JP4732807B2 - オーディオ信号処理 - Google Patents

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本発明は、オーディオ信号処理に関すると共に、より一般的には、2つより多い出力チャンネルを生成するための2チャンネルのオーディオ信号の処理方法に関するものである。
本発明は、オーディオ信号処理に関すると共に、より一般的には、2つより多い出力チャンネルを生成するための2チャンネルのオーディオ信号の処理方法に関するものである。
本発明の特徴の1つにおいて、nが2より多いときに、n個の出力オーディオチャンネル信号を供給するために2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法は、第1の入力チャンネル信号及び第2の入力チャンネル信号を、複数の対応する非低音周波数帯域の信号に分割するステップと、第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅、及び第2のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅を供給するために、第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号と、第2のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号とを供給する1つの周波数帯域における2つの入力チャンネルのオーディオ信号の振幅を測定するステップと、第1の周波数帯域の相関関係を供給するために、第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号と第2のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号との間の相関関係を決定するステップと、第1の周波数帯域の相関関係に関係すると共に、更に第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅、及び第2のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅に関係する第1の係数(a(first))によって、第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を増減し、第1の増減された第1の出力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の第1の部分を供給するステップと、第1の周波数帯域の相関関係に関係すると共に、更に第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅、及び第2のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅に関係する第2の係数(a(second))によって、第2のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を増減し、第1の増減された第1の出力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の第2の部分を供給するステップと、中心チャンネル出力オーディオ信号の第1の周波数帯域部分を供給するために、第1の増減された第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の第1の部分と、第1の増減された第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の第2の部分とを結合するステップとを備えることを特徴とする。方法は、左チャンネル出力信号の第1の周波数帯域部分を供給するために下記の数1で示される第3の係数(a(third))によって第1のチャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を増減する処理を更に備えることができる。
Figure 0004732807
方法は、左の非低音オーディオ信号を供給するために、左チャンネル出力オーディオ信号の第1の周波数帯域部分と、第1のチャンネルのオーディオ信号の第1の周波数帯域部分とを結合する処理を更に備えることができる。周波数帯域は、時間的に変化し得る。第1の周波数帯域は、音声帯域であり得る。2つの入力オーディオチャンネル信号は、圧縮されたオーディオ信号データを含む。圧縮されたオーディオ信号は、“MP3”フォーマットである可能性がある再構成不可能型(non-reconstructable)データフォーマットの形式であり得る。
本発明の別の特徴において、nが3より多いと共に、サラウンドチャンネルを備えるn個の出力オーディオチャンネル信号を供給するために2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法は、2つの入力チャンネルを対応する複数の非低音周波数帯域に分割するステップと、中心チャンネル出力信号、及び2つの非サラウンド非中心チャンネル出力信号の対応する周波数帯域を供給するために、複数の入力チャンネル非低音周波数帯域のそれぞれを処理するステップと、サラウンド出力チャンネル信号を供給するために、2つの非サラウンド非中心チャンネル出力信号の内の少なくとも1つを処理するステップとを備え、2つの非中心チャンネル出力信号を処理するステップが、2つの入力チャンネルの間の差を表す信号を処理するステップを備えていないことを特徴とする。2つの非中心チャンネル出力信号を処理するステップは、2つの非中心入力チャンネル信号の内の1つに対する時間遅延処理、減衰処理、及び位相シフト処理の内の少なくとも1つを備える。
本発明の別の特徴において、nが2より多いときに、n個の出力オーディオチャンネルを供給するために2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法は、第1の入力チャンネル信号及び第2の入力チャンネル信号を、複数の対応する非低音周波数帯域に分割するステップと、中心出力チャンネル信号の第1の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第1の処理に従って第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップと、中心出力チャンネル信号の第1の周波数帯域の第2の部分を供給するために、第2の処理に従って第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップと、中心出力チャンネル信号の第2の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第3の処理に従って第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップと、中心出力チャンネル信号の第2の周波数帯域の第2の部分を供給するために、第4の処理に従って第2の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップとを備え、第3の処理が、第1の処理及び第2の処理と異なると共に、第4の処理が、第1の処理及び第2の処理と異なることを特徴とする。方法は、非中心出力チャンネル信号の第1の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第5の処理に従って第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップと、非中心出力チャンネル信号の第2の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第6の処理に従って第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップとを更に備え、第5の処理が、第6の処理と異なることを特徴とする。第1の処理は、第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を係数“a”によって増減するステップを備えることができる。第5の処理は、第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を下記の数2に示す係数によって増減するステップを備える。
Figure 0004732807
