
そのため、図6に示すように高圧蒸気滅菌の熱的負荷による可撓管15の縮み量をYとしている。そして、このYと前記X1,X2,X3との間に以下の関係を設定している。
【0034】
Y≧X1,Y≧X2,Y≧X3
前記可撓管15と、チューブ43,44,45との間に、これらの関係を設定するため、まず、前記チューブ43,44,45に高圧蒸気滅菌の熱的負荷を与えた際の縮み量X1,X2,X3を予め測定、算出しておく。そして、その上で、前記可撓管15の縮み量Yがそれらチューブ43,44,45の縮み量X1,X2,X3よりもさらに縮むように可撓管15を形成する。
【0035】
ここで、可撓管15を形成する工程について説明する。
前記可撓管15の外皮層39を形成する樹脂材料は、使用する際の耐久性、体腔内への挿入性等、及び洗浄や消毒時に使用される薬剤等に対する耐性等の使用条件を考慮して選定される。本実施形態においては、前記外皮層39を形成する樹脂材料を選択する際、上述した使用条件に加えて、高圧蒸気滅菌の際の熱的負荷によって変形するような熱変形温度を有するものを選択する。なお、ここでは、前記熱的負荷によって樹脂が変形し得る温度を便宜的に熱変形温度Hと定義する。
【0036】
まず、外皮層39の樹脂材料を選択する際、一般的な高圧蒸気滅菌工程における温度の上限が140℃程度であるので、H≦140℃の樹脂材料である例えば、エステル系熱可塑性エラストマーを主成分するもので外皮層39を形成することにする。
【0037】
一方、前記可撓管15を構成する螺旋管37、網状管38については、可撓管形成状態において、これら螺旋管37、網状管38の自然長さ状態よりも延伸した状態にさせて組立てを行う。
【0038】
つまり、図7(a)に示すように、まず、螺旋管37と網状管38とを組み合わせた組立体50を形成する。そして、図7(b)に示すようにこの組立体50に軸方向の引っ張り力を加えて、自然長さ状態よりも長さZだけ延伸した組立体50aを形成する。このときの長さZは、可撓管15が高圧蒸気滅菌にて縮む量Y≧X1(≧X2,≧X3)の条件を満たす量であり、少なくともYより大きな値である。
【0039】
次に、図7(c)に示すように延伸された組立体50aを芯材にして、外皮層39を形成するための溶融した樹脂を押し出し成形して、この組立体50aを樹脂で被覆して、樹脂が硬化するのを待つ。そして、樹脂が硬化することによって、自然長さ状態よりもZだけ延伸した組立体50に外皮層39を被覆した所望の可撓管15が形成される。
【0040】
なお、図7(b)から先の工程としては、前記螺旋管37と網状管38との組立体50aに外皮層39となる樹脂製のチューブ体を被覆して可撓管15を形成するようにしてもよい。
【0041】
また、外皮層39を被覆する際、前記螺旋管37と網状管38とで構成された組立体50を軸方向の引っ張り力を加えて自然長さ状態よりも所定量延伸させた状態を保持して、外皮層39を押し出し成形で被覆して可撓管15を形成するようにしてもよい。
【0042】
さらに、前記外皮層39を構成する樹脂材料としては、アミド系熱可塑性エラストマー、スチレン系樹脂、フッ素系ゴム、或いはこれらをブレンドした樹脂材料の中から使用条件を満たす樹脂を選択するとよい。
【0043】
又、可撓管15、送気チューブ43、送水チューブ44、処置具用チューブ45は、これらの材質、構造、製造方法によって、縮むスピードが異なる場合がある。このため、内視鏡2の高圧蒸気滅菌への耐用例数分の負荷を与えた際の縮み量を基に設定することが望ましい。
【0044】
尚、本実施形態では挿入部7を構成する可撓管15についてのみ述べているが、ユニバーサルコード9を形成する可撓管とその内部に配設される図示しない送気チューブや送水チューブ、吸引チューブにおいて、同様の構成をとるようにしてもよい。
【0045】
上述のように構成した内視鏡2を高圧蒸気滅菌した際の作用を説明する。
まず、高圧蒸気滅菌の代表的な条件について説明する。
【0046】
代表的な条件としては米国規格協会承認、医療機器開発協会発行の米国規格ANSI/AAMI ST37−1992に、プレバキュームタイプで滅菌工程132°Cで4分、グラビティタイプで滅菌工程132°Cで10分とされている。
【0047】
