JP4733302B2 - 車両用灰皿 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓋体の開閉操作に節度感を与えるとともに、閉止状態および開放状態に付勢力を付与する、いわゆる反転スプリングの組み付け操作が容易な車両用灰皿に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、蓋体の開閉操作に節度感を与えるとともに、閉止状態および開放状態に付勢力を付与する、いわゆる反転スプリングが採用された車両用灰皿が知られている(実開昭63−192143号公報参照)。この灰皿は、アウターケースと、このアウターケースに着脱自在に装着されるインナーケースと、アウターケースに支持軸回りに回動自在に軸支されてインナーケースの上部開口を開閉するリッドとを備えて構成されている。そして、このような灰皿のリッドとアウターケースとの間に上記反転スプリングが介設されている。
【0003】
かかる反転スプリングは、一方の端部がリッドに係止されているとともに、他方の端部にリング部が形成され、このリング部にビスを挿通してアウターケースの適所にビス止めすることにより、リッドとアウターケースとの間に装着されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の反転スプリングの介設構造においては、リング部をアウターケースに取り付けるためには、ドライバー等の工具を用いてビスを一々アウターケースに螺着しなければならず、この作業が面倒で灰皿の組み付け効率が劣るという問題点を有していた。
【0005】
本発明は、上記のような問題点を解消するためになされたものであり、反転スプリングの組み付け作業が容易であり、これによって灰皿の組み付け作業の効率化に寄与することができる車両用灰皿を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上面に開口を有する灰皿本体と、支持軸回りに正逆回動して上記灰皿本体の開口を開閉する蓋体と、この蓋体と上記灰皿本体との間に介設されて蓋体を閉止方向と開放方向とに交互に付勢する反転スプリングとを備えてなる車両用灰皿であって、上記反転スプリングは、一端が上記蓋体に係止されるとともに、他端にリング状に形成されたリング部を有している一方、上記灰皿本体には上記リング部を遊嵌する、軸心が上記支持軸と平行な軸部と、上記反転スプリングが軸部の軸心に直交する方向に付勢された状態で上記リング部が係合する係合溝部とが設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
この発明によれば、反転スプリングは、その一端を蓋体に係止し付勢力を効かせた状態で、その他端を灰皿本体の軸部に嵌め込むという簡単な操作を行うだけで反転スプリングの付勢力によりそのリング部が係合溝部に係合し、抜け止め状態で蓋体と灰皿本体との間に介設される。
【0008】
このように、リング部を軸部に嵌め込むというワンタッチ操作で反転スプリングを蓋体と灰皿本体との間に装着することが可能であるため、ビス止めで反転スプリングを灰皿に装着しなければならない従来の反転スプリングの介設構造に比べてその組み付けの作業性が格段に向上し、灰皿の組み付け効率が向上する。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、上記軸部は、上記係合溝部に対向した部分が少なくとも上記リング部が通過し得るように切り欠かれた切欠き部を有していることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、軸部と係合溝部とを可能な限り接近させた状態であっても、軸部に設けられた切欠き部の存在により、リング部の軸部への嵌め込み操作を容易にした上で、一旦軸部に遊嵌されたリング部の外れ止めが確実に行われる。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、上記軸部は、上記リング部に外接する部分が円弧状であることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、軸部は、反転スプリングのリング部に外接する部分が円弧状であるため、リッドの開閉をスムーズに行える。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の車両用灰皿の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図であり、図2は、その組立て斜視図である。また、図3は、図2のA−A線断面図であり、図4は、図2のB−B線断面図である。これらの図に示すように、車両用灰皿10は、車室内において図略の車体の適所に固定されるアウターケース20と、このアウターケース20に着脱自在に装着される灰皿本体としてのインナーケース30と、このインナーケース30の上面開口に対して開閉自在にアウターケース20に取り付けられる蓋体としてのリッド40と、上記アウターケース20に装着されるランプケース50とを備えた基本構成を有している。
