JP4733503B2 - 制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、電力系統から受電する電力需要家において、前記電力系統に連系して発電可能且つ当該発電出力を調整可能な発電装置と、前記電力系統に連系して蓄放電可能且つ当該蓄放電出力を調整可能な蓄放電装置との出力を制御する制御システムに関する。
電力系統から受電した電力を消費する電力負荷を有する電力需要家には、当該電力系統に連系して発電可能で、その発電出力を調整可能なコージェネレーション装置等の分散型発電装置が設置される場合がある。このようなコージェネレーション装置は、通常、電力需要家における電力需要や熱需要等に基づいて発電出力が制御されるように構成されている。
更に、電力需要家には、上記分散型発電装置以外に、当該電力系統に連系して蓄電又は放電を行う蓄放電装置が設置される場合がある。このような蓄放電装置は、通常、停電時に放電して電力需要家の電力負荷を賄うバックアップや、電力需要家の電力需要が大きいときに放電して受電電力のピーク値を低下させるピークカット等を行うように、蓄放電出力が制御されるように構成されている。
また、電力需要家には、太陽光や風力などの自然エネルギを利用して電力系統に連系して発電を行う自然エネルギ発電装置が設置される場合がある、このような自然エネルギ発電装置は、通常、発電出力は調整することができず、自然エネルギの変動に追従して発電出力が比較的頻繁に変動する。
そして、このような電力系統に連系する分散型発電装置の発電出力の変動により、電力系統に対する連系点での連系電力が変動すると、電力系統における電力の周波数(以下、「電力系統周波数」と記載する。)を基準周波数(50Hz又は60Hz)に安定させることができなくなるという問題が生じる場合がある。
そこで、この自然エネルギ発電装置としての風力発電装置の連系電力を安定化する方法として、電力系統に連系して蓄放電を行う蓄放電装置を設置し、風力発電装置の発電出力が所定値に対して超過する場合にはその超過分を蓄放電装置に蓄電し、逆に、当該発電出力が所定値に対して不足する場合にはその不足分を蓄放電装置から放電するという形態で、蓄放電装置の蓄放電出力を風力発電装置の発電出力の変動に基づいて変更する方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
特開平11−299106号公報
しかし、連系電力を安定化させるべく、蓄放電装置の蓄放電出力を発電装置の発電出力の変動に基づいて変更する方法では、蓄放電装置における蓄放電が発電出力の変動に応じて頻繁に行われることになり、蓄放電装置の蓄放電に伴う電力損失によるエネルギ効率の低下等の問題が生じる。
また、電力需要家に、発電出力を調整可能なコージェネレーション装置等の分散型発電装置が設置されている場合には、連系電力の変動に基づいて分散型発電装置の発電出力を制御することで、連系電力を安定化させることも考えられるが、この分散型発電装置の発電出力の頻繁な変更により、分散型発電装置自身の運転効率の低下を招き、更に、分散型発電装置の発電出力変更の応答性が比較的低いことから、充分に連系電力を安定化させることができない場合がある。
一方、当該電力系統に対して電力を供給する電気事業者が、電力需要家の連系点での連系電力の変動を許容し、自ら運営管理する調整用発電装置の発電出力の変更により、電力系統周波数の安定化を図るように構成する場合においても、その調整用発電設備の低応答性による電力系統周波数の不安定化及び調整用発電設備の維持管理コストが嵩む等の問題が生じる。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、電力系統に連系して発電可能且つ当該発電出力を調整可能な発電装置と、電力系統に連系して蓄放電可能且つ当該当該蓄放電出力を調整可能な蓄放電装置を設置した電力需要家において、電力需要家におけるエネルギ効率を良好なものに維持しながら、連系点での連系電力を良好に安定化させることができる制御システムを提供する点にある。
上記目的を達成するための本発明に係る制御システムは、電力系統から受電する電力需要家において、前記電力系統に連系して発電可能且つ当該発電出力を調整可能な発電装置と、前記電力系統に連系して蓄放電可能且つ当該蓄放電出力を調整可能な蓄放電装置との出力を制御する制御システムであって、
