以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明の実施の形態に係る自動改札装置としてのゲート装置1の外観図であり、(a)は正面図、(b)は平面図、(c)は(b)に図示するA方向矢視図である。ゲート装置1は、識別可能な第1の識別情報が記録されている複数の媒体を使用する自動改札装置であって、例えば、ビル施設や遊技施設に設置され、利用者等の入退場を許可、規制等を行う装置である。ゲート装置1は、ゲート装置1を通行可能か否かを表示する表示器2と、識別可能な第1の識別情報が記録されている媒体、本実施の形態ではカード状の媒体としてのICカード100(図5参照)を処理するカード処理装置3と、入退場者の通行に伴って開閉する扉4を備える。扉4は、後述するように、ICカード100に記録されている情報に基づいて通行を許可した際に開状態に、通行を禁止した際に閉状態となるように構成される。表示器2、カード処理装置3、扉4は、ゲート装置1の各部を収納する筐体5に組み付けられている。
ここでは、ゲート装置1は、筐体5、扉4を各一対ずつ備えている。2つの筐体5は、長手方向の面が互いに対向するように配設され、各筐体5の当該対向する長手方向の面に1つずつ扉4が配設されている。1対の扉4は、扉装置を構成している。ゲート装置1は、一組の扉4によって構成される扉装置によって、進入方向、退出方向の両方をコントロールすることができるように構成されている。図1(a)、(b)は、扉4が閉鎖状態である場合、すなわち、対向する筐体5の間の通行を禁止した状態を示している。扉4が閉状態である場合、該扉4は、ともに筐体5の対向する長手方向の面に対して略垂直になり、端面が互いに対向する。扉4は、筐体5内に内蔵される扉駆動部4a(図5参照)により閉状態と開状態に移行することができる。扉駆動部4aは、扉を回動させるモータ、モータの回転を扉に伝える歯車等を含んで構成される。
表示器2、カード処理装置3は、一対の筐体5のうち何れか一方に配設されていればよく、ここでは、図1(a)に向かって右側の筐体5にともに配設されている。カード処理装置3は、シュート39を介して回収手段としてのICカード回収部7に接続されている。さらに、ゲート装置1は、ゲート装置1の各部を制御する制御手段としての制御部8(図5参照)、各種情報を記憶している記憶手段としての記憶部9(図5参照)、音による情報を出力するスピーカ10(図5参照)を備える。カード処理装置3、シュート39、ICカード回収部7ついては図3、図4、制御部8、記憶部9、スピーカ10については図5で詳細に説明する。
ここで、識別可能な第1の識別情報が記録されている媒体は、上述したようにカード状の媒体としてのICカード100(図5参照)を用いる。ICカード100は、剛性を有するカード媒体であり、内部にCPUやRAM、ROM等のメモリが格納されており、当該メモリに情報を記憶する。情報は、例えばビット列で記録される。ICカードは、情報の読み取り、書き換えを電磁波を用いて行うことが可能であるため、非接触式カードと呼ばれている。なお、ICカードは、規格としてISO14443(JIS X6322)が定められている。なお、以下では情報が記録されている媒体は、カード状のICカード100として説明するが、カード状でなく、例えば、トークン等を用いてもよい。ここでいうトークンとは、いわゆる代用硬貨であり、例えば樹脂製の外壁で内部にICチップが埋め込まれているものも含む。
また、ICカード100(図5参照)に記録されている識別可能な第1の識別情報は、ICカード100毎に割り当てられる情報であり、複数のICカードから1つのICカードを特定することのできる情報であればなんでもよい。本実施の形態では、第1の識別情報は、ICカード100毎に割り当てられる識別番号(数列)であるものとして説明するが、その他アルファベット・ひらがな・カタカナ等の文字列であってもよい。
図2は、本発明の実施の形態に係るゲート装置1の外観図斜視図である。本図は、扉4が開状態である場合、すなわち、対向する筐体5の間の通行を許可した状態を示している。扉4が開状態である場合、該扉4は、ともに筐体5の対向する長手方向の面に対して略平行になり、当該面に形成されている凹部に収納され、通行を妨害しないような位置に格納される。
図中右下から左上方向が退出方向、すなわち、退場者が移動する方向である。カード処理装置3は、筐体5の端部であって、退場者の移動する方向の上流側の端部の退場者がICカード100を挿入しやすい位置に取り付けられている。すなわち、ここでは、カード処理装置3は、退場者のICカード100(図5参照)を処理する装置である。入場者のICカード100に対するカード処理装置(不図示)は、筐体5のカード処理装置3が配設されている端部とは反対側の端部に配設されていても良いし、ゲート装置1が配設される施設やスペースに応じて、ゲート装置自体を退場者専用と入場者専用とに分けて配設しても良い。