中心出力チャンネル信号が係数“a”によって増減された第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を含むように、及び非中心出力チャンネル信号が下記の数3に示す係数によって増減された第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号と減衰されない第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域信号とを含むように、第6の処理は、減衰されない第1の入力チャネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を供給するステップを備えることができる。
Figure 0004732807
中心出力チャンネル信号が係数“a”によって増減された第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を含むと共に、第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を一部たりとも含まないように、第3の処理は、中心出力チャンネル信号の第2の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を供給しないステップを備えることができる。第6の処理は、減衰されない第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を供給するステップを備えることができる。第1の処理、第2の処理、第3の処理、または第4の処理の内の少なくとも1つは、時間的に変化し得る。
本発明の更に別の特徴において、nが2より多いときに、n個の出力オーディオチャンネル信号を供給するために、再構成不可能な(unreconstructable)圧縮されたオーディオ信号データを備える2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法は、入力オーディオチャンネル信号を周波数帯域に分割するステップと、周波数帯域を別々に処理するステップと、n個の出力オーディオチャンネルを供給するために、別々に処理された周波数帯域を結合するステップとを備えることを特徴とする。周波数帯域を別々に処理するステップは、第1のチャンネルの第1の周波数帯域信号を増減するステップと、第2のチャンネルの第1の周波数帯域信号を増減するステップとを備えることができ、別々に処理するステップは、第1の入力オーディオチャンネル信号のあらゆる部分と、第2のオーディオチャンネル信号との間の差を表す信号を処理するステップを備えていないことを特徴とする。
添付の図面と一緒に読まれるとき、他の特徴、目的、及び利点は、次の詳細な記述から明白になる。
図面のいくつかの図の要素は、構成図における個別素子として示されると共に説明され、かつ「回路」と言われるが、特に示されない限り、それらの要素は、アナログ回路、デジタル回路、またはソフトウェア命令を実行する1つ以上のマイクロプロセッサの内の1つとして、またはそれらの組み合わせとして実施されることができる。ソフトウェア命令は、デジタル信号処理(DSP)命令を有することができる。特に示されない限り、信号線は、別個のアナログ信号線もしくはデジタル信号線として、オーディオ信号の個別のストリームを処理するための適切な信号処理に対応する単一の別個のデジタル信号線として、もしくは無線通信システムの要素として実施されることができる。処理操作のいくつかは、係数の計算及びアプリケーションに関して表される。係数を計算して適用することに相当するものは、他の信号処理技術によって実行され得ると共に、この特許出願の範囲内に含まれる。特に示されない限り、オーディオ信号は、デジタル方式かアナログ方式のいずれかにおいて符号化されることができる。
図1A及び図1Bを参照すると、2つのオーディオシステムが示される。図1Aにおいて、ステレオオーディオ信号ソース2Aは、“x”チャンネル、もしくは“x.1”チャンネルの復号化及び再生システム8に接続される。復号化及び再生システム8は、中心チャンネル、及び少なくとも1つのサラウンドチャンネルを有する複数“x”チャンネルのオーディオチャンネルを備えている。一般的に、“x”は“4”または“5”であるが、しかし更に多くても良い。復号化及び再生システムは、同様に、“.1”によって示されたような低周波効果(low frequency effects:LEF)チャンネルを備えることができる。復号化及び再生システム8は、ステレオオーディオソース2Aから、ステレオオーディオ信号を受信すると共に、“x”チャンネルを供給するために、以下に示された方法でステレオオーディオ信号を処理する。
追加のチャンネルを供給するためにステレオオーディオ信号を処理する多くの復号化及び再生システムは、好ましくない音響効果を“x”チャンネル再生、もしくは“x.1”チャンネル再生のチャンネルの1つ以上に導入する。いくつかの復号化及び再生システムは、サラウンドチャンネルを生成するために、“(L−R)信号”を分割すると共に処理することができる。“(L−R)信号”は、“L(左のチャンネル)信号”と、対応する“R(右のチャンネル)信号”との間の差である信号を参照する。場合によっては、ステレオ再生のために生成された素材に存在するL信号とR信号との間の差は、サラウンドスピーカーから放出されることを意図されなかった、内容創作者(content creator)によって望まれる音響効果から生じる可能性がある。いくつかの従来のサラウンドオーディオシステムにおいて、“(L−R)信号”は、サラウンドスピーカによって放出されることを意図していると説明される。もし通常に生成されたステレオ録音の“(L−R)信号”が、サラウンドスピーカーによって放出されることを意図していると説明される場合、聞き手の前方から到来することを意図された音は、聞き手の後方から到来するように思われる可能性がある。もし“(L−R)信号”が、サラウンドスピーカー信号を生成するために使用される場合、ボーカル音声は、良く固定されない可能性があるか、または空間に関する効果が内容創作者によって意図されたものから変更される可能性があるか、または聞き取れる人工音が出現する可能性がある。
図1Bにおいて、オーディオ信号データコンプレッサ4は、オーディオ信号ソース2Bからオーディオ信号データを受信すると共に、オーディオ信号データを圧縮し、そして圧縮されたオーディオ信号データを圧縮オーディオ信号データ記憶装置6に記憶する。復号化及び再生システム8は、圧縮されたオーディオ信号を復号し、“x”チャンネルを供給するようにオーディオ信号を処理すると共に、復号されたオーディオ信号を音響エネルギーへ変換する。
オーディオ信号ソース2Aは、CDプレーヤーのような従来のステレオ装置であり得るか、あるいは、同様にAMまたはFM無線受信機、IBOC(in-band on channel)無線受信機、衛星無線受信機、もしくはインターネット装置によって受信されたステレオ無線信号であり得る。オーディオ信号ソース2Bは、同様にCDプレーヤーのような従来のステレオ装置であり得るが、しかし同様にマルチチャネルオーディオソースでもあり得る。オーディオ信号データコンプレッサ4は、オーディオ信号データが、圧縮されないオーディオ信号データより、更に迅速に、かつ更に少ない帯域幅によって送信され得るように、または著しく更に少ないメモリに記憶されるように、あるいはその両方であるように、(もし必要であるならば、マルチチャンネルを2チャンネルにダウンミックス(downmix)すると共に)オーディオ信号データを圧縮するオーディオ信号データコンプレッサの多くの種類の内の1つであり得る。いくつかのコンプレッサは、再構成不可能型、または“不可逆の”方法においてデータを圧縮し、すなわちそれは、原信号データが復号化及び再生システム8によって正確に再現されることができないように、それらが、いくつかの情報が切り捨てられる方法で信号を圧縮することである。そのような装置の1つのクラスは、いわゆるMP3圧縮アルゴリズムを使用する。MP3アルゴリズムを使用するコンプレッサは、一般的にハードディスクのような記憶装置6にオーディオ信号を記憶すると共に、記憶されたオーディオ信号は、その場合に、ポータブルMP3プレーヤー上のハードディスクのような別の記憶装置にコピーされることができるか、または復号化及び再生システム8によって復号化されると共に変換されることができる。“不可逆の”コンプレッサがデータを切り捨てる可能性があるので、記憶装置に記憶されるオーディオ信号は、音響エネルギーに変換され得る好ましくない人工音を有している可能性がある。圧縮アルゴリズムは、そのため、それらの人工音が隠蔽されると共に、従って、従来のステレオシステム上で再生されたときに実質的に聞き取れないように構成されることができる。