高圧蒸気滅菌の滅菌工程時の温度条件については、高圧蒸気滅菌装置の形式や滅菌工程の時間によって異なるが、一般的には115°Cから138°C程度の範囲で設定される。滅菌装置の中には142°C程度に設定可能なものもある。
【0048】
時間条件については滅菌工程の温度条件によって異なる。一般的には3〜60分程度に設定される。滅菌装置の種類によっては100分程度に設定可能なものもある。
【0049】
そして、この工程での滅菌室内の圧力は一般的には大気圧に対して+0.2MPa程度に設定される。
【0050】
次に、一般的なプレバキュームタイプにおける内視鏡の高圧蒸気滅菌工程を簡単に説明する。
まず、滅菌対象機器である内視鏡2の電気コネクタ部11には防水キャップ33が取り付け、滅菌用収納ケース34に収容し、滅菌室内に配置する。前記電気コネクタ部11に防水キャップ33を取り付けたことにより、圧力調整弁が閉じた状態になって前記通気口を塞ぐ。すなわち、内視鏡2の内部と外部とが水密的に密閉される。そして、高圧滅菌工程前の滅菌室内を減圧状態(プレバキューム工程)にする。
【0051】
なお、このプレバキューム工程とは、滅菌工程時に滅菌対象機器の細部にまで蒸気を浸透させるための工程であり、滅菌室内を減圧させることにより、滅菌対象機器全体に高圧高温蒸気が行き渡るようになる。このプレバキューム工程における滅菌室内の圧力は、一般的に大気圧に対して−0.07〜−0.09MPa程度に設定される。
【0052】
しかし、プレバキューム工程において、滅菌室内の圧力が減少すると、内視鏡2の内部圧力に対して外部圧力が低くなって圧力差が生じる。すると、前記防水キャップ33の圧力調整弁が開いて、前記通気口を介して内視鏡2の内部と外部とが連通状態になる。このことによって、圧力差が大きく生じることを防ぐ。つまり、内視鏡2が内部圧力と外部圧力との圧力差によって破損することが防止される。
【0053】
次に、滅菌室内に高圧高温蒸気を送り込んで滅菌を行う(滅菌工程)。
この滅菌工程においては滅菌室内が加圧される。すると、内視鏡2の内部圧力より外部圧力の方が高くなるような圧力差が生じる。このため、前記防水キャップ33の圧力調整弁が閉じ、高圧蒸気が通気口を通過して内視鏡内部に侵入することを遮断する。
【0054】
しかし、高圧蒸気は、高分子材料で形成されている前記可撓管15の外皮層39や内視鏡2の外装体の接続部に設けられたシール手段であるフッ素ゴムやシリコンゴム等で形成されたOリング等を透過して内視鏡内部に徐々に侵入していく。
【0055】
このとき、内視鏡2の外装体にはプレバキューム工程で減圧された圧力と滅菌工程で加圧された圧力とが加算された、外部から内部に向けた圧力が生じた状態になる。
【0056】
次いで、滅菌後の滅菌対象機器を乾燥させるため、滅菌工程終了後、滅菌室内を再度減圧状態にして乾燥(乾燥工程)を行う。この乾燥工程では、滅菌室内を減圧して滅菌室内から蒸気を排除して滅菌室内の滅菌対象機器の乾燥を促進する。この乾燥工程における滅菌室内の圧力は一般的には大気圧に対して−0.07MPa〜−0.09MPa程度に設定される。なお、前記乾燥工程は必要に応じて任意に行うものである。
【0057】
滅菌工程後の減圧工程では、滅菌室内の圧力が減少して内視鏡2の内部圧力より外部圧力が低くなるような圧力差が生じる。この圧力差が生じると略同時に前記防水キャップ33の圧力調整弁が開き、通気口を介して内視鏡2の内部と外部とが連通状態になり、内視鏡内部と外部との間に大きな圧力差が生じることが防止される。そして、減圧工程が終了して、滅菌室内が加圧されて、内視鏡2の内部圧力よりも外部圧力の方が高くなるような圧力差が生じると前記防水キャップ33の圧力調整弁が閉じる。
【0058】
なお、高圧蒸気滅菌全工程終了時、内視鏡2の外装体には減圧工程で減圧された分、外部から内部に向けた圧力が生じた状態になる。そして、防水キャップ33を電気コネクタ部11から取り外すことにより、前記通気口によって内視鏡2の内部と外部とが連通して、内視鏡2の内部は大気圧となり、内視鏡2の外装体に生じていた圧力差による負荷がなくなる。
【0059】
上述のように構成した内視鏡2を、高圧蒸気滅菌にて繰り返し滅菌すると、熱的負荷によって送気チューブ43、送水チューブ44、処置具用チューブ45はそれぞれ、X1、X2、X3だけ縮む。