図3は、本発明の実施の形態に係るゲート装置1のカード処理装置3の外観を示す図であり、図3(a)は斜視図、図3(b)は正面図(退場者の移動する方向の上流側から見た図)、図3(c)は平面図、図3(d)は側面図である。カード処理装置3は、筐体5(図2参照)に設置された際には、図3(a)、(b)、(d)の図に向かって上下方向が略鉛直方向になるように設置される。
カード処理装置3は、ICカード100(図5参照)を収納可能な収納手段としてのICカード収納部31を備える。ICカード収納部31は、カード処理装置3の各部を収納するケーシング30に、内側にICカード100を収納する空間が画成されるように形成されている。ICカード収納部31は、次に説明する切り欠き33の部分を除いて、ICカード100を収納する空間にICカード100をほぼ完全に収納することができる程度の大きさに形成される。
ICカード収納部31は、ケーシング30内部にICカード100を挿入して取り込むための挿入口32を備えている。挿入口32は、ICカード収納部31にICカード100を長辺方向に挿入可能な程度の大きさに形成されている。すなわち、挿入口32は、幅がICカード100の短辺方向の長さよりもやや長くなるように形成されている。ICカード収納部31は、該挿入口32を介してICカード100を一枚ずつ収納することができる。挿入口32は、カード処理装置3が筐体5(図2参照)に配設された際に、鉛直方向上側を向くように形成されている。これにより、例えば後述するように、ICカード100がICカード回収部7(図5参照)に移送される際に、鉛直方向上側から下側に向かって自重により移動させるのに適した構成とすることができる。したがって搬送装置等を必要としないため、より簡易な構成のゲート装置1とすることができる。また、コストも安価となり、保守作業も軽微なもので済む。
さらに、ICカード収納部31には、図4で説明する保留手段としての下シャッタ34によりICカード100がICカード収納部31内に保留されている際に、保留されているICカード100の一部が露出するように、切り欠き33が形成されている。該切り欠き33は、上述した挿入口32と連続するように形成される。このように、ICカード収納部31に切り欠き33を形成することで、一旦、ICカード収納部31内に収納されたICカード100を取り出しやすくすることができる。
図4は、本発明の実施の形態に係るゲート装置1のカード処理装置3の概略断面図である。本図は、図3(c)に図示するB−B概略断面図を示す。カード処理装置3は、筐体5(図2参照)に設置された際には、本図に向かって上下方向が略鉛直方向になるように設置される。カード処理装置3は、ICカード100をICカード収納部31内の所定位置に保留する保留手段としての下シャッタ34と、下シャッタ34にICカード100が保留されたことを検知する検知手段としてのセットセンサ35と、第1の識別情報(識別番号)に応じた所定信号を、ICカード100から受信する信号受信手段としてのカードR/W部36と、セットセンサ35によりICカード100が検知された際に、ICカード収納部31に形成され、ICカード100を挿入する挿入口32を閉鎖する閉鎖手段としての上シャッタ37と、ICカード100が挿入口32を介してICカード収納部31に挿入されたことを検知する挿入検知センサ38を備える。
下シャッタ34は、ケーシング30の内部に配設され、ICカード収納部31の挿入口32とは反対側に配設されている。下シャッタ34は、ICカード100が挿入される方向に対して交差する二本のピンを含んで構成される。二本のピンは、ソレノイド等を含んで構成される下シャッタ駆動部34aに連結されている。下シャッタ34の二本のピンは、該下シャッタ駆動部34aによりICカード100が挿入される方向に対して交差する方向にスライドするように構成される。
下シャッタ34は、二本のピンがICカード収納部31のICカード100を収納する空間に突出することで、二本のピンの上方(挿入口32側)にICカード100を載置して、ICカード収納部31内の所定位置に保留する。なお、ここでは、所定位置とは、ICカード100がICカード収納部31内にほぼ完全に収納される位置である。
下シャッタ34は、二本のピンがICカード100が挿入される方向に対して交差する方向にスライドすることで、ICカード100の保留を解除する。下シャッタ34の下方(挿入口32とは反対側)には、ICカード収納部31のICカード100を収納する空間に連続するようにシュート39が形成されている。保留を解除されたICカード100は、自重でシュート39に落下する。
ここで、上述したように、ゲート装置1は、下シャッタ34による保留を解除されたICカード100を回収する回収手段としてのICカード回収部7(図1も参照)を備える。ICカード回収部7は、シュート39の下方に配設されており、下シャッタ34による保留が解除され、シュート39を自重により移送されるICカード100を回収して保管する。