【0014】
上記アウターケース20およびこのアウターケース20に装着されたインナーケース30とによって本発明に係る灰皿本体が形成されている。
【0015】
上記アウターケース20は、合成樹脂を原料にした射出成形品によって形成されており、幅方向一対の側板21と、各側板間の前方位置に架設された前板22と、各前板22間の後方位置に架設された後板23と、これら側板21、前板22および後板23に囲繞された枠の底部を覆う底板24とからなっている。
【0016】
かかるアウターケース20は、図1における左右方向の略中間位置で仕切壁25によって左右に二分され、この仕切壁25の左方位置にインナーケース30を収納するためのインナーケース収納部201が形成されているとともに、仕切壁25の右方位置にライター装着部202が形成されている。ライター装着部202に装着される図略のランプは、リッド40が開放されたときにライターの位置が暗中でもわかるように点灯されるものである。これに対し、上記ランプケース50に装着されるランプは、インナーケース30内のみを対象として照らすものである。
【0017】
上記前板22は、中央部が上方に膨出した状態で上縁面が面一に形成されているとともに、インナーケース収納部201に対応した第一前板22aと、ライター装着部202に対応した第二前板22bとに分けられている。そして、第一前板22aは、上下寸法が第二前板22bのそれより長尺に設定され、これによってインナーケース収納部201側の第一底板24aは、ライター装着部202側の第二底板24bより低位に高さ設定され、これによってインナーケース30を全体的にインナーケース収納部201内に嵌め込み得るようになっている。
【0018】
また、後板23の上部には、物落ち防止壁26が設けられ、これによってリッド40の上に乗せた小物がリッド40を開いたときに、車両用灰皿10を取り付けているパネル内に落ち込むのを防止している(図4参照)。
【0019】
上記物落ち防止壁26は、図4に示すように、その上縁部から後方(図4の左方)に向けて逆への字状に延設されて、後板23と直交する第一庇部26bと、この第一庇部26bから先下がりに斜め後方に延設された第二庇部26cとからなり、これら第一および第二庇部26b,26cと後板23との間に上記ランプケース50を装着するためのランプケース装着空間267が形成されている。
【0020】
そして、後板23の上部位置であって、第二庇部26cの上部に対向した位置には、第一庇部26bの図1における右縁部を切り欠いて下方に延びた方形の明り窓23aが設けられている。ランプケース50内のランプから照射された光は、この明り窓23aを通ってインナーケース30内を照らすようになっている。
【0021】
また、上記第一前板22aの中央上部には、上下方向に長尺の長孔22cが穿設されている。この長孔22cは、インナーケース収納部201に対してインナーケース30を着脱したときに操作者にクリック感を与えるための板ばね28を装着するためのものである。上記板ばね28は、図4に示すように、下部が逆U字形状に折り曲げられて形成した逆U字部28aと、この逆U字部28aの図4における右端部から上方に向けて延設されたばね本体28bと、このばね本体28bの上部にインナーケース収納部201内に向かうように形成されたV字形状のV字部28cとから構成されている。
【0022】
そして、上記逆U字部28aは、溝幅寸法が第一前板22aの厚み寸法より幅狭に形成されている。板ばね28は、かかる逆U字部28aを長孔22cの下縁部に圧入することにより、V字部28cが長孔22cを通ってインナーケース収納部201内に没入するように寸法設定されている。
【0023】
また、各側板21の前方位置上縁部および前板22の上縁部には、リッド40が閉止された状態でその側縁部および前縁部が対向するように外方に突出したパネル取付け突部29aとフランジ部29bとが設けられている。このパネル取付け部29aは、アウターケース20を図略の車体のパネルに装着したときの抜け止めの役割を果すとともに、フランジ部29bは、リッド40が開放された状態でのアウターケース20の見栄えを良好なものにするためのものである。
【0024】