【0060】
これに対して、前記可撓管15は、高圧蒸気滅菌の熱的負荷が与えられると、外皮層39の温度が熱変形温度以上になって熱変形可能になる。すると、図7(d)に示すように外皮層39が縮む方向に変形するとともに、螺旋管37及び網状管38も縮む方向に変形する。このとき、螺旋管37及び網状管38が自然長さ状態よりZ(≧Y)だけ延伸して組み込まれているので、前記可撓管15は、全体としてYだけ縮むことになる。
【0061】
そして、これらチューブ43,44,45の縮み量X1、X2、X3と、可撓管15の縮み量Yとの間に、Y≧X1、Y≧X2、Y≧X3という関係が設定されているので、チューブ43,44,45が縮んでも、前記可撓管15はこれらチューブ43,44,45と同等又はこれら以上に縮む。したがって、前記送気チューブ43、送水チューブ44、処置具用チューブ45の長さ寸法が、間接的に固定された可撓管15に対して、相対的に短くなることが防止されて、常にチューブに弛みが生じている状態になる。
【0062】
このように、可撓管の縮み量と、挿入部に挿通配置されるチューブの縮み量との間に所定の関係を設定したことによって、繰り返し高圧蒸気滅菌を行った際、挿入部の中に挿通配置されたチューブが突っ張ることを防止することができる。
【0063】
このことによって、これらチューブの端部を固定する接続部に無理な力が加わることやチューブが疲労によって破損すること、湾曲操作時の湾曲部の形状に不具合が発生すること、操作力量が増大してしまう等の不具合がなくなる。
【0064】
また、送気チューブ、送水チューブ、処置具用チューブの間接的に固定された可撓管に対する弛み量が、所定の値よりも小さくなることが防止されるので、湾曲操作時や可撓管が曲げられた状態のとき、これら送気チューブ、送水チューブ、処置具用チューブが可撓管内を自由に進退してライトガイドや電気ケーブル等が圧迫されて破損することが防止される。
【0065】
これらのことにより、内視鏡内蔵物の耐久性が向上するとともに、内視鏡の操作性が向上する。
【0066】
なお、可撓管15を図8に示すように形成するようにしてもよい。
前記可撓管15を組み立てる際、まず、図8(a)に示すように螺旋管37と網状管38とを組み合わせた組立体50を形成する。そして、この組立体50を芯材にし、図8(b)に示すように外皮層39を形成するための溶融した樹脂を押し出し成形にて組立体50に被覆する。
【0067】
その後、前記外皮層39が冷却して完全に固化するまでの間、外皮層39を被覆させた組立体50に軸方向の引っ張り力を加え、自然長さ状態よりもZ(≧Y)だけ延伸させて保持する。このことにより、外皮層39が硬化することによって図8(c)に示すように自然長さ状態よりもZだけ延伸した組立体50に外皮層39が被覆された所望の可撓管15が形成される。
【0068】
このように形成した可撓管15に、高圧蒸気滅菌の熱的負荷が与えられると、外皮層39が熱変形温度以上の温度になって変形可能となる。すると、自然長さ状態より延伸して組み込まれていた螺旋管37、網状管38、外皮層39が縮み、可撓管15としては全体としてYだけ縮む。
【0069】
このように、可撓管を形成することによって、可撓管が縮む際、外皮層の自然長さ状態に対する圧縮量が前記第1実施形態に対して少ないので、外皮層内部にかかる圧縮応力を少なくして、外皮層すなわち可撓管の耐久性を向上させることができる。
【0070】
なお、前記送気チューブ43、送水チューブ44、処置具用チューブ45の何れか、又は全てを組立て前に、高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷と同様の温度の熱的負荷で、予めアニール処理して一定量縮ませておくようにしてもよい。このことによって、縮み量X1、X2、X3の絶対量が小さくなって、縮み量Yの範囲が広がって、可撓管15の材質、構造、製造方法の選択の自由度が増大する。加えて、縮み量Yも小さくできることにより、初期状態時と高圧蒸気滅菌時との変化量が少なくなる。
【0071】
また、上述とは逆に、内視鏡2の高圧蒸気滅菌に対する耐用例数の範囲において、Y≧X1、Y≧X2、Y≧X3の関係を満たす範囲で、可撓管15を予めアニールして一定量縮ませておくようにしてもよい。
【0072】