ここで、ICカード100を回収するという場合、典型的には、退場者にはICカード100を返還しないことをいう。本実施の形態では、ICカード100は、筐体5(図1参照)の内部に配設される。筐体5は、典型的には、ゲート装置1の稼働時には、閉鎖されており、内部のICカード回収部7にはアクセスすることはできない。ICカード回収部7に回収されるICカード100は、ゲート装置1の停止時に係員等が筐体5を開放してICカード回収部7から取り除かれる。
上シャッタ37は、ICカード収納部31の挿入口32のすぐ下方(下シャッタ34側)に配設される。また、上シャッタ37は、下シャッタ34から挿入口32方向に、ICカード100の長辺方向よりもやや長い程度の間隔をあけた位置に配設される。上シャッタ37は、ICカード100が挿入される方向に対して交差するプレートを含んで構成される。プレートは、ソレノイド等を含んで構成される上シャッタ駆動部37aに連結されている。上シャッタ37のプレートは、該上シャッタ駆動部37aによりICカード100が挿入される方向に対して交差する方向にスライドするように構成される。
上シャッタ37は、プレートがICカード収納部31のICカード100を収納する空間に突出することで、挿入口32を閉鎖する。これにより、例えば、カードR/W部36がICカード100から所定信号を受信している最中に、ICカード100が抜き取られることを防止することができる。
セットセンサ35、挿入検知センサ38は、本実施の形態では、各々反射型のセンサを用いるが、ICカード100を検知することのできるセンサであれば他のセンサ、例えば、一対のフォトセンサであってもよい。セットセンサ35、挿入検知センサ38は、上シャッタ37と下シャッタ34との間に、ICカード収納部31のICカード100を収納する空間に沿って、下シャッタ34側からセットセンサ35、挿入検知センサ38の順で配設される。セットセンサ35、挿入検知センサ38は、ともに図5で説明する制御部8に接続されており、ICカード収納部31内にICカード100を検知した際に、検知信号を送信するように構成される。
ここで、挿入検知センサ38は、セットセンサ35に比較して挿入口32に近い位置に配設されることから、ICカード100が下シャッタ34により所定位置に保留される前にICカード100を検知する。言い換えれば、挿入検知センサ38は、ICカード100が挿入口32を介してICカード収納部31に挿入され始めるとすぐにICカード100を検知する。一方、セットセンサ35は、挿入検知センサ38に比較して下シャッタ34に近い位置に配設されることから、ICカード100が下シャッタ34により所定位置に、ほぼ完全に保留された際にICカード100を検知する。
カードR/W部36は、ICカード100から第1の識別情報(識別番号)に応じた所定信号を受信する。カードR/W部36は、ICカード100との間で所定信号の電磁波を送受信する機能を有するアンテナ部を含んで構成され、所定信号に応じた情報を読み込んだり、書き換えたりするもので、例えば所定周波数帯域の電磁波を情報の授受に用いる。カードR/W部36は、ICカード収納部31に収納、保留されているICカード100と所定信号の送受信を行うだけでなく、ICカード収納部31の外側に該ICカード収納部31に沿うようにかざされたICカード100(図中一点鎖線で図示)とも所定信号の送受信を行うことが可能である。カードR/W部36は、図5で説明する制御部8に接続されている。
図5は、本発明の実施の形態に係るゲート装置1の概略構成を示すブロック図である。ゲート装置1は、ICカード100のグループを示す第2の識別情報と、該第2の識別情報とは異なる第3の識別情報を、前記第1の識別情報(識別番号)に対応させて記憶している記憶手段としての記憶部9と、カードR/W部36がICカード100から受信する所定信号に基づいて、下シャッタ34により保留されたICカード100の保留を解除するように該下シャッタ34を制御する制御手段としての制御部8とを備える。上述したように、制御部8は、ゲート装置1の各部を制御し、記憶部9は、各種情報を記憶している。
ここで、第2の識別情報としてのグループ情報は、ゲート装置1を通過する利用者をグループ分けするため、ICカード100毎に割り当てられる情報である。以下で説明するように、利用者をグループ分けすることで、ゲート装置1での処理を各グループに対応させた処理とすることができる。第3の識別情報としての出場判断情報は、ICカード100がカード処理装置3により処理される際に、ゲート装置1での利用者の通行を許可するか否かを判断するための基準となる情報である。記憶部9は、1つの第1の識別情報(識別番号)に対応させて、グループ情報、出場判断情報を各1つずつ記憶している。
複数のICカード100は、グループ情報に応じて第1のグループに識別される第1の媒体と、グループ情報に応じて第1のグループとは異なる第2のグループに識別される第2の媒体に分けられる。ここでは、第1のグループは、ゲート装置1が配設される施設に来客する来客者等のグループとし、一方、第2のグループは、該施設に恒常的に出入りする社員等のグループとする。したがって、以下では特に断りのない限り、第1のグループに識別される第1の媒体を「来客用ICカード」、第2のグループに識別される第2の媒体を「社員用ICカード」という。また、「来客用ICカード」と「社員用ICカード」とを特に区別する必要のない場合には、単に「ICカード100」という。なお、本実施の形態では、ICカード100は、「来客用ICカード」と「社員用ICカード」の2つのグループに分けるものとして説明するが、2つ以上のグループに分けてもよい。要するに複数のICカード100は、少なくとも2つのグループに分けられればよい。