その第1特徴構成は、前記電力需要家の前記電力系統に対する連系点での連系電力を監視する連系電力監視手段と、
前記連系電力監視手段により監視される前記連系電力の変動を、所定の低周波数域での変動成分である低周波数変動成分と所定の高周波数域での変動成分である高周波数変動成分とに分解する変動成分分解手段と、
前記低周波数変動成分を補償するために変更させるべき第一出力変更目標値を、前記低周波数変動成分の大きさに基づいて、前記第一出力変更目標値による変更を行わない前記低周波数変動成分の大きさを示す不感帯と、前記第一出力変更目標値による変動幅の制限である変動許容範囲と、偏差を関数とする前記第一出力変更目標値の変化を表す変化率とを用いて導出し、前記発電装置の発電出力指令値に当該第一出力変更目標値を加算する形態で、前記発電装置の発電出力を当該第一出力変更目標値に基づいて変更する発電出力制御手段と、
前記高周波数変動成分を補償するために変更させるべき第二出力変更目標値を、前記高周波数変動成分の大きさに基づいて、前記第二出力変更目標値による変更を行わない前記高周波数変動成分の大きさを示す不感帯と、前記第二出力変更目標値による変動幅の制限である変動許容範囲と、偏差を関数とする前記第二出力変更目標値の変化を表す変化率とを用いて導出し、前記蓄放電装置の蓄放電出力指令値に当該第二出力変更目標値を加算する形態で、前記蓄放電装置の蓄放電出力を当該第二出力変更目標値に基づいて変更する蓄放電出力制御手段とを備えた点にある。
上記第1特徴構成によれば、上記発電出力制御手段により導出した第一出力変更目標値が、上記変動成分分解手段により電力系統に対する連系点での連系電力の変動から分解された低周波数変動成分を補償するように導出されたものであるので、その変動速度は比較的遅いものとなる。そして、上記発電出力制御手段により、応答性が比較的遅い発電装置の発電出力を、その比較的遅く変動する第一出力変更目標値に基づいて正確に変更することができる。
一方、上記蓄放電出力制御手段により導出した第二出力変更目標値が、上記変動成分分解手段により電力系統に対する連系点での連系電力の変動から分解された高周波数変動成分を補償するように導出されたものであるので、その変動速度は比較的速いものとなる。そして、上記蓄放電出力制御手段により、蓄放電出力の応答性が比較的速い発電装置の蓄放電出力を、その比較的早く変動する第二出力変更目標値に基づいて正確に変更することができる。
その結果、電力系統に対する連系点での連系電力の変動が、上記発電装置の第一出力変更目標値に基づく発電出力の変更、及び、上記蓄放電装置の第二出力変更目標値に基づく蓄放電出力の変更により、良好に補償されることになる。また、上記電力系統に対する連系点での連系電力の変動を分解して、発電装置及び蓄放電装置の両方の出力変更により補償することから、発電装置の発電出力の変更幅及び蓄放電装置の蓄放電出力の変更幅が共に比較的小さいものとなり、出力変更に伴うエネルギ効率の低下を抑制することができる。
従って、本発明により、電力系統に連系する発電装置と、電力系統に連系する蓄放電装置を設置した電力需要家において、電力需要家におけるエネルギ効率を良好なものに維持
しながら、連系点での連系電力を良好に安定化させることができる制御システムを実現することができる。
また、発電出力制御手段及び蓄放電出力制御手段は、第一出力変更目標値及び第二出力変更目標値の大きさを、発電出力指令値及び蓄放電出力指令値の大きさに応じて設定される変動許容範囲内であるような変動幅に制限している。その結果、本来出力されるように指令される発電出力指令値や蓄放電出力指令値に、この第一出力変更目標値や第二出力変更目標値を加算する程度であれば、コージェネレーション装置や蓄放電装置の設置者利益を損なうことなく、連系電力の安定化制御に貢献できる。
本発明に係る制御システムの第2特徴構成は、前記電力需要家に、自然エネルギを利用して前記電力系統に連系して発電を行う自然エネルギ発電装置が設けられている点にある。
上記第2特徴構成によれば、電力需要家に、太陽光発電装置や風力発電装置などのように、電力系統に連系される発電出力が太陽光や風力などの自然エネルギの変動に追従して比較的頻繁に変動する自然エネルギ発電装置が設置され、連系点での連系電力の変動が生じやすい場合でも、本発明の制御システムを好適に実施して、電力需要家におけるエネルギ効率を良好なものに維持しながら、連系点での連系電力を良好に安定化させることができる。