ところで、長期に渡って高圧蒸気滅菌工程が繰り返し行われると、熱的負荷によって可撓管の外皮を形成する樹脂が変形し易い状態になり、ときには、高圧蒸気滅菌工程時の加圧工程によって、可撓管の内径が縮んでしまうおそれがあった。
【0073】
また、略チューブ状に形成されている外皮や、この外皮に内嵌している螺旋管や網状管が、製造時、拡径側に応力を与えられて形成されている場合には、螺旋管又は網状管の径が縮むことによって可撓管の内径が縮んでしまうことがある。万一、可撓管の内径寸法が縮むと、内蔵されているライトガイドや電気ケーブル、管路チューブなどが圧迫されて破損等の不具合が発生するおそれがある。
【0074】
このため、高圧蒸気滅菌を繰り返し行った場合でも、可撓管の内径が縮む方向に変化して内蔵物に不具合が発生することを防止した、つまり、可撓管の内径寸法がそのままの状態、若しくは拡径状態になる内視鏡が望まれていた。
【0075】
このため、本実施形態においては、可撓管15が高圧蒸気滅菌の熱的負荷を受けた後、常温に戻った際の内径が、熱的負荷を受ける前の内径以上となるように可撓管を形成している。
【0076】
図9の可撓管の構成を説明する図を参照して本実施形態の可撓管の構成を説明する。
本実施形態体の可撓管15Aは、上述したように螺旋管37及び網状管38を製造工程時、自然長さ状態よりも延伸させたことにより、その構造上、内径寸法については自然状態のときよりも小さくなっている。すなわち、図に示すように、前記螺旋管37、網状管38は、可撓管形成状態のとき、自然長さ状態の内径寸法であるφDよりも小さなφdに縮径した状態で外皮層39と一体になってその状態が保持固定されている。
【0077】
したがって、可撓管15に高圧蒸気滅菌の熱的負荷が与えられると、外皮層39が熱変形温度以上の温度となって変形可能になる。また、この高圧蒸気滅菌の滅菌工程においては、グラビティタイプの滅菌装置では約0.2MPaの圧力が、プレバキュームタイプの滅菌装置では約0.3MPaの圧力が可撓管15の外部側から内部側に対して加わって、前記可撓管15を縮径させる方向の力が働く。
【0078】
しかしながら、自然状態に対して縮径して組み込まれている螺旋管37、網状管38では、自然状態に戻ろうとする力である拡径方向への力が常に働いているため、この力が前述した縮径させる方向の力に抗するため、前記加圧状態に内径が大幅に縮径することがない。加えて、前記加圧状態が終了すると、螺旋管37、網状管38には拡径方向の力のみが働き、可撓管15が冷却されると、外皮層39が変形不能になる。つまり、この状態で螺旋管37、網状管38、外皮層39は固定される。
【0079】
この際、前記外皮層39の冷却速度によって異なるが、螺旋管37、網状管38は高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷を受ける前の内径以上の内径に保持固定される。したがって、高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷を受けた後、常温時の可撓管15の内径寸法は、熱的負荷を受ける前の常温時の内径寸法以上になる。
【0080】
なお、プレバキュームタイプの滅菌工程の場合には、工程終了時には内視鏡内部の圧力が一般的には−0.09MPa程度の減圧状態に保たれているので、螺旋管37、網状管38には拡径方向に略0.09MPa以上の力が働くように、螺旋管37、網状管38を縮径させて可撓管15を形成することが望ましい。
【0081】
また、加圧状態における変形を考慮してグラビティタイプでは加圧時の+0.2MPa、プレバキュームタイプでは加圧時と減圧時との圧力差を考慮した、略0.29MPa(0.2+0.09)以上の力が拡径方向に働くように可撓管15を形成すれば、最も確実である。
【0082】
このように、予め螺旋管及び網状管を製造工程時に、自然長さ状態よりも延伸させておくことにより、この螺旋管及び網状管は自然状態に対して縮径して組み込まれるので、高圧蒸気滅菌時、常に拡径方向への力が働いて可撓管の内径が常温時の内径寸法以下になることを確実に防止することができる。
【0083】
このことにより、繰り返し高圧蒸気滅菌を行った際、可撓管の内径が小さくなって、内蔵されているライトガイドや、電気ケーブル、管路チューブが圧迫されて破損することが防止される。