制御部8は、ゲート装置1の各部を制御するものであり、制御部8は、例えば、CPUを含んで構成され、ROMに記憶されているシステムプログラム及びRAMに記憶されているワーキングデータを用い当該CPUをつかさどるプログラムを実行することによって各部を制御し、ゲート装置1を統括的に制御できるように構成されている。記憶部9は、ROM、ハードディスクドライブ、シリコンディスク(Silicon Disk)等の種々の記憶媒体を用いればよい。
本実施の形態では、制御部8と記憶部9とは、例えばパソコンやマイコンなどの演算装置を構成する。ここでは、演算装置は、電源装置と一体に構成されており、筐体5の内部にあってもよいし、外部にあってもよい。本実施の形態では、演算装置は、筐体5内に配置するものとして説明するが、例えば、ゲート装置1が設置される施設の受け付けや管理室等に設置してもよい。
制御部8は、上述した扉駆動部4a、記憶部9、下シャッタ駆動部34a、セットセンサ35、カードR/W部36、上シャッタ駆動部37a、挿入検知センサ38に電気的に接続している。さらに、制御部8は、表示器2を駆動させる表示器駆動部2a、スピーカ10を駆動するスピーカ駆動部10aに電気的に接続している。
挿入検知センサ38は、ICカード100のICカード収納部31へ挿入を検知すると挿入検知信号を制御部8に送信する。セットセンサ35は、下シャッタにICカード100が保留されたことを検知すると、保留検知信号を制御部8に送信する。扉駆動部4a、下シャッタ駆動部34a、上シャッタ駆動部37a、表示器駆動部2a、スピーカ駆動部10aは、それぞれ、制御部8から駆動信号を受信し、該各駆動信号に基づいて、扉4、下シャッタ34、上シャッタ37、表示器2、スピーカ10を駆動する。カードR/W部36は、ICカード100から受信する所定信号に応じた第1の識別情報(識別番号)を制御部8に送信する。
制御部8は、挿入検知センサ38から挿入検知信号を受信すると、表示器駆動部2aに駆動信号を送信し表示器2の画像表示を制御する。また、入場側からの通行を防止するため、不図示の表示器に駆動信号を送信し、出場処理中であることを報知する。また、制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知され、保留検知信号を受信すると、上シャッタ駆動部37aに駆動信号を送信し、上シャッタ37を駆動して挿入口32(図4参照)を閉鎖する。
制御部8は、カードR/W部36がICカード100から所定信号を受信すると、該所定信号に応じた第1の識別情報(識別番号)に基づいて、記憶部9から該第1の識別情報(識別番号)に対応するグループ情報、出場判断情報を読み出す。さらに、制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知しているか否かを判断し、読み出したグループ情報に基づいてICカード100が「来客用ICカード」であるか「社員用ICカード」であるかを識別し、記憶部9から読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしているか否かを判断する。
ここで、所定の条件とは、典型的には、扉4を開状態としてもよい条件、すなわち、ゲート装置1を通行してもよい条件である。所定の条件は、例えば、施設に入場したことが確認されること、ゲート装置1の設置場所が図書館であれば全ての本が返却されていること等、設置される施設に応じて適宜設定すればよい。すなわち、例えばこの場合、制御部8は、読み出した出場判断情報が入場が許可された旨の情報を含んでいるか否か、読み出した出場判断情報としての閲覧冊数情報がゼロになっているか等を判断する。
なお、上述したようにカードR/W部36は、ICカード収納部31(図4参照)に沿うようにかざされたICカード100とも所定信号の受信を行うことが可能であることから、制御部8がグループ情報、出場判断情報を読み出した場合でも、セットセンサ35によりICカード100が検知されていない(ICカード収納部31内にICカード100が保留されていない)ことがある。この場合は、制御部8は、上シャッタ37を駆動せずに、後述するように、カードR/W部36により所定信号を受信されたICカード100が「来客用ICカード」であるか「社員用ICカード」であるかに応じて、適宜各処理を実行する。