MP3アルゴリズムのような多くのアルゴリズムは、記憶装置へ2チャンネル(一般にステレオのL及びR)のオーディオ信号を供給するように設計されている。圧縮されたオーディオ信号がステレオの再生装置によって復号化されると共に変換されるとき、上述されたように、データを切り捨てることに起因する人工音は、隠蔽(マスキング:masking)のおかげで実質的には聞き取れない。
しかしながら、いくつかの再生装置は、例えば左右のチャンネルに加えて、中心チャンネル及び1つ以上のサラウンドチャンネルという、2つを超えるチャンネルを備えている。これらのマルチチャネル再生システムのいくつかは、中心チャンネル及び1つ以上のサラウンドチャンネルのような追加のチャンネルを供給するために2つのチャンネルを処理する信号処理回路を備えている。しかしながら、時々、追加のチャンネルを供給するための2つのチャンネルの処理は、データを切り捨てることによって生成された人工音が隠蔽なれない状態になる原因となり、それらの人工音は聞き取れると共に煩わしい。
追加のチャンネルを供給するための2つのチャンネルの処理が、どのように人工音を隠蔽されない状態にすることの原因となり得るかの1つの例は、差の操作(すなわち、“(L−R)信号”を生成すること)が追加のチャンネルを生成するために使用される場合である。MP3アルゴリズムのようなアルゴリズムによって圧縮されたオーディオ信号において、復元されたL信号及びR信号(すなわち、不可逆的な圧縮処理と復元処理とを通過することの結果である信号)の差信号は、圧縮されないL入力信号とR入力信号との間の差を表すことができない。その代りに、復元されたL信号とR信号との間の差のかなりの部分は、圧縮アルゴリズムによってデータを切り捨てることに起因する人工音である可能性がある。復元されたL信号及びR信号に共通であった内容のいくつかは、人工音を隠蔽するために必要であった可能性がある。もしこの共通の内容が、差の操作(すなわち、復元されたL信号とR信号との差である信号を生成すること)によって取り除かれる場合、人工音は隠蔽されない状態になると共に、従って聞き取ることができる。言い方を変えると、復元されたL信号及びR信号はそれぞれ人工音を有するが、しかし信号対人工音比(信号対雑音比に類似している)は十分に高く、それらの人工音は聞こえない。復元された信号に関して差の操作を実行することによって共通の内容を抽出することは、有効な信号内容を取り除く可能性があり、従って信号対人工音比が著しく更に低くなると共に、それらの人工音は聞き取ることができる。
図2を参照すると、復号化及び再生システム8が示される。復号化及び再生システム8は、各々がフィルタネットワーク12L及びフィルタネットワーク12Rとそれぞれ通信するように接続された2つの入力端子10L及び入力端子10Rを備える。フィルタネットワーク12L、及びフィルタネットワーク12Rは、それぞれ、“L1・・・Ln”及び“R1・・・Rn”と示されたn本の信号線によってステアリング回路40に接続される。ステアリング回路40は、ラウドスピーカー20L(左側)、ラウドスピーカー20LS(左側のサラウンド)、ラウドスピーカー20C(中心)、ラウドスピーカー20R(右側)、及びラウドスピーカー20RS(右側のサラウンド)に接続されると共に、ラウドスピーカー20L、ラウドスピーカー20LS、ラウドスピーカー20C、ラウドスピーカー20R、及びラウドスピーカー20RSは、以下では集合的にラウドスピーカー20と呼ばれることができる。フィルタネットワーク12L、及びフィルタネットワーク12Rは、同様に低音処理回路42に接続されることができ、低音処理回路42は、低音のラウドスピーカー44に接続されることができる。一般にオーディオシステムに存在する増幅器及びデジタル/アナログ変換器のようないくつかの要素は、この図においては示されない。
動作中、(圧縮されたオーディオ信号のストリーム、放送オーディオ信号のストリーム、従来のステレオ信号のストリーム等であり得る)オーディオ信号ストリームの(左のチャンネルのような)チャンネルは、端子10Lにおいて受信されると共に、フィルタネットワーク12Lによってn個の周波数帯域に分割される。フィルタネットワーク12Lは、同様に低音の周波数帯域を分割することができる。オーディオ信号の(右のチャンネルのような)第2のチャンネルは、端子10Rにおいて受信されると共に、フィルタネットワーク12Rによってn個の周波数帯域に分割される。フィルタネットワーク12Rは、同様に低音の周波数帯域を分割することができる。
ステアリング回路40は、左右の信号のいくつかの周波数帯域を処理すると共に、音響エネルギーに変換するためのラウドスピーカー20に送信される出力マルチチャンネルオーディオ信号を形成するために、周波数帯域を再結合する。複数のチャンネルは、サラウンドチャンネルを有することができる。簡単にするために、左のスピーカーに送信されるためにステアリング回路によって形成されたオーディオ信号は、以下では“左のスピーカー信号”と呼ばれることになる。同様に、中心のスピーカーに送信される信号は、“中心のスピーカー信号”と呼ばれることになり、右のスピーカーに送信される信号は、“右のスピーカー信号”と呼ばれることになる。また、左のサラウンドスピーカーに送信される信号は、“左のサラウンドスピーカー信号”と呼ばれることになると共に、右のサラウンドスピーカーに送信される信号は、“右のサラウンドスピーカー信号”と呼ばれることになる。ステアリング回路40は、スケーリング係数(scaling factor)で信号を増減することによって、各周波数帯域を操作すると共に、いくつかの実施例においては、出力チャンネル信号を形成するためにいくつかの周波数帯域からの信号を加算するアナログ加算器を通じて、増減された信号を出力チャンネルに出力することができる。スケーリング係数は、“0”(完全な減衰を示すこと)と“1”(単位ゲイン(unity gain))との間のように、値の範囲を有することができる。一方、スケーリング係数は、“0”から“1”以外の範囲を有するか、または“デシベル(dB)”で表されることができる。従来のオーディオシステムは、同様に、利用者が個々のスピーカーにおける、またはスピーカーのグループにおける信号の増幅量を制御することを可能にするために、バランス制御またはフェード制御を利用者に提供する。ステアリング回路40の動作の更に明確な記述は、以下で説明されることになる。
ここで図3を参照すると、図2のフィルタネットワーク12L、またはフィルタネットワーク12Rに適している回路が示される。入力端子10Lは、並列に、ローパスフィルタ25と、バンドパスフィルタ27A及びバンドパスフィルタ27Bと、ハイパスフィルタ28とに接続される。ローパスフィルタ25の出力信号は周波数帯域L1であり、バンドパスフィルタ27Aの出力信号は周波数帯域L2であり、バンドパスフィルタ27Bの出力信号は周波数帯域L3であり、そしてハイパスフィルタ28の出力信号は周波数帯域L4である。
図3のフィルタネットワークは、単に代表的である。デジタルフィルタネットワーク、またはアナログフィルタネットワークの多くの他の種類が使用され得る。
図2のステアリング回路40の動作は、多数の方法で決定されると共に実行され得る。所望の動作は、例えばリスニングテストによって主観的に、または例えばテストオーディオ信号に対する所定の測定可能な反応によって客観的に、または主観的な方法と客観的な方法との組み合わせによって、決定され得る。所望の動作は、ある種の代数方程式、または方程式とルックアップテーブルのセットによって、もしくは、ある種の法則をベースにしたロジックによって、もしくは、代数方程式、ルックアップテーブル、及び法則をベースにしたロジックの中のいくつかの組み合わせによって実行されることができる。代数方程式、または法則のセットは単純であり得るか、または複合的であり得ると共に、例えば、1つのスペクトル帯域に適用されたステアリング回路の動作は、隣接の帯域における状態によって影響を受けるであろう。
スペクトル帯域の各々(例えば、図2の帯域L1/R1、帯域L2/R22、帯域L3/R3等)は、異なって扱われ得ると共に、各帯域はステアリング回路によってそれに適用された異なる動作を有することができる。各帯域の動作は、時間の経過と共に変化することができる。動作は、代数方程式において表され得ると共に、(以下で示される相関係数のような)各周波数帯域に関する変数の値は、異なる周波数帯域においては異なる動作となる同じ代数方程式となり得る。変数の値は、時間的に変化し得ると共に、時間の経過に伴う各帯域に対する動作の変化、及び別の周波数帯域の動作と異なる1つの周波数帯域の動作となる。更に、異なる方程式は、異なる帯域において動作を制御するために使用されることができる。ステアリング回路によって適用された動作は、帯域の1つ以上に対して少しも変更を加えることを含まないと共に、それは“1”のスケーリング係数によって示され得る。動作は、同様に、帯域の1つ以上に対して信号を著しく減衰させることを含むことができると共に、それは“0”のスケーリング係数によって示され得る。