また、上記各側板21には、その後方上部に互いに反対方向に向けて突出したリッド支持軸21aがそれぞれ突設されている。リッド40は、このリッド支持軸21a回りに正逆回動操作することにより、図5の(イ)に示すインナーケース30の上部開口を閉じた閉止姿勢と、図5の(ロ)に示すインナーケース30の上部開口を開放した開放姿勢との間で姿勢変更し得るようになっている。
【0025】
上記インナーケース30は、合成樹脂製の射出成形品によって形成され、インナーケース収納部201の空間形状に対応した立体形状を有する箱型の灰皿本体31と、この灰皿本体31の上縁部の全周から外方に向かって所定寸法突出したフランジ部32とからなっている。そして、灰皿本体31をインナーケース収納部201内に収納することにより、フランジ部32がアウターケース20のセット面67およびリブ68に当接し、これによってインナーケース30のアウターケース20に対する装着状態が安定するようにしている。
【0026】
また、フランジ部32の前方右縁部には、図1に示すように、右方に向けて突出した操作突片32aが設けられている。この操作突片32aは、インナーケース収納部201に装着されているインナーケース30(図2)を引き出すために用いるものであり、この操作突片32aに下から人差指を当てて上方に向けて操作することにより、インナーケース30をアウターケース20から容易に抜き出すことができる。
【0027】
このようなインナーケース30には、灰皿本体31の前板31aの中央位置に上記板ばね28のV字部28cに対応した側面視で山形を呈する係止突片31bが設けられている。この係止突片31bは、インナーケース30がアウターケース20のインナーケース収納部201内に装着された状態で、図4に示すように、板ばね28のV字部28cの下部に位置するように位置設定されている。
【0028】
従って、振動等によるインナーケース30のアウターケース20からの飛び出しが有効に抑止される一方、板ばね28の付勢力より大きな力でインナーケース30に引き出し方向に向かう力を加えることによりばね本体28bが弾性変形して係止突片31bが長孔22cの方向に移動し、係止突片31bの先端がV字部28cの頂部を乗り越えるときに操作者にクリック感を与えながらインナーケース30はインナーケース収納部201から引き出されることになる。
【0029】
逆にインナーケース30をアウターケース20に収納するに際しても、係止突片31bが板ばね28に対して引き出し時と同様の作用を及ぼすため、操作者はクリック感を受けつつインナーケース30がアウターケース20内に収納されることになる。
【0030】
また、灰皿本体31の後板31cには、上記アウターケース20の後板23の明り窓23aに対応した位置に、図4に示すように、明り取り用の貫通孔31dが穿設されているとともに、この貫通孔31dに赤色透明板33が嵌め込まれている。従って、ランプケース50内のランプの光は、明り窓23a、貫通孔31dおよび赤色透明板33を通って赤色になってインナーケース30内に差し込むことになる。
【0031】
上記リッド40は、合成樹脂製の射出成形品によって形成され、平面視でアウターケース20に対向した形状を有するリッド本体41と、このリッド本体41の後方両側部から下方に向けて垂設された左右方向一対のブラケット42と、リッド本体41の裏面側に上記インナーケース収納部201に対向して積層された煙漏洩防止ゴム43とからなっている。
【0032】
各ブラケット42には、アウターケース20の各側板21のリッド支持軸21aに対応した位置に当該リッド支持軸21aを摺接状態で嵌入するための装着孔42aが穿設され、これらの装着孔42aを対応したリッド支持軸21aに外嵌することによって、リッド40は、リッド支持軸21a回りに回動自在に正逆回動可能にアウターケース20に装着され、図5の(イ)に示す閉止姿勢と、図5の(ロ)に示す開放姿勢との間で姿勢変更し得るようになっている。
【0033】
そして、リッド40が閉止姿勢に姿勢設定された状態では、図3に示すように、煙漏洩防止ゴム43の周縁部がインナーケース30のフランジ部32に当接し、これによってインナーケース30内の燃え残りの煙草からの煙が外部に漏れ出すのを防止するようになされている。
【0034】
上記ランプケース50は、インナーケース30内を照らすランプLを収納するためのものであり、合成樹脂製の射出成形品によって形成されている。かかるランプケース50は、図1および図4に示すように、上部が先細りに形成されているとともに、図4における右面が開放状態とされた箱体によって構成され、上半分の後方縁部が前方に向かって傾斜した左右一対の側板51と、これら一対の側板51の後方縁部間に架設された背面板52と、各側板51の下端縁部間に架設された底板53と、各側板51の前縁上部間に前方に向けて突出するように架設された左右方向に延びる突設板54とからなっている。
【0035】