制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知され、記憶部9から読み出したグループ情報に基づいて下シャッタ34により保留されたICカード100が「来客用ICカード」であると識別し、記憶部9から読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしていると判断した際に、下シャッタ駆動部34aに駆動信号を送信し、ICカード100の保留を解除するように下シャッタ34を駆動制御する。さらに、制御部8は、扉駆動部4aに駆動信号を送信し、扉4を開状態にするように駆動制御する。
このように構成することで、ゲート装置1の通行が可能となり、施設から退出することができる。さらに、下シャッタ34に保留されている「来客用ICカード」は、保留が解除され、ICカード回収部7(図4参照)に回収されるので、「来客用ICカード」の受け付けへの返却の手間を省くことができる。
なお、制御部8は、典型的には、記憶部9から読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしていると判断した際に扉4を開状態に制御するが、例外的に、所定の条件を満たしていると判断しても扉4を開状態に制御しない場合がある。当該例外については後述する。
制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知され、記憶部9から読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしていないと判断した際には、下シャッタ34をICカード100の保留を解除しないように制御し、上シャッタ37を開放するように制御し、扉4を閉状態に制御する。この場合、出場可能な条件を満たしていないことから、下シャッタ34により保留されたICカード100が「来客用ICカード」であるか「社員用ICカード」であるかに関係なく、下シャッタ34を保留を解除しない状態、上シャッタ37を開放した状態、扉4を閉状態とする。さらに、制御部8は、スピーカ駆動部10aに駆動信号を送信しスピーカ10を駆動して、出場判断情報が所定の条件を満たしていない旨を報知するとよい。
このように構成することで、退場の条件を満たしていない施設利用者の退場を防止することができ、また、上シャッタ37を開放するのでICカード収納部31からICカード100を抜き取ることができる。
なお、本実施の形態では、通常時は、下シャッタ34を保留が可能な状態、扉4を閉状態としている。したがってここでは、下シャッタ34をICカード100の保留を解除しないように制御するという場合、下シャッタ34を駆動しないことをいい、扉4を閉状態に制御するという場合、扉4を駆動しないことをいう。以下の説明でも特に断りのない限り同様とする。
制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知され、記憶部9から読み出したグループ情報に基づいて下シャッタ34により保留されたICカード100が「社員用ICカード」であると識別し、記憶部9から読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしていると判断した際には、下シャッタ34をICカード100の保留を解除しないように制御し、上シャッタ37を開放するように制御し、扉4を開状態に制御する。
このように構成することで、ゲート装置1の通行が可能となり、施設から退出することができる。さらに、上シャッタ37を開放するので、回収する必要のない「社員用ICカード」をICカード収納部31から抜き取ることができる。なお、この場合、制御部8は、スピーカ駆動部10aに駆動信号を送信しスピーカ10を駆動して、「社員用ICカード」を抜き取る旨を報知するとよい。
制御部8は、カードR/W部36が所定信号を受信し、該所定信号に基づいてグループ情報、出場判断情報を読み出したが、セットセンサ35によりICカード100が検知されず、記憶部9から読み出したグループ情報に基づいてカードR/W部36により所定信号を受信されるICカード100が「来客用ICカード」であると識別し、記憶部9から読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしていると判断した際には、扉4を閉状態に制御する。
このように構成することで、出場判断情報が所定の条件を満たしていると判断しても、ICカード収納部31(図4参照)に沿うようにかざされたICカード100が「来客用ICカード」である場合には、施設利用者の退場を防止することで、回収する必要のある「来客用ICカード」を回収し忘れることを防止することができる。なお、この場合、制御部8は、スピーカ駆動部10aに駆動信号を送信しスピーカ10を駆動して、「来客用ICカード」をICカード収納部31に挿入する旨を報知するとよい。また、この場合、制御部8は、上シャッタ37、下シャッタ34は駆動しなくても良い。
制御部8は、カードR/W部36が所定信号を受信し、該所定信号に基づいてグループ情報、出場判断情報を読み出したが、セットセンサ35によりICカード100が検知されず、記憶部9から読み出したグループ情報に基づいてカードR/W部36により所定信号を受信されるICカード100が「社員用ICカード」であると識別し、記憶部9から読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしていると判断した際には、扉4を開状態に制御する。