ここで図4を参照すると、更に詳細に示されるステアリング回路40と共に、復号化及び再生システム8が示される。フィルタネットワーク12LのL1出力端子、及びフィルタネットワーク12RのR1出力端子は、帯域1ステアリングロジックブロック46−1に接続される。フィルタネットワーク12LのL2出力端子、及びフィルタネットワーク12RのR2出力端子は、帯域2ステアリングロジックブロック46−2に接続される。同様に、フィルタネットワーク12Lの各々の出力端子、及びフィルタネットワーク12Rの対応する出力端子は、ステアリングロジックブロックに接続される。明確にするために、ステアリングロジック46−1及びステアリングロジック46−2だけがこの図において示される。46−1、及び46−2のような各々のステアリングロジックブロックは、1つ以上のアナログ加算器18LS、アナログ加算器18L、アナログ加算器18C、アナログ加算器18R、及びアナログ加算器18RSに接続される。明確にするために、帯域1ステアリングロジック46−1及び帯域2ステアリングロジック46−2からの信号線、及びアナログ加算器18Cに対する信号線のみが示される。アナログ加算器18LS、アナログ加算器18L、アナログ加算器18C、アナログ加算器18R、及びアナログ加算器18RSに対する出力信号線が示されるが、しかしながら、ステアリングロジックによって決まるアナログ加算器の1つ以上に対する信号線は省略されることができる。中心のアナログ加算器18Cからの入力線は、全ての周波数帯域からの入力を示すと共に、ステアリングロジックによって決まるステアリングロジックブロックの1つ以上からの信号線は省略されることができる。アナログ加算器18LS、アナログ加算器18L、アナログ加算器18C、アナログ加算器18R、及びアナログ加算器18RSは、それぞれスピーカー20LS、スピーカー20L、スピーカー20C、スピーカー20R、及びスピーカー20RSに接続される。もしアナログ加算器の1つに対する信号線が1つだけである場合、アナログ加算器は省略され得ると共に、信号線は直接スピーカーに接続し得る。
動作中、周波数帯域に対する46−1または46−2のようなステアリングロジックブロックは、左右の周波数帯域オーディオ信号に論理を適用する。46−1のようなステアリングロジックブロックによって適用された論理は、ステアリングロジックブロック46−2によって適用された論理、及び他の周波数帯域と関連付けられたステアリングロジックブロックと異なることができる。論理は、各周波数帯域の各チャンネル部分に関して異なる結果をもたらす方程式の形式であり得るか、または各周波数帯域に関して異なる方程式の形式であり得る。各ロジックブロックは、アナログ加算器18LS、アナログ加算器18L、アナログ加算器18C、アナログ加算器18R、及びアナログ加算器18RSの1つ以上に対して、処理されたオーディオ信号を出力する。アナログ加算器18LS、アナログ加算器18L、アナログ加算器18C、アナログ加算器18R、及びアナログ加算器18RSは、周波数帯域からの信号を加算すると共に、音響エネルギーに変換するために接続されたスピーカーに対してオーディオ信号を出力する。
オーディオシステムは、低音の範囲の周波数を処理するための回路を備えることができると共に、低音の範囲の周波数のための個別のスピーカを備えることができる。低音の範囲の周波数を処理するための回路の1つの例は、米国の特許出願09/735,123号で説明される。
ここで図5Aを参照すると、図4のオーディオ信号処理システムの実装例が示される。図5Aの実装例において、フィルタネットワークは、4つのスペクトル帯域(それぞれ左右のチャンネルのL1、L2、L3、及びL4と、R1、R2、R3、及びR4)に対する4つの出力端子を備えている。各ロジックブロックは、振幅検出器26−1と、相関検出器24−1と、L1のような出力端子を左のアナログ加算器18Lに接続する14L−1のような増減演算子(scaling operator)と、L1のような出力端子を中心のアナログ加算器18Cに接続する16L−1のような増減演算子と、R1のような出力端子を右のアナログ加算器18Rに接続する14R−1のような増減演算子と、R1のような出力端子を中心のアナログ加算器18Cに接続する16R−1のような増減演算子とを備えている。同様の構成要素を備えている他の周波数帯域のためのロジックブロックは、この図には示されない。左のアナログ加算器18Lは、左のスピーカー20Lに通信するように接続されると共に、伝達関数ブロック22LSを通じて左のサラウンドスピーカー20LSに通信するように接続される。右のアナログ加算器18Rは、右のスピーカー20Rに通信するように接続されると共に、伝達関数ブロック22RSを通じて右のサラウンドスピーカー20RSに通信するように接続される。
動作中、左のチャンネル信号は、入力端子10Lにおいて受信され、そして周波数帯域L1、周波数帯域L2、周波数帯域L3、及び周波数帯域L4に分割されると共に、任意に低音の周波数帯域に分割される。右のチャンネル信号は、入力端子10Rにおいて受信され、そして周波数帯域R1、周波数帯域R2、周波数帯域R3、及び周波数帯域R4に分割されると共に、任意に低音の周波数帯域に分割される。左のチャンネルの周波数帯域L1、周波数帯域L2、周波数帯域L3、及び周波数帯域L4の各々は、相関検出器24−1、及び振幅検出器26−1によって、各々対応する右のチャンネルの周波数帯域R1、周波数帯域R2、周波数帯域R3、及び周波数帯域R4と共に処理される。振幅検出器26−1は、左のL1帯域の信号と右のR1帯域の信号の振幅を測定すると共に、以下で説明されることになるように、14L−1及び16L−1のような増減演算子に情報を提供する。図示されなかった同様の振幅検出器は、L2/R2、L3/R3、及びL4/R4のような対応するL信号線及びR信号線の振幅を測定する。
相関検出器24−1は、信号線L1上の信号と信号線R1上の信号を比較すると共に、相関係数“c”を供給する。同様の相関検出器は、信号線L2/L3、信号線L3/L4、及び信号線L4/R4上の信号を比較すると共に、相関係数“c”、相関係数“c”、及び相関係数“c”を供給する。“相関”は、信号が時間の経過と共に変化する傾向を参照する。相関は、多数の異なる方法で決定され得る。例えば、簡単な方法において、2つの信号は、同時に起こる期間にわたって比較され得る。相関は、2つの信号がその期間にわたって共に変化する傾向である。同時に起こる期間の一般的な期間は、2〜3ミリセカンドである。更に洗練された方法の相関検出において、データは、異常な状態が相関計算に過度に影響を与えることを防止するために、円滑にされることができるか、または一緒に変化する2つの信号の傾向は、同一の期間上であるが、しかし同時に起こらない期間上で測定されることができる。従って、例えば、時間の経過と共に同様に変化するが、しかし位相がシフトしたか、または時間が遅れた2つの信号は相関があると考えることができる。信号の振幅及び極性は、相関関係を決定する際に考慮されても良いし、考慮されなくても良い。相関関係を決定する更に簡単な方法は、他の方法より更に少ない計算能力を必要とすると共に、多数の状況に対して、他の方法と聞こえるように異ならない結果を生成する。相関関係の程度は、公式に従って計算された相関係数“c”によって一般的に定義される。一般的に、もし相関係数計算式が“0”の結果、もしくは“0”に近い結果をもたらす場合、それらの信号は、“相関がない”と言われる。もし相関係数計算式が“1”の結果、もしくは“1”に近い結果をもたらす場合、それらの信号は“相関がある”と言われる。いくつかの相関係数計算式の計算は、相関係数が負の値を有することを可能にすることができると共に、その結果、“−1”の相関係数は、相関があるが、しかし位相が異なる(または、すなわちお互いに逆に変化する傾向がある)2つの信号を示す。