上記底板53には、ランプLに電力を供給するリード線を挿通するための挿通孔53aが穿設されている。また、上記突設板54は、左右幅寸法がアウターケース20の後板23に設けられた明り窓23aの左右幅寸法より僅かに短く寸法設定されているとともに、上下幅寸法が後板23の肉厚寸法とほぼ同一に設定されているとともに、上記側板51は、その上部の傾斜した部分が第一庇部26bに合致するように寸法設定されている。
【0036】
従って、ランプケース50を、図4に二点鎖線の矢印で示すように、下方からアウターケース20のランプケース装着空間267に差し入れ、かつ、突設板54を明り窓23aに潜らせることにより、突設板54がアウターケース20の第一庇部26bの前縁部に係止され、かつ、背面板52の外面が第一庇部26bの下面に密着した状態でランプケース50がアウターケース20のランプケース装着空間267に装着される。
【0037】
この状態で、側板51から突設されたねじ座51a(図1)を介してランプケース50を後板23の適所にねじ止めすることにより、図4に示すように、ランプケース50がアウターケース20のランプケース装着空間267に装着された状態になる。
【0038】
また、背面板52の上半分は、内面側が反射板52aとして利用され、ランプLから照射された光は、この反射板52aによって90度で反射されたのちアウターケース20の明り窓23a、インナーケース30の貫通孔31dおよび同赤色透明板33を透過してインナーケース30内を照明するようになっている。
【0039】
このように構成された車両用灰皿10は、リッド40の閉止姿勢および開放姿勢を安定させるための付勢構造60を有している。この付勢構造60は、図1に示すように、図1における左側の側板21の略中央部に突設された左右方向に延びる装着軸61と、リッド40の左側のブラケット42下端部より若干後方よりの位置に穿設された装着孔62と、この装着孔62と上記装着軸61との間に架設されるコイルスプリング(反転スプリング)63とを備えて構成されている。
【0040】
コイルスプリング63は、針金状のばね材が巻かれて形成したコイル部63aと、このコイル部63aの一端から接線方向に引き出された第一腕部63bと、同他端から接線方向に引き出された第二腕部63cとからなっている。第一腕部63bの先端部には、当該先端部を輪状に巻くことによって形成された係止環(リング部)63dが設けられているとともに、第二腕部63cの先端部には、当該先端部を側板21の方向に向けて直角に折り曲げることによって形成された係止端63eが設けられている。
【0041】
そして、リッド40がブラケット42を介してアウターケース20に装着された状態で、係止環63dを装着軸61に外嵌するとともに、係止端63eを装着孔62に嵌入することによって、コイルスプリング63がリッド40に付勢力を与えた状態でアウターケース20とリッド40との間に介設されるようになっている。
【0042】
また、ブラケット42に穿設された装着孔62は、図5の(イ)に示すように、リッド40が閉止姿勢に姿勢設定された状態で、アウターケース20のリッド支持軸21aの軸心と、同装着軸61の軸心とを結ぶ線(架橋線X)より後方位置であって、かつ、リッド支持軸21aより下方位置に位置する一方、図5の(ロ)に示すように、リッド40が開放姿勢に姿勢設定された状態で、架橋線Xより前方位置で、かつ、リッド支持軸21aより下方位置に位置するように設置位置が設定されている。
【0043】
従って、リッド40が、図5の(イ)に示すように、閉止姿勢に姿勢設定された状態では、ブラケット42は、コイルスプリング63の付勢力によってリッド支持軸21a回りに時計方向に向かう力を受けるため、ブラケット42と一体のリッド40はアウターケース20に装着されたインナーケース30のフランジ部32に押圧当止し、これによってリッド40の閉止姿勢が安定する。
【0044】
逆に、リッド40が、図5の(ロ)に示すように、開放姿勢に姿勢設定された状態では、ブラケット42は、コイルスプリング63の付勢力によってリッド支持軸21a回りに反時計方向に向かう力を受けるため、ブラケット42と一体のリッド40の前端縁部はアウターケース20の第一庇部26b(図4)に押圧当止し、これによってリッド40の開放姿勢が安定する。
【0045】
そして、リッド40の姿勢変更操作を行うに当たっては、装着孔62が架橋線Xに到達するまでは付勢構造60の付勢力に抗し得る力をリッド40に加える必要があるのに対し、装着孔62が架橋線Xを越えるとコイルスプリング63の付勢力によってリッド40はリッド支持軸21a回りに自然と回動するため、操作者はこのときクリック感を得ることができる。
【0046】