このように構成することで、ICカード収納部31(図4参照)に沿うようにかざされたICカード100が「社員用ICカード」である場合に、回収する必要のない「社員用ICカード」をICカード収納部31に挿入せずに、よりスピーディにゲート装置1の通行が可能となり、施設から退出することができる。また、この場合、制御部8は、上シャッタ37、下シャッタ34は駆動しなくても良い。
制御部8は、カードR/W部36が所定信号を受信し、該所定信号に基づいてグループ情報、出場判断情報を読み出したが、セットセンサ35によりICカード100が検知されず、記憶部9から読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしていないと判断した際には、扉4を閉状態に制御する。このように構成することで、退場の条件を満たしていない施設利用者の退場を防止することができる。さらに、制御部8は、スピーカ駆動部10aに駆動信号を送信しスピーカ10を駆動して、出場判断情報が所定の条件を満たしていない旨を報知するとよい。
図6は、本発明の実施の形態に係るゲート装置1の動作の概略について説明するフロー図である。なお、以下の説明ではゲート装置1の各構成については適宜図1又は図5を参照する。ここでは、ICカード100を所持している利用者がゲート装置1を用いて出場しようとしているものとして説明する。
制御部8は、扉4、上シャッタ37、下シャッタ34を制御して、ゲート装置1を待機状態とする(S100)。本実施の形態では、待機状態は、扉4が閉状態、上シャッタ37が挿入口32を開放した状態、下シャッタ34がICカード収納部31内の所定の位置にICカード100を保留可能な状態(二本のピンがICカード収納部31のICカード100を収納する空間に突出した状態)である。なお、前回の処理が正常に終了していれば、通常、ゲート装置1は待機状態となっている。したがって、ここでゲート装置1を待機状態とするという場合、待機状態を継続する場合も含む。
次に、制御部8は、挿入検知センサ38がICカード収納部31にICカード100が挿入されたことを検知したか否かを判断する(S102)。挿入されたことを検知した場合(S102;Yes)は、制御部8は、入場側からの通行を防止するため、不図示の表示器に駆動信号を送信し、出場処理中であることを報知する(S104)。挿入されたことを検知していない場合(S102;No)はS200に移行する。
制御部8は、S104で出場処理中であることを報知すると、セットセンサ35が下シャッタ34にICカード100が保留されたことを検知したか否かを判断する(S106)。保留されたことを検知した場合(S106;Yes)は、制御部8は、上シャッタ37を閉鎖する(S108)。保留されたことを検知していない場合(S106;No)は、制御部8は、S102で挿入検知センサ38がICカード100を検知してから所定時間(例えば、1分程度)が経過したか否かを判断する(S122)。所定時間が経過していないと判断した場合(S122;No)はS106に戻る。所定時間が経過したと判断した場合(S122;Yes)は、制御部8は、エラー処理として、不図示の報知装置(例えば表示装置や警報装置)にエラー信号を送信し、係員等にエラーを報知し(S124)、終了する。
制御部8は、S108で上シャッタ37を閉鎖すると、制御部8は、カードR/W部36が下シャッタ34に保留されているICカード100から受信する所定信号に応じた第1の識別情報(識別番号)に基づいて、記憶部9から該第1の識別情報(識別番号)に対応するグループ情報、出場判断情報を読み出す(S110)。さらに制御部8は、S110で読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしているか否かを判断する(S112)。所定の条件を満たしていると判断した場合(S112;Yes)は、制御部8は、扉4を開状態に制御する(S114)。所定の条件を満たしていないと判断した場合(S112;No)はS300に移行する。
制御部8は、S114で扉4を開状態にすると、S110で読み出したグループ情報に基づいてICカード100が「来客用ICカード」であるか否かを判断する(S116)。ICカード100が「来客用ICカード」である場合(S116;Yes)は、制御部8は、下シャッタ34を制御してICカード100の保留を解除し(S118)、「来客用ICカード」をICカード回収部7に回収する。ICカード100が「来客用ICカード」でない場合、すなわち「社員用ICカード」である場合(S116;No)はS400に移行する。