【0084】
また、挿入部内の内蔵物の充填率が上がることが防止されることにより、適切なクリアランスが保持されて、内蔵物が挿入部内で自由に進退することができる。
【0085】
これらのことにより、可撓管の内径寸法が縮んで、内蔵物が破損することが防止されて耐久性の良い内視鏡が提供される。
【0086】
また、上述した図8に示した実施形態の可撓管では、前記螺旋管、網状管に加えて外皮層を、可撓管形成状態において自然長さ状態より延伸させているため、外皮層の内径も自然状態の内径よりも縮径した状態になっているので、同様の作用、効果がある。
【0087】
なお、前記螺旋管37を、可撓管形成状態において、図10の可撓管の他の構成を説明する図に示すように自然長さ状態と同じに構成するようにしてもよい。具体的に、本実施形態の可撓管15Bは、長さ寸法を自然長さ状態と同じに設定するために、隣り合う帯片の間隔P1が自然状態の間隔よりも狭いP2にするとともに、内径寸法を自然状態の内径φDより小さなφdとなるように縮径させた螺旋管37に、網状管38及び外皮層39を被覆して構成されている。
【0088】
このように可撓管15Bを構成することによって、高圧蒸気滅菌の熱的負荷が与えられると、外皮層39が熱変形温度以上の温度となって変形可能になることにより、螺旋管37に自然状態に復帰しようとする作用が働く。このため、高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷を受けた後の常温時の可撓管15は、内径寸法が熱的負荷を受ける前の常温時の内径寸法以上になるが、この際、隣り合う帯片の間隔が広がって全長については変化しない。
【0089】
このように、螺旋管を縮径させて、帯片の間隔を幅狭に構成したことによって、前記図9に示した可撓管の効果に加え、高圧蒸気滅菌によって可撓管の長さが縮むことをなくすことができる。
【0090】
なお、前記螺旋管と同様に、網状管を自然長さ状態と長さを変化させずに、編み込まれた隣り合う素線の間隔を自然長さ状態よりも短くして、自然状態よりも内径を縮ませた状態にして可撓管を構成するようにしても、同様の作用及び効果を得られる。
【0091】
また、上述した構成を、螺旋管を二重、或いは三重に組み合わせて構成される多層の螺旋管に用いるようにしてもよい。
【0092】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0093】
[付記]
以上詳述したような本発明の前記実施形態によれば、以下の如き構成を得ることができる。
【0094】
(1)挿入部を構成する樹脂製の外皮層を有する可撓管と、前記挿入部内を挿通する少なくとも1つの細長なチューブ体とを具備する内視鏡において、
前記可撓管の高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷を受けた後の縮み量を、前記チューブ体の高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷を受けた後の縮み量より大きく設定した内視鏡。
【0095】
(2)前記可撓管を、前記外皮層とこの外皮層の内周面側に一体的に配置される金属管とで構成し、
前記外皮層を熱変形温度が高圧蒸気滅菌工程において負荷される温度以下の樹脂にて形成し、
前記金属管を可撓管形成状態のとき、自然長さ状態よりも延伸させて形成した付記1記載の内視鏡。
【0096】
(3)前記金属管を、金属帯片で形成した螺旋管と金属細線で形成した編状管とで構成し、
この螺旋管又は網状管の少なくとも一方を、可撓管形成状態のとき自然長さ状態よりも延伸させて形成した付記2記載の内視鏡。
【0097】
(4)前記外皮層を熱変形温度が高圧蒸気滅菌工程において負荷される温度以下の樹脂にて形成し、この外皮層を可撓管形成状態のとき自然長さ状態よりも延伸させて形成した付記1記載の内視鏡。
【0098】
(5)前記チューブ体は、流体を移送する流体移送チューブ又は処置具挿通チャンネルを構成するいずれかのチャンネルチューブである付記1記載の内視鏡。
【0099】
(6)挿入部に、樹脂にて形成した外皮層とこの外皮層に一体的に内嵌された金属管とで構成される可撓管を具備する内視鏡において、