そして、本発明においては、付勢構造60を特別に工夫したことにより、コイルスプリング63のリッド40とアウターケース20との間の組む付け作業が従来に比べて格段に効率化されている。図6は、コイルスプリング63の組付け構造の一実施形態を示す図であり、(イ)は斜視図、(ロ)は係止環63dが装着軸61に遊嵌された直後の状態を示す正面図、(ハ)は係止環63dが装着軸61に遊嵌された状態でコイルスプリング63の付勢力が発揮された状態を示す正面図である。
【0047】
まず、図6の(イ)に示すように、コイルスプリング63の組付け構造は、アウターケース20の図1に示す右側の側板21の略中央位置に突設された装着軸61を支持する台座64と、この台座64の後方位置で当該台座61aの下縁部から下方に向けて延設された側板21と一体のリブ65と、このリブ65の上端部に装着軸61に対向して上方に向けて突設された係合突片66とを備えて構成されている。
【0048】
リブ65は、側板21からの突出寸法が台座64の側板21からの突出寸法より若干長めに寸法設定され、これによって係合突片66と台座64との間にはコイルスプリング63の第一腕部63bが嵌り込む係合溝66aが形成されるようにしている。かかる係合溝66aを形成するための台座64、リブ65および係合突片66によって本発明の嵌合溝部が形成されている。
【0049】
一方、装着軸61は円柱形状をしており、その係合突片66に対向した面には、軸心の延びる方向に平行に切り欠かれて形成した切欠き部61aが設けられている。この切欠き部61aは、リッド40とアウターケース20との間にコイルスプリング63が介設された状態における第一腕部63bと略平行になるように角度設定されているとともに、係合突片66の上端部には、切欠き部61aと略平行になるように角度設定された傾斜部66aが設けられている。そして、この傾斜部66aと装着軸61の切欠き部61aとの間の隙間寸法が第一腕部63bの直径より若干幅広になるように装着軸61および係合突片66の設置位置が相対的に設定されている。
【0050】
かかる構成のコイルスプリング63の組み付け構造によれば、係止環63dを装着軸61に嵌め込むに当たっては、図6の(ロ)に示すように、コイルスプリング63の第一腕部63bを装着軸61と係合突片66との間の隙間に嵌め込みつつ係止環63dの内径部分を装着軸61の外周に遊嵌するというワンタッチ操作を行うだけでよい。そして、このワンタッチ操作が完了した後、コイルスプリング63から手を離せば、その付勢力によって第一腕部63bがコイル部63a(図1)回りに時計方向に回動し、これによって、図6の(ハ)に示すように、係止環63dの下部が係合溝66aに嵌まり込んだコイルスプリング63の装着状態になる。
【0051】
本発明は、以上詳述したように、上面に開口を有するインナーケース30と、リッド支持軸21a回りに正逆回動してインナーケース30の開口を開閉するリッド40と、このリッド40とインナーケース30を収納するアウターケース20との間に介設されてリッド40を閉止方向と開放方向とに交互に付勢するコイルスプリング63とを備えてなる車両用灰皿10であり、コイルスプリング63は、一端がリッド40に係止されるとともに、他端にリング状に形成された係止環63dを有している一方、アウターケース20には係止環63dを遊嵌する、軸心がリッド支持軸21aと平行な装着軸61と、コイルスプリング63が装着軸61の軸心に直交する方向に付勢された状態で係止環63dが係合する係合溝66aとが設けられているため、コイルスプリング63は、その一端をリッド40に係止し付勢力を効かせた状態で、その他端をアウターケース20の装着軸61に嵌め込むという簡単な操作を行うだけでコイルスプリング63の付勢力によりその係止環63dが係合溝66aに係合し、抜け止め状態でリッド40とアウターケース20との間に介設される。
【0052】
このように、係止環63dを装着軸61に嵌め込むというワンタッチ操作でコイルスプリング63をリッド40とアウターケース20との間に装着することが可能であるため、ビス止めでコイルスプリング63を灰皿に装着しなければならなかった従来のコイルスプリング63の組付け構造に比べてその組み付けの作業性が格段に向上し、引いては車両用灰皿10の組み付け効率を向上させることができる。
【0053】
また、装着軸61は、係合溝66aに対向した部分が少なくとも係止環63dが通過し得るように切り欠かれた切欠き部61aを有しているため、装着軸61と係合溝66aとを可能な限り接近させた状態で、しかも装着軸61に設けられた切欠き部61aの存在により、係止環63dの装着軸61への嵌め込み操作を容易にした上で、一旦装着軸61に遊嵌された係止環63dの確実な外れ止めを実現することができる。
【0054】
さらに、装着軸61の外周の円弧状部に係止環63dが遊嵌されるために、リッド40の開閉によるコイルスプリング63の係止環63dの回動がスムーズに行われる。