制御部8は、S118で下シャッタ34によるICカード100の保留を解除し、不図示のセンサにより、利用者がゲート装置1を通過したことを検知した後、扉4を閉状態、上シャッタ37を挿入口32を開放した状態、下シャッタ34をICカード収納部31内の所定の位置にICカード100を保留可能な状態に制御して、ゲート装置1を再び待機状態として(S120)終了する(次のICカード100の処理に備える)。
制御部8は、S102で挿入検知センサ38がICカード収納部31にICカード100が挿入されたことを検知していないと判断した場合(S102;No)、カードR/W部36がICカード100から所定信号を受信しているか否かを判断する(S200)。所定信号を受信していない場合(S200;No)は、S100に戻って待機状態を継続する。所定信号を受信している場合(S200;Yes)、すなわち、ICカード100がICカード収納部31に沿うようにかざされた場合は、制御部8は、該所定信号に応じた第1の識別情報(識別番号)に基づいて、記憶部9から該第1の識別情報(識別番号)に対応するグループ情報、出場判断情報を読み出す(S202)。
次に、制御部8は、入場側からの通行を防止するため、不図示の表示器に駆動信号を送信し、出場処理中であることを報知し(S204)、S202で読み出した出場判断情報が所定の条件を満たしているか否かを判断する(S206)。所定の条件を満たしていないと判断した場合(S206;No)は、制御部8は、スピーカ10を駆動して出場可能な条件を満たしていない旨を利用者に報知(S208)し、退場を防止する。このとき、扉4は閉状態のままである。その後、S120に移行してゲート装置1を再び待機状態として(S120)終了する。
なお、上述したようにセットセンサ35は挿入検知センサ38よりも下流(挿入口32から遠い位置)に配設されている。したがって、制御部8は、S102で挿入検知センサ38がICカード100を検知していないと判断した場合(S102;No)は、セットセンサ35がICカード100を検知していないと判断している。
制御部8は、S206で所定の条件を満たしていると判断した場合(S206;Yes)は、S202で読み出したグループ情報に基づいてICカード100が「来客用ICカード」であるか否かを判断する(S210)。ICカード100が「来客用ICカード」である場合(S210;Yes)は、制御部8は、スピーカ10を駆動して、退場時には回収する必要のある「来客用ICカード」をICカード収納部31に収納するように利用者に報知する(S212)。その後、S120に移行してゲート装置1を再び待機状態として(S120)終了する。ICカード100が「来客用ICカード」でない場合、すなわち「社員用ICカード」である場合(S210;No)は、制御部8は、扉4を開状態に制御し(S214)、その後、S120に移行してゲート装置1を再び待機状態として(S120)終了する。
制御部8は、S112で出場判断情報が所定の条件を満たしていないと判断した場合(S112;No)は、制御部8は、上シャッタ37を制御して挿入口32を開放する(S300)。その後、制御部8は、スピーカ10を駆動して出場可能な条件を満たしていない旨を報知して、ICカード100をICカード収納部31から抜き取るように利用者に報知(S302)し、退場を防止する。このとき、扉4は閉状態のままである。その後、挿入検知センサ38がまだICカード100を検知しているか否かを判断し(S304)、検知している場合(S304;Yes)は、S302に戻って以降の処理を繰り返し、検知していない場合(S304;No)は、S120に移行してゲート装置1を再び待機状態として(S120)終了する。
制御部8は、S116でグループ情報に基づいてICカード100が「来客用ICカード」でない場合、すなわち「社員用ICカード」である場合(S116;No)は、上シャッタ37を制御して挿入口32を開放し(S400)、退場時には回収する必要のない「社員用ICカード」をICカード収納部31から抜き取るように促す。その後、制御部8は、挿入検知センサ38がまだICカード100を検知しているか否かを判断し(S402)、検知していない場合(S402;No)は、S120に移行してゲート装置1を再び待機状態として(S120)終了する。検知している場合(S402;Yes)は、制御部8は、S400で上シャッタ37を制御して挿入口32を開放してから所定時間(例えば、1分程度)が経過したか否かを判断する(S404)。所定時間が経過していないと判断した場合(S404;No)はS402に戻る。所定時間が経過したと判断した場合(S404;Yes)は、制御部8は、上述したS124のエラー処理に移行し、不図示の報知装置(例えば表示装置や警報装置)にエラー信号を送信し、係員等にエラーを報知し(S124)、終了する。
以上で説明した本発明の実施の形態に係るゲート装置1によれば、情報を記録されている媒体が入退場者の属性等に応じて「社員用ICカード」、「来客用ICカード」のように複数のグループに分けられており、例えば、退場後に「来客用ICカード」を返却しなければならない場合でも、グループ情報、出場判断情報に応じて扉4の開閉、上シャッタ37の開放、閉鎖、下シャッタ34による保留解除等の各処理を行うので、該グループに応じて自動で筐体5内部に配設されるICカード回収部7への「来客用ICカード」の回収、扉4の開閉等を行うことができ、利用者に煩わしさを感じさせることがない。また、情報が記録され、複数のグループにカテゴリ分けされる媒体を、該グループに応じて自動で回収することのできる自動改札装置を提供することができる。