増減演算子16L−1は、相関係数“c”と、信号線L1及び信号線R1上の信号の相対的な振幅とに関連する係数によって、左の低い方の周波数帯域の信号を増減する。結果として生じる信号は、アナログ加算器18Cに送信される。増減演算子14L−1は、相関係数“c”と、信号線L1及び信号線R1上の信号の相対的な振幅とに関連する係数によってL1信号を増減すると共に、増減された信号を、アナログ加算器18Lに送信する。R1信号は、増減演算子16R−1において、相関係数“c”と、信号線L1及び信号線R1上の信号の相対的な振幅とに関連する係数によって増減されると共に、アナログ加算器18Cに送信される。増減演算子14R−1は、相関係数“c”と、信号線L1及び信号線R1上の信号の相対的な振幅とに関連する係数によってR1信号を増減すると共に、増減された信号を、アナログ加算器18Rに送信する。スケーリング係数の決定の個別の例は、以下で説明されることになる。アナログ加算器18L、アナログ加算器18C、及びアナログ加算器18Rは、それらに送信された信号を加算すると共に、結合された信号を、それぞれスピーカー20L、スピーカー20C、及びスピーカー20Rに送信する。アナログ加算器18L及びアナログ加算器18Rからの信号は、同様に、伝達関数によって処理されると共に、スピーカーLS、及びスピーカーRSに送信されることができる。係数の値は、帯域毎に計算されると共に、その結果、係数の値は、周波数帯域L1/R1、周波数帯域L2/R2、周波数帯域L3/R3、及び周波数帯域L4/R4に関して異なる可能性がある。更に、L1係数はR1係数と異なる可能性があると共に、L2係数はR2係数と異なる可能性があり、その他も同じである。係数の値は、時間の経過と共に変化することができる。周波数帯域のフィルタの折点周波数の値は、固定されることができるか、または相関関係のようないくつかの要因に基づいて時間的に変化し得る。スケーリング係数を計算するために使用される方程式は、異なる帯域においては異なっても良い。
一実施例において、スピーカー20L、スピーカー20R、スピーカー20C、スピーカー20LS、及びスピーカー20RSは、サブウーファーとサテライトスピーカータイプのオーディオシステムにおけるサテライトスピーカーである。伝達関数22LS、及び伝達関数22RSは、時間遅延処理、位相シフト処理、及び減衰処理を有することができる。他の実施例において、伝達関数22LS、及び伝達関数22RSは、アナログ形式あるいはデジタル形式のいずれかにおける、異なる長さの時間遅延処理、位相シフト処理、または増幅/減衰処理、または時間遅延処理、位相シフト処理、及び増幅処理の中のいくつかの組み合わせであり得る。更に、他の音響部屋の効果をシミュレートするために、他の信号処理操作がスピーカー20L、スピーカー20R、スピーカー20C、スピーカー20LS、及びスピーカー20RSに対する信号に関して実行され得る。
ここで図5Bを参照すると、図4のオーディオシステムの要素を具体化する別のオーディオシステムの例が示される。左の信号入力端子10Lは、フィルタネットワーク12Lに接続される。フィルタネットワーク12Lは、低音の周波数帯域と、それらの内の1つが他方より高く“高い方の”周波数帯域と言われると共に、それらの内の1つが他方より低く“低い方の”周波数帯域と言われる2つの非低音の周波数帯域である3つの周波数帯域を出力する。例えば、“低い方の”帯域は、音声帯域(例えば、20[Hz]〜4[KHz])であると共に、“高い方の”帯域は、音声帯域より上の周波数である。低音の周波数帯域のための出力端子は、低音の処理回路に接続される。フィルタネットワーク12Lの低い方の非低音の周波数出力端子は、増減演算子14L−1及び増減演算子16L−1に接続される。増減演算子16L−1の出力端子は、アナログ加算器18Cに接続される。増減演算子14L−1の出力端子は、アナログ加算器18Lに接続される。フィルタネットワーク12Lの高い方の非低音の周波数出力端子は、アナログ加算器18Lに接続される。アナログ加算器18Lの出力端子は、スピーカー20Lに接続されると共に、この場合それは8[ms]の時間遅延処理と3[dB]の減衰処理である伝達関数22LSを通じて、スピーカー20LSに接続される。右の信号入力端子10Rは、フィルタネットワーク12Rに接続される。フィルタネットワーク12Rは、フィルタネットワーク12Lによって出力される周波数帯域と同じ3つの周波数帯域を出力する。低音の周波数帯域のための出力端子は、低音の処理回路に接続される。フィルタネットワーク12Rの低い方の非低音の周波数出力端子は、増減演算子14R−1及び増減演算子16R−1に接続される。増減演算子16R−1の出力端子は、アナログ加算器18Cに接続される。増減演算子14R−1の出力端子は、アナログ加算器18Rに接続される。フィルタネットワーク12Rの高い方の非低音の周波数出力端子は、アナログ加算器18Rに接続される。アナログ加算器18Rの出力端子は、スピーカー20Rに接続されると共に、この場合それは8[ms]の時間遅延処理と3[dB]の減衰処理である伝達関数22RSを通じて、スピーカー20RSに接続される。振幅検出器26−1、及び相関検出器24−1は、増減演算子にスケーリング係数の計算のための情報を提供するために、それらが左の低い方の信号と右の低い方の信号との振幅を測定すると共に比較し、そして相関関係を決定し得るように、左の低い方の周波数帯域のフィルタネットワーク出力端子、及び右の低い方の周波数帯域のフィルタネットワーク出力端子に接続される。信号の相対的な振幅を考慮するための二乗平均平方根(rms)の値の使用は都合がよいが、しかしピーク値または平均値のような他の振幅測定が使用され得る。
一実装例において、振幅検出器26−1は、左の低い方の周波数帯域信号の信号振幅、及び右の低い方の周波数帯域信号の信号振幅を測定すると共に、周波数帯域と関連付けられた増減演算子、この場合には増減演算子14L−1、増減演算子16L−1、増減演算子14R−1、及び増減演算子16R−1に、振幅情報を提供する。相関検出器24−1は、左右の低い方の周波数帯域における信号を比較すると共に、下記の数4で示される相関係数を提供する。
Figure 0004732807
ここで、“L”及び“R”は、ある期間の低い方の周波数帯域のL及びRの二乗平均平方根の値であると共に、“X”は、ある期間の(L+R)または(L−R)の二乗平均平方根の値の内の大きい方の値である。相関係数“c”は、“0”から“1”の値を取り得ると共に、“0”は全く相関がない(完全に非相関である)ことを示し、“1”は相関があることを示し、この実装例では、位相は相関係数を計算する際に考慮されない。添え字“L”が示すものは、相関係数が低い方の非低音の周波数帯域のためのものであるということである。増減演算子16L−1は、下記の数5で示される係数によって、左の低い方の周波数帯域信号を増減する。
Figure 0004732807
ここで、“LPR”は、ある期間の(L+R)または(L−R)の二乗平均平方根の値であり、“Y”は、“LPR”と“LMR”の内の大きい方の値であって、“LMR”は、ある期間の(L−R)の二乗平均平方根の値である。増減演算子14L−1は、下記の数6で示される係数によって、左の低い方の周波数帯域信号を増減する。
Figure 0004732807
増減演算子16R−1は、“a(left)”とは異なるかもしれない下記の数7で示される係数によって、右の低い方の周波数帯域信号を増減する。
Figure 0004732807
増減演算子14R−1は、下記の数8で示される係数によって、右の低い方の周波数帯域信号を増減する。
Figure 0004732807
左の高い方の周波数帯域出力は、スピーカー20Lに対するオーディオ信号がフィルタネットワーク12Lからの左の高い方の周波数帯域出力と、増減演算子14L−1からの出力とで構成されるように、直接アナログ加算器18Lに接続される。右の高い方の周波数帯域出力は、スピーカー20Rに対するオーディオ信号がフィルタネットワーク12Rからの右の高い方の周波数帯域出力と、増減演算子14R−1からの出力とで構成されるように、直接アナログ加算器18Rに接続される。
それぞれ、中心チャンネルに導かれたL信号及びR信号の一部分を係数“a”によって増減すること、及びLチャンネル及びRチャンネルに残るL信号及びR信号の一部分を下記の数9で示される係数によって増減することは、基本的に、中心のスピーカー及び左右のスピーカーに送られるエネルギーの保存となる。
Figure 0004732807
もし、中心のスピーカーにおける増減の結果が非常に強い場合、L信号及びR信号は、相応して著しくあまり強くないことになる。もし(“(L−R)信号”でなく)L信号及びR信号が、それぞれ左のサラウンドスピーカー信号及び右のサラウンドスピーカー信号を供給するように処理される場合、その場合に、左のサラウンドスピーカー信号及び右のサラウンドスピーカー信号は、中心のスピーカー信号よりあまり強くないことになる。この関係は、中心及び前方にしっかり固定された状態を維持する中心音像をもたらす。もし、中心のスピーカーにおける増減の結果が弱い場合、L信号及びR信号は、相応して著しく更に強いことになる。もし(“(L−R)信号”でなく)L信号及びR信号が、それぞれ左のサラウンドスピーカー信号及び右のサラウンドスピーカー信号を供給するように処理される場合、その場合に、左のサラウンドスピーカー信号及び右のサラウンドスピーカー信号は、中心のスピーカー信号より強いことになる。この関係は、強い中心音像がないとき、広い範囲の音像をもたらす。