前記可撓管は、高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷を受けた後の常温時内径寸法が、熱的負荷を受ける前の常温時内径寸法より大きい内視鏡。
【0100】
(7)前記外皮層を、熱変形温度が高圧蒸気滅菌工程において負荷される温度以下の樹脂にて形成し、前記金属管は可撓管形成状態で自然状態よりも縮径させて形成した付記6記載の内視鏡。
【0101】
(8)前記金属管を、金属帯片から形成される螺旋管と金属細線から形成される網状管とで構成し、
この螺旋管又は網状管の少なくとも一方を可撓管形成状態で自然状態よりも縮径させた付記6記載の内視鏡。
【0102】
(9)前記外皮層を、可撓管形成状態で自然状態よりも縮径させた付記6記載の内視鏡。
【0103】
(10)前記金属管を、縮径状態のとき拡径側へ所定の力が働く力ように形成した付記6記載の内視鏡。
【0104】
(11)前記高圧蒸気滅菌工程における最高温度は、略115℃ないし略140℃の範囲である付記1又は付記6記載の内視鏡。
【0105】
(12)前記可撓管の外皮層を、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、スチレン系樹脂、フッ素系ゴム、シリコン系ゴム又はこれらをブレンドした樹脂部材の何れかで形成した付記1又は付記6記載の内視鏡。
【0106】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高圧蒸気滅菌を繰り返し行った場合でも、可撓管の内径が縮む方向に変化して内蔵物に不具合が発生することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図8は本発明の一実施形態に係り、図1は内視鏡装置を説明する図
【図2】可撓管の構成を説明する図
【図3】可撓管内を挿通する内蔵物を説明する図
【図4】チューブ体の挿入部配置状態を説明する図
【図5】チューブ体の縮み量を説明する図
【図6】可撓管の縮み量を説明する図
【図7】可撓管の形成工程を説明する図
【図8】可撓管の他の形成工程を説明する図
【図9】可撓管の構成を説明する図
【図10】可撓管の他の構成を説明する図
【符号の説明】
2…内視鏡
15…可撓管
37…螺旋管
38…網状管
39…外皮層
43…送気チューブ
44…送水チューブ
45…処置具用チューブ
代理人 弁理士 伊藤 進
Claims (5)
- 螺旋管と該螺旋管の外周に被覆された網状管とを具備する金属管と、
無負荷状態から長手方向に延伸されることにより前記無負荷状態よりも縮径された前記金属管の外周に、一体的に嵌合された外皮層と、
により形成された可撓管を具備し、
前記金属管に対して、高圧蒸気滅菌工程の熱的負荷により前記可撓管に加わる縮径方向への力に抗する前記無負荷状態における径まで戻ろうとする拡径方向の力が常に働いていることにより、前記可撓管は、熱的負荷後の常温時内径寸法が、熱的負荷を受ける前の常温内径寸法以上になるよう構成されていることを特徴とする内視鏡。 - 前記外皮層は、熱変形温度が前記高圧蒸気滅菌工程において負荷される温度以下の樹脂によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
- 前記可撓管は、前記外皮層が前記無負荷状態の前記金属管とともに前記無負荷状態から長手方向に延伸されることにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
- 前記高圧蒸気滅菌工程における最高温度は、115℃〜140℃の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
- 前記外皮層を、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー、スチレン系樹脂、フッ素系ゴム、シリコン系ゴム又はこれらをブレンドした樹脂部材の何れかで形成したことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡。
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