【0055】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、反転スプリングの一端を蓋体に係止し付勢力を効かせた状態で、その他端を灰皿本体の軸部に嵌め込むという簡単な操作を行うだけで反転スプリングの付勢力によりそのリング部が係合溝部に係合し、抜け止め状態で蓋体と灰皿本体との間に反転スプリングを装着することができる。
【0056】
このように、リング部を軸部に嵌め込むというワンタッチ操作で反転スプリングを蓋体と灰皿本体との間に装着することが可能であるため、ビス止めで反転スプリングを灰皿に装着しなければならない従来の反転スプリングの介設構造に比べてその組み付けの作業性が格段に向上し、灰皿の組み付け効率を大幅に改善することができる。
【0057】
請求項2記載の発明によれば、軸部には係合溝部に対向した部分が少なくともリング部が通過し得るように切り欠かれた切欠き部が設けられているため、軸部と係合溝部とを可能な限り接近させた状態であっても、軸部に設けられた切欠き部の存在により、リング部の軸部への嵌め込み操作を容易にした上で、一旦軸部に遊嵌されたリング部の確実な外れ止めを確保することができる。
【0058】
請求項3記載の発明によれば、軸部は、反転スプリングのリング部に外接する部分が円弧状であるため、リッドの開閉をスムーズに行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両用灰皿の一実施形態を示す一部切欠き分解斜視図である。
【図2】図1に示す車両用灰皿の組立て斜視図である。
【図3】図2のA−A線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】付勢構造の作用を説明するための車両用灰皿の側面図であり、(イ)は、リッドが閉止姿勢に姿勢設定された状態、(ロ)は、リッドが開放姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【図6】コイルスプリングの組付け構造の一実施形態を示す図であり、(イ)は斜視図、(ロ)は係止環が装着軸に遊嵌された直後の状態を示す正面図、(ハ)は係止環が装着軸に遊嵌された状態でコイルスプリングの付勢力が発揮された状態を示す正面図である。
【符号の説明】
10 車両用灰皿 20 アウターケース
201 インナーケース収納部
202 ライター装着部 21 側板
21a リッド支持軸 22 前板
22a 第一前板 22b 第二前板
22c 長孔 23 後板
23a 明り窓
24 底板 24a 第一底板
24b 第二底板 25 仕切壁
26 防止壁 26b 第一庇部
26c 第二庇部
267 ランプケース装着空間
28 板ばね 28a 逆U字部
28b ばね本体 28c V字部
29a パネル取付け突部
29b フランジ部 30 インナーケース
31 灰皿本体 31a 前板
31b 係止突片 31c 後板
31d 貫通孔 32 フランジ部
32a 操作突片 33 赤色透明板
40 リッド 41 リッド本体
42 ブラケット 42a 装着孔
43 煙漏洩防止ゴム 50 ランプケース
51 側板 51a 座
52 背面板 52a 反射板
53 底板 53a 挿通孔
54 突設板 60 付勢構造
61 装着軸 61a 切欠き部
62 装着孔
63 コイルスプリング(反転スプリング)
63a コイル部 63b 第一腕部
63c 第二腕部 63d 係止環
63e 係止端 64 台座
65 リブ 66 係合突片
66a 係合溝 67 セット面
68 リブ
L ランプ X 架橋線

Claims (3)

  1. 上面に開口を有する灰皿本体と、支持軸回りに正逆回動して上記灰皿本体の開口を開閉する蓋体と、この蓋体と上記灰皿本体との間に介設されて蓋体を閉止方向と開放方向とに交互に付勢する反転スプリングとを備えてなる車両用灰皿であって、
    上記反転スプリングは、一端が上記蓋体に係止されるとともに、他端にリング状に形成されたリング部を有している一方、上記灰皿本体には上記リング部を遊嵌する、軸心が上記支持軸と平行な軸部と、上記反転スプリングが軸部の軸心に直交する方向に付勢された状態で上記リング部が係合する係合溝部とが設けられていることを特徴とする車両用灰皿。
  2. 上記軸部は、上記係合溝部に対向した部分が少なくとも上記リング部が通過し得るように切り欠かれた切欠き部を有していることを特徴とする請求項1記載の車両用灰皿。
  3. 上記軸部は、上記リング部に外接する部分が円弧状であることを特徴とする請求項1または2記載の車両用灰皿。
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