ここで図6を参照すると、図5Bで示される代表的なステアリング回路40による、相関関係及び相対的な振幅の様々な組み合わせに対する低い方の非低音の周波数帯域の動作のプロットが示される。
各プロットの左側は、右のチャンネル(例えば、図2のチャンネルR1)における信号の振幅が、左のチャンネル(例えば、図2のチャンネルL1)における信号と比較して著しく小さい場合(例えば、−20[dB])、または、言い換えると、左のチャンネルにおける信号の振幅が右のチャンネルにおける信号の振幅より著しく大きい場合(以下、“左側が加重された”状態という)の、1つ以上のスペクトル帯域に関する代表的なステアリング回路のステアリング動作を示す。各プロットの右側は、右のチャンネル(例えば、図2のチャンネルR1)における信号の振幅が、左のチャンネル(例えば、図2のチャンネルL1)における信号と比較して著しく大きい場合(例えば、+20[dB])(以下、“右側が加重された”状態という)の、1つ以上のスペクトル帯域に関する代表的なステアリング回路のステアリング動作を示す。各プロットの中間の部分は、左のチャンネルの振幅と右のチャンネルの振幅とが実質的に等しい場合の代表的なステアリング回路の動作である。ステアリング回路の動作は、様々な信号に適用されたスケーリング係数に関して表される。代表的なステアリング回路の動作は、3つの状態に関して示される。図6Aは、左右のチャンネルにおける信号に相関があると共に同位相の状態にあるとき(一般的に“1”の相関係数“c”によって示される)のステアリング回路の結果を示す。図6Bは、左右のチャンネルにおける信号に相関がない(一般的に“0”の相関係数“c”によって示される)か、または左右のチャンネルにおける信号が直角位相の状態にあるときのステアリング回路の結果を示す。ステアリング回路の他の例において、信号に相関がないと共に直角位相の状態にあるときの動作は異なる。図6Cは、左右のチャンネルにおける信号に相関があると共に位相が異なる状態にある(すなわち、お互いに逆に変化する)ときの代表的なステアリング回路の結果を示す。
プロットは、一般的な動作を説明することを意図していると共に、正確なデータを提供するために使用されることを意図していない。図6及び図7は、相関係数“c”の基本的な値に関するステアリング回路の動作を示す。“c”の他の値に関して、曲線は図6及び図7と異なることになる。
図6Aにおいて、もし左右のチャンネルにおける信号に相関がある(“c”=1)と共に、信号が“左側が加重された状態”である場合、右のスピーカー信号及び右のサラウンドスピーカー信号は“0”に近い係数によって増減されることがわかる。左のスピーカー信号は、約“1.0”の係数によって増減される。左のサラウンドスピーカー信号は、約“0.5”の係数によって増減される。同様に、もし信号の振幅が“右側が加重された状態”である場合、左のスピーカー信号及び左のサラウンドスピーカー信号は、“0”に近い係数によって増減される。右のスピーカー信号は、約“1.0”の係数によって増減される。右のサラウンドスピーカー信号は、約“0.5”の係数によって増減される。左右のチャンネルにおける信号の振幅がおおよそ等しい状況に関して、中心のスピーカー信号は、約“1.0”の係数によって増減されると共に、他のスピーカーに対する信号は、“0”に近い係数によって増減される。
図6Aにおける個々のスピーカーに対応する曲線を見ると、左右の信号が加重された状態に関して、中心のスピーカー信号は、おおよそ“0.3”の係数によって増減される。左右の信号が加重された状態より振幅が小さくなるので、左右の入力チャンネルにおける信号の振幅が等しいときに、中心のスピーカー信号のスケーリング係数が約“1.0”になるように、スケーリング係数は増加する。左の信号が加重された状態では、左のスピーカー信号のスケーリング係数は、約“0.9”である。左の信号が加重された状態より振幅が小さくなるように、左右のチャンネルにおける信号の振幅が等しいときに、左のスピーカー信号のスケーリング係数がおおよそ“0”になるまで、左のスピーカー信号のスケーリング係数は減少すると共に、右の入力チャネルにおける信号が左の入力チャネルにおける信号より大きい全ての値に関しておおよそ“0”の状態を維持する。左の信号が加重された状態では、左のサラウンドスピーカー信号のスケーリング係数は、約“0.6”である。左の信号が加重された状態より振幅が小さくなるように、左右のチャンネルにおける信号の振幅が等しいときに、左のサラウンドスピーカー信号のスケーリング係数がおおよそ“0”になるまで、左のサラウンドスピーカー信号のスケーリング係数は減少すると共に、右の入力チャネルにおける信号が左の入力チャネルにおける信号より大きい全ての値に関しておおよそ“0”の状態を維持する。右のチャンネル及び右のサラウンドチャンネルにおける図6Aの代表的なステアリング回路の結果は、実質的に左のチャンネル及び左のサラウンドチャンネルにおける結果の鏡像となる。
図6Bにおいて、もし2つのチャンネルにおける信号に相関がない(“c”=0)か、または位相が直角位相の状態にある場合、信号の“左側が加重された状態”に関して、左のサラウンドスピーカー信号は、最も高いスケーリング係数を有していると共に、左のサラウンドスピーカー信号は、それに続く最も高い加重された値を有している。右のスピーカー信号、右のサラウンドスピーカー信号、及び中心のスピーカー信号は、比較的低いスケーリング係数を有している。“右側が加重された状態”に関して、信号は実質的に鏡像関係で現れる。左右のチャンネルにおける信号の振幅が実質的に等しい状況に関して、全ての5つのスピーカーに関するスケーリング係数は、中心のスピーカー信号より僅かに大きなスケーリング係数を有する左/右のスピーカー信号と、左のサラウンドスピーカー信号及び右のサラウンドスピーカー信号より僅かに高い値を有する中心のスピーカー信号とを含んで比較的狭い帯域内にある。
L信号とR信号とに相関がある(“c”=1)と共に、位相が異なる状態にある場合の、左のスピーカー、左のサラウンドスピーカー、右のスピーカー、及び右のサラウンドスピーカーに関連するステアリング回路の動作を示す図6Cのプロットは、図6Bにおいて示された動作と類似している。しかしながら、図6Cの曲線において、中心のスピーカー信号は、全ての状態において低いスケーリング係数を有していると共に、入力チャンネルにおける信号が同じ振幅を有する場合、実質的に“0”まで減少する。
図7は、別の代表的なステアリング回路の動作を開示する。図7Aにおいて示された動作(“c”=1)は、左のスピーカー信号、右のスピーカー信号、及び中心のスピーカー信号に関して、図6Aにおいて示された動作と類似している。左のサラウンドスピーカー信号、及び右のサラウンドスピーカー信号に関するスケーリング係数は、入力信号の全ての振幅関係に対して実質的に“0”であると共に、スケーリング係数が入力チャンネルの振幅関係から実質的に独立していることを示している。図6A及び図7Aにおいて示された動作は、信号に相関があり、位相が同一であると共に振幅が同一であるという仮定と一致している、2つの入力チャンネルにおける信号の振幅が同じである状況に関して実質的に同じであり、音のソースは、オーディオソースの素材の創造者によって、左右のスピーカーの間に集められることが望まれている。
図7Bにおいて示された動作(“c”=0)と、図6Bにおいて示された動作との間の差は、ある振幅関係において、この例では図7Bにおいて2つのチャンネルの信号の振幅が10[dB]未満だけ異なるとき、サラウンドスピーカー信号のスケーリング係数は、左右のスピーカー信号のスケーリング係数より大きいということである。図6Bの動作と異なり、図7Bにおいて示された動作は、サラウンドスピーカー信号のスケーリング係数が左右のスピーカー信号のスケーリング係数より大きく、従って、音像が後方に移動する原因となる状況(相関がなく、振幅は相対的に等しい)を提供する。
図7Cにおいて示された動作(“c”=1で、位相が異なる)と、図6Cにおいて示された動作との間の差は、プロットにおける大部分のポイントで、サラウンドスピーカー信号(例えば、左のサラウンドスピーカー)に適用されたスケーリング係数が、対応する前方のスピーカー(例えば、左のスピーカー)に適用されたスケーリング係数より著しく大きいということである。これは、位相が異なると共に相関があるオーディオ信号としてサラウンド情報がコード化されるオーディオ符号化システムと一致している。