本発明に係る制御システムの第3特徴構成は、前記発電装置が、電力と熱とを併せて発生するコージェネレーション装置にて構成されている点にある。
上記第3特徴構成によれば、電力系統に連系して発電を行うコージェネレーション装置を用いて、需要家に対して電力と熱とを併せて供給しながら、上述のように連系点での連系電力の安定化を実現することができる。
以下に、本発明の実施の形態について図面に基づいて説明する。
図1に示す電力系統50から受電する電力需要家1においては、当該電力系統50に連系して発電を行う発電装置として、ガスエンジン発電装置や燃料電池などにより発電を行うと共に排熱を温水等として回収する形態で熱を発生可能なコージェネレーション装置20や、太陽光や風力等の自然エネルギを利用して発電する太陽光発電装置や風力発電装置等の自然エネルギ発電装置40が設置されている。
コージェネレーション装置20は、その発電出力を発電出力指令値に設定する形態で調整可能に構成されており、この発電電力は電力負荷45及び電力系統50の少なくとも一方に供給され、発生熱は、給湯装置、床暖房装置などの排熱利用式の熱負荷21に供給される。
一方、上記自然エネルギ発電装置40は、その発電出力は供給される自然エネルギの量に応じて変動するように構成されており、この発電電力も電力負荷45及び電力系統50の少なくとも一方に供給される。
また、この電力需要家1には、電力系統50に連系して蓄放電を行うことができ、その蓄放電出力を調整可能な蓄放電装置30が設置されている。
上記蓄放電装置30は、蓄放電出力を蓄放電出力指令値に設定する形態で調整可能に構成されており、電力負荷45及び電力系統50の少なくとも一方に放電したり、電力系統50からの受電電力やコージェネレーション装置20及び自然エネルギ発電装置40の発電電力を蓄電することができる。尚、上記蓄放電出力は、正の値の場合には放電電力を示し、負の値の場合には蓄電電力を示す。
また、コージェネレーション装置20や蓄放電装置30に対して外付けで制御システム10が追加されることで、後述する電力系統周波数の周波数制御に寄与するべく、電力需要家1の電力系統50に対する連系点2での連系電力を安定化させる機能が、コージェネレーション装置20及び蓄放電装置30に付加されている。
この制御システム10は、電力系統50に対する連系点2での連系電力(受電電力)を監視する連系電力監視手段11と、連系電力監視手段11により監視される連系電力の変動を、所定の低周波数域での変動成分である低周波数変動成分と、所定の高周波数域での変動成分である高周波数変動成分とに分解する変動成分分解手段12とを備える。
更に、制御システム10は、上記低周波数変動成分を補償するための第一出力変更目標値を導出し、コージェネレーション装置20の発電出力を当該第一出力変更目標値に基づいて変更する発電出力制御手段13と、上記高周波数変動成分を補償するための第二出力変更目標値を導出し、蓄放電装置30の蓄放電出力を当該第二出力変更目標値に基づいて変更する蓄放電出力制御手段14とを備える。
連系電力監視手段11は、上記コージェネレーション装置20及び上記蓄放電装置30が連系する連系点2(電力需要家1の電力系統50に対する受電点)での連系電力を監視して、その値を変動成分分解手段12に渡している。
変動成分分解手段12は、連系電力監視手段11により監視される連系電力の所定の単位時間における変動を、所定のバンドパスフィルタを用いて、所定の低周波数域での変動成分である低周波数変動成分と、所定の高周波数域での変動成分である高周波数変動成分とに分解する。
尚、上記所定の低波数域は、コージェネレーション装置20の発電出力の変更応答性に応じて設定された周波数範囲であって、例えば0.01HZ〜0.1HZの範囲程度に設定することができる。
また、上記所定の高周波数域は、上記低周波数域よりも高い側の周波数域で、且つ、蓄放電装置30の蓄放電出力の変更応答性に応じて設定された周波数範囲であって、例えば0.1HZ〜1HZの範囲程度に設定することができる。
尚、このような連系点2での連系電力の変動は、電力系統周波数の不安定化の要因となるが、この連系電力の変動を抑制するような制御を行えば、上記電力系統周波数の安定化に寄与することができる。