また、以上で説明した本発明の実施の形態に係るゲート装置1によれば、ICカード100を挿入するICカード収納部31の挿入口32を閉鎖する上シャッタ37を備えるので、ICカード100とカードR/W部36との信号の送受信中にICカード100が抜き取られることがない。また、ICカード収納部31には切り欠き33が形成されているので、例えば、必要に応じて一旦ICカード収納部31に収納されたICカード100を容易に抜き取ることが可能である。さらに、スピーカ10によりグループ情報、出場判断情報に応じて各種情報を利用者に報知することができるので、利用者にとっても利便性の優れたゲート装置とすることができる。
なお、本発明の実施の形態に係る自動改札装置は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、ゲート装置1は、第2の識別情報としてのグループ情報、第3の識別情報としての出場判断情報は、記憶部9に記憶されており、制御部8はICカード100に記憶されている第1の識別情報(識別番号)に応じて該グループ情報、出場判断情報を記憶部9から読み出すもの説明した。しかしながら、第2の識別情報としてのグループ情報、第3の識別情報としての出場判断情報は、ICカード100に記憶されていてもよい。
すなわち、変形例としてのゲート装置1は、情報が記録されている媒体としてのICカード100を収納可能な収納手段としてのICカード収納部31と、ICカード100をICカード収納部31内の所定位置に保留する保留手段としての下シャッタ34と、下シャッタ34にICカード100が保留されたことを検知する検知手段としてのセットセンサ35と、前記情報に応じた所定信号を、ICカード100から受信する信号受信手段としてのカードR/W部36と、 前記所定信号に基づいて、下シャッタ34により保留されたICカード100の保留を解除するように該下シャッタ34を制御する制御手段としての制御部8と、下シャッタ34による保留を解除されたICカード100を回収する回収手段としてのICカード回収部7を備えるように構成しても良い。
この場合、前記情報は、ICカード100のグループを示す第2の識別情報としてのグループ情報と、該グループ情報とは異なる第3の識別情報として出場判断情報のを含み、複数のICカード100は、少なくとも前記グループ情報に応じて第1のグループに識別される第1の媒体としての「来客用ICカード」と、前記グループ情報に応じて前記第1のグループとは異なる第2のグループに識別される第2の媒体としての「社員用ICカード」に分けられる。
さらに、この場合、制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知され、前記グループ情報に基づいて下シャッタ34により保留されたICカード100が前記「来客用ICカード」であると識別し、前記出場判断情報に基づいて該「来客用ICカード」に記録されている情報が所定の条件を満たしていると判断した際に、該下シャッタ34をICカード100の保留を解除するように制御するように構成される。
さらに、この場合、制御部8は、出場判断情報に基づいて「来客用ICカード」又は「社員用ICカード」に記録されている情報が前記所定の条件を満たしていると判断した際に、扉4を開状態に制御するとよい。さらに、制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知され、出場判断情報に基づいて「来客用ICカード」又は「社員用ICカード」に記録されている情報が前記所定の条件を満たしていないと判断した際には、下シャッタ34をICカード100の保留を解除しないように制御し、上シャッタ37を開放するように制御し、扉4を閉状態に制御するとよい。さらに、制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知され、グループ情報に基づいて下シャッタ34により保留されたICカード100が「社員用ICカード」であると識別し、出場判断情報に基づいて「社員用ICカード」に記録されている情報が所定の条件を満たしていると判断した際には、該下シャッタ34をICカード100の保留を解除しないように制御し、上シャッタ37を開放するように制御し、扉4を開状態に制御するとよい。さらに、制御部8は、セットセンサ35によりICカード100が検知されず、グループ情報に基づいてカードR/W部36によって前記所定信号を受信されるICカード100が「来客用ICカード」であると識別し、出場判断情報に基づいて該「来客用ICカード」に記録されている情報が所定の条件を満たしていると判断した際には、扉4を閉状態に制御するように構成すると良い。