図4で開示された種類のステアリング回路40を使用する、図1Aにおいて示された種類のオーディオシステムは、“x”チャンネル信号を供給するためにステレオチャンネルを処理する従来のオーディオシステムに対して有利である。通常に生成されたステレオの素材からサラウンドチャンネルを供給するために“(L−R)信号”を処理する従来のオーディオシステムは、好ましくない聞き取れる結果をもたらす可能性がある。例えば、2つのステレオのマイクロホンから等距離に位置した音源のステレオ録音は、非常に高い相関を有するソースからの直接の放射エネルギーと、一方その録音が行われた環境における音響の歪みのために非常に高い相関を持たない反響する放射エネルギーとを含む可能性がある。相関がない反響音は“(L−R)信号”に寄与することができる。サラウンド信号として使用するために“(L−R)信号”を生成する従来のオーディオシステムは、直接の放射エネルギーと比較して不自然に聞こえるように再生される反響音の原因となる。図4で開示された種類のステアリング回路40を使用する、図1Aにおいて示された種類のオーディオシステムは、同様に、複数の周波数帯域において信号を処理しないオーディオシステムに対して、それらが他の周波数帯域における音響の事象に不自然に影響を及ぼす、ある周波数帯域における音響の事象を処理しないので有利である。例えば、もし音声帯域の音響ソースが中心にあることを意図されていると共に、音声帯域外の楽器の音響ソースが側方にあることを意図されている場合、音声帯域の音響ソースは、楽器帯域の音響ソースに中心から到来するように見える傾向を生じさせないと共に、楽器帯域の音響ソースは、音声帯域の音響ソースに側方から到来するように見える傾向を生じさせない。
図4で開示された種類のステアリング回路40を使用する、図1Bにおいて示された種類のオーディオシステムは、それらが復元されたL信号とR信号との差信号を形成しないので、2つのチャンネルの圧縮されたオーディオ信号データを復元する従来のオーディオシステムに対して有利である。従って、図4の回路40を使用するシステムは、追加のチャンネルを供給するために“(L−R)信号”を生成すると共に処理する従来のオーディオシステムより、人工音を隠蔽されない状態にする程度がはるかに少ないか、または復元されたL信号とR信号との間の差を誤って解釈する程度がはるかに少ない。もし圧縮されないオーディオ信号が通常に生成されたステレオ信号である場合、図1Bにおいて示された種類のオーディオシステムは、同様に、図1Aにおいて示された種類のオーディオシステムに関連して明言された理由によって有利である。
当業者は、発明の概念からはずれずに、直ちにここに開示された特定の装置及び技術の多数の用途と、特定の装置及び技術からの発展とを明らかにすることができる。従って、本発明は、ここに開示された特徴のそれぞれの、及び全ての新奇な特徴と新奇な組み合わせとを取り入れると共に、添付された請求項の精神及び範囲によってのみ制限されると解釈されるべきである。
オーディオシステムのブロック図である。 オーディオシステムのブロック図である。 復号化及び再生システムの構成図である。 フィルタネットワークの構成図である。 ステアリング回路を更に詳細に示すオーディオシステムの構成図である。 図4のステアリング回路の実装例を示すオーディオシステムの構成図である。 図4のステアリング回路の実装例を示すオーディオシステムの構成図である。 第1のステアリング回路の動作を示すプロットである。 第1のステアリング回路の動作を示すプロットである。 第1のステアリング回路の動作を示すプロットである。 第2のステアリング回路の動作を示すプロットである。 第2のステアリング回路の動作を示すプロットである。 第2のステアリング回路の動作を示すプロットである。
符号の説明
2A ステレオオーディオ信号ソース
2B オーディオ信号ソース
4 オーディオ信号データコンプレッサ
6 圧縮オーディオ信号データ記憶装置
8 復号化及び再生システム
10L、10R 入力端子
12L、12R フィルタネットワーク
14L−1、14R−1、16L−1、16R−1 増減演算子
18LS、18L、18C、18R、18RS アナログ加算器
20L、20LS、20C、20R、20RS ラウドスピーカー
22LS、22RS 伝達関数ブロック
24−1 相関検出器
25 ローパスフィルタ
26−1 振幅検出器
27A、27B バンドパスフィルタ
28 ハイパスフィルタ
40 ステアリング回路
42 低音処理回路
44 低音のラウドスピーカー
46−1 帯域1ステアリングロジックブロック
46−2 帯域2ステアリングロジックブロック
L1、L2、R1、R2 出力端子


Claims (18)

  1. nが3より多いときに、n個の出力オーディオチャンネル信号を供給するために2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法であって、
    第1の入力チャンネル信号及び第2の入力チャンネル信号を、複数の対応する非低音周波数帯域の信号に分割するステップと、
    第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅、及び第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅を供給するために、第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号と、第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号とを供給する1つの周波数帯域における2つの入力チャンネルのオーディオ信号の振幅を測定するステップと、
    第1の周波数帯域の相関関係を供給するために、第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号と第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号との間の相関関係を決定するステップと、
    第1の周波数帯域の相関関係に関係すると共に、更に第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅、及び第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅に関係する第1の係数(a(first))によって、第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を増減し、第1入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の増減結果を供給するステップと、
    第1の周波数帯域の相関関係に関係すると共に、更に第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅、及び第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の振幅に関係する第2の係数(a(second))によって、第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を増減し、第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の増減結果を供給するステップと、
    中心チャンネル出力オーディオ信号の第1の周波数帯域部分を供給するために、第1入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の増減結果と、第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号の増減結果とを結合するステップと
    を備え
    第1の係数(a(first))と第2の係数(a(second))とが異なる
    ことを特徴とする2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
  2. 左チャンネル出力オーディオ信号の第1の周波数帯域部分を供給するために第3の係数(a(third))によって第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を増減する処理を更に備える
    ことを特徴とする請求項1に記載の2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