従って、発電出力制御手段13は、上記連系電力の変動から分解された低周波数変動成分の補償に寄与するべく、当該低周波数変動成分を補償するために変更させるべき第一出力変更目標値を導出して、例えばコージェネレーション装置20の発電出力指令値に当該第一出力変更目標値を加算する形態で、コージェネレーション装置20の発電出力を当該第一出力変更目標値に基づいて変更する。
一方、蓄放電出力制御手段14は、上記連系電力の変動から分解された高周波数変動成分の補償に寄与するべく、当該高周波数変動成分を補償するために変更させるべき第二出力変更目標値を導出して、例えば蓄放電装置30の蓄放電出力指令値に当該第二出力変更目標値を加算する形態で、蓄放電装置30の蓄放電出力を当該第二出力変更目標値に基づいて変更する。
また、上記連系電力の変動成分の大きさと、上記出力変更目標値との関係は、コージェネレーション装置20や蓄放電装置30に固有の特性や運転条件などに基づいて予め設定されている関係が用いられる。
例えば、図2に例示する連系電力の変動成分(低周波数変動成分、高周波数変動成分)と出力変更目標値との関係のグラフのように、出力変更目標値は変動成分の関数で表される関係にあり、変動成分の大きさが所定の不感帯:A1,A2を越えると、出力変更目標値が偏差を関数とする一定の変化率:C1,C2で変化する。この不感帯A1,A2の値と変化率:C1,C2の値とは、コージェネレーション装置20や蓄放電装置30に固有の特性や運転条件などに基づいて適宜設定される。
但し、コージェネレーション装置20にあっては、発電出力指令値によって指令された本来出力されるべき電力に比べて上記第一出力変更目標値の比率が大きくなると、発生する電力は、本来出力されるように指令された発電出力指令値から大きく変動して、このコージェネレーション装置20の設置者の利益を損なうことになってしまう。
尚、上記コージェネレーション装置20において、本来出力されるべき電力とは、例えば、電力負荷45の電力需要のできるだけ多くをコージェネレーション装置20の発電電力で賄うべく設定された電力である。
また、蓄放電装置30にあっても、蓄放電出力指令値によって指令された本来蓄放電されるべき電力に比べて上記第二出力変更目標値の比率が大きくなると、蓄放電する電力は、本来の蓄放電出力指令値から大きく変動して、この蓄放電装置30の設置者の利益を損なうことになってしまう。
尚、蓄放電装置30において、本来蓄放電されるべき電力とは、例えば、停電時に放電して電力需要家1の電力負荷45を賄うバックアップや、電力需要家1の電力需要が大きいときに放電して電力系統50からの受電電力のピーク値を低下させるピークカットを目的として設定された電力である。
そこで、発電出力制御手段13及び蓄放電出力制御手段14は、図2に示すように、上記第一出力変更目標値及び上記第二出力変更目標値の大きさを、発電出力指令値及び蓄放電出力指令値の大きさに応じて設定される変動許容範囲内であるような変動幅に制限している。
つまり、図2のグラフに示す変動許容範囲:B1,B2は、コージェネレーション装置20から提供される発電出力指令値や蓄放電装置30から提供される蓄放電出力指令値に応じて変動する値であり、例えば、発電出力指令値や蓄放電出力指令値の大きさの±3%の範囲などを設定することができる。
以上の結果、本来出力されるように指令される発電出力指令値や蓄放電出力指令値に、この第一出力変更目標値や第二出力変更目標値を加算する程度であれば、コージェネレーション装置20や蓄放電装置30の設置者利益を損なうことなく、連系電力の安定化制御に貢献できる。
以上のように、制御システム10は、電力系統50に対する連系点2での連系電力の変動を低周波数変動成分と高周波数変動成分とに分解した上で、低周波数変動成分及び高周波数変動成分とを各別に補償するための第一出力変更目標値及び第二出力変更目標値を導出し、低周波数変動成分を補償するように導出された第一出力変更目標値に基づいて比較的応答性が遅いコージェネレーション装置20の発電出力を変更し、一方、高周波数変動成分を補償するように導出された第二出力変更目標値に基づいて比較的応答性が速い蓄放電装置30の蓄放電出力を変更するという形態で、コージェネレーション装置20の発電出力及び蓄放電装置30の蓄放電出力が制御されることになる。
その結果、連系点2での連系電力は安定したものとなり、電力系統50における電力系統周波数の安定化に寄与することができる。
<別実施形態>
(1)
上記実施形態では、図2に示した変動許容範囲B1,B2として、コージェネレーション装置20及び蓄放電装置30の本来の発電出力指令値及び蓄放電出力指令値の±3%の値とする場合について例示したが、その±3%という比率を適宜変更して設定することができる。例えば、出力指令値の±5%の範囲を変動許容範囲として設定するような改変も可能である。また、その比率の大きさを固定値とするのではなく、出力指令値の大きさに応じて変化させても構わない。例えば、出力指令値が4000(kW)であるときの比率は±3%と設定し、出力指令値が5000(kW)であるときの比率は±4%とするような改変も可能である。
その際、比率を大きな値に設定して、変動許容範囲が大きくなることを許容すると、例えば、自らの電力負荷45に対するよりむしろ、連系点2での連系電力の変動を補償するためにコージェネレーション装置20及び蓄放電装置30が運用されることになり、コージェネレーション装置20及び蓄放電装置30の運転コストが嵩むという設置者の不利益が生じる。
他方で、変動許容範囲が大きいほど、連系電力の変動を補償する能力が大きくなる。従って、変動許容範囲は、コージェネレーション装置20及び蓄放電装置30の設置者の不利益にならない範囲で可能な限り大きく設定することが好ましい。
或いは、コージェネレーション装置20や蓄放電装置30の設置者の利益・不利益に拘わらずに変動許容範囲を設定しても構わない。そして、電力系統50を維持管理して、電力系統50での電力系統周波数を安定化させる電力会社などが、コージェネレーション装置20や蓄放電装置30の設置者による貢献度に応じて、設置者が被った不利益を金銭などにより補償するような仕組みを構築することもできる。
(2)
上記実施形態及び上記別実施形態では、発電出力制御手段13及び蓄放電出力制御手段14が、上記第一出力変更目標値及び上記第二出力変更目標値の大きさを、発電出力指令値及び蓄放電出力指令値の大きさに応じて設定される変動許容範囲内であるような変動幅に制限している構成について説明したが、本発明は上記構成に限定されない。例えば、発電出力制御手段13及び蓄放電出力制御手段14が、上記夫々の出力変更目標値の大きさを、定格出力に対して予め定めた割合(±3%、±5%など)の変動許容範囲内であるような変動幅に制限する構成にしてもよい。
(3)
上記実施形態では、図1に例示したように、コージェネレーション装置20に対して本来の発電出力指令値が与えられ、その発電出力指令値に対して第一出力変更目標値が加算されて、連系電力の低周波数変動成分を補償するような出力制御値を導出するような演算処理が行われる場合について説明したが、例えば、コージェネレーション装置20には熱負荷21が設けられているため、熱に関する発電出力指令値が与えられることもある。熱に関する発電出力指令値が与えられるとき、その熱発電出力指令値にしたがって運転を行ったときにコージェネレーション装置20から併せて出力される電力を発電出力指令値と見なすこともできるので、発電出力制御手段13は、コージェネレーション装置20から受け取った熱発電出力指令値を上記発電出力指令値に換算し、その発電出力指令値に対して、上記実施形態と同様の手法によって連系電力の低周波数変動成分を補償するような第一出力変更目標値を加算して、連系電力の安定化に貢献できるような制御が行われる。
(4)
上記実施形態において、図2に例示した連系電力の変動成分と出力変更目標値との関係を示すグラフでは、不感帯A1,A2、変動許容範囲:B1,B2、及び、変化率:C1,C2の夫々の値の絶対値を同じにした対称形状としているが、不感帯A1の値と不感帯A2の値は絶対値が異なっていてもよく、また、変動許容範囲B1の値と変動許容範囲B2の値、変化率C1の値と変化率C2の値とは絶対値が異なっていてもよい。また、不感帯A1,A2、変動許容範囲:B1,B2、及び、変化率:C1,C2の値は適宜設定可能であり、例えば、不感帯A1,A2を零にしてもよい。