  3. 第3の係数(a(third))が、下記の数1で示される
    ことを特徴とする請求項2に記載の2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
    Figure 0004732807
  4. 左の非低音オーディオ信号を供給するために、左チャンネル出力オーディオ信号の第1の周波数帯域部分と、第1の入力チャンネルのオーディオ信号の第2の周波数帯域部分とを結合する処理を更に備える
    ことを特徴とする請求項2に記載の2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
  5. 周波数帯域が、時間的に変化する
    ことを特徴とする請求項1に記載の2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
  6. 第1の周波数帯域が、音声帯域である
    ことを特徴とする請求項1に記載の2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
  7. 2つの入力オーディオチャンネル信号は、圧縮されたオーディオ信号データを含む
    ことを特徴とする請求項1に記載の2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
  8. 圧縮されたオーディオ信号が、再構成不可能型データフォーマットの形式である
    ことを特徴とする請求項7に記載の2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
  9. 入力信号が、“MP3”フォーマットによって圧縮される
    ことを特徴とする請求項1に記載の2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法。
  10. nが2より多いときに、n個の出力オーディオチャンネルを供給するために2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法であって、
    第1の入力チャンネル信号及び第2の入力チャンネル信号を、複数の対応する非低音周波数帯域に分割するステップと、
    中心出力チャンネル信号の第1の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第1の処理に従って第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップと、
    中心出力チャンネル信号の第1の周波数帯域の第2の部分を供給するために、第2の処理に従って第2の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップと、
    中心出力チャンネル信号の第2の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第3の処理に従って第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップと、
    中心出力チャンネル信号の第2の周波数帯域の第2の部分を供給するために、第4の処理に従って第2の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップとを備え、
    第1から第4の処理が、相互に異なる
    ことを特徴とする2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
  11. 非中心出力チャンネル信号の第1の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第5の処理に従って第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップと、
    非中心出力チャンネル信号の第2の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第6の処理に従って第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を処理するステップとを更に備え、
    第5の処理が、第6の処理と異なる
    ことを特徴とする請求項10に記載の2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
  12. 第1の処理が、第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を係数“a”によって増減するステップを備える
    ことを特徴とする請求項11に記載の2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
  13. 第5の処理が、第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を下記の数2に示す係数によって増減するステップを備える
    ことを特徴とする請求項12に記載の2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
    Figure 0004732807
  14. 中心出力チャンネル信号が係数“a”によって増減された第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を含むように、及び非中心出力チャンネル信号が下記の数3に示す係数によって増減された第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号と減衰されない第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域信号とを含むように、第6の処理が、減衰されない第1の入力チャネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を供給するステップを備える
    ことを特徴とする請求項13に記載の2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
    Figure 0004732807
  15. 中心出力チャンネル信号が係数“a”によって増減された第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を含むと共に、第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を一部たりとも含まないように、第3の処理が、中心出力チャンネル信号の第2の周波数帯域の第1の部分を供給するために、第1の入力チャンネルの第2の周波数帯域オーディオ信号を供給しないステップを備える
    ことを特徴とする請求項12に記載の2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
  16. 第6の処理が、減衰されない第1の入力チャンネルの第1の周波数帯域オーディオ信号を供給するステップを備える
    ことを特徴とする請求項11に記載の2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
  17. 第1の処理、第2の処理、第3の処理、または第4の処理の内の少なくとも1つが、時間的に変化する
    ことを特徴とする請求項10に記載の2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
  18. nが2より多いときに、n個の出力オーディオチャンネル信号を供給するために、再構成不可能な圧縮されたオーディオ信号データを備える2つの入力オーディオチャンネル信号を処理するための方法であって、
    入力オーディオチャンネル信号を周波数帯域に分割するステップと、
    周波数帯域を別々に処理するステップと、
    n個の出力オーディオチャンネルを供給するために、別々に処理された周波数帯域を結合するステップとを備え
    周波数帯域を別々に処理するステップが、第1のチャンネルの第1の周波数帯域信号を第1の係数によって増減するステップと、第2のチャンネルの第1の周波数帯域信号を第2の係数によって増減するステップとを備え、
    第1の係数と第2の係数とが異なる
    ことを特徴とする2つの入力オーディオチャンネルを処理するための方法。
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