また、不感帯A1,A2、変動許容範囲:B1,B2、及び、変化率:C1,C2の値が、時刻によって変動するように設定してもよい。例えば、コージェネレーション装置20に対する第一出力変更目標値については、朝と夕方に大きな電力を使用し、昼間にはほとんど電力を使用しない需要家の場合、自分自身がコージェネレーション装置20を使用する朝と夕方には、不感帯A1,A2を大きく、変動許容範囲:B1,B2を小さく、変化率:C1,C2を小さくすることで、連系電力の安定化にあまり寄与しないように設定し、自分自身がコージェネレーション装置20をほとんど使用しない昼間には、不感帯A1,A2を小さく、変動許容範囲:B1,B2を大きく、変化率:C1,C2を大きくすることで、連系電力の安定化に大きく寄与するように設定する形態が考えられる。
(5)
上記実施の形態では、コージェネレーション装置20の発電出力指令値、及び、蓄放電装置30の蓄放電出力指令値は、電力需要家1内の電力負荷45の電力需要に応じて設定したが、別に、これら出力指令値を、電力系統を管理する電気事業者が、電力系統に接続された電力需要家全体の電力負荷を考慮して設定するように構成しても構わない。
(6)
上記実施形態では、需要家に設けられる発電装置として、ガスエンジン発電装置などの発電機が設けられたコージェネレーション装置20を例に挙げたが、かかる発電装置としては、燃料電池などの他の発電機が設けられたコージェネレーション装置20や、熱を発生しない発電装置等の如何なる発電装置であってもよい。
本発明の制御システムは、電力系統に連系して発電可能且つ当該発電出力を調整可能な発電装置と、電力系統に連系して蓄放電可能且つ当該蓄放電出力を調整可能な蓄放電装置を設置した電力需要家において、電力需要家におけるエネルギ効率を良好なものに維持しながら、連系点での連系電力を良好に安定化させることができる制御システムとして有効に利用可能である。
電力系統の概略図 連系電力の変動成分と出力変更目標値との関係を示すグラフ
符号の説明
1:電力需要家
2:連系点
10:制御システム
11:連系電力監視手段
12:変動成分分解手段
13:発電出力制御手段
14:蓄放電出力制御手段
20:コージェネレーション装置(発電装置)
30:蓄放電装置
50:電力系統

Claims (3)

  1. 電力系統から受電する電力需要家において、前記電力系統に連系して発電可能且つ当該発電出力を調整可能な発電装置と、前記電力系統に連系して蓄放電可能且つ当該蓄放電出力を調整可能な蓄放電装置との出力を制御する制御システムであって、
    前記電力需要家の前記電力系統に対する連系点での連系電力を監視する連系電力監視手段と、
    前記連系電力監視手段により監視される前記連系電力の変動を、所定の低周波数域での変動成分である低周波数変動成分と所定の高周波数域での変動成分である高周波数変動成分とに分解する変動成分分解手段と、
    前記低周波数変動成分を補償するために変更させるべき第一出力変更目標値を、前記低周波数変動成分の大きさに基づいて、前記第一出力変更目標値による変更を行わない前記低周波数変動成分の大きさを示す不感帯と、前記第一出力変更目標値による変動幅の制限である変動許容範囲と、偏差を関数とする前記第一出力変更目標値の変化を表す変化率とを用いて導出し、前記発電装置の発電出力指令値に当該第一出力変更目標値を加算する形態で、前記発電装置の発電出力を当該第一出力変更目標値に基づいて変更する発電出力制御手段と、
    前記高周波数変動成分を補償するために変更させるべき第二出力変更目標値を、前記高周波数変動成分の大きさに基づいて、前記第二出力変更目標値による変更を行わない前記高周波数変動成分の大きさを示す不感帯と、前記第二出力変更目標値による変動幅の制限である変動許容範囲と、偏差を関数とする前記第二出力変更目標値の変化を表す変化率とを用いて導出し、前記蓄放電装置の蓄放電出力指令値に当該第二出力変更目標値を加算する形態で、前記蓄放電装置の蓄放電出力を当該第二出力変更目標値に基づいて変更する蓄放電出力制御手段とを備えた制御システム。
  2. 前記電力需要家に、自然エネルギを利用して前記電力系統に連系して発電を行う自然エネルギ発電装置が設けられている請求項1に記載の制御システム。
  3. 前記発電装置が、電力と熱とを併せて発生するコージェネレーション装置にて構成されている請求項1又は2に記載の制御システム。
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